ミスター・サタン

登録日:2012/01/04 Wed 01:17:02
更新日:2025/10/04 Sat 05:53:45
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「ナンバーーーワーーーーーン!!」

「セル! この砕け散った瓦を見るがいい! これが一分後の…貴様の姿だ…」

ミスター・サタンとは世界格闘チャンピオンに君臨する一般常識的なレベルにおいては最強の格闘家。
実力はZ戦士達に及ばないが、強い正義感と英雄としての使命感を持ち合わせており、セル魔人ブウを倒す為に重要な役割を果たす。

自信過剰な面があり愛娘のビーデルから呆れられることも多いが、
子供相手にはワザと負けてあげたり、破壊と殺戮しか知らなかったブウ(善)の無垢な心をいち早く察し、善悪の基準と友情の大切さを学ぶきっかけを与える優しさも持つ。
また都市経営や企業も経営するなどまさに文武両道の人物。







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………OK、本題に移ろう。

ミスター・サタンは、漫画『ドラゴンボール(DRAGON BALL)』の登場人物。
本名はマーク。ミスター・サタンという愛称は「サタンの城」という格闘道場の一番手として名を上げたことに由来する。

【概要】


初登場は人造人間編。
一発キャラかと思われたが、なんやかんやで準レギュラーとなる。

名前の由来は「サタン」から。
本名のマークも、「あくま」のアナグラム。
娘のビーデルも「デビル」からきており、何故か悪魔縛りで名づけられている。
海外ではやはり「サタン」という名前はマズい為、「ミスター・ヘラクレス」に改名されている。

なお、作者は実際一発キャラとして作ったのだが、担当にいい奴と言われて筆が乗ってきたらしい。
作者の一番のお気に入りであり、戦いばかりのドラゴンボールの物語の後半における、ギャグという清涼剤とも言える。
また、読者の人気も高く扱いやすい様で初登場後は劇場版やゲームにおいて出演する事がかなり多い。

【劇中での活躍】

全世界にセルゲーム開催を通告したセルに対し、人類の代表として登場。
軍隊まで投入して勝てない相手なのに格闘チャンピオン一人で何ができると思ったのか、正直不明である。
軍隊を倒したのは爆薬を使ったトリックだと思っていたらしいが、たとえ本当でも爆薬に敵うわけがないだろうに・・・


で、いざセルゲームが始まると、いの一番に名乗りを挙げ、悟空に『おめえ悪い事言わねぇからやめとけセルに殺されっぞ』と忠告されたもものの……悟空を素人と決めつけていたために当然聞く耳を持たず、クリリンが『あいつはドラゴンボールでどうせ生き返れる』と悟空に言ったことで悟空も呆れながら『やれやれ仕方ねえな』と折れ、サタンが一番に挑むことになる。


アナウンサー『ミスター・サタンのダイナマイトキックがセルに炸裂ーっ!』

ミスター・サタン「だはははーっ!」


セル「うるさい(パンッ)」



…と、当然全く相手にされず、逆水平チョップ一発で岩肌に叩き付けられた。
そう、Z戦士なる超人どもがひしめくこの漫画の中で、久々に登場した普通の一般人だった*1のである。
セルに弾きとばされた後も自信満々な態度は変わらず*2ベジータからは「バカの世界チャンピオンだ」とまで言われた。
その直後の悟空対セルの死闘を見て、ようやく次元の違いに気づき『腹が痛い』と言って誤魔化している。
しかし、一応チャンピオンとしてのプライドもあり、死ぬかもしれないのに「子どもが戦ってるのにチャンピオンが逃げたら笑い者」と踏みとどまったばかりか、
人造人間16号の最期の頼みを引き受け、16号の残された頭を投げて悟飯覚醒のきっかけを作った。

ちなみにアニメ版では、サタンとセルが戦うこと自体が前座にすぎないのに、サタンの弟子なるオリジナルキャラクターの二人が追加され、
長々と毒にも薬にもならない茶番に興じたり、無謀にもセルに挑んだり*3と、無駄に尺稼ぎをしたため、
視聴者からは「また時間稼ぎか」と呆れられたのはいうまでもない。
後述したクリリンの台詞は、まさに視聴者の気持ちを代弁したものといっても過言ではないだろう。
もっともこれに関しては、アニメが原作においつくことを危惧した苦肉の策でもあることを忘れてはならない。

その後はアナウンサー達が戦いの余波で気絶する中で悟飯とセルの戦いを見ているだけだったが、
戦いが終わってZ戦士たちが帰ったあと、カメラが壊れ、気絶していたアナウンサーに「トリックでちんたらやってたから自分がセルをふっ飛ばした」と言い張った。
そしてアナウンサーはあっさりそれを信じた。
…まぁ、本人がそう信じるならそれでいいんだろう。
それに、Z戦士達の戦いを一般人に説明しても理解してもらえるとはとても思えないし。 

セルゲームから数年後の魔人ブウ編では、セルを倒した英雄として絶大な信頼を得ており、住んでいる町を「サタンシティ」と改名までしてもらっている*4

相当豪勢な暮らしをしていたが、特訓などをするシーンは全く描かれておらず、娘のビーデルにも呆れられていた。
天下一武闘会が始まると、18号に鼻の下を伸ばしたり(アニメ版)、トランクス悟天の強さを見てセルゲームの事を思い出し、またビビる。
子供大会の優勝特典としてトランクスと戦うが、パンチ一発でリングアウト。
しかし、得意のやせ我慢で演技をし、わざと負けたことにした。
これで騙される方も騙される方である。
また、大人の出場する本戦では、18号に八百長の取り引きを持ちかけられたおかげで優勝できた。
尚、Zでは、セルゲームを再現した映画も上映され、その映画内ではサタンが爆薬トリックを使うセルを倒している。

しばらくして魔人ブウを倒すために送り込まれるが、やっぱりビビってブウに媚を売り、ブウの身の回りの世話をはじめる。
そして、世話をしてるうちにブウの純粋な面に気付き、ブウの拾った子犬>(後にベエと名付ける)を通じてブウとの間に友情が芽生えた。
ブウが人殺しをする理由を「バビディたちが楽しんでいたから」「(バビディたちは)嫌な奴らだ」といった時には「そんな嫌な奴のいう事なんてきかなくていい」と説き、保身が主目的とはいえ
戦闘民族だらけのDB世界において、武力ではなく平和的な解決方法を行った数少ない人物である。
この時、ブウが破壊や殺戮を「サタンの価値観では悪いことではやってはいけない」と納得した事で、サタン側もブウを「状況が理解出来ないまま悪人に命令されていただけで、根はそれほど悪い存在ではない」と理解して友情が確固たるものになった。
残念ながらこの時はあと一歩というところで心無い人間にベエが撃たれてしまいブウの悪の心が善の心と分離してしまうが、非戦闘員を神の宮殿で匿いながらその様子を遠くから眺めていたピッコロはビーデルに、「力はオレ達にかなわんかもしれんが、やはりお前の父は誇り高い世界チャンピオンだ…」と評価した。

また、ベエが銃で撃たれた際には、ブウよりも先に飛び出して悪漢を成敗する漢気も見せる。
この時、サタンが殴り飛ばした心無い人間に向けたセリフである「地球のゴミめ…!」は視聴者の印象に残った。

そのおかげで、ブウが悪の姿になっても手を出されず、人類を絶滅させる攻撃でもベエと一緒に二人(一人と一匹)だけ見逃してもらえた。
それからは当てもなく放浪していたが、ピッコロに見つけてもらえたことで悟天トランクスデンデと行動を共にする。

純粋魔人ブウの攻撃によって地球を破壊される瞬間も、悟空が悟飯たちよりも近くにいたサタンとデンデを拾ったために、偶然生き延びる。
このため、作中では占いババ様と共に一度も死亡していない地球人となる。
……が、『ドラゴンボールZ 復活の「F」』にてフリーザが地球を破壊してしまった為、この時に占いババ共々死亡してしまった可能性が極めて高い。
しかしウィスが時間を巻き戻したおかげでこれも無かった事になった。

界王神界での決戦では界王神らに置いてかれるが、そのおかげで純粋ブウから善のブウが蘇る。
そして善のブウが時間を稼いでいる間ベジータの提案で悟空が限界ギリギリまでパワーをもらった元気玉を作る際、遂に彼は決定的な行動に出る。
この時、悟飯一行の事を知っている、かつての顔見知りの人々からはすぐに元気を貰えたが、悟空たちの事を知らない大半の地球人たちからはなかなか信じてもらえない。
信じる人が全く居なかったわけではないのだが、この時は緊急で最大強度の元気玉を作る必要があったため、手を差し出しただけで即座に元気を吸い取られ、(もちろん悟空は地球人に害をなすつもりはなかったが)死にこそはしないものの、体力がない人の中には倒れる者まで出ていた。
手を出すことを渋った大多数の地球人にとっては「ただでさえ世界的な混乱が起きている中で、『倒れる可能性がある行為』をするように要求する知らない奴が現れた」という状況であり、そういった人たちの疑心暗鬼はますます加速。
呼びかけるベジータや悟空の声を「こいつがバビディだ」と判断して耳を貸さなかったり、挙句「今までのことは全部夢だった」と逃避したりする始末であった。



最大強度の元気玉が無いとブウを倒せない。
しかし、そのための元気を貰う地球人からの支持を取り付けられず、最大強度の元気玉を作ることができない。
万事休すか…と思われたその時だった。


きっ きさまらいいかげんにしろ――――――――――っ!!!

さっさと協力しないか―――――――――――――!!!


このミスター・サタン様の頼みも聞けんというのか――――――――――――!!!


オレが魔人ブウを倒してやるから
おまえたちもはやく力を貸さんかっ!!!



余りにも元気玉の成長が遅い様を見てサタンはブチ切れ、地球人すべてに一喝。
悟空やベジータを知らない人々にとって、「セルを倒した大英雄であるミスター・サタンが戦ってくれている」ことは何よりも心強く、そのサタンが頼む「元気を差し出す行為」は正しい行いだと確信させるのに充分な事実だったのだ。
この一喝で地球人たちは目が覚め、元気玉のパワーを悟空に送る事に見事に成功。
さらに、元気玉の完成後はブウの近くで負傷して倒れていたベジータを危険区域から運びだし、勝利に大きく貢献した。*5


サタンがいなければこの勝利はあり得なかったのだ。

直接戦ってこそはいないとはいえ、本当に世界の救世主となったのである。



その勇気ある行動は悟空とピッコロからも救世主と認められた。


悟空やるじゃねぇかサタン!!! おめぇほんとに世界の、救世主かもな!!!
ピッコロふふふふ…!! 負けた、お前には負けたぞミスター・サタン!! はははははは!!!*6

このシーンでサタンを見直した読者・視聴者は数えきれないほどいただろう。

大した力を持たない一般人が、ハッタリと人徳で世界を救う姿は、あるいはドラゴンボールの路線―――少数の選ばれた人間が戦いだけで問題を解決する展開―――に飽きていた作者自身の心が投影されていたのかもしれない。

そしてブウが消えた後は

地球の諸君!!!
格闘技世界チャンピオンのミスター・サタンだ‼‼‼
諸君の協力もあって恐ろしい魔人ブウはたった今死んだ!!!

もう安心だ!!!

恐怖から解放されたのだーっ!!!

意地の悪い見方をすれば、手柄を横取りしたとも取れるかもしれない。
しかし人々が何より待ち望んだ「魔人ブウの恐怖からの解放」を行ったのもまたサタンであった。
「諸君の協力もあって」とさりげないながらも的確な一言で力をくれた人々への礼も欠かしていない。
なにより、人々に本当のことを言っても信じてもらえないのは明白なので、これでよかったのだろう。
元々悟空達も表立ってブウが倒された事を公表するつもりはなかったと思われるので*7、誰一人としてサタンの発言を非難したりはしていない。ビーデルは恥ずかしがってたけど
と言うかそもそも宣言の内容は「ミスター・サタンが魔人ブウの死亡を報告した」だけであり、サタンは一言も「自分が倒した」とは言っていない訳で……。

純粋ブウとの決戦後は、善の心が残ったブウをサタンの一番弟子「ミスター・ブウ」として扱い、自宅で一緒に暮らしている。
後にドラゴンボールを使って暴威をふるったブウの記憶は関係者以外の人々から消され、世間の人には「ミスター・サタンが邪悪な何者かから地球を救った」という記憶だけが残った状態になっている。
お世辞にも高い知能がある訳ではないブウも、「サタンがやられたら皆が悲しむ」ことを理解していた。

後に娘のビーデルと悟空の息子・悟飯が結婚したため、孫家とは親戚関係になり、悟飯とは義理の親子となった。
ドラゴンボールによって地球人の記憶からブウの恐怖を消し去った後は、二人でつるんで天下一武道会で八百長をしている*8
ちなみに、自慢のアフロはすっかり後退してしまった。


【人物】

エイジ736年生まれ。年齢はクリリンと同い年で、悟空より一つ年上。

口が達者でかなりのお調子者の目立ちたがり屋、強い者には媚び、弱い者には調子づく。
こう書いてしまうと典型的な小悪党であるが、100%正しいとしか言いようがないんだから辛い。

実際、登場直後に悟空陣営からは、
  • 亀仙人「あいつは殺されてもいいかもしれん…」
  • クリリン「いまオレちょっとセルを応援しちゃったぜ…」
  • ピッコロ「ちっ、生きていたか……さすがのセルもあんなのを殺すのは嫌だったようだな」
  • ベジータ「(驚愕の表情で)あの状況でまだ実力の差が理解できていないのか? バカの世界チャンピオンだ。
と、総スカン状態であった。

しかし正義感は人一倍あり、銃を持った相手にもひるまずに立ち向かったこともある他、
善のブウが純粋ブウにやられそうになれば、助けるために殴りに行った事もある(もちろん相手にすらならなかったが)。
その後、悟空が元気玉を放つ時には戦闘不能になったベジータが巻き添えにならないように抱えて運んだ。

最初は下心から始まった物とはいえ、ブウとの間に結ばれた友情は本物であり、
ブウが悪の化身と化し、更に最愛の娘であるビーデルを殺害した事を知った後ですら、最後の切り札として持っていた拳銃を向けることはためらっており、
地球を破壊しようとしたブウに対してついに発砲した際には、同時に悟空が気円斬でブウの身体を切断したために自分がブウを殺してしまったと勘違いし、
やむを得なかったこととはいえ、心の底から悔やみ謝罪している。

また善のブウがベジータに殺されそうになったときも見逃してくれるよう嘆願し、ベジータに脅されてもブウを助けようとした。
アニメ版ではブウを騙して撮ったブウを倒したように見える写真を「ブウの純粋な心に付け込んであざといことをしてしまった」と後悔し「こんなもの…!!」と破り捨てたこともある*9

ブウと仲良くなったり地球人に声を届けた事から、ピッコロや悟空からは認められ、一目置かれている。

GTでブウが死んだ(実質同化だが)際は誰よりも悲しんでいた。
そのせいか一種のスランプに陥り引退を考える程である。

作中では娘のビーデル以外に家族はいない。
妻・ミゲル*10は劇中では既に亡くなっており、娘や孫には非常に甘い。
ビーデル曰く「女の人としょっちゅう遊んでる」と言われていたが、それでも再婚しなかった辺りは、亡くなった奥さんを深く愛している模様。
悟飯とビーデルの結婚記念に大きな新居をプレゼントするなど、義理の息子である悟飯との仲もとてもいいようである。
まあグレートサイヤマンやってるとはいえ、超インテリで人格も良いし、真面目な好青年なので非の打ち所は無いだろう。
また、劇場版ではジャガー・バッダと言う名の従兄弟がいる。

莫大なファイトマネーが得られるためか、カプセルコーポレーション程ではないにしろかなりの大金持ち。
帰ってきた孫悟空と仲間たち』ではホテルを経営している等、実業家としても成功している。
そのせいで姻戚になった悟空からはちょっとたかられている節もあるが、何だかんだで悟空との仲も良い*11
ただ、18号に要求された八百長の金は支払っておらず、その後の映画『超戦士撃破!勝つのはオレだ!』ではなんやかんやあって1億ゼニーにまで膨れ上がった。

ドラゴンボール超』の第一話では世界平和賞を受賞した際の賞金1億ゼニーを「本来は悟空達が貰うべきだから」と孫一家にプレゼントしており*12
悟空はそのおかげで農業を続けながらもある程度修行に専念できている為、地球防衛にスポンサーとして貢献しているともいえるし、
ここで自分の懐に入れない(入れられない)性格もサタンの人柄を良く表している。

少々コスいところもあるが、格闘技世界チャンピオンにふさわしい人物であることは間違いない。
Z戦士や人外を相手にしなければ無敗の実力者であるし、ファンに対してのサービスは欠かさない姿勢もチャンピオンとして評価されるべき点である。

セコイ手法を使うことはあっても、見方を変えればチャンピオンとしての矜持があるからこそ逃げずに打てる手は打つという姿勢の表れである。
前述の16号の頼みの際はアナウンサーすら「サタンは人間の世界チャンピオンなんだ」と暗にサタンも敵わない相手であることを認めていたにもかかわらず敢行しているし、
アナウンサー達が気絶してしまった後も常人には理解できない戦闘を最後まで見届けている。
この時、16号の頼みをアナウンサーが「化物の頼みなんか聞けるか!」と罵ったのを「バカモン!! チャンピオンは誰に対してもチャンピオンだ!!」と一喝しており、彼のチャンピオンに対する自負がうかがえる。
魔人ブウ戦の時も、Z戦士という自分より遥かに強い相手の存在を知っているのだから*13
命を懸けてまで世界チャンピオンの矜持のために魔人ブウに接触する必要はなく、彼らに任せてしまって自分は雲隠れしてしまっても良かったはずである。
にも拘わらず、ブウに対して恐怖を覚えつつも自分の可能な限りの手段は実行した上で経緯はどうあれ最終的にブウを説得し、和解することに成功している。

本編中の強さや扱いはどうであれ、彼は自分自身が地球の人たちにとって最後の希望であることを誰よりも理解しているのだ。
時に仮病を使って引き延ばしをすることはあっても、決して「敵わない」とは言わない。
「病気さえ治れば戦える」という希望があればこそ、地球の人たちは絶望せずに済むのである。

劇場版でも異常事態に対して命の危険にさらされながらも無事に生還している。例えば悟飯をリンチしていたボージャック一味に(無理やり行かされた形だが)マシンで突っ込み、結果的に悟飯を救ったり、バイオブロリーの弱点を(偶然だが)発見するキッカケを作ったり、ジャネンバによって死者が蘇った際は亡霊を退治する等それなりに活躍はしていた。


周囲の人間の評価や扱いを考えると(強さはともかくとして)カリスマや精神に関しては間違いなく世界チャンピオンである。

あのピッコロをして「力はオレたちにかなわんかもしれんが、やはりお前の父は誇り高い世界チャンピオンだ」と言わしめた人格は伊達ではない。

悟空や悟飯達にとっても自分達が一般人として暮らしにくくなる面倒な名誉や手柄をサタンが引き受けてくれているという点で持ちつ持たれつと言える。

コラボ漫画CROSS EPOCHではごく普通の男だったが、ある日突然王様になった。
ドラゴンボールで願いを叶えてもらったおかげだが…

【戦闘能力】

世界チャンピオンだが、悟空達のように超常的な戦闘力を持っているわけではない。
同じ地球人であっても、ナメック星での冒険や界王星での修行を経たクリリンやヤムチャよりも実力は遥かに劣る。
魔人ブウ編では天下一武道会の司会者が武道会全体のレベルの低下を嘆いていたことと、作中の描写から、
彼自身もナムチャパ王といった無印時代の本選出場者達よりも弱い可能性が高い。
瓦割りが得意だが、記録は15枚中14枚と何故かいつも最後の1枚が割れない。
ただ、瓦を割る手刀が一番下まで瓦を切断しているので*14、ある意味枚数以上には凄い。


しかし、格闘技の世界チャンピオンであり、普通の人間にしてはかなり強い方である。
セルとZ戦士たちの戦いの際には、人造人間16号の頭部*15を20m以上は離れた場所で会話していたセルと悟飯の足元付近にまでノーバウンドで放り投げる投擲能力*16を見せ、
アニメオリジナルエピソードでテレビ番組に出演した際は、大型バスを引っ張る、電話帳を引き裂くといった怪力を披露。
ベエを撃った悪人に逆上した時は、不意打ちも使ったとはいえ、機関銃やライフルで武装した二人組を一方的に叩きのめしている。
劇場版ではジャネンバによって蘇らされた亡霊集団を倒しており、「カメラが無いからワシの活躍がTVに映らない」と軽口をたたく余裕まで見せた。
バビディに操られる前のスポポビッチもサタンに一蹴されており、一般レベルの格闘家を遥かに凌駕する実力の持ち主であることは確実である。
また、天下一武道会の予選でのパンチマシン測定でも、サタンの出した137を超える数値を出した選手はZ戦士たちを除けば一人もおらず
この点においても(一般人としては)非凡な能力を持っているといえる。
少なくともDBの世界においても、地球人から見ればヒーローと呼ばれるに相応しい存在なのは間違いない。

また、凄まじい生命力を持っており、セルのしっぺやトランクスのパンチで思いっきり岩山や壁に叩き付けられたというのに普通に立ち上がれた。
アニメ版では手加減という言葉すら知らないであろう純粋ブウのパンチを顔面にマトモに受けても軽症で済んでいる
劇場版ではボージャックの気弾が直撃して載っていた飛行機が墜落しても生きてたり、GTでは高齢にもかかわらず{超サイヤ人4を余裕で蹂躙できる超一星龍の本気の蹴りを受けて生きていたりもした。
それ以外にも、作中で岩が直撃したり、仲間数人に下敷きにされても生きており、殺伐とした戦いの中でも視聴者に笑いと和みを提供する事を決して忘れない。
…まぁ、これはいわゆるギャグ補正といえるだろう。だが、サタンがこういったコメディリリーフな役割を一手に引き受ける事により、戦いばかりのDB世界に安らぎを提供できているのもまごうことなき事実。
その為防御力だけなら超サイヤ人4レベルと揶揄されることも。

Z戦士のような特別な修行をしたわけではなく、気を使った技はすべてトリックだと思い込んでいた。
才能がない訳ではないので、もしもちゃんと気の修行ができていたら、クリリン級の強さにはなっていたかもしれない。
というよりクリリンやヤムチャもまず亀仙人という伝説レベルの武闘家に指導してもらったことを忘れてはいけない。

またサタンの過去は原作では明らかにされてないが、若い頃は『サタンの城』と呼ばれる格闘技の道場に通っており、ライバルの対戦相手が食中毒になるなどかなり強運の持ち主で、たちまち世界チャンピオンとして頭角を現していくことになる。
そんなある日、遠征先の南の都の酒場で師範と共に桃白白に遭遇し、うっかり髪型をからかってしまったことで、師匠は殺され自身も瀕死の重傷を負うなど、結構つらい過去を持っている事が判明。
それ以降正体のわからない相手や強敵と戦うことを避けるようになり、モンスター系の強敵が出場した時は体調不良を装い欠場していた。
この一件が具体的にいつ頃なのかは不明。サタンの妻であるミゲルも顔が出てきてないので、サタンの過去のスピンオフを見たいというファンも少なくないのだとか。

一部ゲームでは気弾の代わりに手榴弾を、舞空術の代わりにジェットパック(カプセルコーポレーション製だろうか?)を使って戦っているほか、気弾の代わりに放物線を描いて小石を投げつけたりする。
ガード不可の技を持っていたり必殺技で魔人ブウを召喚できたりとピンポイントな長所が付与されることもあるが、基本的には各種ステータスが低く最弱キャラと位置付けられる…というか、こいつより弱いキャラがいたらさすがに問題だろう。
必殺技はみなさんご存知「サタンミラクルスペシャルウルトラスーパーメガトンパンチ

ちなみに、現実世界での強さは作者曰く「ボブ・サップほど強くはないかも」らしい。
「名指しで挙げられたボブ・サップ強すぎだろ」と思うかもしれないが、コレは2004年のコメントなので当時のイメージ補正も入っていると考えたほうが良いだろう。
「現実でもトップクラスの格闘選手なら太刀打ちできる」あたりが適切だろうか。


【声優】

アニメでの声優牛魔王や閻魔大王でお馴染みの故・郷里大輔氏。
郷里氏亡き後に発売されたゲーム『ドラゴンボール タッグバーサス』を経て、『ドラゴンボール改』以降の作品では、石塚運昇氏が引き継がれた。
その石塚氏も急逝した後、ゲーム『ドラゴンボールZ KAKAROT』では江原正士氏が演じる事になった。
サタンの新しい声優はゲームからの初登板が目立つ。
また、『ドラゴンボールDAIMA』においては若返った姿は櫻井トオル氏が担当している。

特に初代の郷里大輔演じるミスター・サタンは、それまで同作でも巨漢や悪漢を演じることが多かった彼の中でも珍しい
「コメディリリーフ」的な善玉キャラであった。
それまでも全くそういったキャラを演じてこなかったわけではなく、名のあるキャラもいたが
普段悪役や怖いキャラのイメージが強い郷里担当キャラクターとしては、非常に珍しい個性を持っていた。

『ドラゴンボール改』の放送途中で郷里が急逝したため、同作のセル編で石塚運昇に交代することとなる。
(なお石塚はその後も江田島平八やロビンマスクなども後任で演じていたなど、多くの役を引き継いでいる)

しかしそんな代役を演じてた石塚氏もお亡くなりになり以降の映像作品等は基本カメオ出演し、『ドラゴンボールZ KAKAROT』以降の作品では江原氏が担当している。

ビーデル役の皆口裕子氏は、郷里が急逝した際、
自身のブログで「ミスター・サタンが郷里さんじゃないなら、私もビーデルやりたくない」といって泣いて周りを困らせたと語っている。


【余談】

なぜか、ドラゴンボール界のアフロの格闘家には「超人的に強いのは確かだが、通用するレベルじゃないのに自信たっぷりに出てくる」というジンクスがある。
具体的にはチャパ王、パンプットなど。




サタン
「うぐぐ、い、痛いっ…急に腹が痛みだしたぁ〜っ!
こんな項目の追記・修正なんかわけないのに、あ〜ざんねんっ!!」

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最終更新:2025年10月04日 05:53
添付ファイル

*1 Z戦士や人造人間のような異常な例外を除いた通常の武闘家としては紛れもなくトップクラスではある

*2 流石にビビっていたのだが見得のためになるべく隠していた

*3 もちろん相手にすらならなかった

*4 ただし強盗などが跋扈しビーデルが引っ張りだこになる等治安は最悪。まあ『ドラゴンボール』は割と治安の悪い地域が多いようだが。

*5 実際にアニメ版では悟空でさえギリギリまで躊躇ったものの、最後には謝りながらベジータを元気玉の巻き添えにする選択をしかけていた。

*6 尚、このセリフは漫画版にはなくアニメ版で聞ける。あのピッコロが快活に笑うほどに、そしてこれほどはっきりと負けを認めた人物は後にも先にもサタンのみ。ピッコロは神様と同化している事、そしてかつて神様はドラゴンボールの廃棄を検討するほど下界の人間の欲深さに失望していた事を考えれば、一般人であるはずのサタンが見せた人間力は神が負けを認めるには十分なものと言えるだろう。

*7 悟空達が作中で巨悪と戦って、その事後報告をしたのはピッコロ大魔王編くらいである。この時も「正義の味方」としか伝えられていない。

*8 ブウが一般参加し優勝して、チャンピオンへの挑戦戦でサタンに負ける

*9 皮肉にも、私利私欲のためにブウにつけ込んだことはバビディも同様であったが、こういった心情を持っていたことがバビディとサタンの差ともいえる

*10 余談ながら、「ミゲル」という名前は基本的に男性名である。女性名は「ミカエラ」や「ミゲラ」。またミカエラは大天使ミカエルに由来する。

*11 悟空の方も実の兄貴がろくでもないヤツだっただけに、「(戦闘面以外では)頼りになる親族」が出来たのは嬉しかったのかもしれない。

*12 とよたろう作画の漫画版のコミックスでは、ベジータに半分を渡そうとして「要らん、腐るほどある」と突き返される一枚絵が挿入されている。

*13 だからこそ天下一武道会で悟天とトランクスの戦いを見た際にびびっている、かつてのサタンならトリックと一蹴していたであろう

*14 普通の瓦割りは衝撃で割るだけ

*15 人体のうち、頭部の占める重量は体重の約8%であるとされ、身長226cmの16号が人間の226cm適性体重である112.4kgと仮定しても8kg以上。全身機械である上に人間だとしてもかなりの筋肉質なので実際の重さは少なくとも10kgを優に超えるだろう

*16 砲丸投げの世界記録でも16ポンド(約7.26kg)で23m