ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY

登録日:2011/09/23 Fri 02:49:16
更新日:2025/04/16 Wed 23:13:49
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光か 闇か!?

3000万年ティガ伝説、


ついに完結!!



ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』は、TVシリーズ『ウルトラマンティガ』の劇場版として2000年3月11日にソニー・ピクチャーズエンタテインメントによって公開された劇場作品。



【概要】

ウルトラマンティガ』放送後から3年の月日を経て公開された、待望の『ティガ』単独の劇場版作品。
『ティガ』の劇場版を望む声はTVシリーズ放送時から多くあったそうだが、当時は『ウルトラマンゼアス2』が公開されていたこと、
そしてダイゴ演じる長野博氏のスケジュールを確保できなかった事もあってなかなか機会を得ることが出来ず、
結果として『ウルトラマンガイア』放送終了後のある程度落ち着いた時期に制作・公開の目処が立つこととなった。

時系列的に『ティガ』の後日談かつ『ウルトラマンダイナ』の前日談にあたり、
ティガのTVシリーズでは語られなかった部分を補完しつつ、ダイナ最終章に大きく関わる『F計画』についても語られている。
脚本はTVシリーズにも参加していた長谷川圭一氏。

しかし、登場人物の性格が改変されているように見受けられる所がある点や、本編で断片的に語られた設定との矛盾点があることの他、
ストーリーも主人公たちの三角関係を軸とした昼ドラ的な愛憎劇になっていることから、一部に批判されている。
TVシリーズの実質的なメインライターだった小中千昭氏は、本作について「好きな人はいると思うし存在自体は否定しないが自分は正当な続編とは思っていない」と述べており*1
氏が後年「TDGプロジェクト」の一環として執筆した『ティガ』のノベライズにも本作に繋がる要素はほとんど盛り込まれていない。

だが、平成三部作で培ってきた映像技術や三体の闇の巨人、ティガの過去などの見所や、
TVシリーズ最終回の最後の展開を好まない等の理由で高く評価する人も多く、評価は人によってまちまちである。
良くも悪くも平成三部作で培ったものの集大成なので、あの頃のティガと違うのは確かではあり、長谷川氏もそれに近いことは言及している。

尚、超古代文明滅亡の原因がTVシリーズで説明されていた事と異なる点に関しては、
長谷川氏によると番組開始直後の早い段階から考えられていた設定であり、TVシリーズで説明されていた方はあくまで副次的な理由のひとつとのこと。
ただし、あくまで「自分の中ではずっとそうだった」と断っているため、番組全体の設定として確立していたものではない模様。
長谷川氏の中ではTVシリーズで語られたギジェラ出現含めた様々な要因が重なった上で、最終的に今作で語られる滅亡を迎えたという事らしい。

余談だが、前2作(ゼアスシリーズも含めれば4作)と異なり、単品で上映された。(これは次回作も同様)
とはいえ、本編ではゼアスシリーズの併映を務めていたアニメ『ウルトラニャン』も着ぐるみでカメオ出演している。

本作のキャラクターなどは、後に『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』のモチーフとなった。


【ストーリー】

グリッターティガガタノゾーアを倒してから2年後。突如、超古代遺跡・ルルイエが浮上し、TPCは調査に乗り出す。
GUTS隊長のイルマを含む調査隊は、遺跡内から三体の巨人像を発見。
かつてのティガの石像のように、これも『光の巨人』の石像だと喜び勇む調査隊だったが、その禍々しい気配を感じ取ったイルマはこれは封じておくべきと主張する。
しかし、調査隊は巨人像を運び出そうと作業を開始。

すると突如巨人達が復活、調査隊を襲い始める。
石像は『闇の巨人』だったのである。

そして、調査隊が消息を絶ってしばらくし、ダイゴの前に謎の女が現れ……





【登場人物】

GUTS&スーパーGUTS

マドカ・ダイゴウルトラマンティガ(演:長野博(V6))
ご存知我らが主人公。
ティガの光を受け継いだ者。
ティガとしての戦いを終え、レナと結婚間近だった。
突如出現した闇の巨人達と戦うため、彼らから渡された黒いスパークレンスでティガに変身するが……
本作での一人称は一貫して『僕』。

●ヤナセ・レナ(演:吉本多香美)
ダイゴともうすぐ結婚する予定。
闇の巨人の復活により一人決戦に向かうダイゴを見送った後、GUTSとして自分も決戦に向かう。

●イルマ・メグミ(演:高木澪)
今作によってユザレとの関係が明らかにされる。

ムナカタ・セイイチ(演:大滝明利)
隊長がルルイエに向かう際にある物を渡す。

シンジョウ・テツオ(演:影丸茂樹)
今回は撃墜されないがスーパーGUTSの登場もあり、あまり目立ってない気がする。
妹のマユミ(演:石橋けい)も出るよ!

ホリイ・マサミ(演:増田由紀夫)
シビトゾイガーに襲われるが、間一髪シンジョウに救われる。
「人間舐めたらあかんで~!」

●ヤズミ・ジュン(演:古屋暢一)
ダイゴとレナのキスシーンを妨害する。


●ヒビキ・ゴウスケ(演:木之元亮)
養成機関ZERO教官で、気合と根性をモットーとしている。
アートデッセイ号の窮地に後述する訓練生を引き連れて応援に駆け付ける。
敬礼ポーズは、もちろん訓練生ともどもサムズアップ

●コウダ・トシユキ(演:布川敏和)
●ユミムラ・リョウ(演:斎藤りさ)
●カリヤ・コウヘイ(演:加瀬尊朗)
そんなヒビキの訓練生で、いずれも後のスーパーGUTSの隊員。

●ナカジマ・ツトム(演:小野寺丈)
TPCの研究スタッフで、ティガダーク変身後ルルイエから巻き起こった『闇』の現象を分析していた。
彼もまた後のスーパーGUTS隊員となる。

ミドリカワ・マイ(演:山田まりや)
都内で起こった『闇』をクラスメートと共に呆然と見上げていた。
この頃はまだ女子高生。

アスカ・シンウルトラマンダイナ(演:つるの剛士)
新たなる光を継ぐ者。
『頑張れよ。後輩』


TPC

●サワイ・ソウイチロウ(演:川地民夫)
ご存じTPC最高責任者。
ルルイエ内に拉致されているイルマの身を案じ、救出に向かうGUTSにすべてを託す。

●ナグモ(演:小西博之)
今回の事件の発端である警務局副長官。
ティガ消失後、ウルトラマンを科学的に研究し新たな地球防衛の戦力にする『F計画』を提唱した。
見ての通りバリバリのタカ派であり、「多少の犠牲を払ってでも我々は前に進むべき」という思想を持った超危険人物。
案の定、今回の事件収束後には責任を取らされて失脚しただけでなく、「F計画」の危険性も露見して逮捕されたようである。

●サエキ(演:加納竜)
そんなナグモの命を受け、貧乏くじを引いてルルイエ特別調査隊のリーダーとなったTPC隊員。みんなのトラウマでもある。
地味に妹がダイナ最終章で登場、彼女も『F計画』に関わることになる。


●超古代の巨人達

光を受け継いだ超古代の戦士の成れの果て。
多数存在し数多の脅威から地球を守っていたようだが、怪獣をあらかた倒したところで何らかの理由で巨人同士で戦い始めてしまい、結果として滅びてしまった。

よく見るとエース80グレートパワードアグルに似た者がいるが、関連書籍でもあくまでも「そっくりさん」扱いである。

巨人同士の戦闘場面ではウルトラマンダイナに酷似した巨人も確認できる。
(メタ的にはダイナの各タイプのスーツに装飾を付けて改造したもの)
これらの巨人が第1話でゴルザメルバに破壊された石像の一体の可能性もあるが、やはり詳細は不明。


【ウルトラマン】

ウルトラマンティガ(ティガダーク(SA:長谷川恵司)
ダイゴが黒いスパークレンスで変身した黒いティガ。
『闇の巨人』の中でも最強クラスの実力を有するそうだが、心が光であり、闇の力を否定するダイゴが変身したため、
十全にその力を発揮することが出来ず、また、光線技も(ティガダークの状態では)使用していない。
しかし、復活した『闇の巨人』達との戦いで彼らの力を光に変換して取り込んでいき、最後にはレナの愛の力でマルチタイプの力を取り戻した。
カミーラの言によると、三千万年前にティガダーク本人も同じ方法で『光の巨人』となったという。

ウルトラマンティガ(ティガトルネード(SA:中村浩二)
ティガダークが、剛力戦士ダーラムの必殺技「ファイアマグナム」を光の力に変換して取り込みチェンジした姿。
ティガダークの一部(マルチタイプの赤色の部分)が赤く染まっており、本来のティガのパワータイプに相当する形態。
「デラシウム光流」も使用できるが、完全に光の力を取り戻したわけではないため、パワータイプほどの能力は発揮できない。

ウルトラマンティガ(ティガブラスト(SA:権藤俊輔)
ティガトルネードが、俊敏戦士ヒドラの必殺技「ヒューガスト」を光の力に変換して取り込みチェンジした姿。
カラーリングはほとんどマルチタイプと同じになっているが、顔やプロテクターのライン等の一部が未だティガダーク同様に黒銀である。
本来のティガのスカイタイプに相当する形態で、「ランバルト光弾」を必殺技とするが、トルネード同様にその力はスカイタイプには及ばない。


【敵】

闇の巨人

三千万年前、ティガと共に超古代文明を滅ぼした三体の巨人。
強大な闇の力を持つが、闇を捨て光の巨人となったティガによって力を奪われ石像の姿になり、三千万年の間ルルイエに封印されていた。
世界を再び闇で覆い尽くそうとするもののユザレの結界でルルイエから百年間出られなくなってしまったため、
その封印を破ろうとティガの力を受け継ぐダイゴと接触、彼を仲間に引き入れようとする。
ちなみに三人とも巨人と人間、二つの姿を持っている。

剛力戦士 ダーラム(演:松田優/SA:中村浩二)
赤いボディが特徴の巨人。
粗暴で寡黙な性格。パワー任せの格闘戦が得意。巨人態・人間態ともにガチムチの巨漢で、人間態でも片手でダイゴを持ち上げたりする腕力の持ち主。
ダイゴ=ティガの事を「マイフレンド」と呼んでいたので、かつては仲が良かったのかもしれない。
ルルイエの海中遺跡にティガを引きずり込み追いつめたが、自身の力を吸収したティガトルネードのデラシウム光流により粉砕。

俊敏戦士 ヒュドラ(演:婆裟羅天明/SA:権藤俊輔)
青いボディが特徴の巨人。
冷酷で残忍な性格で、人間態は出る作品を間違えた風貌のモヒカン。素早い攻撃と空中殺法が得意で左腕の鉤爪から強力な光弾や突風を放つ。
劇中の言動を見る限り、ほかの二人と違ってあまりティガにはいい感情を持っていない様子。
まぁ、裏切られた相手に友好的に接する事ができる方がすごいので真っ当な反応ではあるのだが。
「夢幻空間ルマージョン」にティガを引きずりこみ圧倒するが、ティガブラストのランバルト光弾により粉砕。
コンドル怪人ではない。

愛憎戦士 カミーラ(演:芳本美代子/SA:梛野素子)
金と銀のボディが特徴の女性型巨人。
ヤンデレでかつての恋人であるティガに対する執着はすさまじい。
ティガを甦らせるべくダイゴに闇のスパークレンスを渡すが、彼が光の心を持ったまま変身したため敵対。
二人の巨人が倒された為、自ら金色のスパークレンスを使い変身しティガと戦う。
右腕からは状に変化する光刃を生成、ティガを滅多打ちにする。
しかし、レナとの愛によって完全に光を取り戻したティガに対し憎しみが頂点に達する。
やがて倒されたはずのガタノゾーアの怨念と融合、そして……


「あれが……、……」


怪獣

闇黒魔超獣 デモンゾーア
カミーラとガタノゾーアの怨念が融合した姿。闇という概念そのもの。圧倒的強さを誇り、一度はティガに完勝する。
しかし、朽ち果てた巨人達の光によりティガがグリッターティガとなって復活し、ティガのゼラデスビームを受け消滅した。
ちなみに「超獣」と名乗ってはいるが単に「怪獣を超えた存在」という意味であり、ヤプール云々とは関係ない。

超古代怨霊翼獣 シビトゾイガー
小型のゾイガー
人間を喰い、その人間に化ける事が可能。
劇場に来た観客のトラウマでもあり、その犠牲者の中にはダイナ最終章で登場した彼女の……

超古代怪獣 ゴルザ
回想シーンで少しだけ登場。よくみると強化版。



【超古代文明の滅亡の真実】

本編ではユザレがダイゴの夢の中で語りかける描写しかなかったが、パンフレットの「光と闇3000万年の戦い」というページで設定を知ることができる。
ただし、この設定も本編の脚本を執筆した長谷川圭一氏であるため、TVシリーズ本編で語られた設定と若干矛盾が生じる。

以下、パンフレットより引用。

栄華を誇っていた超古代の都。そこは理想郷(ユートピア)であり、人々は未来永劫の幸福を信じ、何の不安も苦しみもなく日々を生きた。
そこへある日、いずこより「闇」が来訪した。「闇」は恐ろしい怪獣たちを生み出し、都市を破壊、人々に恐怖と絶望を与えた。
しかし、超古代の人々の前に「光」が降臨した。「光」は戦士たちを選び、戦士たちと同化することで光の巨人へと変身する。
「光」は、人々に勇気と希望を与えていった。そして、戦う力も。光の巨人たちは、怪獣を次々と倒すのだった。

この記述からもわかるようにティガを含む石像の巨人は超古代に現れた光に授けられて変身した巨人

だが、光の巨人となった戦士のうち、4人が人の心に潜む「闇」により闇の巨人へと変貌した。
そして、すべての文明を破壊するために進撃する。
光の巨人は闇の巨人に立ち向かったが、その余りにも強力なパワーの前には成すすべもなかった。次々と滅ぼされていく文明都市。
次々と崩れ去っていく光の巨人たち。もはや超古代の地球には、混乱しかなかった。超古代文明は、ルルイエにわずかな痕跡を残すのみとなる。
しかし4巨人のうち、ダーク(ティガ)が正義の心と光の巨人の姿を取り戻し、闇の3巨人に戦いを挑み、勝利する。
生き残った光の巨人は闇の巨人を封印し、未来の人類に希望を託してその力を人の遺伝子の奥に刷り込んで永い眠りについた。
再び同じ悲劇が繰り返さないことを願って……。

要は「光」(誕生)→「闇」(古代文明滅亡まで)→「光」(TVシリーズ)→「闇」(劇場版序盤)→「光」(劇場版ラスト)と変わるのだが、
TV本編での描写が皆無に近かったたので、「ティガは元々闇の戦士であり、ティガダークこそが本来の姿」という誤解を多くのファンや書籍などの資料に残す事になってしまった……。

カミーラ達の「光」はガイア/アグルのような変身者に一任するタイプだったとすれば、融合した人間に精神が引っ張られる情けない巨人になるが、
TVシリーズでデシモ星系人やユザレやヌークらの発言から、「光」は宇宙へと旅立ち、地球に残された肉体に融合できる変身者が巨人に変身したという解釈も成り立つ。

つまり、初代ティガは宇宙に旅立った「光」そのもので、ティガダークへの変貌はマサキ・ケイゴのように闇堕ちした二代目以降の変身者。
「闇」が生んだ怪獣やら魔神やらの危機的状況を脱した古代人に力(肉体)を託して、「光」の精神は宇宙へ旅立ったとすれば、闇の巨人が跋扈する地球を放置していったとするよりはおさまりがいい。

……なんにせよ、ダイゴがカミーラの元カレのとばっちり受けたことに変わりはないだろう。







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最終更新:2025年04月16日 23:13

*1 2018年発売の書籍「平成特撮の夜明け」におけるインタビューでの発言。