ニャル子


「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプ、です!」

逢空万太氏原作のラヴクラフトコメディライトノベル『這いよれ!ニャル子さん』の主人公。
ドラマCD、アニメにおける担当声優は 阿澄佳奈 女史。
また挿絵担当の狐印氏は、クトゥルー神話TRPGリプレイ『るるいえあんてぃーく』シリーズの挿絵も担当している。
なおクトゥルー神話は「クトゥルフ神話」「ク・リトル・リトル神話」など正確な発音が出来ない故に表記揺れがあるため、
本項目では『ニャル子さん』にあわせ「クトゥルー神話」とする。

一見銀髪の美少女だが、その正体は這い寄る混沌や無貌の神など数々の異名を持つニャルラトホテプ
……の元ネタになった地球外の種族。つまり宇宙人。
『ニャル子さん』の作中ではラヴクラフトらクトゥルー神話の創作家達は宇宙人達を見てそれをモデルにした小説を書いた
……という設定であり、ニャル子自身はクトゥルー神話に登場するニャルラトホテプとは明確に別物で、神でもない。
ニャルラトホテプ、クトゥグア、ハスターなども個人ではなく種族の名前となっており、ニャル子はニャルラトホテプ星人の少女である。
当人もクトゥルー神話で描かれているニャルラトホテプを引き合いに出して「自分はあれほど性格悪くない」そうである。

ニャルラトホテプ星人の種族特性としてその姿は本来自由自在であるが、SAN値が削れるような姿よりもこの姿を好んでいる模様。
自由自在であるため、特に「正体」と呼べるようなものはなく、ニャルラトホテプの化身同様に様々な姿の全てが「本来の姿」である。
また本名は別にあるのだが地球人には発音が困難な上、それを知る事は「男女のお付き合いを深める意味を持つ」ため、
対外的には種族名と護衛対象の名字を勝手に流用して「八坂ニャルラトホテプ」というかなり無理のある名前で通しており、
愛称としてニャル子と呼ばせている。さらにニャル夫という兄がいる。

ツンデレヒロイン(誤記にあらず)の八坂真尋ラブで、事あるごとにアプローチをかけてはスルーされたり、
激しいツッコミ(主に発生0Fのフォーク攻撃)を入れられている。
本来は宇宙にある公共組織・宇宙連合にある惑星保護機構のエージェントで、真尋との出会いもその任務の一環なのだのが、
その実彼に一目惚れしており、任務終了後も有給消化やら部署異動やら理由を付けて半ば強引に八坂家に居着いている。
地球の娯楽を非常に好み、アニメ、ゲーム、漫画等の所謂オタクメディアにはかなりの造詣の深さを持つ
本作における地球及び地球人類は
「強大な能力や超科学力を持たない代わりに、宇宙中で唯一素晴らしいエンタテイメントを生み出すことが出来る」という設定であり、
エンタメを生み出すことが出来ない他宇宙人達にとっては地球(特に日本)産のエンタメは全宇宙垂涎の的であるらしい。
そしてそれ故に文明後進星である地球は狙われ、かつ保護対象の不可侵領域として定められ、エンタメの輸出入は激しく制限されているとか。


常にテンションが高く、その場のノリで生きているような言動をしている。口数も多く、真尋への好意を隠そうともしない。
本気で真尋を問い詰める際や風邪をひいて咳をするときにさえ発言にネタを混ぜるほどの生粋の芸人体質であり、
真尋の的確なツッコミにも満足している(あまりにもネタ過多なので気付かれなかったりスルーされることも多いが)。
ツッコミやネタに走るときに口調が荒くなることはあるが、基本的に常に丁寧口調で喋る。
護衛対象である真尋や上司に対してはもちろん、クー子やハス太達幼馴染相手の時も、独り言さえも丁寧語なので、
これが素の口調であるらしい。

また「残忍で破壊的な性格がチャームポイント」と自称するだけあって、
他人に暴力を振るうことには一切躊躇が無く、勝つためには手段を選ばない。
一度敵とみた相手はえげつない攻撃と圧倒的な戦闘力で笑いながら一方的に原型が残らないほどボコボコにする。
少なくとも幼稚園の頃からその性格は変わっておらず、兄や幼馴染み達は昔からその被害に遭い続けていた。
小学校時代には問題児扱いだったなど、宇宙的視点から見ても性格が悪いようだ。

しかし同時にそのころから成績はトップクラス、名門高校に特待生で入学、有名大学を主席卒業など、
学歴的にはかなりのエリートであり、誰も文句が言えなかったらしい。
現在も公務員で貯蓄も充分、おまけに宇宙中の憧れである地球文化に浸れる役得付きと嫌味なほどに勝ち組コースである。
しかも一応は正義側のポジションで職務も真っ当にこなしているのだから始末に負えない。
ついでに乙女座なので星座カースト的にも勝利が約束されている。
本来なら違法な筈の地球文化の密輸を職権乱用でやらかし、「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」とのたまったことも。
ただし上司には頭が上がらないようである。

戦闘スタイルは「宇宙CQC」。

+ 宇宙CQCとは?
小学校教育向けの教本も出ている宇宙的にはポピュラーな格闘術らしい。
ただし教本の序文に「あなたがうちゅうCQCだとおもうものがうちゅうCQCです」とあり、明確な定義は無い。
さらに「相手の同意を得られるとは限らない」とまで書かれてる。
そのため武器に手榴弾を使おうがビームを出そうが馬乗りになって石で殴りつけようが根性焼きしようが機動砲台でオールレンジ攻撃しようが、
本人が宇宙CQCだと言い張ればそれは宇宙CQCなのである。
また格闘術のはずなのに何故か「宇宙CQCジャマー」で無効化できたりと謎だらけである。

メインウエポンは「名状しがたいバールのようなもの」。その名のとおりバールのような何かである。
「名状しがたい」はずなのに「バールのよう」と名状しているが、
元ネタの「名状しがたきものハスター」からして(姿形を含め)名状されているので気にしてはいけない。
あくまでも「ようなもの」である。
使い方はまあ、お察しの通り。とりあえず物凄く頑丈であり、常に背中に二百数十本ストックしてあるらしく消耗戦にも強い。
その他「冒涜的な手榴弾」「口にするのもはばかられる対艦チェーンソー」といった、
お前とりあえずそういう形容詞付けとけばクトゥルーっぽいと思ってるだろ的なネーミングの武器を多数所持している。
武器の他にきちんと体術や体ひとつで使える必殺技も習得しており、
例えばビームを拳から至近距離で発射する技「まったく原始的でかつ恐ろしいまでに先祖伝来のものである中距離型ビームパイルバンカー」は、
地面越しに射っても地下にいる邪神数体を一瞬で消し飛ばすほどの威力がある。
また武器以外にも「厳めしくも恐ろしい不凍ペプチド」「水陸両用車両ネフレン=カー」「アトラック=ナ茶」など、
しょうもない駄洒落アイテムを色々と隠し持っている。

この姿のままでもナイトゴーントを素手で瞬殺できるなどかなりの戦闘力を持つが、
ボスクラスの敵と本気で戦う際には「フルフォースフォーム」と呼ばれる形態に変身しさらに強大な力を発揮できる。
ニャルラトホテプ星人の各個人が一番強いと思える姿がこれであり、ニャル子の場合は漆黒のスーツを纏った特撮ヒーロー然とした姿となる。
どう見てもナイトブレイザーです。本当に(ry
一応、元ネタはニャルラトホテプの姿の1つである「燃える三眼」である。
元の少女形態とは体格まで完全に変わっており、共通部分は骨格ぐらいしかないらしい。
フルフォースフォームへの変身、及び変身後の攻撃は「宇宙CQCエンハンサー」になるようだが、宇宙CQCとどう違うのかは不明。
強いて言えば前述の宇宙CQCジャマーによる無効化が通用しない

ちなみに上記の「あなたが宇宙CQCだと思うものが宇宙CQCです」は、2chライトノベル板におけるライトノベル定義のパロディ。

他にも長いアホ毛が邪神レーダーになったり生体時間加速を行うことで超常的な速度で行動したりと、
どこかで見たような能力を色々持っているが、大体は都合のいいときに思い出したようにしか使わない。

種族の例に漏れずクトゥグアを苦手としており、特に求愛までしてくる異端児である幼馴染のクー子のことは毛嫌いしているが、
その割には普段から彼女と一緒に携帯ゲームやらトランプやらくだらない賭け事に興じていたり、
仕事の話では利害は抜きで真面目に会話しており、戦闘時にも息のあったコンビネーションを見せている。
「ふざけた事言ってっと本気で絶交しますからね」と発言しているあたり、少なくとも現在はそれなりに友情を感じているらしい。
むしろ隙あらば変態行動に走ってくるクー子と未だに絶交しないとか凄く心が広い気がしないでもない
性格ゆえに友達が少ないことを本人もマジ泣きするほど気にしているので、今更幼馴染みを失いたくはないのかもしれない。
ちなみにうっかりクー子の求愛フラグが立たなかった場合、「小学校時代にクー子と本気の殺し合いになって相打ちで死亡」
というとんでもないバッドエンドが待ってたりする。

大卒で既にある程度実績を上げている公務員であることを考えると、
実年齢は地球人換算で少なくとも20代後半以降と思われるが、本人的にはそのあたりは触れてほしくない部分らしい。
そこを突っ込まれると、たとえ真尋相手でも同い年であるクー子と協力し実力で脅迫にかかるという、普段からは考えられない行動に出る。
惑星保護機構の有給が数百年単位であったりするため、実年齢が真尋より年上なのはほぼ間違いないのだが、まあ宇宙人故致し方なし。

あっちの戦闘力の方はイラストではそんなに無いように見えるが、演出としてわざと着痩せするようにしてあるらしく、
真尋によれば中々のものらしい。少なくともクー子より立派なものの持ち主。
本人曰く「小さすぎず、かといって下品にならないくらいの大きさを意識した」ようである。
ただし何度も言うように外見は自在に変化させられるため、あまり議論する意味は無い。
なにせ、幼稚園時代は顔にモザイクかけないと地球人は発狂しかねない容姿だったし。
ちなみに公式スピンオフ漫画『這いよれ!スーパーニャル子ちゃんタイム』ではやや巨乳気味のサイズで描かれている。

真尋はクトゥルー神話作品の印象もあり、美少女の姿でも内面は得体の知れない宇宙生物である彼女が信用し切れないようだが、
ニャル子視点の短編ではどうやら彼女は下心はあっても全く裏はなしに本気で真尋を慕っていることが窺える。
彼に気に入られるための行動には一切妥協せず、彼の側にいるためならば惑星保護機構を辞する覚悟さえ見せるなど、その一途さは真尋も認める所である。
尤も、真尋が自分のものにならないなら殺してしまいたいくらい愛している事も示唆されていたりするが
(ある事情でニャル子の人格をベースにしたロボットがそんな事をのたまった。
 ニャル子の人格を突き詰めまくった結果なのでニャル子本人はそこまでは考えていないかもしれないが)。
ただし、クトゥルー神話におけるニャルラトホテプという神性は、相手を嘲笑うという目的のためならば、
自身の記憶や性格を操作する程度は平気で行うため、未だに一部の読者から本心を疑われている部分もある。
そもそもニャルラトテップの異名の一つは「千の貌を持つ者」(この場合の「貌」は外見だけでなく内面も指す)である。

逆に言うと、決まった形のない宇宙人であるという点と性格の難点とクー子とかアト子とかの厄介なオプションまで付いてくる事を除けば、
美人でスタイル抜群で強くて稼ぎが良くて一途でオタクで料理も上手いちょっとエッチなお姉さんと、かなりの高スペックである。
……しかし、真尋も最早慣れてしまったらしく、ある事情で性格の難点が全て取っ払われた際には激しく違和感を感じており、
最終的にはいつものニャル子じゃないと駄目だと認めてしまった。順調にSAN値が削れていってる

+ 『這いよれ!ニャル子さん』という作品について
本作はクトゥルー神話の旧支配者を、あろうことか萌え化するという、
本場海外ファンからすれば恐るべき発想の転換から登場した作品である。
日本のクトゥルー神話ファンをして曰く、ラヴクラフト最大の誤算の最たるものとまで称される。
作中では先述の通り、クトゥルー神話は作家達が実際に遭遇した宇宙人達をモデルに作られた話であるとされており、
元ネタとなった宇宙人達は種族として(例えば「ニャルラトホテプ星人」のようなノリで)宇宙に多数存在しているという設定になっている。
そんなわけで旧支配者やその眷属、旧神に至るまで漏れなく萌えorギャグ化されており、
以前からあった現象とはいえ旧来のおどろおどろしいクトゥルー神話の在り方を根本的に覆した、
ある意味ではクトゥルー神話界隈の異端児にして革命児ともとれる。
電波娘なニャル子をはじめ、クトゥグアは脳味噌固形燃料な百合娘になり、ハスターは男の娘になり、
シャンタク鳥はマスコット化と、元ネタを踏襲しながら原形が見当たらないまでもアレンジがなされている
(そこかしこに散らばるライダーネタ円谷ネタの数々、アニメ第二期のタイトルなどある意味ド直球というか…)。

筋書きは毎回宇宙的な事件が発生しニャル子らが出動、しかし規模の割にあまりにも即物的すぎるボスの目的や、
どうでもいい箇所からの伏線でしょうもないオチがつくという偉大なる様式美コメディであり、
むしろ本筋よりも守備範囲が広すぎるパロディネタを楽しむ作品であるという意見も強い。
尤も細部には非常に濃いクトゥルーネタが散りばめられているので、
それを飲ませるためにパロディをオブラート代わりにしてる面もある。

そもそも『ニャル子さん』という作品のストーリー自体は、典型的クトゥルー神話諸作品のそれと全く同一である。
つまり怪奇な事件に巻き込まれた探索者が、邪神と接触して禁断の知識を増やし、何とか状況に対処しようとする一方、
無力な人間の力だけでは及ばず、邪神を頼るうちに魅入られ、やがて完全に正気を失って籠絡されてしまう……。
これにラブコメとパロディを某ラーメン○郎並にマシマシでトッピングしまくったのが御覧のあり様。

前述通りコアなクトゥルーファンでさえ出典を探すのに苦労するネタが多いのも『ニャル子さん』の特徴で、
原題の『夢見るままに待ちいたり』がクトゥルー神話を象徴する有名な二行詩から取られたものだった事からも、
本作はクトゥルー神話作品をライトノベル読者に読ませるにあたって、徹底してキャッチーになるようにした結果だと言える。

当時『斬魔大聖デモンベイン』や『ウルトラマンティガ』他、後述の擬人化萌えクトゥルー諸作品があったとはいえ、
クトゥルー神話作品は難しい、堅苦しい、暗い、などという認識が色濃く、またTRPGのルールブックも分厚く難解で、
さらに原典たるHPLの作品は、はっきり言ってしまえば文体が堅苦しく、断じてとっつきやすいものではなかった
(加えてTRPGでは「とにかくPCは無力に翻弄されて殺されるべき」と主張する一部ユーザーの影響も大きかった)。
一方で菊地秀行氏や栗本薫氏、朝松健氏、殊能将之氏らによる和製クトゥルー神話作品も途切れることなく展開されていたものの、
そのブームは80年代から90年代前半にかけてで、00年代以降のライトなオタク層にクトゥルー神話は馴染みが薄かったのだ。

しかし『ニャル子さん』の登場によってそうしたライトオタク層にもクトゥルー神話というものが認知されはじめ、
そこにニコニコ動画で「クトゥルー神話TRPGリプレイ」の動画が投稿されはじめた事による相乗効果が加わり、
今日のクトゥルー神話ブームメントに繋がっていったのだから、この路線は大成功だったと言えるだろう。
奇しくもラヴクラフトの産み出した諸作品を、ダーレスが読者にとっつきやすくしようとしたのと、同じ様な流れである
(尚ダーレスは巷で言われるような「クトゥルフ神話を私物化した人物」ではない。詳細はニャルラトホテプ注釈を参照)。

日本におけるクトゥルー神話の歴史を語るにあたって、もはや『ニャル子さん』は避けて通れない作品なのだ。
実際、昨今のクトゥルー神話関係の講演会やコンペティションでは必ず取り上げられる研究題材であり、
『ゲームシナリオのためのクトゥルー神話辞典』では、ニャルラトホテプの化身の一例としてニャル子の名前が挙がっている
(本書は著名なクトゥルー神話研究者である森瀬 繚氏の手がけた「ガチ」のクトゥルー神話関係書籍である)。
それ故、現在では単なるパロディ作品ではなくれっきとしたクトゥルー神話作品として認識されている。*1

……尤も、この「旧支配者萌えキャラ化」自体は1949年にデイヴィット・H・ケラーの『最終戦争』で描かれたのが最初とされている。
この御仁、ダーレスの支援者の一人であり、アーカムハウスの経営を支えた立派なクトゥルー原典群の著者。
つまり、既に本家本元で通り過ぎた道なのだ。
ちなみに、日本で明確にクトゥルー神話そのものを萌えキャラ化した作品は、
1994年の伝奇漫画『アリシア・Y』、1997年の18禁ゲーム『マジカルディープ☆ワン』、『アトラク=ナクア』(厳密には違うが)、
1999年のラブコメ漫画『エンジェル・フォイゾン』、2003年のWeb漫画『はっちゃけくとるたん』、18禁長編SS『ひでぼんの書』
などが先駆者であると言われている。
そして『這いよれ!ニャル子さん』の出版が2009年、アニメが2012年2013年の放送であるから、
今日の萌化クトゥルー流行は約20年の歴史の集大成なのである。

まあぶっちゃけた話『デモベ』とか抜きにしたって邪神とスパロボが殴りあう『秘神黙示ネクロノーム』とか、
クトゥルー相手にグルメバトルする『妖神グルメ』とか、邪神大戦争な『邪神水滸伝』とか、架空戦記『邪神たちの226』とか、
ウルトラマンになっちゃう『ΑΩ―超空想科学怪奇譚―』とか、名探偵対邪神のミステリーな『黒い仏』とか、
美少女と邪神が殴りあう『邪神ハンター』とか、わりとこういう作品はとっくの昔に日本でも何本も出てるので、
濃いクトゥルーファン達は今更何をいわんやと今日も「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」ニャル子さんを崇めていたりする。
邪神どころかラブクラフト御大を女体化してる作品まであるし。偏屈で病弱で好奇心旺盛な猫好きの黒髪文学少女ですよ!

それでもクトゥルー萌え化ジャンルとしてはとりわけカオスかつ有名な作品の一つとなったのは揺るぎ無い事実であり、
それに伴って痛いファン、及びこれでクトゥルー神話を初めて知って「こういうのがクトゥルーか」という、
浅くちょっと歪曲した知識を得た世代が増えたのもまた事実。
他所の原典に比較的忠実なニャルラトホテプやクトゥグアを指して「ニャル子w」「クー子か」と言っちゃう人もちょくちょく見かける昨今である。
クトゥルー神話TRPGリプレイ動画だけを見て、やたら神話生物を蹴り殺そうとするプレイヤーが増えてしまったのも有名な話。*2
結果「こんなのクトゥルーじゃない」だの「(ニャル子やニコニコ経由でクトゥルーに興味を持った)ニワカ」だのと、
叩きに走る人も結構多かったりする。
『ニャル子さんがクトゥルー作品である事』と『他のクトゥルー作品がニャル子さんのノリでない事』という真実をしっかり認識し、
良識ある狂信者諸兄は、いくらSAN値がゼロでも場の空気読みスキルと節度を常に心に留めておこう。

余談だが、本作と同じくクトゥルー神話を題材とした作品とネタ的に相互コラボすることもあり、
別著者の小説『うちのメイドは不定形』、先述した狐印氏が挿絵を務める『るるいえあんてぃーく』シリーズにて、
明確に本作出自の登場人物や世界背景などが作中で言及されている他、
逢空万太氏の別作品『深山さんちのベルテイン』『ヴァルキリーワークス』でも世界観を共有していると思しき描写があった。
ちなみに原作・アニメの舞台となった市はニコニコで人気を博した先駆者の出身地と同じだったりする。

なお、恐るべきことに原作小説は全12巻でありながら、
作中時系列では1ヶ月の間に様々な出来事や事件が起きる超過密スケジュールだったりする
(そのため、短編集ともなると1日で2回事件発生とかなってたりする。
 ニャル子が上司への報告水増しのために短編1回分の話を完全捏造していたりもするが)。
そして最終巻エピローグでもこの期に及んで2件の事件が同時発生しているので完結後も事件が発生しまくると思われる。
ちなみに本編開始1ヶ月というのはあの約30巻を半年経たない内に駆け抜けている上条さんですら3巻で消化してしまっている。

また、アニメ化した際にはそのOPテーマに「 (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー! 」「 \(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ! 」など、
キャッチャーなフレーズを多用した電波ソング(誇張無し)を積極的に採用して、
ある意味で視聴者のSAN値を直葬していき、放送期間中ニコニコ動画は「混沌の炎」に包まれることになった……。


MUGENにおけるニャル子

ガッツポーズinmkn氏(GFYJSNPI氏)によるものが存在し、斧ロダおよび語るスレ用小物ロダ(専用ステージも同梱)にて公開されている。
なお、ドット・CNS共に改変は自由とのこと。

ベースとなったのは汚レ猫氏(現・にゃんちゃ氏)の泉こなたで、
「ウザい」「暴れまくり」「全体ではバランスが取れて死に技を作らない」を基本として製作したそうな。
確かに良くも悪くも賑やかなキャラとなっており、ラウンド中も攻撃中だろうが被ダメージ中だろうがお構いなしに叫びまくり非常にやかましい。
空中飛び道具に地を這う飛び道具、突進技に当身技と、遠近共にバランスよく作られている。
また、一部技にはどこかで聞いた阿澄ボイスが割り振られている。
AIは簡易ながら意外と強いものがデフォルトで搭載されている他、koyu@TWINT氏による外部AIも公開されている。
プレイヤー操作

この他に、ナイア・ルラトホテップのボイスがニャル子になるパッチも製作されている。

出場大会

更新停止中
凍結


*1
元々クトゥルー神話はだれでも自由に世界観を用いて物語を作ってよく、本家のアメリカでも、様々な著者による多数の作品がある。
なので、この作品もそのルールに則り、立派なクトゥルー神話作品といえる。
この作品以外にも、邪神が登場するなら特撮や、TVゲームや、MUGENのオリジナルキャラでも、パロディ作品ではなくれっきとしたクトゥルー神話作品である。
中には魔導書や、人名(何故か地名として使われている)のみを使った作品もある。

*2
無謀である事は言うまでもない。
末端の奉仕種族やら狂信者ならともかくも、少し強くなれば「通常武器無効」系の防御能力を持っているので、ぷちっと死んでしまう。
そもそもクトゥルー神話TRPGは邪神と直接戦って勝つのではなく、調査し、知識をかき集め、復活を阻止したりするのが基本なため、
タイタス・クロウでもない限り、事前調査もせず脳筋プレイだけでどうにかなるのはレアケースである。
D&Dとかd20モダンと合わせばぶっ殺せるけどな!
もちろん、そういう趣旨のシナリオだったり、狂信者が障害となる事も多いし、邪神相手に戦わねばならない事もあるので、
一緒に遊ぶメンバーで合意がとれてさえいれば、戦闘系PCを作ってヒャッハー!する事には何の問題も無い。
現代日本が舞台のシナリオだとおおっぴらに武器を持ち歩けないので、格闘技強いPCがいると心強いし。
ちなみに一昔前は「魔道書で巨大ロボ呼び出す」系PCが増えた事もあったので、それに比べれば、まあ、という感じであろう。
もちろんそれだってメンバー間で合意がとれていれば問題ないので、空気読みスキル大事。超大事。
……悲しいかな、能力値が設定されている都合上どんなに強力な邪神でも殺せなくはないのがゲームと言うものである。
まぁ原作でもクトゥルフは船に轢き殺されてるし(直ぐに再生を始めたが)、重要なのは物理ではない。
そういう意味でも正気度システム(所謂SANチェック)はRPG界における偉大な発明である。


最終更新:2024年12月19日 21:51
添付ファイル