オルフェノク

登録日:2011/07/24(日) 02:22:55
更新日:2019/11/15 Fri 07:38:34
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オルフェノクとは、『仮面ライダー555』に登場した怪人の名称。


【概要】

死を迎えた人間がその死を乗り越えることで誕生する存在。
人間から転生した新たな生物であり、謂わば「人類の進化形」

オルフェノクという名称について作中での由来は不明。
現実の企画会議では名称をどうするかで「オルフェ」か「エノク」か議論になり、いつまで経っても結論が出なかった。
だがちょうどその時、555のメイン脚本担当だった通りすがりの脚本家・井上敏樹が「そんなもんまとめてオルフェノクでいいだろ」と言ったことで決定したというのは有名な話である。
その井上氏の手掛けた小説版においてはインターネット上でオルフェノクの存在が都市伝説的に語られる中で、上記の語源を元に名付けられた設定になっている。
これに関しては真理も「あんな怪物にそんな崇高な名前なんて……」と憤激していた。


誕生方法

前述の通り死を乗り越えることで誕生するが、その方法は大きく二種類に大別される。
ただしどの方法においてもオルフェノクになれるのはある種の素養を持った人間に限定される。

1.自力でのオルフェノク化
事故や病気などにより命を落とした後、本人の意思とは関係なく蘇生しオルフェノクとなったパターン。
この方法で誕生したオルフェノクは「オリジナル」と呼ばれ、比較的高い能力を備えていることが多い。

2.使徒再生によるオルフェノク化
オリジナルのオルフェノクによって殺された人間がオルフェノク化したパターン。
「使徒再生」はオリジナルがなんらかの方法(剣や触手、体液など)で人間の心臓にオルフェノクのエネルギーを送り込み灰化させる行為で、この方法で殺害された人間がオルフェノク化する。
ただし成功率は低く、殆どの場合はそのまま死亡してしまう。

この他にも人為的に人間をオルフェノク化させる研究も行われているがこちらも成功率は低い。


覚醒後のオルフェノク

蘇生しオルフェノクとして覚醒した者は元々の人間としての姿とは別にオルフェノクとしての異形の姿、つまりは怪人態を得る。
怪人態は動物や植物などモチーフは様々だが、共通点として体色は灰色で彫像のような姿をしており、他の仮面ライダーの怪人とは一線を画したデザインとなる。
デザインや存在意義、名称の設定など設定は緻密に描かれているがここでは割愛。

中には通常の怪人態から別の形態(激情態、疾走態など)への変身能力を持つ者もいる。

怪人の姿で言葉を発する時などは影が人間時の姿になるという演出(普通の特撮における「影だけ怪人のままの人間態」の意趣返し?)がとられている。

怪人に変身せずとも高層ビルからの転落や通常の重火器に耐えられる強固な肉体、本気で殴ればコンクリートくらいは粉砕する怪力など、
身体スペックは人間を遥かに超える。強大なオルフェノクとなると、人間の姿のまま超能力のような力を使いさえする。
何故か人間に棒切れで殴られただけでヘタレる某琢磨さんもいるが。
なおオルフェノクによってはファイズの通常キックでも倒すことができるとされている(現に第1話では踏み込みをつけた普通のキックでオルフェノクを灰化している)*1

個人としては強大な力を持つ反面、まだまだ人類に対抗できる数ではないため、スマートブレイン社を隠れ蓑に互助会を作り、
オルフェノクになってしまった者への援助、寿命の問題を解決するための研究、時には仲間を増やすべく人を襲ってオルフェノクに変えるなどの活動を行っている。


経緯はともかく死ぬ事でオルフェノクとなり、尚且つその出現はランダムであるため、組織化された怪人ではない。
「オルフェノク」という呼称も謂わば人種名のようなもので、「ショッカー怪人」などのような所属組織を示すものではない。
事実上の敵組織であるスマートブレインも積極的な勧誘を行いながらも全てのオルフェノクを仲間にできているわけではなく、それどころか存在自体を把握していないオルフェノクもいる程である。
個体の能力もまちまちであるため、後半に登場するオルフェノクが必ずしも前半に登場したオルフェノクより強いとは限らない*2

更に言えば元は全員普通の人間であり、覚醒によって既存の人格が変貌するわけではない。
そのため、人間を超えた力を持ちながら他者を傷付ける事を拒む者も少なからず存在し、中にはスマートブレインの勧誘を蹴って普通の人間としてそれまで通りの生活を続けている者もいる。
一方で、常人離れした力に溺れて殺戮に手を染める者も多い。画面の前の貴方とて、もし明日銃弾の効かない肉体と誰にも負けない怪力を手に入れたとしたら?嫌いなアイツに痛い目見せてやろう、普段できないことをやってみよう、などと考えない保証があるだろうか?
また、作中でオルフェノクになった人間には不幸体質だったり凄惨な過去の持ち主だったりする者が多く(なにせ一度死んでるんだし)、オルフェノクになると同時に復讐を決行してしまったり、何かのきっかけでブチ切れて実力行使に出てしまったりするパターンも多い。

作中ではオルフェノクへの覚醒は“進化”と捉えられている(『小説 仮面ライダー鎧武』でも「ヘルヘイムの森とは異なる進化」と描かれている)が、
言うなればそれはドーピングに近く、その急激な進化に身体が耐えられず、寿命は常人よりも短い。
個体差はあれど、何もしなくても体は徐々に灰化し、最終的には青白い炎に包まれて骨も残さず灰となってしまう。
故に仮面ライダーや他の怪人に倒されなくてもいずれは死んでしまう、哀しい運命の怪人でもある。

ただし、巧は幼少期にオルフェノク化してから十数年(一部映像作品も含めれば更に10年以上)、海堂もオリジナルでないにも関わらず最終回以降最低でも11年以上生きている事が、ネットムービー作品『仮面ライダー4号』で判明した為、
ある程度個人差があるようだが、オルフェノクとしての力を乱用しなければ長く生きることも可能ではある模様。
恐らくは、「オリジナル」の中には自分がオルフェノク化してる事に気付かないまま天寿を全うした…というケースも少なからずあると思われる。

そして、「オルフェノクの王」が覚醒すれば、彼に選ばれた者は長い寿命を手に入れることができ、オルフェノクは一つの種として確立できるとされている。
このため、スマートブレイン社は「王」になるであろう人物を探し求めている。


余談だが、モチーフについては蜘蛛、馬、蛇などの王道のモチーフから、ミミズ、サンゴ、ナマコ、果てはツクシやオクラなんて奇抜なものもある。そんな生き物からどうやって戦うイメージを見出しているのだろうか?
一部のオルフェノクは「人造人間キカイダー」や「仮面ライダーX」に出てくる怪人が裏モチーフとなっている。(555の企画段階でキカイダーのテレビシリーズを放送する案があったからだろうか?)
更に所謂「最上級のオルフェノク」はドラゴンオルフェノク以外でも想像上の動物が裏モチーフに入っている。例としてはホース→ケンタウロス、ウルフ→フェンリル、ゴート・バット→悪魔など。



【主要なオルフェノク】


木場勇治/ホースオルフェノク
モチーフは馬。武器として使徒再生の魔剣とクリムゾンスマッシュをも防ぐを所有する。
下半身を馬に変形させてケンタウロスのような疾走態にもなれる他、感情が昂ぶったときは激情態と言われる形態にも変化。
通常形態でもラッキークローバーにもひけを取らない戦闘力を有する。
元ネタは『キカイダー』のブラックホースかもしれないが最早この辺に来るとコジツケかも。ちなみに人造人間ハカイダーのゲーム版には騎士要素を加えた『シルバーホース』が登場している。

長田結花/クレインオルフェノク
モチーフは鶴。飛行能力を持ち、高い聴力やジャンプ力を有している。
本人の性格上戦いを苦手としているが、高い殲滅能力を持つ翼で攻撃する。
激情態は劇場版のみの登場。サイガと渡り合う飛行能力を誇る。
より女性的な容姿になり、弓矢を武器とする。使わなかったが

海堂直也/スネークオルフェノク
ちゅーか。モチーフは蛇。木場と長田の研修時に教員役のオルフェノクによって殺され使徒再生したため上記二人と比べると戦闘力は少しばかり劣るが、海堂の服装をあしらったデザイン、なによりそのキャラクターにより人気は高い。
終盤はチャクラムのような武器を使用。

以上3人はもう一つの主人公グループとして数多く変身した。


◆スマートブレイン

表面的には様々な業種に進出している複合企業だが、裏ではオルフェノクを半ば強引に束ね組織を形成している。
オルフェノクの滅びを回避する方法を探しており、その可能性を持つ「オルフェノクの王」を守護するため三本のベルトを開発した。

●村上峡児/ローズオルフェノク
モチーフは薔薇。オデコが透明で中身が見える。他のオルフェノクとは色が違い、白い純白の外見を持つ。
茨状のムチが武器の他、バラの花びらで攻撃したり念力を使ったりとライダー3人もまとめて相手に出来る無類の強さを誇る。
尚、他のオルフェノクと違って鎧を纏っていない生身に近いフォルムをしているのは彼の強い自尊心によるもの。
デザイン原案はハカイダー
設定ではファイズと同等の身体スペックを持つとのことだが、明らかにそれより強く、王を除けば最強説のあるオルフェノクの一人で、ラッキークローバー(ドラゴンオルフェノク)以上という意見が根強い。


◆ラッキークローバー

村上に見初められた「上の上」のオルフェノク達。琢磨・影山・北崎・Jの4人で構成されていたが、Jの消滅後は追加メンバーを巡ってドラマが展開した。
オリジナルメンバーのモチーフは『キカイダー01』に登場したハカイダー四人衆と、その変身形態。()内は変身形態の名前。

琢磨逸郎/センチピードオルフェノク
モチーフはムカデ(紅ムカデ)。武器は。ベルトを強制的に剥いで大活躍するかと思えば、ライダーに引っ張られて逆に拘束されたり、琢磨さんのクオリティと共に激しく株が乱高下。
北崎が登場してからは彼に一方的にイジメられていたが度々地味な復讐をし、49話ではこれまでの鬱憤を晴らすかのようにムチで弱った北崎を滅多打ちにした。
やけにぴっちりした形状。

影山冴子/ロブスターオルフェノク
お色気姐さん。モチーフは海老。両手に付いた手甲とフェンシングの剣で戦う。
銀エビ(シルバーハカイダー)がモチーフなためか銀色に近い体色をしている。

北崎/ドラゴンオルフェノク
モチーフは龍(ブラックドラゴン)。作中で出ているオルフェノクの中では唯一の想像上の動物。
パワー主体で防御力も高い魔人態と、細身でスピード主体の龍人態の二種類の形態を持つ。
しかも彼の体や波動に触れた存在は全て灰になってしまう。この力に多少なりとも耐えられるのはオルフェノクやライダーズギアのみ。
登場時から別格の強さでライダーや他のオルフェノクを圧倒し、敵味方からリンチされてようやく倒れた。最後は王に美味しく食べられた。

●J(ジェイ)/クロコダイルオルフェノク
モチーフは鰐(青ワニ)。命が3つあり、三種類の形態に変わりながら強化再生する。ファイズのクリムゾンスマッシュを破った強敵。
パンチ力3tの第一形態から第二形態は防御力が1.5倍に向上し、第三形態はパワーも1.5倍に向上したとされている*3
…が、序盤に倒された上に彼より強そうに見える幹部級以外のオルフェノクも終盤近くには登場したりするのでぶっちゃけどの辺が上の上なのかは疑問に思われたりする。
しかし、パワーが1.5倍=パンチ力も1.5倍とした場合、第三形態のパンチ力は計算上4.5tとなるので、単純なパンチ力だけならファイズの最強形態であるブラスターフォームを上回り、オーガと互角となる
また戦闘以外の面でも面々と異なり敵対者でない他者に対して温厚であるなど、上の上と頷ける部分も存在する。
元となったキカイダー01の怪人と同様、ハトに改造された。

澤田亜希/スパイダーオルフェノク
モチーフは蜘蛛。舵輪のような大型手裏剣が武器。
実験により後天的にオルフェノクとなったが、オリジナルらに劣らない強さで、一時的にラッキークローバー入りも認められた。
かなり傾斜がキツい壁面でも蜘蛛のように這って移動することも出来る。
井上敏樹の小説版では草加雅人がこのオルフェノクとなった。


●花形/ゴートオルフェノク
モチーフは山羊。山羊がシンボルとして使われることも多い悪魔のイメージも込められているかもしれない。
先代社長というだけあってローズオルフェノクと同等かそれ以上の実力を誇る最上級のオルフェノクで、此方も最強説のあるオルフェノクの一人。
アクセルフォームを上回るスピードを見せたことのあるドラゴンオルフェノク(龍人態)相手ですら、彼を超える速度で動き回って軽く手玉にとり、共鳴音波で攻撃する。アホか、と思う位強い
ただし、設定走力は時速310km程度であり、純粋に『555』世界のNo.1スピードスターであったか否かについては考察の余地が残る。
一応設定では味方側なのに、初回から登場していた怪人のためかアトラクションでフルボッコにされまくった
元ネタは『仮面ライダーX』に登場したパニックであると言われている。


◇鈴木照夫/アークオルフェノク

「オルフェノクの王」と称される最強のオルフェノク。
頭部にある大きな複眼と触覚、首から生えたマフラーが特徴。モチーフはバッタと思われるが設定としては「不明」。
ファイズたちライダーと似たデザインとなっているが、これはライダーズギアがアークを基にしているという設定のため。

他のオルフェノクとは異なり、人間が変化したものではない(鈴木照夫は謂わば繭であり、アークオルフェノクの完全覚醒とともに消滅した)。
更にその実力もオルフェノクの王だけあって、他のオルフェノクとは完全に一線を画す。脅威的な力を持つドラゴンオルフェノクでさえ、捕食の対象でしかない。
ドラゴンオルフェノクでも多少力を込める必要がある、ライダー達のエクシードチャージによる拘束も、片手で事も無げに振り払い、ファイズのブラスターフォームすら手玉に取る実力がある。
しかし、覚醒には他のオルフェノクを喰らう必要があり、その為に反乱を企てる者が現れる。3本のベルトは覚醒するまで王を反乱者たちから防衛する事を目的に制作された。

なお、アークオルフェノクが死ぬと全てのオルフェノクが滅びるとの事。恐らくはアークオルフェノクが滅ぶとオルフェノクを延命する手段がなくなるためであると思われる。
他のオルフェノクがアークオルフェノクに受け入れられると人間の部分が取り除かれオルフェノク態が固定され、人間の姿には戻れなくなる(影に映る人間としての姿も消える)。
その代わりに灰化して死ぬ事は無くなる。

その出自のついては多くは語られておらず、正体については諸説ある。


地下施設にて宿主である鈴木照夫を体内に吸収し、食い破るようにして殺害すると3ライダーを相手に戦う。
ルシファーズハンマーとゴルドスマッシュを同時に食らっても弾き返すパワーを発揮し、腕から伸びる触手でカイザギアを破壊し、木場勇治に致命傷を負わせるが、最後の力を振り絞った勇治に羽交い締めにされた隙を狙ったブラスターフォームのフォトンブレイカーと超強化クリムゾンスマッシュを受けて木場勇治諸共爆発に飲み込まれた。身体は灰化せずに残り、影山冴子によって回収され流星塾にて復活の時を待っているシーンで幕を閉じた。
本編ではカットされたがアークオルフェノクはその後灰化してしまったので王も不死身ではないことが分かる。


仮面ライダーディケイド』以降の映画シリーズで再生怪人として多くの作品に登場してるが、本編のような強大な力は持たず、一般怪人と同等の実力しかない場合が多い。


以下ネタバレ













乾巧/ウルフオルフェノク
モチーフは狼。主人公が実は怪人だった。この事実に当時の視聴者は驚いた事だろう。
終盤に怪人となった主人公怪人と人間の間に産まれた主人公ならいるが、第1話以前からライダーの姿とは別に怪人としての姿を持つ主人公は例がない。
刃状の突起とメリケンサックが武器で俊敏な動きとジャンプ力で相手を翻弄しながら攻撃を繰り出す。劇場版では疾走態という、主に下半身が強化された激情態も登場した。
設定上では肩の刃状の部分を触手として伸ばし、突き刺して使徒再生をするが、巧の性格上するはずもなく劇中未披露。 
モチーフは狼、狼男の他に巧役の半田健人氏(デザイナーから見た半田氏のイメージらしい)。
ちなみにキカイダーにもオオカミがモデルの悪に徹しきれないロボット「ゴールドウルフ」が登場する。



【本編外のオルフェノク】


●エラスモテリウムオルフェノク
モチーフはサイ。元ネタはグレイサイキングだろうか。(555より後に公開されたキカイダーのリメイク版ではなんの因果か巨大兵器になっていた。)
劇場版に登場するオルフェノクだが理性を完全に失ってしまっており、全長十メートルを超える激情態を常に維持し暴走している。角には人型だった頃の名残がある。
桜庭一樹のノベライズ版ではスマートブレインの女性社員たちが変身する設定で複数個体が登場。映画よりもサイズは小さめだが(それでも数メートルはある)、数の暴力で結花と直也を斬殺しながら、任務が終わると変身を解いて退勤するその姿は、映画のそれとは別の意味で「人間性」を喪ったそれ。
また映像作品同様の巨大な個体も登場するが、こちらは話の順序上完全にオーガの前座となっている。
サイの特質を備えたオルフェノクとあるが、厳密には古代のサイの一種をモチーフとしている。

●百瀬/タイガーオルフェノク
トラがモチーフ。『ディケイド』で登場したスマートブレイン高校を牛耳るラッキークローバーのリーダー格。
クロコダイルが諸事情によりハブられたので、「龍虎相打つ」って感じで入ったのだろうか?
戦闘で死亡・灰化したオルフェノクを復活させる特殊能力を持つ。
数年後赤い右腕を持つ青年となった。
元ネタは『人造人間キカイダー』に登場するピンクタイガーと『仮面ライダーX』に登場したタイガーネロ(百瀬⇨桃⇨ピンク)。

●ドッグオルフェノク
イヌがモチーフ。『HERO SAGA』に登場する間口正一につき従うオルフェノク。正一が飼っていた犬が使徒再生して誕生した。
雑誌掲載時には『555』と『アギト』の世界観の関連性を示唆する存在だったが、書籍『S.I.C HERO SAGA Vol.2』収録分では名称が「ドッグロード」となりアンノウンへと変更されている。



追記・修正は九死に一生を得てからお願いします。

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