飛影はそんなこと言わない

登録日:2016/01/10 (日) 05:01:07
更新日:2023/12/23 Sat 10:32:24
所要時間:約 20 分で読めます





オレがマヌケだと? バカ野郎がマヌケは貴様だ!!
オレが何もしないで女を返すと思ったのか!? ボケがぁ!!
その女の額を見てみろ! 面白いものがあるぞ!
はははぁ! 確かに身体は返したぞ!
だがその女の運命はオレの手の中にあるのだ!!
ははは! 嬉しいか? その女はオレの部下の第一号にしてやるぞ
その目が開ききればその女は完全に妖怪の仲間入りだ――
さぁ楽しくなってきたな! 今度は追いかけっこをしようか!
この剣の柄の中に解毒剤が入っている!! 女を助けるにはそれを飲ませるしかないぞ!
欲しければオレから取ってみろ!! 100年かかっても無理だろうがな!
舐めるな! このスピードについてこれるか!
どうだ!? 貴様にはオレの残像すら捕えることができまい!






「飛影はそんなこと言わないッ!!」







飛影はそんなこと言わないとは、腐女子の魂の叫びである。
ここで言う飛影とは、『幽☆遊☆白書』(以下、幽白)のキャラの飛影(ひえい)のことであり、「とびかげ」ではない。

幽白は今なお人気のある名作漫画だが、連載当時(90年代前半)は女性人気も非常に高く、中にはアニメ版の登場人物に憧れたことから声優にまでなった少女もいれば、腐女子の世界へと道を踏み外して足を踏み入れてしまった女性もいるという。

飛影は登場人物の中でも、人気投票で主人公の幽助を抑え常に1位を獲得する程の人気キャラであり、男女問わず、もちろん腐女子のお姉さん方からも人気であったという。

故にお姉さん方の飛影への思い入れは強く、あるお姉さんが、飛影を騙る者の言動が自分のイメージと違っていたために思わず叫んだ「飛影はそんなこと言わない」は、イタイ一言として一部の人間の間で語り草となっている。
現在では、クールなイメージとかけ離れた小物臭い初期飛影や二次創作、果ては飛影を演じた檜山修之氏の別キャラにまで使われることも。

なお、冨樫はキャラを捜索する際にまず漫才のような掛け合いを考え、その過程でキャラに相応しくない言動が出てきたときは展開諸共すべてを没にしてしまうこともあるという。つまり、常に「飛影はそんなこと言わない」と言いながら執筆しているのである。
んなことしてるから原稿が遅れまくるのである。


追記・修正お願いします。








…さて、アニヲタ諸兄には、この言葉が検索してはいけない言葉として扱われているのを見掛けた人間も多いかと思う。
というのも、この言葉の由来は大体は上で軽く触れたとおりだが、詳しく言うと、AV、それも精神的にクルものがあるAVから生まれたものだからである。



※WARNING※
これより先は、このAVに関する、性的な記述や精神的ブラクラも含まれた記述がされます。18才未満の方や幽白が汚されるのが我慢ならないという方は今すぐブラウザバックしてください
また、閲覧はすべて自己責任でお願いします。










件のAVは、素人女子の処女を奪うという企画物。
そこに応募してきた28才女性のもとにそれが霊界への扉とも知らずに向かうスタッフ一同。だが行為に及ぶと、女性の様子がおかしい。
「さあ飛影来てくれ。オレと一つになろう」「オレは蔵馬」
どうやら女性は幽白の蔵馬になりきっており、男優を飛影に見立てての擬似ホモセックスによる処女喪失が理想のものであったようだ。ええ…(困惑)


漫画のことなんかわかんないスタッフ一同。それでも女性の理想を叶えてあげようと、急遽幽白コミックスを読みながらのお勉強タイムを経て行為を再開。
「蔵馬、オレは飛影だ。オレの気をお前の体に注ぎ込んでやる」「ホラホラ、幽助が見てるぞ」
しかし女性の中の飛影像とは違ったらしく「飛影はそんなこと言わない」とダメ出しされてしまった。
それでも男優の頑張りによって、女性は無事処女を卒業できた。






…ネットに広がっているのはおおよそこんなとこだろう。しかし、実際にこのビデオを見てみると、色々と異なっていることがわかる。その中でも最たるものは、「飛影はそんなこと言わない」なんて言ってないし、そこまでの一連のやり取りもないということだ。

それと思しきシーンは、
「蔵馬って呼んでいいよ」
「(ママと聞き違えたらしく)お母さんココすごい」
「お母さんじゃないよ、蔵馬(不服)」
とダメ出しされるシーンと、


「幽助が見てるぞぉ~~(ねっとり)」
「ううん、これ誰も見ていない俺たちだけの世界であって(俺設定)」
というシーンと、

「おれの気を全部ココに、お前のココに入れてやる」
と2代目飛影(初代は上のシーンの直後「こりゃ無理だよ!」とギブアップし退場)が言ってるシーンくらいである。



その後にこのAVに衝撃を受けた漫画家・青木光恵が、岡田斗司夫と「女のオタク」について語り合った「オタク文化論」ゼミ講座(単行本『東大オタク学講座』所収)にて話題に出したのだが、

「男優さんもそういう努力して「僕がなんとか合わせてみます」と言って、
「ほらほら、幽助が見てるぞ」とか盛り上げようとしたんだけど、その娘の中の「俺的な幽遊」
とはちがったみたいで、急に真顔になって「飛影はそんなこと言わないよ!」」

と語ったものが、実際のビデオの内容とごちゃ混ぜになり広まったようだ。



…だが、残念ながら「イタイ腐女子が飛影の名を呼びながらプレイするAV」は間違いなく実在している。



※WARNING※
これより先は、このAVの詳細な内容について記述します。
さらに上級者向けな内容となる他、女性に暴力をふるうシーンも解説します。
それらに不快感を覚える方は今すぐブラウザバックしてください
また、繰り返しますが閲覧はすべて自己責任でお願いします。




そのビデオはオムニバス形式で素人女子が2人出演しており、問題の腐女子は2本目に収録されている。
1人目の女性は問題の人物同じビデオ収録されただけの人物なのでここでの記述はしない。
そもそも女の子じゃないだろっていうツッコミは受け付けておりません


2本目は、28才処女のビデオが収録されながらも販売されていないらしいという情報を掴んだ取材班(謎)が、実際の映像を織り交ぜながら関係者に話を聞くというなんともまわりくどい演出となっている。

迫真のナレーションの導入部が終わると、タイトルテロップが表示される。
「緊急報告!!撮影現場で何が起ったのか?!その真実が今ここに明される!!
欲情列島宅配便スペシャル 28才処女は実在した!?」(テロップママ)
…まるで一昔前(当時)の水曜スペシャル川口浩探検隊のようなノリである。


ある時メーカーに届けられた、出演希望の素人女性からの手紙。

「私は町田市に住む28歳のOLです 恥しいことにいや恥しいというべきか 今だに処女です。口の悪い人には体に欠カンでもあるんじゃないの?という人さえいます
信じてもらえない場合もあります でもその方が幸せかも。だってあとで後カイするようなことだけはしたくないもの。
だってその後でものすごくイイ人ができたらあーっしまったって思うでしょ。でも私にはそういったチャンスもそんな人も現れなかった。現実の人には。
でも好きだなって思うのはいるんだ。実際にいる人じゃないけど(二行黒塗り)18歳で成長は止まるというけれど25歳までは何らかの変化はあるもの。でも30(以下不明)」

ナレーションの「いい加減な文字で意味不明な文章」という評価そのままな手紙である。


その後女性と約束を取り付けたスタッフは、某旅館にてまずは監督・飛田によるインタビュー撮影から始める。
「年齢は?」
「28です」
「あのさ、手紙~書いてくれたじゃない?あれ見たんだけどもさ、一応、処女?」
「ええ」

(しばし沈黙)

「あn…「変ですか?」(かぶせ)
「いやいや、そんなことはないと思いますけども」

女性は「この年で処女っていうと変と言われる」
「結婚する相手が最初になるっていうのも嫌で抵抗があったのね」
「誰でもいいんだったらさ、ヘタでもなんでもいいってわけと一緒になる、私ヘタだとかなんとかってのはやっぱりヤだから。それよかちゃんとビデオだったらぁ、まぁ相手はぁ、ま容姿とかなんとかはさしおいて(暴言)それなりに上手っていうか」と話す。

「全然今までチャンスはなかったの?」
「ま私~も原因があったんだろうけど(おさげファッサー)相手もよくなかったのかなあ?」
「え、どどどどういうこと(動揺)」
「だから本気で惚れられたことがないっていうのかなあ?」

「自分から好きだって言って付き合い始めたことある?」
「ない」
「それはなんで?」ミーンミンミンミンミン(迫真)
「やっぱプライドがあったのかな?逆にこう、黙ってても相手が来る女よってのをちょっと見せたかったからね(ドヤ顔)」ミーンミンミンミン(迫真)
蝉の鳴く中 やたらいい女ぶって見栄を張り、交際経験ならありますけどねアピールする、みやぞん似の28歳処女。
同席しているスタッフや男優の間の空気が冷え込み、このままでは視聴者も彼女に悪い印象しか抱けないと考えた飛田は、話題を切り換えることにしたのだが…


「今一番面白いことってある?」
「いろいろ同人誌を見たりとかね」
「え、な、なに?(予想外)」
「同人誌。」
「マンガの?いいじゃないですか。私だってドラゴンボール見てますよ」
「ドラゴンボール好き?」イラッ
「ブルマのファンですけど」
「あそうなの?ふ~ん(一笑)じゃじゃあ、そういう即売会とか時々行ったりしますか?」
「行かない」
「行かないか。私、結構、結構というか、時たま、月1回そういうのがあるんで出かけたりするんです」
「ふ~ん(無関心)」
場を和ませようと話に割り込んだスタッフ*1に、オタク特有の無意味な競争心を働かせ勝ち誇る、今風にいうとマウンティングする女性。

ここで手紙の「好きだけど実際にいない人」に言及する。
すると女性はこれまで見せなかった気持ち悪い女らしい恥じらいと共に答える。
「あのね、マンガに出てくる人。名前はね、飛影」
「……(絶句)」
「知らないよね、飛影っていうの」
「ひ↓え↑ー?」
「飛↑影」ミーンミンミンミン(迫真)

ここで幽白とは、飛影とはなんなのかの解説が視聴者に行われる。
小学5年生が頑張ってトレースした様な画力の幽白のイラストとともに、幽白がアニメ化もされた大ヒットマンガであることと簡単なあらすじ、飛影は主人公の仲間の一人であることが解説される。


男女の話をさせれば偏った意見で空気が悪くなる。趣味の話をさせれば気持ち悪い。
焦った飛田は話を切り上げ、「見せてやれ(王者の風格)」と男優の池田をけしかけ早々と行為を撮影しようとする。

「好きなようにしていいよ」

が、女性は性器を見せられても
「好きなようにしろったってさ。あ、これさ子どもの頃さ、お父さんの見たことある」

と、「処女だけどチンコとか別に怖くないし」とでも言いたげな態度を取る。

この生意気な態度に、もう一人の男優、市原がキレ始める。

「お前の思い出話はいいんだよ。触れコラ」
「フフハハハハwww」
「今さわってるじゃん。うるさい、うるさい、うるさい親父だな」
「誰がうるさい親父じゃコラ!」
「アハハハハハ……ッ!?」
市原はなにかタオルらしきものを女の頭に投げる。
そういうノリだと思い笑いを上げていた飛田も、ここで市原が本気で怒っていることに気付き口をつぐむ。

「誰がうるさいんじゃコラ ボケェ」
「だって今うるさいこと言ったじゃん」
「クソ女が!」
「うるせえよ」
「お前自分の人生考えてるのかバカヤロー!」
「考えてるよちゃんと」(そおっと離れる池田)
「考えろアホォ!」
「考えてるよ」
「考えてへんやろボケェ!」
「言われたくない(まさかの正論)」
「クソ女が!(2回目)」
「フンッ!(キモオタ特有の口SE)」
「一生処女膜大事に抱いたまま逝けアホ!最低じゃお前なんか!ボケ!」
「イーっだ!(キモオタ特有のアニメ風リアクション)」
「……お前なめとんのかコラお前。お前なめとんのかお前コラ!!おいゴルァ!!」
「ウウン、ウン!?」
ついに市原は女性の頭に掴みかかり、脇腹のあたりを蹴り、「なめとんのかお前はぁ!」とビンタ。
さらに「なめとんのかおいお前はぁ!!」と壁の方まで突き飛ばす。
さすがに怯えた表情を見せる女性。
乱れるカメラの映像。巻き添えになる池田(ノーパンのまま)。

「あぁ…ごめんなさい」
なぜか半笑いを浮かべる女性。自分のパンツ拾ってまた離れる池田。
「フザケンナ!誰がクソ親父やねんな!!(言ってない)」
「いや、クソ親父じゃない…」
「なんだよじゃあ」
「あの、いい男だよ(半笑い)」
「ふざけんなバカ野郎!(闘魂注入)座れ!男がTNP出しとるときに思い出話するアホがおるか!(金言)」
正座し、乱れた髪を直す女性。
「泣いとるよあいつ(池田)は」
「うん、でもほんと今耳バシっていったよ?」
「だから何だよ?」
女性はここでも虚勢を張り、謝るよりも先に自分は動揺してませんアピールをして市原を苛立たせる。
「お前は大事にされるような女やないぞハッキリ言うて。掃いて捨てるほどおるぞお前みたいな女は。ケツの穴ほじっとれアホウ。これは正直な本音やからな!バカタレ!ひどい勘違いしとるぞ!」
あらん限りの罵声を浴びせた後、市原はスタッフ控室にしていた別室へ。



スタッフが市原をなだめていた頃、女性は気持ちを落ち着けるためか、お守りである飛影のキーホルダーを胸に抱いていた。
「かわいいでしょ?」


そしていよいよ池田と女性の絡みの撮影が始まる。

しかし、一度は挿入に成功したものの、池田のブツはなぜか途中で萎えてしまい、続行不可能に。


どうにかして撮影を終えたい飛田は市原に土下座し、女性の相手をしてもらうことに。
渋々ながらも仕事と割り切り、撮影に戻った市原。
そして、市原が女性に手マンを始めた時、伝説が生まれてしまった。


「飛影……好きだ……」


女性「おれ飛影にされてるんだよね今……」
市原「そう……どうしたぁ?(同調しきれず)」

飛田「なんだこいつ……」



女性「蔵馬って呼んでいいよ」
市原「(ママと聞き違えたらしく)お母さんココすごい」
女性「お母さんじゃないよ、蔵馬(不服)」



女性「おれ、飛影のこと絶対忘れないよ…」

飛田「なんだ『おれ』って…」
池田「そう言うんでしょうね、蔵馬は。アニメの中で」
飛田「あぁ……男のキャラクター?蔵馬って男なの?」



女性「飛影!飛影!好きだよ!幽助とも桑原とも……」

飛田「誰だゆうすけって……」
池田「幽助は主人公」
飛田「主人公……」



「ああ飛影!飛影!」
「幽助が見てるぞぉ~~(ねっとり)」
「ううん、これ誰も見ていない俺たちだけの世界であって(俺設定)」

女性の予想外の言動に、飛田は本番中にもかかわらず度々カメラを池田らスタッフ側にむけ幽白の説明を求め、
最初はひえーのきもちになるですよと奮闘していた市原も、徐々に無言のカメラ目線で助けを求め出すという異常事態に。
とうとう市原が限界を迎え、「こりゃ無理だよ!」と再び現場から退場。


他スタッフも急遽撮影を中断して控室へ。
「なんだありゃ、おい……」
「アニメのコスプレの世界でしょうね……同人誌の延長で、自分がそういう世界に……」

ここで視聴者に今度は同人誌とはなにかの解説が行われる。
例の小5レベルのイラストと共に「プロを志す者が作品を小冊子にまとめたものが始まりだが、現在はパロディモノが主流」
「幽白の同人誌は主人公の幽助が登場することは極稀。脇役の蔵馬と飛影という男同士をカップリングさせて恋愛やセックスをさせるものが非常に多い」といった説明がされ、
女性がイメージしているものは「蔵馬が女になって飛影を出産、その飛影と幼児プレイをする」という、20年以上経過している現在でも「人類には早すぎる」としか言えないものであることが明らかになる。TS・腐・近親相姦・おねショタ(?)を一冊に纏めるのはマイノリティ向けもいいところである。
雪菜・氷菜「えぇっ……?」



控室でのスタッフ緊急会議は続く。
「子供の頃にやってた、なんとかごっこと同じですかね。仮面ライダーとか」
「言ってみりゃイメージクラブみたいなものですけど、でも、遊びじゃないですよね彼女は……」
「イメージクラブなら設定の上でお互い遊ぶじゃないですか。でも彼女は互いの設定の共有という土壌がないのにそういう状態になってるから……」


ちなみにこの時女性は、持ち込んでいた幽白コミックスを読みふけっていた。


「ある程度柔軟性があって、キャラクターも知っていて、それに応える芝居ができる人間じゃないと、相手はできません」
「あのままそっとして返した方が一番なのかな……」
処女喪失モノという当初の主旨は忘れられ、スタッフ間の空気は「ここまで来てお蔵入りにしたくない、しかしこれ以上あの女と関わりたくない」という二律背反の想いが支配しはじめた、その時。

制作進行スタッフの連光寺が、部屋に自分と女性だけのハメ撮りの形で挑むという。

万全を期すために、女性からコミックスを借りて皆でお勉強を始める。

「一冊しかないからキャラの関係がよくわからない……」
「邪王炎殺煉獄掌……?」
「気功を使う技?ドラゴンボールで言ったらかめはめ波みたいな……」


そして三度目のトライ。

女性に幽白の話をさせて緊張をほぐす連光寺。

「じゃあそういう世界で。私はどれだけついていけるかどうかわかりませんけども、入り込んでみましょうか。目をつむって……」
もはや導入が催眠療法のそれである。


「……飛影か?」
「疲れたろう?」
「ああ。幽助たちは?」
「うん……その辺にいるだろ(適当)どうしたんだ?熱でもあるんじゃないのか?」
「ううん、今日はやけに優しいねと思って」


「今、今、おれのココ、お前の手がやってるんだよな?」
「うん、おれの手だよ」
「飛影の手だ……これは右手、だよな?黒龍波を撃つ、右手……(迫真)」
「そうだ……それを、それをお前のここに使ってやるよ。おれの気を、おれの気を全部ココに、お前のココに入れてやる」


「好きだ飛影……おれのことも好きだと言ってくれ。嘘でもいいから言ってくれ」
「蔵馬……好きだよ」
「ああ飛影……大好きだ」

やがて女性は「ああ飛影!飛影!飛影ーーーーっっ!!」と絶頂。

そのまま挿入に移るべく、芝居を続ける。

「おれの記憶の中に……記憶の中に、すべてを、焼きつけておきたいんだ」
「おれの身体、焼き付けておきたいのか?わかった……もっと見えるように(脚を)開いてあげる」
「(しばしの間)……うん……」

しかし、のめりこみが強く、飛影(連光寺)の言うことなら命すら投げ出しかねない女性の雰囲気に、連光寺は怖じ気づきはじめる。
「おれのすべてを記憶させておきたいんだよな?」
「ウフフン……おれ、眠くなってきたよ」

そして撮影を切り上げようと締めに入る。
「眠くなってきた?じゃあ、一緒に寝ようか」
「……ウーン」
「お乳吸いながら寝てもいいぞ飛影。おれのでよかったら」
「……おれとお前とはここまでなんだよ。わかるだろう?この世界ではここまでなんだ」
「そんな……待って飛影、飛影、抱いて……!」
「今度、どこかの世界で、本当に、男と女となって、生まれ変わって、出会ったら、本当に愛し合おう」
「嫌、嫌だ……!最後にキスして……!!」
連光寺は適当なことを言って女性の最後の望みを果たすと、逃げるように部屋を後にした。


その頃スタッフ控室では、疲れ切って布団に寝転がってる市原たちが、「あしたのジョーならわかるんだけどな……」と呟き、あしたのジョーごっこをしていた。



以上がビデオの実際のあらましである。



ビデオの撮影時期は1994年の8月、幽白のジャンプでの連載が完結した時期である。
当時の時代背景的には、アニメオタクという存在はもちろん周知されていたが、今でこそ超メジャーなジャンルであるキャラ萌えや二次元へのマジ恋、やおい・BLといった要素は現在ほど一般には知られていなかった。(「電車男」ブーム10年前、アニメオタクを社会風刺ネタの出汁にするようなアニメ放送の7年も前、といえばオタクへの風当たりが強い時代に撮られたものということが分かるだろう。それでいて当時は超マイナーなジャンルのオタクである)
このwikiに集まった現代のアニヲタな諸兄らすら文章で見ただけで気持ち悪くなるビデオを、実際に撮影した当時の非オタのスタッフらがこの女性を異端どころか化け物扱いすることは無理もないのである。もちろん市原の暴力を肯定するわけではないが。


【登場人物】
  • 武蔵の二十八歳処女(蔵馬)
この映像の主演女優の素人。ビデオ中で一切名前が明かされていないので、この項目でも「女性」と表記するしかない人。「武蔵の二十八歳処女」とはビデオのスタッフロールでの表記。パッケージには「超変質処女OL」と書かれている。多分嘘は言ってない。

バブルを引きずっている太眉メイクとすだれ前髪をしていて、ペッペッペッさんみたいなピンクのスーツの女性。
顔立ち・体つきはどう贔屓目にみても中の下レベルだが、虚栄心が非常に強く高飛車で、生身の男性に対して潔癖が過ぎたり、色々とこじらせている28歳の処女。
正直、この年まで処女なのは腐女子であることだけが理由とは思えない。

彼女が処女を卒業できたと言っていいかどうかは、そもそも何を持って処女喪失とするかという定義の問題になってくるのでここでの言及は避ける。
一応まとめると
池田に挿入されるが、池田のTNKが萎えたため中断。出血はなかった。
連光寺に手マンで絶頂させられた
という二点がポイントか。


  • 団員一号・池田こうじ
撮影に参加した男優の一人。眼鏡で痩せ型。
最初に女性に性器を見せつけるが、市原がブチギレたせいでパンツをはき直すタイミングを失い、女性が突き飛ばされた際に下半身丸出しのまま巻き添えになる姿はまるで道化である。
その後最初に女性に挑むも挿入後にTNKが萎えて中断。
池田と女性の一戦はダイジェストになっているので行為の詳細は不明なのだが、本人は「血を見ると萎える」と言っていたが、それなら処女喪失モノに参加した意味がわからないし、そもそも前述通り女性は出血してない。
やはり女性の言動が問題だったか。
また、その後控室の会議では終盤までなぜかずっとパンツ一丁だった。


  • 団員四号・穴流市原(初代飛影)
撮影に参加した男優の一人。薄毛で飛影とは似ても似つかない。
女性の歪んだ性格の陰に隠れがちだが、身勝手な美学から出演女優(素人)に暴力を振るったり、女性が話した友人のDV彼氏を擁護するような発言をしたりなどDQNな面や、言動の端々に男尊女卑、特に処女を下に見るような考えが見え、こちらも人間性に問題があるように思われる。時代もあるかもしれないけど……
元から早口な関西弁で聞き取りづらいが、怒って興奮するとさらに早口になる。
一方で同ビデオの一人目の出演女性(素人)に対しては穏やかに接しており、SMプレイ後に「新しい世界を見た。彼氏と別れる」と言い始めた女性をなんとか思い留まらせようと説得する一面も見せている。


今も名義を変えて業界で活躍中。なんと本家wikipediaにも項目があるほどの有名人である。
メーカーのブログやtwitterで情報を発信しているが、この「飛影、好きだよ」のビデオがネットで話題になっていることは、この収録時のことをふとツイートした時に大きな反響が来るまで知らなかったようだ。

今回の件は相当こたえたらしく、撮影翌日にはギャラを全額ギャンブルにヤケ打ち、商品として発売後もしばらくは見る気になれず、幽白も未だに読む気になれないそうだ。


  • 客人・代々木忠(Y監督)
今回の撮影に直接関与していないが、ご意見番としてスタッフインタビューに登場。
当初は「顔と名前を伏せることを条件に証言してくれた証人」という設定で顔にモザイクがかかっていたが、すぐに設定を忘れられ素顔で出演した。
多くの素人処女モノを手掛けてきた結果、「恋人のような信頼と、女性が傷つかない細心の注意が必要な素人処女モノで、男が抜けるものを作ることは不可能」という諦めに近い結論に至ってしまい、飛田の焦ってしまったやり方にダメ出しをした。
今回の映像を「愛あるセックスがウリのウチにはふさわしくない」「発売すればメーカーの名に傷が付く」と世に出すことに反対していた。
今もこうしてネットで話題になってるので、彼の不安は的中したと言える。

ピンク映画の時代から活躍し続けている監督で、市原同様本家wikipediaに項目がある。
あの山本晋也監督をピンク映画監督としてプロデュースした人物でもある。
また、加藤鷹も尊敬する人物として挙げたり、笑福亭鶴瓶や星野源などとも対談したり、AVも今なお取り続けベスト版がリリースされるなどまさに生ける伝説といえる人物。
メーカーのブログで毎週「週刊代々木忠」なるコーナーを更新している。



  • 謎の目付・連光寺亘(二代目飛影)
制作進行として参加していたスタッフだったが、現場が窮地に陥った際に自らハメ撮りを志願した勇者。
見た目は眼鏡に口髭と、やはり飛影には似ていない。
飛影としての演技力はたどたどしいものだったが、根気よく女性に付き合うことでなんとか作品を形にした。


  • お抱え絵師・平口広美・世輝端三
スタッフロールに名前が出た2人組。おそらくビデオ中に出た小5レベルの、涅槃像みたいな飛影や骨格がおかしい蔵馬を描いた人間と思われる。
平口はAV男優兼漫画家であり、伝説の漫画雑誌「ガロ」にも執筆経験がある。なお市原が編集者のアルバイトをしていた時期に担当していたこともある。


  • 団長・飛田淳
幽白の朱雀の中の人と同じ名字の、今回のビデオの監督。眼鏡に薄毛の天パ、無精髭と小汚い容姿。今回が自身初めての処女喪失モノビデオだったのだが、とんでもない地雷女を引き当ててしまった悲運の監督。
それでも女性に素晴らしい処女喪失を提供し、セックスの悦びを教えようと息巻いていたが、連光寺からは「処女喪失モノ初めてなのに何言ってんだ。偽善だ偽善」池田からは「やるだけやってとっとと帰ってればよかったんだ」と非難された。
しかし撮影テープのラベルに「幽界の愛」とか書いちゃうあたり、ほんのちょっとだけ楽しんでるような気もする。


  • ナレーター
迫真のナレーションをお贈りする、恐らくプロのナレーター。
その声は幽白で北神を演じた堀内賢雄氏や、劇場版で耶雲を演じた故・鈴置洋孝氏に似ていると言われる。



  • セミ兄貴
某ビデオではその命を燃やした名演で出演者2の情欲を熱く燃えたぎらせたが、今作では逆に夏だというのに冷え切り静寂に包まれた現場の空気を演出することに一役買った、まさに名バイプレイヤー。



【その他名セリフ】

「まるでこの世のものとは思えない、それこそ能面のような顔をしている」
映像冒頭、ナレーションの一節。女性の顔写真の不鮮明な白黒コピーを評して。
手紙の評価といい、仮にも撮影を志願した素人女子に向けた言葉とは思えない。
ナレーションの台本を書いた人間のこの女性への感情が垣間見える。


「この長い業界生活、数千本のビデオを背負った僕が、処女に罵られて黙っていられませんよね。今まで犯してきた女がみんな文句を言うでしょう。一発は殴らな どないするんですか」
スタッフインタビューでの市原の発言。
偉そうに語っているものの、「あの女 口が悪いでしょ?処女のくせに(偏見)」とも言っており、結局は女性の反応が撮影側の思ったものと違うから殴ったように思える。
これだけ言っておきながら、女性が自分の理解の範疇を超えた存在とわかるや逃げ出している。


「やなもんやっちゃったな……今はこの場から逃げたい……」
撮影中断中の池田の呟き。
女性と池田の行為の詳細はわからないが、池田の心とペニスを折る「なにか」が起きたのであろう。
この言葉に飛田は「俺も同じさ……」と同意している。


「そら まいるがなぁ、なんとか光線食らわされたら……」
市原、お勉強タイム中の連光寺を尻目に寝転がって。
もう女性に対して完全に心を閉ざしてしまっている。


「武術会で、戸愚呂チームの武威と対戦した時ありましたよね飛影が。その時私、まあ飛影なら負けるわけがないと思ってた、思ってたけど、実際本当に勝てるのかってすごい心配して見てたんですけど」
ハメ撮り前、暗黒武術会決勝戦の時の心境を喜々と語る女性。
聞かされている連光寺は終始関心なさそうであった。


「彼女にとっては、現実よりもマンガの世界の方がリアルなのだ。」
上記のシーンにかぶせられたテロップ。
我々アニヲタ民の心にも重くのしかかるような名文である。(世代によってはむしろこのセリフを言う側のアニヲタ民かもしれないが)


「こんなちぃちゃい体で、どんどん敵を倒していって、それですごく男らしくって、で正面から見たらワルそうなんだけど、横顔とか まだ子供みたいにカワイイの。で、性格はやっぱりスネた感じで素直じゃなくて……でもそこが好きで、ずっと忘れられなくなっちゃった。だから逆に別に好きな人ができて飛影のこと忘れちゃうのがヤなの」
女性がコミックスを読みながら語る飛影の魅力。
秘めた乙女心も一緒に吐露しているが、聞かされてるこっちからしたら気持ち悪いとしか言えない。

「不毛だよ。」
ビデオの最後、あしたのジョーごっこの途中で我に返った市原の一言。
今回の撮影そのものを評したかのようなこのセリフを最後にエンディングに入る。

「昨日もSEX~♪明日もSEX~♪」
「つまらない~世の~中~♪SEXだけ~がおもしろい~♪」
スタッフ・男優たちが歌うオリジナルのエンディングソング。
そのヒドイ歌詞、素人の歌唱力、夜の道路を走る車載カメラのエンディング映像は、ここまでビデオを見た人間にえも言われぬ余韻を与える。


「代々木さんはあまり飛影の部屋では撮らなかった。やはりなんかあったんかな。時空がねじれて、女がイカレる磁場というか、ヤバイ霊気みたいなの、本能的に避けられてたのかも。」
ビデオ中ではないが、2016年4月に市原がtwitterであげたツイート。
市原の中ではもはやスピリチュアルオーガニック的な何かの話になってるようだ。

これに触れ、週刊代々木忠でも当時のスタッフの様子が代々木氏の目線から語られている。
市原も「皆、「処女」とは呼ばず、「飛影」と呼んでた記憶があるね。」「あのビデオの撮影陣も今業界に残ってるのは俺だけ」などと裏話をツイートしている。


市原は以降もこのビデオに関して度々取材を受けており、「通常こういうオムニバスものは1人あたり60分テープ3,4本で充分なのに、彼女には10本も使用した」(実際は14本)「最初のインタビューの時点で漫画の話だけで2時間は経過している」といった裏話を答えている。


【余談】
現在、当作品のVHSビデオテープは4万円以上もの価格のプレミアが付いている。
2020年からはAVサイトにて有料配信も行われるようになった。


「飛影!飛影!好きだよ!」
「幽助が追記修正してるぞ~」
「ううん、これ誰も追記修正しない俺たちだけの項目であって(俺設定)」
「おい、俺怖いんだよ(素)お前の項目にいるとよ。なんかわからんけどよ、ごっつ怖いんだよ。お前不気味だぞおい。……こりゃ無理だよ!(断念)」
「えー、無理?駄目かなあ……(素)」

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最終更新:2023年12月23日 10:32

*1 声や口調からおそらく連光寺