登録日:2015/08/04 Tue 07:16:55
更新日:2026/09/30 Wed 19:33:50
所要時間:約 39 分で読めと言っておるーーっ!!
思い知らせてやるーっ
私たちとおまえら下等超人との差を──っ!!!
●概要
テーマ曲:Perfect Warrior
2012年から
週プレNEWSで連載された『キン肉マン』新シリーズに登場する超人。
完璧超人の精鋭部隊
「完璧・無量大数軍」のリーダー格であり、
「完武」の異名を持つ。
剣道着に身を包み、竹刀を携えた巨漢という外見は、【夢の超人タッグ編】に登場した
ビッグ・ザ・武道(ネプチューン・キング)と酷似しているが、両者は
一切無関係な別人である。
普段は竹刀を携えているものの、戦闘においてこれを凶器として使用することはなく、むしろ鍛え上げた五体のみを武器とし、超人格闘技者にありがちな特殊能力(ギミック)も一切用いない。
完璧超人の掟を最も苛烈な形で体現しており、「下等超人」と呼ぶ他属性の超人や、友情パワー(火事場のクソ力)に目覚めた超人を危険視して粛清しようとしている。
●人物
完璧超人の理念を極端なまでに重視する厳格な人物。
完璧超人を「神に最も近い存在」と考え、他属性の超人を「下等超人」と呼んで見下している。
そのため、完璧超人が
正義超人や
悪魔超人と共闘・交流することを
絶対に認めない。
- 凶器を使用してはならない
- 敵に臆して逃げてはならない
- 下等超人に敗北した場合は自害する
という「完璧の掟」を重視しており、掟を破った者には容赦がない。彼自身はこうした思想を「種に交われば種にあらず」という言葉で表現している。
それでも単純な冷酷非情の人物というわけではなく、彼自身が見込んだ超人に対しては強い情を持っており、
ピークア・ブーのために赤ん坊用のガラガラを買い与えているなど、本人の威厳とは裏腹なコミカルな一面も持つ。
●作中での活躍
1.三属性戦争の始まり
【キン肉星王位争奪編】後、正義超人・悪魔超人・完璧超人の三勢力による「三属性超人不可侵条約」が締結され、超人界に平和が訪れたかに見えた。
しかし、他属性との和解を認めない完璧超人の本隊「完璧・無量大数軍」が突如として現れ、条約を破棄。
その先頭に立っていたのが、ビッグ・ザ・武道と瓜二つの姿をしたストロング・ザ・武道だった。
武道は完璧超人こそが真に優れた超人であると主張し、正義超人たちに宣戦布告。
有力なアイドル超人が揃って療養中だったこともあり、
ジェロニモや
ビッグ・ボンバーズはまともに対抗できず、タイルマン、
カレクック、
ベンキマンに至っては
超人パワーを奪われ、人間へと変えられてしまう。
一方、地球に残った
テリーマンは
無量大数軍の
マックス・ラジアルと対戦。激戦の末に勝利するものの大きなダメージを負い、正義超人側は早くも窮地に陥る。
そこへ地球へ戻ってきた
キン肉マンと7人の悪魔超人が参戦。
各地で正義超人・悪魔超人と
無量大数軍の戦いが始まり、アメリカ・グランドキャニオンでは武道とザ・魔雲天の戦いが行われることになった。
2.恐るべき「完武」
キン肉マンの対戦相手「ピークア・ブー」は、試合中に相手の技術を吸収し、急速に成長する能力を持つ「急成長超人」である。
キン肉マンとの戦いでは「キン肉バスター」や「超人絞殺刑」などを吸収し、キン肉マンを超えかねないほどの戦闘能力を発揮した。
しかし武道は、ピークア・ブーが試合後に得た経験を維持することを認めなかった。
これまでずっと、試合が終わるたびに彼を赤ん坊同然の状態へ戻し、成長した人格と技術をリセットしていたのである。
やがてピークア・ブーがキン肉マンに敗北し、自害の掟に背いたことを知ると、武道は激怒。
「完璧な強さを追求し続けるのも完璧超人の使命であるなら、そのために他属性超人と交流するのもアリなのではないか」と食って掛かるピークア・ブーを
と一喝し、「完璧超人の完璧さを去勢するに等しい愚劣な考え」と断じるのだった。
やがて武道の方も、本格的な攻勢を開始。
ザ・魔雲天は「マウンテンドロップ」や柔道技を駆使して抵抗するものの、武道は圧倒的な肉体能力でこれをねじ伏せる。
ローキック一発で脚を破壊し、アイアンクローで顔面を砕くなど、その実力差は歴然としていた。
武道は魔雲天の実力と覚悟を認め、彼を人間として生かすため「零の悲劇」を施そうとするが、魔雲天はこれを拒絶。
武道も彼の意地を尊重し、「“完武”兜砕き」で処刑する。
しかし魔雲天は最後の力を振り絞って武道をリングごとグランドキャニオンの谷底へ引きずり込み、両者は姿を消した。
これによって無量大数軍は早くもリーダー格を失う形に追い込まれたのだが、すでに武道を最重要人物とみなしていた多くの読者は「この程度で終わるわけがない」と、いずれ来る復帰を予感していた……。
3.「超人」のルーツ
武道が姿を消した後も
正義・悪魔超人連合軍と
無量大数軍の戦いは続き、
無量大数軍の新たなリーダーとして
ネメシスが猛威を振るう。
その一方で、超人界の真の歴史が明らかになっていく。
遥か古代、超人たちは力を持つがゆえに争いを繰り返し、地上を荒廃させていた。
これを見た神々は、超人を滅ぼすため
「カピラリア七光線」による粛清を決定。
それに反対した一人の神が選んだ10人の超人だけは生き残り、その系譜を継いで発展を遂げたのが現在の完璧超人なのだと……。
完璧超人の中でも厳選されたエリートである無量大数軍は、彼らの盟主・超人閻魔より不老不死の祝福を与えられ、完璧な強さを目指すための特権とそれゆえの「敗北即自害」の掟で自らを律していたのだ。
やがて
無量大数軍はネメシスを残して全滅。
そして新たなる勢力
「完璧超人始祖」の出現に伴い、
あからさまに不可解な形で退場した
グリムリパーの真の正体が
“完璧・拾式”サイコマンであったことが明らかとなる。
プラネットマンが「魔技・人面プラネット」を発動した際、魔雲天とともに谷底へ消えた武道の魂だけが現れなかったことから、武道が生存している可能性が浮上。
そして、グリムリパーの正体や
無量大数軍の成り立ちを総合した
ターボメンは、武道の正体に疑問を抱くが、その核心にたどり着く寸前にサイコマンに粛清され、プラネットマンも戦死するのだった。
4.ストロング・ザ・武道の正体
彼らの抗争と時同じくして、魔雲天の道連れにされていた武道も谷底で再始動。
キン肉マンが「馬場でも猪木でも超人閻魔でもドンとこいじゃーっ!」と叫んだ直後に、
と言いながら姿を現す。
武道はキン肉マンの軟弱な態度を頑固親父まんまの言い草で叱責しながら、国立競技場へ連れていく。
そこには、かつてカピラリア大災害から逃れるために超人たちが利用した許されざる世界樹が存在していた。
武道はこの場所を利用して、超人たちが生き残った歴史を説明する。
しかし、彼が古代の出来事を実際に見てきたかのように語り、天上界の神々に対しても強い憎悪を示したことから、キン肉マンはついに彼の正体を問いただす。
そこへ
悪魔将軍も現れ、正義超人に武道の正体を暴露した。
超人閻魔
この世の超人たちの間でそう語り継がれる存在
超人墓場の長にして
そこを本拠地とする完璧超人界の真の最高指導者
その真の名は
“完璧・零式” ザ・マン!!
ストロング・ザ・武道=超人閻魔=ザ・マン。
かつてカピラリア大災害から超人を救った「慈悲の神」その人である。
ザ・マンは、かつては超人の成長と可能性を信じていた。
しかし、超人の愚かさを繰り返し目の当たりにしたことで失望。
さらにゴールドマン(悪魔将軍)と
シルバーマンという最も信頼していた弟子たちとの関係も破綻し、自らの理念そのものに疑問を抱くようになった。
やがて「
完璧」という理念を守ることを目的とするようになり、超人を導くのではなく管理することを選択する。
これが「超人閻魔」としてのザ・マンである。
悪魔将軍はそんな彼を、
「『完璧』という狂った理想に取り憑かれ、破壊と創造を繰り返す怪物」
と断じる。
そして武道自身も、もはやかつての自分には戻れないことを認識していた。
そうか
“超人の中の超人”ザ・マンはもうおらぬか
ああ とっくの昔にな
一触即発となる二人だったが、ネメシスと勝ち残った始祖たちが割って入ることでこれを阻止。
これまでの試合で勝ち残った各属性の超人が一同に集う形となり、世界樹内部の「サイフォン・リング」でそれぞれの信念を賭けた最後の激突が始まった。
この戦いの中でまず
ガンマンが戦死。
ジャスティスマンはテリーマンのテキサス魂を認めて試合を放棄し、武道の下から去っていった。
そしてサイコマンが
ブロッケンJr.にとどめを刺そうとしたその時、ついに最後の
始祖・
“弐式”シルバーマンが降臨する。
シルバーマンとサイコマンの血みどろの死闘が決着した後、10人の始祖が一つずつ所有し、超人の成熟を認めた時に彼らの存在を消滅させる「絶対の神器」が発動。
武道はこれによって自身も消えることを覚悟したが、サイコマンが秘密裏に自分にのみ消滅の効果が及ぶように作り変えていた。
武道は掟を破ったことを許し難いとしつつも「今まで私に尽くしてくれたこと、礼を言う」「大儀であった!」との言葉を掛けて、サイコマンの最期を見送った。
この時の彼はいつもの血走った目つきではなく、回想シーンにおけるザ・マン同様の穏やかな表情に戻っているようであった。
5.甲子園決戦
武道は、多くの完璧超人が自分から離れていく中、ネメシスを後継者として重視するようになる。
ネメシスはキン肉王家の出身でありながら、己の天賦の才を妬んだ者たちによって故郷を追われた過去を持つ。
武道も、シルバーマンの血統を受け継ぎ、なおかつ完璧超人の理念に最も忠実な彼に強い期待を寄せていた。
しかしネメシスも正義超人たちとの戦いを通じて友情パワーの可能性に触れ、次第に揺らぎを見せるようになる。
キン肉マンとの決戦を前に、武道はネメシスに対して、
と静かに問う。
長年「完璧」という理念を信じ続けてきた武道が、初めて自らの生き方そのものに疑問を抱いた瞬間だった。
しかしネメシスは「キン肉族に否定された自分はあなたの理念に救われた」「キン肉スグルを倒すことで完璧超人の正しさを証明する」と反論。武道も少し持ち直す。
だが、ネメシスはキン肉マンに敗北。
武道は掟に従ってネメシスを処刑しようとするが、ピークア・ブーや
ネプチューンマン、そして悪魔将軍の介入によって阻止される。
6.あの日の約束
かつてゴールドマンが超人墓場を離れる際、ザ・マンは「もし自分が聞く耳を持たない老害になったなら、遠慮なく討て」と約束していた。
武道も、悪魔将軍も、お互いに別離を完全には吹っ切れていなかった。
そして二人は、かつて共に修行した場所であるエアーズロックで決着をつけることになる。
悪魔将軍は圧倒的な攻撃を繰り出すが、武道はそれを真正面から受け止める。
武道は長年、弟子たちがいつか自分を超えてゆくことを期待していた。
しかし実際には、どれほど鍛え上げても自分を完全に超える者は現れなかった。最も素質のあったゴールドマンでさえ、「超人硬度」というただ一点でしか武道に及ばなかったのだ。
超人の育成に限界があるなら その限界点にいる私の判断こそが至高
ならば育てるのではなく管理すればいい
全ての完璧を体現するこの私が定めた規律により 私の意のままに誰もが動く世を作る
そうすれば 全てが上手く回る
不退転の覚悟を以てその業務を永遠に続ければそれでよい…
それが私の導き出した最終結論にして この世の絶対真理である!
武道の暴走は単純な悪意によるものではなく、「超人を信じて導く」という理想が実現しなかったことへの絶望だった。
悪魔将軍は自身も含めた始祖全員の思い─敬愛、畏怖、悲嘆、葛藤、そして後悔─を胸に、命に代えても武道を止めるという責任感によって「硬度10♯ ロンズデーライトパワー」を発動。
最大奥義「神威の断頭台」にて、ついに武道を討ち果たす。
長きにわたって続いた二人の確執は、ここで一つの決着を迎えた。
7.完璧超人始祖よ、永遠に
戦いの後、武道は悪魔将軍との誓いに則ってお互いに命を絶つことで超人界の未来をそれぞれの弟子たちに託そうとする。
だが、それを食い止めたのはキン肉マンだった。
悪魔将軍は「部外者のお前が口を挟むな」と厳しく言い放つが、キン肉マンもサイコマンの最期を引き合いに出して反論。
全身から友情パワーの輝きを放ちながら、必死に食い下がる。
あんたたちがさっきから言ってる大義だとか使命とか
私には難しすぎて正直よくわからん
だけど 目の前に苦しんでいる人がいれば手を差し伸べる!
死にかけている人がいれば助ける!
そして あんたたちは心の中で苦しんでいた!
表面上カッコつけて どんなに難しい理屈を並べても…
その苦しみだけは こんな私にもハッキリと見えた
しかもふたりともだ!
ならば 私はあんたらを救う!
どんなにいらぬ世話だと言われようが全力で止める!
わかり合うために闘うとは…
そういうことじゃーーい!!
これを受けた悪魔将軍は武道の処刑を中止。
- 「不老不死の永久廃止」
- 「老いて死ぬまで超人墓場から出ない」
という交換条件を出し、武道もこれを受け入れる。
悪魔将軍はキン肉マンの覚悟を認めつつも、悪魔超人軍が再び戦いを仕掛けに来る可能性を常に忘れないよう釘を刺して去っていった。
そして最後に、正義・完璧それぞれの代表であるキン肉マンとネメシスも「もし今後、お互いが暴走するようなら再び止めに動く」ことを誓い合って互いの拳を突き合わせ、「完璧超人始祖編」は大団円を迎えたのである。
●完璧超人始祖との関係
ザ・マンにとって、10人の始祖は、単なる部下ではなく、自らが選び育てた弟子であり同志だった。
彼らは当初、超人たちを導き、いずれは自分たちを超える存在へ育て上げることを目標としていた。
しかしザ・マンが超人閻魔へと変貌していくにつれ、その理念との間に大きな隔たりが生まれる。
始祖の多くは表面上はザ・マンに従っていたものの、内心ではその変貌を受け入れ切れていなかった。
そのため彼らは、現在のザ・マンのことを「ザ・マン」とも「超人閻魔」とも呼ばず「あやつ」と呼ぶ。
これは、かつての師を敬愛しながらも、現在の彼をそのまま受け入れることができないという複雑な感情の表れである。
ゴールドマンはザ・マンの最初期の弟子であり、彼から最も大きな期待を寄せられていた。
しかし超人墓場の在り方に疑問を抱き、ザ・マンと決別。悪魔将軍として独自の道を歩むことになる。
悪魔将軍とザ・マンは「己が定めた理想と規律を絶対視する」という点では非常によく似ている。
しかし、超人の進化に対する考え方は正反対となった。
ザ・マンは友情パワー(火事場のクソ力)を危険な力として排除しようとしたが、悪魔将軍はそれこそが超人の進化の可能性であると認めていた。
この違いが、師弟であった二人を最終的な敵対関係へと導いたのだ。
シルバーマンもまたザ・マンから特別な信頼を受けた弟子だった。
彼は兄ゴールドマンと同様にザ・マンの方針から離れたが、師への敬意そのものを失ったわけではなく、変貌後のザ・マンに対しても「あなた」「ザ・マン」という呼び方を使い続けていた。
これは現在の行動を肯定するものではなく、「自分にとって師は今でもザ・マンである」という思いを示すものとして描かれている。
サイコマンとの戦いを経てシルバーマンは姿を消すが、その意思は正義超人たちへと受け継がれていく。
ジャスティスマンは、ゴールドマンとシルバーマンを裁いた過去を持つ。
しかしアシュラマンやテリーマンとの戦いを通じて、下等超人と呼ばれていた者たちの成長を認めるようになる。
最終的にザ・マンの方針から離れ、超人たちの可能性を認める立場へ転じた。
サイコマンは
始祖の中でも特に現在のザ・マンへの忠誠心が強く、彼を最後まで「超人閻魔サン」と呼び続けた。
マグネット・パワーの研究を認めてもらったこともあり、ザ・マンの方針を積極的に支持していたが、
始祖の消滅システムを秘密裏に改竄していたことで、現在のザ・マンを完全に肯定していたわけではなかったことも判明する。
最終的には、自らが消滅することでザ・マンへの恩義と仲間への義理を果たした。
この時武道が見せた穏やかな表情は、かつての「ザ・マン」が完全に失われたわけではないことを示す場面でもある。
ガンマンは以前から下等超人の粛清を主張していた過激派だった。
しかしバッファローマンとの戦いを通じ、現在のザ・マンの変貌を認めたくないという本心が明らかになる。
彼が求めていたのも、かつての慈悲深いザ・マンだったのである。
ミラージュマンと
アビスマンは悪魔将軍との会話において、現在のザ・マンの行動の正当性を主張する一方で、その歪みを指摘する悪魔将軍の言い分を理解しているようでもあった。
シングマンは
始祖の中でも特にザ・マンへの敬愛の念が強いものの、それでも現在のザ・マンのことは「あやつ」としか呼ばない。
過去のザ・マンの偉業を讃え、彼が一度築き上げた平和な世界を崩壊させた「下等超人」を憎む発言が度々見られたが、これは今の超人閻魔への変貌を悲しみ、その原因を作り出したという意味でも「下等超人」を許せないのかもしれない。
ペインマンと
カラスマンも、表面上は対戦相手を見下しながら、内心では自らを超える力を見せることを期待していた。
このことから、
始祖たちは必ずしもザ・マンの「超人を管理する」という思想を心から支持していたわけではなく、弟子として師の理念と自分たちが目指した理想との間で葛藤していたことがうかがえる。
金銀兄弟との関係
ゴールドマンとシルバーマンは、ザ・マンが地上へ降りた後に特に深い信頼を寄せた存在である。
後の展開で、二人は慈悲の神だった頃のザ・マンが神の後継となり得る存在として直接生み出した、最初期の超人であることも明かされた。
そのため、二人とザ・マンの関係は単なる師弟を越え、親子にも近いほど深いものとなっている。
しかし、ザ・マンが超人閻魔へ変貌すると、二人との関係は大きく変化する。
ゴールドマンは超人墓場の在り方を否定して離反。シルバーマンもまたザ・マンの変節を認めず、地上の超人たちを見守る道を選んだ。
それでも二人とも、ザ・マンそのものへの敬意を完全に捨てたわけではなかった。
特に悪魔将軍は最後まで師への情を捨て切れず、ザ・マンと直接対峙することでようやく過去との決着をつけた。
一方のシルバーマンは、正義超人たちが自分たち以上の領域へ到達する可能性を認め、ザ・マンとは異なる形で超人の未来を信じることになる。
この違いが、最終的に兄弟それぞれがザ・マンと向き合う際の立場の違いにもつながっている。
悪魔将軍との約束を守って蟄居の生活を送っている。
その証拠としてわざわざ鉄格子で自分と玉座の周囲を囲っており、そのシュールな光景は多くの読者を困惑させた。
ついでに音楽鑑賞が趣味だったことも判明。モーツァルトの交響曲を「人間が作った素晴らしいものの一つ」と認め、石製のレコードプレイヤーでいつも聞いているらしい。
オメガマン・アリステラが過去を語る場面では、超人閻魔としてのザ・マンが登場。
かつて
無量大数軍への加入を希望していた
ジ・オメガマンことオメガマン・ディクシアに対し、加入試験としてネプチューンマンの首を持ってくるよう命じていたことが明かされる。
(ちなみにこの時、超人閻魔の周りには武道を除く
無量大数軍の全メンバーが集結していたが、こんな重要な場面に武道が姿を見せないのを他のメンバーがどう思っていたかは謎である)
またアリステラからは「神による支配の一例」として「ザ・マンは
織田信長がオメガの民の作った突破口を利用して超人墓場へ攻め込もうとしていることを察知し、
明智光秀に啓示を与えて討たせた(=本能寺の変)」
というオモシロ起源説が明かされた。
アリステラが示した物証は「安土城(が後の時代に建てられた土地)に墓場へのトンネルが掘られている」ことだけで真偽は定かでないが、リアル光秀が本能寺の織田信長を攻めるかどうかを占うため
おみくじを引いた
愛宕神社
の祭神は
愛宕権現
=
勝軍地蔵=
閻魔であり、そう疑われる状況証拠は一応ある。
同章終盤では、ジャスティスマンの招きで超人墓場を訪れたキン肉マンたちと再び対面する。
一緒に墓場へ来たアリステラと
パイレートマンに、自身の短慮のせいでオメガの民に苦難の歴史を歩ませてしまったことを詫び、和解を果たすが、その直後に
調和の神を中心とする神々が地上へ下天。
この際、天界の神だった頃の名が
「慈悲の神」であったことが明かされた。
超神たちが地上へ下天してからは、前線で戦うのではなく、超人たちを導く側として行動する。
キン肉マン、
キン肉マン スーパー・フェニックス、
キン肉マン ビッグボディらと超神が対峙した際には通信を通じて介入し、彼らの目的を見抜きながら、超人たちが成長した事実を認めるよう求めた。
また、天界へ至る道であるバベルの塔の存在を明らかにし、超人たちが神々と直接向き合うための道筋を示した。
この時期のザ・マンは、ストロング・ザ・武道として活動していた頃に比べてかなり柔軟な態度を見せている。
キン肉マンから「ザ・マンちゃん」などと呼ばれても特に怒る様子を見せず、かつてのような「下等超人の粛清者」ではなく、超人の守護者として振る舞っている。
一方、彼自身は超神との戦いには直接参加しない立場を取っている。
悪魔将軍との約束に加え、神であった自分が直接動くことは「宇宙の崩壊」を加速させるという理由もあるが、超人たちが自分たちの力で未来を切り開くことを見守るという点では、かつてのザ・マンが抱いていた「超人を導く」という理想に再び近づいたともいえる。
●戦闘スタイル
完璧超人を束ねる存在だけあって、戦闘能力は極めて高い。
基本的な戦闘スタイルは、小細工に頼らない正統派のパワーファイト。
しかし単なる怪力型ではなく、技巧、判断力、耐久力にも優れる。
通常のパンチやキックでさえ必殺技級の威力を持ち、魔雲天の岩石の肉体を拳で大きくへこませ、ローキックだけで脚を破壊するほど。
悪魔将軍との戦いでは、パワーだけでなく技術面でも優位に立ち、将軍の「地獄の九所封じ」を初見で見切るほどの対応力を見せた。
また、ダイヤモンドパワーも使用可能。
悪魔将軍と同等の硬度を持つだけでなく、肉体そのものの巨大さと基礎能力によって、極めて高い攻撃力・防御力を発揮する。
●使用する技
相手と両腕を組み合い、互いの力量を測る技。
ネプチューンマンらも使用しているが、武道のものは桁外れの腕力によって圧倒的な威力を発揮する。
掌で相手に触れ、超人を人間へと変えてしまう特殊能力。ストロング・ザ・武道を象徴する技の一つ。
「超人パワーを吸い取る」というのがそのからくりで、作中ではタイルマン、カレクック、ベンキマンらを人間に変えた。
相手の実力によっては完全に人間化できない場合もあり、魔雲天には意地で耐えられた。
右手で相手の顔面を鷲掴みにするアイアンクロー。
魔雲天の顔面を破壊するほどの威力を持つ。
片腕だけで相手を持ち上げ、そのまま脳天から叩き落とす。
単純な技だが、武道の怪力によって必殺技級の威力となる。
ストロング・ザ・武道としての奥義。相手の頭部を固定し、自らの膝へ叩きつける。
技そのものはココナッツクラッシュに近い単純な技だが、武道が使用すると岩石の肉体を持つ魔雲天の頭部を粉砕するほどの威力を発揮する。
相手を拘束し、全身を締め上げる関節技。
悪魔将軍の技と同じものだが、武道は「零の悲劇」と組み合わせることで、超人パワーを奪いながら相手の肉体を破壊する技として使用した。
空中に打ち上げた相手の首へ空手チョップを叩き込み、そのまま地面へ叩きつける技。
将軍の「地獄の断頭台」に似た性質を持つ。
肉体をダイヤモンドのように硬化させる能力。
悪魔将軍が使用するダイヤモンドパワーの源流にあたる。
相手の身体を横方向へ折り曲げるように拘束する関節技。
ダイヤモンドパワーと併用することで、ダイヤモンド化した悪魔将軍の肉体に亀裂を生じさせるほどの威力を発揮した。
- 完璧・零式奥義 千兵殲滅落とし
かつて大いなる期待を抱いていた私が包み込まれた絶望の反動を!
私が認めた史上最高の超人 私の永遠の一番弟子であるお前に…
身をもって今再び教え込んでやろう!
永きにわたったお前との確執も…これで終わりだ ゴールドマン!
完璧超人始祖“零式”としての奥義。
相手を高速タックルで捕らえ、そのまま空中へ持ち上げ、逆エビ反りのような状態で固定して落下、右膝を相手の顔面へ叩きつける。
悪魔将軍の「硬度0 スネークボディ」に対しても脱出を許さず、さらにダイヤモンドパワー発動中の将軍のマスクを砕いてゴールドマンとしての素顔を露出させるほどの威力を持つ。まさに必中必殺の絶技である。
技を掛けた体勢が数字の0を描き、着地時の姿勢が断頭台と同じく、プロレスのアピールでもおなじみの卍を描いている、とも言われる。
登場タイミングがあのアロガント・スパークの後だったこともあり、当初は地味な奥義だと言われていたのだが、
- 悪魔将軍ですら即死しかねない威力
- タックルで始動するので複雑なセットアップは不要
- ガードからの反撃で即座に出せるほど速い
- スネークボディをもってしても脱出不可能
- ダイヤモンドパワーで硬度10にした膝にぶつけるのでリングの状態に左右されない
- 順逆自在の術やクロノスチェンジで攻守を入れ替えられたとしても硬度10の頭が膝に激突する
- そもそも相手が悪魔将軍だったから生き残れただけであって、技の仕掛けに関しては作中一度たりとも外されていない
等々の要素が判明すると、完璧・零式奥義の名に相応しい技という評価に固まっていった。
●余談
実は意外と天然?
作中最強クラスの実力者でありながら、コミカルな描写も多い。代表的なのがピークア・ブーのガラガラである。
ピークア・ブーが反抗してガラガラを投げ捨てた際、武道は「また買ってこなくてはならないではないか」と発言している。
つまり、あの巨大な剣道着姿の男が、赤ん坊用のガラガラを自ら買いに行っていたことになる。この件はアニメ化によって再び取りざたされ、「西松屋へ通う武道」なんてファンアートを描く人まで続出する事態となった。
また、魔雲天との戦いでは敵に対して「イチから武道を学び直してこい!」と発言している。
粛清対象の相手に対して再戦を前提にしたような言葉をかけるあたり、本人の根っからの指導者気質がうかがえる。
甲子園決戦直前のネメシスとの会話でも、巨大すぎる身体のためベンチが大きくたわんだり、面が控え室の天井に当たったりするなど、シリアスな場面にもかかわらず妙にコミカルな描写が存在する。
こうした描写から、ザ・マンは「恐ろしいボス」であると同時に、「やっぱり根は面倒見の良い天然な師匠なんじゃん」という二面性を持つキャラクターとして見られているのである。
名前について
THE MANという英語表現には、「男の中の男」「大した人物」「最高の人物」といった肯定的な意味がある一方、文脈によっては単に「あいつ」「あの男」といった意味にもなる。
作中で始祖たちから常に「あやつ」と呼ばれていたこととも対照的である。
単行本51巻の質問コーナーでは、完璧超人始祖のメンバーの名前を「ヒーローの原点」という意味を込めて「○○マン」に統一したこと、そして彼についてはそのまま「男の中の男」という意味で「ザ・マン」と名付けたことが明かされている。
ゆでたまご・嶋田にとっても「これ以上の存在が出てこられたらネーミングに困っちゃう」、つまり『キン肉マン』世界における最大にして最強にして最高位の存在であるという思いを込めての命名であったとも語られている。
実際、後に同格となる「調和の神」が登場したが、彼の超神としての名も“THE ONE”と、これまた象徴的、かつ様々な意味を込められる抽象的な名称であった。
●キャラクターとしての位置付け
ストロング・ザ・武道というキャラクターの最大の特徴は、「かつて超人を信じた慈悲深い神が、超人を信じられなくなった結果、自らの理想を絶対視する管理者へ変貌した」という点にある。
そのため、単純な「悪のボス」として描かれているわけではない。
彼が行ってきた粛清や管理は、本人にとっては一貫して「超人界を守るための行為」であり、かつての理想そのものを捨てたわけでもない。
むしろ超人を救いたいという理想を捨て切れなかったからこそ、超人を自由にすることを諦め、管理する道を選んだというのがザ・マンの悲劇であった。
悪魔将軍との決戦は、その「完璧」という理想そのものが正しかったのかを問う戦いでもあり、ザ・マンという人物の長い物語に一つの区切りを与えるものとなった。
その後の彼は、再び超人たちを導く者として振る舞うようになり、かつて失っていた「超人の可能性を信じる」という姿勢を徐々に取り戻している。
この変化こそが、ストロング・ザ・武道、超人閻魔、ザ・マンという三つの顔を持つ彼の、物語における最大の見どころである。
盤石なる完璧な追記・修正をお願いします。
最終更新:2026年09月30日 19:33