メンタルスフィア・デーモン(遊戯王OCG)

登録日:2024/12/25 Wed 21:19:11
更新日:2025/06/15 Sun 18:00:32
所要時間:約 4 分で読めます




逆巻け、我が復讐の黒炎!

シンクロ召喚。来い、《メンタルスフィア・デーモン》!


《メンタルスフィア・デーモン》とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つ。
第6期第1弾のパック「THE DUELIST GENESIS」が初出。

カードテキスト

《メンタルスフィア・デーモン》
シンクロ・効果モンスター
星8/闇属性/サイキック族/攻2700/守2300
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。
そのモンスターの元々の攻撃力分だけ自分のLPを回復する。
(2):サイキック族モンスター1体のみを対象とする魔法・罠カードが発動した時、
1000LPを払って発動できる。
その発動を無効にし破壊する。

概要

サイキック族が初めて収録されたパックの大型モンスターで、サイキック族の「顔」と言える存在。
なおS召喚黎明期における「素材縛り無しの星8Sモンスター」はこのカードを除くと《スターダスト・ドラゴン》《レッド・デーモンズ・ドラゴン》のみという、非常に珍しい位置を獲得している。

(1)は戦闘破壊したモンスターの攻撃力分LPを回復する効果。
微妙に不安な攻撃力ではあるものの、十分戦闘破壊は狙えるし、この最上級モンスタークラスの攻撃力で戦闘破壊したモンスターなら馬鹿にならない数値の回復が期待できる。
「元々の攻撃力」分だけ回復するので、(わざわざ積極的にコンボしようとするほどではないが)弱体化させて戦闘破壊しても問題ない。
このカードも含め、当時のサイキック族はライフコストを要するものが多く、それを賄う狙いがある。

(2)は限定的なカウンター効果。
ターン1制限の普及していない時代なのでライフコストさえあれば1ターンに何度でも無効にでき、また自身以外のサイキック族も保護できる。
また、この効果は地味に「フィールド上のサイキック族」には限られておらず、墓地や除外ゾーンにいるサイキック族1体を対象に取る効果でも無効にできる。
具体的には自分の墓地にいるサイキック族を相手が《死者蘇生》で奪おうとした時、
他には自分が発動した《幽鬼うさぎ》を相手が《墓穴の指名者》で阻止した場合も無効にして破壊できる。

なお「デーモン」の名を冠しているため【デーモン】のサポートを受けることができる。
例えば《堕落》の発動条件を満たし、《デーモンの雄叫び》で蘇生することができる。
またこの2枚も含め【デーモン】は自分のライフを減らす効果が多いため、この(1)の回復効果でそこを補うにも丁度良い。

【サイキック族】に限らず、効果が自己完結しているため汎用的に使用することも可能。
事実登場当初は後述する欠点こそ有れど、活躍する機会はそこそこあったそうな。

欠点

  • (2)効果が通用しない効果
この(2)の効果で無効にできるのは「サイキック族1体のみ対象に取る魔法・罠カードの発動」に限定されている。
対象に取る効果でも《ゴッドバードアタック》のように複数枚を対象に取る場合は発動できない。
そしてそれ以前に対象を取らない魔法・罠カード、そしてモンスター効果全般にはこの効果で無効にできない。
昨今の遊戯王ではモンスター効果、もしくは対象を取らない「全体除去」の魔法カードによる妨害が一般的で、現にモンスター効果に対して強い耐性を持つカードはそれだけでも評価される
なのでそこを素通ししてしまうのは非常に痛い。

尤も、そうした効果が爆増したのはこのカードの登場以降の度重なるインフレによるものである。
現に登場当時でいえば「シンクロ殺し」と名高い《強制脱出装置》を始め、対象に取る魔法・罠カードの妨害はそこそこ存在していた。
そのため自身や味方のサイキック族を保護できるという点で、当時では一定の評価はなされていた。
「登場当時」の観点であれば、むしろ次の欠点が重くのしかかっていた模様。

  • 絶妙に低い攻撃力
このカードの攻撃力「2700」。
《レッド・デーモンズ・ドラゴン》よりは低いが、《スターダスト・ドラゴン》よりは高いし、レベル基準では良くも悪くも中の下というところである。
だが、これがまた悪い意味で絶妙だった。
そう評価させたのは、《メンタルスフィア・デーモン》と同じパックに収録された《ゴヨウ・ガーディアン》である。
《ゴヨウ・ガーディアン》(エラッタ前)
シンクロ・効果モンスター
星6/地属性/戦士族/攻2800/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
そのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事ができる。

2024年現在ではピンと来ない方も多いだろうが、当時は畏怖の存在として恐れられていた。
当時このカードの何が強かったたかといえば、レベル帯にしては高めの攻撃力と、それを活かしたコントロール奪取効果。

このカードがあるばかりに「攻撃力2800」という線引き(通称ゴヨウライン)が生まれ、《ゴヨウ・ガーディアン》に戦闘破壊されないことが「取柄」扱いされていた。
それだけ高い影響力を持っていたわけである。

つまり《メンタルスフィア・デーモン》は折角S召喚したところで、汎用カードの《ゴヨウ・ガーディアン》に呆気なく打ち取られてしまう。
オマケに、高レベルチューナーも簡単に出せる現在と異なりレベルの管理が厳しかった当時のS召喚は星8より星6,7の方が明確に容易だったため、ここの欠点は非常に重くのしかかってくる。

《ゴヨウ・ガーディアン》の禁止に伴いこの欠点は解消されたものの、その頃星8シンクロは多種多様なモンスターが参入する「激戦区」となる。
《メンタルスフィア・デーモン》の立場は夙に厳しくなり、次第次第に活躍の機会は少なくなっていった。

関連カード

《アルティメットサイキッカー》
融合・効果モンスター
星10/光属性/サイキック族/攻2900/守1700
サイキック族シンクロモンスター+サイキック族モンスター
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。
このカードはカードの効果では破壊されない。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
また、このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。

《メンタルスフィア・デーモン》と直接的な関係はないものの、その外見はあちらの上位種であることを思わせるものになっている。
効果についても「戦闘破壊を条件とした回復効果」という共通点があり、ここに効果破壊耐性があふので場持ちはそこそこ。
素材にサイキック族Sモンスターが指定されており、やはり《メンタルスフィア・デーモン》が進化した姿なのだろう。
しかし実際にはよりS召喚しやすく、《メンタルスフィア・デーモン》自身も含めた上位Sモンスターの踏み台にしやすいモンスターを素材に《ミラクルシンクロフュージョン》するのが現実的な運用になってしまうのが惜しい。


アニメの活躍

アルカディアムーブメント総帥ディヴァインが所有する、彼の「最強カード」。
デュエルでの出番は「vs龍亞」戦で、《サイキックブレイク》でレベルを上げた《サイコ・コマンダー》と《サイコ・ウォールド》を素材にS召喚される。
そしてS召喚直後に《バトル・テレポーテーション》の効果で、攻撃力が上回っていた《パワー・ツール・ドラゴン》を無視して直接攻撃しディヴァインの勝利となった。

1キャラクターの「切り札」であるが、実はデュエルでの出番はこの一度きりである。
そしてその際、エンドカードにこそ成れど効果も使わず「S召喚して殴って終わり」という寂しい活躍になってしまった。
これに限らず、ディヴァインのアニメ使用カードは「効果を発動しなかったモンスターカード」がかなり多い。

なお「vsカーリー渚(ダークシグナー)」戦でも「次のターンに《メンタルスフィア・デーモン》をS召喚する」完璧な手筈を整え、勝利を確信した場面が存在する。
しかしそのデュエルではカーリーに下策を鼻で笑われ、容赦なく敗北させられたためS召喚出来ずじまいとなった。

ついでに召喚口上も切り札としてはかなり短いものになっている。前座である《マジカル・アンドロイド》の方が長い。

ゲームでの活躍

そんな《メンタルスフィア・デーモン》だが、ある程度の活躍が見込める作品があった。
ゲーム作品であるタッグフォース4と、WCS2009である。
どちらの作品も《ゴヨウ・ガーディアン》は現役ではあったが、採用者は意外と少ない。

タッグフォース4ではセキュリティ専用ポリスモンスター、というアニメ設定を遵守しており、基本的に牛尾やモブセキュリティ隊員のみが使用する。*1
また、デーモンカテゴリである為か、チームサティスファクション時代の鬼柳京介のデーモンデッキに投入されており、彼のストーリー制覇報酬カードにもなっている。
凶悪なカードが飛び交うWCS2009でも、何故か《ゴヨウ・ガーディアン》を差し置いて《大地の騎士ガイアナイト》を使用するデュエリストが多い。

この点からゴヨウの脅威が低く、デメリットがある《レッド・デーモンズ・ドラゴン》を無理に採用する必要性は薄い。
その為、《ギガンティック・ファイター》や《メンタルスフィア・デーモン》にも希望が見えてきた。
しかし、性能面とは別にある問題点を抱えていた。入手性である。

タッグフォース4では、チームサティスファクション時代の鬼柳京介を解禁するには、旧作のタッグフォースとの連動が必須であった。
それができない場合は、NPCであるタカを見つけ古い通常カード数枚を貰いつつ、その中から稀に選出される《メンタルスフィア・デーモン》や《ダーク・ダイブ・ボンバー》を貰う必要があった。
タカもサテライト一帯をランダムに移動する為、狙って会話するのも難しく、入手性は著しく悪かった。
《メンタルスフィア・デーモン》はもちろん、通常モンスターも一定の需要があり、これらの仕様は続編で改善される事となる。

WCS2009でも同様で、《メンタルスフィア・デーモン》が収録されたTHE DUELIST GENESISを解禁する為には収容所のデュエリスト11人に3勝しなければならない。
全勝したとしても、33回はデュエルする必要が出てくる
本作は異様に難易度が高く、環境クラスのデッキで無ければ敗北しかねない作品である。パック解禁条件もかなり厳しい。
加えて、収容所でのデュエルが許可されるのはクリア後であり、《メンタルスフィア・デーモン》の入手も必然的に遅くなる。
対して、《ギガンティック・ファイター》は当時のスターターデッキ購入で手に入る為、選出にもよるがクリア前から入手可能。*2
クリア後はスターターデッキを複数購入できる為、THE DUELIST GENESIS解禁前に《ギガンティック・ファイター》を3枚集める事も難しくない。

追記修正お願いします。

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最終更新:2025年06月15日 18:00

*1 プレイヤーがデッキに禁止カードを採用した際、CPUが使用するリミットレギュレーション無視デッキにも入っている場合がある。

*2 とはいえ、デッキ購入解禁にはストラクチャーデッキ17種で勝利する必要があり、こちらも中々に大変ではあるのだが。