テントウムシ

登録日:2025/04/12 Sat 12:32:56
更新日:2025/04/26 Sat 17:34:18
所要時間:約 3 分で読めます





「てんとう虫」はお天とう様の虫です…幸運を呼ぶんです


テントウムシとは、テントウムシ科の昆虫の総称である。

●概要●

カブトムシなどに代表されるコウチュウ目に分類される昆虫。
様々な種類がいるものの、基本的には体長3~13mmの小型がほとんどを占めており、触角が短く半球状の体が特徴で、他のコウチュウ目とは随分と印象が異なる。
体は赤地に黒い水玉模様が特徴だが、黄色や黒といったカラーリングを持つ者や亀甲模様を持つ者もいるなど、そのバリエーションは様々。
その丸っこい体から多くの人々に愛されている。
名前の由来は、高いところを目指して登り、枝などの先頭まで辿り着くと飛び立つ様が、まるで天道 ―すなわち太陽― に向かって飛んでいくことから。
決して、点が(とお)ツあるからではない。
なお、上記習性があるため、シーソーに乗せておくと端まで歩く⇒重みで下がる⇒もう片方に登っていく、という動きを繰り返す。

英語ではlady bug(レディ バグ)、もしくは“ladybirds”。
この場合の“lady”は一般的な淑女ではなく、「聖母マリア」を指していると言われ、彼女が赤いマントを羽織った姿で描かれることが多いためその姿に重ね合わせたものとされる。

スペイン語ではmariquita(マリキータ)
スラングでは「同性愛者の男」「女々しい男」のような意味合いも持つ。
だからと言って、ゼブラマリキータマンがそういう関係になったわけではない。


●生態●

基本的に幼虫→蛹→成虫の形態に変化していく完全変態性の昆虫で、幼虫は鳥の糞のような形状をしている。
これは鳥などの天敵に食べられないようにするための擬態である。
敵に襲われると死んだフリをするか、足の付け根から強烈な悪臭を放つ黄色や赤色の体液を分泌する。この体液には悪臭以外にも強い苦味があり、これにより鳥などの生物から身を守っている。
鮮やかな色彩と派手な模様は、自分は不味いから食べないほうがいいと天敵に知らせる警告色の意味があり、これを利用して他の虫がテントウムシの姿にベイツ型擬態をすることも多い。

越冬をする習性を持っており、秋には崖や電柱、建物の壁などの目立つ場所に、冬には落ち葉や木の皮の下、岩や家屋の隙間などに数匹~数百匹、時には数万匹が集まって越冬する。
時には数種類のテントウムシが混ざっていることもある為、その光景はカラフルであると言えるだろう。(集団恐怖症の人にはたまったもんではないが)
日本ではナミテントウが数百匹の大集団を形成するが、他の種類は数匹~数十匹で越冬する事が多い。

基本的には肉食で、主にアブラムシやカイガラムシ、キジラミ、カメムシ、ハムシ、ハダニなどの小型害虫を好んで食する習性を持つ(幼虫も同様)。
一方では花の蜜や種を食べたり、中にはカビなどの菌類を食べるものもいるなど意外とグルメな奴らである。
農家では益虫として重宝されており、多くの種類が農薬の代わりに害虫を駆除してくれる存在として重宝されている。

主に春に活動する為、蝶同様春の訪れを象徴する虫の代名詞としても知られている。
また主な繁殖期も越冬直後の初春であり、雄と雌は2時間ぶっ通しの交尾を1日に何度も行う。その昆虫らしからぬ性欲の強さは創作界隈でたびたびネタにされる。
雄は雌に精子を受け渡す際、身体を左右に小刻みに揺らす動作をし、それがサンバに例えられる事も。


●ゆかいな仲間達●

・ナナホシテントウ

主に日本に生息するテントウムシの代表格。
体長は5~8mm程で、赤い体色に黒い七つの斑点を持つ。
アブラムシを食べるが、稀にハダニも捕食し、花の蜜を吸う事もある。

一匹~数十匹で越冬し、ナミテントウの越冬集団に混じる事もある。
ちなみにナナホシ以外にもココノホシテントウやジュウイチホシテントウ*1、更にはジュウサンホシテントウやジュウロクホシテントウなど星の数が命名に使用されている種は多く存在する。
どんだけ星が増えるんだよ!?

・ナミテントウ


ナナホシテントウとは対照的に黒地に赤い水玉模様が特徴のテントウムシ。
黒地から赤地まで個体変異が非常に大きく、極端なものでは赤一色になることも。
日本全国に分布し、日本本土では最も普通に見られる。体長は4~8mm程。
基本的に数十匹から数百匹の大集団で越冬をする。大好物はアブラムシ。

・ダンダラテントウ

日本国内で見られる種類だが、おもに南部辺りで見られることが多い種類。
ナミテントウに似ているが、触角の先が尖っている。
名前の由来は新撰組が身に纏っていた隊服の模様「ダンダラ模様」から。
他の種類とは違って単独もしくは数匹で越冬する。

・ニジュウヤホシテントウ

本州・四国・九州・南西諸島に分布する。
大きさは5~7mmほどで、黄褐色~赤褐色の翅と、名前の通りの28個の水玉模様をもつ。

基本的に肉食のテントウムシ一族には珍しい草食性の種類。
しかしこいつはナス、ジャガイモ、イヌホオズキ、ヒヨドリジョウゴ、チョウセンアサガオなどのナス科の植物の葉を食べる『害虫』で、幼虫はトゲトゲで足が生えた緑色のウジ虫の様な見た目をしているグロイ奴且つテントウムシ一族の面汚し。
農家からはテントウムシダマシとまで呼ばれる*2
さすがに背中にトゲ生やして体当たりするほどテントウムシやめてたりはしないが
ナス科大好きなので、ワルナスビも食べてはくれるが、それより作物への被害のほうが多いので、見つけ次第駆逐してやろう。

ちなみに害虫だからかはわからないが、かこさとしの絵本『からたちばやしのてんとうむし』だと、こいつが「てんとだいじん」というてんとうむしの権力者として悪役で登場する。

・キイロテントウ


文字通り体色が黄色いテントウムシ。
なんとこいつは菌類を食べる変わり者で、成虫、幼虫共にうどん粉病菌を食べる、農家やガーデニングをたしなむ人にとってはありがたい奴。

・ベダリアテントウ

オーストラリア原産種で、現在は世界中に分布。
前述した通りテントウムシは害虫食いとして農家から頼られる存在だが、その極致と言えるのがこいつ。地の色が黒で点々が赤というナナホシの反転のような見た目をしている。
幼虫も成虫も同郷の柑橘種害虫であるイセリアカイガラムシだけをひたすら食いつぶす性質を持ち、アメリカ・ヨーロッパに入り込んで大害をもたらしたイセリアカイガラムシを駆逐して柑橘栽培を救ったすごい奴。
基本的に天敵を導入する対抗策は大失敗に終わるか、メリットよりも多大なデメリットを与えてしまうものだが*3
ベダリアテントウは生物的防除における最適解と評しても過言ではないのだ。
  • 上記の通りカイガラムシ類だけを餌として捕食するので、植物に影響が出ない。
  • カイガラムシがいなくなると今度は共食いを始めるので、ベダリアテントウだけが爆発的に繁殖してしまう二次被害が出ない
  • 導入コストがクソ安いうえに管理も楽で簡単。
とまあ、人間にとっては物凄く都合の良い虫ピッピなのである。


・アオイロテントウムシ

ここまで来ればアニヲタの諸君も思っただろう。
青いテントウムシもいるんじゃね?」と。

しかし残念ながら…存在しない。


確かに青いテントウムシは残念ながら存在しない…日本には。

しかしオーストラリアにはメタリックブルーのテントウムシが存在しているのである。よかったね!
名前は「steelblue ladybird」日本語に訳せば「アオハガネテントウ」というべきだろうか。

てんとうむしのサンバを作詞したさいとう氏でもご存知あるめえ!

●テントウムシがモチーフのキャラクター●

特撮


アニメ・漫画・ゲーム


玩具

  • デッドバスター(ゾイドシリーズ]])

楽曲

  • てんとう虫のサンバ(チェリッシュ)
  • ぼくらきょうだいてんとう虫(堀江美津子)
  • てんとう虫(一青窈)
  • 天道虫(THE YELLOW MONKEY)

その他

  • スバル360…富士重工(現:SUBARU)の軽自動車。丸みを帯びたフォルムと、設計の参考にしたフォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)の対比から「てんとう虫」の通称で親しまれた。



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最終更新:2025年04月26日 17:34

*1 和名は「アイヌテントウ」

*2 実在するテントウムシ近縁種の和名テントウムシダマシと紛らわしいというか下手するとネット上ではニジュウヤホシテントウの方の話題が多く、和名テントウムシダマシ科の話題を検索したい時は学名Endomychidaeの方で検索した方が良いかもしれないほど

*3 有名なのは沖縄のハブを駆逐するために導入されたマングース。活動時間からして全く違ううえに、危険なハブを襲うよりもその辺の畑にある食べ物や、狩り易い生物を食べた方が楽なので、沖縄の生態系&生活環境に深刻な被害を齎してしまい、マングースの方が害獣になってしまった。安易な生物的防除を取り入れたことにより本末転倒な大失敗例。

*4 なお、前作「重甲ビーファイター」の紅一点・レッドルもテントウムシっぽく見えるが実際のモチーフはメスのカブトムシだったりする。