修羅(異修羅)

登録日:2024/01/16 Tue 23:20:59
更新日:2025/04/03 Thu 21:11:17
所要時間:約 19分で読めます




修羅とは、小説『異修羅』において、最強にして最恐の英雄達の総称。
彼らは一人一人が魔王すらも滅ぼしうる強大無比の戦闘力、あるいは逸脱した異能を持っているとされ、それ故に黄都を始め数多くの陣営から魔王自称者以上に恐れられている、真の強者にして通常の存在とは大きく隔絶した超越者である。

本作は彼ら異なるジャンルの修羅たちが異なる「最強」をぶつけ、本物の勇者を決めるトーナメント「六合上覧」を軸とする作品である。
……が、「異なるジャンル」が表すように盤外戦・場外戦タイプが複数存在するのが特徴。当人がトーナメントに出場するとは限らない。

なお作中世界の用語ではなく、作品としては原則地の文としてのみ用いられる、要は「メインとなる登場人物たち」を指すメタ的な概念である。
カクヨム版の第一章は「十六修羅」と冠されているため、ここで紹介された16人を指す……かと思いきや、そのうち1名の例外は基本的に修羅としては扱われず、それ以外の15人が修羅と総称される(さらに例外あり、後述)。
いわゆる「異修羅構文(本記事でも記述される、四行詩の形でその英雄の強さを表現するもの)」で紹介されているのが特徴。

なお、修羅以外にも修羅と変わらないほど強大無比な力を持つキャラクターも多数登場するが、それらのキャラクターについては「準修羅」と呼ばれる*1
書籍版では準修羅の中にも異修羅構文で紹介されているキャラがいるが、必ずしもあるとは限らない。構文で呼ばれる前に死んだ奴とかいるしね

修羅一覧

異修羅構文についてはWeb版と書籍版で異なるキャラクターも存在するが、書籍版の方を記載している。

柳の剣のソウジロウ

種族:人間(ミニア)
クラス:剣豪(ブレード)
CV:梶裕貴

またの名を柳生宗次朗。“彼方”からの客人(異世界転移者)。六合上覧参加者。
赤いジャージを羽織った爬虫類のような印象の少年。
性格は「戦闘狂」、能力は究極の剣客

刃が潰れている切れ味皆無の練習剣であろうと、鋼鉄のゴーレムを切断できる超絶の剣士。
さらに未来予知に両足突っ込んだレベルで戦闘勘が優れており、相手の脅威はすべて見切り、同時に相手の急所を瞬時に見抜き必殺の斬撃をお見舞いする。
自称『地球最後の柳生』で、転移前は米軍正式戦車M1エイブラムスも切ったらしく*2、柳生新陰流に伝わる「無刀取り」も相手の攻撃・武器を逆利用する技術として当然使用可能。

身体能力も極めて優れており、50mはあろうかという巨大ゴーレムに飛び乗りながら破壊、切断ができるほど。

それは単独の真剣のみで、史上最大の機魔(ゴーレム)を撃破することができる。
それは遍く伝説をただの事実へ堕する、頂点の剣技を振るう。
それは全生命の致死の急所を理解する、殺戮の本能を持つ。
世界現実に留め置くことすらできぬ、最後の剣豪である。


星馳せアルス

種族:鳥竜(ワイバーン)
クラス:冒険者(ローグ)
CV:福山潤

生まれつき三本もの前肢がある奇形で小柄な青いワイバーン。六合上覧参加者。
世界各地のダンジョンを飛び回り、数々の財宝をかき集める強欲で小さな竜。
様々な迷宮の踏破・「おぞましきトロア」の討伐などその所業は広く知れ渡っている。
その所有欲の強さを除けば、陰のある物静かな少年といった感じ。

その能力は冒険者としての才能と集めた「どうぐ」、加えて種の限界まで磨かれた機動性能。奇形の肉体も、手持ち武具を3本腕で扱えるアドバンテージと化している。
例えれば「全シリーズを隠しダンジョンまで攻略済・道具装備持ち込み・常時倍速・常時飛行の風来のシレン」みたいなもの。

+ 星馳せアルスの「どうぐ」
  • マスケット銃
異修羅世界では比較的最新型かつ精度が高いものを見繕ったという事以外は普通の銃だが「摩天樹塔の毒の魔弾」「拷樹の種」「雷轟の魔弾」などの数々の魔弾を装填、発射できるアルスお気に入りの武器。

  • キヲの手
巻き付いた物体を手のように掴み、ねじ切る鞭。

  • 死者の巨盾
発動すると「激痛」「浸食」「行動不能」と引き換えにあらゆる攻撃を防御する首飾り。

  • ヒレンジンゲンの光の魔剣
振るうと光のビームを放つ剣。だいたい約束された勝利の剣。「おぞましきトロア」から奪ったもの。

  • チックロラックの永久機械
肉体損傷をサイボーグ化して再生する歯車。不死身のサイボーグと化すが、自我を失うデメリットがある。

それは異常の適性を以て、地上全種の武器を取り扱うことができる。
それはこの地平の全てよりかき集めた、無数の魔具の数々を有している。
それは広い世界の無数の迷宮と敵に挑み、その全てに勝利している。
欲望の果てに(ドラゴン)の領域さえ凌駕した、空中最速の生命体である。


世界詞のキア

種族:森人(エルフ)
クラス:詞術士(ウィザード)
CV:悠木碧

金髪のエルフの少女。六合上覧参加者。
14歳。生意気だけどどこにでもいる、善良な普通の女の子。能力を除けば。

クラスの「詞術士」は異修羅世界におけるいわゆる魔術師。「詞術」は言葉によって対象を動かし、「熱術(スカラー量操作)」「力術(運動量操作)」「工術(物質の形の操作)」「生術(物質の性質の操作)」の四系統に大別される。多くの場合どれか一つに秀でることが多いが。
しかし、例外が存在する。ただ一人、キアだけが、そのどれでもない。

その能力は「全能」。

喩えでもなんでもなく全能である。
『晴れて』『死んで』すら成立する。ついでに言葉に出す必要すらなく、詞術系統もガン無視と、詞術と表現していいのかも疑わしい。
さらに自動完全防御すらついているため、この手の全能者対策にありがちな不意打ちすら効かない。
弱点は、(自衛を除いて)その全能をどう振るうのかが人並みの少女一人に委ねられていることだけである。

それは全ての防御と過程を無視して、あらゆる存在を捻じ曲げることができる。
それは天候や地形までもを一語の下に支配する、自然を凌駕する権能を持つ。
それは万物の予測の外にある特異点であって、一切の解析と予測も拒絶する。
現時点において限界すら計測されていない、全能の魔才である。


無尽無流のサイアノプ

種族:粘獣(ウーズ)
クラス:格闘家(グラップラー)
CV:緑川光

青く丸い水滴のようなスライム。六合上覧参加者。
性格は見た目に似合わず理知的でちょっとダンディ。
かつて本物の魔王の討伐に向かった「最初の一行」の……ラスボス戦に連れて行くのは流石に危険なので終盤でパーティーを外されたマスコット枠

……が、置き去りにされた末に大半の仲間を失い「もし自分が戦えていれば」という後悔から、二十一年の間、砂の迷宮で「彼方」の武術書を読み漁り鍛錬を積んだ結果。彼は最強の武術家となった。

そもそも彼が学んだ中国武術とは「身体を水のように動かし、いかに抵抗なく衝撃を伝えるか」を追求した武術であるが。
サイアノプは「水のような身体」そのもの故に、一切のロスのない衝撃伝達が可能
さらに手も足も眼すらないため運足・目線などの予備動作が一切なく、手も足もいくらでも瞬時に生やせるため打撃も締めも自由自在である。
加えて生術も習得しており、核さえあれば瞬時に完全再生することすら可能。ただしこれは「寿命の前借り」であり、有限の保険である。

なお、これらの強さを得るために前述の通り武術書を読み漁ったため、「武術の知識」についても豊富。
その知識を活かして相手の技を予測、さらに繰り出された技を正確にその意図までを読み取る読み取る「見立て」も彼の大きな武器である。


イケメン・美少年的な印象から「アニメ化されたらCVグリリバ希望」という声が元々多く、アニメ2期開始前のキャストコメントでは本人が当時からそれをエゴサで見かけていたことに言及していた。

それは世界から喪われた、膨大なる“彼方”の武術の数々を究めている。
それは打撃も、投げも、絞めも、読みすらも通用しない、無限の戦闘分岐を持つ。
それは尋常の身体構造には不能の、真に必殺の打撃を放つことができる。
誰もが栄光を知る“最初の一行”の、未だ敗北を知らぬ最後の一匹である。


静かに歌うナスティーク

種族:天使(エンジェル)
クラス:暗殺者(スタッパー)
CV:堀江由衣

白く中性的な天使。……ただし、後述する通り禍のクゼを除いた誰にも知覚されない。
性格は「なし」。それはナスティークの性質に由来する。
なお、一言の言葉も発しないが表情の変化や仕草は見られ、人格と言えるものがないわけではない。
堀江由衣の無駄遣い。一応、「クゼの想像の中のナスティーク」はたまに喋る。アニメ一期では一言だけ喋った。

その性質は、だいたい通り禍のクゼのスタンド能力。しかもスタンドと違って、他のスタンド使いに見えたりもしない。
能力は「即死」。
不可視・不可知・干渉不可な上に必中・必殺の攻撃を持っている最悪の暗殺者。

の2パターンがあり、前者の射程はそう長くない(視界内程度)ようだが後者の能力の射程は無限
オート発動は厳密で、たとえ攻撃者がクゼを認識していなくともその攻撃がクゼを巻き込むなら問答無用で発動するし、逆にクゼを攻撃する意図があってもそれがクゼにダメージを与えない(外れる・防御されるなど)なら発動しない。

当然その性質上、六合上覧には直接エントリーしていないが、「通り禍のクゼの能力」としては参加している。

通り禍のクゼ


六合上覧参加者。幼少期にナスティークに取り憑かれた男性。
当人は修羅ではなく、修羅に比肩するような能力は持たないが、ナスティークと不可分の存在であるため、事実上の修羅として扱われることが多い。

「教団」の暗殺者で、信仰を抱く「聖騎士」のくたびれたおじさん。
性分は善良であり、「ナスティークに人を殺させない」ために大盾で自衛している(前述の通り、クゼ本人にダメージが入る攻撃でなければナスティークの自動反撃は起きない)。
濫用はしないが、必要な際にはナスティークによる暗殺も厭わない、くたびれたアラフォーの職業人。

それはただ一人を除いた、この世の誰にも知覚されることはない。
それは非実在の意識体であり、如何なる手段でも干渉されることはない。
それは創世のその時から続く、生命停止の絶対の権能を保有している。
ただ静かに訪れ、目に見えぬまま全てを奪っていく、死の運命の具現である。


地平咆、メレ

種族:巨人(ギガント)
クラス:弓手(アーチャー)
CV:小山力也

サイン水郷の守り神である、体躯20mの巨人。六合上覧参加者。
性格は「気は優しくて力持ち」。普段はだらしない粗野なおっさんだが、サイン水郷の民とは深い信頼で結ばれている。

この世界の価値観において通常、長命種は研鑽を積むことはない。
しかし彼は遥か昔少女と交わした約束を守るため、星を撃ち落として墓前に供えるため、気の遠くなる弓の研鑽を積んできた。
「洪水を砕く」「川を作る」威力の弓を「塵にしか見えない距離の」「音速で動く相手に対し」「偏差射撃で」当てるほどの技量。それを、当然のごとく連射可能
しかも近距離も得意。デカいから鈍重などというのは固定観念に他ならず、人間の戦士をそのまま拡大した程度の疾さと技量で動く。ついでに言えば詞術も得意

デカい、強い、優しいの三拍子そろった髭の巨人。
地平「砲」ではなく地平「咆」なので注意。「咆える」のほうである。

それは埒外の巨体で地平線の果てまでを見通す、極限の視力を持つ。
それはただの一射で激流の流れすら変える、神域の精度を誇る。
それは地形ごとを壊滅させる、防御も回避も不能の破壊力を放つ。
地上存在の認識届かぬ地点より放たれる、星の一矢である。


音斬りシャルク

種族:骸魔(スケルトン)
クラス:槍兵(スピアヘッド)
CV:山寺宏一

襤褸切れを纏ったスケルトンの槍兵。六合上覧参加者。
性格は「ニヒル」。

この作品のアンデッドの特徴として自身の「生前」の記憶がなく、「自身は勇者の骨なのではないか」という主張で六合上覧に参加。

能力は速いこと。生前の筋力・技量にスケルトン故の軽さ、空気抵抗の少なさを兼ね備える。しかも判断速度も最速。
さらに「骨」を組み替えた変形も可能で、間合いを倍に増やす、流線形に変形して加速するなど変幻自在。
戦闘系の修羅ですら追いきれない速度で動く、シンプルイズベストともいうべき能力。

それは刺突も射撃も無為と帰す、死せる理外の肉体を持つ。
それは自身の由来を知らぬままに、英雄すら凌駕する槍術を知る。
それは瞬時の分離と接合で、認識し得る間合いの概念を無意味と化す。
この世界に忽然と生まれた怪異。地上最速の非生命体である。


絶対なるロスクレイ

種族:人間(ミニア)
クラス:騎士(ナイト)
CV:小野賢章

白銀の鎧に身を纏った、人族最大国家「黄都」最大の英雄。六合上覧参加者。
合議制の黄都においての官僚組織のトップ「黄都二十九官」の第二官であり、事実上のトップでもある。

その能力は人類最高峰の技量と四種の詞術、黄都の人々を守らんとする気高き意志。
+ 「さあ、正々堂々―――正しき技で、勝負しましょう。」
……ではない。
絶対なるロスクレイは、絶対の英雄ではないし、清廉な英雄でもない。

その正体は背後から大量の詞術でサポートされた人工英雄
当人の技量が「人間が鍛えられる限界値」にあるのは事実だが、その程度では他の修羅に及ぶべくもない。

彼の本領は最強の官僚であり、国家規模で助力を受けられることそれ自体。
加えて、実は六合上覧は脅威足り得る異能異才たちを潰し合わせ、その上でロスクレイを勝たせて黄都の絶対性を高めるのが本来の目的のため『運営が用意した出来レースの駒』というメタな最強性まで兼ね備える。
頭脳と権力、策謀によって勝利を導く、国家の意志の具現のような存在。
……だというのにわざわざ人里離れたところからとんでもない爆弾を連れてきやがった第六将、あまりにも迷惑。
ただし、気高き意志の持ち主であることも決して偽りではなく、自らの在り方に心を痛めながらも国家正義のため卑劣を尽くす男。

1人目の盤外戦特化型修羅。 (厳密には正面勝負と盤外戦利用のハイブリッド型に近いが)
大量の後方支援を用意し裏から「戦わずして勝つ」策謀を巡らしつつ、それでも回避し切れず有事になった際は自らが矢面に立つ選択肢も持つタイプ。

それは個人として、正当にして純粋の剣術を極めた最高峰の高みにある。
それは調略と工作によって、戦闘の以前に決着を導き出す知謀の力を持つ。
それは国家を味方とした、勝利を必然と化すあらゆる支援を授けられている。
地上最強の社会動物が持ち得る全種の力を託された、人工英雄である。


絶対なるロスクレイ。正々堂々たる英雄。
如何なる敵が現れようと、その白銀の鎧に汚れ一つ付けることはない。


不言のウハク

種族:大鬼(オーガ)
クラス:神官(オラクル)
CV:稲田徹

白い神官服を纏った灰色の大鬼。
性格は「なし」

その能力は詞術の常時無効化
生まれついてから現在に至るまで、彼の知覚する範囲において詞術の力は全て失われる。厳密に言うと、詞術以外の超常の力も無効化できる。
無論、詞術によって成立している種族がその影響下に入ってしまった場合、物理法則通りに即死する

劇中ではウハクを除く修羅のうち8名が対面した時点で即死であろうと考察されている。
しかも「目撃した」だけでその能力が発揮されるため、直接試合場で対峙せずとも、街中や客席からチラッと見るだけでいい。
そうでなくても修羅の大半は満足に戦えず、一方の彼は詞術の助けなどなかろうが人族とは比べ物にならない屈強な肉体を持ち、その剛力の振るい方も十分に知っている大鬼である。

だが、詞術はいわゆる魔法より遥かに深くこの世界に根差す「世界の根本法則」であり、「意思疎通の手段*3」でもある。
つまり、彼は一切の言葉を発せず、一切の言葉を聞くことができないという大きな枷を負っている。
一応、文字などを介するという手はあるが、文字をかけるかどうかは不明*4。どのみちウハクは自分からコミュニケーションをとろうとすることはなく、彼が何を考えているかは誰にもわからない。
稲田徹のマジ無駄遣い

それは生まれつき詞術(しじゅつ)の概念を理解しないままに、世界を認識している。
それは自らの見る現実を他者へと同じく突きつける、真なる解呪の力を持つ。
それは最強の人型生物として、厳然たる現実としての強さと大きさを持つ。
疎通なき沈黙のままに世界の前提を覆しゆく、公理否定の怪物である。


魔法のツー

種族:■■
クラス:狂戦士(ジャガーノート)
CV:久保ユリカ

本物の魔王が倒れたとされる“最後の地”に突如として現れた、正体不明の徘徊僕っ娘。六合上覧参加者。
性格は「天真爛漫」。正義漢美少女。そして巨乳

その能力は「無敵」……というか「頑丈」
異修羅世界において最も堅い物質であり、作中ではツーの肉体に傷を負わせられる攻撃は修羅を含めて現状存在していない。
物理攻撃、レーザービーム、ドラゴンブレス、猛毒、高温も無効。眼球に矢を受けても怯みすらしない。
身体能力も圧倒的だが、全部力任せなので技量そのものは大雑把の一言。故に狂戦士。

+ 正体
種族:擬魔(ミミック)
「最初の一行」の一員であった「地上最悪の魔王自称者」こと「色彩のイジック」の最高傑作。

擬魔の持つ擬態変異能力に上述の死者の巨盾のメカニズムを組み込んだ、「最高の性能を持つ肉体の状態」をいかなる状況でも、いかなる刺激に対しても恒久的に維持しつづける、というのがコンセプトだとか。

それは技や術の優位をも捻じ伏せる、圧倒的な身体性能を持つ。
それは無限の持久の力によって、永劫に停止を知らぬ。
それは毒や火砲すら意味を成さぬ、一切無敵の防御能を誇る。
悪夢満つる地より現れ出た、起源不可解なる魔の法の化身である。


冬のルクノカ

種族:(ドラゴン)
クラス:凍術士(サイレンサー)
CV:井上喜久子

御伽噺に語られる最強のドラゴン。六合上覧参加者。
性格は「老婦人」。
茶目っ気たっぷりの淑女だが、強きを愛し、戦いを求める性根を備えている。

シンプルに基礎スペックに於いて全生物最強であり、巨体、パワー、スピード、耐久、知性に於いて全種族最強の竜の中でもさらに最強
軽く爪を振るうだけでも、人族の勇士をゴミクズ同然に殺すことなどわけもない。
さらに氷のブレスを吐くことが出来るが、これは冷気を放つのではなく空間からエネルギーを奪って絶対零度に変えると言う規格外の代物。後述の異修羅構文にある通り、世界で唯一ルクノカだけが使える詞術である。
その出力は直撃した万物が崩壊し、大規模に空気が凍ることで真空状態が発生し、竜巻のような乱気流さえ付随するというシロモノ。「隕石の直撃」にも喩えられる。
彼女が戦うだけで周囲の天候や地形すら永久的に極寒凍土に変わってしまう。その二つ名の通り、生物と言うよりもはや「冬の擬人化」である。滅茶苦茶が過ぎる。
彼女が現在の棲家としている「イガニア氷湖」も、少なくとも300年以上前に彼女が熱帯から作り変えてしまった氷雪地帯である。

こんなものを「都で開催される武闘大会」へと「その国の将官」が連れて来ることがどれほど根本的なところで間違っているかは少しでも考えればわかることだが、
友であり宿敵たる星馳せアルスを倒す、ただそれだけを願った黄都第六将・静寂なるハルゲントの無謀なる挑戦により、その擁立は叶ってしまう。
ついでに言うと、六合上覧は建前上「本物の魔王を倒した勇者を決めるための大会」であり、ルクノカは長らく人前に現れていないし、人目につかないことも到底不可能なのだから、それに該当するわけがない。

それは地平の最強種の中にあって数百年、真の最強の名を許されている。
それは地形と気候を変えた、全生命を瞬間に屠る鏖殺の(ブレス)を持つ。
それは史上にただ一例しか確認されていない、氷の詞術(しじゅつ)の使い手である。
戦いすらをも許されぬ、それは一つの荒涼の光景である。


黒曜、リナリス

種族:血鬼(ヴァンパイア)
クラス:斥候(スカウト)
CV:東山奈央

史上最大の諜報ギルド「黒曜の瞳」の若き主。
性格は「お嬢様」。見た目も黒髪の胸が大きなお嬢様であり、身体能力も虚弱そのもの。

能力は洗脳。目的は「黒曜の瞳」復権のための戦乱の世。

そもそも、異修羅世界の「ヴァンパイア」とは厳密には「病原菌」の一種である。
脳と肉体に寄生し、「大量の血液の摂取」および「複数回の粘膜接触」によって感染。
自覚症状はないが、感染母体となった血鬼のフェロモン指令でいつでも意のままに行動を支配される。
彼女の父にして先代当主のレハートが作り上げた「黒曜の瞳」は、この性質によって「情報漏洩」「裏切り」「意思伝達の齟齬」のリスクを完全に解決した完全な「群」として機能し、最強のギルドとなった。

そして、本来あり得ないことに彼女だけは「空気感染」が可能。
病原が突然変異によって強化されているため、血も1滴が傷口に触れるだけでアウト
言うまでもなく近づいたらアウト、リナリスの血を暗器に仕込んだ「黒曜の瞳」メンバーの攻撃を受けてもアウト。

番外戦特化修羅、2人目。
自身が表に出る事なく策を巡らせる暗躍タイプで、六合上覧開始時点では他の主要登場人物には認知すらされていない
六合上覧には「黒曜の瞳」メンバーである「奈落の巣網のゼルジルガ」が参加しているが、リナリスとの繋がりは表向きには一切露呈していない。

それは見えざる指先で蜘蛛糸を引く、周到と狡知の力を持つ。
それは常識の下では予期できぬ、あり得ざる変異を経た感染経路を獲得している。
それは最大の組織が地平全土より集めた、究極無比なる精鋭の部隊を率いている。
深い闇中に潜む一つの意志にて統率された、最悪の諜報群体である。


窮知の箱のメステルエクシル

種族:機魔(ゴーレム) / 造人(ホムンクルス)
クラス:生術士(クリエイター) / 工術士(アーキテクト)
CV:村瀬歩

魔王自称者のマッドババア、「軸のキヤズナ(CV∶くじら)」の最高傑作。六合上覧参加者。
ゴーレムの「メステル」にホムンクルスの「エクシル」が載っている。
人格は「幼い子供」あるいは「蛮人」。

能力は四つ。
一つ、ホムンクルス部分が工術でゴーレム部分を即座に作り直せる
二つ、ゴーレム部分が生術でホムンクルス部分を即座に作り直せる
三つ、メステルとエクシル、片方が片方のダメージを引き受け、両方を同時に殺すことはできない
……アレ?これ殺せなくない?

そして四つ、「機械に精通した客人」をベースに作られたが故の、ホムンクルス部分の現代知識無双。
「クラスター爆弾」、「ロケットランチャー」、「指向性エネルギー兵器」、「偵察・射撃ドローン」、「飛行用ロケットエンジン」あたりを無尽蔵に量産・使用できる。

それは自分自身の命すらも形成する、真理の域へと達した詞術(しじゅつ)を使う。
それは死と再生を繰り返すたび、異界の知識を得て無限に成長する。
それは一つが残る一つを再生し、そして二つを同時に殺すことはできない。
必然の論理に無敵を証明された、真に無欠なる戦闘生命である。


おぞましきトロア

種族:?
クラス:魔剣士(グリムリーパー)
CV:小野大輔

怪談の怪物。「魔剣を手にすると、おぞましきトロアがやってくるよ」。

+ だが、おぞましきトロアは星馳せアルスに討たれたはず……
種族:山人(ドワーフ)
現在のトロアは二代目に当たり、元の名を「聖域のヤコン」。六合上覧参加者。
先代たる養父の仇を討ち、アルスからヒレンジンゲンの光の魔剣を取り戻すために参戦。

小人(レプラコーン)だった先代の時点で技量は世界頂点だったが、二代目たる彼は山人(ドワーフ)ゆえに巨体であり、身体能力にも非常に優れる。
(なお、異修羅世界のドワーフは、一般的なイメージに背が低い種族ではなく、2mを超える長身とゴリラに近い体型・膂力を持つ種族である)

能力は数々の魔剣魔剣に使われる才能
魔剣の壮年を読み取り、特殊な能力を持つ魔剣の数々を使いこなし奥義を放つ。例えるなら無限の剣製の構造把握過程に特化したサイコメトリー。
「養父(ちち)のように『魔剣を使う才能』はなかった」とは自身を指した評だが、言うまでもなく十分脅威である。

+ おぞましきトロアの魔剣、その一部
  • 神剣ケテルク:刃の外側に不可視の斬撃軌道を延長する。端的に言えば「延びる魔剣」。奥義は一点集中で長距離を穿つ突き「啄み」

  • ネル・ツェウの炎の魔剣:振るうと炎を放つ魔剣。奥義は、対象の体内に熱を留め爆散させる「叢雲」

  • 凶剣セルフェスク:大量の「鋲」で構成された魔剣。奥義は散弾のように鋲を飛ばす「逆羽」

  • ギダイメルの分針:斬撃軌道がランダムで逆行・停止などする扱いづらい魔剣。奥義は斬撃を遅延させる「換羽」


それはかつての怪談に等しい技量を持ちながら、それを遥かに上回る膂力を持つ。
それは長き時代の全てよりかき集めた、無数の魔剣を所有している。
それは本来の自我すら超えて、全ての魔剣の奥義を操ることができる。
冥府の底よりなお蘇る、呪いの運命を取り立てる死神である。


逆理(ぎゃくり)のヒロト

種族:人間(ミニア)
クラス:政治家(ステイツマン)
CV:緒方恵美

灰髪の子供のように見えるが、「客人は歳を取らない」性質により実態は80を超えるであろう老人。
性格は老成しており、目的は「支持者の要望に応える」こと。

能力は「内政」。NAISEIチート転生者
圧倒的な「話術」と「カリスマ性」、「人脈」によって社会を変革する「政治家」。
その手腕で、69年をかけて海の向こうに小鬼(ゴブリン)の軍事帝国を築きあげている。

盤外戦特化修羅、その3。
根回しと後方支援に特化したタイプと言え、六合上覧には小鬼(ゴブリン)である「千一匹目のジギタ・ゾギ(CV∶高木渉)」と利害の一致した混獣(キメラ)・「移り気なオゾネズマ(CV∶平田広明)」の二者を送り込んでいる。

それは聴衆の選択肢を一切封ずる、世界逸脱の演説と交渉の才を持つ。
それは一瞥のみで心を理解し、敵の欲し恐れる全てを知ることができる。
それは知られざる国家を生み、人の文明すら追い越す発展を成し遂げている。
異世界の理によって、旧き理の全てを捻じ曲げる文化侵略者である。


+ カクヨム版において、修羅は以上15人である。
  • 戒心のクウロ
種族:小人(レプラコーン)
クラス:予見者(シアー)
CV:伊瀬茉莉也

かつて「黒曜の瞳」に所属した最高のスパイ。
こげ茶色のコートを身に纏った小人の青年。

まさかの書籍版追加修羅

能力は「超感覚」「超視覚」「超聴覚」などの強化五感から「熱知覚」「磁気覚」、果ては「超感覚」どころか「第六感」までフルに揃っている
作中当初では「天眼」と呼ぶこの能力は摩耗していた……と思われたが、自己嫌悪で無意識に封印していただけで実際は「未来視」にまで到達しており、見ないほうが良いものは見えないことまで(フルオートで)可能。

それは生物種の限界を超えた知覚によって、遍く世界を認識することができる。
それは対象の五感までをも見通し、致死の一点を認識し穿つ精度を備えている。
それは万度の経験を凌駕する直感で、自身すら知らぬ最善を選ぶ能力を持つ。
全知の中にありながら自らの意思にて未来を選ぶ、天眼の担い手である。


+ そしてまだ知られざる修羅もいる
  • もちもちのアヤキ
種族:レネゲイドモンスター(レネモン)
クラス:マスコット

2018年に番外編で突如公開された知られざる修羅。
外見は蛇とも芋虫ともつかない白くてにょろっとした生命体。胴体にリボンらしきものを巻いている。

戦闘能力は一切無いが、しかして異修羅作中のキャラクターの誰一人として並ぶもののない凄まじい幸運を持っている。
その幸運がどのぐらいかと言うと、一切の戦闘に巻き込まれない
異修羅の此方どころか彼方の存在ですら無く、それらの世界とは一切関係のないレネモンワールドという別次元で毎日おひるねをして、おなかいっぱい食べる生活を送っている。

……つまり、エイプリルフールネタのキャラクターである。
そもそも凄まじい幸運を持っているのであるならば、危険な異修羅の世界になど生まれてきたりしないのである。あまりにも身もふたもない……。

元々は原作者がダブルクロス(TRPG)で使っていたキャラクターの擬モンスター化?みたいな存在だったが、色々な経緯があって異修羅の事実上公式マスコット、宣伝担当となっている。
だが、「アヤ!」「アヤヤンヤ!」等と鳴き声を発することしかできないため、宣伝担当には全く適していない。

それは人ならざる獣でありながら、充足と喜びを得る術を知る。
それは世界の外側に存在し、一切の逸脱を持ち合わせない。
それは戦いを知らぬが故に、決して敗北を知ることがない。
関わることなき故に知られざる、真に無敵なる強者である。


+ 最大級のネタバレ注意。カクヨム版第2部もしくは書籍版5巻を読んだ後の閲覧を推奨。
  • 外なるセテラ
種族:大鬼(オーガ)
クラス:勇者(ブレイブ)

本物の魔王を倒した、本物の勇者の正体。それは、先に紹介した修羅「不言のウハク」である。
意思疎通が出来ない彼は自分が勇者であると言う事を主張できず、また魔王を倒し死肉を喰らった頃までは大鬼としては小柄な方でもあった。
それゆえに、魔王討伐の仲間であったオゾネズマが気づくまで誰もその正体に思い至らなかった。

詞術とは「心あるものに宿る意思疎通概念そのもの」であり、それを無効化する彼は、本当の意味で『心』を持たない、生まれながらの哲学的ゾンビである。
ゆえに、本物の魔王から与えられる絶対抵抗不可能な「恐怖」も、彼にとっては何の意味もなく、ただ当たり前のように殺害する事ができた。
勇気を持たぬがゆえに勇者へとなれた、真なる勇者である。

それは生まれつき詞術(しじゅつ)の概念を理解しないままに、世界を認識している。
それは自らの見る現実を他者へと同じく突きつける、真なる解呪の力を持つ。
それは厳然たる現実としての強さと大きさを持つ、ただの大鬼(オーガ)である。
そして、それは最初から――


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最終更新:2025年04月03日 21:11

*1 読者から生じた呼び名だが、後に作者も使用しているためほぼ公式。

*2 元の世界の日本はある理由でポストアポカリプス化している

*3 異修羅世界では「詞術」による意思の疎通ができるため統一言語自体が存在しない。要は異世界物でよくある「翻訳チート」が全人類についているようなもの

*4 上記の翻訳チートにより「多数に通じる言語」の必要性がないので、異修羅世界では文字の重要度が低く、それゆえに識字率も非常に低い