死神騎士(FE)

登録日:2021/06/24 Thu 02:05:29
更新日:2023/12/10 Sun 20:03:07
所要時間:約 14 分で読めます




死ぬのは……俺か、貴様か……

地獄の舞踏を愉しもう……行く!






出典:『ファイアーエムブレム』総合Twitter、https://ux.nu/MYujP、21年6月24日閲覧、
© 2019 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS Co-developed by KOEI TECMO GAMES CO., LTD.


■概要

死神騎士』とは『ファイアーエムブレム 風花雪月』の登場人物である。

CV:???

項目画像の通り、髑髏を模した漆黒の鎧を纏い、不気味な大鎌「サリエルの大鎌」を携えた、男か女かも判らない人物。
これまた漆黒のに跨っており、この馬も直立する壁を何メートルも駆け下りながら平然と地面に到達するという名馬。
担当声優は不明で、仮面越しゆえか音声加工されておりその声は誰のものなのか判別がつかない。その話し方から、地の底を引きずるような低音ボイスであることは推察できるが……。
ファイアーエムブレム ヒーローズ』に出演した際もネタバレを考慮してキャスト名は明かされていない。

「炎帝」と名乗る人物の配下で最高戦力とされている。
そして常に強者との殺し合いを望んでおり、言葉遣いもどこか言葉足らずで、精神が不安定なように見受けられる。

専用の特殊職「死神騎士」と、「殺意」や「応撃」と言った凶悪なスキルの数々、そして圧倒的ステータスを兼ね備えた、今作における「漆黒の騎士」枠とでもいうべき存在(漆黒の外見も似ているし)。
……尤も、その禍々しい見た目と漂う強キャラ感(と、それを裏切らない高いステータス)に反して、後述する要素のせいでネタキャラ扱いされることがほとんど。頑張れおじさん。

初登場は第一部の「女神再誕の儀襲撃戦」で、マップの中央にデンと居座っている。
序盤に登場するのもおかしいステータスで、初見のプレイヤーを驚愕させる……が、難易度ハードまではこちらから手を出そうとしなければ全く動かない。
また、死神騎士のインパクトが強いので彼がこのマップのボスのように思えるが、実はそうではなく、敵将は死神騎士の初期位置から更に奥にいるので、インパクトや能力差のせいで霞んで見えるだけ
彼は「お前は強いのだから敵を蹴散らせ」といったことを命じるが、死神騎士は「弱者に興味はない」と取り合わない。
このマップにおいては敵将を撃破すればクリアになるので、死神騎士は無視してOK。寧ろ級長からは近寄らないように警告される。

もちろん倒すこともできなくはないです。
しかし高い攻撃力と攻速を持つわ、離れていてもスキル「応撃」で反撃してくるわで対策無くしては苦戦必至。
それでも倒せば経験値はもちろん、死神騎士の代名詞とも言える「闇魔法試験パス」を必ず落としてくれる。
このマップ以降、英雄の遺産である「天帝の剣」を得た先生(主人公)に強い興味を持ち、その行く先々に現れるようになる。

上記の通り、炎帝と名乗る謎の人物の配下だが、神出鬼没なのはまあ良いとして(?)明らかに炎帝の命令を無視して各所に現れている。
+ その神出鬼没ぶりは留まることを知らず……(ネタバレ注意)
なんとDLCである『煤闇の章』の第二マップにてまさかのエンカウント。
このマップは、正方形の形をしたフィールドで四方八方から延々と襲い掛かる敵軍を相手にしなければならないが、そうして疲労が溜まったころに第三軍として現れる。
何でも「血の匂いがしたので来てみた」らしい。コモドオオトカゲかよ帰れ。

ただでさえこちらは消耗戦を強いられてきた上に、出現するタイミングや『煤闇の章』独自のシステムが原因で育成が十分に行えない。
しかも、プレイヤーにとっては対死神騎士の切り札(死神騎士にしてみれば天敵だが)であるリシテアよりによって不在*1……と、三重苦を背負う羽目になる。明らかにリシテア不在のタイミングを狙ったとしか思えない。

本編とは違い、難易度を問わず移動してくる上に相変わらずステータスも高いので、まともに戦えば一人また一人、と確実に葬られてしまうだろう。
幸い、死神騎士の登場時点で勝利条件が「死神騎士以外の敵の全滅」に切り替わるので、余裕が無いなら無視してしまおう。
ただ、倒せば経験値と貴重な武器「三日月の鎌」を落としてくれるので、余裕があるなら撃破を狙うのもあり。
(なお、システムの関係で資格試験は受けられないにもかわからず毎度お馴染み闇魔法試験パスはしっかりと握り締めている。死神騎士にとってはお守りか何かなのか?
幸い、ディミトリが騎馬特効の戦技「葬騎の一撃」を習得しているので、バルタザールの回避上昇戦技「バックブロー」で削り、彼の特効戦技で一気に撃破を狙うのがオススメ。

ちなみに戦闘時にはエーデルガルトバルタザールコンスタンツェ、そして主人公に専用会話が用意されている。
だがそれ以外のキャラで挑むと「時間が無い……目障りな奴め!」と吐き捨てられる。
それはこっちの台詞や!


と、このようにアウトオブコントロールで自由気ままに暴れまわっており、正直炎帝でも手に余ることがある模様。
死神騎士自身、炎帝にも他の闇の魔道士どもにも忠誠を誓っているわけではないので当たり前と言えばそうだが。

作中ではその正体がはっきりしないが、士官学校で武術師範を務めていたイエリッツァという男が角弓の節(9月)になると姿を消し、同時に死神騎士が姿を現すようになる。
この状況証拠から、イエリッツァこそがその正体ではないかと推測されている。
+ しかしてその正体は……(ネタバレ注意)


なお、『紅花の章』(帝国ルート)に進むと、第一部のクライマックスである「ガルグ=マク攻城戦」では味方NPCユニットとして現れる。
……が、敵対時に比べてステータスが大幅に下がってしまっており、そのせいで雑魚ユニット相手ならともかく、カトリーヌあたりに無意味に攻撃を仕掛けては返り討ちにされてしまう姿を目にする羽目に。
しかも操作できないNPC扱いなので止めることも敵わない。???「身の程を弁えよ」

5年後が舞台となる第二部でももちろん登場。
『紅花の章』以外のルートでは、アドラステア帝国最強の騎士として恐れられている。
第一部ほど頻繁には現れないが、終盤にて立ちはだかり、その因縁に決着をつけることとなる。
なお、メインストーリー以外でもある人物の外伝で登場するが、そこでようやく死神騎士の正体の一端に触れることとなる。

逆に、帝国ルートではアップデート前では敵としては勿論、味方としても一切登場しなかった。
主人公たちとは別方面の戦場に出ているらしいが、加入を期待していたプレイヤーとしてはとんだ肩透かしである。
このルートでは死神騎士が登場する上記の外伝もそもそも発生しないので、その姿を見る機会が一応味方なのに一切無かったのだ。
ただし、主人公不在の間に一度だけガルグ=マクを訪れており、その際にフレン誘拐の際に刺してしまったマヌエラに詰め寄られてしまうも、何と素直に謝ったらしいあのナリで。
これには彼女もびっくりしてしまったとのことだが無理も無い。
なお、このやり取りはアップデート前のもので、今となっては見る機会がほとんど無い。アップデート適用後はマヌエラの台詞も全く別のものに差し替えられてしまう。

■性能

専用職である「死神騎士」を持つ騎馬ユニット。
非常に高い攻撃力と速さを持ち、育成が不十分な序盤では殆どのユニットが間違いなく返り討ちに遭ってしまうほど高いステータスを持っている。
彼が持つ武器「サリエルの大鎌」も非常に厄介で、攻撃力も必殺率も高く、例え追撃されなかったとしても、常に一発で必殺を引き当ててくるかもしれないという恐怖に見舞われることに。
ハードまでなら手を出すまで移動すらしないので、離れた場所から安全に射ぬこう……と思いきや、
どんなに離れていても反撃する今作屈指のチートスキル「応撃」が襲い掛かってくるので死角が無い。
回避率を高めても、固有スキル「殺意(自分から攻撃する時、命中+20)」で逃がさずに狩ってくる。
ならば計略で動きを封じようとしても「大将星」(計略ダメージ1/4、デバフを含む全状態異常無効)がそれを許さない。

こんな化け物ステータスとスキルの数々を揃えた敵が序盤から姿を見せるのだ。
まさに本作屈指の難敵と言えよう。

……というのは、無策で挑んだ場合の話
実はこの死神騎士、対策を立てると恐ろしく簡単に倒せてしまうのだ。
まず、ステータスが基本的に高いが魔防と魅力だけは低い。つまり、魔法攻撃なら比較的通りが良い。
そして最大の弱点は、騎馬特効を無効化または軽減するスキルや装備品を持たないこと。
つまり、高い魔力と騎馬特効魔法「ダークスパイクΤ」を持つリシテア最大の天敵。育て方次第では一撃で葬れることも。
このため、「貴様などに用はない……」と言いながら彼女の「ダークスパイクΤ」で葬り去られる姿が多数目撃されている。
その後、2ピンで「伸び悩んでる場合じゃないのに……!」と歯嚙みするリシテアも多数目撃されているとかいないとか。
この事は公式からもネタにされており、『ヒーローズ』では総選挙リシテアの紹介動画において彼女の「ダークスパイクΤ」によりワンパンされている
そもそもリシテアの武器スキルとしてダークスパイクΤが採用されたことにもこの件の影響が無いとは言い切れない。

更に上記の通り、倒せばほぼ必ず闇魔法試験パスを落とすことでも有名(ごく一部にドロップが無いマップもあるが)。
そのせいで付けられたあだ名が「闇魔法試験パスおじさん」
対策さえ整えば容易く倒せてしまうため、慣れた先生は今日もどこかで経験値と闇魔法試験パスを求め、リシテアにおじさんを葬らせている。とんだオヤジ狩りである。

ビジュアルのインパクト、作中でのエンカウントの多さ、強大さが強調されながらもギャップ萌えを演出するかのようなネタ要素が多数盛り込まれていることから一気にネタキャラ化。
一躍、全く別の方面で高い人気を得ることになった。

ただし、対策を立てなければ苦戦必至の強敵であることもまた事実
(当然ながらリシテアは黒鷲・青獅子では(早期スカウトに走らないと)いない。
そうなると特効手段は槍の共通戦技「葬騎の一撃」となり、こちらだと通るダメージも減り、学級の槍使いの成長度合いが不十分だとこれでも苦労したりする。
初戦だとリシテアがいてもあまり育成しておらずまだダークスパイクΤを覚えてないというケースもありえる)
このゲームにおいて「弱点を突くことの大切さ」を教えてくれるユニットでもある。

+ 難易度ルナティックでは
ルナティックではなんと攻撃範囲内に自軍がいる場合は移動するようになった。
そもそも騎馬ユニットであるために移動範囲もかなり広く、このため初登場となる聖廟での戦いではほとんどが危険範囲になり、マップが血のように真っ赤に塗り潰されてしまっている
そして何も知らずに踏み込んでしまったキャラに対しては、蹄を鳴らしながら「虫ほど望んで火によるか……」と宣ってくる。
いや、アンタから近づいたんですけど。どちらのボルトアクス将軍でいらっしゃいますか?*2





俺に名はない……だが、この姿を見た者は叫ぶ……死神騎士が出た、と……。

出典:ファイアーエムブレム ヒーローズ、任天堂、インテリジェントシステムズ、
2017年2月2日配信開始、(C) 2017 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS
2019年8月の大英雄戦で参加。現在は聖杯で入手可能。イラストはやまお氏。
青属性の槍・騎馬ユニット。ヒーローズでも槍扱いは変わらない。
被弾時には上記のように仮面の一部が割れ、首から下の部分が露わになる。

武器スキルは奥義が発動しやすい(発動カウント-1)
敵が強化(応援、鼓舞等)または移動+1(重装の行軍、重装のブーツ等)の効果を受けている時、戦闘中、自分の攻撃、速さ、守備、魔防+4、敵は追撃不可の『サリエルの大鎌』
Bスキルは自身のHPが50%以下の時、味方の隣接マスへ移動できる『離脱の行路3』
Cスキルは周囲2マス以内の味方は、剣、槍、斧、竜、獣の敵と戦闘時、守備、魔防+4の『近距離警戒3』

強化を受けている敵には自分が強くなって追撃も封じてしまう容赦しない能力だが肝心なステータスが噛み合っていない。
攻撃は高めなのだがその他のステータスは言うほど高くない。なので追撃も難しく、耐久力も頼りない。
相手を追撃不可にできるのは良いが受けに回るのはきつい上、騎馬特効持ちや見切り・追撃効果持ちで隙を晒される。
個性の実(または神竜の花)を使用して追撃出来る速さまで上げるか耐久力をカバーするかに分かれた。

2023年1月のアップデートで『サリエルの大鎌』の錬成が選ばれた。
錬成すると敵が【有利な状態】の時、または戦闘開始時、敵のHPが75%以上の時、戦闘中、自身の攻撃、速さ、守備、魔防+4、敵は追撃不可
バフも含めた【見切り・パニック、回避】その他の有利な状態、もしくは敵のHPが多いと発動するのでバフや移動距離強化以外の対応も可能に。
特殊錬成は戦闘開始時、自身のHPが25%以上なら、戦闘中、攻撃、速さ守備、魔防+4、絶対追撃
今月実装した錬成の中でかなり控えめな効果だが速さ、耐久力を補った事で見切り追撃効果を除けば問題は解決した。

追記・修正を愉しもう……行く!

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この先、死神騎士の正体に関するネタバレが含まれています。













交わす言葉はない……。



剣ならば交わしてもかまわんが……やめておけ。




イエリッツァ=フォン=フリュム

登録日:2021/06/24 (木) 02:05:29
更新日:2023/12/10 Sun 20:03:07
所要時間:約 14 分で読めます





死神騎士の正体はやはり、作中で突如失踪してしまった、士官学校で武術師範を務めていたイエリッツァだった。
だが、実はその名前すらも偽名で、彼の本当の名は、エミール=フォン=バルテルス
帝国貴族バルテルス家の元嫡男にして、なんと青獅子の学級の女子生徒メルセデス=フォン=マルトリッツの異父弟に当たる人物だったのだ。

CV:伊丸岡篤


■エミールとしての過去


エミールがこうなってしまった経緯は、非常に複雑、かつ凄惨

そもそもの発端は彼が紋章重視の帝国貴族、バルテルス家に生まれてしまったことにある。
当時の当主にして彼の父親は絵に描いたような外道貴族で、バルテルス家の地位の安泰のため紋章持ちの子供を作るべく、多くの妻を持ち、子を産ませてきた*3
ラミーヌの紋章を持つメルセデスの母もその1人として目を付けられ、亡き夫マルトリッツ男爵との子であるメルセデスを産んでいた彼女を娶った。
その後、父親がメルセデスの母との間に血を引く子供を作った結果、遂にバルテルス家の紋章持ちとしてエミールが誕生した。
唯一の紋章持ち男子としてエミールは当初からバルテルス家の嫡男として据えられることになった。

……が、エミールに待っていたのは嫡男としての恵まれた生活ではなかった。
権威を得るためだけに子供を作った父親に愛情などあるはずもなく、子供には冷たく当たるばかり。
おまけに、既に生まれていた他の異母兄たちは紋章を持たないということで紋章を持つエミールに八つ当たりのような仕打ちを続けてきた。

そんなエミールを庇い、守り、愛してくれたのは、自分を産んでくれた母親と異父姉メルセデスだけだった。
このため、彼は劣悪なバルテルス家の環境にあっても心優しい母親と父親違いの姉だけを心の拠り所とし、2人を純粋に愛していた
また幼少期、バルテルス家と繋がりのあったヌーヴェル子爵家の令嬢コンスタンツェとも交流を持つようになる。
ちなみに当時のエミールは彼女曰く「言葉足らずで誤解されやすい性格」、「色々と面倒な男」だったが、それでも「花を一輪手折って差し出してくれた騎士様のよう」だとも振り返っている。
対するエミールも、コンスタンツェのことは口うるさいと思いつつも、唯一の友人と呼べる存在だった。
『煤闇の章』で彼女が死神騎士の武器の構え方に既視感を抱いていたのはこのためである。

だが、相変わらず紋章を持たないきょうだいたちからの酷い仕打ちは続く。それどころかその矛先はいつしかメルセデスたちにさえ向けられ始めてしまう。
それに耐えかねた母親は、あろうことかメルセデスだけを連れて出奔。エミールを半ば身代わりとしてバルテルス家に残してしまった。
母と姉にも見捨てられ、たった1人で兄たちの暴言や暴力に晒され続けたエミールの心は壊れてしまった……というのがメルセデスの認識だったが、エミールが渋々語った真実はさらに酷な内容だった

このままでは、命よりも大切な姉と母が危ない――そう感じたエミールはわずか8歳の時、彼女たちを守るために遂にある決断を下す。
母親に「自分を置いて、メルセデスと共にバルテルス家から出て欲しい」と頼んだのだ。
紋章持ちである自分まで出てしまっては、下衆な父親は血眼になってメルセデスたちを探し回るはず。
……ならば紋章持ちである自分が家に残り、メルセデスたちを父親の魔の手から逃そうと考えたのだ(繰り返すが、こんな悲壮な決意をしたのはまだ10歳にもならないうちのこと)。
母親も苦悩の末この提案を受け入れ、メルセデスだけを連れてバルテルス家を出奔。ファーガス神聖王国の教会に身を寄せた。
そしてエミール自身は予定通りバルテルス家に残り、姉と母を守るためにあらゆる艱難辛苦もその身に引き受ける……はずだった。


■“死神”の誕生


ところがその目論見は、またもクソ親父によって崩されてしまう。
この父親はエミール1人では満足せず、さらに紋章持ちの子を欲し始め、そのためにメルセデスたちの居場所を突き止めてしまったのだ。
だが、連れ戻したところで母親は年齢的に既に子供を産める体ではない。
そこで父はこう言った。「ラミーヌの血を引くメルセデスを娶ろう」と。
自らの利益のためだけにあろうことか娘を――大切な姉すら汚そうとする父親の姿と言葉に、遂にエミールは我を失った。
怒りと憎悪の赴くままに父親はもちろん、バルテルス家の人間を皆殺しにしてしまったのだ。すべては大切な姉を想うが故の凶行だった。
そしてこの衝動により、彼の中に血と殺戮を好む残虐な人格――「死神騎士」が生まれてしまった。
つまり彼は二重人格に近い極めて不安定な精神構造を抱えており、時折殺人衝動が「死神騎士」の人格となって半ばエミールの人格を乗っ取るように現れるのだ。

バルテルス家の人間を皆殺しにした後、エミールは姿を消すこととなった。
その間、生まれてしまった「死神騎士」の殺戮衝動に苦しみながらも彷徨い、その末に幼き頃のエーデルガルトと出会う。
エミールの力と才覚を欲したエーデルガルトは、彼の罪を帳消しにし、死神騎士としての人格が満足する「狩場」――つまり殺し合いの場を用意する、という条件のもと取り引きを持ち掛けた。
これを了承したエミールは嘗ての名を捨て、没落しかけていたフリュム家の嫡男に据えられて、
新たに「イエリッツァ=フォン=フリュム」としての名前と身分、そしてエーデルガルトの切り札である「死神騎士」としての活躍の場を与えられることになった。
その後、ガルグ=マク大修道院に併設された士官学校に、彼女の伯父であるアランデル公の推薦により武術師範として潜入することになる。

イエリッツァは以上の経緯から帝国に大きな恩を感じているようで、敵対時にメルセデスから一緒に戦おうと懇願されても「我が心は既に捧げた」と、最期まで帝国の将として戦うことになる。
しかし「死神騎士」は制御不能な死合の愉悦そのものと化しており、時折エーデルガルトの意向を無視して戦いに興じることもあったようだ。
バルテルス家の者を殺めたことについては、いつかその罪を贖わなくてはという意志もちゃんと持っており、メルセデスとのペアエンドでは自ら望んで監獄に収容されていたことが読み取れる。

ゲーム発売当初は仲間にならなかったイエリッツァだが、アップデートにより『紅花の章』にてプレイアブルキャラとして加入。
遂に帝国最高戦力とされる死神騎士を自由に操作、育成できるようになったのだ。この時の彼は仮面を外しており、顔グラも新しいものに替わっている。
もちろんお茶会を始めとしたアクティビティにも参加させられるし、組み合わせ次第では専用の会話も拝める。
またこのアップデートに伴い、第一部でイエリッツァに話しかけると教員研修も受けられるようになる。受けられるのは剣術、槍術、格闘術、馬術。
ただし、フレン誘拐を実行する9月の時点で姿を消してしまうため、教員研修を受けられる期間は短いが。

上記の経緯から、作中ではメルセデスに関する話題を零したり、死神騎士として彼女と対峙すると専用会話が用意されていたりするなどの伏線が張られている。
また、『蒼月の章』(王国ルート)にて、メルセデス&カスパル外伝をクリアした状態でメリセウス要塞での戦いに勝利、死神騎士を撃破すると異父姉が死に逝く異父弟に寄り添い看取る……という、あまりにも悲しい専用の一枚絵付きのイベントを見ることができる。
逆に、帝国に協力する『紅花の章』では、メルセデスをスカウトしなかった場合、異父姉弟同士の殺し合いにすらなってしまう。もちろん敵対時には専用会話もしっかりと用意されている。
本作が『道徳ゼロブレム』と呼ばれる所以の一つである。


+ 『無双』ネタバレ
まず最初に本作主人公・シェズの所属した学級の先生となり、課題である盗賊団の残党の討伐任務を指揮する。
……と思いきや「血の匂い」を追って生徒たちをほったらかして一人で先行、更に件の盗賊団も一人で全部やっつけてしまうという強烈なデビューを果たす。というか先生する気ないなアンタ
ただし流石にそこで見つけた怪しい砦に関しては生徒たちと共に攻め立てる。
そこで見れるのはまがまがしいオーラをまとった武器を持って元気に暴れまわるイエリッツァ先生の姿
一応味方のソシアルナイトだし真面目なシーンなんだけどどことなくシュールな光景である。

その後帝国編ではそのままプレイアブルキャラになる。
初期兵種はソシアルナイト。クラスとしての死神騎士は続投しているが最上級兵種扱いとなり、そこまでは解放しなければならない*4
本編と異なり、ちゃんとラファイルの宝珠は所持してくれている。
また姉のメルセデスを仲間にするために出撃させる必要があるので、使う予定がなくともそれなりに育てて置いた方がいい。その際の説得台詞は必見。
その関係と、フレン絡みの因縁も生まれる前、そして王国編ではエーデルガルトが実権を失っていることもあって王国編にて説得可能。キーキャラクターは勿論メルセデスである。
他にも同盟シナリオでは最終戦で登場したメルセデスを止めるために戦場に乱入してくる。

支援会話はシェズ、エーデルガルト、メルセデス、マヌエラと発生する。
なおお気に入りの「闇魔法試験パス」だが、本作では存在ごと抹消されたためアイデンティティ崩壊の危機に……。




■性能


初期値(成長率)
LV27
HP53(50%)
力32(50%)
魔力18(35%)
技15(35%)
速さ27(60%)
幸運12(30%)
守備24(40%)
魔防18(25%)
魅力10(25%)


第二部『紅花の章』から加入。ちなみに、名義は本名ではなく「イエリッツァ=フォン=フリュム」になっている。
初期レベルは27。そもそも『紅花の章』自体話数が少ないため、育成の機会は少ない。
だがそれを補うかのように、兎に角物理攻撃に関するステータスが恐ろしく伸びる。
特に速さ成長率は驚異の60%。力と体力に関しても50%と凄まじい攻撃力を得る、まさに攻めの鬼。

技の伸びは心もとないが、固有スキル「殺意」で命中率を補える。必殺率に関しても「サリエルの大鎌」を振るえば高い必殺率を確保できる。
剣術、槍術、格闘術、馬術が得意。また飛行が「才能開花」すると、なんと本来性別の関係でなれないペガサスナイトの専用スキル「飛燕の一撃」が手に入る。
このためより多くの相手に追撃が取れるようになり、まさに攻めは無類の強さを誇る。帝国最高戦力、死神騎士の名は伊達ではない。
苦手技能は指揮と信仰だが、このうち指揮は最初から技能レベルがBまで上がっているのであまり不便しない。
また加入時期の関係上、育成機会はかなり少ないがなんと彼はフリーで付け替えられるスキルとして、あのリシテア固有スキルである「天才」をセットできる。伸ばしたい技能がある時はこれで補おう。

加入時の兵種は当然専用職である「死神騎士」。パラディンよりも全体的に補正が高く、こっそり魔法が使える兵種でもあるが移動は劣る。
また今作の馬職の特徴である速さの成長率が下がるという欠点があるが、このクラスなら-5%と比較的緩め。
本人の成長率が鬼のように高いので、そこまで気にせずに運用できる。
さらに死神騎士をマスターすると、数々のプレイヤーを苦しめてきたあの「応撃」が手に入り(思い出したのか?)、反撃で遠距離の敵にも対応できるようになる。

習得する戦技も、反撃を回避しやすい拳の「ステップコンボ」に、守備を5下げる槍の「ブレイクラッシュ」、相手は反撃できない剣の「風薙ぎ」と、中々に便利な技が揃う。
特に「風薙ぎ」は、他はべレトスか他学級のディミトリ・DLCキャラのユーリスしか覚えないレアスキル。
『紅花の章』の難易度ルナティックではこの「風薙ぎ」のおかげで、終盤の反撃絶対殺すマンと化したディミトリ相手に安全にダメージを与えられる貴重なキャラとなるので非常に重宝する。

NPCの間は紋章無しの表示だったが、本来は前述の通りメルセデスと同じ「ラミーヌの小紋章*5」を持つ。
ただし信仰が苦手技能であり、加えて苦労して成長させても有用な魔法は覚えないので相性は最悪。英雄の遺産をノーリスクで扱える程度に考えておこう。
ただ、魔法を使用可能なクラス全般に言えることだが、信仰Dまで成長させてライブだけでも取得しておくと手が空いた時の経験値稼ぎ等に有用ではある。
なお仮に「ラファイルの宝珠」があると最大の弱点である騎馬特効とついでに必殺を無効化、紋章一致により確率でダメージ半減という恐ろしい状態になる。
『紅花の章』では入手できないが、もし手に入ったらリシテアも軽く返り討ちだろう。しかし他のルートでは彼が持ってくるのにどこに置いてきたんだ?

この通り、攻撃性能に関しては他の通髄を許さないが、逆に攻められると一転して不安定になる危うさを抱えている。
物理防御なら兎も角、やはり魔防が不安なので強力な魔法が飛んでくると致命傷になりかねない。
応撃を覚えるとは言ってもサンダーストームなんかを受けに行くと必殺に怯えることになる。
また魅力も非常に低く、伸びも悪いので敵からの計略を食らいやすく、逆にこちらの計略を当てにくい。
余裕があるならアイテムやお茶会などで魅力を補うと活躍の機会も増すだろう。



支援会話



DLCの途中加入のキャラのため、支援相手は4人と少なめ。
主人公に加えて、姉であるメルセデス。幼馴染のコンスタンツェ。
そして何故かベルナデッタ
なお、第一部でイエリッツァの剣の腕について言及していたフェリクスやカスパル、死神騎士として暗躍していたころに色々あったマヌエラとの支援も期待されていたが、残念ながら発生しない。

後日談ではどの相手でも「闇に蠢く者」との戦いに身を投じており、殲滅後に一緒に姿を消したり相手の下に訪れたりと差異がある。



■余談


何かと物騒なイエリッツァだが、こう見えて好きなものは姉と甘いもの、そして。とんだギャップ萌えである。
武術師範として過ごしていた時期には、大修道院に身を寄せている子供に剣を教えていたらしく、本人の人柄は本来姉同様おだやかで心優しい。

第一部では、主人公に話しかけられるたびに「死合うか」と言ってくる。
本人的には「ただの手合わせ」らしいが、なんとも物騒な話である。好戦的なのは生来のものらしい。
スキル「天才」を得ていることから武術に関しては天賦の才を持ち合わせていたようだ。

『風花雪月』で初出の「騎士団」に関してチュートリアルクエストを発注するのもイエリッツァである。
尤もその内容は「独りでは限界もある」「これからは、自分や仲間の騎士団の状態を気にしてやれ」とアドバイスしながらも、「だが……やはり孤独こそが戦い……」という言葉で〆るという珍妙なもの。結局どっちなんだ。
ギャグのようにも見えるが、もしかしたら死神騎士としての意識が表面に出たという伏線なのかもしれない。
なお、彼本人の指揮レベルは初期でもBと高い上に、フェリクスのように騎士団がいると個人スキルが発動しない事もないので、仲間になったら良い騎士団を宛てがってやろう。

宿敵(?)のリシテアとは支援は無いが、実は何かと縁がある。
甘党で「天才」スキルを持ち、更に紋章にその運命を大きく左右されてきた者同士である上、イエリッツァが養子入りしたフリュム家は、リシテアの実家が帝国の介入を受けるようになった原因を作ってもいるのだ。

お茶会の話題も基本、戦いに寄り添ったものやこれらの好みに合う話題を選んでいけばOK。茶葉も甘いものを出せばよい。
こうした好みは食事にも反映されるがなんと、「好む者は少ない」「味の方は……」などと書かれている「雑魚の串焼き」や「ザリガニのフライ」を好んでいる数少ない人間でもある。
姉に似てに甘い物も好きなので味覚障害とかではなく、バルテルス家出奔の後の放浪生活の影響だろうか……ちなみに食べ物の好みは桃のシャーベットなどやはり甘いもの。
反面、嫌いなものは詮索好きな者、貴族、酒、父親。父親が如何に酒におぼれていたかがよくわかる。

ちなみにメルセデスの弟ということで本編開始時は21歳と意外と若い。少なくともおじさんと呼ばれる年齢ではない。
それでも割りと年を取ってる風な貫禄を見せるのは、彼がそれだけ苦労した証拠であるが…、




追記・修正は彼と逸楽に耽ってからお願いします。

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最終更新:2023年12月10日 20:03

*1 『煤闇の章』においては出撃できるキャラが固定されており、先生と級長トリオにDLCの新キャラ4人の他はリンハルト、アッシュ、ヒルダのみ。ヒルダと同じくリシテアだってバルタザールと支援が発生するので、アビス組とまるっきり無関係なわけではないのに……。

*2 一応、マップ開始時点で死神騎士の危険範囲が広がっていることがわかるので、勘の働くエムブレマーなら「ヤバい」と察知できるようにはなっている。そもそも難易度ルナティック自体が生半可な覚悟で手を出していい代物ではないが。

*3 紋章が遺伝するメカニズムは解明されておらず、紋章を持たない親から紋章を持つ子が生まれる、あるいはその逆もあり得る。このため、頭数をとにかく増やすことで確率を上げようとしたのだろう。

*4 王国編での説得による加入が先だった場合は最初から所持している

*5 10%の確率で回復魔法の回数消費0。