安藤浩和

登録日:2014/09/25 Wed 15:28:43
更新日:2025/01/11 Sat 01:13:37
所要時間:約 6 分で読めます




安藤浩和(あんどうひろかず)とは、株式会社ハル研究所の社員、かつ星のカービィシリーズの作曲家である。
千葉県出身。

概要

1993年の星のカービィ 夢の泉の物語より星のカービィシリーズに関わっている作曲家。
(カービィシリーズに指定しない場合は、デビューはハイパーゾーンで他にカードマスター リムサリアの封印も手がけている)

作品としては星のカービィ 夢の泉の物語から最新作の星のカービィ Wii デラックスまでの計24作品に関わっている。
ここでは星のカービィシリーズとスマブラシリーズ、その他の作品の3つに分けて紹介していきたい。

大の鶏好きで、インタビュー記事やパンフレット等で写真に写る際は必ずと言っていい程鶏柄のシャツやバッジを身に付け、サインに鶏の絵を添え、個室になっている仕事スペースにも鶏の置き物があちこちに置かれているという徹底ぶり。
実際に「ナゴ」という名の鶏を飼っており、その鳴き声がゲーム内で使われたこともある。なお、この名前は名古屋コーチンであることから由来しており、カービィの仲間のナゴと関連があるかは不明。


星のカービィシリーズ

早速と言いたいところだが
HAL研究所が大きく関わるゲームではどの曲を誰が作曲・編曲したのか不明な所が非常に多い。
そのため、ここでは誰が作曲したのかはっきりわかるWii、トリデラ、カービィファイターズZデデデ大王のデデデでデンZ、ロボプラ、スタアラ、ディスカバリー、Wii デラックスのみ紹介する。
ちなみにカービィシリーズでは基本的に石川淳(初代星のカービィからいる作曲家)と共同で作曲・編曲を行っている。
Wii以降はラスボス戦の楽曲を担当することが多く、そのどれもがプレイヤーから高く評価されている。

1、星のカービィ Wii

星のカービィ Wiiは開発の面でも難産だったが、音楽の面でも非常に時間がかかっている。
(ディレクターの熊崎信也は、スタッフの作った曲をループで1日中聴き続けて、まず自分がその曲のファンになれるのか確かめたとか)

数ある曲の中でも代表的なのは「スカイタワー」と「CROWNED」。
どちらも某ランキングで高順位を収めたりと素晴らしい出来の曲である。
また、最終的に開発中止となったGC版カービィのムービーで使われた「勝利への道」も彼が作曲している。

ちなみに同作の主要人物であるマホロアの特徴的な声(マホロア語)は、氏の声を加工した物が使用されている。
台詞をそのまま読んでいる訳ではないが、「カービィ」など一部の固有名詞は実際にそう発音した音声を加工し、言語らしくなるよう工夫されている模様。

2、星のカービィ トリプルデラックス

この作品以降はサウンドテストの仕様によりどちらが作曲したのか分かるようになっている。(曲を流した時に出る音符がなら石川淳、なら安藤浩和)
素晴らしい曲はいくつもあるが、代表的なのは「トイリズム」「狂花水月」「この星をかけた魂の戦い」であろう。
(ちなみに彼の作曲した「ボヨヨンパッタン・ファクトリー」がトリプルデラックスの音楽の基礎となっている*1)

ちなみに、カービィシリーズの大半の作品の曲は名前が付けられていない。

その理由は安藤氏曰く
私はあまりネーミングの才能が無いからか、開発の最中に「曲名」をつけることがありません。
過去の曲たちもあまり上手い名前をつけたことが無く、たとえば「雲の面」みたいな呼び方をしながら作ってます(笑)*2
それと、
サウンドテストに「曲名」を表示していないのも、開発段階で中途半端な名前を出してしまうことを恐れて、という部分もあります。
曲名は大事だと思うからこそ、曲名の表記が無いっていうのは、意外かも知れません。
しかし、いったん発表してしまうと、その名前は「カービィの歴史」に残ってしまいます。
また、百以上の「名づけ」をするパワーがあったら、ゲーム内容を良くすることのほうに使いたい とも思うわけです。*3
だからだそうだ。
(初代星のカービィから関わっている石川淳も曲にきっちりとした名前を付けているわけではないので、恐らく上のような考え方であろう)

そうなると「CROWNED」や「狂花水月」など近年のカービィシリーズの曲は一体誰が名前を付けたのか?という疑問が出るが、このことについては

「曲名」ってイメージを膨らませるネタとして大事なものです。
ですから、最近は特にサウンドトラックを作る際などに、主要な曲についてはディレクターにつけてもらっています。
つまり、「名前は重要だ」と思うからこそ自分では無く、もっとネーミングセンスがあって、ゲーム内容にも理解の深いディレクターに、おまかせするほうが良いと思っています。*4

と答えている。つまり、熊崎信也が名づけたと言える。

3、カービィファイターズZデデデ大王のデデデでデンZ

両作品共安藤氏のみ参加している。ほとんどが歴代カービィシリーズの曲のアレンジだがどれも良い出来である。

4、星のカービィ ロボボプラネット

今回はリードサウンドとしてクレジットされる。そのため石川氏より数多くの曲を作成している。
ロボプラのサウンドルームも出てくる音符の色によって作曲者が誰か分かるが、全部通して聞くとの数に驚かされるかも知れない。
サントラは2016年12月15日発売(『Wii』『トリプルデラックス』のサントラは限定品だった)。
Amazon・エビテン・ヤマシロヤ限定だが、サントラが販売されるのはある意味衝撃的な自体である。


本作の敵勢力「ハルトマンワークスカンパニー」のテーマも担当する。
しかし、一部で有名なあの社歌の歌詞は安藤氏が考えたものではなく、1番から3番の歌詞まで全てディレクターの自作である。

5、星のカービィ スターアライズ

前作に引き続きリードサウンドとしてクレジット。
今回は石川氏の他にカービィサウンド初参加となる小笠原雄太氏が加わり3人体制となった(小笠原氏が担当したBGMはサウンドテストの音符が黄色で表示される)。
サントラは2019年2月14日発売。
3回のアプデでその都度にBGMも追加され、最終的に全233曲とシリーズ最大の収録数になりディスクも6枚組と大ボリュームとなった。

6、星のカービィ ディスカバリー

今回はリードミュージックとしてクレジットされており、リードサウンドは前作から加わった小笠原氏が抜擢されている。
お馴染み石川氏とさらにカービィカフェ2カービィファイターズ2に参加していた下岡優希氏がメインシリーズへ本格的に参加した事で4人体制となった(下岡氏が担当したBGMはサウンドテストの音符が緑色で表示される)。
本作のサウンドテストはワドルディがバンドで演奏する形になっており、本編で初めて曲名がゲーム内で確認できるようになった。
代表的、かつ人気が高いのはやはり「いつしか双星はロッシュ限界へ」。熊崎氏もお気に入りの曲として真っ先に挙げている。
サントラは2024年9月13日発売。

7、カービィのグルメフェス

ディスカバリーに続きリードサウンドは小笠原氏が担当しており、安藤氏はサウンドでクレジットされている。
本作では何とハル研のサウンドチームが総出で参加しており、ディスカバリーで参加した4名の他にカービィのエアライドのBGMを多く担当した酒井省吾氏やタッチ!カービィ スーパーレインボーで過去シリーズのBGMを多くアレンジした大原萌氏も参加したシリーズ最多の6名が参加している。
当然ながらBGMが流れる音符の色も増え、酒井氏は紫色、大原氏はオレンジ色で表示される。
特筆すべきはハル研以外が制作した都合からか長らくシリーズで原曲やアレンジがなかったカービィのブロックボールBGMが27年の時を経てようやく復活した事だろう。
なお、本作のスペシャルサンクスとしてクレジットされている池上正氏が作曲したBGMの音符は藍色、ハル研以外の作曲家が作曲した楽曲は音符が白色で表示される。

8、星のカービィ Wii デラックス

星のカービィ Wiiのリメイク版となる本作ではディスカバリーに続きサウンドルームに曲名が表示されるようになり、当時のサントラに収録されなかった一部のBGMは11年越しに曲名が判明した。
ディスカバリーに続き安藤氏とメインシリーズへ本格的に参加した下岡氏が新たにリードミュージックに抜擢されている。
本作はスーパーカービィハンターズカービィファイターズ2を携わったバンプールとの共同開発でもあり、サウンドはお馴染みの石川氏の他にバンプールの櫨本浩氏も参加している。
なお、小笠原氏は本作において作曲はしていないがクレジットに名前は表示される。他にもう1名のサウンドスタッフも同じ位置に載っている。
本作の追加要素のひとつでもあるわいわいマホロアランドは過去作のサブゲームが遊べるが条件を満たすと当時のBGMが流せるようになり、ここで初めて石川氏と安藤氏が担当していた当時のサブゲームBGMが判明した。

EX、それ以外のカービィシリーズで関わった曲

TDXロボプラのサウンドルームの仕様と、EXステージで過去作のBGMが流れる仕様*5が組み合わさることによって、曲の作曲者が判明するケースが生じる。

例えばエアライドではゼロヨンアタック、ヴァレリオン表、シティトライアル裏がそれに当たる。


スマブラシリーズ


1、スマブラ64

BGMとSEどちらも担当している。スタッフロールやキャラ選択画面のBGMは後の作品にも使われているが、後のスマブラに引き継がれたものは少ない。
(64はスマブラオリジナルの曲がメインテーマのアレンジではなかったりと、以降の作品とは異なった雰囲気を築いている)

2、スマブラDX

酒井省吾(版権曲メイン)、池上正(SEメイン)、橘田拓人(一部編曲)も参加し4名となった。
主に終点やメニューなどを作曲。
この頃は複雑な和音や急激なスピード変化などを駆使し、直での演奏はほぼ不可能、もしくは再現しても何らかの音が足りていない、テンポが合わないものになる曲を作っていた。
この事は後にスマブラDXのオープニング曲作成に大きな壁となり(OPはオーケストラ演奏なので急激な変化は無理)、最終的には酒井省吾がオープニング曲を作ることとなった。*6
恐らくだが、ギガクッパ戦も彼の作曲した曲でないかと思う。(理由はギガクッパ戦で流れる「カーン」という独特な鐘の音が、CROWNEDで流れる「カーン」という音と似ているため)
彼の音作りはこの経験をもってしても特に変わらず、毛糸のカービィまで待つことになった。*7

3、スマブラX

多くの作曲家が入ったことにより、スーパーバイザーとしてのクレジットに留まった。
以降のシリーズには参加していないが過去の曲は収録されている。


他の作品

カービィシリーズとスマブラシリーズで知られているが、他にも大人の常識力トレーニングDSやみんなの常識力テレビ、立体ピクロス、ハコボーイ!シリーズにも関わっている。

脚注

1…miiverse TDXスタッフルーム(2014/4/16 9:52) BGMについて
2、3、4…miiverse TDXスタッフルーム(2014/7/8 10:07) ゲームに登場する曲名について
5…miiverse TDXスタッフルーム(2014/2/21 8:38) エクストラステージについて
6…速報スマブラ拳!!音楽スタッフ座談会(2002/5/11) オーケストラとコーラス(前)
7…社長が訊く『毛糸のカービィ』(2010/10/7) "驚き"と"ユーモア"のある音作り

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最終更新:2025年01月11日 01:13

*1 2014/4/16 9:52のトリデラのスタッフルームの投稿より

*2 2014/7/8 10:07のトリデラのスタッフルームの投稿より

*3 2014/7/8 10:07のトリデラのスタッフルームの投稿より

*4 2014/7/8 10:07のトリデラのスタッフルームの投稿より

*5 2014/2/21 8:38のトリデラのスタッフルームの投稿より

*6 速報スマブラ拳!!音楽スタッフ座談会の「オーケストラとコーラス(前)」より

*7 社長が訊く『毛糸のカービィ』5.「"驚き"と"ユーモア"のある音づくり」より