フェリー

登録日:2025/09/23 Tue 23:35:36
更新日:2025/09/24 Wed 02:08:10NEW!
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フェリーとは、定期運航で人や荷物を運ぶ船である。

概要

定期運航で川や海を渡り、人や荷物(とりわけ自動車)を運ぶ船。
「人間のみを乗せるもの」や「人間に加え車や鉄道車両なども乗せるもの」があるが、特に日本においては人間と車両を乗せる「カーフェリー」のことを指すことが多い。
飛行機や鉄道、高速道路と比べると速度面では不利であるが、「車両ごと海を渡れる」という唯一無二の特性から地域や区間によっては未だに交通や物流の要でもある。飛行機に10tや20tのトラックや貨車なんて大量に積むのは非現実的だからね。
またフェリー以外の交通機関も発達している日本においては、事実上の客船としてのポジションにもなっている。

船舶としてのフェリー

カーフェリーは、
  • 旅客の快適性を追求した「客船」
  • 車両や荷物の積み下ろしの機能性を追求した「貨物船」
の2つの側面を要求されるため、民間向けの船では建造費がかなり高価な部類である。
「荷物を積まなければ長距離バスにもそのまま使える20tトラックとか作れない?あ、もちろん揺れが少なくて快適で、エアコン完備していて、トイレも備えていて、人数分のスーツケースも積み込めるやつでね。行き先表示のモニターと次止まりますのボタンも忘れないで。もちろんトラックとして使う際の機能も忘れないでよね?荷物の積み下ろしが楽なやつで、フォークリフトでも積めるように。あと後ろにリフトもあるといいな」のような無茶振りだといえばいいのか。
車両の積み下ろしを容易にするため、現代ではRO-RO船(ローロー船。車両が自走して乗下船できるランプを備えた船)が基本となっている。
動力は低速ディーゼルエンジンが主流であるが、一部ではハイブリッド船や、ガスタービンエンジンを用いる船もある。
飛行機や高速列車と比べると低速なように思えるが、短~中距離フェリーでも10~15ノット(18.5km/h~約28km/h)、長距離フェリーでは30ノット(約56km/h)と、一般道の車並の速度を出している。そこ!つまり船外に出れば手軽に○っ○○の感触を楽しめるとか考えてたな!

船内の設備

客室(客席)

乗客を乗せる場所。バスや飛行機のような座席から、下手なリゾートホテル並の設備を備えたスイートルームまで様々なタイプが有る。
  • エコノミークラス
「フェリーの船室」と言ったら真っ先にイメージするであろう、カーペット敷の大部屋。船会社によっては「普通席」や「ツーリストクラス」と呼ぶこともある。
基本的には自由席であるが、一部の長距離フェリーだと区画分けされた指定席になっている場合もある。
安価に利用したい場合に加え、グループ旅行にも最適。
  • 座席
短距離のフェリーではカーペット敷ではなく、新幹線高速バスなどのようなリクライニングシートを採用する場合もある。多くは座席指定制。
短距離便だけでなく、中長距離便でも前方の景色を楽しめる席として設定されることもある。
  • 寝台
エコノミークラスより1ランク上に設定されている場合が多い寝台。
カーテンで仕切ることができ、プライバシーにも配慮されているのが基本。
最近ではカプセルホテルのような寝台を備えた船もデビューしている。
  • 一人用個室
一部の長距離フェリーで見られることのある一人用個室。
机とベッド、テレビを備えるだけのシンプルなものであるが、長旅には適している。
  • ドライバーズルーム
一人用個室の一種。
長距離ドライバー向けの個室タイプの客室。
トラックドライバーにとってはフェリーは貴重な長時間休憩の場であるが、そんな中で「周囲に邪魔されずゆっくり休憩したい」という需要に応えるためのものである。
  • 個室
2~3人用の個室。多くはミドルクラスの位置付けである。
古い船だと二段ベッドと机、洗面所がある程度だが、最近就航した船の場合陸上のビジネスホテル並の設備を備えることも珍しくない。
  • スイートルーム
一部の船に設定されている最高級客室。
使用料は高額だが、それに見合った充実した設備を有する。

レストラン

短・中距離フェリーの場合、自動販売機で全てを賄ういわゆる「オートレストラン」「オートパーラー」のこともあるが、長距離フェリーは本格的なレストランを備えていることもある。
供食形態はカフェテリア型やビュッフェスタイル*1が主流。
またレストランが稼働していない時間帯でも、カフェが開いているということもある。

売店

飲料や菓子類、おみやげなどを扱う売店。

ゲームコーナー

フェリーのゲームコーナーはスペースの都合もあって、クレーンゲームとスロットマシーン、数台のビデオゲームが置かれているというこじんまりとしたものが多い。
ただ、一部の船だとファミコンボックス*2のような歴史的なマシンが現役で稼働していることも…?

ビデオシアター

DVDビデオの上映を行う小規模な映画館。超長距離便でないとお目にかかるのは難しいかもしれない。
映画の上映をしていないときは貸し切りにできる場合も。

車両甲板

車両を積み込む区画。

フェリーでの旅の魅力

フェリーでの旅の最大の魅力は、何と言っても「乗り慣れた愛車と共に旅ができる」ことであろう。
旅先でもいつも乗り慣れた車やバイクで気ままにドライブできる、これは他の交通機関では真似できない魅力である。

また「船旅」という、日常から特に離れた移動手段である事自体も魅力的である。

早く行きたいなら飛行機、手軽に乗りたいなら新幹線、安さを重視するなら高速バスと、フェリーより有利な移動手段は現代ではいくらでもある。
むしろ「発着場所が限られる」「特に長距離や車両航送の場合はほぼ予約必須」「時間がかかる」と、乗り物としてだけ見ればマイナス面の方が目立っているかもしれない。
だが、航行中でも自由に歩き回れるほど広い船内は他の交通機関では真似することは難しいし、そこにホテル並みの設備まで詰め込むとなればなおさらだ。
航行中もシートベルトで身体を固定しておく必要は無いので開放的である。
船によっては本格的な食事もとれるし、大浴場だってある。長い船旅も見方を変えれば「自由な時間を楽しめる」とも言える。
海から昇る朝日や水平線の向こうに沈む夕日、夜間の陸の灯り、イルカやアザラシなど普段は水族館でしか見れないような動物だって野生の姿を見られるかもしれない。
携帯(スマホ)の電波なんてギリギリ届くかどうかというところだが、それだってたまにはネットから離れる時間になると受け取ることだってできる。カメラや音楽は電波が届かなくても使えるしね。
しかも値段はもちろん、場合によってはドレスコード(服装の規定)まである豪華客船やクルーズ船と比べると、価格も敷居もめちゃくちゃに低い。
「自由」な「非日常」をそこそこ手軽に味わえる乗り物はフェリーくらいであろう。
いつもは新幹線は飛行機を利用している方も、たまには船旅をしてみてはいかがだろうか。

利用の流れ

1)予約
かつては旅行代理店経由や、港や都心部の営業所に出向く、或いは直接電話で予約をするという方法だったが、今はIT時代、インターネットから直接予約することもできる。
支払いはクレジットカードはもちろん、銀行振込やコンビニ振込などでも。
車やバイクも乗せる場合、車両情報も登録する必要もあるので車検証も手元に。

2)港へのアクセス
人間だけでの乗船の場合、多くの場合は最寄り駅からフェリーの時刻に合わせた連絡バスが発着している。
無かったり乗り遅れたらタクシーを呼ぼう。
逆に敢えて早めに最寄り駅に着き、乗船前の買い物をしておくのもいいだろう。
車・バイクの場合は、港によっては高速道路のICが近くにあることも。

3)受付
乗船前の集合時間は、飛行機と同じく閑散期で出港30分前まで・夏休みなどの繁忙期では90分前までと考えておいたほうがいい。
窓口や受付端末で利用者情報を登録し、発券する。
人間だけの場合は奥の待合室で、車両ありの場合は指定された駐車スペースまで移動させよう。

4)乗船
人間の場合はタラップやボーディングブリッジを使って直接乗船。
車両は案内されるとおりに船内に自走して乗船する。誘導された場所に停めたらエンジンを切り、客室に行こう。

5)下船
人間はタラップや(ry直接下船。
車両は案内されるとおりに自走して下船する。良い旅を。

フェリーの例

津軽海峡フェリー・青函フェリー

航路:青森港-函館港(津軽海峡フェリー・青函フェリー)、大間港-函館港(津軽海峡フェリー)
青函連絡船の後身といえる、青森-函館間のフェリー。
北海道新幹線が開通した現在でも、運賃の安さや車両航送を強みとし現役である。
メインルートと言える青森・函館航路に加え、津軽海峡フェリーにより大間・函館航路も運航されている。旅を楽しみたい方はこちらも検討してみよう。
あと津軽海峡フェリーには「ブルーマーメイド」というなんかどっかで聞いたことあるような名前の船が就航している

シルバーフェリー(川崎近海汽船)

航路:八戸港-苫小牧港
八戸と苫小牧を結ぶ中距離フェリー。
本州-北海道連絡便としては上記の津軽海峡フェリー・青函フェリーに次ぐ4本という高頻度運航である。
が、そんなことはどうでもいい(?)。
ここの売りは高速バスとのセット乗車券である「なかよしきっぷ」。
盛岡-札幌プランで8400円、八戸-札幌プランで6500円という破壊的なコスパであるマリオカート付きのSwitch2か?

商船三井さんふらわあ

航路:大洗港-苫小牧港、神戸港-大分港、大阪港-別府港、大阪港-志布志港
某戦車アニメの聖地大洗と苫小牧、神戸・大阪と九州を結ぶ長距離フェリー。
創作内でもクィーン・マリーゴールド号(YAT安心!宇宙旅行)など様々な船舶のモチーフともなっている、日本のフェリーの代表とも言える存在である。

新日本海フェリー

航路:新潟港-小樽港、敦賀港-苫小牧港(直行便)、敦賀港-新潟港-秋田港-苫小牧港、舞鶴港-小樽港
日本海側で北陸・西日本と北海道を結ぶフェリー。
…日本の義務教育を受けた方なら勘づいただろうが、このルートはかつての北前船とほぼ同じルートである。人呼んで「現代の北前船」。
太平洋側と比べて荒れやすい日本海側を航行するため、荒天にも強い大型船で20~30ノットの高速航行を行うという力業で日本海の荒れた海に対抗している。
また長距離運航をするためか他のフェリーと比べると船内設備が豪華になっているのも特徴。


乗船中のフェリーが港に着いたら追記・修正をお願いします。


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最終更新:2025年09月24日 02:08

*1 いわゆるバイキング形式

*2 業務用ファミコン