聖痕(FE)

登録日:2018/04/26 (木) 00:27:54
更新日:2023/06/19 Mon 18:31:04
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概要

『聖痕』とは『ファイアーエムブレムシリーズ』に登場する聖なる痣。
この聖痕は多くの作品で共通点があり、それは暗黒竜と光の剣・紋章の謎の舞台となる、
アカネイア大陸に住んでいる古代竜族と契約する事で体に現れる、ということである。

竜族と人間は文明の差も大きければ能力の差も激しかった。
アカネイアに住む竜族は自分の力と意思を竜玉――オーブに込める事が出来た。
このオーブをなんの変哲もない道具に組み込むと元の竜の超常の力が宿る様になる。
それこそが神剣ファルシオン・オーラの書・13神器といった神器である。

神器は持ち主以外の竜族が勝手に使わないようにセキュリティが施されているが、
13神器に関してはフォルセティがバルキリーの杖を使っているので制限はないようだ。

これらの神器は人間には扱えないほど大きな力を秘めているうえに、
神器……正確にはオーブに竜の意思が宿っているので人間が使うとそれに飲み込まれかねない。
そこで竜族は自分の血を人間に飲ませ(血に契約因子がある)『血の契約(ゲッシュ)』を行い、神器の行使権を与えた。その証が聖痕である。
聖痕の持ち主にしか神器が扱えず、聖痕の元になった竜族に関係のある神器しか扱えない。
例えば神竜ナーガと契約したのなら聖書ナーガは使えるが、フォルセティの神器である風の魔道書フォルセティは使えない。

竜と契約した人間の血には竜族の血も混ざり、以後その人間の血を引く家系の者に聖痕が現れるようになる。
聖戦の設定では聖痕が発現する時期は個人差が激しく、生れた時からある者もいればある程度成長してからの人もいるし、年老いてから聖痕が出る者も。大抵は成人する前には出ている。
また聖痕が出る位置も人それぞれであり、額だったり肩だったり背中だったり、あるいは瞳だったりする人物も。


ここまで書いた通り聖痕はアカネイアの竜族と密接した設定を持つのだが、アカネイアを舞台とした作品で聖痕は全くでない。
紋章の謎の後に聖戦が出たのだから当然ではあるが、リメイク作品群でも拾われていない。
アカネイアの遥か未来を舞台とした覚醒にてようやく聖痕が話に登場した。

なおサイファではナーガの聖痕が覚醒組カードのシンボルに選ばれている。ちなみに聖戦組は聖戦旗という別シンボルである。




聖痕が初めて出た作品である。
暗黒神ロプトウスの脅威から人々を救うべく、
アカネイア大陸からやってきたナーガたちが12聖戦士と血の契約を交わし、以後彼ら12の家系から聖痕の持ち主が現れるようになる。

竜族との契約因子を濃く受け継いだ人間に聖痕が現れるのだが、その法則性はまったくない
直系だろうが長子だろうが、受け継がない時は受け継がないのだ。例え直系であっても聖痕がなければ神器は扱えない。
ロプトの直系となったユリウスでも「聖痕がなかったので魔書ロプトウスが使えません!」というのも設定上ではありえる。
例えばアグスティ王国は黒騎士ヘズルの直系なのだが、ヘズルの子供たちのうち末娘がノディオン王家に嫁いだ後に聖痕が発現し、故に神器をノディオン王家に譲渡したのだが、
以後アグスティ王家には聖痕が出ず、ノディオン王家にしか聖痕が出なくなってしまった。
本編でも長男で長子のイシュトーに聖痕が出ず、妹のイシュタルに聖痕が出た。

聖痕も直系・傍系の家系に拘らず出る時には同時に出るらしく、
オード直系のシャナンと傍系である従兄弟のガルザスが同時に聖痕を有し、さらにはガルザスの娘・マリータにも聖痕が遺伝している。


――と、ここまでが設定上における聖痕である。
ゲーム上においてはある程度遺伝に法則性があるし、聖痕が出た人物=直系として扱われているので、直系ならまず間違いなく聖痕がある。
イシュタルのような例外を除けば、大抵の場合長子が直系――聖痕持ちとなる。
さらに息子は父の、娘は母の家系の聖痕を持って生まれてきやすい。

ゲームシステム的な聖痕の最大の特徴は武器レベルの上昇と成長率補強
特に魔法の武器レベル上昇が重要で、血統補正が入らなければボルガノンやトローン、トルネードなどのAランク魔法はマスターナイトと敵専用のクラスしか使えない。
(勇者系がBランクなので基本的に不要とは言え)パラディンは銀の剣や槍を持てない。
成長率補強に関しても強力で、複数のステータスの成長率が大きく補強されるため、普通に育てている分には確実に平民より強くなりやすい。

敵方に関しては「特定の武器を持たせるために血を持たせただけ」の側面が強いためか、傍系→傍系の血統が引き継がれていないケースが多い。
ヒルダ(ファラ傍系)→子供のイシュトー・イシュタルに遺伝していない等。
七三のムーサーも「本来風BのマージナイトにA武器のトルネードを持たせるため」の側面が強く、
父親の可能性があり得る4章シレジアのボス(設定上セティ傍系があってもおかしくない立場)がどっちも血統を持っていない。

味方側でもセリスユリアディアドラの「ロプト傍系」が抜けており、データ上はロプトの血を引いていないことになっている*1
他の子供たちに関しては結婚させた親同士の血統がそのまま引き継がれ、直系の場合は片方が神器持ちに、もう片方が傍系になる。

また、『傍系同士を掛け合わせると血が濃くなって神の力を得る事がある』と言う話は4章で村人が話してくれる。
シナリオ上の結果は言わずもがなアルヴィスとディアドラでロプトを掛け合わせて直系にしてしまったユリウスだが、
プレイヤー側でもオードやブラギの血統を掛け合わせると子供二人とも直系になり、オード直系の二人は裏技を用いれば本当に神器が使えるようになってしまう。

一方で、傍系であれど異なる血の場合は掛け合わせることができないため、
ラケシスとホリンの場合はヘズルとオードの傍系を得るものの剣レベルは星にならず、何のメリットもないカップリングとなる。


イーリス王家に神竜ナーガの聖痕がある。マルスに聖痕があったという言及はないので、初代聖王がナーガの血の契約を交わしたと推測される。
長女・エメリナは額に、弟のクロムは右肩付近に、次女のリズには……実はない。
聖王の時代から1000年も経過しているのに、聖痕がないことを珍しがられる程度にはイーリス王家には当たり前に出現率するようだ。
そのため、リズはきょうだいのうち自分にだけ聖痕がないことをかなり気にしており、後に未来からやって来た自分の息子であるウードと再会した際、
彼が語ったところによれば「(ウードに)聖痕が現れた嬉しさのあまり大泣きした」ほどだったという。

覚醒でも聖戦の設定と同じく聖痕の発現時期は人それぞれなのだが*2、イーリス王家にはどうもリズぐらいの時には発現して当然という認識がある様だ。
もしかしたらリズは今後出るだけかもしれない。

余談だが、ルキナ以外でクロムの子供として登場する可能性がある子世代ユニットのうち、聖痕があること、どこに発現したかについて自ら触れるのはアズールだけ。
デジェルシンシアブレディマーク(男)はクロムの子供となった場合でも聖痕の「せ」の字も言及せず、
各々体のどこに発現したのか、そもそも発現しているのかどうかさえも判らない。


なおルフレの右手の甲にも邪竜ギムレーの聖痕――『邪痕』がある。
これは先祖代々ギムレーの血を受け継ぐ者が秘匿してきたため、一般には知られていないのでクロムは邪痕を見ても気に留めなかった。

またFEHで実装された屍王クロムにはギムレーから授けられたと思しギムレーの邪痕が右手の甲にある。
肩にナーガの聖痕は残されたままのため、史上初となる聖痕を二つ持つ者になっている。


アルムが左手の甲に邪神ドーマの聖痕を、セリカが右手の掌に大地母神ミラの聖痕を持つ。
これらの聖痕は代々リゲル皇族とソフィア王家に受け継がれてきた神々の加護である。

元々はバレンシア大陸に他大陸からやってきた海賊が海賊国家を作り人々を脅かしたため、ドーマは戦士リゲル、ミラは勇者ソフィアを選び血の契約を交わした。
これによってリゲルはファルシオンを、ソフィアはライナロックを扱えるようになった。

リゲル帝国にはドーマの聖痕がある者に皇位継承権が優先されるという決まりがあり、
皇位継承権とは縁遠いほどの家系に生まれたルドルフが聖痕を有していたため、皇位を継ぐことになった。
次期皇帝として育てられたベルクトではなく、突然現れたアルムに皇位の継承が認められたのもそのためである。
これはドーマが決めた継承法であり、おそらく自分が狂った時の保険として用意しときたかったのだろう。




かつて神祖竜は同族との縄張り争いのために人間を戦争の道具としていたらしく、その時に竜と血の契約を交わしたのが王族となったという。
そのため白夜・暗夜王族には聖痕があると思われるが、作中特に言及されず聖痕があるのか分からずじまいである。

DLCマップにおいて、カムイが王族だと知ったフレデリクが、王族のみに発現する痣のようなものはあるのかと尋ねた時は
「そういうのは無い」と返答していた為、目に見える形では無いのかもしれない。

そのかわり王族特有の能力として、大地に宿る竜の力を見出し、解き放って大地を変える『竜脈』の力がある。
土地によって効果は様々で、川を干上がらせる、山を崩す、海を凍てつかせる、酸の雨を降らすなど、戦局を環境ごとひっくり返す、まさに神の如き力である。

また、王族の一部は専用の神器を扱うこともでき、本編中ではカムイ、リョウマタクミマークスレオンが該当。
何をもって神器の使い手となるのかは作中明らかにされていないが、親から子へと継承されるのが慣例である模様。
マークスとリョウマは父王から、タクミは母のミコトから神器を受け継いでいるほか、親子の支援会話やDLCでは将来各々の子世代が神器を継承することが示唆されている。

また、オフェリアオーディンの娘)も父親から遺伝した聖痕が出ている。



伝承では女神ソティスにより、邪神と戦うべく与えられた力。
本作では『紋章』と呼ばれており、聖者と『フォドラ十傑』の血に受け継がれている。
聖痕と同じ様なモノだが聖痕とは幾つか異なる点がある。
まず、聖痕とは違い肉体の表面ではなく血に宿るもので肉眼では見えないが、空中に魔法陣の様に紋章を浮かび上がらせる事が出来る。
紋章が受け継がれるかどうかは確率であり、直系だからといって必ずしも出るわけではない。イングリットの様に数代ぶりに出る事もある。

この紋章がある人間は魔道に優れていたり、細腕でも巨大な斧を振り回せるなど怪力を発揮できたりする。
また、戦闘中にも魔法や戦技の威力が上がったりもする。
そして、紋章がある人間は聖戦の神器に相当する『英雄の遺産』という強力な武器を扱う事ができる。

詳しくは個別へ


追記・修正は体に聖痕が現れてからお願いします。

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最終更新:2023年06月19日 18:31

*1 結果としてロプト傍系の成長率ボーナスも抜けている。とはいえ、ロプト傍系を素直に遺伝させてしまうと、セリユリバグをやってしまったらまた掛け合わさってロプトウスが降臨するため仕方ないだろうか。

*2 ルキナは生れた時、ウードはそれなりに成長してから出現した