2021年第82回菊花賞

登録日:2021/10/28 (木) 22:15:42
更新日:2022/11/24 Thu 23:08:17
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父に捧げる初タイトルは三冠最後の忘れ物

―――netkeiba 公式Twitterより


2021年第82回菊花賞とは、2021年10月24日に阪神競馬場で開催されたクラシックGIレースである。
勝ち馬の圧倒的なパフォーマンスと、人馬双方に紡がれた23年前から始まる大きなドラマが話題を呼んだ。



出走馬


枠番 馬番 馬名 騎手 オッズ 人気
1 1 ワールドリバイバル 津村明秀 85.4 16
2 アサマノイタズラ 田辺裕信 13.1 5
2 3 タイトルホルダー 横山武史 8.0 4
4 ロードトゥフェイム 丹内祐次 60.1 15
3 5 レッドジェネシス 川田将雅 3.9 1
6 セファーラジエル 鮫島克駿 90.8 17
4 7 ディープモンスター 武豊 18.1 7
8 (外)エアサージュ 藤岡佑介 36.3 10
5 9 ヴェローチェオロ 幸英明 44.1 12
10 モンテディオ 横山和生 46.4 13
6 11 ディヴァインラヴ 福永祐一 17.3 6
12 ノースザワールド 和田竜二 105.5 11
7 13 アリーヴォ M.デムーロ 40.3 18
14 ステラヴェローチェ 吉田隼人 4.1 2
15 ヴァイスメテオール 丸山元気 21.7 9
8 16 グラティアス 松山弘平 59.7 14
17 ヴィクティファルス 池添謙一 18.4 8
18 オーソクレース C.ルメール 5.4 3


王者不在の世代最終戦


まず本レースの前評判と注目度はというと、はっきり言ってそう芳しいものではなかった。
というのも近年の長距離需要低下の傾向もあって、ホープフルステークス馬ダノンザキッド、皐月賞馬エフフォーリア、ダービー馬シャフリヤールが揃って出走を回避。
元々別路線に進んでいる朝日杯フューチュリティステークス馬グレナディアガーズ、NHKマイルカップ馬シュネルマイスターも当然ながら出走せず、GI馬0頭という本命不在の一戦となってしまったのだ。

結果18頭フルゲート揃うものも、条件戦レベルの上り馬も多数出走するというメンバー的な魅力がイマイチ足りない顔触れに。

前週には、阪神ジュベナイルフィリーズ馬にして桜花賞馬ソダシやオークス馬ユーバーレーベンを筆頭に、この年様々な意味で注目を集めた3歳牝馬の世代最終戦・秋華賞が、翌週には前述のエフフォーリア含めた超豪華メンバーが揃った天皇賞(秋)*1があった事もあり、様々な意味で谷間のGIとなってしまう。

昨年の菊花賞がコントレイルの無敗三冠が懸かった運命の1戦であった事を差し引いても、売上は昨年度比から見て大幅な減少だったと言わざるを得ず、かなり盛り上がりに欠ける前評判となってしまった。フラグですねわかります。

とはいえ、見所がないかと言われればそういうわけではない。
そもそも2021年の3歳馬は、スプリンターズステークス馬ピクシーナイトをはじめ早くから各路線で古馬を撃破している馬も多く、レベルの高さが評価されていた*2。そんなレベルの高い世代の世代代表を決めるクラシックなだけあり、有力馬には魅力的なメンバーが揃っていた。
悪く言えば王者不在ではあるものの、よく言えば各馬の力が拮抗した群雄割拠の一戦とも言え、オッズにも表れている通り多くの予想家が頭を悩ます緊張感ある一戦であったと言えるだろう。


群雄割拠の有力馬達


そんな中でもまず飛び抜けて注目されたのが神戸新聞杯を優勝し菊花賞へコマを進めたステラヴェローチェである。
クラシック戦線でも皐月賞、ダービーで連続して3着をとる安定した実力と星を意味するその名の如く流れ煌めくような末脚が魅力の1頭である。

同じく神戸新聞杯にて2着を手にしたレッドジェネシスは近年の菊花賞を支配するディープインパクト産駒の最有力馬。
そのステイヤー素質をうかがわせる胴長な体格や母系にサドラーズウェルズを持つ血統、鞍上川田将雅への信頼感、更には好枠に恵まれた事もあって最終的には1番人気に躍り出た。

彼ら神戸新聞杯組はそこでシャフリヤールを撃破してきている上に、栗東所属である分輸送が有利であった事から特に有力視された。

そこに待ったをかけるのが関東からの刺客、オーソクレース。リーディングジョッキー・ルメールを鞍上に乗せた良血馬はホープフルステークスで2着と活躍するも骨折という悲運により春を振り、休養明けのセントライト記念で早速3着と好走した1頭。枠こそ大外となったものの、それを補って余りある鞍上への信頼感とまだ底の見えない実力を買われ3番人気となり事実上の東軍総大将を務めた。

弥生賞馬にして皐月賞で2着の成績を修めた4番人気のタイトルホルダーはステラヴェローチェと同じくクラシックの王道を突き進み好走を続けた1頭。更にお姉ちゃん*3に、JRAの誇る最小アイドルにして菊花賞5着馬メロディーレーンという母系のスタミナ血統が魅力。
実績面ならメンバー最上級ではあるものの弥生賞以来久々に前走セントライト記念で復帰した騎手・横山武史の判断ミスと展開に大いに嫌われ、まさかのブービーに屈した事や菊花賞で逃げ馬が勝ったケースが少ない事もあり、やや前3頭とは離れた穴気味人気馬となった。

上記4頭が全員単勝オッズ3.9 - 8.0倍となっており、更には単勝万馬券を超える馬が最不人気となったノースザワールドのみな事からも混戦模様が伺えるだろう。

他にもセントライト記念の勝ち馬であり素晴らしい末脚を披露したアサマノイタズラ、牝馬ながらも安定感ある鞍上を迎え長距離条件戦も制した上り馬ディヴァインラヴ、美しい尾花栗毛に父が菊花賞馬ゴールドシップであるヴェローチェオロ等々どの馬にもそれぞれ魅力と長所がある。
実力差がほとんどない面々が最後の一冠奪取を目指し準備を進めてきた。
この中で最後の一冠を手にするのはどの馬なのか―――
ファンが静かに見守る中、京都競馬場大幅改修により仁川へ舞台を移した菊花賞のゲートが開いた。


混戦を断つ


スタートと同時にワールドリバイバルが早速いつものように逃げを打つが、その横を激しく手綱をしごきながらタイトルホルダーが駆け上がりハナを主張した。
基本先行馬であり、誰もいかなかったときだけ消極的に逃げる、という形の多いこの馬がここまで激しくハナを主張するのは初めてであり、そのままワールドリバイバルを交わして先頭につけるとハイペースで飛ばし続け後方とのリードを3馬身、4馬身と広げた。
そのまま隊列は縦長に広がり、大逃げを打つタイトルホルダーをどのタイミングで捕まえに行くのか―――いや、そもそも3000mをハイペースで逃げる馬を捕まえる必要はあるのか?仕掛けどころの難しい一戦となり早速場は盛り上がる。

そのまま大きくリードをとったタイトルホルダーは1000mを60秒フラットで通過。
予想通りのかなりハイペースなラップとなった。
しかし流石選ばれた18頭の優駿達。自分の競馬を大逃げに惑わされず崩す事なく遂行。隊列が決まれば競馬はスムーズに流れていく。スタート直後こそ大きく動いたが、後は予定通り先行馬達が逃げるタイトルホルダーにじわじわ迫り、後続が足を溜めて直線勝負を目指す流れに。
ややかかり気味に後方から早くに上がっていったセファーラジエルが2番手に付けると先行集団もこれに従うように先頭に迫る。
一方で先頭はもうスタミナ切れしたのだろう、最初はあれほど大きく開いていたタイトルホルダーと2番手との差は、第3コーナーが近づいてきた今や3/4馬身程度まで縮まってしまっていた。

そして直線勝負へ。3000mの阪神競馬場、タフなレースで多くの馬がスタミナを切らし、末脚を伸ばせない中、前目につけていたディヴァインラヴが粘る。
そこへ外から迫るオーソクレースとステラヴェローチェ。多くのドラマを演出したクラシック最終戦に相応しいたたき合い。後続はこの3頭に付いてこれない。残り100mほどで3頭が一直線に並ぶ―――!



「オーソクレース、ステラヴェローチェ、ディヴァインラヴが争う!」



「しかし!」



「これは一頭桁が違った、 タイトルホルダー!!」



―――関西テレビ放送実況・川島壮雄アナウンサー



そんな2着争いの激戦を尻目に遥か前方で3番・タイトルホルダーがゴール板を横切った―――。
第82代菊花賞馬の誕生である。
勝ち時計は3:04.6。
なんと2番手との着差は5馬身の大圧勝であった。


1着 タイトルホルダー
2着 オーソクレース
3着 ディヴァインラヴ
4着 ステラヴェローチェ
5着 ディープモンスター
6着 ヴェローチェオロ
7着 アリーヴォ
8着 エアサージュ
9着 アサマノイタズラ
10着 ヴィクティファルス
11着 セファーラジエル
12着 ロードトゥフェイム
13着 レッドジェネシス
14着 モンテディオ
15着 グラティアス
16着 ヴァイスメテオール
17着 ノースザワールド
18着 ワールドリバイバル

払い戻し
単勝:3番 800円(4番人気)
複勝:3番 290円(4番人気) 18番 210円(3番人気) 11番 480円(6番人気)
枠連:2-8 1600円(6番人気)
馬連:3-18 2420円(6番人気)  馬単:3>18 5220円(15番人気)
ワイド:3-18 1050円(7番人気) 3-11 2590円(28番人気) 11-18 1410円(12番人気)
3連複:3-11-18 14610円(42番人気) 3連単:3>18>11 79560円(222番人気)



「……何が起こった?」
「後先考えずハイペースで大逃げしていたタイトルホルダーは終盤にスタミナ切れして、オーソクレースたちに飲まれて負けたんじゃないの?」
と思うのも当然だろう。


タイトルホルダー及び馬主の山田氏、管理厩舎の栗田厩舎にとっては初の中央GI制覇となり、鞍上の横山武史は皐月賞のエフフォーリアと併せて別馬での変則クラシック二冠達成となった。生産牧場の岡田スタッドも何気にクラシック制覇はこれが初である。
母父にMotivatorを持つ馬が国際GIを獲るのも世界初。凱旋門賞連覇の実績を持つ名牝Treve誕生以来繁殖成績の振るわなかったMotivatorにとってこの勝利が大きい……かは分からないが、タイトルホルダーを通じて今後その血を残せる可能性が浮上したのは確かだった。
日本調教馬で父子三代クラシック制覇も日本初であり、キングカメハメハは日本調教馬史上初のGIサイアーを3頭*5産んだ種牡馬となるなど記録ずくめの結果となった。

グレード制導入以降逃げ馬の菊花賞勝利は2例目。また、2着以下に5馬身以上差をつけての勝利もスーパークリーク(5馬身)、ビワハヤヒデ(5馬身)、ナリタブライアン(7馬身)、エピファネイア(5馬身)と4例しかなくいずれも競馬史に名を残す名馬ばかりであり、王者不在を野次るのも野暮ったく感じる程の強さをタイトルホルダーは見せつけたと言える。
そしてタイトルホルダーもまた、このラインナップに肩を並べるに相応しい、歴史に名を残すに足る名馬である事を後々証明する事となる(後述)。

「タイトルホルダー」。その名の通り「王者ならここにいる」と示し菊花賞を勝ち取ったのだ。

また、戴冠を逃しはしたもののディヴァインラヴはグレード制導入以降の牝馬史上菊花賞最高順位を記録。*6
また一つ牝馬の常識が破られる事になったという意味でも注目に値する結果となった。
秋華賞の設立に伴い既に事実上実現不可能(というより挑む理由があまりにもない)となっている牝馬クラシック三冠達成の夢もあるいは現実のものとなるのかもしれない。

2着となったオーソクレースは不利な大外枠からの出走にも関わらず縦長の隊列を利用して上手く内側に潜り込み、ロスを減少させられたのがディヴァインラヴ、ステラヴェローチェとの差となった。
仕掛けタイミングでステラヴェローチェを楽させなかった鞍上の手腕も光ったと言えよう。
枠さえ恵まれればあるいは……と思わざるを得ない。

人気だったはずの4着ステラヴェローチェと13着のレッドジェネシスはやはり不良馬場となった前走の反動があったのか期待されたパフォーマンスからは程遠いものになってしまった。
特にレッドジェネシスはまさかの最後方組で待機しそのまま全く足を伸ばせないまま落ちてきた先行馬を拾うのがやっとという内容に。ステラヴェローチェも末脚こそ本レースでも最速タイだが、どうにも仕掛けが間に合わずに勝ちきれない善戦キャラが定着し始めてしまっている。

さて、本レースは目を見張る記録づくしのレースだったが、それ以上にファンの心をとらえたのは23年前から始まる人馬の父子の物語であった。


人馬に紡がれる父子のドラマ


菊花賞は基本的に逃げ馬が不利とされている。前述した通りグレード制導入以降、本レースを含めて僅か2例しか全コーナーを先頭で回って優勝した馬がいないのだからどれだけ不利かは推して知るべし。*7
さて、その第1例こそが他でもない23年前の菊花賞―――1998年第59回菊花賞。横山武史の父、横山典弘がセイウンスカイで制覇したレースである。
この時のセイウンスカイもタイトルホルダー同様スタートから大きく逃げ、その後ペースダウン、最終直線で一気に加速するという変幻自在のペースメイクで優勝しており、これを23年後に今度はセイウンスカイの騎手の息子が、しかも父と同じ2枠の黒い染め分け帽子をかぶって達成するのだから運命とは不思議なものである。
実際に横山武史は父が勝利した菊花賞の映像を研究し、参考のひとつにしていたという。
また、横山武史が生まれたのがその1998年の冬であり、その後誰も菊花賞での逃げ切りを達成しなかったのだから、ある意味このドラマは23年前に横山武史が誕生した時から宿命付けられていたのかもしれない。
ついでに勝利後のポーズも、見比べてみればわかる通り父親のそれと同じものであった。
これら往時のレースを彷彿とさせる数々の事項から「セイウンスカイの再来」「令和のセイウンスカイ」チャンミで嫌という程見たと話題となった一方でこのレースには直接的には全く関係ないセイウンスカイがTwitterトレンド入りを果たした
なお、余談だが今回の菊花賞には23年前の菊花賞にも出走していた騎手がいた。
牝馬ディヴァインラヴの福永祐一と、中盤馬群に埋もれてしまったディープモンスターの武豊、かつてセイウンスカイと共に3強を形成していたキングヘイローとスペシャルウィークの主戦騎手だった2人である。
彼等がかつて同じ作戦で勝利するライバルの姿を目の当たりにしていた事は、この2頭が最終的に性別や展開の不利を覆して掲示板に名を連ねる事が出来た事実と決して無関係ではないだろう。

父子のドラマは鞍上だけではない。優勝馬タイトルホルダーにも大きな大きなドラマがあった。
時は2015年。この年のクラシックを支配する1頭の馬がいた。
その名はドゥラメンテ。荒々しい気性とその気性に見合った大迫力の走りにより皐月賞、ダービーの二冠を制覇するも最後の一冠を前にケガの悲運に泣いた馬である。
三冠は確実かと期待された競走能力は度重なるケガにより失われ、その夢を後世に託すも2021年8月31日に急性大腸炎により夭逝。僅か5世代しか産駒を残せなかったのだが、その最初の世代の産駒の内の1頭こそがタイトルホルダーであった。
そして、上記の通りドゥラメンテが取り逃し挑む事さえ許されなかったタイトルこそが菊花賞であり、タイトルホルダーの勝利はまさに父子の夢の結実であったと言える。
ケガしなかった世界線のドゥラメンテがいたとしても菊花賞いった可能性はそんなに高くない?知らんな*8
かくしてこの孝行息子の活躍によりドゥラメンテの血は時を超えた三冠達成に成功した。アニヲタ的に言えばこの馬のようなドラマだったと言えばわかりやすいか。*9
そしてこれに続くように、彼の半姉メロディーレーンも一週間後の10月31日に菊花賞と同じ場所・距離設定で行われた阪神3勝クラス「古都ステークス」にて勝利しオープンクラス入り。ドラマは多重に繋がることとなった。

ドラマはこれだけではない。ドゥラメンテは生涯最後のレースとなった宝塚記念で一番人気に推されながらも一頭の伏兵により勝利を阻まれた。その伏兵の名はマリアライト。―――二度に渡りタイトルホルダーのキャリアに立ちふさがり、本レースでも2着につけたライバル、オーソクレースの母である。
この父子揃って実はマリアライトとオーソクレースの母子に負け続けており、クラシックもラスト一冠になったこの大舞台でついにリベンジを達成したという事になる。また、オーソクレースの父母父が前述したセイウンスカイに菊花賞で敗れたスペシャルウィークだったりする。*10このライバルとの出会いもまた競馬の神が導いた運命だったのだろう。

他にもクラシック三冠連続3着の珍記録を惜しくも逃したステラヴェローチェだが、逆に中山(千葉県)で始まり、阪神で終わったクラシックの最終成績を334にしたとネタにされる、等変なドラマもいくつか生えた。困った事に阪神関係あるのである。*11


余談 出走馬達のその後

このレースに集った18頭のその後も少しだけ触れておく。


クラシック三戦全てで好走したステラヴェローチェは世代最高峰の馬の一頭としてファンからも強く認知された。ただ、有馬記念ではタイトルホルダーにリベンジを果たしつつも4着。好走ではあるのだが妙に勝ち味に遠い。続く翌年の日経新春杯では同期のヨーホーレイク相手にハンデ差も響いて2着、とどうにもブロコレ倶楽部期待の新人善戦キャラから抜け出せなくなってしまいつつある。
ドバイシーマクラシックでは1度は下したダービー馬、シャフリヤールの9着に終わり、その間に勝ち負け繰り返したタイトルホルダーが上記の通り快進撃を続けるなど、徐々に世代の王達との差が開きつつある。このままこの差は広がるのか、あるいは自身もその王の一角であると示してみせるのかは今後次第となる。
確かな実力を持つ馬なだけにその活躍には期待したいところ。
だがそんな矢先にまだ50代だった馬主が急逝、馬主はカーレースチームも持っていたがそのチームも解散してしまい、彼の競走馬は父に移管されたものの予定が白紙になってしまった。

一方本レースで確かな実力を見せたはずのオーソクレースは次走AJCCではまさかの6着大敗。しかも屈腱炎が再び見つかり、登録抹消となってしまった。トルコでの種牡馬入りも計画されたが、最終的に岡山県の繋養施設で乗馬となった。
同じ血統背景を持つ3着の牝馬、ディヴァインラヴも長距離の自己条件戦からキャリア積み直しを図るも松籟ステークスで5着完敗。しかも、オーソクレース同様その後の復帰もないままに登録抹消し繁殖入りとなってしまった。

また本レースでは7着と決して目立った存在ではなかったアリーヴォはその後も条件戦を順調に勝ち上がり、昇格初戦の小倉大賞典で初重賞制覇を決めると、大阪杯では3着好走。中距離で期待の馬となっている。

他の馬たちも現時点では重賞戦線で目立った活躍ができているとは言い難い。とはいえ遅咲きでもいずれ花は咲くと信じて、彼らは今日もターフを駆けている。


まとめ


かくして地味な印象とそれを裏付けるかのような売上減を見せた菊花賞だったが、終わってみれば内容は後々の競馬史で間違いなく語られる一戦となり、そこに刻まれる物語も多くのファンの記憶に残る一戦となった。
情報量が多過ぎて一時期「横山武史がセイウンスカイ産駒で亡き父の悲願だった菊花賞勝利」なんて何もかもが間違った情報が流れたりしたのはご愛敬。

セイウンスカイの勝利から23年。既に古い時代の物語となった1998年の菊花賞が今再びこうして多くのファンの胸に思い起こされた、という意味でも競馬史にとって大きな意味を持つ一戦であったと言えるだろう。

1998年から2015年、2016年、そして2021年へ。時も場所も違えど、快晴の空はあれからも変わらず青く広がっている。



追記・修正は阪神3000mを逃げ切ってからお願いします。

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最終更新:2022年11月24日 23:08

*1 牡馬クラシック三冠馬コントレイル、短距離とマイルの2路線制覇の快速女王グランアレグリアが出走、エフフォーリアと並んで三強と見られていた

*2 奇しくもこの一週間後に開催された天皇賞(秋)で、それを更に裏付ける出来事が起きるのだがそれはまた別の話

*3 半姉

*4 同計算でライスシャワーが46.6、オルフェーヴルが46.5から6と言った所

*5 ルーラーシップ、ロードカナロア、ドゥラメンテ

*6 本レース以前はダンスパートナー(1995年)とメロディーレーン(2019年)の5着が最高順位

*7 この年は舞台が阪神に代わっているが、阪神3000mの全コーナー1位通過で考えても1993年阪神大賞典のメジロパーマー以来であり、不利であることに違いはない

*8 ドゥラメンテの3歳秋は凱旋門賞行きのプランも練られていた為

*9 作品が終了したのが1998年なので偶然ではあるがアマゴワクチンにもセイウンスカイと似た部分があり、ペースを操って勝つ事を得意とする逃げ馬であった

*10 更に更に言えばタイトルホルダーの母父父はMontjeuなのでそういう意味でもリベンジを果たしたと言える一方で、オーソクレースの母母父の方はよりにもよってエルコンドルパサーだったりするのだが、そろそろキリがないのでこの辺にしておく。

*11 誤解の無いように言っておくが、クラシック全てで掲示板内というのは相当な実力馬以外には出来ない。

*12 菊花賞での武史はエフフォーリアに騎乗して優勝、そもそも皐月賞・ダービーでもエフフォーリアを優先していたため致し方ない事情もあり後任として長期的に任せられる騎手として馬主・牧雄氏・調教師から勉強熱心な姿勢が評価され満場一致で任された

*13 和生本人にとっても当初は冗談だと思っていたようだが後日改めて調教師から任されたことで喜びを感じたと同時に折り合うかが不安だったと回想している、結果的には後述のように人馬共に飛躍的な活躍を見せることとなった

*14 当初は阪神大賞典の予定だったが右トモを痛めて一度は春の予定が白紙になった。幸いにも軽症で回復も早かったため、輸送面も考慮して日経賞に変更したという経緯がある。

*15オルフェーヴル

*16 グレード制導入以前も含めても2位タイ

*17 なお同率1位は2004年に横山典弘を鞍上にイングランディーレが逃げ切ったレース。つくづく「そういう話」に縁のある馬である

*18 1位はディープインパクトの123、同率2位がキタサンブラックとフィエールマン

*19 ただし前評判で大外からハナを奪いに来るタイトルホルダーとハナの奪い合いをすると予想された競走馬は誰もタイトルホルダーには追走せず、隊列が形成されるまでの時間もあったのでタイトルホルダーを誰もマークしていない時点で勝敗は決していたともいえる、マークされなかった点も日経賞では今までハナを奪えたディープ記念・菊花賞では快勝していたタイトルホルダーには珍しく辛勝だったことで対象から外れていたとも予想できる

*20 ちなみにシルヴァーソニックはゴール後外ラチに激突、背面飛びのように向こう側に転倒し、もがいた後に動かなくなってしまった。そのことから観客に心配されていたが、単にビックリして失神していただけらしく、その後何事もなかったかのように起き上がり、スタッフに連れられ馬運車に乗って去っていった。怪我も外ラチにぶつかった際に生じた擦過傷だけで歩様にも問題はなく、トレセンでの触診でも異常なしと診断されている。

*21 その後目黒記念を目標にしていたが追い切り後に歩様が乱れが見られたため出走回避、検査すると左前脚副管骨に骨膜が出ていることが判明し全治3か月以上の休養を余儀なくされている

*22 1971年のメジロムサシ

*23 1996年のサクラローレル、2004年のイングランディーレ、2015年のゴールドシップ

*24 皐月賞馬エフフォーリアは21年天皇賞・秋と有馬記念、ダービー馬シャフリヤールは22年ドバイシーマクラシックで勝利

*25 エフフォーリア、シャフリヤール、タイトルホルダーの頭文字及び英語で最上級を接尾辞のダブルミーニング

*26 ただしタイトルホルダーはいつも通り好スタートを決め一時はハナを奪っており、パンサラッサがハナを奪うまではかなりの時間を要した

*27 それ以前でもタマモクロス・イナリワン・ビワハヤヒデ・テイエムオペラオー・ヒシミラクル以来の7頭目