ニャルラトホテプ

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ニャルラトホテプ - (2014/01/28 (火) 09:32:39) の編集履歴(バックアップ)


小説家・ ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説クトゥルフ神話などに登場する邪神。
日本語では他にナイアーラソテップ、ナイアルラトホテップ、、ニャルラトテップ、ナイアーラトテップなどとも表記される。
這い寄る混沌での名前の元ネタともなっている、クトゥルフ神話(「クトゥルー神話」「ク・リトル・リトル神話」とも)に登場する。
旧支配者(オーガスト・ダーレス*1の分類による)の一柱。人間には及びもつかない高次元の宇宙生命体と言うか、所謂邪神。
ただしTRPGなどでは後述するアザトースの眷属という意味で「外なる神々」、つまり「蕃神」として扱われ、
旧支配者とはそれ以外の邪神的存在の事。
クトゥルフ神話の原作者たる「御大」ことハワード・フィリップス・ラヴクラフトの短編『ナイアルラトホテップ』で初登場する。
英語の綴りは「Nyarlathotep」。その名前の内、「ニャ(Nya)」は西アフリカの部族の間で使用される神の接頭語、
「ル(R)」は古代エジプト語で「呪文」、「アト(at)」は「瞬間」という意味であり、「ホテップ(hotep)」は「満足する」という意味だという。
その為人間に名前を呼ばれるようになったのは古代エジプトからだと言われている。
実際「顔のない黒いスフィンクス」と言う異名もある。
ただし人間が名付けたとされるこの考えでは本質的にナイアルラトホテップの名前を表している言葉かどうかは分からないと言う。
と言うか、そもそもクトゥルフ神話の怪物の名前は人外の言葉を強引に人間の文字にしたと言う設定なので
正しい発音というものがなく(人間では正しく発音できない)、元ネタの名前が統一されていないのもその為。

モデルはラヴクラフトが夢で見たと言う、エジプトから現れたナイアルラトホテップと言う人物で、
作品では「暗黒の男」として登場している。
ナイアルラトホテップは様々な文明の地を訪れて、不思議な器械を組み立て、電気学や心理学を中心として
科学について多くを語り、各地で公演を行なった。
だが、その者が訪れる先では平安は消え去り、人々は凄絶な悪夢に苛まれるようになった。
その夢があまりにも恐ろしかった事から、最後ら辺をちょっとずつ手直しして、
(かなり救いの無い)結末を書き加えて短編『ナイアルラトホテップ』を発表したと言う。

一応主従関係として全能であり宇宙創造の力を持ちながら盲目白痴でもある「アザトース」に仕えてる。
(そもそもこの世はアザトースの見ている夢に過ぎないと言われている)
場合によってはアザトースの子とも言われており、同じくアザトースから生まれた「シュブ=ニグラス」や
「ヨグ=ソートス」とは兄弟であるとされる事もある。
他にも「イホウンデー」を妻とし、従姉妹に「マイノグーラ」と言う存在がいたりと、中々関係が広い。
ただ仕えてると言う割にはあまり敬ってる様子は無い、と言うより人間はもとより他の旧支配者達をも嘲笑いし続けている。
それもあって、他の旧支配者が再び地球を支配しようとしたりする中、こいつの目的とは殆ど世界の混沌が目的のようである。
後にクトゥルフ神話がラヴクラフトの友人であったダーレスによって体系づけられた後は
“地”の属性を持ち、火の精と対立する事になった。
特に火属性に設定された旧支配者「クトゥグア」は天敵とされている。
基本的にナイアルラトホテプはクトゥルフ神話中でも最強に近いとされる神性なのだが、クトゥグアと戦うのは少々分が悪いらしく、
追い詰めようとしていた人間がクトゥグアを召喚することに成功した際は、人間を取り逃がしたうえ棲み処を完全に焼き払われている。

ダーレスの見解によれば、他の旧支配者が封印されてたりして身軽に動けない中にあって、
何故か唯一拘束されている描写が無い存在でもあり、他の旧支配者の場合が、人間の方から首を突っ込む事で
存在を確認出来る場合に対し、殊更自分から人間に関わる事が多い。
後にロバート・ブロック(『サイコ』の原作者。ラヴクラフトのファンであり、生前の御大と交友を持っていた)の
長編『アーカム計画』では舌まで真っ黒な黒人のナイ神父の姿を取ったり、科学者として核兵器開発に携わったりしたと言う。
もちろん人間同士の諍いを煽る為であり、こいつを始めとした旧支配者達を核ごときで倒せると思ってはいけない。
TRPGでは倒せなくもないがその場限りに過ぎないとある。
尤も原作(ラヴクラフト版)の『クトゥルフの呼び声』でのクトゥルフは、蒸気船の体当たりで引き裂かれてしまったが。
(ただし、死んではおらず、数秒後には自己修復を開始している…え?『アーカム計画』では核で死滅してた?言うな)

ここまで読めば分かると思うが、クトゥルフ神話に登場する他の存在が
「目で見ただけで正気を失う、深海に封印されたそいつが地上に姿を現しただけで、
 感受性のいい人間たちは毒電波を受け取り発狂しちゃう」と言う良うな出落ちじみた連中がごろごろ居る中で、
殆ど唯一 「人間と同じ価値観、言語を解し、少なくとも言葉による意思の疎通が出来る」 と言う非常に希有な存在であり、
その人気はクトゥルフ神話の中でも類を見ない程高く、後述にある作品でも様々な姿を取りながら登場している。
ラヴクラフトは中国文明に敬意を持ち、俳句を高く評価していたなど、アジア文化に興味を抱いていたと言われるが、
その俳句の故郷で、恐怖の体現のような存在がかような姿をするとは、恐らく想像だにしなかったろう。
ニコニコ動画内にも「ラヴクラフト最大の誤算」なるタグも大百科に存在するし、日本人の妄想想像力と言うのは凄い物である。
タグ検索すると出るわ出るわの愉快な動画
※動画視聴の際はSAN値チェックを忘れずに!
とは言え人と同じ姿をしてるからと言って理解し合える存在とか思ったりしてはいけない。
「千の貌を持つ者」「無貌の神」と言うの異名の通り、この人間の姿も無数ある顔の一つであり、
本質は 人間の理解の届かない超常の存在 である事を忘れてはいけない。
無数の姿がある中でたまたまそういった性質を持った貌があるにすぎないということであり、
その中のナイアルラトホテップの方に、自身と比べればあまりにも下等な人類に 合わせてやる 酔狂があるだけ。
と言うか、直接手を下すより自滅させて嘲笑うのが好きなため、態々回りくどい事をしているのが真相。

「輝くトラペゾヘドロン」で呼び出される「闇をさまようもの」の姿では
黒い翼と三つに分かれた燃え上がる目を備える、巨大な滲みか煙のように見え、
その光景が作中の召喚者の最期に見た物であったり*2、米国ウィスコンシン州中北部、
リック湖の周りに広がる「ンガイの森」にて登場した「夜(月)に吠ゆるもの」の姿は絶えず流動状態にある、
黒い無定形の原形質状の巨大な塊で、膨れ上がったり縮んだりする本体からは自在に鉤爪、手、触腕が伸び縮みしており、
顔のない円錐形の頭部と絶えず、半分獣じみた低い吠え声を発しているというかなりおぞましい姿を曝け出したり、
果てはコンゴ川上流に現れた「アフトゥ」は、生物でも物体でもなく、様々なものに働きかけてそれを己が肉体と化し、
最終的には地球そのものと同化、さらに他の天体へと広がってゆく“混沌”を、非常に明瞭に体現した存在として描かれた。
この他にも機械や方程式と言った姿さえ存在する。混沌もここに極まれりと言った所か。
また、ニャルラトホテプに信仰と贄を捧げ無数の貌の一つになった魔術師もいるとか。
ちなみに儀式用の呪文はこちら。
(前述の通り人間の文字で書かれたこの呪文は正確ではないのだが、面白半分に唱えて偶々正しい発音をしてしまったとしても責任は持ちません)
 にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな! にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな!

もっと詳しく知りたい人はラヴクラフトの作品なら『ニャルラトホテップ』『未知なるカダスを夢に求めて』
『魔女の家の夢』『闇をさまようもの』。ダーレスの作品『闇に棲みつくもの』。
R・ブロックの作品『無貌の神』『闇の魔神』『暗黒のファラオの神殿』『尖塔の影』『アーカム計画』を
読んでみてはいかがだろうか。

+ 他の世界のナイアルラトホテップ(ネタバレ注意)
  • 古本屋の女店主。物語の全ての黒幕であり、目的成就のあと一歩までこぎつけたが 主人公がロリコンだったせいで敗北した。
    その正体はほぼ原典通り。他にもナイ神父の姿でも登場している。
  • 惑星保護機構の職員で宇宙CQCの使い手。この場合は種族名でありニャルラトホテプ星人のうちの一人と言う扱い。
  • 宇宙からの侵略者。シリーズ通しての乱獲対象。
  • 人の無意識が作り出した悪意や破滅意識を煽る意識的存在。それ故、この作品では人間こそアザトースという扱いであったりする。
    (1ではこっそりボスとして、2では物語の黒幕及びラスボスとして登場。ちなみに古本屋の女店主と同じように、ゲーム中では普通にショップ店員をやっていたりする)
  • スチームパンク作品の主人公の片割れ。シリーズ通して暗躍する「結社」のエージェントで、ドSの上に外見は完全にマフィア。
    しかしヒロインが余りにも漢前なためユーザーからは満場一致でヒロイン扱いされる(正体は作中に登場する異界の主)。
  • 女性の姿をしたナイアルラトホテップとして作られたMUGENオリジナルキャラクター
    巨乳シスター。
  • ボディビルダー魔法少女(♂)の敵。色々と策を講じて暗躍するものの享楽的で結構迂闊。

なお2013年にNitro+が用意したエイプリルフールネタによるとこんな感じ。
すべての、とか言いつつ『エンジェルフォイゾン』のニャアくんも、『妖神グルメ』並びに『邪神迷宮』の内原富手夫も、
『黒い仏』のみろくさまも、『秘神黙示ネクロノーム』のスートもいない超片手落ちと言いたい所だが

ここに描かれているのは代表15作品で、あと985の参戦作品があるらしい。
そもそもキャッチコピーの「すべての千の貌が、ここに集う。」は、
デモンべインが参戦したスパロボUXのキャッチコピー「すべての可能性が、ここに集う。」のパロディなので、
突っ込むのは野暮もいいところである(サイト構成もスパロボ公式サイトのパロ)。
そんなにスパロボに参戦出来たのが嬉しかったんですか


MUGENにおけるナイアルラトホテップ


最新版は2014/1/27
幽霊荘氏によって作成された。
無貌の神だけあって様々な形態に変身できる。フォームチェンジとタイプチェンジがある。
フォームチェンジは武器が変わるが体格はノーマルフォームと変わらない。
+ ...
(各フォーム解説
  • ノーマルフォームは格闘技で戦う普通のフォーム。タライを降らす妙な技もある。
  • 6+xでウィップフォームに変身できる。攻撃範囲が広がる。
  • 4+xで大きな輪がついたトリガーフォームに変身できる。様々な飛び道具が使える。
  • ゲージが3の時に2+xでチェーンソーフォームに変身できる。チェーンソーを振り回す攻撃が主だが、バイクに変身する技もある。
  • 6+zでクラゲ&チビラトホテプモードに変身できる。
    ノーマルフォームの半分くらいの大きさ。そして相手にまとわりつくクラゲを召喚する。
    a、b、xのボタンでクラゲを操り、yでチビラトホテプを操る。クラゲは相手の体力を吸収できる。
4+zでチクタクモードに変身できる。
ゲージを消費して相手の動きを遅くしたり、相手を補足し相手がどこにいても攻撃を当てることができる。
  • 2+zを押し続けて神父&モノノケモードに変身できる。ボタンを話すと元に戻る。
    モノノケを操って攻撃できる。この間ニャルラトホテプは操作できない。
  • 空中でzを押すことでミツマナコモードに変身できる。
    常に宙に浮いており、しゃがみ攻撃などが当たらない。
    移動スピードが異様に早く、光弾を沢山放って攻撃する。
また、同氏のクトゥルフACTにも別仕様のニャルラトホテプが登場する。

出場大会

  • 「[大会] [ニャルラトホテプ]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
なおこのダーレス、クトゥルフ神話をヒット作にのし上げた実績はあるものの、
「一般受けするようにと安っぽく改変した」とラヴクラフト原理主義者な一部ファンからの批判を受けている人物でもある。
……というのが割りと一般的な認識だが、事実は違う
ダーレス本人はラヴクラフトと直接の面識があり、ラヴクラフト自身も様々な設定やシェアードワールドを公認していた。
そもそもからしてラブクラフト自身、『ダニッチの怪』などで「科学の力で邪神に立ち向かう人々」を描いており、
ダーレスはクトゥルフ神話の認知を高めるため「オカルトアクション」の側面の強い作品を多く執筆した、というだけである。
(作家の山本弘氏も、TRPG関連の著書にて上述の誤解を前提に氏をボロクソ言うという恥知らずな有様であった)

そんなわけで用語を流用しても著作権問題にはならないと言う事で、上述した様に多数の作品に這い寄る混沌が登場している。
また魔導書『ネクロノミコン』があちこち作品に出てきた事で「世界一有名な 架空の 魔導書」と言う肩書きが付いてたりもする。
(「実在する魔導書」なら『死海文書』とかアレイスター・クロウリーの著書とかが有名。)
そしてそこからクトゥルフ神話に興味を持つ人間が出てくると言う話になる。ぶっちゃけコミケが黙認されているのと似た様な話。

なおTRPG版では四属性は「宇宙的恐怖にふさわしくない」(地水火風なんて地球レベル)として不採用になっている。
逆にこっちとかでは大方採用している。まぁ「好きにしてね」が基本だし。