586 :空の王な俺:2011/01/09(日) 02:22:52.27 ID:WKyDyCbD0
じゃあいっちゃう
かなり1944年以降の歴史が公式と違ってます
もしかしたら他の部分もそうかも
まぁ中篇程度で終わる予定なんで、あまり気合入れずに読んでください
では



1945年、人類の対ネウロイ欧州戦線は危機に瀕していた。

1944年、第501統合戦闘航空団『STRIKE WITCHES』の活躍によりガリアが解放されてしばし後、ネウロイは急激かつ致命的に戦略を変更した。
それまでおおよそ一週間に一回程度であった積極攻勢を激化、支配地域にマザー級ネウロイを次々に配置していった。
戦艦の主砲級の攻撃力でなければ傷一つつけられない外殻と、大量の小型機産生能力をもつマザー級ネウロイという“要塞”の群れの前に、人類は反撃の糸口も見つけられぬまま後退を繰り返した。

やがてわずか半年程度の間に、人類はヴェネツィア公国、ロマーニャの北部、一度は解放されたオラーシャ中央部とガリア、さらにはその先のヒスパニア東部までもを失った。

もはや欧州に残る人類の版図は、ネウロイの活動の鈍い北部の他は、ブリタニアとヒスパニア及びロマーニャのごく一部分のみとなっており、

欧州大陸部が全てネウロイの手に落ちるのは、時間の問題と誰もが思っていた。


594 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 02:29:05.76 ID:uK4k6P930
なんというかアルデンヌ攻勢が成功したIF欧州っぽいな

595 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 02:29:55.96 ID:WKyDyCbD0
― 1945年初夏 ロマーニャ南部 アドリア海沿岸 ―

花火のような炸裂音が空中に轟く。12人のウィッチが、無数の立方体型の小型ネウロイと戦っていた。
マザー級ネウロイにより産生されるごく一般的なタイプのネウロイで、ウィッチであればさほど苦戦する相手ではない。

坂本「これで、最後だ!烈風斬!」

戦っていた12人、再結成された『STRIKE WITCHES』も、さほど苦戦することなくそれらを殲滅した。

芳佳「やりましたね、坂本さん!」

坂本「ああ。この程度の相手、我ら『STRIKE WITCHES』の敵ではない!」

シャーリー「やれやれ、肩慣らしにもならないな」

ルッキーニ「早く帰ってご飯たべよーよ。ご飯、ご飯ー♪」

しかし威勢のいいそれらの言葉には、隠しようも無く空元気の色が表れていた。
大した相手ではないのだが、その襲撃がほとんど毎日あるとなれば話は別だ。

つい数週間前、連合軍はついに半島中央部にマザー級の侵攻を許してしまった。
以来、襲撃の頻度は上昇の一途を辿っていた。

597 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 02:35:26.12 ID:WKyDyCbD0

エーリカ「ウーシュ、大丈夫?」

ウルスラ「はい、姉さま」

ミーナ「ごめんなさいね。いつもいつもあなたにまで手伝わせて……」

ウルスラ「いえ」

このウルスラ・ハルトマンがストライカーを履いて戦っているという事実が、現在の501隊の、そしてロマーニャの状況を端的に表していた。
彼女はすでに前線勤務から後方、技術省での開発研究に転属しており、そもそも501隊の基地には新兵器のテストのために訪れているに過ぎなかった。
しかし彼女が基地に滞在している最中にノイエ・カールスラントへの空輸ルートがネウロイの手に落ちてしまい、
そうこうしているうちにロマーニャ戦線は追い詰められ、なし崩し的に彼女も全力出動に付き合わされている。

598 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 02:37:02.93 ID:uK4k6P930
・・・ヒスパニア健在ならジブラルタル開いてないか?

>>598アフリカがやばくて危ない、的な
ああ、アフリカ西部がネウロイ勢力圏になってるからジブラルタルも危ないって意味ね。
東部西部ともにやられてるから当然マルちゃんもやばいんだけど。

599 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 02:44:33.08 ID:WKyDyCbD0

坂本「……」

帰投のために進路を基地方向にとりながら、坂本は眼下、ロマーニャの大地を見やった。

植物の緑と大地の茶色のグラデーションの中に、ぽつぽつと黒点が見える。
マザー級のネウロイ。

吹き出物のようだ、と坂本は思った。
実際それは大地に現れた悪性の表皮腫瘍そのもので、ロマーニャをゆっくりと蝕み、ついには死に至らせつつあった。

マザー級を撃破するための戦力の結集は遅々として進まず、
それどころか度重なる嫌がらせのような小型ネウロイの襲撃に、ロマーニャの連合軍は少しずつ疲弊していった。

圧倒的な物量を前に、ただただその日一日を凌ぐだけの毎日。

絶望的な戦いだった。

600 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 02:49:13.11 ID:WKyDyCbD0

そんなある日のこと。

坂本「戦力派遣?オストマンから?」

ミーナ「ええ、この基地に。欧州南部からですって」

坂本「南部というと、オストマルクが陥ちたときからずっとネウロイと戦っていた三カ国からか」

マケドニア、ギリシャ、オストマン。負け続きの欧州戦線にあって、唯一気を吐いている戦線を成す三カ国である。
大戦最初期にオストマルクが陥落して以降、その隣にあるこの三カ国戦線は常にネウロイの侵略の最前線でありながら、
しかし攻勢の激化が始まった現在に至るまで、一歩たりとも後退していなかった。

ミーナ「三カ国の戦線を守ってきた……いいえ、それどころか、その地域のネウロイを完封していた軍事力だそうよ。
    今まで彼らはほとんど独自にネウロイと戦ってたんだけど、連合軍の度重なる要請を受けてついに協力することになったの」

坂本「ほぉ。それは期待できるな。しかしそれほどの軍隊、この基地一つでは収容しきれないんじゃないか?」

ミーナ「それが……派遣されてくるのはウィッチ一人だけみたいなの」

一転、渋い顔をする坂本。

坂本「なんだ、ようはせっつかれたから協力するというポーズだけ示そうというだけか」

優勢とはいえ、いつまた侵攻があるか分からない。無理からぬことかも知れないな。
坂本はそう冷静に分析したが、失望感は消えなかった。

602 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 02:54:16.00 ID:WKyDyCbD0

坂本「それで、その捧げ物にされた哀れな娘については何か分かってるのか」

ミーナ「ええ。でも『娘』じゃないわ。見て」

坂本「む?」

ミーナが書類を差し出す。派遣されてくるウィッチについての概略だ。
外見を知らせるための写真が一枚、クリップで留められている。

坂本「ほぉ、珍しいな。男のウィッチとは。名前は……空欄?なんだこれは」

ミーナ「階級もよ。妙なのはそこだけじゃないわ。経歴もほとんど空欄なの。あと戦績も見てみて」

坂本「……」ペラ ペラ...

坂本「……あのあたりの人間には物事を大げさに伝える文化的な伝統があったな」

ミーナ「まるで大げさな吟遊詩人の語りを聞いている気分よね」

603 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 03:00:38.98 ID:WKyDyCbD0

坂本「それにしても酷いな。馬鹿にしてるとしか思えん。いわく、この男の破壊したネウロイは……
    飛行タイプが1200機以上、うちトゥーパリェフ級以上の大型が400機以上。地上型は2600体以上、戦車型1000両以上を含む。
    そしてマザー級が9つ。こいつ一人で一つの戦線を支えられるな」

ミーナ「オストマン戦線を支えた軍事力を丸ごと貸してくれる、ってことらしいわ」

坂本「“軍事力”な。なるほど階級がないのも頷ける。こいつひとりが一つの軍隊というわけだ」

ミーナ「まさに“ワンマンアーミー(たった一人による軍隊)”ね」

坂本「……本当ならこの上もなく心強いんだが。それで、いつ来るんだ?」

ミーナ「今日よ。午後にも着くって。アドリア海を挟んですぐだものね」

604 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 03:01:44.49 ID:uK4k6P930
( ゚Д゚)

こいつぁルーデル大佐も大将もビックリのワンマンアーミーコーアだ・・・
605 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 03:03:05.95 ID:9/37lFzG0
ルーデルなんて目じゃねえぜ
606 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 03:04:06.23 ID:9LvMfDgg0
どんな俺TUEEEEEEを見せてくれるかwktkするな

607 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 03:07:33.16 ID:WKyDyCbD0
知らせ通りその日の午後、胴の太い輸送機が501基地に着陸した。
その場には隊長であるミーナと副官である坂本の他に、興味本位で数人のウィッチが並んでいる。

やがて輸送機からタラップが伸ばされ、『その男』は昇降口に現れた。

シャーリー「シュワルツネッガーが来るって聞いてたんだけどな」

その男の年の頃は20代半ば、長身で、引き締まった体が服 (オストマンの上級将校の軍服に似ている、とミーナは思った) の上からでも分かったが、
シャーリーの言うように、決して書類にあったような異常な戦果を挙げる、ギリシャ神話に出てくるような豪傑という風ではなかった。

男はシャーリーの呟きを意に介した風も無く……というより、この場の誰にも興味など無いかのように冷ややかにあたりを睥睨すると、ゆっくりとタラップを降り始めた。


ミーナ「この基地の司令官のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です。『STRIKE WITCHES』へようこそ」

坂本「副官の坂本美緒少佐です。歓迎します」

二人の前に来ても男が口を開かないので、ミーナと坂本は先に名乗った。
男の階級が分からない (そもそも軍人ですらない可能性もある) ので、敬礼もこちらからしてみせる。

たっぷり一拍おいてから、男はゆっくりと腕を組み、口を開いた。

余「出迎え、大儀である。」

608 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 03:11:41.11 ID:WKyDyCbD0

ミーナと坂本、他数名は呆気に取られた。

名前を名乗らないのか
敬礼を返さないのか
なにより、「大儀である」ときたものだ
いまどき王族でもそうは使わない大時代的な言い回しだ

そんな思いが集約した

エーリカ「何なんだ、こいつ?」

という言葉を一致して浮かべていた一同を、その男は用事は済んだ、とばかりに素通りして基地へ向け歩き始めた。

反応できないでいる少女たちを無視して男は歩き続けていたが、数歩ほど進んだところで立ち止まり、怪訝そうに彼女らを振り返った。

余「どうした?」

ミーナ「え?」

余「誰か、余を案内せよ。余一人に基地を迷わせるつもりか。」

609 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 03:16:31.14 ID:WKyDyCbD0

芳佳「あ、あの!」

余「どうした?」

芳佳「え、ええと、色々お伺いしたいことはあるんですが……。とりあえず、お名前伺ってもよろしいですか!?」

よく聞いた、それがまず第一だ。
坂本やミーナが内心で賛辞を送る。
しかし返答は、さらにその場の人間を混乱させるのに十分なものだった。

余「余は空の王である。」

芳佳「ソラノオさん?」

余「違う。空の、王。Lord of Skyだ。」

一同「「……」」

シャーリー「……だっはっはっはっはっは!おまえすごいよ、最高、ひー!こんなに“掴まれた”自己紹介初めてだ!HAHAHAHAHAHA!!」

エーリカ「あっはっは、はぁはぁ、お腹痛い、あははははは!!」

坂本「うむ、最近張り詰め気味だったのが一気に解れたぞ。素晴らしい援軍だ。わっはっは」

余「なんのことだか分からんが……良かったな。」

610 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 03:19:03.08 ID:1ytlQ4/j0
こ、こいつ、大物なのかそれともまったく別の何かなのか…?

611 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 03:22:00.22 ID:WKyDyCbD0

ミーナ「ふふ、そろそろあなたの本当のお名前を教えていただけるかしら?」

余「余に名は無い。」

ミーナ「え?」

余「名で区別する必要があるのは、それが唯一のものではないからだ。
    地上に幾人の王だの皇帝だのがいるかは知らぬ。しかしこの空の支配者は余唯一人。ゆえに余に名はいらぬ」

坂本「……ん?」

エーリカ「あれ?」

シャーリー「いや、もういいから。そういうのいいから」

余「何がいいのか分からんな。何を言っているのだ?さっきから。」

それはこっちの台詞だ、という言葉を全員が飲み込む。

芳佳「えっと、それじゃなんて呼んだらいいか分からないです!」

612 :空の王な俺[sage]:2011/01/09(日) 03:28:14.10 ID:WKyDyCbD0

余「余を呼ぶときは、『空の王』または『陛下』と呼ぶがいい。」

エーリカ「それじゃ余っさん」

余「……『陛下』、と呼べ。」

シャーリー「はいはい分かった分かった。じゃーよっさん、あたしが案内してあげるよ。まずは部屋でいいよな?」

余「だから『陛下』と……。まぁいい。よかろう、案内せよ。」

連れ立って歩いていく二人を残りのメンバーは一部は呆気に取られて、残りは幾分か面白そうに、見送るのだった。




書き溜め尽きたからここまで。
次回投下時期は不明。
っていうか俺はこれを続ける気なのか?まだ未完のがあるのに。
そんな感じ。

613 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 03:31:57.03 ID:uK4k6P930
先が読めねぇwww

614 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/01/09(日) 03:34:41.43 ID:DxhdZ05I0
おつおつ
これから楽しみだ




最終更新:2013年02月02日 13:42