レベル・スティーラー(遊戯王OCG)

登録日:2022/05/27 Fri 20:38:42
更新日:2024/01/08 Mon 23:32:03
所要時間:約 11 分で読めます




レベル・スティーラーとは、遊戯王オフィシャルカードゲームに登場するカードの一つ。
プレイヤー間での愛称は「スティーラー」「星盗み」
初出時のレアリティは「Rare」。

◇目次

◆概要


効果モンスター
星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、アドバンス召喚以外のためにはリリースできない。
(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。


見た目はレベルの星を象ったテントウムシといった所。
アドバンス召喚以外のリリースに使えない制限と、レベル5以上の自軍モンスターのレベルを1つ下げ(盗み)、墓地から自己蘇生する能力を持つ。


1つ目の効果については、つまり射出したり《昇天の角笛》等のコストには使えないという事である。
これは仕方無い措置である。
もしリリースコストに使えたなら《キャノン・ソルジャー》等の弾としてワンキルコンボに多用され、あれらを史実より10年早く禁止カードにしていただろう。


本当の意味で本カードの特色となるのは2つ目の効果の方。
レベル5以上のモンスターのレベルを1つ下げるという非常に軽いコストで墓地から蘇生する事ができる。

実質ノーコストで場の頭数を増やす事ができるため、上級以上のモンスターを別途用意できれば最上級モンスター召喚の為の優秀なリリース要員となる。
《メタル・リフレクト・スライム》のような手軽に場に出せる高レベルモンスターと2体以上の本カードを墓地に用意すれば、
召喚権を消費せずに場に3体モンスターを揃える事ができ、神のカードさえ簡単に召喚する事ができる。
このため【冥界軸最上級多用】ではリリース要員として非常に役に立ってくれる。


だが、このカードは『遊戯王5D's』ダークシグナー編中盤にて、その主人公不動遊星の愛用するカードの一つとして登場した事が示す通り、
このカードの最大の特長は、やはり極めて優秀なシンクロ素材である事である。


先述の通り自己蘇生の方法は「レベル5以上のモンスターのレベルを1つ下げる」。
レベル5のモンスターを対象にこの効果を使用した場合、場に残るのは「星4となったモンスター+星1のレベル・スティーラー」、
つまり場の合計レベルは変わらないのである。
これは、一面的には「頭数しか増えないので、このカードだけでは高レベルシンクロには繋げられない」というデメリットであるが、
見方を変えれば《氷結界の龍 トリシューラ》や《ミスト・ウォーム》のような、強力ではあるが非チューナー2体以上を要求するSモンスターを召喚する際の頭数要員になれるという事でもある。
《ジャンク・デストロイヤー》のようなシンクロ素材が多ければ多い程優秀な効果を発揮するカードと組み合わせるのも良いだろう。
このカードと相性が良い《クイック・シンクロン》・《ボルト・ヘッジホッグ》+適当な★1モンスターと組み合わせれば計3枚ものカードを割る事ができる。

また高レベルになりがちなSモンスターのレベルを下げて自己蘇生を繰り返す事で、更なるシンクロ召喚やSモンスター同士のシンクロの為のレベル調整にもなる。

以下はその一例である。


◇手札3枚からクェーサー召喚ルート

手札:《レベル・スティーラー》、《クイック・シンクロン》、《シンクロン・エクスプローラー》

1.スティーラーを捨てて《クイック・シンクロン》特殊召喚

2.《クイック・シンクロン》を指定してスティーラー蘇生

3.スティーラーと《クイック・シンクロン》で適当な要シンクロンレベル5(例:《ジャンク・ウォリアー》)シンクロ召喚

4.《シンクロン・エクスプローラー 》*1通常召喚、《クイック・シンクロン》を蘇生させる

5.《ジャンク・ウォリアー》を指定してスティーラー蘇生(自己蘇生2回目)

6.《クイック・シンクロン》+《シンクロン・エクスプローラー 》+スティーラーでレベル8《ロード・ウォリアー》シンクロ召喚

7.《ロード・ウォリアー》の効果で適当なレベル1機械・戦士チューナー(例:《アタック・ゲイナー》、《音響戦士ベーシス》)を特殊召喚

8.《ロード・ウォリアー》を指定してスティーラー蘇生(自己蘇生3回目)

9.《ロード・ウォリアー》で特殊召喚したレベル1機械・戦士チューナーとスティーラーでレベル2《フォーミュラ・シンクロン》シンクロ召喚

10.《ロード・ウォリアー》を指定してスティーラー蘇生(自己蘇生4回目)

11.《フォーミュラ・シンクロン》+レベル6となった《ロード・ウォリアー》+レベル4となった適当な元星5シンクロモンスターで合計レベル12、《シューティング・クェーサー・ドラゴン》シンクロ召喚

なお《フォーミュラ・シンクロン》でデッキから1枚ドローできるため、最終的な消費手札は2枚である



◇マジックテンペスターワンキルルート


1.何等かの方法で《超古深海王シーラカンス》を場に用意する(陵墓で2000LP払う等、レベルを5未満にしない方法であれば通常召喚でも良い)

2.《超古深海王シーラカンス》の効果でスティーラーを捨て、《オイスターマイスター》*2×2、《フィッシュボーグ-ガンナー*3×2をデッキから特殊召喚

3.《オイスターマイスター》(甲)+《フィッシュボーグ-ガンナー》(甲)でレベル4《アームズ・エイド》シンクロ召喚、更にオイスタートークン(甲)特殊召喚

4.オイスタートークン(甲)+《フィッシュボーグ-ガンナー》(乙)でレベル2《フォーミュラ・シンクロン》シンクロ召喚

5.《オイスターマイスター》(乙)+《フォーミュラ・シンクロン》でレベル5《神海竜ギシルノドン》 シンクロ召喚、更にオイスタートークン(乙)特殊召喚

6.手札を1枚捨てて《フィッシュボーグ-ガンナー》蘇生

7.《フィッシュボーグ-ガンナー》+《神海竜ギシルノドン》でレベル6《氷結界の虎王ドゥローレン》(甲)シンクロ召喚

8.《氷結界の虎王ドゥローレン》(甲)を指定してスティーラー蘇生

9.《氷結界の虎王ドゥローレン》(甲)の効果で《アームズ・エイド》とスティーラーを手札に戻す

10.手札のスティーラーを捨てて《フィッシュボーグ-ガンナー》蘇生

11.《フィッシュボーグ-ガンナー》+レベル5となった《氷結界の虎王ドゥローレン》(甲)で《氷結界の虎王ドゥローレン》(乙)シンクロ召喚

12.『8.→11.』の流れをもう1度繰り返し、《氷結界の虎王ドゥローレン》(丙)シンクロ召喚

13.《超古深海王シーラカンス》を指定してスティーラー蘇生(自己蘇生4回目)

14.《氷結界の虎王ドゥローレン》(丙)の効果で《超古深海王シーラカンス》とスティーラーを手札に戻す

15.手札のスティーラーを捨てて《フィッシュボーグ-ガンナー》蘇生

16.《フィッシュボーグ-ガンナー》+《氷結界の虎王ドゥローレン》(丙)でレベル7《パワー・ツール・ドラゴン》シンクロ召喚

17.《パワー・ツール・ドラゴン》の効果で《継承の印》*4を手札に加える

18.《継承の印》で《氷結界の虎王ドゥローレン》を蘇生

19.《氷結界の虎王ドゥローレン》を指定してスティーラー蘇生(自己蘇生5回目)

20.《氷結界の虎王ドゥローレン》の効果でスティーラー、《パワー・ツール・ドラゴン》、《継承の印》を手札に戻す

21.手札のスティーラーを捨てて《フィッシュボーグ-ガンナー》蘇生

22.《氷結界の虎王ドゥローレン》を指定してスティーラー蘇生(自己蘇生6回目)

23.《フィッシュボーグ-ガンナー》+レベル4となった《氷結界の虎王ドゥローレン》でレベル5《TG ハイパー・ライブラリアン》シンクロ召喚

24.《継承の印》で《氷結界の虎王ドゥローレン》を蘇生

25.《氷結界の虎王ドゥローレン》の効果でスティーラーと《継承の印》を手札に戻す

26.手札のスティーラーを捨てて《フィッシュボーグ-ガンナー》蘇生

27.《フィッシュボーグ-ガンナー》+《氷結界の虎王ドゥローレン》でレベル7《パワー・ツール・ドラゴン》シンクロ召喚、《TG ハイパー・ライブラリアン》の効果で1ドロー

28.《継承の印》で《氷結界の虎王ドゥローレン》を蘇生

29.《パワー・ツール・ドラゴン》を指定してスティーラー蘇生(自己蘇生7回目)

30.《氷結界の虎王ドゥローレン》の効果でスティーラー、《パワー・ツール・ドラゴン》、《継承の印》を手札に戻す

31.『24.→30.』の流れで無限ループ発生、任意回数の無限ドローが成立

32.15回以上ループした後、《継承の印》で《氷結界の虎王ドゥローレン》を蘇生

33.《TG ハイパー・ライブラリアン》を指定してスティーラー蘇生(自己蘇生23回目)

34.《氷結界の虎王ドゥローレン》の効果でスティーラーと《継承の印》を手札に戻す

35.手札のスティーラーを捨てて《フィッシュボーグ-ガンナー》蘇生

36.《フィッシュボーグ-ガンナー》+オイスタートークン(乙)でレベル2《フォーミュラ・シンクロン》シンクロ召喚

37.《フォーミュラ・シンクロン》+レベル4となった《TG ハイパー・ライブラリアン》でレベル6《マジックテンペスター》*5 シンクロ召喚

38.《マジックテンペスター》の効果で手札を15枚捨て、更に魔力カウンターを全て(16個)取り除く事で8000ダメージ、ワンキル成立




……といった具合に1枚のレベル・スティーラーを何度も何度も何度も何度も使い回す事で連続シンクロ召喚を行い、
強烈を通り越して無体なソリティアコンボを繰り出す事ができた。
墓地とフィールドをやたらと行ったり来たりする様は反復横跳び「てんとう虫のサンバ」に例えられる。
また、「展開抑止の為に《増殖するG》を使ったら自分がデッキ切れで負けた」という、その往復の激しさを物語る逸話*6も残されている。


……『ZEXAL』や『ARC-V』の時期からOCGに入ったプレイヤーは疑問に思う事だろう。
「なんで同じカードの効果何回使ってんだよ!『1ターンに1度』って書いてねぇのか!?」
それに対する回答はこうである。


「いいえ?」


改めて、このカードのテキストはこうである。

レベル・スティーラー
効果モンスター
星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、
アドバンス召喚以外のためにはリリースできない。
(2):このカードが墓地に存在する場合、
自分フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのレベルを1つ下げ、
このカードを墓地から特殊召喚する。

このカードの最大の長所にして問題点、それは1ターンに何度も発動可能であることである。
なお、スティーラー登場時点でこれは珍しい事ではなかった。
むしろ名称指定どころか効果指定ターン1の制限さえ無い事もままあった*7のが、このカードが登場した第6期環境である。

当時の主力となる汎用シンクロモンスターの素材指定は殆どが「チューナー+非チューナー1体以上」。
合計レベルが変わらない以上、スティーラーを介して素材数を水増しする理由が少なく、
殆どのデッキでは「わざわざこんなの介してレベル調整するなら、最初からレベルの合う素材を用意したほうがいい」という判断がされていたし、実際それで大きな問題は起きなかった。

転機となったのが、5dsの後期に登場したTG ハイパー・ライブラリアン
連続シンクロが展開しながらドローできる強力な戦法として確立。
反面、チューナーと非チューナーを供給し続けるのが難しく、かつシンクロを繰り返すごとにレベルが上がり頭打ちになる難点があった。

結果、高レベルシンクロと低レベルチューナーを並べ、自己再生すれば自然にシンクロの回数を水増し可能になるスティーラーが一気に強化される。
アクセルシンクロと同時に登場したシンクロチューナーの存在もあって、【シンクロン】デッキや【魔轟神】などで、ソリティアパーツデッキの潤滑剤となる。

だがレベル5以上のシンクロチューナーが登場したことで、このギミックが凶悪化。
このギミックを活かして本カードを多用していた【シンクロダーク】が散々暴れ回った事で、遂に2016年10月の制限改訂にて、
制限を通り越して一発で禁止カードに指定される事となった。
ちなみにその【シンクロダーク】を大まかに説明するとPSYフレームロードΩを3体シンクロ召喚して、擬似先攻3ハンデスをやるデッキ
上記コンボも結局スティーラーは1枚しか使用していないため、手札や場に呼び込めさえすれば1枚で十分という性質上、
一発禁止はやむを得ない措置だったと言えるだろう。

付け加えると、上記のソリティアコンボを抜きにしても「レベル5以上のシンクロチューナーを対象にすれば同名のシンクロチューナーを続けてシンクロ召喚できてしまう」*8ことから、
こいつのせいで高レベルのシンクロチューナーをうかつに出せないというカードの開発上の問題も抱えていた、というのも一発禁止化に繋がっている。

また上記のワンキルコンボも、ドゥローレンに「このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。」のテキストが追加された事で禁止制限を無視しても実行不可能となった。

この事態の反省か、後発の「場のモンスターのレベルを下げて蘇生」効果を持つカードは、
尽く「名称指定ターン1」か「効果使用後は除外される」か「特定のカテゴリにしか素材にできない」といった制約が課せられている。

「何で『名称指定1ターンに1度』制限付けなかったんだよ……」と言われれば、その答えは
ワイトも私もそう思います」「コイツ(ら)が悪さしたからその必要性が知らしめられたんだよ……」である。
現在のOCGではむしろ無い方が驚きである「このカード名の(X)の効果は1ターンに1度しか使用できない。」というテキストが追加される要因の一つという意味では、遊戯王OCG史に非常に大きな影響を与えたカードであると言える。

そういった事もあり、本カードはエラッタ無しでの釈放はあり得ないというのが大方の認識である。
アドバンス召喚以外のリリース以外の制限が全く無いこのカードが現行環境に解き放たれれば、今度はリンク召喚の素材として猛威を振るう事になるのは明白である。
事実、TCGではリンク召喚実装時に健在だったせいでリンク素材の水増し要員に使われて悪夢を見せたために程なくして投獄されている。

逆に言えば、同名ターン1制限や除外デメリットがあれば復帰できる可能性はあるという見方もある。
元々レベル調整役としての働きが評価されていた・かつ効果の応用性の高さから、エラッタしてでも復帰を望む声は少なくない。


◆アニメでの活躍

先述の通りダークシグナー編にて遊星が初使用。
クイック・シンクロンを指定して蘇生、ジャンク・ウォリアーのシンクロ召喚に繋げた。

ガードロボ戦では《ジャンク・ウォリアー》の強化要員として《ワン・フォー・ワン》で場に出される。
その後《レベル制限B地区》により攻撃できないジャンク・ウォリアーの代わりとして、レベル1故にB地区の効果を受けない事からまさかのアタッカーとなる。
自場のSモンスターの攻撃力を別のモンスターに与える《シンクロ・ギフト》の効果で強化され攻撃を行ったが、《攻撃の無力化》により不発となってしまった。

……といった具合に、アニメでは(ある意味当たり前かもしれないが)このカードでソリティアされる事はなかったどころか、
自己蘇生できるレベル1としての活用すらほとんどされていなかった。
なおアニメではリリース制限が無い。


◆余談

このカードが登場した時点では《生還の宝札》がまだ使用できた。
つまり《生還の宝札》発動中に蘇生すればそれだけで1ドローでき、墓地にこのカードを3枚、場にレベル7以上のモンスターを用意してやれば1ターンに3枚ドローできた。
《生還の宝札》は2009年9月の制限改訂で禁止となり、またスティーラーの登場は2009年7月であったため、このコンボが使用できたのは僅か1ヶ月半弱である。




スティーラー「墓地行って蘇生してシンクロ素材だけで報酬に☆1つ…めっちゃホワイトじゃんw」
セキュリティ「最低賃金ギリギリに勤務時間超過の常態化。おまけに独占禁止法違反…こりゃゴヨウものだな」


追記修正はどうか、どうか同名の方は1ターンに1度ずつお願いします。

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最終更新:2024年01月08日 23:32

*1 星2。通常召喚時に自分の墓地の「シンクロン」を効果を無効にして蘇生させることができる

*2 星3。自身が破壊以外の方法で場から墓地に行った時、自場に星1水属性のオイスタートークンを1体特殊召喚する

*3 星1チューナー。自場に星3以下の水属性モンスターが居れば手札1枚を捨てて墓地から特殊召喚できる。但しこのカードをシンクロ召喚に使う場合他の素材は全て水属性である必要がある

*4 自分墓地に同名モンスターが3枚ある場合、そのモンスター1体を蘇生しこのカードを装備する

*5 レベル6シンクロ。S召喚時に自身に魔力カウンターを1つ置き、更に1ターンに1度手札を任意枚数墓地に送り、その枚数分自場モンスターに魔力カウンターを置く事ができ、また自場の魔力カウンターを全て取り除く事でその個数×500ダメージを相手に与える

*6 スティーラー現役時代は手札誘発の種類が今より少なく、「ドローしても妨害できない可能性が今より高かった」点も大きいが

*7 例えば《簡易融合》などが数少ない例。名称ターン1度の制約が出たモンスターは6期最後のレギュラーパックで出た《フェアリー・アーチャー》が初出

*8 公式もこの危険性は認識していたのか、初期の高レベルシンクロチューナーは「同名モンスターを1ターンに1度しか特殊召喚できない」という制約がついていた。しかし同レベルに別のシンクロチューナーが登場すればそれまでだった