村上峡児/ローズオルフェノク

登録日:2022/04/20 Wed 01:41:00
更新日:2024/01/12 Fri 23:07:50
所要時間:約 10 分で読めます






ただ、これだけは言えます。
人は泣きながら生まれてくる。これはどうしようもない事だ。

だが、死ぬ時に泣くか笑うかは本人次第だ。


村上(むらかみ)峡児(きょうじ)とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダー555』の登場人物。
ここでは彼が変化するローズオルフェノクについても記載する。

演:村井克行




【概要】

初登場は第9話。
巨大企業スマートブレインを束ねる若き2代目社長。年齢は35歳。
前社長である花形の後任に当たるが、元々は社長代理に過ぎず、裏で社長就任に至るまで強引な手を使ったため、彼を快く思っていない社員も多い。
当初はオルフェノクと敵対しているかのような言動を見せたが、実は自身もオルフェノクであり、そもそも彼こそがスマートブレイン側のオルフェノク達の元締め。
ファイズギア・カイザギア・デルタギアの「3本のベルト」を用いてオルフェノクの地位の確立と人類根絶を目論んでいる。
その他にも直属の私兵として、強力なオルフェノクの4人組「ラッキークローバー」を従えている。

愛車はホンダ・インスパイアだが、折り畳み自転車を使った自転車通勤をする事もある(その時はしっかりヘルメットを着用する)。
「バー・クローバー」での定番の注文はスコッチ
ラッキークローバーのメンバーである影山冴子からは「村上くん」琢磨逸郎からは「村上さん」と呼ばれていた。


【人物像】

一人称は「私」
非常に紳士的で礼儀正しい理知的な性格で、常に穏やかな笑顔を浮かべながら冷静沈着な態度を取り、社長らしく実益を見据えて利益最優先で行動する方針を持つ。
そのため、優秀な人材であるならばたとえこれまでスマートブレインに多大な被害を与えてきた敵ですら、己の利益になると見込んで己の部下に勧誘する度量の深さを持つ。
ただし度量が深すぎるためか、彼の判断に対してラッキークローバーの面々から反感を買う場合もある。

しかし、その本性は割と神経質かつ激情家な一面があるプライドの高い冷徹な性格。
予期せぬ裏切りや侮辱を味わった際は紳士の仮面が外れ、激昂する場面も多い。
他にも社内で平然と居眠りする癖に眠っているところを無理矢理起こされる事を最も嫌い、会議中だろうと居眠り中に起こされると内心でマジギレする大人げない面も見せた。

また他人を「上の上~下の下」とランク付けのように9段階評価する独特のセンスの持ち主。
ちなみにあまりに自身をイラつかせ、失望させた場合は「下の下以下」という「下の下」を更に下回るランク付けを行うが、流石にそのレベルの評価を下す相手は、反対派に雇われた暴漢達に対する1回だけだった。


オルフェノク至上主義

彼を語る上での最大の特徴。
彼の根底にある価値観は生粋のオルフェノク至上主義と言わんばかりの選民思想であり、同胞であるオルフェノクに対する仲間意識は非常に強い。
一方で選民思想に凝り固まっている関係から人間という存在を一方的に見下し、敵視している。

更に「上の上たるオルフェノクは人間の心を捨てなくてはならない」という持論からオルフェノクが人を積極的に襲って使徒再生を行う事を奨励し、人を襲わずに人間として生きようとするオルフェノクの存在を「裏切り者」と称し、認めていない。
己の中のオルフェノクの理想像を体現するラッキークローバーの面々を「上の上ですね」とにこやかに讃え、彼らの失敗や醜態も許容する程に寛容だが、
力あるオルフェノクであっても人間を襲う事を頑なに拒絶する場合は「下の下ですね…」と冷たい口調で辛辣な評価を下す程、その信念は徹底している。

そして新人オルフェノクにはスマートレディや「教育係」を担当するスマートブレインに従うオルフェノクを差し向けて、
「いかにオルフェノクは人間より優れているか」「オルフェノクは人間を襲って仲間を増やし、人類を滅ぼすのが使命」といった洗脳じみた教育プランを構築し、人の心を捨てて人間を襲うよう誘導。
それでも人を襲わない場合は刺客を送り込むなどして脅迫を行い、最終的にはラッキークローバーを送り込んでの抹殺も辞さないエゴイストの顔を持つ。
同様に重大な失態を犯した配下のオルフェノクに関しても、時と場合によってはラッキークローバーに命じて抹殺を指示する冷徹さも備えている。

ちなみにこのような考えを持つに至った理由だが、第43話にて木場勇治乾巧に対して、


人類というのは、閉鎖的な―――差別的な生き物です。それは歴史を見れば明らかでしょう。
人間を襲うというのは、我々が滅ぼされない為の…言わば自衛手段なんです。

勝手に決めんな、そんな事!俺達だって同じ人間じゃねえかよ?

……“同じ、人間”……。以前は私も、あなた方と同じように思っていました。
だが、普通の人間は、我々を人間とは認めないでしょう……。
これから、あなた方が受ける迫害を思うと……


と語っていた事から、詳細は不明ながらも過去に人間から差別されてきた事が示唆されている。
とはいえ、これまでのスマートブレインや自らの行動から巧には「あんな奴信用出来るわけないだろうが」と断じられ、信じてもらえなかった。


【ローズオルフェノク】



どういうつもりです?デルタギアを自分から手放すとは……。

……

どうしました?何か思惑があるのなら、教えて下さい。

……別に。

……ふざけるな!


ラッキークローバーの新メンバーとして、私はあなたに多大な期待を寄せていた…。
そんな私を裏切るなど、ただでは済みませんよ…!

データ

身長 212cm
体重 127kg
パンチ力 2.5t
キック力 4t
種族 オルフェノク
モチーフ 薔薇
特色・力 念動力を使った攻撃
テレポーテーション
蔦状の光輪や
クリーチャーデザイン 篠原保
登場回 第33話「真理、死す」~第47話「王の出現」

村上が変化する、薔薇の特質を備えたオルフェノク。
純白に近いグレーの身体に青白く発光する白いバラの花束のような物体が透けて見える頭部など、オルフェノクの中でも異質でスタイリッシュな風貌が特徴。

その実力はスマートブレインの頂点に立つオルフェノクに相応しく、ラッキークローバーの面々にも劣らない劇中屈指の実力の持ち主。
他のオルフェノクのように固有武器の類こそ持っていないが、代わりに特殊能力に優れており、
  • 青いエネルギー波のような念動力で相手を触れずに吹き飛ばす
  • 額から触れると爆発を起こす大量のバラの花びらを撒き散らす
  • バラの花びらを撒き散らして短距離の瞬間移動
など多彩な技を駆使して戦う。また劇中では使われなかったが、設定上は蔦状の光輪や鞭を放つ能力も持っている。
無論肉体面が貧弱なわけでもなく、基本的なファイトスタイルは特殊能力で翻弄した後、強靭な肉体を生かした徒手空拳で殴り倒すという、優雅なようで割と荒っぽい戦法を好む。
強大なオルフェノクの例に漏れず、人間の姿のままでも
  • 自身に触れた物体を青い炎で焼き尽くす
  • 空中浮遊
  • 巨大な青い炎の火球を具現化させて撃ち出す
といった芸当もこなしてみせている。

劇中ではスパイダーオルフェノクを赤子扱いして蹴散らした他(上記のやり取りはその際のもの)、ウルフオルフェノクを圧倒。
終盤では仮面ライダーファイズ仮面ライダーカイザ仮面ライダーデルタの3人を単騎で相手取り、彼らのトリプルライダーキックの直撃を受けても紋章が現れず、よろめきながらも特殊能力を利用して撤退出来る頑強さを見せつけたほど。


【仮面ライダーデルタ】



……変身!

Standing by…Complete.


フフフ……。


第46話の戦闘中にデルタギアを手に入れ、駆け付けた草加雅人中の人が熱望していたので*1対抗するかのようにローズオルフェノクの姿を解いて変身。
元々のポテンシャルもあって、巧が初乗り時に苦労していたジェットスライガーの操縦も難なくこなしてみせた。
デルタの詳細は個別項目を参照。


【末路】

終盤では人類の出方を伺うため「人類のためにオルフェノクを排斥しようと考える人間」としての仮面を被り、警視庁の南雅彦に裏で資金援助を行うなど暗躍。
そんな中、南の情報提供を受けてオルフェノクの死の運命を悟った事で態度を豹変させ、アークオルフェノクの覚醒に執着。
アークオルフェノクに襲われながらもなんとか逃げ出してきたコーラルオルフェノクに対しても「(オルフェノクの王覚醒のために)君は大人しく命を差し出すべきだった」と言い捨てるなど、冷酷な本性を隠さなくなっていく。

そして花形の帰還に伴い、3代目社長として木場が就任し、元々反感を買っていた事もあってスマートブレイン社の役員会議によって呆気なく解任に追い込まれる事態に。
しかし地位を失ってもなお己の夢を棄てられず、「オルフェノクの王を目覚めさせて傀儡にし、社長に返り咲いて己の夢を叶える」という野望のために鈴木照夫を巡って巧達を直接襲撃。
戦闘の中で三原修二から奪ったデルタギアでデルタへの変身を果たし、三原が変身中に呼び寄せていたジェットスライガーをも奪って互角以上に戦っていた。
しかしジェットスライガーはサイドバッシャーの近接攻撃を受けて大破し、デルタへの変身も解除され、三原が再びデルタギアを手にする。
村上は再度ローズオルフェノクの姿となってファイズ、カイザ、デルタの3ライダーと肉弾戦で互角の戦いを繰り広げたが、機を見て放たれた3人の同時ライダーキックをまともに受けてしまう。
動きこそ止まったものの、技が決まった瞬間に現れるはずの紋章が現れない中、自身の特殊能力で真っ赤なバラの花びらを撒き散らしながら3人の追撃をかわし、何とか逃走には成功。
だが、その動きはよろよろとしており、深手を負っている様子は明らかであった。

お前は…!

そして変身が解除された後、弱ったオルフェノクの存在を感知し、捕食しようと現れたアークオルフェノクと遭遇。


……ハハハ……!嬉しいぞ…!

受け取れ…!私の命を!

ハハハハハ……。ハハハハハハハハ……!!


だが、アークオルフェノクの贄にされていった者達とは異なり、彼の内にあったのは人類滅亡とオルフェノク繁栄の礎となれる事への歓喜だった。
満身創痍の彼は自らの意思でアークオルフェノクに生命エネルギーを捧げ、その身を石化される最期を遂げた。

結果として生贄となった者の中でただ一人、微塵も恐怖せず高笑いしながら堂々と己の命をアークオルフェノクに捧げる狂気的な誇り高さと芯の強さを見せつけ、
また奇しくも、冒頭の台詞である「死ぬ時に泣くか笑うかは本人次第」という言葉を自分自身で体現する形での退場となった。
ちなみに亡骸はその後、花形が小突くと同時に灰となって消え去っている。


【『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』では】



我々は人間を襲う事で、彼らをオルフェノクにする事が出来る。

人を襲う事は、『愛』故の行為なのです。

生首だけになり、生命維持装置に繋がれて生き永らえる衝撃的かつシュールな姿で登場。
使徒再生を「『愛』故の行為」と嘯き、その過程で大半の人間が適合出来ずに死ぬ事に対しても「仕方ありませんね。オルフェノクになれない人間など、死んだ方がいい」と断言するなど、冷酷で独善的な性格が全面に押し出されている。
とはいえ、オルフェノクへの仲間意識も健在で、劇中世界で疎まれる羽目になった木場、長田結花海堂直也の3人を自分達と同じ人類廃絶への道に進むよう説得する場面も見られた。

劇中では全人間のオルフェノク化を目論んでコロッセオにて人間解放軍の園田真理をエラスモテリウムオルフェノクの生贄にして処刑する様子を全国放送し、人間側の戦意喪失を図った。
だが、巧が変身したファイズにその作戦を阻止され失敗した挙句、腹心のレオが変身する仮面ライダーサイガ仮面ライダーオーガ、エラスモテリウムオルフェノクをことごとく倒されてしまい、『帝王のベルト』を2本とも喪失。
スマートブレイン社や世界中のオルフェノク達の期待を裏切った全責任を取らされる形で「更に上の立場の者」の命令を受けたスマートレディの手で高圧プレス機にカプセル諸共潰されて圧死。
テレビ本編の誇り高さとは無縁の惨めな最期を迎えた。


残念(ざ~んねん)でした。ごめんなさい社長さん。こういう場合、あなたを処刑するよう上の方から言われてるんです。

何……!?おい!やめろ!!


わぁああああああああああッ!!

なお、桜庭一樹氏による『パラダイス・ロスト』のノベライズ『555』では基本的な立ち位置こそ映像作品と共通するものの、
「更に上の立場の者」の真の目的である「世界の根本的改革」に心酔している風に描かれるなど、映画に比べればまだテレビ本編の誇り高さを少なからず残している。
その結末もファイズによる『帝王のベルト』の喪失すらも肯定的に受け入れ、スマートレディにダストシュートに放り込まれながらも笑い続けるという、映像作品とはまた違った最期となっている。


……そろそろお払い箱かね?

うん。つぎの社長に替えなくちゃね。もう飽きちゃったし
きゃははははっ!


……わはははは!

HERO SAGA』の『555』編「MASKED RIDER 555 EDITION -ロスト・ワールド-」では『パラダイス・ロスト』の前日談が描かれ、自らの使徒再生能力である「青いバラ」を世界中に配布して人類の総オルフェノク化を敢行。
スマートバックルを用いてライオトルーパーver.2に変身し、ファイズ ブラスターフォームとの戦いの末に首を切断され、レオに回収されたとされている。


【余談】

  • ラッキークローバーのメンバーのモチーフがハカイダー四人衆であった事から、ローズオルフェノクのモチーフはハカイダーそのもの……と視聴者間では噂されていたが、クリーチャーデザインの篠原氏によると「実際のモデルは60~70年代に東芝のマスコットキャラクターを勤めていた『光速エスパー』とのこと。
    曰く「村上はいかにも自分をヒーローと思い込んでそうなタイプ」というイメージで、子供が思い描く「ヒーローになった自分」の典型例のような姿である光速エスパーの要素とバラのモチーフを組み合わせることで彼の自惚れを表現したのだという。

  • ローズオルフェノクのスーツは後に映画『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』に登場するガーゴイルレジェンドルガに改造された。
    頭部が変わって色も灰茶になっているが、体表の模様がほぼ同じなので分かりやすい。



分かってますか? 私はね、追記・修正しているところを荒らされるのが、一番嫌いなんですよ。

もうすぐまた荒らしてやるよ。アニヲタWiki(仮)のメンバーの座は、お前には早過ぎたって事だ。

ハーッ!! 何ッ!?


下の下───以下ですね……!


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最終更新:2024年01月12日 23:07

*1 この時あまりにも嬉しかったせいでけっこうな数のNGを出したとか