漫画『落第忍者乱太郎』及びアニメ『忍たま乱太郎』の主人公格で、
通称「乱きりしん」。
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『落第忍者乱太郎』作品解説 |
朝日小学生新聞に連載されていた尼子騒兵衛女史の手掛ける忍者漫画。
それを原作としたNHK教育テレビのアニメ『忍たま乱太郎』から、近年の通称は『忍たま』。
戦国時代、天才忍者・大川平次渦正が開設した忍者のための学校「忍術学園」に入学した少年・乱太郎を主人公に、
彼の親友となったきり丸、しんべヱ、そして同じ忍術学園に通うクラスメイトや先輩、先生、
そして学園を取り巻く様々な勢力の人々との関係を描くコメディ作品となっている。
どれかは見た事あるアニメOP集
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原作者作詞のアニメED
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本作の舞台は室町時代末期とされているものの、ギャグマンガ故に時代錯誤な物品やアルバイトなどの名称・セリフも登場し、
キャラクターがコマや背景を破って登場したり、枠線を縄代わりにして敵を捕縛するといった 第四の壁を破壊する描写が普通にある作品だが、
登場する忍術などは歴史的資料に記されたものを基調としており、正確な時代考証がなされている。
一例として「自動販売機や500円玉はギャグと分かるので登場させても、小判や寛永通宝だと戦国時代にあったと誤解を招きかねないのでNG」などである。
この点は「子供に嘘は教えない」という尼子女史のこだわりによるもので、歴史学者からも高く評価されている上、
歴史的な知識を学びたいという読者層の獲得にも繋がっている。
特に顕著な例として、原作者自身が手掛けた児童向けの忍者解説本『乱太郎の忍者の世界』も出版されているのだが、
これが初っ端から「 忍法は口伝で秘密だから、 『忍術学園』なんてありえない」「えっ!?」という乱太郎達の会話からスタートして、
大人でも楽しめるほど濃厚に忍者に対する解説が書かれた読み応えのある内容となっている。
このように『落第忍者乱太郎』はリアルな「忍者」というジャンルの入口として、多くの人々に親しまれている作品なのである。
……でもギャグ描写をギャグと思わず真に受けちゃう人もそこそこいる気はする。特にファンタジーな忍者好きの外国人とか
原作は2019年に作者が脳卒中を発症、後遺症などにより連載継続は困難ということで全65巻で完結しているが、
アニメはNHK教育の古参の一角として再放送を挟みつつも制作され続けており、
とりわけ個性的かつ魅力的な男性キャラが多く、その多くは人気声優が声を当てている等から、
子供向けアニメとしては異例と言える程女性からの人気が高い。
当然腐人気も高く、複雑怪奇な掛け算の迷宮が出来上がっている。 『プリキュア』シリーズと引き合いに出されて「視聴者の男女比率が加齢と共に逆転する現象の対極作品」とも
なお、アニメ版のタイトルが異なるのは「落第」という言葉が放送局であるNHKの放送コードに抵触するため。
……と言われていたが、OPクレジットにはしっかり「落第忍者乱太郎」と表記されている上に、
「落第忍者の段」というエピソードも放送されているため、実際の理由は謎である。
マンガのみならず子供向け絵本、ミュージカル、小説作品も存在しており、
特に阪口和久氏の小説『落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』は2024年に劇場アニメ化され、
興行収入10億を突破するヒット作となった。
そして、その劇場版初登場キャラクター達のあまりにもオタクのツボを突き殺す造詣は、元々焼けていた女性ファンらの脳を更に強火で焦がす事となった
また、過去には祝日や振替休日にて、ステージイベントと過去回の再放送とを合わせた60分番組「忍たまがやってくる」も放送された。
なお原作は前述通り完結済みだが、その後復帰された尼子女史により月一掲載で『乱太郎とめぐるふしぎな世界』が連載開始。
こちらは乱太郎達のキャラクターを通じて、『古事記』や『今昔物語』などの古典文学を紹介する内容となっている。
また自身の経験を踏まえ、脳卒中に対する啓発・解説書なども執筆されている。
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忍術学園の一年は組に所属している忍たま(「忍者のたまご」の意)三人組で、
学園で
成績が悪いとされる一年は組の
中でも特に悪く、3人だけ補習が行われるエピソードも多数ある。
しかし、補習授業の一環による実習や度重なるトラブルに見舞われ続けたことから実戦経験は一年の中で抜きん出ており、
上級生を打ち負かしたり、学園長・大川平次渦正の思い付きで開かれた競技大会でも優勝したりと、
幾度も団結して数々の実績を重ねたりピンチを乗り越えたりしている。
ちなみにくの一教室のくのたま(「くの一のたまご」の意)達とは、たまに顔を合わせた時にこういう年代でありがちな男女の憎まれ口合戦はあるものの、
しんべヱが学園長の孫娘のおシゲちゃんと非常に仲が良いのを除けば、接点が極めて少ない。
本気で少ない。
初期には多少出番があったが、その後の登場頻度は数年に一度しか見かけないレベルと言われている程。
まあ、史実のくの一が学ぶ事と言ったら、ちょっとTVでは放送出来ない内容になるだろうし、カリキュラム違い過ぎるよな……
尤もくのたま達の恰好を考えると、くの一と言うよりは女忍者だと思われるが
そもそもユキとトモミはともかく、おシゲちゃん自体がアニメ化に伴い生えてきたアニメオリジナルキャラクターだという事を勘案すれば、
作者自身はこの作品で
ボーイミーツガールをやる気が皆無というのが見て取れる。
作者ご自身が腐寄りの方という噂まであるので……
とはいえ、くのたま達に影響を受けた読者・視聴者も数多くおり、一例として『
ニンジャスレイヤー』のコミカライズ版『殺(キルズ)』では、
ヒロインであるドラゴン・ユカノのピンクの装束や髪型などのアレンジデザインが、トモミのオマージュとなっている。
「戦なんきゃしなけりゃ、こんな怪我しなくて済むのに」
名字は「いなでら」と読む。同作の主人公で、アニメ版の担当声優は『名探偵コナン』の江戸川コナンなどでお馴染みの
高山みなみ
女史。
先祖代々三流忍者(アニメでは平忍者)家系に生まれた少年で、一流忍者になるために忍術学園に入学した。
とはいえ半農半武士(半忍者)の家というのは当時珍しくもなく、「先祖代々」忍者として室町時代の乱世を生き抜いてきた辺り、
立身出世の機会に恵まれていないだけで、十分な実力を備えた忍者の一族だとは言える。
まぁ現状ほとんど農家が本業らしいので、単に
忍者としての仕事が無いだけかもしれないが。
素直で明るいお人好しだが、その性格が災いしてよくトラブルに巻き込まれる
不幸体質。
座学は苦手だが、100mの距離を10秒で走るクラスどころか学年一と称される俊足を誇り、
加えて2mの壁を飛び越える
ジャンプ力も持つなど高い身体能力を備えている。
そのため緊急事態の伝令などを任されることも多く、「風雲小僧」の異名を持つ。……まぁ「不運小僧」とバカにされたりもするが。
メガネをかけているのは極度の乱視のためなのだが、そのせいで
相手の分身に惑わされないという地味ながら中々の強みも持っている。
保健委員にも所属しており、緊急事態では保健委員長代理として指示を飛ばしたり、機転を利かせて行動したりする事も多く、
普段は二人に振り回されつつ、なんだんだ三人組の中で「いざという時」のリーダーシップを取っているポジションである。
また、
その優しさについては弱点として利用されることもあるものの、敵味方から幅広く認められており、
実技担当教師の山田伝蔵からは
「忍者としては落第だが、人としては最大の長所」と評価されている。
アニメ版ではキャラ付けに迷ったのか当初一人称が「俺」だったり、ちょっと粗暴な性格だったり、語尾に「らん」が付いていたりしたが、
シリーズが進むにつれて原作通りの落ち着いた穏やかな少年という形で語尾も消えて定着した。
ちなみに名字の猪名寺は兵庫県尼崎市の地名が由来だが、そもそもその名の起源は新羅から帰化した技術者集団「猪名部」にあり、
彼らは高所での優れた建築作業技術を保有していて、高い柱の上でも猿のように駆け回ったと記録されているので、
やはり猪名寺家は由緒正しい優れた忍者の家柄なのかもしれない。
「脅しや脅迫が正義であったためしがないんだぜ」
「〇〇して
くれ」と頼まれるとそれが何であれ断ってしまい、「〇〇させて
あげる」と言われればなんでもしたがる。
特に
小銭の落ちる音を聞くと凄まじいスピードとパワーを発揮し、どれほど離れていようがどんな場所にあろうが小銭を拾いに行き、
劇場版一作目ではほぼ垂直の断崖絶壁を走りながら登攀して頂上の小銭を拾いに行った。
また、常に一言多いのが欠点で、度々余計な事を口走っては鉄拳制裁を喰らうのがお約束。
忍術は乱きりしんの三人組の中では一番上手いのだが、アルバイトを優先しがちで、
予習や復習する時間が少なかったり、授業中でも金儲けの事を考えて先生の話を聴いていなかったりというのが成績が悪い原因。
ギャグ描写でマイルドにされているが、実は戦で村を焼かれて家と家族を失い天涯孤独になった戦災孤児という悲惨な身の上の持ち主。
「摂津の」と名前の前にあるのは、孤児である彼は仮の名字すら持たず「摂津(現在の大阪府北中部と兵庫県南)から来た」という意味
*1であり、
演者の田中女史が聞いた話によれば「きり丸」は戦地で泣いていた彼を拾った人が付けてくれた名前で本名ではないらしい。
金に強く執着するのもそうでもしなければ生きていけなかった上に、自分で学園の学費を稼がなければならない境遇のためである。
忍術学園は身分を問わずに生徒を受け入れているが、原則として学費の徴収はキッチリ行っており、
乱太郎、きり丸、しんべヱが仲良くなったのも、きり丸が大量の小銭を入学金として納める場面に遭遇したためであったりする。
やっぱり何だかんだで学費を払えてる猪名寺家は、それなりに立派な忍者の家柄と言えるのでは?
今やその執着心は「生きるため」を通り過ぎ、担任で座学担当の土井半助から「金と命どっちが大事だ」と問われた際に「金!」と即答し絶句させるほど。
ともあれそうした経緯から、合戦場での弁当売りや落ち武者の装備剥ぎから子守までありとあらゆる様々なバイトをしており、
三人組の中では一番実戦経験豊富で世慣れしているため、知恵袋や参謀的な役割を担っている。
ちなみにバイトではたまに
やけに似合ってる可愛い女装をして弁当等を売っている事もあるが、本人は「なんかよく売れる」程度にしか認識していない
(というか、小姓の説明をしたらやりかねないと危険視されている事からも、自分の体で簡単に稼げるであろう仕事の存在を知ってしまえば本当にやりかねない)。
なおネット等ではこの女装時が「田中真弓女史の貴重な美少女役の演技」として紹介される事もままある模様
ただ、ここまで守銭奴ながらも「盗み」等明確な犯罪をしてまでの金儲けは躊躇があるのかしようとしない。
アニメオリジナルキャラで土井先生の旧友・石川五十ヱ門(
五右衛門じゃないよ)には、その盗賊としての武勇っぷりから弟子入りを志願したが、
筋の良さを褒められ認められはしたものの、最後の最後で茶屋の甘酒の無銭飲食を「最初の仕事だ」と置いていかれた際は、
悩んだ果てにお代を席に置いてきてしまい、それを理由に弟子入りを断られたエピソードからもそれが窺える。
真っ当に稼ぐ。それがきり丸という少年なのだ。
*2
長期休暇中は前述した土井先生の家に身を寄せている。
これはきり丸には帰る家が無く、休暇中に学園に滞在することもできないので、土井先生が身元引受人となっているため。
土井先生もきり丸と同じ境遇から忍者となった過去があるので、きり丸の世話を焼いているのだが、
きり丸のアルバイトに無理やり付き合わされたりするなど、彼に振り回される事も多い。
疑似親子度合い含め「土井きりはガチ」という貴腐人方も多いとか
「大人の喧嘩ってわけわかんないよねぇ」
副主人公の1人で、アニメ版の担当声優は『
北斗の拳』のバットや『
クレヨンしんちゃん』のマサオくんなどでお馴染みの
一龍斎貞友
女史
(アニメ第6期までは旧芸名の「鈴木みえ」名義)。
堺の大貿易商「福富屋(ふくとみや)」を実家に持つ金持ちの家の跡取り息子。
鼻炎気味で、よく鼻水を垂らしているのが特徴。
おっとりかつのんびりとした性格の大食漢な少年で、機敏さを身に付けるために父親の意向で忍術学園に入学させられた。
裕福な家の生まれのため庶民の生活を知らず浮世離れした所があるが、
人当たりが良いため仲間から僻まれることはあっても本格的に嫌われる事は無い。
三人の中では一番の怪力だが、肥満体が祟り一番の鈍足。
何度かダイエットを試みた事はあったのだが、その方法は無茶なものであり、
身体は痩せても頭だけはでっかちのまま痩せずふらふらし通しだったり、逆に尻だけが太ってしまったという結果になった事も。
一方で、犬より優れた嗅覚を持ち食べ物の匂いを嗅ぎ当てて隠し通路を見つけたり、驚異的な粘着力と操作性を持った鼻水を武器として使ったり、
洗髪などで髪を濡らした後ちゃんと整えず乾かした場合になる
直立ヘアーの寝癖が、
触れば人肌に針のように刺さり、忍具刃物さえ弾く硬度と化す「恐怖の武器頭」を活用したりと、
妙な形でしんべヱが事態の打開に貢献するケースが多々ある。
お前は『甲賀忍法帖』に出て来る忍者か
一見すると忍者には全く向いてなさそうだが、従順で下手な態度で油断させて情報工作を行う「順忍」としては素質を評価されている。
またその話術や声音使いなどは、そうした音を使いこなして諜報活動を行う「音声忍」として、敵側からも危険視されている。
実際、劇中ではしんべヱにだけは油断して秘密を喋ってしまったり、敵側の癖を把握して情報を抜き取るなど片鱗を見せる場面も存在する。
そして仮に文字通り落第して忍者になれなかったとしても、将来的には父親の跡を継ぐのは間違いないため、
数多くの忍者とコネクションを持ち、かつ忍者の諜報活動を理解している豪商が誕生する事が確定している。
忍術学園としても、決して逃したくない逸材だと言えるだろう。
学園長の孫娘でくのたまの「大川シゲ」とは相思相愛の間柄で、顔を合わせれば鼻をかんで貰ったりとデレデレしているが、
くの一教室との合同演習で対戦相手になった時などは、互いに手加減抜きの勝負をするだけの分別はある。
ていうか、そういう時のおシゲちゃんは学園長の孫らしくドライに割り切るので、
ガチに応じざるを得ない。
魔物だね、女は
ゲームにおける猪名寺乱太郎&摂津のきり丸&福富しんべヱ
人気シリーズという事もあり、流石に格闘ゲームにこそなっていないものの、ゲーム化の機会には恵まれている。
特に有名なのは『
飛龍の拳』『スーパーチャイニーズ』等で知られるカルチャーブレーン製のSFC用アクションゲームシリーズで、
忍術学園の授業でミニゲームを通して操作や忍術を学び、それをアクションステージで活用しながらクリアを目指すというのが基本的な構成。
アニメの雰囲気をよく再現したビジュアルパートや豊富なミニゲーム、アニメのイメージそのままにコミカルな動きをする
ドット絵、
さらに乱太郎、きり丸、しんべヱそれぞれの特徴を上手く取り入れたキャラ性能として、
『1』ではスピード最速の乱太郎、ジャンプ力最高のきり丸、能力値は低いがダッシュ時にローリングアタックが出せるしんべヱとなっており、
特にしんべヱは初心者救済用なのかローリングアタック中は無敵、
転がってるだけでクリアできてしまうステージも幾つかあるほど。
手裏剣投擲も乱太郎は低速にへろへろと飛び、きり丸はドケチなので投げても外すと手元に戻り、しんべヱは何処に飛ぶか分からないなど差別化されている。
他、敵の手裏剣を3回まで叩き落とせる竹光の忍者刀、焙烙火矢に煙玉、隠形の術、壁や天井を移動できる打ち鈎といった忍具の数々も登場。
おまけにミニゲームでは
五色米を使ったガチの暗号(対応表はマニュアル付属)が出題されるなど、原作愛
と難易度に満ちている。
まあ一番難易度を上げているのは「ノーヒントで正解の行動を選び続けない限り勝てない」コマンドバトル部分だと思うけど
シリーズ中では難易度が異様に高い作品や、しんべヱが操作キャラからリストラされたりする作品もあって全体的な評価に波はあるものの、
『1』『2』『スペシャル』『3』に、ゲームボーイでは
ほぼまんま『スーパーチャイニーズ』の『GB』とシリーズ5本発売された人気作となっている。
その他、落ち物パズルの『パズル忍たま乱太郎』、ニンテンドー64のミニゲーム集『ゲームギャラリー』などもカルチャーブレーンから発売されている。
MUGENにおける猪名寺乱太郎&摂津のきり丸&福富しんべヱ
ガ・タキリ・バ氏の製作したキャラが公開中。
氏曰く「ゴーストオブツシマや新暴れん坊将軍に刺激を受けた結果なぜか出来上がりました」との事で、
スプライトはSFC用ソフト『忍たま乱太郎』のものが使用されている。
乱太郎が本体、
コマンドできり丸、しんべヱを動かしてアシストする性能となっており、
竹光の忍者刀や手裏剣などの忍者らしい技を使用する。
超必殺技は2
ゲージ消費の「四方六方八方手裏剣」。
出場大会
*1
尤も、時代背景を考えれば貴族や武士の生まれではない限り名字を持たないのは普通である。
商人出身であるしんべヱの方も正確には名字ではなく屋号(福富屋のしんべヱ)であろう。
イタリア人の話だが、かの
レオナルド・ダ・ヴィンチも「ヴィンチ村の
レオナルド」という意味である。
- 他人が落とした銭をその人が拾い上げる前に拾って、自分のものだと主張する
- 卵売りのアルバイトをする際、それが烏骨鶏の卵だと嘘をつく
というような行為は行った事がある。
またギャグとしてだが、口先を上手く使って騙くらかして自分だけ得しようとする、詐欺めいた商法をやる事も無いではない。
それでも他人の物を盗んだり、心身を傷付ける行為は避ける良識を持っているのは間違いないが。
最終更新:2025年01月28日 22:58