見える子ちゃん

登録日:2021/10/11 Mon 02:42:35
更新日:2025/03/22 Sat 15:22:37
所要時間:約 21 分で読めます






見えるはずのないものが見えた時 あなたならどうしますか

もしも異形の化け物がこちらをジッと見て語りかけてきたとしたら

彼女がとった行動はシカト そう まるで何も見えていませんと言わんばかりの鮮やかなスルー

これはヤバイ化け物達との遭遇を全てシカトで凌いでいく少女の物語



える子ちゃん』とは、泉朝樹による漫画作品。

【目次】


【概要】


KADOKAWAが運営するWebコミック配信サイト「ComicWalker」(現・『カドコミ』)で2018年11月2日から連載を開始、
2021年7月16日から同サイトの新レーベル「WebComicアパンダ」に移籍して連載中。
ドワンゴが運営する「ニコニコ静画」にも掲載されている。
単行本は既刊10巻(2024年2月22日時点)。

ヤバイやつが見えるようになってしまった女子高生が全力で見えないフリをするホラーコメディ。
美少女とホラーものという鉄板の組み合わせによる女の子メインの作風だが、美少女幽霊が出てくるような生易しいものではなく、登場するヤバイやつは生理的に生々しくグロい。
そんなマジもんのヤバいやつにビビりながらも見えないフリを貫く主人公の健気でいじらしい姿、見えない人間達との反応のギャップといったコメディ描写が見どころ。

基本は主人公と周辺の人物を中心に繰り広げられる1話完結のホラーコメディだが、
ちょっといい話、人間の本質的な怖さを押し出した話、霊能力によるバトル展開も交えた連続ストーリーなどバラエティ豊かな話が展開される。
合間にはライトながらフェチズム満載のお色気描写も挟まれる。
シリアス回ではコメディ回の何気ない描写が伏線として機能するなど、巧みなストーリー構成も評価されている。
Webメディア「コミスペ!」で2020年6月29日に掲載された作者へのインタビューによると、本質はあくまでもホラーコメディであり、完全なストーリー漫画にシフトする予定はないとのこと。

プロトタイプは2018年9月6日に作者がTwitterに投稿した4ページ漫画で、投稿から間もなく16万いいね、5万RTを達成する驚異的な人気となり、第1話投稿からわずか2週間で連載が決定した。

【ボイスコミック】


連載から1年後の2019年10月21日に、YouTubeで1・2・6話のボイスコミックが公開された。
後のアニメ版とはCVが異なる。

2023年5月23日には、単行本9巻発売を記念して39~41話を再編集したボイスコミック「一条みちる編」がYouTubeとTikTokで公開された。
こちらのCVはアニメ版準拠で、アニメでは未登場であった一条みちる役に早見沙織がキャスティングされている。

【アニメ】


2021年10月から12月までテレビアニメが放送された。製作は株式会社パッショーネ。
監督は同社で『異種族レビュアーズ』を手掛けた小川優樹、シリーズ構成は『幼女戦記』や『慎重勇者』の猪原健太が担当。
超重神グラヴィオン』や『聖痕のクェイサー』などおっぱいアニメに定評があり、先述した『異種族レビュアーズ』で小川監督と組んでいたうのまこともキャラデザインとして参加しているが、
人間ではなくヤバイやつのメインデザイナーである(クレジットでは『化け物デザイン』)。

多少の改変はあるが、概ね原作3巻までの内容を再現している。
監督が『みるタイツ』や『月曜日のたわわ2』などフェチズム満載のアニメを手掛けてきた事もあり、原作より気合いの入った下着や尻のアングルが視聴者の話題になった。
しかしホラー描写が軽視されている訳ではなく、原作のデザインをベースにヤバイやつのデザイン担当が複数人用意され、不気味なヤバイやつの迫力がアニメで伝わるように3Dエフェクトを混ぜて作られている。
1話では途中までヤバイやつの存在を映さないようOP、CMも含めて工夫され、ホラーものの雰囲気を維持しつつ肝心の相手が不明のまま進行し、後半に衝撃の形相が明らかになる仕組みになっている。
後の展開への伏線も事前に用意され、原作ファンはニヤリとするネタも多い。

【実写映画】


2024年10月に実写映画化が発表され、2025年初夏に公開予定。
監督は『アヒルと鴨のコインロッカー』や『ゴールデンスランバー』、『残穢 -住んではいけない部屋-』などが有名な中村義洋。
主演はアニメ映画『すずめの戸締まり』で主人公・岩戸鈴芽の声を担当した原菜乃華。


【あらすじ】


四谷みこは普通の女子高生。
しかし最近悩みがあり、それは突然異形のヤバいやつが見えるようになった事。
彼女はヤバいやつの存在をシカトし続け、平穏な生活を維持する事はできるのか。

【登場人物】


話数は特に記載のない限り、原作における話数を示している。

・四谷みこ

CV:雨宮天(テレビアニメ)/種崎敦美(ボイスコミック)/原菜乃華(映画)
主人公。ある日突然ヤバイやつが見える「える」になった女子高生。
バトル漫画のような戦闘能力は持たず、オカルトの知識もないため編み出した防衛手段はシカト……つまりガン無視。
性格は優しく穏やかで、感情を激しく表すことは滅多にない。
また良くも悪くも責任感が強く忍耐力があり、恐怖を感じても騒いだりしないが内心のテンションは恐怖でめちゃくちゃ高い。
自身や周囲を守るため、涙目になりながらも奮闘する健気な女子高生。可愛い。

見える度合いに関しては見える人間の中でも突出して高く、悪意のない存在も大型で力の強い個体もはっきり認識できている。
しかしハナの生命エネルギーはなぜか全く見えず、ユリアが口を滑らせた事で初めてその存在を知った。

物語初期はヤバイやつには関わらずガン無視のスタンスを貫いていたが、
強大な悪意と力を持つヤバイやつの存在、「さんかい」の怪物との遭遇、
ユリアやゴッドマザーといった「見える」人との出会いから、周囲を守るため逃げずに立ち向かっていく決意を固めていく。

一つ目のキャラクター「メメちゃん」がお気に入り。

・百合川ハナ

CV:本渡楓/伊藤綾沙
明るく元気なみこの同級生。
現在も成長を続ける母親譲りの爆乳を持ち、よく食べる食いしん坊
かなりの天然で度々みこを呆れさせているが、友達思いで正義感も強く、ヤバイやつに精神を削られがちなみこにとっては癒やしの存在。

ヤバイやつは認識できないが、人並み外れた生命エネルギーの持ち主であり、無意識に引き寄せてしまう体質。
生命エネルギーの源は食事であり、強力なヤバイやつが近くに居るとエネルギーが消費され無性にお腹が減ってしまうが、何か食べると即座に回復する驚異的なエネルギー変換効率を持つ。
非常に強力なため本人が影響を受けることはほぼないが、常に空腹に悩まされ、引き寄せられたヤバイやつが周りに何かしらの影響を与えてしまうという、人知れず悲しい運命を背負っている。
ゴッドマザーには「炎に蛾が集まるようなもの」と例えられている。

うさぎのキャラクター「・Λ・ラムダラビット」がお気に入り。

・二暮堂ユリア

CV:佐倉綾音
みことハナの隣のクラスの生徒。小柄で小学生のように見えるが、れっきとした高校生。
幼少期からヤバイやつが認識できる「ちょっと見える子」であったが、周囲からは不気味がられ孤立していた。
それでもめげずに学習と鍛錬を続け、ゴッドマザーのように著名な霊能者を目指している。
見える度合いは低く、大型の個体は曖昧もしくは全く見えないが、ハナの生命エネルギーははっきりと見える。
ヤバイやつに関する知識もそれなりにあり、行動力も高い。
一方コミュニケーション能力は低く友達もいなかったので、みことハナに止められるまで便所飯をしていた悲しい子。

憧れのゴッドマザーを引退に追い込んだという噂を聞きつけみこをマークし始め、勘違いの連続から強大な力を持つ霊能者と思い込みライバル視するようになった。
その後も交流を重ね、みことハナの人となりに触れる内に友人関係を築いていき、何だかんだで付き合いも悪くないと思い始めている。
みことしても同年代でヤバイやつについて相談できる数少ない相手であり、協力を頼むことも増えている。

キノコの形をした家具や小物がお気に入り。

・四谷恭介

CV:花守ゆみり
みこの弟で小学五年生。
どこか無愛想でツンケンとしているが姉のことが好きで、彼女の危機には率先して立ち向かう姉思いの弟。
だが思いが強すぎるあまりシスコン気味なきらいがあり、心配の方向もどこかズレていることが多い。
姉弟仲は非常に良く、一緒に買物に出かけたり、人混みの中で手を繋いだり、大雪の中相合傘で帰宅するなど見ているこちらが羨ましくなるほどの仲良しぶりを度々見せている。
少し前まで姉とお風呂に入っており、7話では色々あって久々に入浴、姉弟水入らずの時間を楽しんだ*1

怪談番組が好みで、タレントのロウソク淳二が司会を務める「ヤバ怖」をよく見ているが、姉と違いヤバイやつは全く見えない。
動物の顔が描かれたTシャツがお気に入り。

・四谷透子

CV:生天目仁美
みこと恭介の母。
二人の子供を産み、高校生の娘がいるとは思えないほどの美貌とスタイルの持ち主。

・四谷真守

CV:鳥海浩輔
みこと恭介の父。
妻と違ってこちらは冴えない眼鏡を掛けた中年のお父さんといった感じ。


・遠野善

CV:中村悠一
どこか気力のない目をした青年。
初登場は4話で、ハナが拾った猫の里親候補として登場。
猫の姿をしたヤバいやつらに取り憑かれており、それを怪しんだみこが引き渡しを断った。

16話で、みこのクラスの臨時担任としてまさかの再登場。
教師なのに人に興味がなく生徒の名前を覚えないが、穏やかでルックスも悪くないため生徒からの評判は悪くなく、彼に好意を示す生徒もいる。
一方、みこは猫の件もあって非常に警戒しており、さらに蜘蛛のような下半身を持つ女性のヤバイやつが取り憑いていることを知り、大事になる前に止めようと必死になる。
善もみこを怪しんでおり、路地裏で猫を見つけた所を見られてしまい一触即発の事態へと発展したが……。


・豪塚さん

CV:伊丸岡篤
厳つい顔にスキンヘッド、両腕の入れ墨とその筋の人にしか見えない外見の男。
その外見とは裏腹に穏やかな性格で、猫をこよなく愛するいい人。顔に無数の物々しい傷があるが、実はこれは猫に戯れで引っ掻かれた際の傷である。
4話で猫の里親候補として登場、邪気を一切持たない猫又が2匹取り憑いており、みこはこれを見て猫を大事にする人と確信、猫を引き渡した。
かつては妻がいたが身体が弱かった為に先立たれており、妻の霊に見守られながら寂れたアパートで猫と生活している。
上記の取り憑いている2匹の猫又も元は彼が飼っていた猫であり、妻の遺影の両隣にこの2匹の遺影がある。

・ゴッドマザー

CV:谷育子/野津山幸宏
商店街の一角に店を持つ占い師のお婆さん。本名は「タケダミツエ」。
かつては「下町のゴッドマザー」として有名な占い師であったが、現在は金持ちの客に高額な開運グッズを売りつけて細々と稼いでいる。
彼女もれっきとした「見える」人であり、みこの見える体質やハナの生命オーラを一目で見抜いた。
みこに全盛期のパワーを詰めた数珠を渡すもすぐ弾けたことで自らの限界を感じ、一旦は廃業して息子夫婦の元に帰った。

しかし弟子である神童ロムから送られた写真を見て、因縁の場所である「さんかい」の神社にみこ達が関わっていることを知り引退を撤回。
27話でピンチに陥っていたみこを助け出し相談に乗る一方、神社に近づかないよう警告した。
初登場時はヤバイやつの存在を曖昧にしか認識できないほど能力が劣化していたが、復帰後は全盛期以上に能力が上がり強力な個体もはっきりと見えるようになった。

師匠の岡トワ子が経営する孤児院の出身で、子供達に対して母親のように面倒見がよかった事から「ゴッドマザー」の二つ名を与えられ、霊能者の道を歩む。
その中でトワ子からロムを預けられ、困惑しながらも大事にしていたが、最終的に疎遠となった。
さらに「さんかい」の神社に対する処遇でロムと対立しており、33話で彼に連れられて神社に行こうとするみこを止めようとするが、
「自分で責任を取りたい」というみこの意思もあり、3人で神社に向かう事になった。
かつて義理とはいえ親子の関係にあったとは思えないほどロムに冷たく接しているが、情を捨てきれないでいる。

「さんかい」の件が解決した事で、「弟子を名乗るのは許す」という形でロムとひとまずの和解を果たした模様。

・神童ロム

オンラインサロン「不可解症候群(エニグマシンドローム)」を運営する、怪しげな風体の青年。
見える度合いはかなり高く、強力なヤバイやつらも生命オーラもはっきり見え、ヤバイやつの知識や対抗術にも精通している。
ただ、見える度合い自体はみこには敵わない様子。
師匠であるゴッドマザーが数珠やお酒といった古風な物を使って対抗する中、彼はスマートフォン、ドローン、くん煙剤といった近代科学を積極的に取り入れている。
オンラインサロンでは動画配信、除霊グッズの販売、バスツアーの開催など手広いビジネスを営んでおり、信者もそれなりの数がいる模様。
また、サロンの経営とは別に怪現象の調査なども受けている。

幼少期からズバ抜けて見える素質を持っていたが、それ故に両親から疎まれており、行く末を心配したトワ子からゴッドマザーの元に預けられた。
その際に弟子として「神童ロム」の二つ名を貰い、現在も大切にしている。
ゴッドマザーと家族のように過ごす中で少しずつ心を開いていたが、謎の声に誘われて「さんかい」の神社がある山へ無断で立ち入る行為を繰り返した結果、
怪物にトワ子を連れ去られる事態に繋がってしまい、ゴッドマザーとも疎遠になった。

「さんかい」の神社の写真をゴッドマザーに送りつけた張本人であり、自らの目的のためみこやハナを利用しようと接触を繰り返し、ゴッドマザーと対立している。
最終的にみことゴッドマザーを連れて神社に向かう事になったが……。


「さんかい」の件が解決してからは、ゴッドマザーとひとまずの和解を果たした模様。
また、みこからはヤバいやつに関する相談相手として頼られるようになり、みちるに取り憑いたヤバいやつの正体解明に協力するなどしている。

・岡トワ子

「悪鬼成敗」の決め台詞で有名な霊媒師で、ゴッドマザーの師匠。
霊的素質を持ち孤立した子達が身を寄せる孤児院を経営しており、その費用のためタレント霊能者として茶番のテレビ番組に出演していた。
仕事を言い訳にゴッドマザーにロムの事を押し付けてしまった事を悔やんでおり、「さんかい」の怪物から2人を庇い向こう側に連れ去られたが……。


・一条みちる

CV:早見沙織(ボイスコミック)
女性としては高い身長に白みがかった灰色の長い髪、鬼灯の髪飾りが特徴の高校生。
「CHAOSTEEN」の専属モデル「ちるる」としても活動している。
無口でミステリアスな雰囲気が漂う美人なのだが、実際はズレたセンスと感性の持ち主で、勉強も運動も不得意な残念な美人。
さらに上半身にはヤバいやつが取り憑いており、みこには上半身が異形の人間にしか見えない。
今までのヤバいやつと違って実体があるような状態であり、表情が分からないので本人ともコミュニケーションが取りづらいという厄介な存在。

40話でみことハナのクラスに転校生として登場。
周りの生徒に危害を加えないようにみこが取った行為を自分に好意的な行為と認識しており、結果みこに並々ならぬ偏愛を向けるようになってしまった。
以降みこが使用した鉛筆をしゃぶる生徒名簿からみこの自宅を突き止めるなど、常軌を逸する行為を取り続けている。
ただ、これらの行動はわざとやっているのではなく、本人のズレた感性によるものが大きい。
みこの住所を突き止め深夜に訪れようとした時は、「流石に迷惑だろう」と家の前で踏みとどまるなど、最低限の倫理は持ち合わせている模様。
みこ達と交流を続けていく中でその想いを強めていく一方、みこと距離感が近いハナに対して嫉妬のような感情を向けており……。

芋虫がお気に入りで、自宅でも「ピィちゃん」という名前の芋虫を飼っている。
また、みこと同じく「メメちゃん」がお気に入り。

・一条葉

みちるの姉で、芸能活動におけるマネージャーも務める。名前は「よう」と読む。
妹に対して異常なまでの執着心を持つ重度のシスコンで、「妹のため」を理由に行動を激しく制限するほど。
特に友達を作る事を非常に警戒しており、阻止するためにクラス替えを強要し、無理であれば転校させようとする程極端。
ただ、みちるの事自体は大切に思っており、彼女には基本的に優しく接している。
みちる自身は表向きこそ素直に従っているものの、取り憑いたヤバいやつの行動を見るに口を挟まれる事に対しては鬱陶しく思っている様子。

・アナコンダ穴熊

CV:佐々木義人
「男の中の男」の異名を持つおじさんレスラー。
レスラーとしては小柄ながら実力と知名度は高く、胴締めスリーパーホールド「大蛇落とし」を必殺技に戦う。
また、写真撮影では女の子に直接触らないように肩を組む紳士っぷりがうかがえる。
5話でみこの危機を知らずに救っており、恩を感じたみこから「穴熊さん」とさん付けで呼ばれるようになった。
ニコニコ静画の企画イラストで握手&サイン会に行った場面が投稿されたのでファンになった様子。

数える程しか登場しないキャラだが読者からの人気が非常に高く、先述のインタビューで作者が言及している。


【ヤバいやつら】


本作の顔であり、ある意味みこと並ぶ主人公。
現実で言うお化け・幽霊・悪霊といった存在だが、正式な名称は出ておらずどのような存在なのかも明言されていない。
一部の人にしかその姿を認識することはできず、見え方も個人差がある。

異形の度合いは個体差が激しく、顔以外は生前の姿をしているものから、悍ましい異形の化け物としか言いようがないものまで様々。
神出鬼没とばかりに様々な場所に生息しており、布団の中、ロッカーの中、トイレの中など、ビックリ企画かと疑うほどに不意打ちで現れる。
自分を認識してほしいとばかりにちょっかいを掛けてくる個体が多いが、人には目もくれずマイペースで行動し続ける個体も存在する。
大抵の個体は無視を続けることで去っていくため、視覚的な恐怖を除けば危険度は少ない。
ただし、憑依者に恨みなどの執着を持つ個体や見える人の中でも見える人が限られる大型の個体は、無視程度では離れずしつこく付きまとってくる場合もあり、その中には数珠といった除霊グッズすら全く意味を成さないほど強力な力を持った個体も存在する。
加えて「見た目の恐怖度=実際の脅威」ではないのも厄介な点で、異形の姿ながら実際は大人しかったり、逆に人間と変わらない見た目だが実際は凶暴というパターンもあるため油断できない。

一方、邪気を一切持たず生前の姿と理性を保った個体も少ないながら存在する。
これらの個体は大切に扱われた恩から背後霊として憑依者を見守っているか、憑依者に恨みではない何かしらの未練を持っているかの二パターンに大別される。

下に示した名前は小さいおじさんを除き仮称で、括弧内はアニメの設定資料(単行本7巻に掲載)でつけられた名称。

・小さいおじさん

現実にも都市伝説として存在するが、一般的な姿とは異なり服を着ておらず、顔がおじさんの小動物とでも言うべき姿をしている。
様々な場所に生息しており、危害は加えてこない無害な存在。
本作のマスコット的な存在で、関連商品でも度々姿を見かける。
上位の個体にとっては餌同然の存在で、ハナの生命エネルギーでバーベキューにされる、毛を毟られて料理に使われるなど酷い目に遭わされている。
8話と48話には親玉的な存在である「大きいおじさん」が登場している。

・壁から突き出た顔(捕食する化物)

その名の通り壁から突き出た顔。
決まった時間に現れて、顔の前に並んでいる人の姿をしたヤバいやつを一人ずつ頭から丸かじりにしていく存在。
隠れている体は芋虫のようであり、体から生えた人の腕で這って移動する。
4話、13話、28話、6巻おまけ漫画に登場しており、ドーナツ屋の横やファミレスのドリンクバーなど食べ物に関する場所に出現する。
13話の描写から、亡くなった人間を集めて運ぶ役目を果たしていると推測され、ゴッドマザーは「天への階段」と表現している。

・黒コートの狩人(斧の化物)

15話に登場する、大柄な体格をした人型のヤバいやつ。
電車内をうろつき、手に持った斧を振り回し人に取り付いたヤバイやつを狩っている。
斬られても人体に害はないが、「見える」みこにとっては恐怖以外の何物でもなく、最終的に新しい下着を買う羽目になった。
その後は19話で遠野善に取り憑いたヤバイやつを退治してもらえるかもしれない存在としてみこが言及する程度であったが、58話に久々の登場。
みこは一度その恐怖を経験したとはいえ、怖いものは怖く…みこは再び下着を買いに行く羽目になり、ついでに斬られた恐怖で涙目になっていた為、一緒にいたみちるに完全にバレた。*2
ちなみに狩りをしている際に取り憑いている相手の力が強いと抵抗される場合もあり、斧を防がれて取っ組み合いになったりもするようだが、その時は腹部から蠍の尾のような物を出現させて串刺しにするという奥の手を駆使して力付くでねじ伏せるらしく、狩りをしてるだけあって腕っぷし(?)も強いようである。

目的は不明ながらやっている事は、「取り憑いている厄介なヤバイやつ*3の駆除を被害者への負担と見返り無しでやってくれる」という一般人からすれば非常にありがたい行為であり、更に怪物自身の恐ろしさと格好良さを両立させた風体もあってか人気が高く、アニメ公式サイトで行われた「化け物総選挙」では堂々の1位を獲得した(サイト内では『電車の化け物』名義)。

・「さんかい」の怪物(さんかい、超さんかい)

CV:松田利冴&松田颯水(少女)、山根雅史(狐)
11話から登場する、とある山奥の神社の神様と思われる存在。
真っ白で巨大な狐と、お供である狐顔の少女2人で構成される。
10話でハナに取り憑いた大型のヤバイやつを退治してもらうため、彼女と共に神社へやってきたみこの前に現れ、以降大型のヤバイやつが現れた際に少女達が退治してくれるようになった。
他のヤバイやつとは一線を画した強さを持ち、少女達でさえ並大抵の相手では敵わず、顔と腹を潰されても即座に復活するタフさも備える。
巨大な狐に至っては手を伸ばしただけで強風が発生するなど、その力は計り知れない。
かつてトワ子を向こう側に連れ去ったのもこの怪物であり、ゴッドマザーや神童ロムにとっては深い因縁の相手。

人間には解読できない独自の言語で話すが*4、巨大な狐はみこと初めて出会った際に「さんかい」という言葉を残している。
みこはこれを「ヤバイやつを3回退治してくれる」と解釈しており、3回目が終わってから感謝を伝えに再度山を訪れたが神社にたどり着けず、少女達に襲われそうになった所をゴッドマザーに助けられた。
さらに31話では、これまで姿を現さなかった狐が直接出向いてヤバいやつを退治しに来る事態に。
ロムはこれを「願いは叶え終わったので見返りを要求しているが、神社から離れた場所では力を保てないため、直接神社に来るように促している」と予測している。
ゴッドマザーやロムの話によると、神社自体が普通の人は来られない場所なうえ、
神社のある山自体がヤバいやつの溜まり場で、周りの民家も人が離れて廃墟同然、力のある霊能者が何人も行方不明になっているという曰く付きの場所である。



アニメ版のクレジットでは少女達が「さんかい」、狐が「超さんかい」と表記されていたが、これはアニメサイドで暫定的に付けられた名前であり、正式名称は存在しない事が作者のTwitterで語られている。*7

・みちるに取り憑いたヤバいやつ

みちるの上半身に取り憑いている、得体の知れないヤバいやつ。
真っ黒な体にミミズめいた太い触手が複数生えた禍々しい姿をしており、激昂すると体から無数の眼と棘が出現する。
敵視した存在には触手の先端を鋭く向けるほか、これでヤバいヤツを突き刺して捕食する。
みちる自身に取り憑かれている自覚は無いようだが、感情表現に乏しい彼女の本心を代弁するかのような仕草をよく見せる。
また、みちるから分離して行動することも可能なようで、単独行動時の記憶をみちるが朧気ながら知っているかのような描写もある。

・鎌を持ったおじさん

みこが幼少期の頃からみこの周囲に度々現れる謎の存在。
外見は作業服のような格好をして左手に草刈り鎌を持った虚ろな表情をした中年男性であり、一見すると雰囲気が不気味な事以外は作中の他のヤバイやつ等程凶暴なようには見えないが、相当危険で厄介な存在であるらしく、ロムが上記のみちるに取り憑いている存在の正体を探る為、みこが撮ったみちるの写真を儀式で反応を調べていた際にその中の写真の一枚に写り込んでおり、偶々写真を見て気づいたロムを突如謎の力で襲撃して彼を殺しかける程に強い力を持っている。

追記、修正はヤバイやつを見てからお願いします。



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最終更新:2025年03月22日 15:22

*1 この時、恭介は様々な感情から少し恥ずかしがっていたが、みこはそのような素振りは全く見せていなかった。

*2 斧の化物に怯えているのをトイレを我慢していると勘違いされていた為、斬られた際に涙目になっていた=間に合わなかったと解釈された。

*3 完全に同化するように憑依している存在は「そういう類」をハッキリと目視できるみこでさえ「取り憑かれている人間に少し違和感がある」程度にしか判別できない為、その筋の専門家でも対処が困難となる(実際に「斧の怪物」本人も斧で斬ってみるまで取り憑いているかどうかの判別がついていない)。

*4 アニメ版6話のAT-X放送版では字幕が「見えて」いたが、本来制作側が意図しない内容だったため、アニメ版公式Twitterが謝罪文を出している。

*5 正確には持ち上げるまで頭蓋骨だとは気づかず、驚いて落とした際に砕けた。

*6 初登場時から伏線があり、狐少女の一方は表情の変化などのを感情表現を見せるのに対し、トワ子の化身たるもう一方は常に意味深な無表情で通しており、ミツエもその様子を見て正体に勘づいていた。

*7 2021年11月8日19時58分のツイートより。