インセクト女王(遊戯王OCG)

登録日:2017/11/20 Mon 22:01:06
更新日:2025/05/17 Sat 19:31:47
所要時間:約 7 分で読めます




代打バッターは破壊され墓地へ―!
そして手札にある最上級モンスターを場に出す!
そのカードは…ヒョヒョヒョ…こいつだ!!

あのカードは幻の…!すでに手札に持っておったのか…

インセクト女王!!



遊戯王オフィシャルカードゲームに登場するモンスターの一種。
初登場はゲームボーイソフトの三聖戦神降臨の特典カードの1種。

名前の通り昆虫族の最上級モンスターでスペックは以下の通り。


効果モンスター
星7/地属性/昆虫族/攻2200/守2400
(1):このカードの攻撃力は、フィールドの昆虫族モンスターの数×200アップする。
(2):このカードの攻撃宣言の際に、自分は自分フィールドの他のモンスター1体をリリースしなければならない。
(3):このカードの戦闘で相手モンスターを破壊したターンのエンドフェイズに発動する。
自分フィールドに「インセクトモンスタートークン」(昆虫族・地・星1・攻/守100)1体を攻撃表示で特殊召喚する。




◆概要

フィールドの昆虫族モンスターの数に応じた自己強化効果。
モンスターのリリースを行わなければ自身は攻撃を行えないデメリット効果。
戦闘でのモンスター破壊に連動したトークン生成効果の3つの効果を併せ持つ。

自己強化による理論上の攻撃力最大値は4600。
(新マスタールール導入前は4200であったが、EXモンスターゾーンの新設により増えた。)
また、自身も昆虫族であるため実質的な攻撃力は2400と考えて差し支えない。

リリース用のモンスターがいないと自分から攻撃が出来ないのが痛手であるが、相手モンスターの戦闘破壊にさえ成功すれば自身でトークンを生成できるので、いくらでも後続を補充できるという点でカバーがされている。

トークン以外の昆虫族モンスターも用意できれば高い打点で相手モンスターを破壊し制圧する、正に女王と呼ぶに相応しい八面六臂の活躍を見せてくれることだろう。





















……なんて風に書ければ良かったんだけど、
正直に言うとこのカード単体では使いにくい面の方が目立つと言わざるを得ない。



自己強化効果を持つとはいえ、素の攻撃力が2200と物足りなく、
一般的な最上級モンスターの攻撃力が大凡2800程度と考えると、
攻撃時のリリース要因も含めて他に3体の昆虫族を並べて漸くといったところ。

素のステータスや最上級ラインで考えても、《セイバービートル》やら《鉄鋼装甲虫》やら、
デメリット無しで使いやすい昆虫族モンスターが多数存在するのが悩みどころ。しかもこいつは一切耐性ない。・・・・・・もうわかるよね

リリース用として想定されていただろうインセクトモンスタートークンの生成についても、
攻撃力100という貧弱ステータスでありながら、エンドフェイズ時攻撃表示で特殊召喚されるというのが痛い。
如何に自己強化とリリース元の確保が可能とはいえ、何の耐性も無い低攻撃力のトークンを相手ターンに晒してしまえば、
絶好のカモとなってしまうのは目に見えていることである。

幸いこの手のモンスターにありがちな召喚制限や蘇生制限は一切無いので、
呼び出すだけなら《共振虫》やら《代打バッター》、はたまた《ギガプラント》辺りを駆使できれば容易である。

インセクトモンスタートークンにしても防衛手段さえ確保できればこれまた制限は特に無いので、
A召喚用のリリース要員、S召喚L召喚要員等々好きに使うことができる。

自己強化については相手フィールドのモンスターも参照するので、
おジャマトリオ》に《DNA改造手術》を組み合わせれば何とか……なるか?


総じて見ても使い道が全く無いほど酷いというわけではないのだが、やはり使いにくいことに変わりなく、「《絶望神アンチホープ》と似てるとか言ってはいけない」
《インセクト女王》を使って本気で勝利を目指すなら、専用デッキの構築と多量の愛が必要なのは間違いないだろう。

昨今は《ナチュルの神星樹》でインセクトモンスタートークンをリリースして地属性植物族の昆虫族をサポートできるモンスターに入れ替えることが可能な他、《リンクリボー》の自己再生のリリースに使えるため、登場当時よりはマシにはなっている。



◆原作・アニメでの活躍

みんな大好き蟲野郎ことインセクター羽蛾が用いる、《グレート・モス》に代わる新たな切り札。
バトルシティ編における城之内とのデュエルで登場。

昆虫族モンスター1体を破壊するという魔法カード《殺虫剤》の効果により、
自分フィールドの《代打バッター》を破壊するというアド損極まりないコンボにより特殊召喚される。
さらに城之内のデッキに《寄生虫パラサイト》を混入しトークンへの攻撃を封じて優位に立つ。
攻撃名は「クイーンズ・ヘル・ブレス」
また作中では攻撃条件のリリースは「捕食」として表現されており、味方の昆虫族モンスターをムシャムシャ喰らう姿は大変グロい。

羽蛾はこのカードが甚くお気に入りらしく、項目冒頭にあるように女王様とか呼んで愛でている様子。
アニメでは中の人の怪演もあり、やたらとハイテンションに女王様と連呼する羽蛾の姿は非常に腹筋に悪いものであった。そしてそのときに顔芸もした。

因みに原作漫画だと自身は対象にならないものの、自己強化の上昇幅は昆虫族一体につき400ポイントと実質倍。
攻撃時のリリースも必要なく、更には生成されるトークンの攻撃力も1200と、OCGに比べると大分マシである。
このカードもまたシリーズ初期にありがちな下方修正をモロに受けて使いづらくなってしまったカードなのである。

アニメの方では基本OCG準拠の上にトークンを生贄にできないという制約が課される弱体化を受け、《インセクト女王》の生贄には《コカローチ・ナイト》を使用している。
《コカローチ・ナイト》は墓地に送られるとデッキトップに戻るセルフドローロックといういらない効果があるので、羽蛾は「これで生贄には困らない」などと得意げになっていたが自分の首を絞めるだけの稚拙なコンボなのは誰の目にも明らかである。

どちらも結局最後は特殊召喚用に使った《殺虫剤》を城之内の罠カード《墓荒らし》によって逆利用されて破壊されるという皮肉な最期を遂げた。
そしてやっぱり非常に腹筋に悪い羽蛾。そしてkaogei☆

デュエル終了後、アンティルールによって、城之内の手に渡るも原作では一度も召喚されなかった。
まぁ、このカードは昆虫族デッキで真に活かせるものなので致し方なし。
アニメではリシド戦で召喚されたことで、《人造人間-サイコ・ショッカー》と《伝説のフィッシャーマン》と並び
城之内のバトルシティ・アンティのモンスター勢揃いで描かれたのだが、《聖獣セルケト》の前には為す術がなく、捕食された。
闇マリク戦では召喚前に、《地獄詩人ヘルポエマー》の効果で墓地に送られると、とことん不憫である。

ドーマ編においては、羽蛾が城之内に渡したのとは別の《インセクト女王》を使用。遊戯を追い詰めるが、オリジナル罠カード《ナチュラル・セレクション》の効果で破壊された。(ちなみに食われるのは二度目)(それ+ナチュラルセレクションで出てきた自分に食われるえぐい絵面である)ちなみにこの試合はかの有名なバーサーかーソウルで、羽蛾にしては珍しく生け贄召喚で出していた。
その次のKCグランプリでも召喚されたが、対戦相手のジーク・ロイドのワルキューレコンボに瞬殺される。

◆関連カード

《インセクト女王》や《寄生虫パラサイド》といった高レアリティの昆虫族モンスターを送り出したにもかかわらず、昆虫族はうだつが上がらないままであった。そりゃそうだ
そこでコンマイは他のうだつが上がらない連中も含めたテコ入れを図り、女王様の娘を生み出した。
それがこちら。

インセクト・プリンセス

効果モンスター
星6/風属性/昆虫族/攻1900/守1200
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上に表側表示で存在する昆虫族モンスターは全て攻撃表示になる。
このカードが戦闘によって昆虫族モンスターを破壊する度に、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。

プリンセスという名前に違わず可愛らしく、顔や触覚に名残がある。しかも女性モンスターとしては珍しくウルトラレア。これがどうしてあんなおぞましい昆虫に……。
フェロモンを意識したのか相手の昆虫族を攻撃表示にする効果と、《聖獣セルケト》のような捕食効果を持つ。食欲は親譲りのようだ。

自己強化による攻撃力の最大値は存在しない。
また、一度でも戦闘破壊できれば攻撃力は2400になる。

相手に昆虫族モンスターがいないと効果が意味を為さないのが痛手であるが、同パックに《翡翠の蟲笛》という《寄生虫パラサイド》用のサポートが用意されているので、あっちの効果で昆虫族を用意できるという点でカバーがされている。

相手フィールド上に昆虫族モンスターも用意し続ければ高い打点で相手モンスターを破壊し高い戦闘ダメージを与える、
《インセクト女王》にも劣らない八面六臂の活躍を見せてくれることだろう。






















……なんて風に書ければ良かったんだけど、
やっぱりと言うか、このカード単体では使いにくい面の方が目立つと言わざるを得ない。

そもそも昆虫族がいないので、単体では単に下級モンスター並の攻撃力しか持たない上級モンスターでしかない。
コンボ先もあの《寄生虫パラサイド》である、昆虫族が使われなかったおかげで《翡翠の蟲笛》によってデッキトップに持って来れる手段ができたからといってリバースに苦労することに変わりはないし、まだるっこしい。

自己強化も物足りなく、昆虫族を一体倒して漸く上級モンスター並ではコンボに見合う価値もない。
それならやっぱり《甲虫装甲騎士》やら《セイバービートル》やら、デメリット無しで使いやすい昆虫族モンスターが多数存在するのが悩みどころ。もちろん一切耐性ない。

活躍させる方法も《インセクト女王》と同じで、蘇生制限がないので《代打バッター》とか使ったりして出して、《おジャマトリオ》に《DNA改造手術》をしたりする。
お姫様が活躍して勝つにもやっぱり専用デッキの構築と多量の愛が必要である。


アニメではGXで登場。オベリスクブルーの昆虫少女・胡蝶蘭が使用した。相手は機械族のビークロイドデッキを使う丸藤翔
まずは当然のように《代打バッター》で特殊召喚される。
その後アニメオリジナルのフィールド魔法である《虫媒花の園》によって送り付けられた2体の兵隊アリトークンを、これまたアニメオリジナルの装備魔法《インセクト・フェロモン》による強制戦闘で2体とも破壊する活躍を遂げた。
しかし次のターンでの攻撃時に《進入禁止!No Entry!!》によって守備表示にされてしまい、返しのターンで《スーパービークロイド・ジャンボドリル》を融合召喚され、戦闘破壊による貫通ダメージを受けて胡蝶蘭は敗北した。


追記・修正は女王様とお姫様の墓を立ててからお願いします。




じょ、女王様ーーーーっ!!!































……時は流れて2017年11月11日にデュエリストパック-レジェンドデュエリスト編2-が発売。
第9期頃から顕著になり始めた「過去テーマの強化」の風潮。
上記パックでは機械仕掛けの拳銃ドラゴンやら長き禁止の果てに釈放された千の目玉の強化体が見られる中、
何と我らの女王様も画期的な昆虫族サポートカードと共に進化して帰ってきたのである。

それがこちら↓


◆究極変異態・インセクト女王

特殊召喚・効果モンスター
星7/地属性/昆虫族/攻2800/守2400
このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。
(1):フィールドに他の昆虫族モンスターが存在する場合、自分フィールドの昆虫族モンスターは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。
(2):このカードが攻撃したダメージステップ終了時、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
このカードは相手モンスターに続けて攻撃できる。
(3):自分・相手のエンドフェイズに発動できる。
自分フィールドに「インセクトモンスタートークン」(昆虫族・地・星1・攻/守100)1体を特殊召喚する。

素のステータスは攻撃力2800と最上級モンスター相応の数値に強化。
通常召喚不可能という制限こそあるものの、今時最上級モンスターを馬鹿正直にA召喚することなど《進撃の帝王》等A召喚で効果を発揮するカード以外では使う事はほぼ皆無なので、
ほとんど気にならないデメリットと言っていいだろう。

自己強化効果は失われたものの、代わりとして他の昆虫族モンスターを別個に用意するという条件付きではあるが今流行の対象を取る効果と破壊に対する耐性が付属。
しかも、《インセクト女王》だけでなく自身の昆虫族全てに耐性を付与することができる。
ただ、強化されたとはいえ2800という攻撃力は昨今の環境だと意外と容易く超えられてしまうことも多いので、
戦闘破壊に対する備えはこれまた別に用意しておきたいところ。
自分以外の昆虫族への攻撃を封じるクズカードこと《ブロック・スパイダー》を更に2体召喚できれば、かなり強固なロックをかけることができる。

リリースしないと攻撃不能というデメリット効果は、攻撃後リリースによる相手モンスターへの攻撃回数増加効果に変貌。
最上級モンスター相応のステータスで連続攻撃ができるというのはなかなかに強力であるが、
自分フィールドにいる昆虫族が《インセクト女王》ともう1体だけだと、強力な耐性をみすみす手放してしまうことになる点には気をつけたい。

トークン生成については戦闘破壊を問わず、更に相手ターンも含めて必ずエンドフェイズに発動するようになった。
しかも難点の一つであった攻撃表示限定という制約が取っ払われたため、攻撃されて大ダメージを受けることもなくなった。
上記の連続攻撃効果発動用の弾としても使えるため、進化前よりはだいぶ使い勝手が良くなっている。



ある程度の下準備は必要であるものの、進化前と比較するとかなり使いやすくなっているといえるだろう。
同時収録されたサポートカードの《寄生虫パラノイド》や《超進化の繭》、
更には進化後の《インセクト女王》の名前の元ネタであろう《究極完全態・グレート・モス》の再録などもあり、
昆虫族自体がなかなかの強化を施されたといっていいだろう。

……ただ、このカードの登場で元祖の出番がもっと無くなったが。
初のトークン生成カードでもある

一度でいいから決めてみたい、相手に寄生させた《寄生虫パラノイド》を《超進化の繭》でリリースし、
《究極完全態・グレート・モス》と《インセクト女王》を同時に自分フィールドに特殊召喚。
2体の究極の名を冠する巨大昆虫が君臨する様は正に至福の一時である。



◆余談
アニメ遊戯王VRAINSにおいてファウストが使うモンスターカード《電動蟲スプレッド女王》がよく似た性質を持っていた。
《インセクト女王》と同様、フィールドの昆虫族モンスターの数だけ攻撃力を上昇させ、自力でトークンを生成する事が出来る。







追記・修正は女王様とグレート・モスを愛でる昆虫族スキーにお願いします。

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最終更新:2025年05月17日 19:31