概要

札幌都市圏は戦後、北海道でも有数の大都市通勤圏を構築しながら発展してきたが、それに伴い鉄道の利用客も年々増加傾向にあった。
北海急行電鉄としても1970年代以後、輸送力増強に対応すべく設備投資を行ってきたが、ことに特急列車においては2扉の車輌が使用されていたことで混雑に対応できず遅延が発生するといった問題を抱え込んでいた。

こうした状況の中北急は、特急として運用されていた5000系の後継とすべく新形式車輌の開発に着手、
2002年より営業運転を開始した。これが6000系である。北急の特急形車輌として初めてVVVFインバータ制御を採用している。

先述の通り沿線の宅地開発にあわせ特急利用者の客層がそれまで観光客主体であったのに対して通勤利用者が増え、
ラッシュ時に2扉車両では乗降に時間がかかったため、一般席の車両については3扉の構造とした。
ただし特別車両は着席定員確保のため、従前通り片側2扉としている。


車体

車体外板の塗装はアイボリーを基本としており、それまでの慣例に従い特急用形式を意味するスカーレットのデザインが配された。
しかしデザインに関しては大幅に見直され、窓周りはスピード感を演出すべくブラックで塗装され、その下にスカーレットの帯を引いた。
また車体肩部分から前面部分にかけてもスカーレットの帯を配したほか、車体裾部分はカカオブラウンとして全体のイメージを精悍なものとしている。
なお車端部にはキタキツネをモチーフとしたシンボルマークを配置している。

車体構造は従前通り普通鋼を用いているが、骨組みや戸袋部分など強度が必要な部分にはステンレス鋼を採用している。
車体長は17500mmとしているが、先頭車については運転室面積を広く取る都合上18100mmとされた。
このため連結面間の距離は先頭車18640mm、中間車18140mmとなっている。

出入口は、先述の経緯から特別車が片側2箇所、一般車は片側3箇所とされた。
扉の幅はそれぞれ特別車1150mm、一般車1300mmである。

車内設備

編成苫小牧方向に位置する特別車両は室内にシートピッチ1080mmの回転リクライニングシートを、
それ以外の一般車両はシートピッチ900mmの転換クロスシートを基本としている。
ただし一般車の車端部はラッシュ時の詰め込みを考慮しロングシートとなっている。
また、空港連絡列車に使用することを想定し、一部の固定座席は座面を上げて荷物置場にできる構造となっている。
座席はいずれもグリーン系統のジャガード織り(模様入り)で、枕カバーは一般席が赤色、優先席は灰色系で区別している。

特別車両の出入台付近はデッキ式となっており、編成先頭に位置するモロ6100形の後位側には自販機とカード式電話が、続くモロ6200形の後位側には洋式便所と洗面台が設けられている。
また、サハ6300形の前位側貫通扉には特別席である旨の表記がなされている。

側窓はすべて濃色グレーの熱線吸収・複層ガラス構成とし、結露防止と空調の効率化のために全てが固定窓である。カーテンにはベージュ系色の横引き式プリーツカーテンを設置する。
なお、全ての窓が固定式のため、非常時の換気用に各車2台排気扇を設置している。

貫通扉は各連結面に設置しており、側扉については室内側は化粧板仕上げ、ドアガラスは側窓同様のグレーの複層ガラスである。
LED文字スクロール表示による車内案内表示器は側扉上部に設置されている。

走行機器

制御装置は、IGBT素子を使用した2レベルPWM制御器(三菱電機製、1C4M×2群制御)を搭載する。また主電動機についても連続定格出力190kWのものを搭載している。駆動方式は実績のあるWN式を採用し、

台車は密閉式コロ軸受けを備えたモノリンク式ボルスタレス台車としたが、高速運転に対応するためヨーダンパを搭載する。

運用

6両固定編成であり、基本的には単独で石狩市~札幌~苫小牧間ならびに石狩市~札幌~定山渓温泉間の「特急」および石狩市~札幌~新千歳空港間の「空港特急」の運用にあたる。
土休日には夕張鉄道への直通運用にも使用されるほか、多客時には2両編成の一般車両を増結し、8両編成で運用されることもある。

主要諸元

最大寸法:18640×2840×4100mm(M1sc/M2c)、18140×2840×4100mm(M2s/M1)、18140×2840×4070mm(T1/T2)
空車重量:M1sc=35.8t、M2s=36.0t、T1/T2=30.5t、M1=35.9t、M2c=35.4t
出力:190kW×4/両
駆動方式:WNドライブ
歯数比:5.60
制御方式:VVVFインバータ制御(IGBT、1C4M×2群/両)
制動方式:MBSA-R(回生併用電気指令ブレーキ)
台車:HKN-02M/HKN-02T
製造:日本車輌製造・川崎重工業

編成図

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最終更新:2013年01月18日 00:18
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