シロナガスクジラ

登録日:2023/03/23 Thu 00:19:01
更新日:2025/04/11 Fri 12:00:49
所要時間:約 4 分で読めます





シロナガスクジラ(学名:Balaenoptera musculus)とは、哺乳綱偶蹄目ナガスクジラ科に分類される海洋哺乳類。
クジラとしてはヒゲクジラに分類される。
在命絶滅問わず脊椎動物の中で最大のサイズを誇るとされている。

和名のシロナガスクジラは、漢字で書くと「白長須鯨」。「須」とはあごひげを意味する。
ナガスクジラ類は下顎部から長い畝のような筋が伸びており、これをあごひげになぞらえて名付けられた。
英語では“Blue Whale”で、中国語でも「藍鯨」。
日本以外では、白ではなく青く見えるようだ。


【大きさ】

その大きさは全動物でも最大級。(植物・菌類等を含むとセコイアなどの巨大針葉樹が存在するため「全生物」ではない)
成体は小さくても体長20m、最大記録だと約33.6mという規格外のサイズを誇る。
この大きさを物で例えると、500系新幹線と同等かそれ以上で、最大サイズでは11階建てのビルに匹敵する。
この大きさなので無論体重も最も重く、80〜200tと地上最大の動物アフリカゾウの10〜25倍、人間の1300〜3300倍にもなる。
なお、先程比較に挙げた500系新幹線は1両あたり約40tなので、2〜5両分の数値となる。
生まれたばかりの赤ちゃんでも約7tという数値を叩き出し、毎日約3〜4cmずつ体長が伸び毎秒約1gずつ増えていく

赤ちゃんは1日に約400〜650リットルの母乳を飲み、成体は1日あたり4〜5tのオキアミを食べるという。
最近では16t食べるというデータもあるとか。
これだけ食べられて絶滅しないオキアミもすごい。

心臓だけでも約600kgもあり(なお一拍につき220リットルの血液を送り出す)、人間が中に入り込めるとか、一番太い血管は人間が泳ぐことができるなどの逸話を持つ。

本当に生物最大かについては議論があり、2021年8月15日に放送された『トロピカル~ジュ!プリキュア』24話のクイズ大会で「世界で一番大きい生き物はシロナガスクジラである。〇か×か」というクイズが出題され、ローラが「シロナガスクジラの3倍は大きいダイオウイカの知り合いを知ってる」と×と答えたが、番組内ではシロナガスクジラで正解(○)だった。
問題で問われたのは「世界最大の生き物」であり「動物」ではなかったため、巨大生物の項目でも触れられているとおりアメリカに自生する高さ100mを超えるセコイアや、山全体を菌糸で覆い尽くせるオニナラタケの方が大きい、カツオノエボシの触手は最大50mにもなり、シロナガスクジラよりも長い、などと物議を醸した。
まあどちらにしろ、体重では動物*1最大。


【生態】

分布は熱帯から寒帯にかけての外洋域。
カリフォルニアには沿岸部に生息する個体群も存在する。

食性は(ヒゲクジラ類の多くがそうだが)ほとんどオキアミに特化。
口には歯がなく繊維が板状となった器官があり、これでオキアミと水を分けて漉し取って捕食する。
稀にイワシを食べる場合もあり、それを食べる場合巨体に似合わない複雑な挙動を繰り返す。
繁殖様式は胎生で冬季に交尾を行う。妊娠期間は巨大な体にもかかわらず人間より二回り長い程度の約350日ほど*2で、冬に低緯度地域で出産する。

巨体に違わず鳴き声の大きさも最大であり、800キロ離れた*3仲間ともコミュニケーションが取れる190デジベルの鳴き声を出せる。人間が間近で聞いたら鼓膜が破壊されかねない。

寿命は70〜90年、最大120年と人間と同等かそれ以上である。

この大きさなので天敵はシャチや武装した人間以外はほとんどいない。
主に外洋に生息し、イルカや鯨、他の海生哺乳類などが主食とするシャチの個体群をトランジエントと呼ぶのだが、単独でシャチの群れを退けた事例が確認されている。
シャチにとっても健康的な成体を仕留められる確率は低いとされているため、幼体や弱った個体を狙うことが多いとされている。


【人間との関係】

いわゆるホエール・ウォッチングの対象とされることがある。

古くは遊泳速度が速く死骸が沈むことから捕鯨の対象とはされていなかった。
だが、1860年代に捕鯨技術の発展により捕鯨の対象にされ、30万頭ほどいた個体数は乱獲により約1万頭に激減。
絶滅危惧種ENに指定されてしまう。
これを重く見た国際捕鯨委員会は1966年以降近縁種のピグミーシロナガスクジラを含む一切のシロナガスクジラの捕獲を禁止した。
2018年時点では幼い個体を除くと5000〜1万5000頭ほどとされている。

2018年、神奈川県の由比ヶ浜に、体長約10メートルのシロナガスクジラが漂着した。
大きさ的にこれは幼体が群れと逸れたものである可能性が高く、北太平洋北西での目撃例もあることから日本近海で生息している可能性もあるかもしれない。
(というか、日本の沿岸では1910年代から3000頭近く捕獲されていたとされているので、本来の生息域に入ってはいる。)


【関連キャラクター】



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最終更新:2025年04月11日 12:00

*1 現存しない動物や地球外生命体であってもこれより重いものは見つかっていない

*2 地上最大のゾウは人間の2倍以上の660日

*3 直線距離なら、東京から山口もしくは北海道札幌手前くらい