ラスタン





「私がいかにして王と成り得たか、

 その長き物語は一夜ではとても語れぬ。

 だが時が許す限り語ろう、

 危険と財宝に満ちた冒険の日々のことを・・・・・・」


タイトーの名作(一部例外あり)アクションゲーム『ラスタンサーガ』シリーズの主人公。
「ラスタン」の名は聖地ラスタニアを魔物から解放した彼の武勲を讃えた称号で、実は本名不詳「勇者ロト」のようなものである。
自らの王国を一代で築き上げた英雄ラスタンももはや年老いて、若き日の冒険を回顧する……という流れでゲームのストーリーに繋がる。

一作目『ラスタンサーガ』は重厚な漢らしい剣と魔法のファンタジー世界と言うかコナン・ザ・グレートそのまんまを描いたアクションゲームの名作。
セーム王国で暴れるドラゴン討伐を王女から依頼され、たった一人で魔物がひしめく荒野に旅立ち、見事ドラゴン討伐を成し遂げる。*1
他のゲームなら3~5発くらいの耐久性がありそうな怪物共を軒並み一撃で叩き潰し、ボスキャラもおおむね瞬殺する
(特にラスボスのドラゴンは物凄くかっこいいBGMの主題が始まる前に倒してしまい、聴く事ができないほど)。
という豪勇ぶりを見せてくれるが、流れる河に踏み込んだ瞬間突然全身が消滅して即死するという一発ギャグのような脆さを兼ね備えている
あまりのギャップに水に触れたら消滅する呪いにでもかかっているのではと思われるくらい。

二作目『ラスタンサーガII』は彼が「ラスタン」の名で呼ばれるようになる前、聖地ラスタニアを穢す魔物達を打ち破る物語。
ゲーム内容は突如何もかも低質化したまさかのクソゲーに。
しかし不思議なほど他機種への移植に恵まれ、移植された先でもっと劣化するという謎の事態を引き起こしている。

三作目『ウォリアーブレード』ではベルトスクロールアクションへ転身。
忍者ドゥーイー、滅ぼされた国の元王女ソフィア、メガクラッシュ用の魔法使いマハディデカラディと共に、
最果ての国デポンでの冒険に身を投じる。
様々なシチュエーションで繰り広げられる冒険は前作の悪名を払拭し、見事名作へと返り咲いた。
同行する魔法使いに魔法を使わせるため、催促として蹴りを入れるというバイオレンスな行動は必見。
一定の条件で語られるエンディングの「Hidden Story」はラスボスの悲運な境遇を語っており、
現代では描かれる事も珍しく無くなったが、この当時から「悪役の悲哀」を裏で描く物悲しさを湛えたストーリーであった。

+ 外部出演
『ラスタンサーガ』シリーズで名声を得たため、
同社のプロレスゲーム『チャンピオンレスラー』に「ミラクル・ラスタン」のリングネームで登場。
デンマーク・コペンハーゲン出身、1959年8月14日生まれというプロフィールになっているが、便宜上そう付けられたギミックであろう。

試合後に表示される勝者と敗者の待遇の差が激しく、勝てばどんどん生活がリッチになっていくのに対して、
負けた側は控え室で負傷した姿が出るのはまだいいとして、
売店でホットドッグ売らされてたり、ホームレスにまで落ちぶれたりと無惨な姿を晒す羽目になる。
一番酷いのはスラム街で拳銃を渡されるという場面で、これは誰かを襲撃しろと言う事なのか、それとも自殺しろと言う事なのか。
このプロレス界の裏側では一体何が起きているのか。虎の穴ですらそんな事しないぞ……。
ミラクル・ラスタンの勇姿を見よ!

恐竜使いが手懐けた恐竜を戦わせる対戦格闘ゲーム『ダイノレックス』では、
恐竜が優勝した後、前優勝者と直接殴り合いで最後の決着を付けるという、
これまで恐竜で戦っていたのは何だったんだと言いたくなるような変な展開になるが(しかも『ストII』のパクリが著しい)、
この時のプレイヤー側の恐竜使いがどう見てもラスタン。
剣と魔法の世界で無く、恐竜と人間が共存した世界に生まれたらこうなったのであろうか……。
14:19から。ツッコミどころしか無い

海外の3D格ゲー『バーバリアン』にも出演、これが『ウォーリアーブレイド ラスタンvsバーバリアン編』という名で日本でも発売。
ゲームタイトルはいかにも『ラスタンサーガ』シリーズの続編っぽく見えるのだが、内容は完全に別物である。
……というのもオリジナル版だと該当キャラの名前が「DAGAN(ダガン)」になっており、
日本でのローカライズの際にラスタンに結び付けられて名前を変更されたというのが真相のようである。
ついでにいうと髪型も短髪ツンツン頭で一見して別人。なんか見覚えがあるなそんな奴

また、全然関係無いが『トリオ・ザ・パンチ』の剣士ローズさぶがどう見てもラスタン。
ただし選択画面ではホモっぽい別人。まぁ名前的にそっち系だし


MUGENにおけるラスタン

+ xxxXx氏製作
  • xxxXx氏製作
『ウォリアーブレード』のスプライトを改変したものを使用している。
剣による攻撃の他、原作で多用された剣から炎の弾を飛ばす飛び道具が搭載されている。
武器がある分リーチはそこそこあるが、海外製の宿命なのか与えるダメージは小さく、マッチョが剣を振り回す外見と合っていない。
元はアクションゲームなので基本的に攻撃は単発で連続技に乏しく、格ゲーのキャラと勝負するには戦力的に厳しい。
また、Readmeの類が付属していないため、各種コマンドはcmdファイルを開いて確認する必要があるのだが、
同氏の別キャラの記述を流用しているらしく、正確な技名が不明な上にどんな技か使ってみるまで分からないのが難点。
AIはデフォルトで搭載されているが、あまり強くは無い。


+ カーベィ氏製作 トレーナー
  • カーベィ氏製作 トレーナー
『ダイノレックス』にゲスト出演(と言っていいものかどうか)した時のスプライトを使用している。
ラスタンと明言されたわけでは無いので「トレーナー」名義。
波動拳小型の翼竜を敵に向けて差し向ける飛び道具「ダイノトス」、
昇龍拳ジャンピングパンチ「ダイノアッパー」、まんま竜巻旋風脚な回転蹴り、
ダッシュストレート「ダッシュパンチ」といった必殺技を持つ。
いや本当に原作でこんな感じだったんです信じてください

なお、竜巻旋風脚は多段技のように見えるが、一度攻撃が当たると残りは全部隙になるので注意。
AIはデフォルトで搭載されている。




 「この話は、私が王になるまでの一つの出来事に過ぎない。

  機会があれば、また別の、冒険に満ちた話をしてあげよう」

出場大会



*1
まあよくあるストーリーではあるが、色々想像してみるとこのセーム王国はドラゴンのために本気で滅亡一歩手前に追い込まれている。
まずドラゴンの首と引き換えに国中の財宝をラスタンに与えるという取引になっているが、
それは結局ドラゴンに直接的に滅ぼされるか、ラスタンに国中の財産を持っていかれて間接的に滅びるかの二択でしかない。
セーム王国としては「王女と結婚したラスタンに新たな王として国を治めてもらう」方がまだ良かったと思われるが、
ラスタンは(きっちり財宝を受け取った上で)自分の治める国を見つけるべく荒野へと去って行った。
エンディングの映像では専用のグラフィックなのに丸腰で、着の身着のままで追い出されたようにも見えるが……
つまり、自分の国を求める勇猛な男が、その絶好の機会をふいにしてまでも、
この荒れ果てた国の再建に人生を費やすよりは全く一から別の土地でやり始めた方がマシだと判断したのである。

さらに言うと「国中の宝」もステージ4クリア時のラスタンのセリフに、
「I REGRET WHY I MADE SUCH PROMISE.(なぜあのような約束をしたのか後悔した)」
とあり、ラスタン自身が「この魔物退治には割が合わない」と思えるような分しかなかった(それならエンディングで丸腰も分かる)可能性も大いにある。

そして、このような国を破滅させかねない政治取引を行ったのが国王や女王では無く王女であったという事は、
国王やそれに繋がる直系男子は恐らくドラゴンに殺され、残された王女も戴冠する余裕すら残されていない状況であったと推測される。
ラスタンにこんな無茶な取引を持ち掛けたのも、もう完全に国が立ちゆかなくなっての破れかぶれとしか考えられないのである。
エンディング後にセーム王国がどうなったか語られる事は無いが、ドラゴンが倒されたとは言え未来は暗いだろう……。


最終更新:2024年08月11日 11:18