イーバ(遊戯王)

登録日:2022/05/22 Sun 11:18:57
更新日:2025/01/01 Wed 09:47:44
所要時間:約 8 分で読めます




《イーバ》とは、遊戯王OCGに登場するカードの一枚。
ストラクチャーデッキR-神光の波動-」で登場し「ストラクチャーデッキR-ロスト・サンクチュアリ-」に再録された。

《ゼータ・レティキュラント》の効果で召喚される「イーバトークン」の事は後述。


【性能】

効果モンスター
星1/光属性/天使族/攻500/守200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが墓地へ送られた場合、
このカード以外の自分のフィールド・墓地の天使族・光属性モンスターを2体まで除外して発動できる。
除外した数だけ、デッキから「イーバ」以外のレベル2以下の天使族・光属性モンスターを手札に加える(同名カードは1枚まで)。


【概要】

どこからでもいいので墓地に送られた際、フィールドもしくは墓地の天使族・光属性モンスターを除外し、その分デッキから天使族・光属性モンスターをサーチする事が可能なデッキの潤滑油。
発動自体は非常に安易。コストでフィールド、墓地のカードを除外する必要があるが墓地送りの手段が豊富な天使族にとってはそれほど重みではないだろう。
特に低レベルの天使族、光属性が主体の宣告者やチューナーのサーチに一役買ってくれる。
また除外するカードにはレベルの制限がない為、除外されたターンに特殊召喚される《ゼラの天使》と組むとほぼノーコストでサーチできる。

……と言いたいが残念ながらレベル2以下の天使族モンスターに単体で盤面をひっくり返せるモンスターは少なく、彼1人でボードアドバンテージを取り返すことは難しい。
また「このカードが墓地へ送られた場合」のみに発動するので、あらかじめ墓地に送っといて必要な時に発動…という事はできない。即ちフィールド、墓地に《イーバ》以外の天使族がいない場合は効果を発動できなくなる。
どちらかというとこちらが攻めているときに各種宣告者やチューナーを引いて、更に相手を制圧する戦い方が主流と言えるだろう。

アニメには登場していないが漫画「遊戯王OCGストラクチャーズ」でライト月子が使用。
宣告者デッキで複数体採用しており、《宣告者の神巫》と互いにサーチを駆使しながら盤面を有利に進めた。


【余談】

イラストはステレオタイプの宇宙人の子供が、煙を吹いているUFOから命辛々脱出しているというもの。
どうやら彼は一人で旅をしていたが、地球(に似た星)に墜落してしまったようだ。
となると《イーバ》は(墓地に)墜落し仲間に助けを求めるも、その仲間が(手札に)来た頃には既に手遅れだった…という悲しいストーリーが推測される。

その愛嬌もあるイラストながら遊戯王らしいハードなストーリー、ストラクを買うだけで手に入る手軽さ、効果は強力だが必殺ではないお手軽さという事から、多数のデュエリストに意識されるモンスターとなっている。




追記修正は自身を除外してからお願いします。













   *   *
 *   + うそではないですが大事な事を抜かしております。
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y    Y  *



【真の概要】

…とこれだけなら正直「天使族で便利なモンスター」くらいのレベルで済んだのだが、実はこいつ海外では禁止カードに指定されていた程のやばいモンスターである。(2024年9月から向こうでも制限カードに緩和された。)
日本でもこいつの顔を見るだけでうんざりするデュエリストは多い。
中には「《イーバ》死ね」と辛辣な意見をぶつけるデュエリストもいる…墓地に行ったら(死んだら)厄介な事になるのでなお質が悪い。いつぞやかのアンデット族に対するやり取りを彷彿とさせる。
なので彼を罵倒するなら「《イーバ》(直接)除外されろ」が正しい。

このようなやっかみを受ける理由は次のカード達にある。


神光の宣告者(パーフェクト・デクレアラー)
儀式・効果モンスター
星6/光属性/天使族/攻1800/守2800
「宣告者の預言」により降臨。
(1):相手がモンスターの効果・魔法・罠カードを発動した時、手札から天使族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
その発動を無効にし破壊する。

崇光なる宣告者(アルティメット・デクレアラー)
儀式・効果モンスター
星12/光属性/天使族/攻2000/守3000
「宣告者の神託」により降臨。
このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。
(1):手札から天使族モンスター1体を墓地へ送って以下の効果を発動できる。
●相手がモンスターの効果・魔法・罠カードを発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
●相手がモンスターを特殊召喚する際に発動できる。
その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する。

それぞれ手札の天使族を墓地に送ってこちらの行動を阻害してくる制圧モンスター。
「宣告者」の切り札であり、手札に天使族がいる限りはほぼ無敵に近い奴らだ。
しかもその条件は「天使族モンスターを墓地に送る」…なので手札にいる《イーバ》を捨ててその《イーバ》でサーチし更に妨害回数を増やすという地獄のようなやり取りをしてくる。
更に《イーバ》の効果でモンスター効果を無効にする《朱光の宣告者》をサーチしてくるので仮に「壊獣」や《禁じられた一滴》で儀式宣告者を無用にしても完全に突破してそのターン中にライフを削りきるのは難しい。

とまぁ「宣告者」単体であれば正直こいつらを出される方は相手がかなり回ったとき(特に《崇光なる宣告者》)で、出されたところできついのには変わりないが攻撃力1800ないし2000くらいなら割と何とかなる。
《イーバ》はお手軽だがその《イーバ》を使う方が召喚条件が厳しく、このコンボはロマンの一つ…のはずだった。

なのだが次のカードの登場でそれも変わる。


流星輝巧群(メテオニス・ドライトロン)
儀式魔法
儀式モンスターの降臨に必要。
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):攻撃力の合計が儀式召喚するモンスターの攻撃力以上になるように、
自分の手札・フィールドの機械族モンスターをリリースし、自分の手札・墓地から儀式モンスター1体を儀式召喚する。
(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの「ドライトロン」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を相手ターン終了時まで1000ダウンし、このカードを手札に加える。

レベルの合計ではなく攻撃力の合計を参照する儀式魔法の《流星輝巧群》と通常召喚出来ない代わりにレベル1でも攻撃力2000の下級モンスターを擁するドライトロンの登場により状況が一変。
お手軽にポンポン出てくる制圧モンスターとなってしまった。
これらを有した【ドライトロン宣告者】は環境デッキとなり、《イーバ》はその一員として八面六臂の大活躍をしている。

おかげで本来の切り札の《竜儀巧(ドライトロン)-メテオニス=QUA》と《竜儀巧(ドライトロン)-メテオニス=DRA》が割を食ってしまった。この2体もとても強いのに…

とはいえドライトロンは見ての通り機械族。
いくら《イーバ》と《崇光なる宣告者》が強力でもこの2枚だけでは制圧しきれないし他の天使族を入れる枠は無い…と思いきや、正直な所《宣告者の神巫》やサイバー・エンジェルと儀式サポートできる天使族と相性が良すぎる。こいつらも平気で墓地に行くし…。
更にそれぞれ各種サーチが強力な為、多少事故ってもなんとかなってしまう
また《崇光なる宣告者》が出てない状態でも《宣告者の神巫》をサーチし初動につなげる事が可能と、まぁ見事なまでに噛み合っちゃっている。
こうして《イーバ》は今日も遅い助けを呼んでいる。そしてその助けも宣告者の手によって墓地に送られている。

《イーバ》本人が登場した初期はそれほど注目されていなかった。
2017年頃はレベル2以下の天使族自体層が薄い上に宣告者や儀式全般が廃れて久しく、活用できるテーマはせいぜいトリックスターぐらいしかいなかったのだ。
だがその後も相性が良すぎるカードが次々登場し、足掛け4年くらいで遂に環境カードとなる。
昔のカードが突然一級品となるのは、遊戯王OCGの面白いところの一つだろう。正直な所やりすぎな気もするが。


【弱点】

便利すぎるモンスターである《イーバ》だがやはり弱点は多い。

皆大好き、デッキからのサーチを防ぐ手札誘発の代名詞。
こいつを打たれるだけで《イーバ》は自分+天使族2体を除去するだけのカードとなってしまう。
…なのだがドライトロンはデッキからのサーチを主体とする効果であり、ターン1制限のあるうららはどっかで打っている事が多く、むしろ《イーバ》に打てる頃には手遅れになってることが多い
だが展開の途中で《イーバ》を絡める場合は常に注意したいところ。この辺りの駆け引きはデュエリストの腕の見せ所だろう。

手札、墓地、除外ゾーンでの発動を無効にしバーンダメージまで与えてくる《イーバ》の天敵。
こちらはターン制限がない為に一度打たれても二度目、三度目の警戒が必要。
2022年5月現在での採用率は低いが、【蟲惑魔】【ラビュリンス】【エルドリッチ】と言った罠ビートではたまに見かける為、警戒に越したことは無い。

  • 除外
《イーバ》の効果が発動するのは「墓地に送られた時」なので墓地じゃないところに送られたら効果が発動できなくなる
要するに《マクロコスモス》や《ディメンション・アトラクター》や《墓穴の指名者》は天敵。
ついでに言うとそれらを出されると宣告者、ドライトロン自体が詰みかねない
除外ではないが墓地メタである【エクソシスター】等も明確な弱点となる。

  • 初手で引いてしまう
そもそも彼が動き出すには墓地に送る必要があり更にフィールドと墓地の天使族が必要なので、それができない状況では腐ってしまう。
《イーバ》本人はレベル1なので最悪召喚して《リンクリボー》辺りにリンク召喚すれば墓地に送れるが、彼が助けを呼ぶには弾が必要なのである。
勿論プレイング次第では挽回可能であるが、高速化が進んだ環境で1枚捨て札になってしまう影響は割と大きい。過信は禁物である。

と《イーバ》単体なら対処法は非常に多いのだが、問答無用で召喚、効果を無効化する《崇光なる宣告者》がいればそれら全てを封殺すら可能
逆に言えば《崇光なる宣告者》も単体なら強力ではあるものの手札を使い切らせれば多少ステータスが高いだけのモンスターでしかない。
つまりこの2体が組んだ時に初めて地獄が訪れるのだ。
こうなるとどうしようもないので、相手としては逆転の手立てが来るかライフが尽きるまで彼のサーチを見守る他無くなってしまう。
前述の通り海外では禁止カードなものの日本では《イーバ》も元気に無制限2022年に制限カードとなった。
まあ海外では《増殖するG》が禁止になっているせいでこの手の先攻でガンガン展開して封殺するタイプのデッキは何かと厳しく規制されがちなのだが。いい加減返してやれよ
…だがドライトロン自体がメタが安易な事もありマッチ戦では不安定。その為《イーバ》や《崇光なる宣告者》も「1デュエルで活躍できても1マッチで活躍できるかは話は別」と言った塩梅となっている。
まぁこの手のシングル戦で強いカードはマッチ戦がない遊戯王マスターデュエルでは大活躍するのだが。

とか言ってたらレベル、ランク、リンクが2のモンスターが主体のスプライトに代行者と一緒に入り込んで悪さをすることもある。
ただ本人のレベルが1なので稀に事故の元になったりもするらしいが。


【余談】

上述の通り、マスターデュエル環境では【ドライトロン宣告者】は大活躍。《イーバ》も当たり前のように墓地に墜落してデッキを回している。だのに規制は《サイバー・エンジェル-弁天-》が食らった。あれも強力カードではあるが。
余りにも見る為飼い主相性のいい《崇光なる宣告者》とのファンアートが書かれることもある。
だが、ある意味ではカリスマ性を持つ《崇光なる宣告者》と違って《イーバ》は妙にひどい目にあうことが多い残念ながら当然であるが。
だが《サイバー・エンジェル-弁天-》の制限はやはりきつく、また強力カードが次々と実装された現状【ドライトロン宣告者】が環境から姿を消し、《イーバ》本人もまた見かけなくなった。
とはいえハマれば強いデッキであることには変わりない事に加え他の天使族デッキでも十分な性能を誇るため、それらが主体のデッキではまだまだ出番があるだろう。

「イーバ(EBE)」とは、地球外知的生命体(Extraterrestrial Biological Entity)の略である。要するにエイリアン
また前述の通り、遊戯王Rに登場した《ゼータ・レティキュラント》が効果で生み出すトークンの名前が「イーバトークン」。遊戯王OCGでイーバの名前が出たのは実はそちらが先である。
古参のデュエリストはそちらの方が印象深いだろうか。
ちなみにモチーフは同じであるがスペックは「星2/闇属性/悪魔族/攻500/守500」であり、カードの方の《イーバ》とは攻撃力が500な事以外共通点が全くなかったりする。




追記修正は《イーバ》を墓地に送ってからお願いします。


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