電子戦隊デンジマン

登録日:2011/06/16 Thu 19:17:33
更新日:2025/05/05 Mon 20:52:06
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見よ、電子戦隊!

ン!


電子戦隊デンジマン』とは、1980年から1981年にかけてテレビ朝日系列で放送された東映特撮テレビドラマであり、『スーパー戦隊シリーズ』の第4作目である。全51話。

目次

あらすじ

遥か3000年の昔、超異次元の悪魔・ベーダー一族に滅ぼされたデンジ星から一つの巨大な岩塊状の巨大宇宙船・デンジランドが地球に降り立ち、永い眠りに着いた。

時は流れて現在。
平和を謳歌する地球にベーダー一族が襲来、大暴れを開始した。
ベーダーの襲来を察知して再起動したデンジランドの中でデンジ星の生き残りであるロボット犬・アイシーが目を覚ます。
ベーダーの攻撃で混乱する街でアイシーは5人の若者をスカウトした。
デンジランドに集まった彼らはアイシーから話を聞かされ、電子戦隊としての装備一式を与えられた。
デンジマンとなった5人は街で暴れるベーダー怪物・ムササビラーに立ち向かう。

こうして、地球を守る為にデンジマンとなった5人の若者とベーダー一族との、長く苛烈な戦いが幕を開けた……!


概要

バトルフィーバーJ』に続くマーベルコミックス連携作品であり、スーパー戦隊シリーズ第4作目として扱われる作品。
それまでのシリーズで練られた要素を固め、「○○戦隊」「○○マン」「色別のメンバー」「変身アイテム」「ヘルメットのゴーグル」「変形機構も備えた巨大ロボット」など、『スーパー戦隊』としての多くのフォーマットを確立した作品である。

そのため、本作なくして現在までのスーパー戦隊シリーズはなかったと言ってもよく、コアなスーパー戦隊ファンからは「本当の意味でシリーズの出発点」という観点からも高く評価されている。

当時はSFブームだった影響で初期のエピソードは怪奇色が強く、一般人が残酷に殺される描写が多々あり、怪奇色が鳴りを潜めた中盤でも一般人が無惨な死を遂げることが多かったりと、後年のシリーズに比べて一般人の被害が大きい。
終盤ではバンリキ魔王の登場によって徐々に崩壊していくベーダー一族が作品の中核を成した。

なお、次回作である『太陽戦隊サンバルカン』は長いシリーズで初めて明確に世界観が共通しており、ヘドリアン女王の再登場を始め登場人物の口からデンジマンの存在が語られている。
黄山役の津山栄一氏によれば『サンバルカン』にデンジマンの5人がゲスト出演する事も検討されていたらしい。

ちなみに、この作品から16年後の『激走戦隊カーレンジャー』までサブタイトルの書体が写研のゴナになる*1

「47戦隊47都道府県」では佐賀県を担当。
半導体の材料となるシリコンウエハーの製造大手企業がある事が由来か。



電子戦隊デンジマン

デンジ犬アイシーに選ばれた5人の戦士。3000年前に滅ぼされたデンジ星人の子孫であるらしい。

「デンジスパーク!」の掛け声で指輪型の「デンジリング」に内蔵された超繊維「デンジロン」で出来た強化スーツデンジ強化服を身に纏うことで変身を完了する。
ヘルメットの額に電子頭脳と力の源である「デンジストーン」が内蔵されている。
なお、シリーズでは初めてメンバー全員が民間人の戦隊であり、普段はアスレチッククラブのインストラクターとして働いている。

世間に広く認知されているようで、インターポールから依頼が来たり防衛軍の基地で待ち伏せしていたりしていたこともあった。

ちなみに第29話にはゲストキャラクターとしてポール伊崎*2が登場したが、5人と同じデンジ星人の子孫という設定から「今だったら6人目の戦士になっていたかもしれない」と言われているとか。

赤城一平/デンジレッド
演:結城真一

デンジマンのリーダー。熱い性格だが冷静に物事を判断する。
腕の立つ武道家であり、OPで黒人ボクサーを一発KOしたり分厚い氷柱を手刀で叩き割る姿が印象深い。またクラブでは空手教室のコーチであり、指導者としてもかなり優秀と思われる。
戦闘では空手とボクシングを活かした戦法を取る。得意技は「デンジ真空蹴り」。



本作のコメディ担当にして、デンジマンのサブリーダー。
明るくひょうきんな性格で、子ども達の人気者。孤児であったためか本人も子供好きである。クラブではヨガ教室のコーチをしている。

食いしん坊であり、ベーダーの食べ物を使った作戦には大抵引っ掛かる。
特にあんパンが「中毒」と言われるほど大好物で、常に持ち歩いている上にロッカーにも山のように詰め込んでいる。産まれた頃から大好きらしい。
元サーカス団員で、戦闘ではアクロバットを用いた動きで敵を翻弄する。「デンジスクリューキック」が得意技。

後年、「デンジパン」というパン屋を開業し、屋台を引き都内の幼稚園や保育園に無料であんパンを配っていることから、かなり儲けている模様。
そして、レンジャーキーを通じてゴーカイジャーにデンジマンの大いなる力を授けた。


黄山 純/デンジイエロー
演:津山栄一

知能指数200の天才大学生。類い稀な頭脳を活かしてベーダー怪物の分析など頭脳労働を担当している。
しかし、OPでは毎回実験に失敗している。
穏やかな性格で料理が得意。それを生かしてクラブでは料理教室*3のコーチをしている。
引っかかることがあると分析せざるを得ないクセがあるが、その反面乙女心に関してはかなり鈍感。
実はメンバー一の怪力で、変身後は一転してパワーファイターと化す。「ハンマーパンチ」や「デンジスープレックス」「イエローパイルドライバー」「イエロープレーン」といった怪力技が得意技。
ちなみに漫画版ではキレンジャーを意識した巨漢になっており、津山氏も自分とはギャップありすぎなキャラクターに困惑したらしい。


緑川達也/デンジグリーン
演:内田直哉

元城南署の刑事。寡黙な性格だが、一度熱くなると止まらない。愛称は「ミドちゃん」
父・達夫(演:長島隆一)も刑事だったが、第1話でムササビラーに殺され、デンジマンとなりその仇を討つ。
元刑事だけあって警察に知り合いも多く、射撃と情報収集の腕前は高い。ギターの弾き語りが趣味。クラブでは乗馬教室とボクシングのコーチ。
変身後はデンジマンNo.1の技の正確さをいかして素早い動きで戦う。得意技は「グリーンスピンキック」。

演じる内田氏は後に声優として活動するようになり、神隼人デリング・レンブランでお馴染み。
戦隊では『炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!劇場BANG!!』や『宇宙戦隊キュウレンジャー』などで敵役として出演した他、
機界戦隊ゼンカイジャー』ではダイデンジンオマージュの怪人役でもゲスト出演した。


桃井あきら/デンジピンク
演:小泉あきら

デンジマンの紅一点。元々はテニスプレーヤーであり、夢を追うあまり当初は戦いを拒んでいた。
明朗快活な性格で変装が得意。クラブではテニスと水泳教室のコーチ。
力が無い反面、反射神経に優れ、合気道を用いてベーダーと戦う。合気道を応用した投げ技の「デンジサンダー」が得意技。
スーパー戦隊初の純粋な日本人ヒロインでもある。


デンジ犬アイシー
声:京田尚子

一見普通のチャウチャウ犬だが、実はデンジ星の科学で作られたロボット犬にしてデンジマンの司令官的存在である。
テレパシーやバリア、メカの操縦まで何でもこなす。
ロボットだが普通のご飯がエネルギーで、結構味にうるさい。
最終決戦では……
アイシー役の犬は第36話の撮影中に病死しており、以降は別の犬やぬいぐるみのほか以前の映像の流用などで対応している。


デンジランドのコンピューター
声:渡部猛

文字通りデンジランドのメインコンピューター。
あまりデンジマンに語り掛けることはないが、デンジ星の歴史などアイシーも知らない情報を教えたりする。


デンジ姫
演:舟倉たまき

デンジ星王家の王女。
ベーダー一族によって母なるデンジ星を滅ぼされたデンジ星人の生き残りであり、帆船型の宇宙船グレートクイーン号でデンジ星を脱出して宇宙をさまよった末に地球へと辿りついた。
遥か3000年前の人物だが、テレビ本編では第26話でベーダーを退ける「悪魔払いの歌」が記録されたディスクをトルコに遺しており、緑川の友人である歌手・吹雪豪(演:中尾隆聖)がヒット曲「銀河ハニー」を生み出すきっかけとなった。
さらに夢か幻か、劇場版ではグレートクイーン号と共にデンジマンやデンジ星人の子孫の前に姿を見せた。
戦隊初のお姫様キャラ。


松尾千恵子
演:酒井ゆきえ

第12話から登場。城南署の婦人警官で、周囲からは「チーコ」と呼ばれている。
緑川とは顔馴染みで、早い段階からデンジマンの正体に薄々感づいており、グリーンの一言で確信に至った。
以後はそれとなくアスレチッククラブに怪しい事件の情報を持ち込むようになっている。
中の人はかつてピンポンパンのお姉さんとして知名度を上げ、その後もフリーアナウンサーとして各局で活躍している事でも知られている。


デンジ星人
かつてベーダー一族によって滅ぼされたデンジ星の住人。
ウミツラーの先祖によって汚染されきったデンジ星から地球移住を夢見てデンジランドで脱出したものの、既に侵入していたウミツラーの軟体生物に襲撃された。
なんとか侵入した軟体生物は駆逐したものの、彼ら自身はベーダーと戦う為の力をコンピューターとアイシーに託して眠りに就かせ、全滅してしまった。
その後、別個に星を脱出していたデンジ姫の一団が後から地球にたどり着き、アイシーを発見。デンジランドに打倒ベーダーを託して彼らは地球人として生きることを選んだのである。

デンジマン達はその末裔で、彼ら以外の子孫も本編や続編の『サンバルカン』に度々登場し、物語のキーパーソンとなった。


アイテムと必殺技

◆デンジリング
指輪型の変身アイテム。
これまではスーツ装着のみが基本だったため、初の変身アイテムとなる。
なお、以後はブレス系が多くなるので、こういったタイプは唯一無二。


◆デンジスティック
デンジマンが腰に下げている打撃用武器。投げつけて使ったり日本刀やバットなど様々な物に変形する。
地面に突き立てて火花を発生させることも。


◆デンジパンチ
デンジマンの両腕に装着されるデンジα鋼で出来た銀色のグローブ。厚さ50cmの鉄板をブチ抜く威力がある。
使用前に拳を打ち鳴らして音を立てるアクションが印象的。
全員使用出来るが、主にデンジレッドが多用した。
ちなみにデンジピンクはチョップと平手打ち。

デンジマンの数ある技の中でも視聴者からの認知度はかなり高かった部類に入り、そのためか、ゴーカイジャーがデンジマンにゴーカイチェンジした場合はかなりの高確率で披露される。
また、ゼンカイジャーがデンジマンのセンタイギアを使った際もデンジパンチが使えるようになる。


◆デンジブーメラン
レッドの号令でデンジスティックを構え、スクラムを組んで頭上で全員のデンジスティックを花弁のように合わせることで火花を噴き出す巨大なブーメランに合体・発動する必殺技
ベーダー怪物への決め技として最も使用された。


◆電子イナズマ落とし
5人同時にジャンプして相手の頭に連続でデンジスティックを叩きつける技。デンジブーメランの次に多用された。


◆新型銃
第32話「地獄の大銃撃戦」に登場。
黄山が開発した、弾頭が爆発すると強烈な閃光と衝撃音が発生し標的の神経を20秒間麻痺させる非致死性兵器


◆デンジ影分身 
ニンポーラー戦で使用。それぞれが3体に分身する。


デンジマンのマシン

◆デンジマシーン
デンジレッド専用サイドカー。サイドカー部分に機銃を装備。
サイドカーにはデンジピンクが乗り込むことも多い。


◆デンジバギー
レッド以外の4人の乗るバギー。機関銃を装備。


◆デンジタイガー
陸海空を運行する万能戦闘母艦。武器は艦橋両脇から発射するミサイル
デンジファイターを搭載して戦地に運ぶ役割を持つ。


◆デンジファイター/ダイデンジン
デンジタイガーに搭載されている大型戦闘機。レッドの「ファイターチェンジ・ダイデンジン!」の掛け声でダイデンジンへと変形する。
ダイデンジンの武器はデンジ剣、デンジボール、ダイデンジンブーメランなど。
必殺技は「デンジ剣・電子満月斬り」。
なお、ダイデンジンはスーパー戦隊シリーズ初の変形ロボである。

詳細は該当項目にて。


戦った相手

ベーダー一族
ヘドリアン女王に率いられる汚れた大気とヘドロの海を愛する、邪悪な一味。
詳しくは項目を参照。

主題歌

どちらも作詞:小池一夫 / 作曲・編曲:渡辺宙明 / 歌:成田賢が担当。

ともに「子連れ狼」など漫画や時代劇の原作者として有名な小池一夫氏が作詞を行っている。特にOPは「〇〇の海は××でこげ」というヒーローものにしては非常に独創的な歌詞になっている。

OPはシンセサイザーによるイントロが特徴で、時折挿入される男声コーラスが印象に残る。これは「デン デンジマン」もしくは「デンジ デンジマン」と聞こえるが、実際には「デンジマン デンジマン」と言っている。
分かりづらいが耳を澄ませて聞いていると確かに「デンジマン デンジマン」と歌っているのが分かる。

放送当時の、いわゆるパチソン等では製作者が勘違いしていたのかコーラスを本当にこのように歌っているバージョンも散見されたため、視聴者にも勘違いしている者は多かったとみられる。当時のテレビは今より音質が悪いことも関わっているだろう。

劇中BGMとして度々披露された、シンセヴォコーダーによるロボットボイスで「デンジマン デンジマン」というコーラスが挿入されているバージョンの声の主は、作曲した渡辺宙明本人。

「小さな命を~」の部分にもコーラスが存在するが、商品化された音源でのフルバージョンだとなぜか使用されていない。

EDは名乗りのシーンで挿入歌として使われる機会も多かった。

歌唱を担当した成田賢氏は「サイボーグ009」の「誰がために」や東ハトキャラメルコーンのCMで有名な人物。アニメファンにとってはそちらのイメージの方が強いだろう。

余談

  • 名乗り上げの決めゼリフは「見よ、電子戦隊デンジマン!」なのか「見ろ!電子戦隊デンジマン!」なのかは、資料によって若干の表記ゆれが見られる。

  • OPで赤城にノックアウトされている黒人ボクサーはアメリカ出身の俳優として多くのドラマや映画に出演したウイリー・ドーシー氏。
    元男子バスケットボール部選手の高橋マイケル氏や俳優の副島淳氏はその息子にあたる。




追記・修正はデンジマンにまかせろ!



[03 / 1979] P R E V [04 / 1980] N E X T [05 / 1981]
バトルフィーバーJ 電子戦隊デンジマン 太陽戦隊サンバルカン


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最終更新:2025年05月05日 20:52

*1 当作品は太字のゴナ。次作『サンバルカン』より細めのゴナになる。前作『バトルフィーバーJ』の後半でもゴナは使われているが、こちらは文字のパーツが加工されている。

*2 赤城の幼なじみの警察官で、演じたのは倉地雄平。フランス帰りのキザな人物という形で、『バトルフィーバーJ』にて氏が演じたバトルフランス/志田京介のオマージュが盛り込まれている。

*3 栄養学の指導なども行っていると推測される。第3話では美容に良い食材の解説を行っていた。