ユニオン・キャリアー(遊戯王OCG)

登録日:2022/09/11 Sun 09:55:25
更新日:2025/03/14 Fri 19:25:39
所要時間:約 11 分で読めます




ユニオン・キャリアー
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リンク・効果モンスター(禁止カード
リンク2/光属性/機械族/攻1000
【リンクマーカー:右/下】
種族または属性が同じモンスター2体
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
このカードはリンク召喚されたターンにはリンク素材にできない。
(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
元々の種族または元々の属性が対象のモンスターと同じモンスター1体を手札・デッキから選び、攻撃力1000アップの装備カード扱いとして対象のモンスターに装備する。
この効果でデッキから装備した場合、ターン終了時まで自分はその装備したモンスターカード及びその同名モンスターを特殊召喚できない。

《ユニオン・キャリアー》とは、遊戯王OCGで登場したカードの1枚。
「LINK VRAINS PACK 3」に収録されたリンクモンスター。

概要

フィールドのモンスターに、種族か属性が一致するモンスターカードを装備させる効果を持つ。

「ユニオン」と名がつく通り、モンスターに装備するユニオンモンスターをサポートしている。
同じ種族or同じ属性という制限こそあるものの、手札・デッキから任意のユニオンモンスターを装備できるため利便性が高い。
「フィールド上で装備効果を発動するので、召喚権を使ってしまう」というユニオンモンスターの欠点に対する答えにもなっている。




…ように見えるが実はこのカード、ユニオンモンスターのサポートとして全然機能していない


まず第一に、ユニオンモンスターの装備状態の解除と相性が悪い点。
《ユニオン・キャリアー》の効果で装備すると、制約のせいで装備したユニオンモンスターをそのターン中に特殊召喚できなくなってしまう。
「装備状態を解除して特殊召喚、モンスターを並べて各種展開に使う」という流れはユニオンモンスターの十八番であるため、それを潰してしまう。


第二に、ユニオンモンスターの装備効果を使用しづらい点。
特に8期以前のテキストのユニオンモンスターに見られるのだが、
それらのユニオンモンスターの「装備時に機能する効果」は自身の効果で装備されていないと機能しないのである。
外部の効果で装備させる場合、《ゲットライド!》等の様に正規手順扱いで装備させる効果でないと使用できない*1
《ユニオン・キャリアー》の効果は正規手順扱いではないため、装備してもその効果は機能しないのである。

9期以降のテキストになったユニオンモンスター*2であれば、他の効果で装備されていても効果を使用できるためサポートにはなる。
だが9期以降のテキストのユニオンモンスターはそもそも数が少ないため、自ずと恩恵にあずかれるカードも少なくなってくる。
後に《ユニオン・ドライバー》*3が登場したので、光属性or機械族のモンスターになら間接的に正規手順でユニオンモンスターを装備させられるようにはなった。
ただ結局のところ、単体では機能させられないユニオンモンスターが多いことには変わりない。


「ユニオンモンスターのサポート」として運用する場合、一番有効活用できるテーマは【ABC】になるだろう。
《ユニオン・キャリアー》そのものに装備できる光属性/機械族のステータス、《ABC-ドラゴン・バスター》の召喚補助などの点で相性がいい。

逆に言うとそれ以外のユニオンモンスターを満足にサポートできないということでもあり、立派なサポートカードと胸を張れないのが正確なところである。
そもそもこれ以前からユニオンモンスター自体が不遇だろというのは禁句。



真の活用方法

以上の通り、このカードを「ユニオンモンスターのサポート」として評価すると今ひとつな部分は否めない。
しかし実際の環境において、このカードの評価は非常に高くなっている。
それは「ユニオンモンスターのサポート」という評価をされていないからだ。

今まであえて触れてこなかったが、《ユニオン・キャリアー》の最大の特徴について解説する。
それは「装備させるモンスターはユニオンモンスターでなくても構わない」ということ。

そうして見た場合、《ユニオン・キャリアー》の効果は
「種族か属性さえ一致すれば、どんなモンスターでもデッキから取り出して場に用意できる」効果になる。
この「どんなモンスターでもデッキから取り出せる」という部分が最大の強みで、運用方法は多岐にわたる。

サーチ

装備カード状態になったモンスターを手札にバウンスすることで、実質的なサーチ効果として扱うことが可能。
自分のカードをバウンスさせるカードも《BF-精鋭のゼピュロス》を始め豊富に存在する。
これにより手札誘発などの手札に握りたいカードを手短に確保できる。

墓地肥やし

上の用途と似た流れで、装備状態を経由して墓地を肥やす用途にも使用可能。
装備状態のカードを直接破壊するか、何らかの方法で装備されたモンスターごと墓地に送ることで達成できる。

制約により装備したカード(及び同名カード)は特殊召喚できなくなるため、自己蘇生効果による展開はできないが、墓地効果を使うことは問題ない。
例えば《ゾンビキャリア》を落として自己蘇生させることはできないものの、《馬頭鬼》を落として蘇生効果を発動することはできる。

墓地肥やしを行うには汎用リンクモンスターとして、《ライトロード・ドミニオン キュリオス》も存在する。
フィールドの状況に左右されず直接墓地に落とせるのはあちらの利点だが、
召喚条件が《ユニオン・キャリアー》より厳しくなっているため一長一短の関係に収まっている。

【オルフェゴール】【ドライトロン】などでよく使われる用途だが、全体で見ればこの用途で使用されることは少なめ。
理由は単純に「ほかの用途のほうがよっぽど強くて代替し難い」ためである。

「フィールドから墓地に送る/送られた」の条件を満たす

効果発動条件に「このカードがフィールドから墓地に送られた」と書かれたカード効果を補助することも可能。

クリッター

効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 600
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。
デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を手札に加える。
このターン、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの効果を発動できない。

例えばこの《クリッター》だが、《ユニオン・キャリアー》の効果で装備させた後に墓地に送ることで、その条件を満たすことができる。
これは「フィールドから墓地であればどこからでも構わない」ために成立している*4
有名処の使用例では【アダマシア】にて《ブロック・ドラゴン》を装備させ、サーチ効果につなげる等がある。

剣闘獣ガイザレス

融合・効果モンスター
星6/闇属性/鳥獣族/攻2400/守1500
「剣闘獣ベストロウリィ」+「剣闘獣」モンスター
自分フィールドの上記カードをデッキに戻した場合のみ、EXデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。
(1):このカードが特殊召喚に成功した時、フィールドのカードを2枚まで対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
(2):このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に
このカードを持ち主のEXデッキに戻して発動できる。
デッキから「剣闘獣ベストロウリィ」以外の「剣闘獣」モンスター2体を特殊召喚する。

他にはこの《剣闘獣ガイザレス》が該当する。
コンタクト融合などの「フィールド上の特定のモンスターカードを墓地に送って特殊召喚する融合モンスター」の召喚補助にも使える。
特殊召喚手順としてフィールド(モンスターゾーン限定とは言っていない)から墓地に送るため、素材調達として成立している。

通常の《融合》など魔法カードや効果による融合召喚では、この裏技は使用できないので注意。
ただそちらの場合でも、上記の間接的なサーチ・墓地肥やしであれば素材供給でサポートができる。

無限のカウンター

霞の谷の巨神鳥

効果モンスター
星7/風属性/鳥獣族/攻2700/守2000
このカードの効果は同一チェーン上では1度しか発動できない。
(1):魔法・罠・モンスターの効果が発動した時
自分フィールドの「ミスト・バレー」カード1枚を対象として発動できる。
その自分の「ミスト・バレー」カードを持ち主の手札に戻し、その発動を無効にし破壊する。

回数制限の無いカウンター効果が魅力的な《霞の谷の巨神鳥》
単独でも十分驚異的なカードだが、次の《霞の谷の雷鳥》と組み合わせるとより強力な盤面になる。

霞の谷の雷鳥

効果モンスター
星3/風属性/雷族/攻1100/守 700
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが手札に戻った時、
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したターン、このカードは攻撃できない。

バウンスを条件にフィールドに戻るため、併用すれば無限のカウンター効果が期待できる《霞の谷の巨神鳥》。
しかし通常であれば《霞の谷の巨神鳥》と《霞の谷の雷鳥》を並立させるのは見た目似てるのに種族が全然違うのもあって骨が折れる。

そこで《ユニオン・キャリアー》の出番。
《霞の谷の巨神鳥》ないしそれをリクルートできる《王神鳥シムルグ》に《霞の谷の雷鳥》を装備。
するとあら不思議、《霞の谷の巨神鳥》と《霞の谷の雷鳥》があっさり並立できてしまいましたとさ。

装備状態で効果を使用

おそらく最も重要で汎用的な使用方法。
モンスターカードの中には、ユニオンモンスター以外にも「装備カード状態の時に機能する」効果を持つモンスターが多く存在する。
ただし装備カード(及び同名カード)を特殊召喚できないため、例えば《ドラグニティ-ファランクス》の効果を使用できない。

破壊剣-ドラゴンバスターブレード

チューナー・効果モンスター
星1/闇属性/ドラゴン族/攻 400/守 300
「破壊剣-ドラゴンバスターブレード」の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに自分フィールドの「バスター・ブレイダー」1体を対象として発動できる。
自分の手札・フィールドからこのモンスターを装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。
(2):このカードが装備されている場合、相手はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない
(3):このカードが装備されている場合に発動できる。
装備されているこのカードを特殊召喚する。

この用途で大きな役割を果たすのはこのカード。
装備状態でフィールドにいる限り相手のEXデッキを封印してしまう、【バスター・ブレイダー】専用の制圧札。
しかし《ユニオン・キャリアー》の手にかかれば闇属性orドラゴン族を用意できるデッキが容易に確保できる制圧札になる。

Z W(ゼアル・ウェポン)阿修羅副腕(アシュラ・ブロー)

星4/炎属性/天使族/ATK 1000/DEF 1000
(1):「ZW-阿修羅副腕」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。
(2):自分フィールドの「希望皇ホープ」モンスター1体を対象として発動できる。
自分の手札・フィールドからこのカードを攻撃力1000アップの装備カード扱いとしてその自分の「希望皇ホープ」モンスターに装備する。
(3):このカードが装備されている場合、装備モンスターは相手フィールドの全てのモンスターに1回ずつ攻撃できる。

ホープ】が誇るワンショットキルの手段の1つ。
こちらは炎属性or天使族に容易に全体攻撃を付与できるため、攻撃性能の高いカードに装備させて勝負を決めたい所。
《ユニオン・キャリアー》側の効果で攻撃力が1000上げられるのも相性が良い。



消費手段

今までここに挙げた使用方法は確かに強力であったものの、無視できない難点を持っていた。
それは効果を使い終わった《ユニオン・キャリアー》の処分方法。
リンク召喚したターンにリンク素材にできない制約があるため、フィールドから退かす手段が限られている。
かと言って弱小ステータスのモンスターを棒立ちさせて相手ターンを迎えるのは不安が少なくない。
なので《ユニオン・キャリアー》の使用は、後処理手段または戦闘ケア手段の確保を一応問題としていた…

はずだったが、この問題も後年克服してしまう。

ギガンティック・スプライト

エクシーズ・効果モンスター
ランク2/闇属性/雷族/攻1600/守1600
レベル2モンスター×2
このカードは自分フィールドのリンク2モンスターをレベル2モンスターとしてX召喚の素材にできる
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):融合・S・X・リンクモンスターのいずれかをX素材としているこのカードの元々の攻撃力は倍になる。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
自分フィールドのX素材を1つ取り除き、デッキからレベル2モンスター1体を特殊召喚する。
この効果の発動後、ターン終了時までお互いにレベル2・ランク2・リンク2のモンスターしか特殊召喚できない。

解決策その1。なんとリンク2モンスターも素材にX召喚できる。

《ユニオン・キャリアー》を素材にエクシーズ召喚することで棒立ちを回避できる利点を持つ。
その状態なら攻撃表示でも(1)の効果により攻撃力3200にまでなるので、戦闘でも怖くない。

所属する「スプライト」はレベル2、ランク2、リンク2のモンスターに関係した効果を持つテーマ。
このテーマにとって《ユニオン・キャリアー》は《ギガンティック・スプライト》の素材になるだけでなく
上記の《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》を採用できる大きな利点があるため、主要カードにまで昇華している。

世海龍ジーランティス

リンク・効果モンスター
 
リンク・効果モンスター
リンク4/水属性/海竜族/攻2500
【リンクマーカー:上/左/右/下】
効果モンスター1体以上
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):「世海龍ジーランティス」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
フィールドのモンスターを全て除外する
その後、この効果で除外したモンスターを可能な限り元々の持ち主のフィールドに表側表示または裏側守備表示で特殊召喚する
(3):自分・相手のバトルフェイズに発動できる。
フィールドの相互リンク状態のモンスターの数まで、フィールドのカードを選んで破壊する。

解決策その2。フィールドの全モンスターを一旦場から離すことができる。

何らかの方法で《ユニオン・キャリアー》と《世海龍ジーランティス》を揃え、《世海龍ジーランティス》で一時的な除外を発動。
すると《ユニオン・キャリアー》の情報がリセットされ、「このターンにリンク召喚されたカード」ではなくなりリンク素材として消費できる
「フィールドから墓地に贈られる条件を満たす」を狙いにして装備させた場合、この一時的除外で達成してしまえるのもポイント。


I:Pマスカレーナ

リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
◀   ▶
リンク2/闇属性/サイバース族/攻 800
【リンクマーカー:左下/右下】
リンクモンスター以外のモンスター2体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手メインフェイズに発動できる。
このカードを含む自分フィールドのモンスターをリンク素材としてリンク召喚する。
(2):このカードをリンク素材としたリンクモンスターは相手の効果では破壊されない。

解決策その3。《I:Pマスカレーナ》によるアクセルリンク。

《ユニオン・キャリアー》をリンク素材にできない制約は「リンク召喚したターン」のみなので、次の相手ターン以降には解除される。
そこで相手ターンでリンク召喚を実現する《I:Pマスカレーナ》と合わせることにより、リンク3~リンク4モンスターの素材として処分終了。


数少ない(やや揚げ足取りですらあった)欠点すらも克服してしまい、益々猛威を振るっている。



禁止動向

日本では2022年9月11日時点で無制限だが、その暴れっぷりから禁止を危惧されている。
基本的に1回効果を使えればいいEXデッキのカードであるため、制限指定が意味を成しにくいのもその予想に拍車をかけている。

かたや海外では早々に見切りをつけたのか2021年3月15日付で禁止カードに指定。
ただしその三ヵ月前には、併用が目立っていた《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》を禁止カードに指定している。
《ユニオン・キャリアー》の禁止と同時に無制限復帰したとはいえ、【バスター・ブレイダー】使いにとっては少しの間側杖を食うこととなってしまった。遊戯王では良くあること

そして日本国においても、全プレイヤーが予想していた通り2022年10月付であえなく禁止カード指定を喰らうこととなった。


余談

イラストは巨大な輸送列車のモンスターになっている。
運んでいるのは恐らく《ユニオン格納庫》のコンテナ。

ちなみに上記の活用法が「テーマ専用カードを他所のデッキにキャリーしている」というふうに解釈され、
そこから「裏の運び屋」「密輸列車」の別称(あるいは蔑称)を、ユーザーから付けられている。

「遊戯王マスターデュエル」においてはリリース開始時から召喚時演出を持つカードとして実装されている。
最初期の環境では《イーバ》を活用する【ドライトロン宣告者】が猛威を振るっていた事もあって、嫌となるほど演出を良く見たプレイヤーも多かった。


追記・修正はデッキからモンスターを装備させてからお願いします。

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最終更新:2025年03月14日 19:25

*1 テキストでの見分け方としては「装備可能な」と指定されていれば正規手順扱いである

*2 新規以外にも、再録されたものもテキスト整備によって処理が9期以降のものと同じになる。《Y-ドラゴン・ヘッド》などが有名

*3 正規手順扱いでユニオンモンスターをデッキから装備させることができるユニオンモンスター

*4 ちなみに全くの余談だが、エクシーズ素材の場合はフィールド上には存在するがカードとして存在していないため、「この『カード』がフィールドから」の方を満たせず使用できない。