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ファンタズミック!

エンターテイメント:Fantasmic!

世界のディズニーパークで上演されているナイトタイム・ショー。花火や水やレーザーの演出に加え、キャラクターやデコレーションされたフロートが水上を移動する。初演は1992年で、世界的に見ても早い段階からウォータースクリーンを導入したプロジェクションマッピングの演出が取られている。

パークによって上演ステージの形が異なり内容にも差異はあるが、ミッキーマウスがイマジネーションの力で王妃の率いるディズニー・ヴィランズ*と対決する点は同じ。

音楽はブルース・ヒーリー*。オリジナルにあたる1992年アナハイム版の音源は2015年発売の『The Legacy Collection: Disneyland*』に収録されている。

かつては東京ディズニーランドにも導入が検討されていたが、水上ショーを行うエリアがないという理由で、パレードにアレンジした「ディズニー・ファンティリュージョン!*」(1995年)として上演された。そのパレードに登場する悪役が魔女アースラチェルナボーグマレフィセントなのはアナハイム版「ファンタズミック!」に登場するヴィランズがこの面々だからである。

フィナーレではディズニーキャラクターが大量に登場するのが特徴。この面々は回によって異なり、新しい映画のキャラクターが追加されることもしばしばある。

ディズニーランド

名前:ファンタズミック!
原題:Fantasmic!
オープン(1992年版):1992年5月13日~2016年1月15日
オープン(2017年版):2017年7月17日
上演場所:フロンティアランド / ニューオーリンズ・スクエア
※ファストパス対応



1992年、夜になると閉鎖される「トムソーヤ島」とその手前のアメリカ河のスペースを活用するため、花火と水を使ったナイトタイム・ショーとして開始した。

当初は、島の中央にスクリーンを一つ設置する計画だったが、対岸から映像を見るためにはスクリーンが3つ必要であった。広範囲のウォータースクリーンを設置することとなり、「蒸気船マークトウェイン号」の船着き場のすぐ北にある川沿いの小さな建物がポンプハウスとしての役割を果たすことになった。噴水用の水は地下の取水管から供給された。

ショーでは花火用の艀が6つ使われており、ショー3回分の燃料が保管できる。2つはステージの両側でもう2つはステージ中央に位置している。クライマックスの爆風は艀ではなくトム・ソーヤ島の土手沿いにある5つの鉱山から発射されている。

炎のエフェクトはアメリカ河の下を流れるガスラインから供給される。かつてはドラゴンが発火源であったが、ドラゴンの頭が燃えてしまうハプニングを防ぐために、空中で点火する方法に変更した。結果として炎がより印象的に広がる演出となった。

照明システムはニューオーリンズ・スクエア側の3つの塔とトムソーヤ島の2つの塔が中心となり、さらにいくつかの補助システムによって照射されている。システムは2008年のLED化の際に大幅リニューアルがされている。

フィナーレには実際の蒸気動力によって動くアトラクションの蒸気船マークトウェイン号が登場する。動力を供給するボイラーは低速、高速、ファンタズミック用に分かれており、ショーの最中は通常のアトラクション時よりも高速で動いている。

海賊船として登場する帆船コロンビア号は圧縮天然ガスで動いており、実際の大砲がこのショーで使用されている。

2008年の冬、改修工事の際に70mmフィルムプロジェクションから高精細デジタルプロジェクターに変更され、「ピンク・エレファンツ・オン・パレード」とティンカー・ベルのシーンで圧倒的に鮮明な映像が視聴できるようになった。また、花火用の艀の改修も行われた。『ピーター・パン』のシーンに登場するチクタクワニにも改良が加えられた。また、アースラのフロートが廃止されてジェットサムフロットサムの水上スキーが登場するようになったが、2013年夏頃には廃止された。

2009年9月1日にはマレフィセントドラゴンのオーディオアニマトロニクス*が新型にリニューアルされた。旧型は遅延が頻発しており、海外のファンからはマーフィーの法則に由来してマーフィーというあだ名がつけられていた。旧型は首がメインだったが、新型はフルボディとなり高さは約45フィートにも及んだ。操作のトラブルにより新型ドラゴンは当初の予定だった6月15日より遅れて投入された。この変更に合わせてフィナーレの振り付けと花火のタイミングも変更された。

2010年2月初旬にはアメリカ河の水が入れ替えられ、蒸気船マークトウェイン号と帆船コロンビア号に改修が入り、軌道も変更となった。ショーの水中効果もメンテナンスが行われ、フィナーレのレーザーがアップグレードされた。5月28日にショーが再開した。8月28日には新型のドラゴンがパフォーマンス中に故障。修理が行われ、11月12日に復帰した。

2014年1月7日から2月13日までにかけて、年末年始明けの短い改修が行われ、当初から使っていた固定式の噴水を「ワールド・オブ・カラー*」仕様の噴水に変更し、ステージ上のダンサーの動きを効果的に照らす個々のLED照明が導入された。しかし、この時追加した噴水は遅延が多く、2015年に撤去され、改良を加えて2017年に復活した。

2014年11月6日、「ワールド・オブ・カラー」と同様に鑑賞エリアの予約券であるディズニー・ファストパス*対応を開始。同じく鑑賞エリアの入場券が付いたダイニング・パッケージの販売も開始した。

2016年7月28日、新エリアのスター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ(2019年オープン)の開発に伴い、アメリカ河に属するアトラクションが2017年夏まで休止することとなった。「ファンタズミック!」も同様に休止していたが、2017年4月17日に初めて内容がリニューアルされることが発表された。

新バージョンは2017年7月17日の開園記念日に開始し、初の大幅リニューアルという意味を込めてファンの間では「Fantasmic! 2.0」と呼ばれるようになった。追加シーンは主に1992年以降に公開された映画の場面となり、また2011年に開始した東京版のテーマソング「Imagination!」も逆輸入されることとなった。帆船コロンビア号のシーンが『ピーター・パン』の海賊船から『パイレーツ・オブ・カリビアン』の海賊船へと変更された。

ストーリー

ショーが始まるとミッキーマウスが現れて水を操る。ウォータースクリーンに『魔法使いの弟子』の映像が流れ始め、暗転する。花のアニメーションが流れた後、ステージには花が咲き誇り、『ジャングル・ブック』の巨大カーが登場。キング・ルーイなどカラフルな猿が踊り出す。『ダンボ』と『ピノキオ』が登場。次にジミニー・クリケットが登場してモンストロが暴れ始める。スクリーンに海賊船が映ると、海賊船に扮した帆船コロンビア号が現れてピーター・パンとフック船長の決闘が演じられる。

その後、プリンセスとプリンスの乗った水上フロートが3台現れてプリンセス・メドレーが展開される。彼らが撤退すると『白雪姫』の王妃が現れて魔法の鏡を呼び出し、魔女に変身しディズニー・ヴィランズを呼び出す。最終的にマレフィセントがドラゴンに変身するが、『ミッキーの巨人退治』の衣装をまとったミッキーのイマジネーションによってヴィランズは倒される。

フィナーレには花火をまとった蒸気船マークトウェイン号が登場し、ディズニーキャラクターたちがリボンを振ってお祝いする。舵を握るのは『蒸気船ウィリー』をイメージしたモノクロのミッキーマウス。マークトウェイン号が退場すると、『魔法使いの弟子』のミッキーがステージ中央に現れ、豪快に花火を操りショーはクライマックスを迎える。

2017年版

ジャングルのシーンに東京版の『ライオン・キング』の楽曲が追加された。『ピノキオ』の人形劇のシーンの代わりに同じく東京版からジーニーのシーンが追加され、映像は新規のものが使用された。その後には『リトル・マーメイド』や『ファインディング・ニモ』の海の場面が挿入される。

帆船コロンビア号の『ピーター・パン』のシーンは『パイレーツ・オブ・カリビアン』仕様に変更された。

3組のプリンセスのシーンの前には魔法のじゅうたんに乗るアラジンジャスミンの出番が追加されている。3組のメドレーは白雪姫がリストラされ、代わりにラプンツェルが加入している。

ヴィランズのシーンは、1992年版では王妃が魔法の鏡を召喚していたが、2017年版では東京版と同様にミッキーが魔法の鏡に吸い込まれ、鏡の中の王妃がミッキーの夢を乗っ取る展開となった。

キャスト

1992年版 2017年版
ミッキーマウス ウェイン・オルウィン ブレット・アイワン
ジーニー - ロビン・ウィリアムズ
ジミニー・クリケット エディ・キャロル
ピーター・パン -
ウェンディ・ダーリング -
フック船長 コーリー・バートン -
ミスター・スミー コーリー・バートン -
ジャック・スパロウ - ジャレッド・バトラー
ヘクター・バルボッサ - ジェフリー・ラッシュ
ヘザー・ヘッドリー*
クリス・マン*
王妃 ルイーズ・チャミス*
魔法の鏡 トニー・ジェイ コーリー・バートン
アースラ パット・キャロル
チェルナボーグ コーリー・バートン
マレフィセント リンダ・ゲイリー*
アナウンス リンダ・ゲイリー

★…ライブラリ音声

楽曲


ディズニー・ハリウッド・スタジオ

名前:ファンタズミック!
原題:Fantasmic!
オープン:1998年10月15日
上演場所:サンセット・ブールバード
※ファストパス対応



フロリダ版は1998年にハリウッド・ヒルズ・アンフィシアター*というステージで開始した。ハリウッド・ヒルズ・アンフィシアターとは、フロリダのDHSにはアナハイムほどの水上ステージがなかったために作られた特設ステージ。7,000席と立ち見席3,000人分のスペースがあり、10,000人収容することが可能。このステージはアナハイム版より遥かに広く、中央ステージには約15mにおよぶ岩山がそびえており、ステージ内の水量は720万リットルにも及ぶ。

フィナーレに登場する蒸気船はアナハイム版と違って特設のものであるため、『蒸気船ウィリー』のデザインを再現している。

悪天候の場合には危険防止のために出演者やフロートの登場数が限られ、代わりに「4月の雨*」と『禿山の一夜』をテーマにした約4分間の噴水のディスプレイが上演される。

2010年9月頃に設備がリニューアルされた。2010年代には映像の変更も加えられ、アニメーションのメドレーパートにおいて『プリンセスと魔法のキス』『塔の上のラプンツェル』『アナと雪の女王』の映像も追加されている。

2015年9月15日から、ポップ・シークレット(ポップコーンの企業)がスポンサーを務めている。

ストーリー

ショーが始まるとミッキーマウスが現れて水を操る。ウォータースクリーンに『魔法使いの弟子』の映像が流れ始め、暗転する。花のアニメーションが流れた後、ステージには花が咲き誇り、『ジャングル・ブック』の巨大カーが登場し、キング・ルーイなどカラフルな猿が踊り出す。アニメーションで17曲のメドレーが流れた後、ジミニー・クリケットが登場してモンストロが暴れ始める。ジョン・ラトクリフ総督*イギリス*の探検隊が金を掘り始める。そこへネイティブ・アメリカンがカヌーで現れ、戦いが始まる。

その後、プリンセスとプリンスの乗った水上フロートが3台現れてプリンセス・メドレーが展開される。彼らが撤退すると『白雪姫』の王妃が現れて魔法の鏡を呼び出し、魔女に変身しディズニー・ヴィランズを呼び出す。ジャファータイガーヘッドに閉じ込められたミッキーは魔法のじゅうたんに乗って脱出する。アニメーションからステージに戻ったパンツ一丁のミッキーはコブラのジャファーと対峙する。そこへハデスが現れ、今度はチェルナボーグが呼び出される。最終的にマレフィセントがドラゴンに変身するが、ミッキーのイマジネーションによってヴィランズは倒される。

フィナーレには花火をまとった蒸気船が登場し、ディズニーキャラクターたちがリボンを振ってお祝いする。舵を握るのは『蒸気船ウィリー』をイメージしたモノクロのミッキーマウス。マークトウェイン号が退場すると、『魔法使いの弟子』のミッキーがステージ中央の岩山の上に現れ、豪快に花火を操りショーはクライマックスを迎える。

キャスト

ミッキーマウス ウェイン・オルウィン
ジミニー・クリケット エディ・キャロル
ジョン・ラトクリフ総督* デビッド・オグデン・スティアーズ
グランドマザー・ウィロー* リンダ・ハント*
ジェーン・エスリッジ・コレア*
王妃 ルイーズ・チャミス*
魔法の鏡 トニー・ジェイ
アースラ パット・キャロル
クルエラ・ド・ビル スザンヌ・ブレイクスリー
スカー ジム・カミングス
クロード・フロロー判事 トニー・ジェイ
ジャファー ジョナサン・フリーマン
ハデス ジェームズ・ウッズ
チェルナボーグ コーリー・バートン
マレフィセント リンダ・ゲイリー*
アナウンス リンダ・ゲイリー

楽曲


東京ディズニーシー

名前:ファンタズミック!
原題:Fantasmic!
オープン:2011年4月28日~2020年2月28日
上演場所:メディテレーニアンハーバー
前身:ブラヴィッシーモ!*



アメリカ国外で公演された唯一のバージョン。メディテレーニアンハーバーの中央の水上エリアで上演された。エリアの中央には『魔法使いの弟子』の巨大なハットが浮かび、ウォータースクリーン以外にもLEDのアニメーションが流れる映像の投影が行われた。このハット型のスクリーンは冬季にクリスマスツリーのオブジェとして使われているもので、他にも「キャンドルライト・リフレクションズ*」で使用されたバージも再利用されている。また、花火の演出として呼応してTDSのシンボルであるプロメテウス火山*が噴火するようになっている。

「Imagination」というオリジナルのテーマソングが使われており、アナハイムの2017年版に逆輸入された。

総工費は約30億円。オフィシャルスポンサーはNTTドコモが務めた。

開演30分前からは周辺のエリアミュージックが変わり、Yanni*による楽曲が再生される。

映像はアナハイム版とフロリダ版の共通パートから大幅に変更されており、モンストロの暴れるシーンがカットされている。

2011年4月23日に開園10周年記念の一環で上演開始される予定だったが、3月11日の東日本大震災の影響で開始が5日遅れた。さらに2020年3月25日に最終公演を迎えることが予定されていてたが、新型コロナウイルスによる臨時休園のため2月28日分が事実上の最終公演となってしまった、何かと受難の多いショーであった。

ストーリー

ショーが始まるとミッキーマウスが現れて水を操る。中央ハットに『魔法使いの弟子』の映像が流れ始め、暗転する。『リトル・マーメイド』の映像の後、花のアニメーションが流れた後、ステージには花が咲き誇り、『ジャングル・ブック』の巨大カーが登場し、バルー、『ライオン・キング』のプンバァやシンバが踊り出す。その後、水上スキーが登場するスティッチのパートと、球体のスクリーンが登場するジーニーのパートが展開される。

プリンセスのメドレーが流れると、ハットの中央にシンデレラが登場する。その後、ミッキーが魔法の鏡を呼び出し、この世で最高の魔法使いが誰かを訊ねる。ミッキーは鏡に閉じ込められ、鏡の中に映った『白雪姫』の魔女らディズニー・ヴィランズを呼び出す。ミッキーが鏡から脱出すると、最終的にマレフィセントがドラゴンに変身するが、ミッキーのイマジネーションによってヴィランズは倒される。

フィナーレにはディズニーキャラクターの乗った水上フロートが登場する。フロートがすべて撤退すると、『魔法使いの弟子』のミッキーが中央ハット頂上に現れ、豪快に花火を操りショーはクライマックスを迎える。

キャスト

ミッキーマウス 青柳隆志
スティッチ 山寺宏一
ジーニー 山寺宏一
王妃 里見京子
魔法の鏡 大木民夫
アースラ 森公美子
マレフィセント 沢田敏子

楽曲

最終更新:2024年09月08日 23:29