ケンガンアシュラ

登録日:2020/05/06 Wed 00:12:00
更新日:2024/04/14 Sun 19:52:12
所要時間:約 27 分で読めます




闘技者の拳に、願いを託す。
拳願仕合

●目次

【概要】

ケンガンアシュラとは小学館のWebサイト「裏サンデー」で2012年4月18日〜18年8月9日まで連載された格闘漫画。
2014年12月からはコミックアプリ「マンガワン」でも連載を開始した。

2019年1月17日からは続編「ケンガンオメガ」が連載中。

原作は異色の経歴を持つ格闘技経験者サンドロビッチ・ヤバ子。作画はだろめおん。

ヤバ子氏はフルコンタクト空手経験者で現在もブラジリアン柔術や総合格闘技を嗜み、本作担当編集者の小林翔もフルコンタクト空手と軍用格闘術経験者で全日本選手権無差別級3位入賞の他、自衛隊やキックボクシング道場に在籍していたという経歴の持ち主であることから、本作のバトルシーンは実際にヤバ子氏と小林氏が組手を行い検証した上で描写されている。
後に、実際に組手を行う手法は後述のアニメ版でも踏襲され、小林氏はモーションアクターとしてアニメ制作に携わった。
ちなみに小林氏、ケンガンアシュラだけではなく、モブサイコ100だがしかしと言った複数の人気作品と並行して本作を担当しており「いつ寝ているのか?」言われるくらい働いているらしい。
上述したヤバ子氏の経歴だが、サラリーマン→遺跡発掘→漁師なりかけの時小学館から声をかけられ、漫画家にならなければそのまま漁師になっていたらしい。

【あらすじ】

企業・商人たちが巨額の利益を賭け、雇った闘技者によって素手による格闘仕合を行い、勝った方が全てを得るという「拳願仕合」。商人たちの争いを収める手段として、江戸中期に発祥したと言われるこの勝負法は、現代まで連綿と受け継がれてきた。
さえない営業マンの山下一夫は、大企業、乃木グループに雇われた闘技者、十鬼蛇王馬の世話係となる。
己の最強を証明せんとする王馬が拳願仕合の舞台に足を踏み入れた時、拳願仕合に大きな渦が巻き起こる。

【登場人物】

  • 『阿修羅』十鬼蛇王馬(ときたおうま)
CV:鈴木達央
本作の主人公。
かつて十鬼蛇二虎が創造するも、創設者である二虎の死によって一代で途絶えたと言われていた伝説の武術「二虎流」の使い手。
師である二虎の仇を討ち、自身の最強を証明すべく「拳願仕合」に参加した。
詳しくは項目を参照。

  • 山下一夫(やましたかずお)
CV:チョー
本作のもう一人の主人公にして、(恐らく)格闘漫画では最年長のメインヒロイン(公式)。
乃木グループの子会社である乃木出版に勤務する冴えないサラリーマン。
勤続34年ながら平社員で、会社では年下の上司からいつも小言を言われている。
私生活では妻に逃げられ、長男は引きこもりで同じ家にいながら10年もの間姿を見ておらず、次男は暴走族所属の不良と、重たい家庭問題を抱えている。
会社からの帰宅途中で偶然にも乃木グループの闘技者である駒田と王馬のストリートファイトを目撃したことを切っ掛けに乃木グループ会長の乃木秀樹に王馬の世話係を命じられた。
押しに弱かったり間の抜けたところもあったりするが、根っからのお人好しなため、慕う人物も多い。


◆闘技者

その他の闘技者や拳願会関係者は「拳願仕合」の項目を参照。

◆その他の登場人物

CV:金尾哲夫
東洋電力の会長。

CV:藤原啓治
王馬の師匠。作中の時点では既に故人。

  • 平良厳山(たいらげんざん)
桐生刹那の師匠。
古流武術の一派である「孤影流」の達人で十鬼蛇二虎を殺した男。
師の仇である平良を探し出し倒すことが王馬が拳願仕合に参加した当初の目的だったが、実は本編が開始した時点で弟子の桐生刹那に殺害されていた。
黒木とは友人で、彼によれば弟子思いの男だったという。

  • 秋山楓(あきやまかえで)
CV:内山夕実
乃木会長の秘書。
少しキツめな顔立ちの知的美女で、眼鏡をかけている。
一見クールに見えるが実は人付き合いが苦手なだけ。
ちなみに彼氏募集中で、体重や年齢を聞くと怒る。

  • 松井博史(まついひろし)
乃木出版の営業二課課長で、山下一夫の直属の上司。
上司には媚びへつらうくせに目下の人間には威張り散らす嫌味な性格の持ち主。
山下が退職する際にも嫌味を言っていたが、山下が迎えに来た大屋と義武という大企業のトップ達と親しくしているのを見てビビりまくっていた。

  • 山下健蔵(やましたけんぞう)
CV:平川大輔
山下一夫の長男で、アンダーマウント社の影の社長。
引きこもりで十年近く一切部屋から出てこないが、実は引きこもっている間にネットを通じて事業を興し、アンダーマウント社を一流企業へと育て上げていた。
表向きの社長は太田正彦に任せており、自身は表に出るつもりは一切ない。
拳願絶命トーナメントの代表闘技者に呉一族を雇うが、影武者を立てていた点が呉一族の逆鱗に触れ、呉一族に命を狙われてしまう。

  • 山下康夫(やましたやすお)
山下一夫の次男。
高校を中退して夜遊び仲間と暴走族に入り、上納金のために一夫の財布から度々金を抜いていた。
その後王馬が暴走族100人以上を一人で倒した姿を目の当たりにし、自分とは住む世界が違うことを痛感して更正する。
以降は定時制高校に通いながら建設現場で働くようになる。
一般人のため拳願仕合などについては知らなかったが、続編「ケンガンオメガ」ではある程度の事情を把握していた。

  • 串田(くしだ)(りん)
山下商事の秘書。
乃木英樹の指示により、山下一夫のサポート役兼監視役として山下商事に派遣された。
金田末吉とは顔立ちが似ているせいでよく兄妹と勘違いされる。

  • エレナ・ロビンソン
CV:日高里菜
茂吉の異母妹。
純粋な性格で、兄の勝利をひたむきに願っている。カルラとは歳が近いこともあり友人になった。
かなりの美少女で周囲の男達から狙われているが、その度に茂吉が圧を飛ばしている。

  • 松田智子(まつだともこ)
奏流院紫音の秘書。
栃木ディスティニーランドのマスコットキャラクター「モッキー」の大ファンで、ディスティニーランドの年間パスポートも持っている。
筋金入りの腐女子で、試合よりも選手同士のカップリングを作るのに夢中になっている。

  • 秋山(あきやま)(さくら)
禍谷園の秘書。楓の姉。

  • 馬場道山(ばばどうざん)(ひろし)
超日本プロレス社長。
入門初日に喧嘩を売ってきた関林を半殺しにする。
関林の負けん気の強さを気に入り目をかけていたが、ある日酒の席で暴漢に刺され死亡した。
モデルは『力道山』+『ジャイアント馬場』+『アントニオ猪木』。

  • 蔵地(くらち)駆吾(かるご)
超日本プロレス社長。
元々は原作のヤバ子氏がWEB連載していた「求道の拳」の登場人物。
関林の先輩で前社長であった馬場道山の死後、超日本プロレスの社長に就任した。

  • 暮石光世(くれいしみつよ)
今井コスモの師匠。
元々は原作のヤバ子氏がWEB連載していた「求道の拳」の登場人物。
格闘技の天才であるコスモが一度も勝てたことがないと言うほどの格闘技の達人。
自分の格闘道場を経営する傍ら「六真会館」でも柔術の指導を行っている。

  • ヤク
身長:169cm
体重:62kg
年齢:22歳
誕生日:11月13日
好きな肉:ヤギ
趣味:ヤギ狩り

ネパール人のグルカ兵。
ハル(春男)とは幼馴染で呉一族が一目置くほどの戦闘力を持ち、自分を律することができる人物。
親友だったハルが日本で堕落してしまったことに衝撃を受けたが、東電によるクーデター時にほかのグルカ兵とともに鎮圧に協力した後、春男と再会した。

  • 『雷』御雷渺(みかづちびょう)
御雷零の師で先々代の雷心流当主。
零が殺人拳としての雷心流を否定しようとしていることは現当主の判断ということで黙認している。
恵利央とは若いころに何度も殺しあった因縁の相手だが、現在は互いに一線を引いているためそこそこ穏当な関係に落ち着いている。

  • 『黒い悪夢』因幡丈左衛門(いなばじょうざえもん)
因幡良の祖父。
因幡流の使い手で、老齢ゆえ総白髪だがその強度は健在。
恵利央とは商売敵だが、現在は互いに一線を引いているためそこそこ穏当な関係に落ち着いている。

  • 龍王山(りゅうおうざん)(けん)
大相撲史上初の双子横綱。
鬼王山の兄で、西の横綱である虎王山は双子の弟。
温和で人徳のある性格だが、若い頃は弟と共にかなりやんちゃしていたらしく、クーデターの際には相撲協会に内緒で関取衆を引き連れて鎮圧を名目に暴れ回っていた。
モデルは第66代横綱の三代目『若乃花』。

  • 虎王山(こおうざん)(しのぶ)
大相撲史上初の双子横綱。
鬼王山の兄で、東の横綱である龍王山の双子の弟。
豪快で男気溢れる性格。
若い頃は兄と共にかなりやんちゃしていたらしく、クーデターの際には相撲協会に内緒で関取衆を引き連れて鎮圧を名目に暴れ回っていた。
妻帯者で息子が一人いる。
モデルは第65代横綱の『貴乃花』。

  • ラルマー13世
タイ王国政財界の実質的支配者。
若干20歳にしてその地位を得ており滅堂とも対等に渡り合える大物だが至ってフランクな性格をしている。
ガオランの上司だが公私共に付き合いがありハサドとも友人関係で、交友のあった八頭貿易社長の飯田の依頼でガオランに絶命トーナメント出場を命じた。

  • 阿久富士夫
ニット帽を被った男。トーナメント出場枠を狙って今井コスモを襲撃し、スタンガンを用いるが返り討ちに遭う。
金のためなら何でもするが、奇人揃いの東電の襲撃組6人の中では一番の常識人で、単行本のおまけマンガでは、事前に他のメンバーと顔合わせした際は他が変人ばかりであることへのツッコミ役を担っていた。

古流柔術「臥王流」最後の継承者でかつて圧倒的な武力で不法占拠区「中」の統一を目論んだ男。
30年間孤軍奮闘を続けても野望を達成できなかったため、野望を次世代に託すべく「中」の身寄りのない子供達を弟子に取り、全員に「十鬼蛇二虎」の名を与える*1
その後奥義の伝授を行うために向かった餓鬼ヶ原樹海で起きた惨劇で弟子の大半が殺され、自らも姿を消す。

用語

【拳願仕合】

個別項目を参照。

不法占拠地区

1868年前後、東京近郊に形成された不法集落。通称(なか)
東京23区の形成前に出現した非公式の第0区というべき地区だが、20世紀になると日本政府も事実上統治を放棄している。
そのため実情を知られないように国の情報操作で広範囲に有毒ガスが発生しているため住民はごく少数ということになっているが、実際は48.77㎢の土地に違法増築による巨大な要塞都市が形成され、推定20万人が生活している。
真相を知るのは政府関係者とこの地区の出身者、裏社会の人間、地区と隣接する地域の一部の住民のみとなっている。
完全な無法地帯で法律は存在しないため、治安は最悪で様々な犯罪行為が蔓延っており、暴力ですべてを奪い合うためヤクザですら中に入ることを躊躇する。
内部は計10の地区に分かれており、それぞれ「一龍(いちりゅう)」「二虎(にこ)」「狼弎(ろうざ)」「四亀(しき)」「五熊(ごゆう)」「六蟲(りくこ)」「七王馬(しちおうば)」「八鷹(はちおう)」「九蜘(ぐち)」「十鬼蛇(ときた)」と地名がある。中でも六蟲と十鬼蛇は屈指の無法地帯とされる。
住民全員が無法者というわけではなく、あまりの無法地帯ぶりに嫌気がさして非合法に戸籍を手に入れて外に出ていく者もおり、そうした者達は「中」のことを忘れたがっていることが多い。

詳細は個別項目を参照。


呉一族

『禁忌の末裔』の通称で恐れられる、金次第でどの勢力にも与する暗殺者の一族。
詳細は個別項目を参照。


【その他】

日本裏格闘技界で拳願仕合に次ぐ第2位の規模を誇る団体。
本編では名前のみの登場で、続編『ケンガンオメガ』より本格登場。

  • 毘沙門(ビシャモン)
拳願仕合、煉獄に次ぐ日本裏格闘技業界3位の規模を誇る団体。
根津が絶対王者として君臨していた。

  • デスファイト
ヤクザが主催しその資金源とされる裏格闘技団体。
武器の使用が認められており、かつて桐生とその師匠が参戦していたが、桐生によってめぼしい選手が全員殺されている。

  • その他裏格闘技団体
日本裏格闘技界には西日本を拠点とする「UNDER GROUND-1」、ルールの過激さは業界随一とされる「殺戮武闘会」など多くの団体がある。

  • 超日本プロレス
毎年ドーム大会を行なっている有名プロレス団体。知名度こそ高いものの、インディーズ団体なので、経費節約で大会のリング設営なども基本的に自分たちで行う。他団体のリーグ戦にも参加する他、毎年約1か月かけて日本中でデスマッチ部門とストロングスタイル部門のリーグ戦を行う「全国巡業」を興行している。
非科学的とも思えるスパルタトレーニングが伝統で、準備運動という名の厳しい基礎トレーニング*2を行った後、「粘りのある筋肉」をつけるために時間無制限でスパーリングを失神するまで続け、体を作るために肉と米メインの大量に食事を摂らせ、体が受け付けなければミキサーで液状化させて流し込む。


【アニメ】

2015年にマンガワン誌内のアニメ化権をかけた読者投票でぶっちぎりの1位を獲得。2017年12月にアニメ化が発表され2019年7月にNetflixにPart1として山下と王馬の出会い~目黒vsムテバ戦までを描いた12話、同年10月にPart2として関林vs鬼王山戦~王馬vs雷庵戦までを描いた12話が配信された。
一部原作からカットされている描写はあるものの、3Dアニメの特性を生かし、プロ格闘家のモーションも取り入れた格闘シーンは必見。
更にトーナメントの演出も派手でエンタメ色が強いものとなっており、トーナメント出場闘技者32名の入場テーマ曲が個別に用意されている力の入れようである。
2020年1月より地上波でも放送開始。


【余談】

原作のヤバ子氏がWEB連載していた「求道の拳」第一部の7〜8年後の設定であり、同じく連載中の「ダンベル何キロ持てる?」とも世界観を共有しているため一部の企業や人物も登場している。
つまり、ダンベル世界のギャグ空間の裏では血で血を洗う闇格闘技が存在し、ドラッグ、暴力、売春と言ったあらゆる欲望が溢れる無法地帯「中」が存在しているという事である。
逆に言えばケンガン世界の裏では食った分だけ身体が大きくなる女子高生闘技者顔負けの筋肉の持ち主が日夜トレーニングに励み、テレビ出演したり幽霊と遭遇したり筋肉でタイムスリップしたりしているということでもある

しかしコラボ回では概ねケンガン側のキャラのほうが常識人になる。シルバーマンジム濃すぎる。


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最終更新:2024年04月14日 19:52

*1 これは「中」の人間であることを印象付けると同時に1人のカリスマとして伝説を作るという目的がある。

*2 5mのロープ登り20往復、プッシュアップ1000回×3セット、ブリッジ1時間、ヒンズースクワット10000回。