翌日

~行方不明から11日目~


---エイラ&サーニャの部屋---

エイラ「なぁ、サーニャ・・・」

サーニャ「なに、エイラ?」

エイラ「今日も、俺を探すのカ・・・?」

サーニャ「うん・・・でも、どうしてそんなこと聞くの?」

エイラ「だって、もう10日以上経ってるんだゾ・・・?それにいくら交信したって、全然返事なんか返ってこないじゃないカ・・・」

サーニャ「エイラは、諦めちゃったの・・・?」

エイラ「・・・・・」

アイツに生きていてほしいと願う反面、心のどこかでアイツに帰って来てほしくないと思うワタシもいた・・・
俺に対して拭いきれなかったこのモヤモヤとした感情が、ワタシにそう思わせていた。

エイラ「サーニャは・・・どうして諦めないんだヨ・・・」

サーニャはワタシの大切な人で、ワタシの戦う理由・・・だから、ワタシはサーニャの隣でずっと、サーニャを守り続けていたい。
でも、俺がいることで、その居場所を俺にとられてしまいそうなのが怖かった・・・ワタシはただ、その居場所を奪われたくなかった・・・

サーニャ「だって、諦めたくないから・・・それに、芳佳ちゃんとも約束したから・・・絶対にあきらめたりしないって・・・」

サーニャ「ねぇ、最近のエイラ、ちょっと変・・・どうして、そんなこと言うの・・・?」

エイラ「・・・サーニャこそなんだよ・・・俺、俺って・・・」

サーニャ「エイラ・・・?」

エイラ「サーニャはそんなに・・・そんなにアイツのこと、大切なのかヨ!?」

サーニャ「当たり前よ!」

エイラ「!?」

サーニャが真剣な表情で私を見つめる。こんな風にサーニャの怒った顔を見たのは、去年の夏の作戦の時以来だ。

サーニャ「だって・・・ずっと一緒にここまで来た大事な仲間・・・ううん、家族だもの・・・それに・・・」

ワタシにはなぜかその先の言葉が読めてしまった。それはワタシが一番聞きたくなかった言葉。聞かないようにしてきた言葉・・・

サーニャ「だって、私・・・」

嫌だ・・・お願い・・・言わないで・・・私の居場所が・・・なくなってしまう・・・

サーニャ「私・・・俺さんの事が好きなの・・・っ!」

エイラ「!! クッ・・・!」ダッ!

バタン!

サーニャ「エイラ!」

タッタッタ

エイラ「うぅ・・・くっ・・・」

一番聞きたくなかった答え・・・もう、私の居場所はなくなってしまった・・・
この悲しみを誰にも聞かれたくなくて、今にも消えてしまいたくて・・・



ワタシは一人、空へと逃げた・・・



---男の家---

男「そうか。では仲間の元へ戻るのだな、少年。」

俺「はい。ちゃんと、生きる理由が見つかりました・・・それに、子供たちとも約束しましたから。絶対にネウロイをやっつけるって。」

男「それでいい。命はいつ潰えるかわからん。だからこそ、死に際に良き人生だったと胸を張って言えるように、『今』を精一杯生きるのだ。」

俺「はい。」

男「少年、お前に再び翼を授けよう。来い。」

---ガレージ---

俺「これは・・・」

男「驚いたか。私の手にかかればこんなものは朝飯前だ。」

目の前には前の水色と白のカラーリングから一変、赤と白のカラーリングへと変貌した俺のストライカーがあった。そして地面には、俺のなくしたはずの武器一式が全てがそろえて置いてあった。

男「少年、お前はこのストライカーを『オルフェウス』と呼んでいたな?」

俺「はいっス。」

男「よし、では今日からこのストライカーは『オルフェウス・改』だ。」

俺「・・・・・」

男「なんだその『うわぁ・・・安直だなぁ』と言いたげな顔は・・・まぁいい。こいつの故障の原因はどうやらこいつのブラックボックスの部分にあったようだ。」

俺「ああ・・・弄るときに、ここだけは触るなって言われてた・・・」

整備兵も俺も、このストライカーの中に埋め込まれたブラックボックスの部分はいじるなと言われ、それを今日まで守り続けていた。男さんはここに異常があったのだという。

男「・・・こいつは、装備者の意思を読み取り、魔力で作り出したフラップを自動で調節することで理想のマニューバと速度を実現することができる。」

男「・・・が、その代償としてフラップを作り出すために通常のストライカーの2倍以上の魔力を要求し、そして装備者から常に魔力を吸い取り続ける。」

いつも無表情だったさんの顔が急に険しくなる。

俺「・・・?」

男「お前は、こいつを履いてからよく意識を失うことはなかったか?」

俺「はいっス・・・初めのうちは、何度も・・・」

それも随分前の話だ。今はもう慣れたし、何よりスカアハの力がある今は、魔力に余裕も出てきたから特に気にしてもいないけれど。

男「そうか・・・その原因はすべてこの死神のストライカー所為だ・・・すまなかった・・・」

俺「? なんで謝るスか?」

男「・・・私が、この忌々しいストライカーを作ったからだ。」

俺「えっ・・・」

男「技研を辞めたのも、7年前にこのストライカーを作り、愛する者を死の淵まで追いやったからだ・・・」

それから、男さんは自分の過去を話してくれた。

男さんには交際していたウィッチの女性がいた。
彼女は男さんよりも年下で、幾度か交流を重ねるうちに自然と愛し合うようになったという。

ある日、男さんはこのストライカーの開発に成功し、テストパイロットとして彼女を選んだ。それが男さんにとっての間違いだった。
彼女はそのストライカーを履き、急激に魔力を奪われた所為で昏睡状態へと陥ってしまい、そして今も病院で眠り続けているという・・・

男「それ以降このストライカーの開発計画は凍結し、廃棄され、同時に私も技研を辞した。しかし、まさかこうして私の罪は掘り返されてしまうとは思いもしなかった・・・」

男「だが・・・使う者がお前でよかった。お前ならばこの翼でも十分に飛ぶことができる魔力を有している。それに、お前は私が助けた人間だからな。私は善人しか救わん。」

俺「はぁ・・・そうっスか・・・」

その時だった。

ヴン

俺「!!」

突然俺の魔導針が反応を示す。ここ10日以上出現しなかったネウロイが今になって出現した。しかも方角は確実に人の住んでいる街へと侵攻している。さらに・・・

俺「なんだよこの数・・・10・・・20・・・いや100以上か!?」

何より異常な量だった。その大半が小型でその中心にX級が一機だ。
それに今は夜だ。と言うことは・・・

俺「彼女が危ない!」

男「彼女・・・?」

俺「俺の仲間です!すみません、俺、いかなくちゃ・・・」

男「そうか。その彼女とは、お前にとって相当に大切な者なんだな。」

俺「はい・・・俺の・・・家族ですから。」

男「分かった。このストライカーについて手短に説明する。よく聞け。」

それから約2分程の説明を受けた俺はストライカーに足を通し、急いで飛び立つ準備に取り掛かる。

俺「つまり、ほとんど変わってないってことっスね。」

男「まぁ、そういうことになるな。」

それから俺はスロットルを回し、魔方陣を展開する。

俺「すみません、何から何まで・・・」

男「フッ・・・いいか、惚れた女は死んでも守れ。私のようにはなるなよ。分かったな。」

俺「へ!?は、はいっス!」

男「それともう一つ。生は妄執を貫いてこそだ。どんなに馬鹿にされ、罵られようとも、一度志した妄執は何があっても貫き通せ。」

俺は頷いて返事を返す。そして男さんは天空に指を掲げる。

男「行け、俺よ!」

俺「お世話になりました!!」

そして俺は、夜の空へと飛び立った。

ブォン!

男「・・・いい主人に巡り合えたな。『タナトス』いや・・・『オルフェウス』よ・・・」

・・・ ・・・ ・・・

俺「待っててください・・・俺が、絶対に守るっス!」

---501基地内ハンガー---

サーニャ「エイラ・・・!エイラ・・・!!」ハァハァ

基地中を走って探した。でも、エイラがどこにもいない・・・

サーニャ「どうして・・・エイラ・・・どこなの・・・」ハァハァ

整備兵「リトヴャク中尉?どうかなされましたか?」

サーニャ「あの・・・エイラを・・・エイラを見ませんでしたか・・・?」

整備兵「ユーティライネン中尉ですか?ええ、随分前にストライカーで出て行かれたようですが・・・」

整備兵の人がそう言い終わった時だった。

サーニャ「!!」ヴン

突然私の魔導針が反応した。同時に、異常な数のネウロイの反応を捉える。

整備兵「まさか・・・ネウロイですか!?」

そして、その侵攻先に捉えた覚えのある反応があった。これは・・・

サーニャ「エイラ!!」

このままじゃ、エイラが危ない・・・!!

サーニャ「すぐにストライカーを準備してください!」

整備兵「いえ、しかし・・・」

サーニャ「エイラが・・・エイラが危ないんです!!お願い!!」

整備兵「りょ、了解!!」

すぐに武器とストライカーを準備してもらった私は急いで空へと飛び立つ。私の大切な人を助けるために。

お願い・・・無事でいて・・・エイラ・・・


---501基地内ブリーフィングルーム---

ウウウウウゥゥゥゥー…

基地に鳴り響く警報。それを聞きつけたウィッチたちが、急いでブリーフィングルームへと集まる。

坂本「ここ最近現れないと思えば・・・このタイミングで来たか・・・」

エーリカ「それに・・・その数おかしいって・・・」

ミーナ「目標は、鈍足ですが確実に街の方へと向かっています。それと・・・」

ミーナ「サーニャさんが、独断で出撃したエイラさんの救出のために先に向かっています。」

ゲルト「バカな!?あの数の中を一人で向かわせるのは危険だ!なぜ止めなかった!?」

ミーナ「私だって止めたかったわよ!!」

ゲルト「!!」

ミーナ「でも・・・遅かったの・・・それに彼女にとって、エイラさんはそれほどの存在なの・・・止められる人なんて・・・誰もいないわ・・・」

リーネ「ミーナ隊長・・・」

ミーナ「ごめんなさい・・・少し取り乱したわ・・・ではこれより、先行した2人の救出及び、ネウロイの掃討へ向かいます。厳しい戦いになると思いますから、心してください。各員、準備を!」

全員「了解!!」


---カールスラント上空---

エイラ「グスッ・・・うぅ・・・ヒグッ・・・」

ワタシは、空の真ん中で泣き続けた・・・いっそこのままどこか遠くへ消えてしまおう・・・そんなことを考えていたら、

エイラ「あれ・・・?」グスッ

霞んだ目に映る、大量の黒い物体。初めはなんなのかわからなかったけど、その正体はすぐに分かった・・・

エイラ「うそ・・・ダロ・・・」

ワタシの視線の先には、今までに見たことがないほどの大量のネウロイが迫ってきていた。そして、その小型ネウロイの軍勢は徐々にスピードをあげ、ワタシへと迫ってきた。

エイラ「もう・・・いいや・・・」

居場所を失ったワタシにはもう、逃げる気力もなかった・・・このままネウロイに撃墜されるのも悪くはないかもしれない・・・
赤い光を蓄えながらぐんぐんと迫りくる黒い塊。奴らのビーム射程の距離に入るまでもうそれほど時間もかからないだろう。

エイラ「さようなら、サーニャ・・・みんな・・・」

そして・・・










『俺の家族に手ェ出すなァァァァァァ!!』









エイラ「えっ・・・?」

ゴオオオオオォォォ

もう眼前まで迫っていたはずのネウロイは、突然青い炎を上げて燃え始めた。

さらに・・・

ガバッ!

ワタシは不意に誰かに抱えられた。

?「しっかり掴まってください!」

何がなんだかわからないまま、ワタシはその言葉に従った。
やがて、ワタシを抱えたソイツはネウロイから距離を取りつつ高度を上げ続け、雲の上へと出た。

?「よかった。怪我、無いみたいっスね。」

エイラ「嘘・・・お前・・・なんで・・・」

ようやく見えたその顔。それは紛れもなく・・・

エイラ「俺・・・」

♪Reach Out To The Truth -Persona Music Band Arrange-

俺「すみません、ちょっと道が混んでて遅れたっス。」ニッ

相変わらずの、歯を見せた無邪気な笑みを湛えてソイツはそう言った。

エイラ「なんで・・・」

俺「・・・?」

エイラ「なんで助けたんダヨ・・・」

俺「・・・・・」

エイラ「ワタシ・・・オマエに酷いこと言ったのに・・・ワタシを恨んでるはずなのに・・・」

俺「エイラさん。」

エイラ「もう居場所もなくなって・・・消えたかった・・・なのに・・・どうして助けたんダヨ!?」

俺「エイラさん!!」

エイラ「!!」

俺「そんな悲しいこと、言わないでください・・・」

エイラ「・・・・・」

俺「俺は、エイラさんのいない世界なんか絶対に嫌です。」

エイラ「! ・・・・・」

俺「俺はエイラさんの事、微塵も恨んでなんか無いっス。それに、あなたが消えたりなんかしたら、あなたと関わってきた人はみんな悲しみます。」

エイラ「誰も・・・悲しんだりなんか・・・」

俺「そんなことない!少なくとも、俺は・・・絶対に悲しいです・・・それに、サーニャさんが悲しまないわけないじゃないっスか。」

エイラ「!」

俺「他のみんなだってそうです。だから、消えたいだなんて、言わないでください。」

エイラ「・・・・・」

その時。

ビシュン! ビシュン!

俺「チッ・・・!」

突然雲間から飛び出す赤い光。俺はそれを瞬時にシールドで防ぎ、銃で迫っていたネウロイを破壊した。

俺「あんまりゆっくりお話しする時間はなさそうっスね・・・続きはまた帰った時にしましょう。」

そう言って俺は持っていた短機関銃をワタシに渡す。

俺「それ持って逃げてください。何もないよりはきっとましっス。」

エイラ「逃げるって・・・オマエは・・・?」

俺「ここで、あいつらを足止めします。少しは時間稼ぎになると思うっス。」

エイラ「無茶ダ!」

俺「無茶なのは承知っス。でも、男にはやらなくちゃならない時もあるんスよ。」

エイラ「やらなくちゃって・・・死ぬ気かヨ・・・」

俺「心配いらないっスよ。俺、なんか昔『銀獅子』って呼ばれてたみたいっスから。それって、なんか強そうじゃないっスか?」

エイラ「だからって・・・」

俺「それに、伊達に刀一本でナイトウィッチやってないっスよ。」ニッ

エイラ「俺・・・」

俺「さ、行ってください。大丈夫っス。エイラさんには指一本触れさせません。俺が絶対に守ります。」

エイラ「・・・ごめん・・・」ブォン

いつもの武器を持っていない今のワタシじゃ、たぶんただの足手まといにしかならない・・・

ワタシは踵を返し、基地へと急いで戻った。

俺「さてと、よくも俺の家族に手ェ上げようとしたっスね・・・」

エイラが撤退したことを確認し、俺は静かに目を閉じ、柄に手を掛けた後、再び見開く。

俺「覚悟しろ、今日の俺はいつもより強いぞ。」シャン

見開いた双眸から確かな威圧を発し、刀を抜き打つ。

俺「おおおおォォッ!!」

刀に剣気と炎を纏わせ、彼は勢いよく異形の軍勢へと突っ込んでいった。

一方・・・

サーニャ「エイラ!」

エイラ「サーニャ!!」

基地へと戻る道中で、ようやく二人は再開した。

エイラ「ごめん・・・サーニャ・・・ワタシ・・・」

ギュッ

突然、サーニャがエイラに抱き着く。

サーニャ「ばか・・・」

エイラ「サーニャ・・・」

サーニャ「どうして・・・勝手に行っちゃうの・・・?」

エイラ「ゴメンな・・・」ナデナデ

サーニャ「もう嫌・・・これ以上大事な人がいなくなるのは・・・俺さんもいなくなってエイラまでいなくなったら・・・私・・・お願い・・・一人にしないで・・・」

エイラ「!」

エイラ(・・・そっか・・・バカだなワタシ・・・サーニャが誰を好きになったって、ワタシの居場所はサーニャの近くにちゃんとあるじゃないカ・・・)

エイラ「ゴメン、もうどこにも行かないヨ。サーニャは私が守るんだからナ。」ニッ

サーニャ「エイラ・・・うん・・・!」

エイラ「・・・そうダ!俺が大変なんダ!」

サーニャ「俺・・・さん・・・?」

エイラ「ああ!あいつ、今一人で戦ってるんダ!!ワタシに逃げろって、これ渡して・・・」

サーニャ「これ・・・俺さんの・・・俺さん・・・生きてるの・・・?」

エイラ「ああ。生きてる。だから、応援を・・・」

サーニャ「・・・うん・・・でも、大丈夫よ。ほら、耳を澄まして・・・」

エイラ「・・・?」

エイラは耳を側だたせよく音を聞く。すると・・・

ブロロロロロロロロロ…

聞こえてきたのは聞きなれたストライカーの音。そう、それは・・・

エイラ「みんな・・・!」

その一方・・・

眼前へと迫りくる異形の軍勢。

俺「おおおおおおお!!!」ザシュッ! ズバッ!

それを一閃、ニ閃と薙ぎ払う。

夜空に青の刃が閃く度、異形はその形を崩し、焼かれ、破片となって砕け散る。

俺「燃えろッ!!」ゴオオォォォ

斬り、刺し、貫き、穿つ。

砕き、抉り、凪ぎ、そして屠る。

ただひたすらに切って、截って、伐って、斬り伏せる。

孤軍奮闘。

持てる力のすべてをもって、異形の大群へと挑む。

が、当然彼自身も無事であるはずがなかった。

ビシュンビシュンビシュン!!

ジュッ!

俺「グッ・・・!?クソッ・・・ゼェ・・・ゼェ・・・」

四方八方から放たれる赤い閃光。それを防ぎ切るには至らず、額からは血が流れ、脇腹は若干だが抉られ、左肩も焼かれていた。

俺「死なねぇよ・・・守りきるんだ・・・絶対に・・・!!」

そう口にしたその時、

『トネェェェル!!』

バリバリバリ!!

バキィィンバキィィン!!

俺「!?」

突如、夜空を駆ける雷光。瞬く間に彼を取り囲んでいたネウロイたちは白い破片へと姿を変えた。

ペリーヌ「全く・・・あまり使わせてほしくありませんわね・・・あら、俺さん、ごきげんよう。」

俺「ペリーヌさん・・・?」

エーリカ「やっほー俺~」バラララララララララララ

ゲルト「こら!集中しろハルトマン!」バララララララララララ

俺「ハルトマン中尉・・・バルクホルン大尉・・・」

シャーリー「あたしらもいるぞ!!」バラララララララララララ

ルッキーニ「俺をいじめるなー!!」ガガガガガガガガ

俺「シャーリーさん、ルッキーニさん・・・」

リーネ「俺さんは、一人なんかじゃありません!!」ダンッ!

ミーナ「よく一人で耐えてくれたわ!・・・それと戻ったら、お説教ね。」バラララララララララ

俺「リーネさん・・・ミーナ隊長も・・・」

エイラ「オマエを、一人になんかさせない!」ガガガガガガガガガガガ

サーニャ「俺さんは、私たちが守ります・・・!」バシュッ バシュッ

俺「エイラさん!それに・・・サーニャさんも・・・みんな・・・」

ドガガガガガガガガガ!!

瞬く間に異形の群れはウィッチーズによって薙ぎ払われる。

ミーナ「各機に通達。なにがあってもここは死守します!全機、散開し、各個撃破に当たれ!!」

全員「了解!!」

ミーナ「俺一等兵!返事は!?」

俺「りょ、了解っス!!」

一気に大攻勢に転じるウィッチーズたち。孤軍の時とは違い、彼女たちは異形を圧倒してゆく。

が、数分後

エーリカ「もうダメ・・・数多すぎ・・・」バララララララララ

ゲルト「馬鹿者!弱音を吐くな!!」バララララララララ

ミーナ「確かにこれは多すぎね・・・リトヴャク中尉、残り敵数は!?」

サーニャ「あと200以上はいます・・・!きゃっ!」

シャーリー「っと!大丈夫か?」

サーニャ「は、はい。すみません・・・」

エイラ「この!サーニャに手を出すなぁぁ!!」ガガガガガガガガガ

ペリーヌ「これではキリがありませんわね・・・」

ミーナ「コアを持っているのは明らかにあのネウロイね・・・」

ミーナの見据えた先。数多の異形の中心で、悠々と浮遊する飛行船のようなフォルムのネウロイ。いや、むしろそれは爆弾と言ったほうが近いかもしれない。

リーネ「あのネウロイ・・・さっき攻撃してみたんですけど、再生速度が異常でした・・・それに、装甲自体も相当固いみたいです・・・」

ゲルト「となると、高火力でなければ弾の無駄遣いか・・・」

俺「どうすれば・・・」

ルシフェル――私の力が必要か?―――

俺(な、なんスかお前急に!)

ルシフェル――お前の力を・・・ペルソナを使えばいい――

俺(ペルソナを・・・?)

ルシフェル――お前、一度使ったきり、上空で力を使ったことがないだろう・・・――

俺(そういえば・・・なかったっスね・・・)

ルシフェル――安心しろ、私がサポートしてやる。――

俺(でも、召喚器が・・・)

ルシフェル――なんだ、無くしたのか?だったら・・・――パチン

俺「おう!?」パシッ

突如、彼の手元にハンドガン・・・もとい、召喚器が落ちてきた。

ルシフェル――まずは仲間に援護してもらえ。召喚すると無防備になるからな。――

俺「すみません!俺を、援護してもらえますか!?」

ゲルト「あ、あぁ。それは構わんが・・・」

ルシフェル――それと、こう言ってやれ。一撃で仕留めると。――

俺「そのかわり、一撃で仕留めるっス!」

ミーナ「よくわからないけど・・・信じていいのね?」

俺「はい!多分・・・」ボソッ

ミーナ「了解。全機、全力で俺さんを援護します!」

全員「了解!」

ルシフェル――まずは手始めだ。英霊を召喚しろ。お前に力を与えてくれる。――

俺「ヨシツネ!」バァン

銃型の召喚器をこめかみにあてがい、トリガーを引き、召喚。

彼の背後から現れたのは扶桑に伝わる源平合戦の英雄ヨシツネ。眩い朱色の鎧を身にまとい、頭には烏帽子。腰には二振りの小太刀を携える。

ヨシツネが俺の頭へと手を乗せる。瞬間、彼の体の中を電流が流れるような感覚が駆け巡る。

俺「!? なんか力がみなぎってきた気が・・・」

ルシフェル――次だ。蠅の王を呼べ。敵を弱体化させろ。――

俺「ベルゼブブ!!」バァン

続いて現れたのは蠅の王ベルゼブブ。見た目はまさしく巨大な蠅。首には髑髏の首飾り。手には同じく髑髏の錫杖。

ルッキーニ「ムシー!かっちょいい!!」

シャーリー「あ、あんまよそ見するなよ、ルッキーニ。」

蠅の王は錫杖をネウロイへと向け、掲げる。するとネウロイを、膜のような紫色の光が覆う。

ルシフェル――上出来だ。最後に、守護天使を呼べ。ほんの一瞬だが、お前に追い風を与える。――

俺「スラオシャ!」バァン

最後にに顕現するは、この世界には存在しない思想の天使、スラオシャ。美しい4枚の青い羽根を携える天使は、俺の頭へと手を乗せる。刹那、俺の体の周りが黄緑色に発光する。これにより、数十秒の間だがストライカーの速度が上がる。

ルシフェル――よし、準備は整った。奴の頭上から襲いかかってやれ。高さは、そうだな・・・船、八艘分といったところか。――

小型ネウロイたちの間を剽悍に、縫うように駆け抜け、X級ネウロイの頭上へとたどり着く。その時点で、俺の体の周りの光が消える。

俺「行くぞ!!」

抜刀し、切先に魔力を集め、蒼炎でリーチを伸ばす。それからエンジンを停止させ、自由落下の態勢へと入る。

目には血が入り、痛みで見開くことが難しい。それでも懸命に見開き、魔眼でコアの位置を捉えながらそこへ向かって垂直にネウロイへと襲い掛かる。

迎撃のためネウロイは火線を束ね、俺を落さんとする。しかし彼は止まらない。

迫りくる赤は、振り下ろした刃に纏われた青によって両断される。速度を緩めることなく彼はネウロイへと落下を続ける。

俺「おおおおお!!」

ルシフェル――行くぞ、これこそが必殺・・・ジュゲムジュゲム午後の紅茶ストレートフラッシュロイヤル・・・――

俺「長い!名前ならこれで十分だ!」

再び振りかぶり、渾身の力を込めて・・・

俺「八艘飛び!!」

ドガアアアァァァァ!!

落下の勢いのまま、刀をコアを覆う装甲へと叩きつける。

豪快な音が鳴り響くと同時に、ネウロイは、青い炎に焼かれながら真っ二つに焼き斬られ、

バリィィン!!


その身を華々しく散らし、夜空に白い大輪を咲かせた。

それはまるで、夏に見た花火のように・・・


親機の崩壊に続いて、小型も、次々とその形を失って行く。

エイラ「倒した・・・のカ・・・?」

シャーリー「・・・あっはっは!すごいな!まるで烈風斬じゃないか!」

エーリカ「すごー・・・」

俺「ゼェッ・・・ゼェッ・・・終わったか・・・」

ダキッ!

俺「んお!?」ズキッ

サーニャ「よかった・・・生きてて・・・本当に・・・」

俺「さ、サーニャさん・・・すみません、心配してくれたんですか?」

サーニャ「当たり前です・・・どこ・・・行ってたんですか・・・」

俺「あはは・・・ちょっと心の旅に・・・」

サーニャ「バカ・・・エイラも、俺さんも・・・バカです・・・」

俺「サーニャさん・・・」

サーニャ「もう、どこにも行かないで・・・ずっと・・・ここにいてください・・・あなたと、離れたく・・・ない・・・」

俺「へ!?///」

サーニャ「っ! ・・・///」

二人の感情を表すかのように、魔導針がほのかに桃色に染まる。

エーリカ「止めなくていいの、エイラ?」

エイラ「ぐぬぬ・・・き・・・今日ダケ、ダカンナ・・・」

サーニャ「あ、あの・・・それと・・・///」

俺「は、はい・・・?」

サーニャ「おかえりなさい・・・///」ニコッ

サーニャのその言葉にほかの仲間たちも、柔らかな笑顔で俺に笑いかける。

そして俺も、精一杯の笑顔でこう返した。

俺「・・・ただいまっス!」ニッ

続き→ペルソナ18
最終更新:2013年01月29日 14:22