砕涛華虎(忍者と極道)

登録日:2023/08/19 Sat 19:41:00
更新日:2025/04/20 Sun 22:24:13
所要時間:約 15 分で読めます







もっと魅せよ“暴力”を!!天まで届く(・・・・・)“闘争”を!!!

我は華虎!!

“忍殺番長”砕涛華虎!!!


砕涛(さいとう) 華虎(はなこ)とは『忍者と極道』に登場するキャラクター。

●目次

【概要】

東京で破壊の限りを尽くす極道陣営の1人にして、 忍殺番長(にんさつばんちょう)の異名を持つ『破壊の八極道』の一人。
とあるホームレスには「ハナコさん」「番長」などと呼ばれていた。

孔富(302cm)に次ぐ長身に夢澤(223cm)をも凌ぐ屈強な体躯、赤銅色の肌と白髪、鋭く尖った犬歯、ただ歩くだけで地面が陥没する、靴を含め50cm超の巨大な足*1など、鬼のような外見の大巨漢。
両手の小指が欠損しているが、これは覇世川炸羅との戦いの最中、小指の腱を斬られて拳の威力を弱められたことに激昂し、自ら躊躇なく食い千切ったため。
服装は学ランっぽい真っ白なマオカラースーツ*2に縁付きのメガネというシンプルなもの。

基本的に目をかっ開き、歯を剥き出しにしている恐ろしげな表情がデフォルトなので分かりづらいが、真顔になると結構精悍な顔立ちをしていることが分かる。

その実態は「戦後唯一忍者を殺すことができた最強の極道」として伝わる恐るべき古強者。
終戦直後の広島で確認されて以後の約半世紀に渡り、大阪など西日本を中心として日本各地に出没しては忍者を殺して来たため、忍者側からの扱いは寝物語の妖怪。
武勇伝は当然極道業界にも轟き極道界ですら扱いは伝説の存在で、彼の参戦を知ったモブ極道は「番長が味方なんか!?この戦争(いくさ)(モロ)たでェ!!」と歓喜していた*3
その為実年齢は少なく見積っても80歳を優に過ぎている老人である。
……はずなのだが、外見はどう見ても30代後半から40歳前後ぐらいで、肉体も精神も一切老け込んでいない。
これは一体……!?

そして左虎右龍兄弟の父*4の仇であり、兄弟2人が探し求めていた極道の正体。左虎は「我等兄弟が最大の仇敵!! 我等忍者が最大の天敵!!」と称している。

明確な表の顔は明らかにはなっていないが一応格闘家な様子。
普段は格闘ジムらしき場所でトレーニングに励んでおり、「ジョー」と呼ぶ仲間を従えているが他の八極道達の様に束ねている組織は持っていない様子。

背中の刺青は「雲を貫き天高く掲げた右拳」。


【人物】

一人称は(われ)「~(なり)と語尾に付けることが多い。
一見硬派な熱血漢の雰囲気だが本作のキャラらしく若者言葉や奇抜なルビも使う。ただし言動は概ね昭和のヤンキーそのもので、ルビの仮名遣いが1960年代以前の古い仮名遣いであることも相まって言い回しもどことなく古い印象を受ける。(例:特売市(バアゲンセヱル)」「笑止(ウケ)るわ!」「児戯(ヌルゲイ)
気性の荒さもさることながら、強者と戦うことへの飢えから本来極道の天敵であるはずの忍者とも嬉々として戦わんとし、忍者と戦い殺すことを人生とまで断言している生粋の戦闘狂。
ただし唯のバーサーカーや戦闘狂ではなく、例え戦意が昂っている状況でも正論で理詰めされれば冷静さを取り戻して戦意を抑える理性的な一面も持つ。

破壊の八極道とその配下達のような忍者の襲撃や悪意ある他人による危害、どうしようもない現実・社会問題によって過去に哀しみを背負った…というわけでもなさそうで、単純に強者と戦えることへの歓喜が対忍者の原動力であるかのような部分がある。
そのため忍者への見方は憎悪の対象というよりは心躍らせる好敵手感覚。
実際自身の秘拳を死の寸前で僅かに狂わせた忍者(しのは)に対しては憎しみを向けるどころか、彼の生存を確信した上で「これだからまったく忍者は最高(サイコー)也!!」と絶賛し、これまで交戦した帝都八忍の存在も例外なく賞賛の対象としている。

一方で敗者に対しては極めて酷薄な態度を取る面もあり、敗北し死の淵に追い込まれて過去に浸る味方の極道を「敗北者は()()と死ね」という考えの元問答無用で殴り殺しトドメを刺す冷酷な一面も持つ。
忍者に対しても、高く評価するのはあくまで自分の戦意を昂らせてくれる強者のみ。己の眼鏡に適わないような弱い忍者には、その攻撃を不味(クソマズ)」「貧弱(よわ)し!」と一方的に酷評した上でブチキレて殺しにかかる。
同時に極めて自分本位であり、見込んだ強者を戦いの場に立たせるためなら相手への恐喝を恥とすら思わない
相手が自分の挑戦状(ラブレタア)を拒絶することを「卑劣」、自らの脅しを「堂々」と評する価値観は、他の極道の例に漏れず外道のそれ。

極道は身内への情だけは厚い者が多いが、彼の場合身内と呼べる人物が先述した″ジョー″のみであり、艶道への仕打ちや下記の「SUTEGORO」の一件など、それ以外の極道や他の八極道の部下の事は仲間と看做していない事がうかがえる。*5
他の八極道に対しては同志としてそれなりの仲間意識はあるようで、上記の通り極道(きわみ)から頭を冷やすように諭された際には素直に従がっており、塵芥芸者衆がクジ引きの順番を理由に忍者(しのは)への攻撃を止めさせた際は、力尽くでの排除はせずMAYAの覚悟を問うに留め、最終的にその思いを認めて忍者討伐の順番を譲っている。
そうした一面から、MAYAは彼を「恐ろしいけれど優しい人」と評している。
もっとも、ポリシーが合わないのか、孔富のことは不快男(キモメン)と吐き捨て嫌っており、お互い犬猿の仲*6

なお、強さや勝負に執着する戦闘狂ではあるが、勝敗が「運」に左右されることを強く嫌悪している節がある。
後述の「照拳」が偶然生まれたことで勝利を収めた際は、更なる高みに登ったことへの歓喜などよりも「この我が"運"に勝たされた(・・・・・)と……!?」と激怒。
この時、

巫山戯(ザケ)るな!!!
"運"よ!!貴様は今更(・・)今更我に味方を(・・・・・・・)…!?何故(・・)今更(・・)…!!?

糞也!!運など糞也!!!

と絶叫しており、目元にうっすらと涙すら浮かべているが、何か運に見放された過去があるのだろうか……?
ただし総理官邸で帝都八忍に遭遇した際は帝都高(テトコー)ではついぞ逢えなんだが我にもようやく運が!!」と歓喜しており、嫌っているのはあくまで勝敗に絡む運だけのようである。

ちなみに「我!!生涯童貞也!!」とのこと。

彼の素性には謎が多い。
まず、なぜか華虎が2020年以前において忍者殺しを複数回成し遂げ、帝都八忍をも討ち取っているにも関わらず、惨蔵彼の所業でなく壊左の死を以て「70年以上ぶりに極道が忍者に喧嘩を売った」と評した(つまり惨蔵は彼を極道としてカウントしていない)という矛盾が存在する。
そして他の八極道が「地獄への回数券」を服用して料亭の爆破を生き延びた中、唯一使わずに生身の耐久力で爆破を耐えたともとれる描写*7がされ、戦闘力の異常な高さは後述の通り。

それらの描写から、ファンの間では
極道でありながら身体能力がカンストしている*8、事実上の忍者なのではないか
もしくは八忍を裏切り、極道側に寝返った元忍者……つまりは『抜け忍』だったのではないか
…という考察があるが、その真実や如何に。


【配下】

明確な配下と呼べるのは下記の足立のジョーのみ。
残りの面子は華虎が書いた「暴」の送り状を受け取った者達となる。

  • 足立(あだち)のジョー
【キュル】
【キュル】【キュル】【キュル】

現状華虎の唯一の部下。異名通りなら本名は鈹朽(かわぐち)(じょう)。足立区竹の塚出身。
(ハエ)の如く舞い野良犬(ノライヌ)の如く咬み殺す」というスタイルで活躍した伝説の拳闘王(チャンプ)と同じ名を持つ男だが、ビジュアルは左口端に抉れたような傷跡がある焼けた肌を持つ忍者(しのは)と同年代の少年。
蠅のようにピョコピョコと小刻みに忙しなく動く挙動、台詞を超高速で早送りしているかのような奇怪な言動が特徴。
忍者(しのは)は日本語かすら判別できず言葉を聞き取れなかったが、華虎は意思疎通ができる様子。

忍者(しのは)すら驚嘆するほどの敏捷なフットワークを持つが、華虎とは異なり『地獄への回数券』を服用してその恩恵に預かっている。

彼の名前や存在は4章から示されており、『割れた子供達』のメンバー「拳闘大帝(バウンドフォーバウンド)」にとって憧れの人物であったと語られ、邪樹虎龍の実兄・邪樹吠流はジョーと同じ時期にボクサーになったことが災いして極道の下っ端に転落している。
単行本によると2005年の大晦日に世界ヘビー級王者となり、4団体統一直後に新種の難病に罹って引退。
また単行本13巻のカバー裏おまけページの覇世川炸羅の手記*9によれば診察を受けにきた「とある格闘家」が、試合中脳に受けた損傷により体が若返る奇病に罹ってしまったと記されている。
当時の炸羅も世界で例のない奇病の対処の頭を抱えており「オレでも治せるかわからない」と正直に告げたという。
その後単行本14巻のカバー裏おまけページでは極道業界のスポーツ新聞「ゴクスポ」にて登場。
2003年(当時20歳)に当時のヘビー級絶対王者だった吠流との試合で、僅か1R開始3秒でダウンを取り、そのまま47秒後には無傷で吠流を1RKO。試合時間たったの50秒で新進気鋭の挑戦者が日本ヘビー級ボクシングの頂点に立ったと報道されている。
なおこの時賭博界で鉄板とされた吠流の瞬殺劇に各ブックメーカーは大荒れ。吠流に賭けていた客が怒り狂い、「無効試合にしろ」とマシンガンを持って事務所に押しかけた抗議者まで出たが、無事東京湾に沈められ事なきを得た。
この頃はヘビー級相応の体格を持つ筋骨隆々の若者で、焼けた肌や頬の抉れたような左頬の傷が今の姿と共通している。


  • 土俵の女(仮称)
じゃ…(あーし)等は もっと破壊(こわ)していいワケだ
心底興奮(マヂアガ)

本郷に拠点を置く謎の女。土俵と鉄砲柱が見えるが相撲部屋なのかは不明。
華虎自身水運用センターを訪れた際本郷にいる誰かに逢うことが目的だったため、時系列と土地自体の辻褄は合う。

日焼けした肌と筋骨隆々の体躯、豊満な爆乳と筋肉で引き締まった身体というナイスバディなギャル系女子。
髪は短いが大銀杏をアレンジしたかのようなヘアスタイル。
約400㎏(片側に25kg×8枚)ものウエイトが付いたバーベルを片足で持ち上げる尋常ではない筋力の持ち主で、唐突に真っ裸で片足で超重量のバーベルを持ち上げながら四股を踏むという衝撃的な登場を果たした。

一人称は(あーし)
塵芥芸者衆が行う大規模テロをテレビ経由で観戦しつつ「芸能人がこれほど壊すならもっと自分達はやっていい」とテンションを高めており、いずれ来る破壊に想いを馳せていた。

単行本14巻のおまけページにて、2003年の10月8日未明に大相撲横綱の大馬迅(だいまじん)が繁華街で倒れているところを発見され、その際右足靭帯断裂という大怪我を患ったことが極道の新聞で報道されている。
200㎏を超す体重の大馬迅が「女のガキに投げられた」と供述しているが関係性は不明。とりあえず業界的には酔っ払って転倒した際に負った傷として処理されている。
これが彼女ならば現在の年齢は20代後半〜30代ということになる。


  • ジェネラル魅浦(みうら)
(オラ)!!闘魂(ワクワク)すっぞ!!!

単行本のおまけページで度々言及されていた人物で、プロレス団体「帝神プロレス」の社長兼プロレスラー。
見た目は病と老衰でガリガリにやせ細りながらも2.5mほどの背丈を持つ大男。死の間際ではあったがしっかり華虎からの「暴」の手紙を受け取っていたらしい。
ジャイアント馬場アントニオ猪木ハルク・ホーガンを足して2で割ったような人物

一人称は「オラ」
笑顔で自信満々な発言を行うことで知られているらしく、新聞で彼の言動は「魅浦節」と称されている。
覇世川左虎・邪樹右龍兄弟の実父「邪樹(やぎ) 虎龍(たける)」が多大な恩義と尊敬を向けている彼の師匠のような人物であり、「神がかった技術力」と虎龍の手記に記される辺り技術的・人格的にも尊敬できる好漢であったことが伺える。
周囲の社員からは「最強のレスラー」と評され死に近づく彼を嘆き偲ぶなどレスラーからの人望も厚い。

また2003年の年末格闘技興行大戦では帝国テレビで「MIURA BRING IT 2003」と名付けた興行の放映を計画。
世界中の名だたる総合格闘家達と己を含む自社のスターレスラー達を戦わせることを目論んでいた他、また『足立のジョー』こと「鈹朽(かわぐち)(じょう)」を帝神プロレスのリングに上げることを狙うなどかなり野心的でもあった様子。
だが邪樹虎龍が砕涛華虎の手にかかって死亡したことを契機に一気に老け込んでしまったらしく、2018年頃の極道専用匿名ネット掲示板では「老いた今の姿からは想像もつかねーな」と格闘興行を知る極道から嘆かれていた。

そして本編136話でついに登場。医師から余命1時間と宣告されるほどの危篤状態であり、所属レスラー*10たちに涙ながらに囲まれ、天に召されるのを待つだけの状態だった。
しかしレスラーの一人が持ってきたスマホに映し出された、若草SISと邪樹右龍の戦いの現場写真を目撃し、右龍の姿と邪樹虎龍を重ね合わせ突如復活
骨のようにガリガリに瘦せ細った全身の筋肉はムキムキに大膨張(パンプアップ)し、白髪は見事な黒髪に染まる常識離れした異常現象を引き起こし「やっぱりジェネラル魅浦は理屈じゃねえ!!!」*11と感涙させる奇跡の復活を遂げてしまった。
今後の忍者と極道の対決に絡んでくるのはほぼ確実と思われるが、果たしてどのような立場になるのか…。



【戦闘能力】


我!!(ひたぶる)に欲す!!!強靭(つよ)き野郎を!!!

極道陣営最強にして最大戦力の切り札。
忍者の天敵と畏怖された実力は本物で、現状唯一『地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)無しで忍者を正面から圧倒・窮地に追い込む恐るべき怪物。惨蔵も「極道というより人類を超越した”特異の者“」と彼の強さには危機感を見せている程。

氷帝雷公来駕を受けてもびくともしない規格外のタフさを見せ、特に首に関しては「格闘家の最重要器官」「タフなる闘争の“命”」と豪語するだけあって極めて強靭で、忍者(しのは)の暗刃を素首で受け止め無傷に抑えてそのままカウンターを決めてしまう。これは忍者(しのは)非実在(アリエネ)ェ…!!」と絶句した脅威の事象である。

力だけでなく観察眼にも優れ、忍者が相手でもその動きを先読み・誘導したうえで落下点となる足場を破壊して動きを止める芸当も見せており、戦いにおいてはかなり理知的。
敵を激怒させ攻撃を誘う巧みな口撃(アオリ)による搦手も使いこなすが、本人によると煽りによる挑発行為は「闘争の最高の調味料(スパイス)」という定義であり、憤怒(ブチギレ)が!!限界超えし肉体から限界超えし(パワア)引き出す!」と考えている。

ただし絶対無敵の怪物という訳ではなく、単純なタフさでは防げない音による攻撃は普通に通じる。
またあくまで尋常でなく頑丈なだけなので、微細なダメージならば蓄積させることも可能。この手法を以て華虎の打倒に一歩近づけたのは、現状故・覇世川炸羅ただ1人のみ。


極道技巧(ごくどうスキル)

  • 照拳(しょうけん)
指詰め(エンコ)”で小指失った巨拳が奇跡を生む!!
喰らえい忍者よ 極道の明日を照らす我が秘拳!!

拳打(パンチ)のヒットの瞬間爆発を引き起こして打撃と爆風による二重のダメージを与える極道技巧。
発動時には光り輝いているようなエフェクトを帯びているが、実際に拳そのもの光輝(ひか)っている様子。

モロに食らうと、超人的な威力を持つ拳の衝撃に加え、至近距離での爆発によって臓器が灼け飛ぶという回復困難な重傷を負う。
爆発の規模・範囲の調整も可能で、殴り合った相手を吹き飛ばすだけの小爆発だけでなく壊左の自爆以上の大爆発を引き起こすことすらできる。
状況によっては直線状に破壊光線が通ったかの如く綺麗に一直線上に大地や建造物を抉り取り吹き飛ばし、しまいにはキノコ雲すら引き起こせるという、事実上戦術核兵器にも匹敵する規格外のスケールを擁した純粋な破壊力では極道どころか忍者の絶技すらも超えて現状最強の極道技巧。
一応命中=対処不能の即死というわけではなく、拳の爪を破壊するなどして僅かでもダメージを与えれば威力を僅かに軽減させることもできる。

この技が命中しかけた忍者(しのは)は技を発動する寸前の彼の拳を見て「このクソ巨大(デカ)い拳のサイズも」「一見不利に見える欠けた小指も」「(パワー)の究極で理想形」「理論は知んねーが…空気も光すらもこの世の全てを圧縮して爆裂させるほどの」と理屈抜きの本能で理解してしまっている。
これも忍者の使う「暗刃」と関連性を感じる名前だが、果たして…?

実は覇世川炸羅との戦いで華虎が自ら小指を食い千切った直後に偶然生まれた技であり、初めて繰り出した際は当人も「比喩でなく真実(マジ)で"爆発"した…!?」と驚愕している*12
失態の禊としての指詰(エンコ)が運よく華虎を更なる高みに押し上げた形になるが、運による勝ちを嫌う華虎にとっては極めて不本意な決着であった*13


【関連用語】

  • 格闘技興行会社「SUTEGORO」
極道が関与する会社。存在が明らかになったのは単行本のおまけページ。
立ち技メインの格闘団体とされている。
作中日本では毎年年末には格闘技の大会を興行するのが恒例らしく「大晦日といえば紅白かSUTEGORO」と言われるだけの一大イベントで、最盛期の00年代では大晦日にゴールデンタイムで民放3局が同時に格闘技の中継を流して莫大な利益を極道業界に還元したとか。
ケツモチは講男會が担当。裏でSUTEGORO所属選手の不祥事の揉み消しも担っていたという。

2009年に忍者の襲撃を受けて急死した女傑「浅田のお貴」による格闘技興行を起源としており、お貴の実弟である現浅田組組長がこれを引き継ぐ形で会社を立ち上げた。
近年は有力選手が海外の格闘技興行団体に引き抜かれるケースが続出し、人気に陰りがでているとか。
興行の利益は運営である極道の資金源として流用されるため、極道業界はこのイベントの立て直しとブーム再燃に、熱意ある視線を送っている。

「極道新聞」2019年10月15日刊によるとこの団体に何かしらの形で関わっていることが仄めかされている。
具体的には2019年の年末大会が中止になったのは強化合宿中での主力選手の大量死が原因であるが、現場に爆発痕があったため、極道の情報筋の間では「“番長”の逆鱗に触れたのでは、それならば仕方ない」と囁かれている。
当然この事実は隠蔽され、表向きにはヒグマによる合宿場の襲撃が原因と発表された。

元ネタは恐らく打撃系格闘技団体である「K-1」。

  • 年末格闘技興行大戦
2003年に紅白歌合戦の裏で勃発した、極道の格闘興行界隈を揺るがせた格闘興行番組の放送ブッキング事件。名称の初出は14巻のおまけページ。
SUTEGOROと協力関係にあった「帝神プロレス」と総合格闘技団体「MARTIALS」のケツモチだった講男會と男羽會の関係が決裂したことが発端であり、これにより格闘技3団体が大晦日に同時に格闘興行を行う事態になった。
この事態に帝神プロレス側は帝国テレビで「MIURA BRING IT 2003」の放送を決定。
社長のジェネラル魅浦(みうら)は名だたる総合格闘技のスター選手の参戦を発表した上でそれらを帝神プロレスのスター選手軍団で迎え撃つと表明。その上で「強え奴が参戦するかもな」「オラが強えって言うんだ、間違いねえよ」ともう1人選手を出場させることを自慢げに示唆していた。

元ネタはおそらく2003年にK-1、新日本プロレス、PRIDEの間で起こった「格闘技興行戦争」。
瞬間最高視聴率43%を獲得する興行もあり、紅白歌合戦を超える視聴率を叩き出したことで有名。

  • 浅田のお貴
前浅田組組長。故人。
格闘技興行を手掛けた女傑とされ、14巻のおまけによると「戦後賭博界を創った女番長」と語られている。

  • 『不死身のエレキマン』邪樹(やぎ) 虎龍(たける)
(オウ) そうか やはりあの野郎(・・・・・)の息子共ッッ!!
(ナツ)いぞ!!!
あれは我史上上位(トップ)100には入ろう好試合(グッドバウト)!!

覇世川左虎・邪樹右龍兄弟の実父で帝神プロレス所属の覆面レスラー。
当時まだ若手の部類に入るレスラーで、トップレスラーではなかったものの確かな実力を持ち、社長のジェネラル魅浦からも大いに期待されていた。
2002年*14、彼の試合をテレビで見て興が乗り死合(しあい)たいと望むようになり3度に渡り挑戦状を送り付けるも、全て断られた怒りから「我との対戦承諾(ウケ)ねば極道の構成員(チンピラ)ブッ放し息子共を必ず殺す」と堂々恐喝(ガジ)って無理矢理死合を成立させ、彼を殺害した。表向きの死亡原因は合宿所の爆発事故とされている。
本人は大分満足気に懐古していたが、当然兄弟の逆鱗に触れた。
なお当の虎龍本人からは悪い噂しか聞かないこともあって「関わりたくない」と終始嫌悪されていたことが単行本13巻のおまけページの日記で書かれており、格闘興行を知る極道も彼の死を嘆きながらも「“番長”の気まぐれだろ?ありゃ災害みてーなモンだ。しゃーねーよ」と諦観の目を向けられていた。
虎龍の死は魅浦の精神にも大ダメージを与えたらしく、格闘興行を知る極道によれば虎龍の死を契機にすっかり老け込んでしまったという。

  • 覇世川(はせがわ) 炸羅(さくら)
人間(ヒト)の歴史は積み重ねの歴史だ
日本史と共に脈々と積まれし忍者の妙技 愚弄(ナメ)てンじゃね~ぞこの野郎…!!

帝都八忍先代第3席。
合宿所の事故(表向き)で父親を失った左虎・右龍兄弟を引き取り、養父として二人を帝都八忍にまで育て上げた。
2012年、極道の麻薬研究所(ヤクラボ)が帝都八忍入りを果たして間もない左虎・右龍兄弟による襲撃(カチコミ)を受け、所員はほぼ全殺しにされ、所長の繰田美伴も瀕死の重体となる(後に死亡)。
忍者の出現を察知して華虎が駆けつけ、相対した兄弟を難なく圧倒したが、その(ツラ)に10年前好試合の末ブッ殺したプロレスラー・邪樹虎龍の面影を見て、卑劣にも”挑戦状(ラブレタア)”を”()”った虎龍を堂々恐喝(ガジ)り死合った末に屠った、と告白し兄弟の憤怒(ブチギレ)を誘う。
そこに息子たちを守るため出現した炸羅と戦闘に突入、髪糸による軽い斬撃を侮り攻撃を受け過ぎた結果、握力の要である両手小指の腱を切られてしまう。

我が闘争の邪魔立てなど 我が小指とて(・・・・・・)断じて許さぬ!!

失態の禊として自身の両手小指を噛み切り、炸羅めがけて繰り出した右ストレート。その瞬間拳が光り出し、背後に兄弟が居ることに気づいた炸羅はノーガードで兄弟の盾となって拳の直撃を受け、爆発とともに吹き飛ぶ。これが「照拳」誕生の瞬間だった
だが運や偶然による勝利を嫌う華虎にとっては極めて不本意な結果であり、怒りで全身の着衣を破り捨てそれ以上の戦闘を放棄し麻薬研究所を去っていった。全裸で。
「二人の父」を殺された左虎・右龍兄弟は以後華虎を生涯の仇敵とすることになる。

  • 麻薬(ヤク)(げい)
2018年夏、江の島近海にやってきた地球史上最大動物・シロナガスクジラに開発中の『地獄への回数券』を服用させ強化した怪物*15。名前は白鯨の捩りで華虎命名。
麻薬で強化された能力はクジラが持つ動物界最大の「クリック音」
海中の射程距離内にいる鮫を含めた魚群を根こそぎ破砕して皆殺しにし、華虎の鼓膜すら破壊する殺人的爆音波へと変貌を遂げた。

実験の立案は華虎本人だが、夢澤は「ちと無茶が過ぎるかと…!」と戦慄し、殺島が「下手すりゃオレらの最大戦力を失いかねねェ…!」と危惧したほどの行為である*16
だが、麻薬で強化された野生の獣に「これぞ野生の極み」と闘志を燃え滾らせた華虎との海中での戦いの末に、昇龍拳みたいなモーションでアッパーを繰り出した華虎の一撃を受け敗北。
胴体が真っ二つに引き裂かれる形で海中から叩き出されて絶命した。

  • ダイマキシン
日曜朝に放送された幼児向けアニメ『フラッシュ☆プリンセス!』の敵幹部。
存在が明らかになったのは単行本のおまけページ。
プリグレープとプリバナナの生みの親と育ての親を殺した仇敵という設定になっている。


【劇中での活躍】

第一章の時点ではシルエットで遠巻きに登場。他の八極道と違い地獄への回数券を一切使用することなく直後の大爆発を生身で耐え切るという規格外ぶりを見せていた。

第三章では本人は直接登場しないものの、自身も帝都高で忍者を探していた模様。結局は空振りに終わり、八つ当たりなのか、パトカーや(同じ極道陣営であるはずの)聖華天の極道車を破壊していた。

『第四章:幼狂死亡遊戯』


総理官邸!!!!

彼の地で!!新たなる闘争がッッ
強者が!!忍者が!!

立つのだジョーよ礼服(スウツ)を持ていッ!!
我いざ征かん総理官邸!!!!

ガムテ率いる『割れた子供達』の総理官邸でのテロのニュースを見たことで忍者の存在を確信し出撃。
テロ終息間近の総理官邸に単騎で殴り込むと、呪血の忍者兄弟を1人で圧倒しながら堂々登場。
帝都八忍が勢揃いしていた状況に歓喜を露にし、「総理官邸は忍者の特売市(バアゲンセヱル)也!!」と端的に評した。
自分の信念に基づき忍者を殺戮しようと勇み足であったが、極道(きわみ)の冷徹な正論で頭を冷やし戦意は喪失。
自身の極道技巧で起こした大爆発を目晦ましにして総理官邸に集った破壊の八極道達を撤退させる手助けを見せた。


『第五章:極契大壊嘯(ブロマンスダイタルボア)


浸るな!!!

敗北者は()()と死ねい!!


極道アリーナでの大演説に出た以外は直接の出番は全くなかったが、どこかのタイミングで大阪の忍者集団「浪速拾忍」と戦闘、拾忍を全滅させトップの忌井魎斉にも再起不能の重傷を負わせていたことが魎斉より語られた。

その後『救済なき医師団』がバイオテロを起こした際、「忍者を一匹ぐらいつまみ喰いせん」と、こっそりと本郷の水管理センターに出向き、忍者(しのは)と艶道の戦いが終わった直後に乱入した。
過去の思い出に浸る艶道の体を粉砕して止めを刺し、忍者(しのは)を挑発で怒り狂わせ攻撃を誘うが、彼の攻撃を『地獄への回数券』無しかつノーガードの首で受け止めたうえで酷評。そのまま腕で捕らえ、照拳をお見舞いした。
だがこの一撃は、忍者(しのは)が咄嗟に放った蹴りによって親指の爪が剥がされたことで威力が僅かに軽減され、忍者(しのは)は間一髪で生き延びた。

この事実に華虎は歓喜。
これまで遭遇し交戦した帝都八忍を絶賛し、「これほどのことをできる野郎!あの程度で死ぬわけもなし!!」忍者(しのは)の生存を確信した上で名前を聞きそびれたことを後悔。
彼の名前を聞こうと叫び続けるのだった。

名前はッッ!!

(うぬ)のッ 名前は!!?

…うっせー
帝…都…八忍
多仲…忍者だ バカ…ヤロ…ウ

その後、遅れて水管理センターに到着したジョーが忍者(しのは)を発見したため、改めて忍者(しのは)を殺そうとするも、極道陣営の次なる刺客・塵芥芸者衆(じんかいげいしゃしゅう)が介入、王塚刺花のギター演奏を聴いた途端、格闘技会場の控室のような場所に居た過去(?)を想起させられる幻術に囚われてしまい攻撃を中断。
水を差されたことに怒りを剥き出しにした華虎は、彼らを率いるMAYAに凄まじい剣幕で「忍者は強靭(つよ)し!!」「()れるというのか!」「()れんのか (うぬ)!!!」と、その覚悟を問う。
MAYAはそれに対し、臆することなく「必ず」とだけ返し、華虎もまたMAYAの思いと覚悟を認めると、ジョーと共にセンター付近を訪れた本来の目的である、「彼奴」と呼ぶ何者かの捜索のためにその場を去った。



【余談】

作者神によると原型はボツネーム時代のヤンキー漫画のキャラ。
この頃のデザインはケツアゴとさらっとした髪型だったが、編集や友人から「キャラデザがキモい」という酷評を受けたためリファインして今のデザインになったという。

名字は作者のジャンプ時代の担当編集者だった齊藤優から取られていると思われる。



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最終更新:2025年04月20日 22:24

*1 単行本4巻収録のニュース記事より。ちなみに、2022/05/20時点で「存命中で最も大きな足を持つ男性」としてギネス世界記録に認定されている人物でも、大きさは40.5cm前後である。

*2 作者のツイートによると、華虎のパトロンをしていた極道からのプレゼントで、一番大切に着続けている服とのこと。

*3 このモブの台詞からは、あまりの強さ故に引き合いも強いのか極道と言えど必ずしも自陣営の味方になってくれるとは限らない存在であることが伺える

*4 実の父と義理の父。そのため左虎は「我らの父を二度殺した」と表現している

*5 コレは別に彼に限った話ではなく、ガムテは同じ八極道の夢澤の部下をたまたま肩がぶつかっただけで惨殺している

*6 孔富の方は強さに関しては「素敵」と見惚れている場面はある

*7 既に回数券を服用していた極道(きわみ)と、爆破の直前に口に手を当てている=回数券を服用した他6人に対して、華虎だけは棒立ちのまま

*8 身体能力がカンストしている場合、地獄への回数券は効果を発揮しない

*9 「左虎が全国模試で1位になった」旨が書かれているため、書かれた時期は左虎・右龍兄弟が中学3年生の時=2005年と推測される

*10 新日本プロレスの所属(元所属も含む)レスラーに似ている面々が多い

*11 長州力に似たレスラーの発言

*12 それ以前はあくまで「爆発するかのような凄まじい威力の拳打」であった。とはいえ着弾点から周囲数mの地面がクレーターのように崩壊するため威力はけた外れ

*13 この時は思うところがあったのか、苛立ちを隠さずに左虎と右龍を見逃して去っていった。現在では冒頭のセリフのように受け入れてはいる

*14 左虎・右龍兄弟が極道のヤクラボを襲撃した2012年に二人と初対面した際に華虎が「10年前」と発言しているため

*15 ちなみに服用方法は餌である魚群を食うタイミングで麻薬を散布する形式

*16 夢澤は趣味で理科を嗜んでいるが、その結果自身の忍者との戦いで相手の異能の仕組みをほぼ看破出来ていた程独学であるが理科には明るい。故にシロナガスクジラに麻薬で強化した際どの様な怪物が出来上がるか想像がついていた可能性もある