乾龍二(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)

登録日:2022/10/09 Sun 00:00:31
更新日:2025/07/11 Fri 20:30:02
所要時間:約 8 分で読めるというお話




※推奨BGM:「Don't Boo!ドンブラザーズ」


じか~い、次回。

あなたがイヌブラザーの正体だったんですね!


ついにイヌブラザー正体(しょうたい)(あき)らかに!


え?やめてください!みほちゃんは僕の奥さんです!


VS!まさかのバトル!?


そんなに言うなら、勝負だ!


ドン31かおバレわんわん


……という、お話。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/













やっぱり俺、才能ないのかな……?


(いぬい)龍二(りゅうじ)とは、スーパー戦隊シリーズ第46作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の登場人物である。

演:山岸健太


【概要】

ドン31話「かおバレわんわん」に登場したゲストキャラクター。

「嵐のスカイックボイス」を自称するストリートミュージシャンで、金髪のアフロヘアと黒い革ジャンがトレードマークの男性。
ミュージシャンとしては鳴かず飛ばずで、日々路上ライブを行っているものの、道行く人々には素通りされている。
そんな彼の歌声を唯一認めてくれたのはガールフレンドの祥子だけであったが、その祥子にも先日フられてしまい、失意のどん底に突き落とされていた。


【行動】

その日のライブもろくに客が集まらず、落胆して家路につく最中だったところ、天装鬼の攻撃で吹き飛ばされたイヌブラザーが脳天に激突。
そのまま気絶してしまい、同時にイヌブラザーも変身を解除して犬塚翼の姿に戻って元いた場所に戻されていったのだが、その直前イヌブラザーのサングラスが龍二のそばに落ちてしまい、傍目からは龍二がサングラスの持ち主であるかのような状況が出来上がってしまった。

そして案の定、イヌブラザーの変身者を探っていた本人以外の4人からその正体だと間違われてしまう。
当然、何のことだかさっぱり理解できない龍二は「彼らはバンドで、自分をスカウトしに来た」のだと勘違い。
自分を仲間として扱ってくれる彼らを前にすっかり有頂天になる龍二だが、そんな中で再び天装鬼が出現。
異形の怪物を前に内心驚きを隠せない龍二だが、ひとまず4人の真似をし始め、目の前に現れたドンブラスターを楽器と思い込んで操作し、イヌブラザーに変身するのだが……


なんじゃこりゃあああああああ!?


すっかり変わり果ててしまった自分の姿を前に驚愕した。
目の前で戦闘が始まってしまい、ドンブラザーズがバンドではない事に気付くが、もちろん今まで戦った事などない龍二は困惑するばかりであり、慌てている間に天装鬼に蹴飛ばされて変身解除してしまう。
しかし、偶然その場に駆け付けた犬塚がサングラスを拾って変身して戦闘に参加した事もあり、その場は収まった。

その後、犬塚と改めて対面し、お互いに事情を把握。
この時、ドンブラザーズはイヌブラザーの正体を探ろうとむりやり彼を捕獲しようとしてきたこともあり*1、犬塚は龍二を一種の影武者にして彼らの注意をそらす事を思いつき、龍二を新たなイヌブラザーに任命するのだった。

こうして黒いヒーローに憧れていたのもあり、晴れて(?)イヌブラザーになった龍二は完全にその気になった。
喫茶どんぶらに迎え入れられるも、アフロヘアをオールバックにし、


俺は一匹狼。誰とも組む気はねえ……。

俺が流す涙はない……。ただ、戦いの中で……血を流す……。


と、憧れていたのであろうコテコテなニヒリストを演じて得意気になっていた。
だが、そのキャラは思いのほか桃井タロウ以外の3人からは好評で、彼らに台詞を要求されると「たとえ天が見放しても、俺の拳は……裏切らない」「俺は納豆と男が……大嫌いなんだ」どこかで聞いたような珍台詞を連発するのだった。

そんなこんなで、龍二にとっては新たなヒーローとしての人生が始まると思われていたのだが……?


狂い始める歯車

愛妻であるみほと食事の約束をしていた雉野つよし
だが、その待ち合わせに偶然居合わせた龍二はみほを祥子と思い込んでしまう。

ただでさえ夏美と同一人物疑惑が出ているというのに、そこに更なる人物の疑いまで出てきたこともあり、物陰からそれを見ていた犬塚は困惑を隠せない。
そして何より、つよしはみほに言い寄る龍二を制止するが、過激化して言い合いになり、不信感からお互い「一緒に戦えない」と言い出してしまう。そもそもその日が初対面なので、信頼も何もないのだが。

他のメンバーに白黒付けてもらおうと考えた彼らだが、タロウから「個人的な感情をドンブラザーズに持ち込むな!自分達で解決しろ」と一喝され、とある公園で決闘することになる。


勝負だ乾さん……みほちゃんは絶対に渡さない……。たとえ、命に代えても!

望むところだ!


そうしてドンブラスターを構える2人だが、そこに待ったをかけたのは、他でもないみほであった。


私をかけて決闘って……私はこの人の妻です!

あなたに入り込む隙はありません!


と、自分は雉野つよしの妻・雉野みほであると断言。
更にはそれを見せつけるかの如く、その場に敷物を敷いてつよしを膝枕し、そのまま耳掃除を始めてしまった。

そんな仲睦まじい姿を見たことで、みほと祥子は別人であることを嫌でも痛感させられた龍二。
だが、そのせいで祥子への執着が爆発してしまった……。


【天鬼】



痩せたい……痩せたい!ダイエット、ダイエット!!

祥子ちゃん!祥子ちゃん!……帰ってきてくれえええええ!!!


螟ゥ陬?姶髫(天装戦隊)

CV:西洋亮/山岸健太
身長:195cm
体重:238kg
スキン:天使像ヘッダー
むかしむかし:龍二は黒いヒーローに憧れがあったそうな…。

名もなき街の大食漢の「ダイエットしたい」という欲望から生まれた天装モデルヒトツ鬼……
だったのだが、その大食漢がたまたま入った定食屋の女性に「私は一杯食べる人が好き」と言われて欲望を失ったことで宿主から分離し、その直後「祥子ちゃんに帰ってきてほしい」という欲望を抱いた龍二に憑依し、顕現した。

王冠を被った石像のような頭部天使の羽が組み合わさったようなスキン・天使像ヘッダーを纏っている。
一見すると古代遺跡や古の芸術作品にみられる彫刻のような厳かさを醸し出しているが、如何せん無骨な石像風の頭部と純白の羽を纏ったボディの組み合わせはどこかチグハグでミスマッチであり、
まるで雑な天使のコスプレをした岩石のモンスター、あるいは他人の言うことに耳を貸さない文字通り石頭な天使といった雰囲気がある。石造りの顔の表情もまた天使とは程遠い悪しき心を宿しているようにも見える。

人を超えたシャウトの鬼となり、祥子ちゃんへの思いをどんどん叫びまくり、目に付いた女性を彼女と思い込んで襲おうとした。
モンスター化すると空・陸・海を司ったミラクル術ガッチャガチャ転送(天装)して敵に攻勢(護星)する。
原典同様、自然の力を利用した特殊技を繰り出すことが可能で、
  • シーイックパワーを使って豪雨の中で姿を消す
  • ランディックパワーで地を走る衝撃波を放つ
  • スカイックパワーで翼を生やして飛行
  • テンソウダーのような顔を作り出してその口からビームを放つ
……といった芸当を見せている。
これらはドンブラザーズを多少翻弄するなどそれなりに強力ではあるのだが、変身者がいずれも戦闘と縁遠い一般人だったせいで活かしきれておらず、特に龍二に乗り換えてからは終止ドンブラザーズのチームワークと合体ロボの火力に押されっぱなし。
最後はドンオニタイジン虎龍攻神の同時斬撃を喰らって敗れた。
倒されると「ゴセイジャーギア」をドロップする。

なお、この戦闘で犬塚の変身した本来のイヌブラザーも現れた為、龍二がイヌブラザーであるという誤解は解けることになった。


モデルは『天装戦隊ゴセイジャー』。
造形は鳥人鬼と大鬼のリデコ。
概ね大鬼の頭部と鳥人鬼の上半身を色変えして組み合わせただけのデザインではあるが、マスターヘッドやテンソウダーを思わせる石仮面のような頭部に天使らしい純白の羽、ヘッダーのような小さな鳥の頭など、流用元のデザインをうまく活かしてゴセイジャーの要素を多数盛り込んでいる。
ゴセイジャーの面々が戦いや生活の中で人の愛や繋がりの大切さを知ってそれらを守り、学ぶべく人間界に残る決意をしていたのに対し、
天装鬼となった龍二が人々からの温もりに飢え、無関係な家庭の愛を否定しかけた上に、同じ女性というだけで見境なく人を襲う怪物に成り下がるというのが、ヒトツ鬼として皮肉になっていると言える。
ちなみに東映公式によると「当時『ゴセイマイク』*2とかもあったし、歌手がなるにはちょうどいいってことで……」というこじつけであった模様。
また、当初大食漢を宿主にしていたのは「ほら、美味しいもの食べると天にも昇る心地になるじゃないですか……」とのこと。
また、宿主を変えたのは『ゴセイジャー』本編でも所属元を転々としていったブレドランこと救星主のブラジラも彷彿とさせる。

何気に侍鬼以来となる等身大のロボ戦で倒されたヒトツ鬼。
ヒトツ鬼化した人間が共にドンブラザーズの戦士に変身したことがある*3ほか、『ゴセイジャー』は『侍戦隊シンケンジャー』の次作なので、モチーフの元となった作品が連続していたりする。


【その後】

犬塚の影武者を辞めても相変わらずストリートミュージシャンを続ける龍二。
例のごとく歩行者が彼を気にも留めない中、一度は離縁した筈の祥子が彼の前に再び現れた。
のだが……

ゴメン。龍二君……私ハアナタノ歌ガ忘レラレナイ……。


その姿はみほや夏美とは似ても似つかない外国人風の出で立ちだった。
遠巻きに見ていた犬塚も「どういう目してるんだアイツ……」と、呆れ混じりの驚きを隠せなかった。

何はともあれ、再び恋人とよりを戻すことができた龍二。
そんな彼らを見て安堵した犬塚は、1人で夕陽の向こうへ去っていくのだった。
そして犬塚が喫茶どんぶらを訪れると、指名手配ポスターに賞金が付いた事を(未だに自分の正体を知らない)ドンブラザーズの面々に祝福された。


【余談】

  • 劇中で龍二が歌っていたのは、本作のメインライターである井上敏樹が過去に手掛けた『鳥人戦隊ジェットマン』の挿入歌「炎のコンドル」のアレンジ版。
    また、格好つけた龍二が発言した台詞もその『ジェットマン』の登場人物・結城凱が実際に口にしていたものである。
    そして凱が変身するのはブラックコンドル……つまり龍二が憧れた黒いヒーローである。

  • 恐らくだが、その苗字は井上が過去に手掛けた作品主人公から取られており、全体的なキャラ造形は「井上キャラの集合体」とも言えるものになっている。
    また偶然ではあるが、乾は干支で言う戌()と亥の間にある北西の方角を指す言葉であり、この事から元サルブラザーの白井代理オニシスターの前田真利菜と異なり、初期メンバーと同じ「名前に桃太郎要素を持つ」人物であると言える。
    また、苗字が同じ彼の正体もまたイヌ科の怪人である。

  • ドン31話の次回予告では「イヌブラザーの変身者が犬塚である事を知ったつよしが、みほを巡って犬塚と対峙する」というような描写だったが、実際は「イヌブラザーの変身者と勘違いされた別人(龍二)が本当にイヌブラザーになり、犬塚翼の正体がバレないまま、イヌブラザーの正体がバレる。しかも別人のイヌブラザーは自分の元カノ(祥子)とみほを勘違いする」という叙述トリックが仕掛けられていた*4事が東映公式HPで語られている。
    …そして、みほを巡る犬塚とつよしの関係性は後のドン34話で大きく激化する事となる。



追記・修正は、彼女と復縁してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年07月11日 20:30

*1 タイミング悪く、この時に自分の情報に対する報奨金が100万円までアップしたポスターを見かけており、金に目がくらんだと思い込んでいた。

*2 『ゴセイジャー』のED「ガッチャ☆ゴセイジャー TYPE2 REMIX(及び護星天使ヴァージョン)」の映像ではアラタ達がゴセイマイクを持って踊っていた。

*3 ただし、偶然と成り行きからイヌブラザーに変身した龍二と異なり、白井は正式にサルブラザーの候補として選ばれている。

*4 一応東映公式HPの次回予告にもヒントらしきものは仕込まれていた。