牛魔王(ドラゴンボール)

登録日:2025/01/31 Fri 00:00:00
更新日:2025/02/23 Sun 11:42:22
所要時間:約 7 分で読めるだ



おめえたず

こっだらとこで なにすてるだ?



牛魔王とは漫画ドラゴンボール』の登場人物。

CVは初代が郷里大輔、二代目が大友龍三郎

【概要】

漫画『ドラゴンボール』の主人公孫悟空の妻であるチチの父親。
つまり悟空の義父となる人物である。元々は亀仙人の弟子の一人で、悟空の育ての親である孫悟飯の弟弟子でもあった。

モデルは言うまでもなく『西遊記』の牛魔王。


【人物】

フライパン山に棲む4ⅿ越えの大男。
初登場時は2本の角と額に長い羽の飾りを着けたゴーグル付きヘルメットを被っており、服装も袖のない鎧にマントと古風な風貌だったが、
サイヤ人編で再登場してからは「牛」の文字が入った角付きの帽子にメガネでシャツとサスペンダーのモダンな服にイメチェンしている。
体型と絵柄自体も大きく変わっているのでぶっちゃけ言われないと同一人物だとわからないレベルの変貌である
誕生日は5月6日となっているが、生年は明かされていない。
仮に初登場時が40代だったとして、原作最終回時点で70代から80代の高齢のはず(曾孫まで生まれている)なのだが、外見にはまったく老化の様子がない
師匠やその兄弟子 300歳を越えている ので常人の基準で考えない方がいいのかもしれない。彼も食中毒で死ぬ前の不死鳥の血をもらったのだろうか?
一人称は「おら」で東北弁のような訛りがあるしゃべり方をしており、これは娘のチチも同じである。

かつて『悪魔の帝王』とまで呼ばれて武道界ではかなり有名な武道家であった。
その為当時盗賊をしていたヤムチャも警戒する程。
また各地から金銀財宝を奪ってフライパン山の頂上に城を建てており、その財宝を狙って城を訪れる者は容赦なく処刑していた。
この点は後に亀仙人に咎められており、「まことに恥ずかしい限りで、つい欲に駆られまして」と自ら残虐行為をしていたことを認めている*1

家族構成は娘のチチのみで、妻はチチを出産後すぐに他界したため男手一つでチチを育ててきた。その為チチに対してはかなり甘く親バカの一面もある。チチの容姿が牛魔王に似なかったことから、チチは母親似で妻はそれなりに美人であったことが推測される。

悪魔の帝王』と呼ばれていたが、まるっきり話の分からない人間と言うわけではなく、亀仙人に無益な殺生を咎められると徐々に丸くなって周りの人間とも打ち解けていくようになり、アニメ版では村人たちと仲良く暮らしていたり、当初は恐れられていたウーロンブルマらからも恐れられることはなくなっていった。

孫の悟飯誕生後は孫家を見守る好々爺で常識人となっており、暴走しがちなチチのストッパー役のポジションが定着している。
原作ではナメック星行きを反対するチチに悟飯が毅然と反論したことを受け、チチに「おめえの負けだ」と諭す場面があった。
アニメ版ではセルゲームの際に悟飯をセルと戦わせた悟空に『うんと悟空さに文句を言ってやるだ!』と憤慨していたチチに対し、『黙れチチ!悟飯は子供じゃねえ、今では悟空を超えこの地球を守ってくれる立派な戦士になったんだ!』とチチを一喝していた。

【フライパン山】

牛魔王の居城がある山。
元々は涼景山と呼ばれる涼しくて過ごしやすい山だったのだが、本編開始の約10年前に空から火の精*2が降りてきたために大火事となり、以降火が消えずにいた。
牛魔王はその時偶然にもチチとピクニックに行っていたために難を逃れたが、あまりの日の激しさに親子ともども城に帰れずにいた。
一連はウーロン曰く『学校の教科書に載るぐらいの話』だという。

その勢いは上空から悟空が筋斗雲で近づいても城には入れないほどで、ブルマたちが訪れた際には牛魔王は亀仙人の芭蕉扇を借りて消そうと考え、チチを使いに出していた。
しかし肝心の芭蕉扇は亀仙人が鍋敷きに使ってワンタンの汁で汚損したため失われており、仕方なく亀仙人自身が出向いて消すことに。

気を高めた亀仙人の渾身のかめはめ波によって鎮火に成功するが、勢いが強すぎたために山ごと城が吹き飛んでしまった
一応、残された瓦礫からドラゴンボールは見つかっており、宝もある程度は無事だったようでチチは「また建て直す」と話しているが、その後城がどうなったかは原作では語られていない。
また火が消えたために直後から元の涼しい気候に戻っており、牛魔王も上記の通り改心したためその後は周辺は過ごしやすい場所になったようである。

『ドラゴンボールSD』では展開が変更され、かめはめ波の使用が亀仙人初登場時に前倒しされたこともあってか、芭蕉扇はまだ無事(ただしワンタンの汁をこぼしたのはそのまま)で借りることに成功しており、それで仰いで消している。
が、風が強すぎて山ごと吹き飛んだのは結局本編と同じであった。

アニメ版では第23回天下一武道会の後、悟空とチチが牛魔王に結婚報告のために訪れており、結婚式も行われる事になったが、突如として地割れと共に炎が吹き上がり、山は再び炎に包まれる事となった。
悟空が城を破壊しないように威力を加減したかめはめ波で一度は消火するも、すぐに再び炎が吹き上がってしまう。
炎を消すには芭蕉扇が必要だという事で、風邪気味で調子の悪い占いババの協力を得て、何とか芭蕉扇を探し出すも、それで仰いでも逆に炎は強まってしまう。
体調の戻った占いババから、フライパン山の反対側にある五行山の八卦炉に原因があり、芭蕉扇はそれの火を起こすための道具だった事を聞かされ、そちらに向かう事に。
そこで2人は八卦炉の管理者である太上老君アンニンと、門番としてアルバイトをしていた孫悟飯(じいちゃん)に出会う。
八卦炉の火を消すとあの世とこの世の繋ぎ目が無くなって世界が滅茶苦茶になると言われ、火を消すか否かでトラブルになるも、
火災の原因は八卦炉の底が傷付いて穴が空き、そこから炎が漏れているという事で、芭蕉扇で仰いで炎を分断してから、その間に八卦炉の底へ行って穴を塞ぐ事で*3事件は解決した。
そして結婚式は執り行われるのであった。


【戦闘力】

兄弟子の孫悟飯とは違いかめはめ波を撃つことは出来ない*4が、彼もれっきとした亀仙人の弟子の一人であるため一般的な地球人よりは遥かに高い戦闘力を持っており、アニメ版では自分の住んでいる村を襲撃してきたレッドリボン軍の戦車部隊を単騎で迎え撃ち、戦車も次々と破壊するなど常人離れした戦闘力を見せつけていた。
なお、悟空達と同じ修行(牛乳配達など)を彼も昔やっていた模様*5
後に天下一武道会に娘のチチが出場した際、そのスタイルを「亀仙流に似ている」と亀仙人が評する場面があり、娘の武術の手解きも行ったようである。

【余談】

悟空が一家の主であるにも関わらず、修行三昧で働かないことから孫家にはロクな収入が無い
これは原作ファンの間で有名な話であろう。

では孫家はどうやって生活が成り立っていたのか?
その答えは牛魔王が蓄えていた財産を食い潰すことで生活が成り立っていたのである。

孫家は自給自足も可能とは言え、サイヤ人の悟空や悟飯という凄まじい大食漢がいることから、孫家のエンゲル係数が相当な物であることは想像に難くない。
更に教育熱心なチチも悟飯に対し、家庭教師を雇ったり塾に通わせるなど教育費にはかなり投資していることから支出は相当な物であったと考えられる。
その為、流石に原作連載末期の魔人ブウ編では牛魔王の財産にも先が見えていた為、チチが入賞賞金目当てに悟飯の天下一武道会出場を許可する一因にもなった。
逆に結婚からブウ編までの15年以上を牛魔王の財産だけでやりくり出来ていたあたり、彼の財産は相当な額であったことが推測される。
流石に『ドラゴンボール超』の時代では、財産はほぼ無くなっており悟空が農家として働かざるを得ない理由の一つとなっている。
ちなみに農家として働いている最中、ミスター・サタンに1億ゼニーを貰っている。名目は「世界平和大賞」。サタンが世界を救った事へ出された特別賞だったが、サタン本人が主に闘った悟空たちが受け取るべきと、サタンが主戦力では無かったことを口外しないようにとの口止め料として融通した。当初はあまりに巨額な上に悟空一人で闘ったわけでもなくサタンもその一端を担ったとして渋っていたが、界王様のところへ修行に行く許可がチチから下りる、という悟天の口利きもあり受け取った。*6
原作最終回時点では悟飯がビーデルと結婚したことにより、金持ちのサタンからたかる支援してもらうことで賄っている模様。
もっとも、その頃のサタンはミスター・ブウとともにチャンピオンの座を守っているため、ブウを消してしまうべきという論調から守った悟空にある程度心付けを送るのはサタンの感謝の証なのかもしれない。貰った金で豪遊しているならともかく普通の生活を送っているだけのようだし。

普通は全く働かず修行漬けで稼ぎの無い悟空に対して、牛魔王は文句の一つや二つ言ってもおかしくない立場である。
だが牛魔王は悟空を咎めることは全くなく、むしろ相当な額を惜しまず孫家に援助している*7
このことから作中屈指の相当な聖人であり悟空をかなり気に入っていることが窺える。ただ財産の大元を考えたらスッキリしない気分になるが…*8
悟飯には出来るなら戦わないでほしい、という母親としては至極当然だが地球の現状では不可能といえる願いを持つチチに対し、牛魔王は悟空や悟飯が地球を救うほどの戦士として成長していくことを純粋に誇らしく思っている節がある。
まして悟飯は尊敬する兄弟子の名を受けて生まれた孫である。原作ではチチと共に家で待つシーンしか描かれないので忘れがちになるが、当時──悪名を轟かすよりさらに前、彼は世界一の武天老師とまで呼ばれた人物に師事するひとかどの武闘家だったはずなので、闘いに関する考え方が違っても無理はない。
あるいは、牛魔王としては生活の面倒を見るぐらいは孫家の実績に比べたら安いものとでも思っているのかもしれない。

悪魔の帝王』と呼ばれた彼の孫が本物の大魔王に師事して『サタン』の娘と結婚するのも、考えてみれば奇妙な巡り会わせである。


追記・修正は、働かず修業三昧の義理の息子がいたとしても寛容に接する心の広い方にお願いします。

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最終更新:2025年02月23日 11:42

*1 山の火が消えれば宝は捨てるとも言ったが、亀仙人は「もったいない」と捨てることまでは強制しなかった。そもそも強盗によってなした財産であることを咎めていないが、「各地から奪った」は噂に尾鰭が付いたものだったのだろうか。

*2 この正体については以降説明がなく、火の精そのものも登場していない。ドラゴンボール世界のことなので隕石のこととも、魔界から訪れた何かとも取れそうなのだが…。

*3 穴を塞ぐには火喰い鳥の卵の殻と、八角形の巣を作る蜂の蜂蜜が必要だったが、悟空達は芭蕉扇を探す旅の過程でどちらも入手していた

*4 作者曰く、『牛魔王は技より力のタイプで、加えて実力が伴わなかったのもあるから』とのこと

*5 亀仙人が「懐かしいのう。孫悟飯や牛魔王もその昔、ここでこうやって牛乳配達をしておったな」と話すシーンがある。

*6 おまけページによるとベジータへも打診したようだが、「足りてる」の一言でにべもなく断られている。まあベジータは配偶者が世界一の金持ち一家なのだから当然か

*7 流石に妻であるチチは、働かず修行に打ち込んでいる悟空に対して『結婚してから一銭でも稼いできたことあったか?』と文句を言っている。

*8 とは言え、悟空とその息子たちが地球を守るために命懸けの戦いに身を投じたのは事実であり、それの援助のため、ひいては地球の平和のために使われたと考えると少しは報われる……か?