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更新日:2025/05/25 Sun 16:09:02
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粧しましょ哀しみ隠すため
狂れましょ生きるため
ようこそ我等が“救済なき医師団”…!!
救済なき医師団とは『
忍者と極道』に登場する敵組織である。
●目次
【概要】
宿敵である
忍者諸共日本を滅ぼさんとする
極道陣営第四の刺客。
何らかの理由で表社会の医療界から追放された医療従事者達で構成される闇医者集団。
全員がリーダーの孔富と同じくセンター分けされて2色に染められた異様な髪と、同じように分けて染められた白衣で統一されている。
名前の由来は恐らく「国境なき医師団」。
しかし公開された正面のビジュアルはほぼ
ヴィジュアル系ロックバンドのそれであり、一見するととても医療従事者とは思えない。
おまけに総理官邸撤退後は「忍者への最大級の嘲弄と日本政府に大打撃を示せた凱旋」記念に屋形船の中で『
天国への回数券』漬けの
ワインや日本酒を飲んで不気味に騒ぐなど、医者の不養生を体現するかのような集団である。
劇中では東京水道局の要所を占拠すると、
東京の浄水場の水に『天国への回数券』を大量混入させることで
東京全域の水道水を薬物汚染。
「救済」の信念の下、
水道水を通じて東京全土と全東京都民を麻薬漬けにし、中毒状態による阿鼻叫喚の地獄絵図を生み出すという前代未聞の化学テロを引き起こした。
【組織構造】
構成員は総勢6名。
その特徴は「この世はみんな病んでいる。表向きは元気でも法など守っていては救えぬ心で溢れている」という孔富の思想に同調した結果、「人を麻薬で中毒らせ快楽の中で殺してやることが真の救済である」という信念のもと活動しており、全員がその信念を心から信じていること。
生命を救うだけでは幸福になれず、不条理な現実に打ちのめされた人々の心を救済するべく、善意の押し付けから麻薬による殺人を許容し実行した無法の集団である。
その内情は全員が医療に纏わる深刻なトラウマを抱えてそれに耐えられず、持ち前の優しさから深く病んだ末に現実からの逃避手段として麻薬に手を出した結果、身も心も社会的にも破滅して精神までもが壊れた若き医者の集まり。
現在は麻薬による補助と『麻薬は救済』という思想に縋ることで無理矢理精神の均衡を維持しており、麻薬をキメていない間は自らが犯してしまった罪や過去のトラウマに苛まれ、謝罪や後悔を只管泣き叫ぶ。
その姿はさながらドラッグの離脱症状の様であり、これまた医療従事者とは思えない光景が広がっている。
このあまりにも常軌を逸した彼等の在り方は、麻薬を「人を救うために作られたお薬」として積極的に利用し「哀しみを隠すために粧し、生きるために狂れる」という孔富の方針の元で行われているもの。
一方で彼等の根底にあるのは、麻薬によるテロが「まがい物の救済である」と自覚した上で、それでも
- 「神の如く人を救済えると信じたい」
- 「救済いたくても救済えなかった過去の後悔を取り戻したい」
という過去への慚愧と医療活動への執着心であり、たとえ落ちぶれ歪み果てながらも
「病める人々を救いたい」という医療従事者としての純粋な想いの発露である。
またその境遇から、人の未来の可能性を無いものとして認識してしまっているのも特徴。
「どんな苦しい絶望があっても、生きていれば幸せになれる可能性があるかもしれない。今不幸な人間はこの先も一生不幸とは限らない、思いもよらない幸福に出会えるかもしれない、それが例え1%にも満たないモノであっても」という可能性を
全否定している点で、同じ医者である
左虎や同様の信念を持つ
斗女は彼らの悲観を煮詰めた価値観に憤怒していた。
夢澤も優しい男であったが 孔富達の"優しさ"は常軌を逸する
優し過ぎるが故に救うことに苦悩し
優し過ぎるが故に鬼畜に堕ちる─────
まさに"堕天使"
さあ───乗り越えられるものならば乗り越えてみたまえ
と評している。
【戦力】
戦闘能力については割れた子供達ほど殺傷に特化してはいないものの、総合的な戦闘能力については互角。
- 客となるのはガラの悪い連中のみ
- 客の抗争相手が手負いの患者を狙って襲撃を仕掛けてくる可能性がある
といった闇医者という職の特性上、客からは舐められず、かつ患者を守りきることができる程度の実力はある。
大阪においては個々人の技能を見事に組み合わせて、呪血の忍者兄弟2名に手傷を与えて撤退を成功させるという戦術的・組織的な戦いを見せた。
個人としての能力も高く、
全員が斗女の操る忍巧美男衆を無傷で一蹴できるだけの猛者揃い。
また極道
技巧も
- 腹部に住まわせている寄生虫の操作
- 相手が忍者だろうが声を聞くだけで機能する催眠術
- 肉体(腕など)による防御が不可能な人体破壊攻撃
- 遠距離攻撃と精密操作が可能な飛ぶ斬撃
といった、端から見れば「異能」にしか見えないクラスのものを所持している。
更には忍者の「暗刃」に近い象形拳を用いる者も数名存在しており、「暗刃」が「弾丸の音速越えの速度」を再現するように、彼等もまたそれぞれが「注射やメス等の医療器具」を再現した戦術を行う。
ある意味「忍者に近い極道」とも言え、その特性上「忍者と同等の異能じみた挙動」を取る事が多い。
例えば極道技巧は「肉体や感覚の強化」「自身の特技の大幅な強化」のように「自身が持つ才能や磨き上げた技術をヤクでブーストしたもの」がメインとなっているが、救済なき医師団の面々が使う極道技巧は、原点が医療技術とはいえどれも「正体不明・原理不明・再現不能レベルの異能」にまで昇華されたものばかりである。
その為、タネが割れなければ文字通りの初見殺しを強いられ、タネが割れても常人に理解できない理不尽な技を相手にしなければならない。
上記の要素やこれまでの極道陣営の実力から推察するに、少なく見積もっても準「破壊の八極道」級の実力を持つ
割れた子供達の幹部クラスはあると見てとれる。
なおこれまでの極道陣営はいずれも多くの人員を抱えていたが、彼等は構成人数の少なさから人手を必要とする作戦時には極道から下っ端極道を借りている。
麻薬水
救済なき医師団が東京のテロに用いた物質。
特別に濃度を高めた『天国への回数券』を大型ダンプの荷台に満載し、そのまま浄水場の水の中に荷台から大量混入することで完成した麻薬入り水道水。
おまけにダンプは複数台あるため、仮にテロの対処に時間がかかった場合ドンドン水道水中の薬物濃度が増していく。
分類としては「オピオイド」と呼ばれる麻薬化合物に分類されるが、その薬物濃度はコップ一杯の水を少し摂取したり水道水で軽く洗顔したり、街角のミストシャワーを少し浴びただけで急性オピオイド中毒を発症するレベルの超特濃。
摂取したが最後、強烈すぎる酩酊感と多幸感により強制的に満面の笑顔に“させられて”死に至る致死毒と化している。
モブ極道ですら
「飲んだら快楽通り越してあの世行きよ」と忌諱する超劇薬で、常人離れの解毒力を持つ忍者ですら激しい酩酊状態に陥るため、
一般人が耐えられる道理はなく忍者以外だと
愛多総理のような極めて精神力の高い者でなければ耐えることは不可能。
「ドス黒くも心地良過ぎる酩酊感」「気を抜かば魂ごと絶頂してしまいそうな…」とは麻薬水と化した水道水を飲んでしまった総理の談。
更に、
日頃から深いストレスや絶望を抱えていた人間は発症と共に狂乱。
車を暴走させて大人数を轢殺したり、狂気の笑みでガス管を殴りまくって自爆事故を起こしたり、無差別に人を刺したりと、
ねずみ算式に事件を起こして死傷者を爆発的に増やしていく。
対処する側も消防や警察は
中毒ってまともに連絡のつかない機能不全に陥っているため、これらの二次被害を抑えることすら困難な状況。
病院では余りに被害規模が甚大なためパンデミック扱い。しかも水道水全般が使用不能となるため
水分補給はおろか医療機器のまともな洗浄すら行えない医療崩壊寸前の事態となってしまっている。
おまけにこれは第一段階での惨事。
東京中に蔓延し切った後は、元々の麻薬中毒者達は元より、
- 喉の渇きや今の人生への苦悩から逃避するための快楽の誘惑に耐えきれず麻薬水を飲む者
- 麻薬水を飲んで即死せずとも、ラリって錯乱しながら街で暴れ回る狂乱の暴徒と化す者
などが発生。
人間は生きる限り水道からは逃れられないため、場所を問わず、ほんの小さな要因で新たな中毒者が生まれ、更なる惨事を引き起こしていく。
同時に忍者の弱体化という点でも効力を発揮。
救済なき医師団陣営は「薬物による強烈な弱体を与えた上で自分達に有利な戦場で戦う」という忍者への対抗策をこれに見出している。
【関連用語】
孔富が経営する闇病院。救済なき医師団の本拠地兼住居であり、メンバーは往診時以外はここに引き籠っている。
医院という名目でちゃんと表札もあるのだが、外観は蔦が生い茂るホラー作品に出てきそうな巨大な洋館そのもので病院にはまるで見えない。また聖堂のような設備まである模様。
孔富の方針から気軽に違法薬を処方するため、一般病院の処方箋では効きの悪い者にとっては便利な場所。
なお、生活必需品や仕事に必要なものは極道デリバリーが運んできてくれるらしい。
- 反俟義治(42)、鎖野茂美(32)、洩田忠治(26)
今回のテロで犠牲になった名有りの犠牲者達。職業はそれぞれ旅客機パイロット、保険営業員、ガス配管工事業。
3人とも過去に大病や重傷により入院し苦しんだものの、適切な治療を受けたことで無事完治・退院している。
…が、退院後「妻の不倫が発覚」「入院前から続く夫からの苛烈なDVによる重度の
うつ病の発症」「親の借金に治療費が加わることによる多重債務」
といった形で、3人とも
逆に精神的に追い込まれ生きる事への希望を失ってしまっている。
後に全員が救済なき医師団のバイオテロによって薬物汚染を受け発狂し「無敵の人」化。
満面の笑みを浮かべた錯乱状態に陥り重大な大事故を引き起こして死亡した。
孔富が語る「医療が発達しても救えぬ心」の具体例ともいえるが、
勝手に麻薬を盛られて周りを巻き込みながら殺される謂れはない。
反俟義治が出勤前に聴いていたFM帝都の朝のラジオ番組のパーソナリティー。
本編での出番はごく僅かだが、11巻のおまけページで
殺島飛露鬼の同級生だったこととその後現在に至るまでの苦難の人生、そしてテロの犠牲者の一人であることが明らかになった。中学時代は今でいう陰キャ系の人物だったらしい。
中学時代殺島から聖華天に誘われた経験があるが、ビビってしまった姿を見せてしまったため殺島の方から誘いは打ち切りとなり、加入することはなく殺島とは疎遠になって悪の道に走ることなく学生生活を終えた。
高校生になると死んだ父の代わりに育ててくれた義父の影響を受けギタリストを目指すも9年前暴漢に襲われた際の後遺症でバンドができなくなり夢も頓挫。流れ流され現在は打ち切り寸前のマイナーラジオ番組のバイト司会に収まっている。
社会人になってからは子持ちの女性と結婚していたようだがその妻子は交通事故によって死去。
最終的に彼も水筒の水を飲んだせいで麻薬水テロの被害に遭い、職場で「妻子と今も尚幸せな家庭を築いている」という幸福な幻覚を見ながら中毒死したと思われる。
【メンバー】
『怪獣医』繰田孔富
つらかったでしょう 苦しかったでしょう
大丈夫……!
いい特効薬があるの
救済いましょ…我等と共に───…!!
救済なき医師団創設者にして破壊の八極道のメンバー。43歳。
様々な理由で表社会に居られなくなった構成員達を勧誘して言葉巧みにまとめ上げた闇医者にして稀代の天才外科医。
詳細は
個別項目を参照。
艶道
我等は堕天使
救済阻む者は絶望の淵に…死ね
救済なき医師団・外科医。
5人の中で初めて登場。右半分の髪を黒に染めた、赤い地毛が特徴の眼鏡の青年。
一人称は
「オレ」。孔富の前でのみ
「私」。作者のツイートによると年齢は34歳。
登場時のシルエットは女性的だったが、実際は引き締まった肉体を持つ中性的な顔立ちの美青年。
メンバーの中では最古参に位置する。ちなみに身長は嫌慈どころか歪罹井よりも低く、最も小柄。
他のメンバーと違い精神的にかなり安定しているようで、麻薬入り
ワインに口をつけず繰田医院でも泣き叫ぶことなく平然と孔富の補佐をしている。
しかしテロの前日には堰を切ったように他の四人と同じく絶えず悔悟の涙を流していた。
性格は冷徹で常に無表情。
「どうでもいい」が口癖。
自分達救済なき医師団のことを
『堕天使』と自称しており、
忍者が我流で縫合した手術痕を見てボロカスに貶すなど口は悪い。
自分達が行う救済活動の邪魔をする者は誰であろうと容赦なく処断しようとする冷酷さを見せる一方、孔富が掲げる「この世はみんな病んでいる」という思想に同調し忠誠を誓っており、
「麻薬で人々の苦痛を救済える」と信じ
「麻薬で救済われる人を救済いたい」と
本気で願う医師故の優しさも持つ。
そして同時に孔富の”本当に救いたかった存在”が何なのかも理解しているらしく……。
かつては「赤毛の天才医」という異名を取り「あのDr.孔富・Dr.覇世川に次ぐ」とまで評された若き天才外科医。
ある日、幼い頃亡くなった最愛の妹・小夜子と瓜二つの見た目、同じ夢、同じ足の難病(肉腫)を抱えて入院した少女・みきこと出会い、「彼女を救う事が自分の運命」と決断。「足を切ることが最善手」という院長の意向を拒み、彼女の足を温存した状態で救うため、連続30時間を超過する日々の勤務と論文代筆をこなしながら、休憩や睡眠すらも惜しみ、合間を縫って世界中の論文や手術症例を漁るという激務に身をやつした。
当然艶道の身体がその過労に耐えられるはずもなく、この間に疲労を紛らわすため覚せい剤に手を出している。
そしてしばらくして、孔富がドイツで行ったという術式に彼女を救える可能性を見出し、病院に一切連絡せず独断かつ無許可でみきこの手術を強行。
麻薬に汚染されてなお衰えない神業的手術により肉腫は摘出寸前まで至ったが、運悪く彼の凶行を見つけた病院側の職員に取り押さえられ手術は中断。結果として失敗に終わる。
その後、謹慎処分中に覚せい剤の件で警察と接触。逮捕状を見せられ動揺し逃亡したところ、逃げだした先の道路で片足を失い車椅子に乗ったみきこと遭遇。
期待を裏切られたこと、「将来五輪に出て自分の足で走る」夢を断たれたことへの憎悪と悲痛に染まった顔で
私…もう走れない
自分の足で…地面蹴って…先生…私また走れるって言ったのに…
うそつき 死んじゃえ…!!
と怨嗟の言葉を叩きつけられる。その直後、わき見運転でツッコんだトラックに牽かれ、彼を追ってきた捜査官とみきこは即死。
自身を取り押さえようとした捜査官達が図らずもクッションになったおかげか、艶道だけは奇跡的に一命をとりとめ、事故現場に現れた孔富に拾われることになる。
その後の足取りは不明だが、そのまま闇医者の道に進み『救済なき医師団』の勧誘を受け入れた模様。
戦闘では「黒旋術式」と名付けた特殊な手刀の構えから繰り出す遠隔斬撃を駆使して戦う。
この構えは遠距離攻撃以外でも暗刃同様近接戦での格闘術にも転用でき、有事には直接手刀で斬撃を放つ。
そして医者らしく『地獄への回数券』の賜物か負傷者を見ただけで傷の内容と数を特定することができる。
他にも、相手の体に触れることなく切開を行うという左虎によく似た技術を身につけている。
暗刃に似た手刀の構えから空気を精妙なる加減で裂き操ることで繰り出す攻撃の総称。
鬼狩りや呪術師に謝れ。
忍者を手術した際の切開も、これを用いてのものと思われる。
外科医としての技量により、ピンポイントで特定の部位を切り裂く精密性も備えるが、裂く空気が存在しない水中においては使えないことが欠点。
「シュトゥルム(Sturm)」とは、ドイツ語で「嵐、感情の激発、襲撃、急襲」といった意味を持つ単語。
ネーミングに関しては
「ドイツ語はかっこいいので…」と単行本おまけで語っていた。
ドイツは古くから医学において高い水準を誇っていたため、ドイツ語は実際の医療現場においても身近なものであり、元々馴染みがあったのも大きいのだろう。
「ドイツの医学薬学は世界一ィィィ!」というのもあながち間違いではないのである。
●壱ノ型
黒旋術式の技の1つ。
手刀で空気を裂いてカマイタチのような気流「風の刃」を無数に飛ばし、不可視の斬撃で離れた相手の身体を一瞬で切り刻む。
砂塵をばら撒いて巻き込ませれば視認可能になる。
●弍ノ型
壱ノ型発動と同時に自身の身体の周囲で吹き荒れる風の刃の自動防御により敵を迎撃する防御術。
●終末型
風の刃に塵を混ぜることで発動する本気の黒旋術式。
塵が混ざって風の刃が黒くなっており、視認可能になった代わりに飛躍的に切れ味が上がっている。曰く「堕天使の漆黒き翼」
コンクリート製のビルの壁や床を容易に解剖する切れ味を持つ上、「弍ノ型」の自動防御も健在。
ガムテの敗北直後に総理官邸を訪れると、肝臓へのダメージを軽減しきれずに苦しむ忍者に、敵とは知らずにその場で手術を行い、適切な縫合をし直して去っていった。
この時、忍者に鍼麻酔で痛みを和らげるなど気配りを見せてもいるが、それでも「この程度では救済いではない」と語った。
テロ実行後は孔富、叛巻、嫌慈と共に東京水道管理の中枢部・本郷の「水運用センター」を占拠しており、左虎を敢えて先に行かせた後忍者と改めて対峙。
当初は黒旋術式の遠距離攻撃と鉄壁の護り、更には右腕の筋肉を断ち使用不能にする堅実な戦術で忍者を圧倒していたが、麻薬水の浸食覚悟で水運用センター地下の貯水池に落として風の刃を封じる奇策の前に形勢が逆転。
おまけに断たれた腕の筋肉を固結びするとんでもない第2の奇策によって無理矢理腕を回復されてしまい、最後は水中で暗刃を喰らい致命傷を受け敗北した。
文字通り首の皮一枚繋がったことで絶命は免れるが、水中から這い上がると、自分の敗北を認めて麻薬水の成分表のデータを忍者に提供する。
そして忍者の前で自分達の身勝手な無様さ、救済いようの無さを自虐するも「忍者はブッ殺しても嘲笑わない」という厳しくも優しい信念の前に感銘を受け自嘲。
緊張の糸が解けたのか、瀕死の中、みきこへの懺悔の念と「みきこのような人々を救済いたかった」という医療への想いを吐露しながら、月へ向かい手を伸ばし続けた。
大…丈夫…
みき…こ……ちゃん
君…は
きっと…走れる…五輪で…君の足…で思いっきり…!
大丈夫…!きっと走れる……!!
オレが…きっと君を──…!!!
浸るな!!!
敗北者は疾っ疾と死ねい!!
だがそんな懺悔の涙と幸福な幻想も、
『忍殺番長』砕涛華虎の乱入により破綻。肉体を拳によって粉微塵に砕かれるという、呆気なくも無惨な終わりを迎えた。
しかし、ここで忍者に託した麻薬水の成分表のデータは…つまりは『天国への回数券』の解毒薬を開発できる可能性を秘めている事に他ならない。
漆黒に堕ちた『赤毛の天才医』は、今度こそ未来に救済いの道を示したのだ。
ちなみに、同じ作者の作品である「ジュウドウズ」でも縁堂という人物が登場していたりする。
歪罹井
ないのよ…そんな幸福
世界は私が観てきた限り…
救済なき医師団・看護師。
元産婦人科の看護師でメンバーの紅一点。
顔の右半分を
メキシコのカトリーナメイク風に化粧した奇抜な外見だが、顔立ちは端正でスタイルも抜群。若々しく見えるが年齢は恐らく30代後半から40代前半あたり。
そして
「KILL ME BABY」の文字に臍の緒の切られた胎児の刺青を腕に刻印している。
加入時期は艶道の次に当たる。
一人称は「私」。
言動や性格は若干ダウナー気味だが極道の闇医者らしく暴力沙汰にも強く、暴力的な言動も躊躇わない。
その実態は「この世界は産まれるには残酷過ぎる」「この世に幸福などない」という悲観・諦念を抱えた、過激な反出生主義者。
テロ前日の『子供達』への謝罪の言葉と刺青から『墮胎』や『医療過誤による流産』に関するトラウマを有していると推察されていたが、実際は真逆で産ませてしまったことそのものを悔いていた。
過去の経験から今回のテロについては疑問の余地なく救済だと捉えており、麻薬水による乳児の中毒死を知って心から安堵の笑みを浮かべて喜ぶほど。
また発狂前から妊婦の気持ちを理解するために体内に巣食わせた無数の寄生虫への愛着は深く、「私のお胎で大事に育てた寄生虫達」とまで呼ぶレベルで慈しんでいる。
ちなみにミュージシャンの清春の大ファンらしく、99年1月29日の名古屋ハートランドで行われた黒夢の無期限活動休止ライブでは泣いたと語っている。
かつての姿は患者が何を思い何を恐れ何を喜ぶかを思い描く想像力を尊び、「患者の気持ちを理解り寄り添う」ことを目指して試行錯誤していた、真面目で不器用な看護師。
自分の出産に興味はなかったものの、患者の気持ちを理解することだけを目的に妊娠を望み、自分の不妊を知ると迷うことなく寄生虫を体に宿した。
しかしある日、自分が初めて取り上げた子供が小学校の同級生達からのいじめを苦に自殺したというニュースを知ってしまう。
これがきっかけで、患者である妊婦の気持ちばかり重要視して見落としていた「赤ちゃんは産まれてきてどんな気持ちなのか」という疑問を抱く。
そうして自分が取り上げた子供達の名前をネットで検索…
その結果「不幸な偶然」と納得できないほどに、ことごとくがいじめや虐待などで望まぬ死を迎えた事実を知り、現実を許容できず発狂。看護師すら辞めてしまう。
ごめんなさい…!!
産ませてしまってごめんなさい……!!!
看護師を退職後、絶望と苦しみを紛らわすためにとうとう自暴自棄の果てに麻薬に手を出してしまい遂には警察から追われる身となる。
「赤ちゃんは産まれてきてどんな気持ちなのか」という疑問への答えを見出せぬまま、逃走中に偶然出会った孔富に拾われたことで裏社会に足を踏み入れる。
戦闘では捌いた自身の腹部から、麻薬で強化された寄生虫を放って戦う、所謂虫使い。帝都八忍よりも古典忍者っぽい。
忍者と戦う以前でも『地獄への回数券』の薬効と寄生虫を駆使し、患者を守るため華極道すら尿漏らせた実績を持つ。
麻薬はやめられないとまらない
私と───この寄生虫がいる限り
下腹部に寄生させた無数のワーム状の寄生虫を『地獄への回数券』の薬効で強化して腹部から放ち、触手の如く自在に伸縮させ操る極道技巧。
下腹部を突き破って出現する光景も含めて見た目もおぞましいが、頻繁に上げる「キュッピィィィ」「ピッキュイイッ」という鳴き声も不気味。
凄まじい手数と破壊力を備えたアウトレンジ攻撃であり、左虎の髪による斬撃を相殺し忍巧美男衆すら容易く破壊する威力を持つ。
知能も高く、打撃で飛散した瓦礫に隠れて相手の死角から攻撃する壁抜きもできる。
加えて素早く動く相手の体に巻き付いて拘束し、そのまま強く締め上げてバラバラに解体することも可能。
扁形動物に見られる人間以上の再生能力も特徴で、暗刃で頭部を切り落としてもすぐさま復活。宿主が致命傷を負っても宿主から養分を吸うことで戦闘を続行する生命力も持つ。
同じくアウトレンジ攻撃を得意とする
壊左と比較すると、威力や身体能力では劣るが、手数と拘束・再生能力はあちらにはない強みである。
元ネタは恐らく『SADS』の楽曲『SANDY』だと思われる。
単行本おまけでは清春にちなんでネーミングしたと語っている。ハラミの中毒死
テロ実行後は東京への供給量トップ2の浄水場の1つ「葛飾区K浄水場」を占拠し、惨蔵の指示を受けて現れた
ロボ娘ちゃん…もとい斗女と交戦する。
ジェット噴射による高い機動力で攻撃を躱されるも、壁抜きによる不意打ちや再生能力で対処し、一度は斗女を拘束したうえで解体してしまう。
しかし事前に忍巧美男衆を通してその戦法を把握していた斗女が編み出した現代版身代わりの術『
美男抱擁』に引っ掛かり、背後から斬首される。
それでもなお胴体の養分で活動する寄生虫達で抵抗するが、自身の首を掴んだまま放たれた『
完全無敵乙女砲』を大元である胴体に叩き込まれ漸く敗北。
(これだ……!!私が理解たかった気持ち)
(これが…これが────…)
…おぎゃあ
死の間際、血が溢れ出る腹部の前で首を抱きかかえる恰好となり、その温かさから自分が知りたがった「
赤ちゃんの気持ち」を理解。
安らかな笑顔を浮かべ、産声のような断末魔の言葉を残し絶命した。
後に作者によると元々は
チェーンソーを得物としてぶん回すキャラだったらしいのだが、
「チェンソーマンを超えるようなハッタリが思いつかず、内臓ブン回すキャラに変えたら担当さんから内臓NGを喰らい
最終的に寄生虫ブン回すキャラに落ち着きました。」
とコメントしている。
美陀
“お喋り”しましょう 紅茶でも飲みつつ────
救済なき医師団・精神科医。
薄い青色の瞳を持ち眼鏡をかけたカイゼル髭の中年男で、戦闘時にはシルクハットを被った奇術師めいた装いをする。
加入時期は歪罹井の次に当たる。
一人称は「私」。トラウマに苛まれている際は「僕」となる。
殺人は躊躇わないが物腰は穏やかで、敵にも常に丁寧な口調で接し紅茶を嗜むなど表面上は非常に紳士的。
過去には壮絶な介護生活の果てに看病していた母親を殺害しており、その過去から母親を殺してしまったことへの激しい慚愧の念を抱えている。
本人の救済への信条は語られることはなかったが、経歴を考えると「老いて身も心も苦しむ前に麻薬で殺してあげることが慈悲」というスタンスか。
また母の遺品と思わしきひび割れた置き時計を捨てずに未だ近くに置いている。
かつての姿は
「患者に寄り添わない」という信条を掲げた凄腕の精神科医。
患者の心の闇に引きずられた同僚や、そうして主治医を失い更に苦しむ患者たちを何人も見た末に、より多くの患者を救うためにあえてこうしていた。
家族は家業として精神病院を営んでおり、母は父が急死した後も女手一つで病院を支え、息子を立派に育て上げた。
美陀もそんな母のことを「
強く優しく美しい母」として全幅の信頼と敬意を抱き、患者には淡々と接する一方、母を唯一寄り添う相手に定めて、心の支えとしながら激務に耐えていた。
しかし、
最愛の母親が認知症を発症したことがきっかけで人生が一変する。
美陀は施設や他者に頼らず自宅で介護を続けるも、母は症状が悪化して錯乱。息子の顔さえ判別できなくなり、怒鳴り散らしながら暴れるようになる。
やがて
現代医療では治療もできず催眠療法も通じない病と、
美しかった母の心が老いにより失われてしまった事実に限界を迎え絶望。
文字通り自らの手で、大粒の涙を流しながら母の首を絞めて殺害した。
うっ…うぅ…
ぐ…!うぐぅ…!!
母…さん…母さん…!!!
その後は「今の医療で救済えぬ心を救済いたい」と願い、経緯は不明ながら孔富に接触。彼に気に入られたことで『救済なき医師団』の一員となる。
強力な催眠術師で、麻薬で強化された能力も自身の催眠話術。
戦闘ではベルト状の
拘束具と仕込み杖を駆使。
催眠術で動きを止めた相手を拘束してから、急所を突き刺したり首を刎ねたりして確実にトドメを刺す堅実な戦い方を好む。
話せば話すほど貴方を深き催眠へ
堕とすのです───さぁ
もっと深く…もっと…もっと
さあ…さあ…!!
特殊な波を含んだ音程やリズムを己の言葉に織り交ぜた催眠話術の極道技巧。
一言話しかけるだけで催眠術に掛け、その会話の内容の通りに相手の肉体の挙動を操作・支配してしまう。
更に美陀の言葉を聞けば聞くほど意識が濁ってより深い催眠に堕とされてしまい、やがて完全な催眠状態に陥る。こうなれば後は美陀の言いなりになるのみである。
曰く、完全なトランス状態になるまで5分持ちこたえれば頑張ったほうであり、常人相手であればより素早く支配下に置けると思われる。
惨蔵に「これほどの代物は初体験」と言わしめるほどの精度と即効性を有しており、一度でも声を聴いてしまえは瞬時に技が成立する。
そのため斗女すら忍巧美男衆越しに彼の声を聞いてしまった結果一時動きを封じられ、派遣した忍巧美男衆をなす術なく全滅させられてしまった。
ただし実際の催眠術の例に漏れず、催眠術で自殺させることはできない。
なお極道技巧発動時には美陀の言葉の書体や大きさが出鱈目になるような演出がされている。
またネーミングに関しては、「カタカナが大事なのです。カタカナが」「情緒があります」というのが本人の談。
テロ実行後は東京への供給量トップ2の浄水場の1つ「朝霞市」の「A浄水場」を占拠。地下配水池に現れた
神賽惨蔵と交戦する。
惨蔵を前述の戦法で仕留めようとするも、突き刺す瞬間にギリギリで急所を外されたり、拘束を「全姿全能」による変形で抜け出されたりしてしまう。
それでも攻撃を催眠で止めた彼は、惨蔵を紅茶を飲みながらの「お喋り」
に招待する。
毒も麻薬も一切仕込まないながらも自身の極道技巧で優位を取り、身動きできない惨蔵を完全な催眠状態に陥れ、忍者に関する情報を搾り取ろうとした。
……が、その際
「知っている忍者の情報を『全て』話せ」と命じてしまったのが運の尽き。
惨蔵の記憶が明暦2年(1656年)364年前という通常の人類が生きられる筈がない時代まで遡ってしまい、肝心の現代忍者に関する情報は一切出てこない。
自身の催眠術の精度故に彼が嘘を言ってもいないため、目の前の男が人智をも超えた途方もなく恐ろしい存在であると悟ってしまい動揺。
冷静さを欠いて慌てて殺そうとした瞬間今度は自身が催眠術に陥ったような状態になってしまう。
その正体は惨蔵がその場で習得した『神誅焰魔洞』。…戦死者の一人である
色の暗刃『睡掌髑路』と他ならぬ美陀の『
夢遊ナル
螺旋回廊』をコピー&複合させた術に嵌り敗北。
人の
深層心理を覗こうとしたことにキレた惨蔵からの御礼参りを受けることとなる。
最期は惨蔵の催眠術で過去の記憶を想起させられ、麻薬水テロに関する情報と共に、自身の中の
トラウマと自罰意識を掘り起こされた結果、母親への懺悔の言葉を涙ながらに呟き自らの首を捻じ切って自害した。
偶然か否か、両手に頭部を抱えたその死に様は、生前最も喜びを感じていた
母の両手で優しく頬を撫でられる姿によく似ていた。
嫌慈
良ンだよ叛巻さん 役立たせてくれや…!
ここは オレが死ぬ
救済なき医師団・看護師。
片方を白銀に染め上げてパンクロッカーのように逆立たせた髪型が特徴的な男性で、外見年齢だけなら最も若い。白衣の下に色分けしたタンクトップを着ている。
一人称は「オレ」。
ダウナー気質な者が多い救済なき医師団の中では、外見相応にテンションも高め。
元々は極道やチンピラのようなファッションの、あまり堅気には見えない少年。言動から察するに恐らくは暴走族上がり。
命に係わる大病を患い、叛巻の病院で入院生活を送る中、医療の偉大さに感激。退院後、約5年の努力の末に看護師免許を取得し、叛卷の下で働きたいと願って病院に押しかけた経歴を持つ。
なので主治医であり恩人である叛巻には並々ならぬ敬意を抱いており、彼に貢献する為なら死も厭わない。
鉄筋コンクリートの床を階下の天井もろとも一蹴りで壊し、崩落させる脚力の持ち主だが、実力は医師団最弱。
地獄への回数券2枚服用による過剰強化を以てしても呆気なく瞬殺されてしまっている。
本人も「気合と根性しか取柄がねえ未熟なオレ」と自嘲しているが、それ故に以下の極道技巧にかける全力は相当なもの。
もう…遅い!!
オレ…が死ん…でも“身体”は…!!
地獄への回数券2枚服用による過活性の負荷を利用して、己の肉体を意図的に爆散させる自爆特攻の極道技巧。
本人の気合いと効能の過活性によってか、氷漬けにしようが四肢や全身を刻もうが爆発まで前進を止めることは困難。
肉体の飛散自体に破壊力はないが、肝心なのは肉片ではなく血液。
嫌慈は予め、自らをボツリヌス菌の亜種の保菌者にしたうえで、その毒性を『地獄への回数券』の薬効で強化している。
この細菌は極道科学の産物である新種で、大気中なら5秒で死滅するほどの超偏性嫌気性だが、保菌者の血液を介して飛沫感染する性質を持つ。
感染者が毒物全般に耐性を持つ忍者であっても視力を即座に奪うほどの症状を発生させる。
叛巻のセリフからすると、並の人間ならば死亡ないし行動不能になるほどの猛毒のようで、艶道の見立てでは、麻薬水の影響と合わせて「神経系を侵され視力と筋力が著しく低下している」「本来の半分も力を出せていない」ほどの弱体状態に陥らせることができる。
ネーミングに関しては気合を込めるべく一生懸命辞書で漢字を調べて名付けたらしい。
“救済なき医師団”看護師・嫌慈ィ!!
逝くぜ逝くぜェェェェェェェェ!!!
劇中では本郷の水運用センターでの一番手として突貫。
己の極道技巧を利用した自爆特攻で己の命と引き換えに、忍者・左虎・右龍にさらなる弱体化を与えた。
叛巻
この程度なら問題ない
問題なくお前を“診て”殺そう
救済なき医師団・内科医。
風貌は左側の髪が色褪せた金髪になったウェービーな長髪で、長身痩躯の中年男性。メンバー内では孔富を除くと最も大柄。
医師団の中では嫌慈と同時に加入した新参。
嫌慈とは主治医と元患者及び医師と助手の関係であり、闇医者に堕ちた今も尚嫌慈の上司としてほぼ常に行動を共にし、時には丁寧に指導をしている。
一人称は
「私」。
初登場時は『天国への回数券』漬けの
ワインを飲んだためか哄笑する姿を見せていた一方、それ以外では常に陰鬱な表情を湛えているダウナー系の人物。
淡々とした口調だが嫌慈への慈しみは深く、彼を
「病む人を心から想う優しく立派な医療者だった」と述懐している。
元々は過疎高齢化と医師不足に苦しむ山奥の村落への赴任依頼を快諾し、嫌慈と共に僻地医療に従事することを自ら志願した若き医者。
24時間365日碌な休みもなければ設備も薬剤も貧しく、絶えず訪れる患者に延々と尽くす激務であったものの「つらくはなかった」「村の人々の救済になれるなら」と充実した日々を過ごしていた。
しかしある年に猛威を振るった流行病が村にも襲い掛かり、近隣の町の病院も患者を受け入れられず、体力のない老人から次々と犠牲になってしまう。それにより親族を失った遺族から心無い罵倒を受け、更には診療所への落書きや備品破壊といった嫌がらせにも苛まれ、心身共に憔悴し切ってしまう憂き目に遭う。
…嫌慈
平気…ス… 叛巻…サン
救急の患者…待ってるス 早く往診…行かねーと…
それでもなお「人は生命がかかれば心の余裕を失う。我儘になる。当然のことだ」という考えから村人を擁護し、使命感を支えに患者を診療しようとしていたが、夜間の村の往診で診療所を留守にした隙にとある村人が逆恨みからの嫌がらせで診療所にガソリンを撒き、一服の為にタバコへ火をつけた事で引火。診療所を火元として村全体に及ぶ大火災へと転じてしまう。
丘の上からその光景を目の当たりにした叛巻は当初救助活動のため村へ戻ろうとしたが、同じく火災を見た嫌慈の心が遂に折れ、村人を見捨てて逃げるよう涙ながらに進言。
もういいよ…!!
もういいよあんな村の奴ら!!!
逃げよう叛巻サン!!もういい…!もういいよ!!!
その言葉を受けて叛巻の心もとうとう折れてしまい、二人は村に背を向け逃亡。
結果、村全体が全焼し村民343人が死亡。その挙句2人は村を放火して逃亡した犯罪者という濡れ衣を着せられ表社会での居場所すらも失ってしまった。
一方で、自分達を迫害した村人への憎悪や冤罪をかけられた事への恨みではなく、「己の力では人々を、人々の心を救済えなかった」、そして何よりも「医者としての使命を投げ、一時の感情で村を見捨て逃げてしまった」という事に苦しみ、その後はホームレスに転落したところを孔富に拾われ、救済なき医師団へと堕ちていった。
打撃が命中した瞬間掌から指先を介して血管内に空気を流し込み、空気塞栓を発生させる事で標的の血管を詰まらせ標的の内側から血管を爆破する「注射の象形拳」の極道技巧。
動脈静脈といった重要な血管に対して決まればそれだけでも致命傷になり得る。
打撃自体は蚊に刺された程度の小さな痛みな上に(命中箇所によるところも大きいが)血管の爆破自体も小規模。
故に
北斗神拳のように全身を粉々に爆散させることは不可能だが、続けて受けると例え致命傷を回避したとしても大量出血による失血死は免れない。
加えて血管に対して攻撃する性質上、肉体耐久力だけでは完璧に防げないのも強み。
テロ実行後は嫌慈の
自己犠牲により弱体化した3人のうち、自身を抑え込んだ
右龍と対峙する。
弱体化を重ねた右龍を相手に花葬拳を駆使して一方的に攻撃を仕掛けて大量出血による死を確信するほどに追い込んだが、
右龍の人知を越えた造血能力によって大量出血を回復されてしまい驚愕。
再び花葬拳による大量出血を狙うが、カウンターで放たれた新技「
血風怒涛剛雷漢」の直撃を受け全身を黒焦げに焼かれてしまう。
それでも気合と根性で右龍に立ち向かうが、最後は「
不死身の
電撃漢」の高圧電流を直接流されたことで遂に敗北。
(救済おう嫌慈 すべての人々を…すべての心を)
(生命の限り)
(灰になるまで……!!)
こうして側にあった嫌慈の生首共々全身が灰に還り、粉々に砕け散りながら死亡した。
【救済なき医師団(+α)の慈悲深い語録抜粋】
- 愚医
- 「大麻もコカインもヘロインもみんな人を救うために作られたお薬───本来そこに悪意も罪も存在しないの…」
- 驚愕
- 双生児
- 苛烈い
- 「殺っとけ殺っとけオレ達は今麻薬の力で無敵だからよォ」
- 弱体った
- 闇医者の戦力
- 「せめて…麻薬で快楽に────…」
- 麻薬中毒
- 「なんて───悲壮た形相なの 病院…来る?」
- 「信念に基づき人を救う…それが医者です」
- 極道輸送車
- 極道リリーフ
- 立入禁止
- 極道科学
- 「水道ひねれば麻薬がガブガブ飲める!バキバキ幻惑る!!麻薬中毒者の大願が叶ったァァ!!!」
- 「さあ“診殺”の時間だ ……少し痛いぞ」
- 「大学病院の恩師は言っていた 『僻地医療は 己が生命削り 薬と成すが如く』」
- 珍獣
- 「我等の救済否定するなら逃げず殺ってみろ!! オレは命の限り麻薬水流し救済を続けよう!!」
- 麻薬満つる水中
- 「Oh〜…My God Hand!!」
- 弱者男性
- 極上麻薬
- 極道闇病院
- 「オイ!お前しっかりせぇ!!」「なんて残酷な…!債権者共を麻薬の実験台にしただけやん!!」
- 4枚服用
- 「オバケ!!?」「うるせー!!!」
- 「アンタねぇ…!!“覚醒剤”がなんだかわかってんの!?手ェ出せば最後アンタの人生破滅しかなくなるのよッッ!?」
- 「救済いたいから医者になったのでしょうッッ!?ならば今逃げたら後悔するわ。救済いなさいそんな患者も!!我が身がどうなろうとも!!」
【余談】
上述のオピオイドは現実にも存在し、ケシから採取されるアルカロイドや、そこから合成された化合物の事である。つまり「オピウム(アヘン)類縁物質」という意味。
効果としては鎮痛・陶酔作用があるが、高用量の摂取は昏睡・呼吸抑制などの副作用を引き起こしてしまう可能性がある物質。
オピオイドを元に合成される薬剤にはモルヒネ、ジアセチルモルヒネ、コデイン、ヘロイン、オキシコドン、フェンタニル、メサドン、ペチジン、ヒドロコドンなどが存在する。
それらは、現代において「最も強力な鎮痛薬」と呼ばれ、末期がんの治療や麻酔臨床では必要不可欠な薬剤とされる。
アメリカでも多く使用されており、一般人にも処方箋として流通している。
…しかし、強い効力故にオピオイド依存症や離脱症状、過剰摂取による死亡の危険性があるため多くの国で規制物質となっている。
オピオイドを導入しているアメリカでは社会問題にもなっており、オピオイド(特にオキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル)の依存症や過剰摂取などで1999年から2016年までに63万人以上が死亡。 2017年にはアメリカで「オピオイド危機」と呼ばれる公衆衛生上の非常事態が宣言されたほどである。
12巻のおまけページではそれぞれの極道技巧のネーミングセンスについて書かれているが、孔富は「みんなとってもいい厨二♡」と微笑ましく見ている。
追記・修正は髪色と服装を二色のセンター分けにしてからお願いします。
帝都八忍の活躍で『救済なき医師団』は壊滅するも、彼らの残した麻薬水テロによる爪痕は甚大。
忍者にも
一人殉職者が出てしまった。
崩壊した水道インフラの復旧は一朝一夕には進まず、愛多間七総理は精魂尽き果て昏睡。
都内には麻薬水の快楽を忘れられず快復しても再び薬物に手を出し中毒者になる都民が続出した結果、
都内のあちこちに麻薬中毒者が溢れ返り、天国への回数券が未成年の子供が簡単に入手できるほどに広まり、麻薬中毒者になった子供も蔓延る地獄と化してしまった。
治安悪化に伴い都内の地価は暴落の一歩を辿っていく中間髪入れず、忍者を含む世界を滅ぼすべく、新たな八極道の刺客が動き出す。
次に
忍者と闘るのは"暴"じゃない
"芸"に生きるこの我々…
忍者は 我らの"祭"の大事な来賓
何人たりとも邪魔立ては許さない…!
忍者君…忍者達よ
次の極道たちに“優しさ”はない
彼らにあるのはただただ純粋な─────
“大衆”への 極大の“憎悪”のみ
- >(麻薬水は)常人離れの解毒力を持つ忍者ですら激しい酩酊状態に陥る ……逆にパンピーに等しいのに精神力で耐える愛多総理は何なんだろうな… -- 名無しさん (2023-08-20 16:04:41)
- たて乙 -- 名無しさん (2023-08-20 16:05:57)
- 動機が真っ当そうな奴多くてまた哀しき悪役かあ…ってなった。 -- 名無しさん (2023-08-20 17:59:49)
- ↑だから(多分)次の華虎さんはそう言った過去が一切無しの徹底した「悪」、徹底した「敵」として描かれそうな気がする。↑↑↑愛多総理も別ベクトルの極道なんだよ。 -- 名無しさん (2023-08-20 18:13:38)
- 名称の元ネタはやっぱり国境なき医師団かな。中身は皮肉なんてもんじゃないが -- 名無しさん (2023-08-20 18:38:17)
- 制作会社さん、これも含めてアニメ化、"強情"...いいスか? -- 名無しさん (2023-08-20 21:41:46)
- 左虎さん退場しそう……↑3この次が華虎さんだとしたら右龍VS華虎で真最強生物決定戦みたいな展開なんだろうか -- 名無しさん (2023-08-21 00:17:57)
- ↑2 勿論“却下”ッス -- 名無しさん (2023-08-21 00:55:02)
- ヨシダさんコレ長以外だと対処できなさそうでめちゃくちゃやばいと思うッス 最悪ガムテより強いかも あとは大体グラチル幹部くらいってのは同意ッス -- 名無しさん (2023-08-21 10:13:54)
- ↑完全催眠にかかるまで猶予がある、攻撃以外の行動は可能と結構詰めが甘い技能だしガムテより強いは言い過ぎかな。敵の攻撃を食らって上等精神(メンタル)の忍者相手だと相性が良かったのはあると思う -- 名無しさん (2023-08-21 16:53:22)
- これ読んだことないけどルビがすごいなw -- 名無しさん (2023-08-21 16:57:24)
- 催眠は性質上おしゃべりする余裕がなければ全くの無力だから相性差はかなり大きいな。忍者レベルになると普通に音速で不意打ちしてくるし、相手と状況によっては一音節しゃべる間もなくモブ極道並みにあっさり首飛ばされそう。 -- 名無しさん (2023-08-21 17:01:06)
- 語録に麻薬満つる(やくみつる)が入ってないやんけ -- 名無しさん (2023-08-22 12:50:03)
- こんな団体名を名乗ってる時点で、全員自分たちの行動が単なる代償行為で何の救いにもなってないってわかってそう -- 名無しさん (2023-08-22 16:22:35)
- ルール違反とかじゃないけどさ、背景付きの色文字多用しすぎて正直メチャクチャ読みづらい。どこを強調したいのかも曖昧になるし必要最低限に絞った方が、色文字も効果的に印象に残ると思います。 -- 名無しさん (2023-08-24 12:02:12)
- 難しい話よな 病める者を救うのが医者 ならば病める医者…もとい病んでしまった医者を救うのは誰なんだろうな -- 名無しさん (2023-08-31 03:37:54)
- 背景色文字は強調じゃなくて作中台詞の抜粋部分じゃね。印象に残したいんじゃなくて記事の文章と作中台詞の区別だと思う。 -- 名無しさん (2023-08-31 11:17:23)
- ルビにルビを重ねるのは薬生える -- 名無しさん (2024-01-07 13:17:26)
- 叛巻さん、診察を診殺と表記してしまったせいで、CV:森川智之で「診」「殺」と決断的にショドーされた医療用マスク型メンポを着用するイメージが付いてしまった -- 名無しさん (2024-05-18 14:33:52)
- 艶道さん、麻薬水の成分表持ってたってことは「天国の回数券」の特効薬も作れたって事か。マジで惜しい人だったな… -- 名無しさん (2024-06-21 22:48:16)
- ↑そもあの成分表、ヘルポンがヘブポンの改悪版であることを考慮すると左虎生きていたり、こいつらの誰か一人が改心して協力してくれたら両方の解毒薬作れた可能性あったんだよね。それでもあった方がはるかに良いモノを残してくれたから事後処理は総理と堅気の医者と斗女たんに任せるしかねぇな… -- 名無しさん (2024-06-23 09:37:01)
- 艶道の手術があのまま強行してもダメだったって無情さ突きつけられてるのもやるせない -- 名無しさん (2024-07-02 00:46:35)
- ↑艶道は分かっていたと思いますよ。手術を中止させられたことに憤るのではなく、あの子を助けられなかったことに後悔してばかりでしたから。手術中に自分では無理だと悟ったんでしょうねきっと。だからこそ無念だった -- 名無しさん (2024-07-02 21:49:29)
- 艶道は不可能だと諦め切れるほど大人になれなかった -- 名無しさん (2024-07-03 19:59:51)
- 技巧がエア手術なのも無限に引きずっとるな、ハッキリ無理不可能と突きつけられた方が救いだったのかも -- 名無しさん (2024-07-05 22:09:53)
- 弐ノ型が自動防御の術式領域なのも手術を止められた件を引きずってるのが窺えるしな -- 名無しさん (2024-07-20 07:51:55)
- 歪罹井さんって、ライブの時にコーボーだったとしても四十路のBB…御婦人なのか -- 名無しさん (2024-08-16 18:13:00)
最終更新:2025年05月25日 16:09