登録日:2016/09/05 (月) 18:50:00
更新日:2024/02/21 Wed 15:49:45
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『宇宙家族カールビンソン』とは、あさりよしとおによる
SFコメディ
漫画。
掲載誌はプチアップルパイ(1984年)、月刊少年キャプテン(1985年~1997年)を経て
月刊アフタヌーン(1999年~休載中)。
1988年にOVA化もされている。
宇宙の辺境の惑星アニカを舞台に、孤児となった地球人コロナと、実の家族に代わって彼女を育てる
異星人たち、および惑星の原住民や物語途中で惑星にやってきたキャラクターたちの織り成す
群像劇である。
基本的にはドタバタ・ナンセンスギャグだが、作者の趣味からか非常にSF色が強く、SF作品のパロディとなっている回も多い。
そもそもタイトルからして「宇宙家族ロビンソン」のパロディである。
たまに非常にシリアスな回もある。
なお、設定からして「いつ地球からコロナの迎えが来てもいいように、他の登場人物は全て「ありふれた地球の町」を演じており、彼らの正体は実は旅芸人一座」という、
いわゆるメタフィクションSF、パラノイアSFの1バージョンとなっている。
舞台はアニカという架空の惑星であるが、舞台の町のモデルは作者が一時期棲んでいた
北海道美唄市。
異星人たちが参考にした資料の中にこの町に関する文献があったのだろうか。
上記のように掲載誌の廃刊に伴って2度も掲載誌が代わるという、不運だんだか幸運なんだかよくわからない目に遭っている作品。
現在は長期休載中で未完作品である。
ちなみに3バージョンはそれぞれ
パラレルワールド扱いであり、設定は微妙に異なる。
以下では最もメジャーと思われる少年キャプテン版を中心に解説する。
登場人物
主人公一家
声:荘真由美
主人公。判明している限りでは作中唯一の地球人。作中で
幼稚園児から
小学校高学年くらいまで成長する。
赤ん坊の時に宇宙船の事故によって実の両親を失い、たまたまそこに居合わせた異星人たちによって育てられる。
子供らしく純真で好奇心旺盛。
しっかりした
お母さんに躾けられてるわりには、年相応に我儘で頑固、また怠惰なところもある。
作中何度か地球人や
地球の宇宙船とニアミスしているが、自分の境遇には全く気が付いていない。
というか交易所などに地球人が訪れている描写があり、
辺境の惑星に引っ込んでないで本気で探せばすぐ伝手が見つかるような気もするが……
前述の通り、本作の舞台は全て彼女の為だけに作られた偽りの社会である。
声:藤田淑子
まんまる体型の巨大な
一頭身ネズミといった姿をした女性の異星人。
本来は旅芸人一座の座長で、「コロナのためにアニカに地球を再現する」という計画の立案者で中心人物かつ、一家の母親役。
主にツッコミ担当だが、周りが周りであるためかツッコミ方がかなり暴力的。
また、たまにとんでもないことをさらっと言ったりやったりもする。
宇宙的な顔を広さを持ち、作者の別作品のキャラとも顔見知り。
コロナのことは実の娘同様に想っており、甘やかしてばかりのお父さんに対してわりと厳しく躾けている。
機械の体を持つ異星人。一家の父親役。
家事などは全く手伝わないためか、おかあさんからは「宿六」と呼ばれている。
常に片言、というか意味不明なセリフばかり発してる。
戦闘力は間違いなく作中最強で、コロナのことは溺愛している。
一見頭のネジが数十本ほど抜けているようにしか見えないが、コロナの身に危険が迫った時などは普通に喋り的確に対処するため、
上記のような言動は半ば演技のようである。
家事の中でも料理だけはたまに行うが、腕というかセンスは壊滅的。
例:
ヨーカンとスイカの佃煮
カツオのたたきカスタードクリームがけ
さばメロン
etc……
以下最大級の
ネタバレ
正体はウエスナー星宇宙軍独立空間騎兵隊所属のトリー准将であり、本来は地球人と同じ外見。
任務遂行のために自らの手で妻子を殺害した過去があり、そのために「逃げることは許されない」と自分に言い聞かせていた。
その後、他の惑星で発見された兵器に魂を移植し、現在の姿になる。
仲間の裏切るにより母星が壊滅した時、「苦しみながら死ぬくらいなら」と住民たちごと母星を破壊した。
その後、どうやっておかあさんたちと出会ったかは不明。なお、このことはアニカの住人達もほとんど知らない
一家のペット役。
脳と神経が剥き出しという凄まじい外見をしており、どこがリスだとツッコみたくなること請け合い。
というか作画が大変そう。
登場するだけで暴力的にツッコまれるという立場であるが、猟奇的な外見に反して一家の中および作中ではかなりの常識人。
実は母星では良家の息子。
コロナちゃんの無茶ぶりに振り回されるのみならず、他の一家からも度々酷い扱いを受けているが、
今の環境には非常に満足しているようで母星に帰るつもりは無いらしい。
猫。一家のペット役その2……というか実質ただの居候。
実は作者の別作品「それ行け宇宙パトロール」に登場する辺境パトロールの一員。
コロナちゃんが「ペットが飼いたい」と我儘を言い出したため、収めるためにおかあさんのコネで呼び出される。
ちなみにコロナちゃんはこの時「そんなこと言ったらターくん捨てちゃうよ」と言ったおかあさんに対して、本人の前で
「捨てていいもん!!」と言っていた。
鬼か。
性格は図々しくて意地汚い。こんな性格のため、パトロール隊からも二つ返事で派遣された模様。
結果的にコロナちゃんは我儘の報いを受けることになった。
一つ目に針金のような手足をした異星人。
一話から登場しており、一家の一員らしいのだが一言もセリフは無く、その正体は全く不明。
一家の中の役割も不明。
惑星アニカ的……というか少なくともジュン君的には美人らしい。
また、単行本では何故か裏表紙にいつもおかあさんと一緒に描かれている。
街の住民たち
声:水谷優子
街の警察官役(そのため本物の宇宙警察が訪れた時は焦っていた)。
一言で言えば残念な美人であり、愛すべきポンコツ。
エルフ耳に加えて、レオタードというか
スクール水着というかみたいな服をいつも身に着けており、一部の早熟な読者の熱視線を集めていたことは想像に難くないが(ただし貧乳)、
中身は短絡的かつ傍若無人な完全なアホの子である。
一巻中盤でライカに破壊された
バイクのことを最終話(17巻)まで思い出さなかったほど。
ただし面倒見は良く、住民の中ではまだ話の通じる部類である。
見た目からは想像もつかない馬鹿力の持ち主な上に獣化能力の持ち主だが、それが役に立ったことはほとんどない。
雪と氷に閉ざされた星の出身故に暑さには非常に弱い。
なおそのような星のため、一家もろとも傭兵として自分の身を売る以外に無かったという。別に性的な意味ではない。
雑貨店店主役。他にも様々な地球上の様々な店舗を再現して経営している(もちろん全てコロナのためである)。
巨大な一つ目に両足が付いた
ロボット。
コロナの載っていた宇宙船に残されてた地球の情報をメモリ内にコピーしており、地球を知らない異星人たちが地球の習慣を再現するのに大いに役立っている。
作中の知恵袋的存在である。
……筈なのだが、データバンク自体が事故で故障したためか、記憶しているデータが妙にズレていてアテにならなかったりする。
例えば小学校の教科書として
戦前の内容を記憶していたり、ちまきと簀巻きを間違えたり。
その癖野球のルールや
麻雀のルールなど、わりと
どうでもいいことは正確に把握している。
名前通りの役割のキャラ。
一つ目の異星人。
商売上手で、「売れれば何でもいい」というモットーの持ち主。
映画屋兼1人でテレビ放送も担当。何気におかあさんに酷使されている気がする。
一見犬のような風貌だが、
顔面をエイリアン状に分裂させたり、頭部だけ分離させて動かすことが出来たりする。
初見ではかなりの
トラウマ。作画が大変そうな奴その2。
元映画監督で、おかあさん曰く「結構有名だったけど、あまり売れずに辞めた」とのこと。
モデルは明らかにジョン・カーペンターである。
おとうさんの料理をおいしいというセンスの持ち主。
風来坊。地球環境を再現する一環として風来坊を演じているのではなく、本人の趣味である模様。
一見SF作品のヒーローのような風貌で、
飛行能力もあるのだが、何かの役に立ったことはほとんどない。
ミドリ先生には堂々と
浮浪者とか言われたことがある。
人ほどもある巨大なネズミ。名前通り常にショベルを持っている。
土木工事従事者役……
というわけではなく、単に好きで穴を掘ったり埋めたりしているだけの模様。
ライカを(最初は半ば脅されてだが)居候させている親切な男で、この中ではかなりの常識人。
実はSF映画「惑星間の狩人」に登場する同名のキャラをモデルにしたキャラ。
物語途中からアニカにやってきた一人。本作最大の
ツンデレ。
ベルカの
幼馴染であり、最初は「傭兵時代に酷い目に遭わされた
復讐」と称してやってきた。
……が、どう聞いても逆恨みであった。
爆薬や武器の扱いに長けていたり、魔術を使えたり、果ては
火を噴く龍に変身できたりと、作中でもかなり強い部類に入ると思われるが、何故かやられ役。
ベルカとは
気が向けば交番ごと爆破するような仲であるが、なんだかんだ腐れ縁。
初期はトゲトゲしいキャラだったが、徐々に他の住民とも普通に接するようになった。
町では配電工事などの機械系統関係を担当している模様。
コロナのために幼稚園が開かれた際は原住民らともに無理やり入園させられたが、案外気に入ったのがその後も文句も言わず通い続けている。
トゲトゲしい性格になったのは躾のために三角木馬や蓑踊りを使う厳しすぎる父親のせいだったようだが、
父親も娘と同じく素直になれないだけで娘想いの善人である(度が過ぎてるとは思うが)。
妻・二人の息子と共に物語途中からアニカにやってきた一人。本名不詳。
「宇宙最強」を自称しているロボットもしくはアンドロイド。
自分の力を誇示するためだけにあらゆるものを破壊し、「壊れさないようなものを作らないほうが悪い!!」などと開き直るはた迷惑すぎる男。
それどころか自分の力を家族に見せつけるためだけに自分の乗っていた宇宙船すら破壊した。
この作品では戦闘力と頭脳は反比例でもするのか。
次男はコロナの同級生の
スネ夫ポジションとして準レギュラー扱いだが、長男は初登場以降は二回しか登場せず、どちらも酷い扱いだった。
物語途中からアニカにやってきた一人。
駄菓子屋のばあさんの知り合いで、幼稚園および小学校の先生役として唐突に登場。
初登場時には「なぞのおねえさん」と呼ばれ、一見地球人に似ている美人であるが舌を異常に長く伸ばすなど、怪しげな雰囲気をまとっている。
なぜ地球人そっくりなのかなど、その正体は全く不明。
なんとも不気味な女性である……
……と、初登場のあたりはこのようなキャラだったのだが、周りが周りであるせいか徐々に常識人ポジションに収まり、ツッコミ役に回るようになった。
物語途中からアニカにやってきた一人。
とんでもない悪戯を生業とする、全宇宙的に有名な「怪人虹男」の五代目。
しかし、辺境の、それも住民全体が偽りの生活をしている星になんか来てしまったせいで悪戦苦闘している。
一応、何度か成功したことはあるが、自身に跳ね返ってくることが多い。
タキシードに不気味な仮面といういで立ちであるが、仮面の下はなかなかの美青年。
たまに度を越した悪戯を行う以外の点では、作中では比較的常識人(なんかそんな奴ばっかりだな)。
一時原住民の居候を嫌がって小学校の
トイレに住んでいた。そっちのほうが惨めだろう……
なお、おそらく
貧乳萌えであると思われる。
物語途中からアニカにやってきた二人組。
トラのほうは明らかにフーテンの寅さんがモデルだが、詐欺や押し売りを生業とするろくでなしである。いいのか……?
なお、その商売がうまくいくことはほとんどない。
のちに同作者の別作品「まんがサイエンス」に瓜二つの冬眠の専門家「トーミン・トロール」が出てくるが多分無関係。
子分のほうは「ヤス」とか「サブ」とか呼ばれているが、本名はトラすら知らない。
トラと同じく商売下手だが、実は終盤ではある重要な役割を演じる。
原住民たち
惑星アニカに原生する知的生命体。
コロナたちの事情をどこまで知っているのかは不明な部分も多いが、地球の風俗を演じることに協力している模様。
額にそれぞれ別の漢字が刻まれている。
何故かやたら地球のB級映画に詳しかったりするのは気のせいだ。
以下ネタバレ
祖先はオウムガイ
声:中原茂
額の文字は「大」。
パーカーのことが好きで夕焼けマニア。
コロナと仲がいいのかわりと出番が多い。担当回もあるなど、原住民の中では恵まれている。
モデルは特撮監督の大木淳。
声:北沢洋
額の文字は中。
爆発マニアで、隙さえあれば大量の火薬に火をつけて爆破を起こそうとする。
モデルは派手な爆発シーンで有名な特撮家の
中野昭慶。
声:庄野晃一
額の文字は「矢」。
よく一升瓶を持って登場する酒好き。
一応、作中設定では小学生。体は40超えてるそうだが。
モデルは特撮監督の矢島信男。
声:カシワクラツトム
額の文字は「実」。
いつも目の前に何かをひもで付けて垂らしている。
言い回しがやけに哲学的で回りくどい。
モデルはもちろん特撮監督の実相寺昭雄。
追記・修正は鍋でとろみのついた塩水を作ってからお願いします。
- 懐かしいなぁ、確かアニメ化もされてたよね -- 名無しさん (2016-09-06 03:15:08)
- Qとろみのついた塩水を作るにはどうすればいいですか? Aカレーを作る歌を歌おう -- 名無しさん (2016-09-06 09:58:55)
- 途中からやたらライカ贔屓な話が多くなっていたような印象が。作者のお気に入りだったのかな。 -- 名無しさん (2016-09-08 01:36:31)
- ↑ツンデレでも根は寂しがり屋、意外と家庭的な一面もあり友情に厚く、かと思うと秘められた力があり陰で町を守ってる…普通の漫画なら主人公かってくらいにキャラ立ってたもんな。そりゃ人気が出るわ -- 名無しさん (2016-09-26 22:21:23)
- 以前ネットで見た記憶があるんだが、トラの子分がサルの着ぐるみに入る話があったらしいが、単行本探しても全く見つからない。封印回か? -- 名無しさん (2024-02-21 15:49:45)
最終更新:2024年02月21日 15:49