剛力闘士ダーゴン

登録日:2022/01/15 Sat 05:02:34
更新日:2025/07/05 Sat 23:29:01
所要時間:約 10 分で読めます





久し振りだな……我が好敵手、トリガー!!


「剛力闘士ダーゴン」とは、特撮テレビドラマ『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』に登場する敵キャラクターである。

CV:真木駿一
SA:桑原義樹


【データ】

身長:62m (地球人サイズまで縮小可能)
体重:6万8千t (〃)

【概要】

本作のメイン敵役である闇の巨人の一人であり、第2話から登場。

赤と黒、銀を基調とし、強固な鎧を身に纏ったかのような屈強な巨人戦士。実際に鎧を纏っているらしく、動くたびに「ガチャガチャ」と音が鳴る。
ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』における剛力戦士 ダーラムに相当し、デザイン上、原典よりも一回りゴツい。
頭はまるで鎧兜のようにも見えるデザインで、歯軋りしたの顔の様に見える。顔が某昭和ロボットアニメの主人公機にそっくり

とある惑星で何故か上半身が地面に埋もれたままの状態で封印されていたが、カルミラに叩き起こされる形で復活した。
封印直前にウルトラヘッドクラッシャーでも受けたのだろうか?


【人物像】

一人称「我」で、武士を思わせるどこか時代がかった固い口調で話す。
粗暴で粗野な性格かつ生粋の戦闘狂であり、ウルトラマントリガー「我が好敵手」と呼び自身のライバルとして認めていると同時に、その戦いを渇望している。

トリガーをおびき寄せる為に町で破壊活動を行う等、戦うためなら手段を選ばないが、いざ戦いとなったら卑怯な戦い方を嫌い相手との互角の勝負を望む等、正々堂々とした武人肌気質でもある。

初登場時はギマイラとの戦いで疲弊したトリガーに襲い掛かって戦闘開始するという、傍目から見れば弱っている相手に追い討ちしているような形となったが、ダーゴンの性格を考えると、単純に現れたタイミングが最悪だっただけで、弱みにつけ込むようなつもりはなかったと思われる。点滅しているカラータイマーの意味を知らなかったのか、それともテンション上がりすぎだったのか…
実際、初戦でトリガーが力尽きて変身が解除された際には一旦引き下がり、トリガーが回復した頃に再戦を挑んでいる。

戦いの為に強さを求め、強者を尊び弱者を嫌う一方で、それまで見下していた相手であろうと、自分とは違う強さを持っているのならばそれを素直に認める等、人間を心底見下しているカルミラや弱者を弄ぶヒュドラムと比べると、人格的には優れていると言えるだろう。
また、一見すると脳筋キャラだが、他の2人がキレやすい上にキレると何をしでかすか分からない危険な性格であり、ダーゴンはそんな2人の抑え役を意識した立ち回りが目立つため、相対的に見れば3巨人の中で最も冷静で常識人なのはダーゴンである。
他の2人の場合、予期せぬ事態が生じると頭に血が上ってしまい、特にヒュドラムは普段の(一見)紳士的な言動がのように暴力的になるが、ダーゴンは頭に血が上るどころか、予想を超えてきた相手の心意気に感心するなど、ある意味冷静ですらある。

加えて、意外にも闇の巨人の中でも最も繋がりや団結を重視しており、後述の出来事からユナ関連で単独行動を行う事こそあるが、それ以外の行動原理は基本的に自分だけでなくカルミラやヒュドラムも含めた「闇の一族」の悲願達成の為に収束される。人間の強さを理解しようとした理由も、敵を知ることが自分達の勝利への道筋だと考えている為である。
その為、先述の通り仲間の救援に駆け付けた他にも、他の2人が仲間割れを起こした際にはすぐに止めに入る等、仲間意識は闇の巨人の中でも最も強い。

ちなみに初登場回の再戦以外トリガーと1対1で最後まで戦い抜いた事はないが、これは仲間や怪獣と共に数的優位を取った上で戦いを挑んでいる…という訳ではなく、「乱戦状態で窮地に陥った仲間を助ける」「頭に血が上りすぎて冷静さを失った仲間を制止する」等々でやむを得ず戦いに乱入するというシチュエーションが多いためだったりする。
第17話に至っては手負いかつ圧倒的不利な状況でも無理して戦おうとしたカルミラを制止するためだけに姿を見せており、カルミラを退かせた後は自身もそのまま撤退している。
このときダーゴン自身は戦えるであろう状況だったが、トリガーが明らかに疲弊していたため、一切の興味を示さなかった。
一族の悲願達成という目的も優先しているため、なかなか決闘を申し込む暇がないという事情もある。

このうように戦闘狂でありながら冷静で仲間思いのダーゴンであるが、その一方で当初は戦い以外の録な知識を持っていなかったこともあり、そのせいで力加減ができなかったり、酷い勘違いをしてしまったりで周囲を振り回す等の天然ボケをかます事も多々あった。

このような性格故に、最終的には人間達のことを「強き心を持った存在」だと理解するに至った一方で、邪魔をし続けるケンゴやユナへの憎悪に囚われ、本来の目的を見失って暴走するカルミラや、仲間を見限って自分一人が支配者になろうとするヒュドラムとで足並みが合わなくなり、実質的な空中分解に陥ったことについて、「奴等は互いに助け合い、ますます強くなる。翻って我々は……闇の一族は……」と、何も成長していないことを嘆くに至っている。
つくづく苦労が絶えない気の毒な人である。


【戦闘能力】

『剛力闘士』の異名の通りに怪力自慢の戦い方を好むパワーファイターで、着地しただけで地面にクレーターができ、着地点が大惨事になるほど。
他にも少し力を入れて地団駄を踏んだだけでも地震が起こってしまう他、巨大なザラガスを等身大のまま右手の人差し指だけで支えて軽々放り投げる等、その怪力は最早測定不能レベル。

特殊技も積極的に使うカルミラ達とは対照的に、ファイアビートクラッシャー以外の遠距離技は持っておらず、自身の性格も合わさってその頑強な肉体を活かした肉弾戦を好む。
その実力も、ギマイラ戦で消耗していたとは言え、トリガーマルチタイプを完封し、パワータイプとも互角に立ち回ることができる程。

また、バトルモードのナースデッセイ号が放つ「マキシマナースキャノン」を、防御の構えをとった上でだが悠々と耐え凌ぐほどの防御力も持つ。

使用技

  • ファイアビートクラッシャー
一度腕を組んだ状態から右斜めの直線を描くようにして腕にエネルギーをチャージ。
その腕で地面を叩き、敵に向かって直進する火柱を発生させる。
動きはまんまダーラムのファイアマグナム。


【真の強さを知った誇り高き闘士を待つ結末】

第5話でユザレの覚醒を促す目的でユナを追いかけた際に、彼女から不意打ち気味のビンタと共に「人間は…貴方達なんかに負けない!絶対に!」と啖呵を切られて以降、何か思うところがあるのか、一人で何か思いふけるような態度が増え始め、第10話「揺れるココロ」の出来事を機に人間の強さの本質について関心を抱くようになった。

また、この時にユナとアキトを助けたことから、彼らとは敵対しながらも一種の信頼関係が生まれていった。
特にユナの扱いは徐々に変わって行っており、最初は単なる「ユザレの末裔」という認識だったものが、最終的に「ユナ」個人として認識するに至っている。
それ以外の人物を個人名で呼んだことこそないものの、ケンゴのことはトリガーの人間態として、アキトはユナとの関係から「好敵手」として扱うなど、単なる人間という異種族ではなく個人として認識している。

その後もトリガーやGUTS-SELECTとの戦いを経て人間の持つ強さをより間近で感じて行くようになり、時にはそれによってケンゴ達の窮地を救ったこともあった。
そして、それに伴って尚のこと自分達が一つの意思と目的の下に団結することの大切さを感じ始めるが、部外者の介入を境に、カルミラやヒュドラムの腹の内が明らかになったことでチームワークの瓦解が進み、更には第22話にてヒュドラムの離反を許してしまっただけでなく、カルミラはそんなヒュドラムを手に掛けてしまう。


そして第23話。
当初の目的を忘れて暴走するだけでなく、仲間すらも踏み台にする様に流石のダーゴンも愛想を尽かし*1「最早お前にはついていけん」と彼女の元を去ろうとするが、カルミラは嘗てトリガーダークを蘇らせた時のように、ダーゴンに闇の力を注いで洗脳。エタニティ・コアへ辿り着く為の捨て駒に仕立て上げてしまう。
闇怪獣の如く真っ赤な目をしたダーゴンは意思を封じられ、町中に送り込まれると無差別に暴れ始め、止めに入ったトリガーと交戦になる。
アキトの呼びかけにも応じずトリガーを圧倒するが、自身のファイアビートクラッシャーの余波で吹っ飛ばされたユナを見るとどうにか正気を取り戻し、彼女を救った。

等身大になり、ケンゴ・アキト・ユナと相対したダーゴンは、彼らとの戦いを経て、他者を守ろうとする思いによって生み出される人間の強さ…自分達闇の一族に持ち合わせていない強さに惹かれていることを明かした。
そんなダーゴンにアキトやケンゴは、「だったらもっと人間のことを知ったらどうだ」「皆が笑顔になれる未来の為に、今度は仲間として一緒に戦おう」と手を差し伸べ、ユナもそれを頼んだ。

そんな彼らの懐の深さに感服するダーゴンだが、その前に今までのケジメを付けるべく、3000万年前からの好敵手であるトリガー=ケンゴに決闘を申し込んだ。

その日の夕方。
アキトがタツミ隊長を説得したことで決闘の場も用意され、ダーゴンはトリガーと対峙する。


全力で来い、トリガー!

勿論だ…いくよダーゴン!


トリガーもグリッタートリガーエタニティに変身すると、遂に真剣勝負が幕を開けた。


決着をつけるぞ。いざ尋常に…勝負!


お互いの肉体で激しく殴り合う両者だが、カルミラは彼らの覚悟を嘲笑うかのようにダーゴンに込めた闇を増幅させ、再び洗脳下に置いてしまう。


我が最後の願いすらも、踏みにじるというのか!カルミラァァァ!

分かってるだろ?あんたの役目は…。


悲痛な叫びも虚しくまたも暴走するダーゴンは、ファイアビートクラッシャーでグリッタートリガーエタニティを吹き飛ばすと、駆け付けたガッツファルコンも容易に蹴散らしてユナに襲い掛かってしまう。
しかし、ギリギリのところで自身の腕を抑え込むダーゴン。
必死に闇を抑え込みながら、ダーゴンはトリガーやGUTS-SELECTに最後の頼みを託すのであった。


カルミラ…貴様の好きには…させん!!

…ダーゴン!

ユナ…逃げろ!これ以上は…抑え…きれ…!!


トリガー!そして、強き人間達よ…我を…
カルミラに操られた我を止めるのだ!
我の、誇りの為に…我に、本当の強さを教えたユナを…我が剛力で傷つけない為に…!

しかし、限界を迎えると彼の意思はまた無くなってしまった。
ユナに迫るダーゴンを止めようとするグリッタートリガーエタニティだが、またしてもカルミラが妨害に入り、彼に近づくこともできない。

その間にも、暴走を続けるダーゴンは体から光弾を撒き散らし、ユナを吹っ飛ばしてしまう。



お前も…ユナを守りたいんだな。

そんなダーゴンの思いを汲み取ったアキトは、厳重に保管されていたウルトラマンリブットのガッツハイパーキーを取り出すと、タツミ隊長の許可の下、ダーゴンとの決着をつける為、何より、彼の願いを叶えるべく、バトルモードとなったナースデッセイ号のコントローラーにガッツスパークレンスとリブットキーを装填する。


俺もお前と同じだ。ユナを守る!


マキシマギャラクシウムの体勢に入ったナースデッセイ号は、七色の光を浴びながらダーゴンに体当たりする。


我が願い…叶えてくれるか…。

ダーゴン…!


我が好敵手!うおおおおおおお!!!


そして、アキトが引き金を引くと、そのままナースデッセイ号はダーゴンの体を貫いた。
直後、まるで呪縛から解き放たれるかのように、その体からは闇が噴き出ていった。


マイフレエエエエエンド!!!


そうして、ダーゴンは爆発に消えた。


何が、マイフレンドだ……うざいんだよ…。


普段の平静さを保とうと、素っ気なく呟くアキトだが、その声は震え、どこかやりきれない表情に満ちていた。


戦いに生き、強さを求め続けた誇り高き武人・ダーゴン。
その最期の言葉は、誇りを踏みにじったカルミラへの憎悪でも、好敵手たるトリガーと決着を付けられなかったことへの悔恨でもなく、新たに出会い、戦う中で新たな仲間と認めたアキトに最期の願いを叶えてくれたことへの喜びと賛辞だった。

かくして、アキトの介錯によってその魂を「救済」されたダーゴン。
しかし、カルミラは「人間に歩み寄った奴の炎は最悪の味だよ」と吐き捨ててその闇を吸収
こうして自身も含めて3人分の闇の力を手に入れたカルミラは、エタニティ・コアの力さえも我が物とし、最凶最悪の邪神へと変貌するのだった…。


【余談】

  • その苦労人っぽさやどこか抜けた言動、見かけによらぬ常識人ぶりから視聴者の中には「ダーゴン"さん"」と「さん」付けで呼ぶ人も多く、『トリガー』の登場人物の中では屈指の人気を誇り*2、彼がケンゴ達の味方につくことを望む声は非常に多かった。
    そんなダーゴンの退場回となった23話放送終了後は、所謂「ダーゴンロス」に陥る視聴者が多く、「#存在したいダーゴンさん回」や「#仲間になったダーゴンにありがちなこと」と言ったハッシュタグを付けてダーゴンがケンゴ達と仲良くやっている姿を妄想する人も少なくなかった。





その通り!追記・修正を重ねれば強くなる!


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最終更新:2025年07月05日 23:29

*1 ヒュドラムが粛清されたこと自体は因果応報の結末であり、和解して再び闇の一族として手を取り合えたかとなるとまた難しい話になるが、少なくとも仲間を平然と手に掛けるようなカルミラと一緒にやっていけないと思うのは極めて常識的な感覚であり、冷静なダーゴンがそう思うのも無理はない。

*2 怪獣酒場にダーゴンが登場すると発表されると予約希望者が殺到し、わずか5分で予約満席となって受付が終了するほどである。Amazonサイト内でバンダイが公式販売を行うソフビも人気が非常に高い。