仮面ライダー555

登録日:2009/06/29 Mon 19:02:07
更新日:2023/09/13 Wed 13:03:58
所要時間:約 9 分で読めます





疾走する本能

Open your eyes for the next φ's!




画像出典:仮面ライダー555 第40話『人間の証』
放送日:2003年11月9日
(C)石森プロ・東映


『仮面ライダー555』とは、「平成仮面ライダーシリーズ」の第4作目。
「555」と書いて「φ's/ファイズ」と読む。



φ概要

前作の『仮面ライダー龍騎』に続き、当時としてはデザインから異色とされたライダー。
本作と同じく白倉伸一郎プロデューサーが手掛けた『仮面ライダーアギト』の第47話~第51話(最終回)でも少し触れられた「異種族との共存」と「」をテーマに、「人が人として生き、人として死んでいく物語」を描く。
脚本は井上敏樹が担当し、何と全話執筆という偉業を成し遂げた。

ストーリー的には人間・怪人の双方を巻き込んだ変身ベルトの奪い合いや、変身者(中の人)の複雑な交代劇、裏切り・欺き・すれ違いなどといった愛憎劇が特徴。
とくに変身者に関しては主人公が主役ライダー以外のライダーに変身したり敵が主役ライダーに変身したりといったヒーロー物ではあまり見られない事態が頻繁に発生する。
前作『龍騎』はシリアス展開の中でも時折コミカルな場面を挿入していたのに対し、こちらはギャグ描写は皆無というわけではないものの、ダークで重い雰囲気を最初から最後まで一貫している。
本来のターゲットである幼年層には重めの鬱展開も多く、仮面ライダーシリーズ全体を通して賛否両論の激しい作品の一つ。
また最大の特徴として、今作では敵側の背景にも大きく触れており、敵怪人側の主人公というのも存在する。
今作に至るまでは、敵組織・怪人の戦う背景や過去などの描写は殆ど無かったが、今作をきっかけに怪人サイドも描かれることが増えていった。

スタイリッシュなアクションやギリシャ記号をモチーフにしたライダー、および怪人・オルフェノクのデザインには定評があり、主役ライダーの変身ベルト「DXファイズドライバー」は2010年に「DXダブルドライバー」に抜かれるまでの約7年間、平成ライダー史上最高の売り上げを維持した。
劇場版の興行収入も2009年の『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』に抜かれるまで歴代一位を誇った。

2023年5月5日にはテレビシリーズの20年後を描くVシネクスト作品『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』の制作が発表された。2024年に公開予定。


φストーリー

九州から美容師の夢を抱き上京する少女、園田真理。
バイク旅の途上で、一人旅をしていた青年・乾巧とともに謎の怪人「オルフェノク」に襲われた。
真理は持っていた「ファイズギア」を用いて怪人の撃退を試みるが、ベルトは彼女を拒絶。
窮地に陥った彼女は巧にファイズのベルトを装着、ファイズに変身させ、怪人の撃退に成功する。

時を同じくして、木場勇治は2年前の交通事故による昏睡状態の中にいた。
そのまま目を覚ますことなく死亡したが、突如謎の蘇生を遂げる。
だが2年の間に周囲の状況が大きく変わり、全てを失い自暴自棄になる木場。
そんな折、スマートレディという女性が現れ、彼が死によって「オルフェノク」として覚醒した事を告げるのだった――。

2人の男を中心に、ベルトを、ひいては人類の未来を巡るオルフェノクとの戦いが静かに幕を開けた。


φ登場人物

主人公。職を転々としながらバイクで旅をしていた青年。九州で真理と出会い、無理矢理ファイズに変身させられる。
その後もなし崩しに変身させられ、図らずも人類とオルフェノクとの戦いに身を投じていく。
一見すると無愛想でぶっきらぼうだが、胸の内にはたしかな優しさを持ち合わせている良い奴。
実はその正体は…。
劇中ではファイズ・デルタに変身。気怠そうな仕草と変身後の手首のスナップが特徴。

両親を乗せて車を運転中に事故に遭い、2年間の植物状態を経て死亡するも、ホースオルフェノクとして蘇生・覚醒する。
オルフェノクと人間の共存を理想に、オルフェノクから人間、あるいは同類に狙われるオルフェノクを守っていく。
普段は優しく温和だが、一度敵と認識した相手は容赦なく攻撃する。少々騙されやすいのが珠に傷。
劇中ではファイズ・カイザに変身。正装着者よりも正義の味方っぽい、丁寧な戦い方が印象的。

美容師を目指す少女。幼い頃に両親を亡くし、「流星塾」で育った。
九州に滞在中、ファイズギアの謎を確かめるため、東京のスマートブレイン本社に向かう途中、巧と出会う。

のちにファンガイアのクイーンに転生して、北崎そっくりの魔戒騎士がいる別世界魔戒法師に。また幼き日の彼女と声が似ているマスコットも現れた。

「世界中の洗濯物が真っ白になるように、世界中のみんなが幸せになる」ことを夢見る、良くも悪くもお人よし。
クリーニングの修行先の九州で巧・真理と出会い、以降2人と行動を共にする。
オルフェノクと遭遇→「た、たっくん、オルフェノクが!」の流れはもはやテンプレ。
劇場版でのみカイザに変身。出番自体は短いが我武者羅な戦い方が特徴。

養父母と義理の妹・道子や通っていた高校の生徒たちからいじめ・虐待を受けていたが、陸橋の階段で転落事故により死亡し、直後にクレインオルフェノクとして覚醒する。
行き場を失っていた時に出会った木場の元で居候する。
人間への潜在的憎悪と恐怖から、密かに殺戮を繰り返していた。

元音大生で、クラシックギターで天才的な才能を発揮していたが、バイク事故で演奏家生命を絶たれる。
その後たまたま居合わせた喫茶店でオルフェノクに襲われ、スネークオルフェノクとして覚醒。以後、木場達と行動を共にする。
時に感情の赴くまま奇矯な行動に出るが、本心では人間を愛しており、常に周囲を気にかけている。
劇中ではファイズに変身。オートバジンとの連携で「裏切者」のレッテルを貼られたオルフェノクと戦った。
余談だが中の人は絵が上手い、ギターが上手い、歌も上手いと芸術方面でかなり多才だったりする。

キール星人でも外道衆でも雷の剣士の父でもない。

真理と同じく流星塾の出身の大学生。多方面に際立った才能を持ち、数々の運動部の部長を兼任していた。
一見温厚で頼もしげな好青年だが、本質は陰険で卑劣かつ自己中心的で、言動に裏表がある。
自分に好意を示す者や利をもたらす者には好意的な態度を示すが、そうでない者は策を弄してでも排除にかかる。
巧とは犬猿なんてレベルじゃ無いほど仲が悪いが、対オルフェノク戦では平成ライダー1、2を争うコンビネーションをみせる。
劇中では唯一3つのベルトを装着している。変身後に襟元を正すような仕草が特徴。

後にある世界鳥男に転生し、更にその後脳人の処刑人に転身した。

流星塾の出身者。デルタギアの最終的な装着者となる青年。
根は優しいが、流星塾の事を含め自分の周囲で起こる異変を疎ましく思い、静かに生きていたい、と極端に戦いを嫌う。
戦闘経験の不足から、デルタの性能を十分に引き出せているとは言い難いが、仲間との連携や窮地では機転の利いた働きをする。
しかし、流星塾のメンバーのひとりという扱いの時期が長い上に、『良くも悪くも普通の人』というキャラ描写のせいか本作の装着者の中では比較的影が薄い。
彼個人に焦点が当たるまでのその地味な扱い、加えて巧や草加、デルタ準装着者の北崎・村上のようなアクの強さが無いためか、『平成ライダーの銃使いはヘタレ』という偏見を助長する一因となっている。
そもそもデルタは『唯一の武装が銃』というだけで、射撃主体の戦闘スタイルで戦うライダーではない。実際作中ではその殆どが肉弾戦である。
なお、作品終了後には三原≠ヘタレと見直しを訴えるムーブメントも起こっている。

前は救急戦隊の緑に変身しており、その世界での青い兄貴は後に赤いアマゾン不死鳥の剣士未来から来た光の巨人に変身している。

スマートブレインの新社長。
自身もローズオルフェノクであり、三つのギアを用いオルフェノクの地位の確立をもくろんでいる。
冷静沈着な態度を取っているが、予期せぬ寝返りや侮辱には弱く、激昂する場面も多い。
劇中ではデルタに変身。ジェットスライガーを駆使しサイドバッシャーと激闘を繰り広げた。

  • ラッキークローバー
スマートブレインの幹部に位置する、「上の級」のオルフェノクの四人衆。
四人目は作中で何回か変わっている。

  • スマートレディ
スマートブレインのスポークスウーマン。社長秘書のような立場にあるらしいが、オルフェノクになった人間の世話をしたり、スマートブレインの企業CMに出演したりと、活動の幅は広い。正体は一切不明であり、「ハーイ♪」など幼児に対する保育士のような口調で喋る。
当初はラッキークローバーを恐れていたがその理由は明かされず、中盤以降はラッキークローバ-候補にも普通に接していた。全体を通し、誰に対しても慇懃無礼とも言える雰囲気を持ち続けていた。
最終回では花形・村上・勇治といったそれぞれの社長を失ったスマートブレイン社が解散を始めて、本社ビル内の施設撤去を眺めていた。
劇中CM、オープニングなどで蝶を連想させる描写がなされていたが、最後まで正体は不明でありそもそもスタッフは特に設定を設けていない。

  • 添野 錠二(そえの じょうじ)
ベテラン刑事。仁丹を好み、よく服用している。
部下の沢村と共に連続不審死事件を追う内に、独自にオルフェノクの謎に迫る。

警察庁の高官。
物語後半の更なる熾烈な展開をもたらしたキーパーソン。詳細は項目参照。


φ余談

初期の企画段階では『GO5号』という番組名が挙がっていた。『GO5号』は仮面ライダーXの没案でもある。
他にも818(ヤイバ)819(バイク)203(フレア)213(ファイズ)などが挙がっており、結果として213が選ばれることになったが、ファイブの複数形で「555/ファイズ」のほうがかっこいいという事で現在の名前に決定した。
没となった213は一文字変えて913(カイザ)に使われた。

本作に登場するライダーは夜になると光り輝くことから、宇宙刑事のリメイクとネット上で噂されているが、スタッフはこれを否定している。

アニメ・実写映画監督の庵野秀明は本作の大ファン。妻の安野モヨコ女史のエッセイ漫画『監督不行届』ではファイズギアで童心に帰って遊ぶ微笑ましいエピソードが語られている。
更に、監督作品『シン・ゴジラ』ではヤシオリ作戦で使用された血液凝固剤の製造会社の一つに「スマートブレイン」および原材料として「フォトンブラッド水和物」「デルタ-333」が登場(作中では一瞬映る程度であくまでイースターエッグ扱い)し、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』では宇宙服の背番号に「913」「333」が登場するなど、本作のオマージュを多く組み込んでいる。


φ派生作品

著:井上敏樹
TVシリーズ放送終了直後にリリースされた小説版で、本編のリメイク的な内容。
2013年には講談社キャラクター文庫から書き下ろしを加え『小説 仮面ライダーファイズ』の題で再販された。

作画:かのえゆうし、脚本:井上敏樹、協力:村上幸平
2019年より『電撃マオウ』誌にて連載中の、実にTVシリーズ終了より15年後に展開された漫画版。
内容はTVシリーズのパラレルストーリーで、タイトル通り草加雅人を主人公にしたリブート的な物語が展開される。
単行本は全5巻だが、話の途中でぶった切られた打ち切りなので続編が待たれる。




おい、知ってるか
『夢』を持つとな、時々スッゴイ切なくなるが、時々スッゴイ熱くなる…らしいぜ。

俺には夢が無い…。

[ 5 ]

けどな、

[ 5 ]

夢を守る事はできる!

[ 5 ]

[ STANDING-BY ]

……変身!!

[ COMPLETE ]





知ってるかな?『夢』っていうのは『呪い』と同じなんだ。

“途中で挫折した者はずっと呪われたまま”……らしい……。

あなたの……罪は重い!



二人の男が、異なる姿で、異なる形の、同じ『夢』を語る。
これこそがこの作品の象徴なのかも知れない。




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最終更新:2023年09月13日 13:03
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