はなふぶき(ポケモン)

登録日:2022/12/11 Sun 00:03:00
更新日:2025/01/21 Tue 17:40:43
所要時間:約 8 分で読めます






はげしい はなふぶきを おこし まわりに いるものに こうげきして ダメージを あたえる。




《はなふぶき》とは、ポケットモンスターシリーズに登場するわざである。



【概要】


英名:Petal Blizzard
威力:90
命中:100
PP:15
タイプ:くさ
分類:物理
接触:×
範囲:自分以外
効果:なし

第6世代「ポケットモンスター X・Y」で初登場した、くさタイプの物理技。技マシン、教え技はなし。
激しい花吹雪を起こして攻撃する技で、周囲に無数の花びらが舞い散るエフェクトは美しい。
追加効果こそないが、威力・命中共に安定しているため癖が無く使いやすい。
威力が近い草物理技なら《タネばくだん》《リーフブレード》等があるが、前者とは威力・特性「ぼうだん」で無効にされない点からほぼ完全上位互換、後者とは急所に当たりやすい点はあれど直接攻撃か否かと言う差別点もある。
そもそも《リーフブレード》とは同時に覚えるポケモンがあまり多くないため、そこまで上位・下位を意識する必要はないだろう。



【運用方法】


追加効果を持たないため使い方もクソもないが、主に安定した威力を求める草タイプの物理アタッカーで運用していくのがメインとなる。
草物理技の技マシンは不安定な連続技の《タネマシンガン》、下位互換だが習得者が多い《タネばくだん》せっかくばら撒かれたのに習得者が少ない《リーフブレード》、溜め技の《ソーラーブレード》、高威力だが命中が不安な《パワーウィップ》、草版ニトロチャージの《くさわけ》と意外にも棲み分けはできている。
そのため、この技を覚えるポケモンで物理型を使う際には是非とも有効活用しよう。



























…以上が《はなふぶき》という技の一般的な説明である。
間違ったことは一切言っていない。実際に威力・命中ともに安定しており、メインウェポンとして問題なく使用できるかなり使いやすい技ではある。
しかしこの技には、技の性能とは別の問題を抱えていた。


結論から言うと、覚えるポケモンが悉く噛み合っていないのである。



【問題点】


この技が抱える問題点を分かってもらうため、先に覚えるポケモン(進化前は除く)を全て挙げていく。
覚えるポケモンは(最新作のSV未内定含め)全15種。冒頭の説明通り、意外と習得者が少ない貴重な技と言える。
さて、そんな貴重な技が使えるポケモンのラインナップは…


以上の面々である。しれっと混ざっているフェアリータイプは置いといて草タイプ以外に共通点があるのが分かるだろうか。

《はなふぶき》は技名通り花モチーフのポケモンが覚える傾向にある。
そして花モチーフのポケモンは、大抵特殊寄りの種族値をしている。
そう、覚えるポケモンの大半が物理草技を必要としない面子だった。
上記の面々の攻撃と特攻の種族値を一覧にしてみると一目瞭然である。

ポケモン 攻撃 特攻 ポケモン 攻撃 特攻
フシギバナ 82 100 ラフレシア 80 110
メガニウム 82 83 キレイハナ 80 90
キマワリ 75 105 ロズレイド 70 125
チェリム 60 87 ドレディア 60 110
マラカッチ 86 106 フラージェス 65 112
ラランテス 105 80 キュワワー 52 82
マスカーニャ 110 81 オリーヴァ 69 125
Hドレディア 105 50

特殊が強いのであれば当然《はなふぶき》を使う理由なんてなく、同じ威力で特殊技の《エナジーボール》か、耐久寄りの種族値も多いため《ギガドレイン》を使えばいい話である。
しかも上記の2つはどちらとも登場からずっと技マシンが存在する。

しかも上記の中で物理寄りの種族値を持つポケモンはラランテス・マスカーニャ・ヒスイドレディアのたった3種のみ。(かなり贔屓目に見て)両刀寄りの種族値を持つポケモンを含めてもメガニウム・キレイハナ・マラカッチを合わせた6種のみとなる。
しかし、戦術的には噛み合いが良くなくやはり優先度は低め*1

ちなみに最新作のSVにて登場した草の速攻物理アタッカーのマスカーニャは《リーフブレード》を覚えない。
ついに《はなふぶき》もガチ対戦で日の目を浴びることになる…と思われていたがそんなことはなかった。
マスカーニャは専用技《トリックフラワー》を習得し、これは威力70で必中・確定急所の草物理技。
つまり一部の特性持ち以外には実質威力105、防御上昇無視の技となる。これを差し置いて《はなふぶき》が使われるはずもなかった。

総じて、対戦でも通用しうるスペックを持ちながら登場してからまともに使われたことのない不遇な技と言える。
しかもこの技を覚える大抵のポケモンは、技マシンになっている《リーフブレード》《タネマシンガン》も覚える傾向にもあるため、別にこの技がなくても物理草技には困らない
せめてまともな攻撃種族値の草タイプ以外にばら撒かれれば、サブウェポンの選択肢の一つとして採用を検討されたかもしれなかったが…。

ただしSV発売以後は少しずつ救済傾向にあり、攻撃種族値が高めの習得者が増えてきている。

ポケモンHOME解禁によりヒスイのすがたのドレディアがSVに登場し、アルセウス時には覚えなかった《はなふぶき》を習得したのである。
ヒスイ種は原種の特攻を大きく減らした上で攻撃と素早さに振り分けた見事なまでの物理アタッカーで、ここに特性はりきりが乗った日には圧倒的爆発力を得ることができる。
ついに待望の《はなふぶき》と相性が抜群なポケモンが現れたのである。
とはいえヒスイドレディアはアルセウス時から引き続き《リーフブレード》も使えるため、急所率への期待か非接触技の低事故率かで選択することになるだろう。

それに続いてDLC第2弾「藍の円盤」ではまさかの《はなふぶき》のわざマシンが作成可能になった。
これによって攻撃種族値が比較的高めなダーテングメブキジカアマージョが新たに習得できるようになって更に救済が進んでいるように思われた。

ただし現実は非情であり、実際のSV対戦環境では《はなふぶき》は全く採用されていない
ヒスイドレディアは特性の「ようりょくそ」を利用した晴れパ運用が主流であるため溜め無して放てる「ソーラーブレード」が優先されており、はりきり運用での「リーフブレード」が次点。
ダーテングメブキジカアマージョに関してもそれぞれ「リーフブレード」や「ウッドホーン」、「パワーウィップ」が優先して採用されており、はなふぶきは何故か対戦データでは影も形もないのである。

他の草技はともかく、同威力で相互互換関係にある「リーフブレード」と大きく使用率に開きが出ている理由について判然としないのだが、恐らく対戦プレイヤーの大半に認知されていないのかもしれない

たまには《はなふぶき》のことも思い出してあげてください…


先述の通り特攻の方が高いポケモンが多く覚えるこの技だが、それでも物理アタッカーで最低限運用できる80台を確保しているポケモンが多く、「つるぎのまい」や晴れ状態での「せいちょう」等の積み技で補強すれば案外馬鹿にならないダメージを出せる。
フシギバナの「パワーウィップ」やマラカッチの「ウッドハンマー」のような威力で勝る競合技もあるが、どちらも相応のリスクがあるのでそんな余裕があるかはさておき安定性を重視して「はなふぶき」採用する選択もなくはない。


またシングルバトルでは没個性的な面が目立つはなふぶきであるが、ダブルバトルでは自分以外の全体攻撃という独自の性能を活かした戦術が以下のようにいくつか挙げられる。いずれも大体マイナー気味であることには突っ込んではいけない


1.晴れパでのチェリムに採用する(主に第7世代)
専用特性のフラワーギフトは晴れ状態に限り自分と味方の攻撃を強化するため、種族値60という低さに反してかなりの火力になる。
特に第7世代では「タネマシンガン」が過去作限定習得だったため、まともなくさ技が「はなふぶき」と「タネばくだん」のみと殆どなかった。
現在では晴れ状態だと溜め無しで使える「ソーラーブレード」という強力な競合技があるが、こちらは単体かつ直接攻撃なので差別化または同時採用も考えられる。


2.「そうしょく」「かぜのり」持ちと組む
実はこの「はなふぶき」、攻撃範囲がくさ技唯一の味方含む全体となっている。
そのままでは味方もダメージを受けてしまうが、これを解決する為に採用するのが「そうしょく」持ち。
他の全体攻撃でもよくある、タイプや特性で味方への被害をなくす戦法である。

意外な事に「そうしょく」持ちはタイプが殆ど偏らないと言うのも利点だったりする。
しかも、ジジーロンを除いて全て物理で戦えるポケモンなので、「そうしょく」の追加効果も腐らないのも強み。

さらに第9世代では新たに風技というカテゴリと、対風技版の特性「そうしょく」となる「かぜのり」が実装。そして「はなふぶき」も風技に指定され、風技唯一の味方含む全体攻撃技となっている。あとはやることは「そうしょく」と同じである。
ただしこちらは味方の「おいかぜ」でも能動的に発動できる点、特性持ちがアノホラグサダーテングとどちらもくさタイプなので、はなふぶき使いとタイプが被りやすいのがネック。


3.じゃくてんほけん+特性「きょうせい」

先述の習得者の中でも数少ない不一致習得者・フラージェス
単純に使うだけであれば言うまでもなく論外なのだが、実はダブルに戦場を移すとこの技の真価を一番発揮できるポケモンに様変わりする

やり方は簡単。
フラージェスに相方に渡したいアイテムを、相方にじゃくてんほけんを持たせてはなふぶきを撃つだけ。
これにより相方の攻撃・特攻を2倍にしつつ持ち物の補正まで追加すると言うとんでもない現象が起きる。
一応同じ特性のヤレユータンも似た事ができるが、あちらでやろうとすると素早さを下げてしまう「じならし」や単純に威力高めの「じしん」を使う羽目になる*2
フラージェスの攻撃力が低いからこそ成立するコンボである。
ちなみにこのコンボ、第8世代(フラージェスは剣盾にいない為実質第9世代)から素早さが変化すると即行動順が変わるようになった為、フラージェスにスカーフを持たせるとコンボをしつつ相方が即座に行動に移れるように強化されていたりする。

ちなみに第6世代ではだっしゅつボタン持ちにきょうせいすると次に場に出た時効果がアイテム2個分になるバグがあった為、むしろ主な使い方はそっちだったりする


【余談】


  • 本編では渋い立ち位置の要素が時折ハッスルすることに定評のある「ポケモン不思議のダンジョン」シリーズでは、くさタイプの画面全体攻撃という個性がいかんなく発揮されている。
    チームを自在に組める「救助隊DX」などでは、にほんばれ+ようりょくそと組み合わせることで1PPで部屋の敵を一掃できるため、海系ダンジョンなどで効果を発揮。
  • 使用率は散々だが、一部技が続投されなかった剣盾以降のシリーズにも続投し続けている。
  • 同じような問題点を抱える技にいわタイプの「パワージェム」がある。詳しくは項目参照。



はげしい ついき・しゅうせいを おこし まわりに いるウィキこもりに こうげきして ダメージを あたえる。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ポケモン
  • くさ
  • はなふぶき
  • わざ
  • 技項目
  • 物理技
  • ぶつり
  • 花吹雪
  • ミスマッチ
  • 宝の持ち腐れ
  • ダブルバトル向き
  • ポケットモンスター
  • くさタイプ
  • 風技
  • 不遇
  • マイナー技
  • 空気
  • ポケモン技項目
最終更新:2025年01月21日 17:40

*1 ラランテスは草技使いとしては特性「あまのじゃく」を活かして《リーフストーム》を連発するのが主流。メガニウムは耐久型がメインなので《ギガドレイン》優先。キレイハナは《ちょうのまい》を活かした特殊受け・特殊アタッカーがメイン。マラカッチは両刀で使うにしても晴れパが基本なのでほぼ《ソーラービーム》一択。

*2 「ぶんまわす」は第9世代で没収されている