ウィルハフ・ターキン

登録日:2020/01/28 Tue 09:00:00
更新日:2025/01/25 Sat 08:30:33
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「このデス・スターが最終的完成を見るころには、同盟軍の秘密基地をヴェイダー卿が探り出すであろう」



ウィルハフ・ターキン(Wilhuff Tarkin)とは、スター・ウォーズ・シリーズの登場人物。

銀河帝国の総督の一人であり、そのなかでも飛び抜けた権限と立場を誇る「大総督」。
なお、銀河帝国では総督のことをガバナーでもヴァイスロイでもなく「モフ」と呼ぶ。ターキンの場合は「グランドモフ」である。
この「モフ」というのは本作独自の単語で、英語にはない。実際「グランド」をファーストネーム、「モフ」をミドルネームと誤解されたこともあった。
翻訳も困ったようで、EP4の日本語吹き替えではターキンも他の総督たちも全員「総督」とだけ呼ばれている。
本項目では、CGアニメ『反乱者たち』の翻訳に基づき、ターキンの階級は「大総督」、ほかの総督は「総督」として記す。

演じたのはイギリス映画界にて「マスター・オブ・ホラー」の二つ名を取った大俳優、ピーター・カッシング
日本語版の吹き替えは、戦後間もないアテレコ草莽期からの大ベテラン、大木民夫がメインで担当。




【人物像】


◆風貌

「最後までお美しいですな。貴女の処刑命令書にサインする辛い気持ちを分かって頂けますか?」

痩せこけた風貌の中高年男性。
頬骨は突き出しているが、その下にある頬の肉はげっそりと落ち、人間ではあるがどこか骸骨にも似た顔つきをしている。
毛髪は赤褐色だった(四十代ごろはそうであった)が、五十代になるころには色が抜け、銀髪になっている。
瞳は鮮やかなブルー。
身長は185cmと結構高いほうだが、ダース・ヴェイダーよりは一回り小柄。
しかし引き締まった風貌に加えて、しなやかかつ強靱な威圧感を誇り、見た目以上に迫力と気品のある人物

「それなら同盟軍の秘密基地がどの惑星にあるか正直に答えろ!! ……もう同じ質問は繰り返さんぞ、これが最後だ。同盟軍の秘密基地はどこだ」

普段は品のいい紳士然とした軍人として振る舞っているが、本気で凄むと鬼のような気迫が飛びだしてくる。
上記のセリフでレイア・オーガナに迫るシーンは、枯れた老人とは思えないほどの鬼気がある。

辺境の惑星エリアドゥの出身で、EP1時点では三十二歳。
クローン大戦が始まったEP2では四十二歳で、EP3の終戦時点では四十五歳となる。
EP4では六十四歳で、これが享年となった。


◆性格

「恐怖……これを国民どもに植え付けるんだ。デス・スターへの恐怖をな」

厳格で冷静・冷徹な軍人気質の持ち主
のちにまとめる「ターキン・ドクトリン」において規定したような「法の番人」というべき人物で、銀河帝国の法秩序を定め、それを厳格に施行し、銀河全体を厳しく統治しようとしている。
そのためならば手段を選ばず、ためらわない。

敵対勢力の拠点となった星を味方もろとも殲滅する、星を消し飛ばす、敵対した種族を「浄化」する、と行動は過激で、まったく容赦がない
宇宙海賊の残虐な処刑や惑星オルデラン破壊など、人々を従わせる最も効率のよい手段として、見せしめを好んでいる所がある。
常識や倫理観とかいったものを持ち合わせていないかのようで、銀河帝国の象徴かつ典型として、スター・ウォーズ・サーガの最初の大ボスとなるにふさわしい人物。


反面、常識という枠に囚われず、物事の本質を突いて発想・行動する面もある。
ジェダイの華やかなりし銀河共和国時代の生まれではあるが、深刻な腐敗が絡み合って機能しなくなった銀河共和国や、倫理や道徳に縛られて能力を活かせないジェダイに対して、その「形式性」を重点に強く批判していた。

これは「常識」という枠を軽蔑し、真理や真実をつかもうとするシス*1にとっても親和性が強かったようで、皇帝ダース・シディアスはターキンにデス・スターを与えることについて「おまえは銀河の本源的な力を手に入れる」と表現した。
ターキン自身にはフォース感応者としての素質はないが、シディアスはフォースに近いものを与えてみたいと考えていたようである。

ダース・ヴェイダーからも畏敬の念を抱かれており、階級差もあるとはいえ常に一歩退いて従い、彼からの命令にはたとえ自分の意に沿わないものであろうとも受け入れた。

「もう充分だ! ヴェイダー、許してやれ」
「お望みとあらば……」

後年のカノンのスピンオフでは、ターキンはシスに近い発想力や感性に加えて、時にシディアスやヴェイダーでも舌を巻くほどの観察力や情報分析能力、建設的発想を持つことが明かされていく。
彼はフォース感応者ではなく、ジェダイやシスについても通り一遍のことしか知らないが、「ヴェイダーの正体はアナキン・スカイウォーカー」「現在のアナキンはジェダイではなくシス」「皇帝はヴェイダーの師匠」ということを独力で見破っている

その観察力・分析力に、上述の鋼のような精神性が加わることで、銀河帝国は強力な秩序を内外に保つことができたのである。


◆ターキン・ドクトリン

「新しい軍隊を不法侵害する邪魔者としてではなく、法の番人と考えていただきたい。平和で豊かな銀河を実現するという皇帝陛下のビジョンを支えるための軍隊なのだ」

ウィルハフ・ターキンが考えて表明した施政方針
これをおおやけに発表するのは、銀河帝国の発足からしばらくしてのことであるが、この発想は前からシディアスに訴えていたらしい。
なお、これはカノン小説「ターキン」で触れられたもので、レジェンズ分類のスピンオフのものとは大幅に異なる。レジェンズ時代の「ターキン・ドクトリン」は【余談】からの◆設定の変遷を参照。


まず、銀河共和国が崩壊したのは、独立星系連合との戦争が原因ではなく、共和国を絡め取って連合を生み出すまでに至った、深刻な腐敗や堕落、そしてそれを生み出したひとびとの強欲さが原因であること、
銀河元老院については、各惑星の代表はそれぞれの母星の利権だけを考えて*2、銀河全体のことを考えていなかったこと、を指摘。

それを解決するために、惑星個々ではなく「宙域(セクター)」で宇宙を分割し、その宙域に「総督」を派遣する。
各宙域の総督は、それぞれの任地のために働くのではなく、あくまで銀河帝国の役人として、銀河帝国全体のために統治する。
つまり、これまでは個々の惑星のために銀河を統治していたのを、帝国全体、宇宙全体を見据えて統治する、と訴えた。

法律もまた、宇宙全体の繁栄を見据えて再編する。コルサントを中心とした銀河の中心部だけでなく、辺境域まで施行される、公正な法律である。
もちろん、その法律は公正かつ的確に運用させねばならない。
そのために、銀河帝国の高官にまで監察は及ぶ。自己の利益のために行動するものは、庶民といわず総督や提督ですら例外なく弾劾される。
軍隊もまた、この法律の施行のために運用される。法律は強制力があってやっと機能する。悪事を行なうものたちを捕え、法に則った処罰を行なうために、法治を実現するために軍隊は軍事力を行使する。


言わば、銀河規模の中央集権政策ミクロからマクロへの転換法治思想の確立である。
これは元老院議員やメディア・有識者からは評判が悪かったものの、銀河共和国を硬直化させた腐敗・堕落や、問題を助長こそすれ解決しない事なかれ主義・対処療法に苦しめられていた辺境の人々にはかなり受け入れられていた。
そもそも、かつてドゥークー伯爵が分離主義を提唱し、それが瞬く間に銀河全体に広まったのも、銀河共和国の統治がもはや機能しなくなり、抜本的な改革が求められていたからである*3

またドゥークーは、かつてターキンと接触したとき「コルサントから辺境域まで、普遍的に適用される法がある世界の実現を決意している」と語ったことがある。
この「ターキン・ドクトリン」は、銀河共和国と独立星系連合、パルパティーンとドゥークーのそれぞれの思想を踏まえた上で、一本にまとめあげて止揚したもの、といえよう。

そして、銀河帝国は「ターキン・ドクトリン」になぞって運営される。
EP4にてその改革は頂点に達し、銀河元老院の解体と、帝国が派遣する総督・知事による直接統治が実行に移される。

「たったいま皇帝陛下が元老院を永久に解散させた! 共和国の名残は、これで完全に一掃されたわけだ。今後はわが帝国が任命する知事を各地に派遣して統治させる」

治安維持・正義の執行についてもお題目ではなく、実績を上げている。
その象徴といえるのが、かつてジャバと覇を競った暗黒街の大物、ガーデュラ・ザ・ハットの逮捕および組織解体である。
またハン・ソロはEP4時点で麻薬の密輸をしていたが、帝国の臨検を見ると「ごまかしは不可能」と判断して積み荷の処分に踏み切っており、それを咎めたジャバも「他にいい手があると思うか!?」と問い詰められて納得している。
帝国内部の監察も機能しており、テロ組織に情報を流して権力闘争に利用していた帝国中将を処刑した逸話もある。
犯罪組織の撲滅、麻薬密売の検挙、汚職官僚の摘発など、法治の効果としての秩序回復には確かな成果があった。


また、ターキンはそうした総督たちのなかでも別格の「大総督」となったが、これは称号だけのことではない。
各総督がそれぞれの宙域(セクター)を治める地方行政長官であるのに対し、ターキンは各宙域をまとめた「オーバーセクター」を管轄する役割であった。
徹底したマクロ政策であり、惑星だけでも宙域だけでもなく、帝国全体、銀河全体を見渡すべき要職である。
これは同時に、長年の腐敗と放置で乱れ切り、またクローン戦争で荒れ果てた辺境域を安定・復興させるという、銀河帝国の政策を実行するための要職でもあった。

ウィルハフ・ターキンは、銀河帝国の政策そのものであったとさえ言える。
皇帝ダース・シディアスにとっては、「シスの秘密の究明」と並ぶもう一つの目的、「宇宙の究極の支配」を達成するための人事・抜擢であった。
「シス卿ダース・シディアス」としての右腕がダース・ヴェイダーであれば、「皇帝パルパティーン」としての右腕はウィルハフ・ターキンだったのである。


もちろん、ターキン・ドクトリンに基づく銀河帝国は、激しい弾圧と抑圧を伴った
ターキン自身の性格もあり、反対する勢力は呵責もなく殺戮されている。ジオノーシス人など、クローン大戦の敵対を理由に(デス・スター建設などの功績があったにもかかわらず)種族ごと皆殺しにされた者たちも少なくない。
敵対者でなくとも、帝国の目的のために多くの人間が奴隷以上の労働を課された。ウーキーは一度も共和国を裏切っていないのに奴隷労働である。

銀河帝国が「厳格であっても理不尽ではなかった」ということは絶対にない。
むしろ、法を犯さずまじめに働いている人間、功績をあげた種族に対してまで虐殺や労役を課したのは、ターキン・ドクトリンが説く法治思想に反している*4

しかしターキンの存在と政策は、ひたすら混迷していた銀河世界にまがりなりにも秩序・原則・道理をもたらすことはできた


それが実感できるのが、ターキンの死後である。

ターキンがデス・スターの爆発で戦死した際、ターキンと彼が育てた幕僚・総督たちが一斉に失われたため、銀河帝国の統治は急速に乱れ、後任の総督や提督たちは野心をもって陰謀を巡らせたり、あるいはとんでもない無能が飛び出すようになった。

さらに数年後に再建した銀河共和国は、ターキンが指弾した旧弊まで復活させてしまい、意味のない議論や派閥抗争、スキャンダル暴きに没頭して機能不全に陥ってしまう。
それで失脚した最大の政治家がレイア・オーガナというのも皮肉である。

ウィルハフ・ターキンは、自由や民主主義からはもっとも遠いところにいた人物である。
しかし、それゆえに自由や民主主義がもたらす腐敗や堕落、偏屈なナショナリズムやポピュリズム、混沌や無秩序からもまた遠かった。
+ 「ポピュリズム」
ここであえて「ポピュリズム」という言葉を使うのは、レイアが戦後に率いた政党の名前が「ポピュリスト」だったからである。
もちろん、政党「ポピュリスト」は地方分権政策を提唱した党であり、「大衆迎合主義」=ポピュリズムの党ではない。

しかし、ターキンともっとも対立した主要人物であるレイアの党にあえて「ポピュリスト」という名前が付いたこと、対抗する政党「セントリスト」がターキン・ドクトリンを継ぐかのような中央集権を訴えたことを考えれば、ターキンとポピュリズムの距離もおのずから測れよう。

もっとも、その「セントリスト」もターキンのようなカリスマは二度と現れず、派閥闘争が限界だったが。

ターキンの生と死、ターキンという存在は、確かに「銀河帝国」にあってはパルパティーン皇帝に並ぶほどの重要性があったのである。
銀河帝国の終わりは、ターキンの死によって始まったのかもしれない。


◆能力

「デス・スターの強大な破壊力を見せつけてやるのだ!」

ターキンは兵士ではなく指揮官・司令官なのと、EP4時点では還暦をとうに超えていたことから、映画本編では個の武力を発揮することは無かった。
しかし小説「ターキン」で描かれた若い頃の姿は、本気のサバイバルを突破する過程で本物の戦闘術を磨いていることが発覚。
特に槍術に長けており、若いころは振動槍の名手と呼ばれていた。彼はこの槍を使い、完璧なタイミングで猛獣のリーダーを討ち取ったことがある。
ライトセーバーの研究はしていないものの、ジェダイの動きを見て「」があることに気づいたことも。
ブラスターなどの射撃武器にも長けており、こちらは四十歳を越えたクローン大戦当時でも使うことがあった。3DCGテレビアニメ『クローン・ウォーズ』での見事な銃捌きは必見。


更に彼は、帝国の更なる発展のため新技術の開発にも余念が無かったらしく、「ターキンイニシアチブ」なる研究グループを組織していたという先鋭的な一面もあったようだ。
ローグ・ワン』でデス・スターの建造に携わったクレニック長官やゲイレン・アーソもその一員だったとされる。
同作では「ハイパースペース・トラッキング・ナビゲーションシステム」という研究のデータも、シタデル・タワー中枢の情報保管庫にて名称のみ登場していた。

このシステムは、敵機体がハイパースペースに飛び込む直前の航跡を解析した後、それを元に移動先の座標を算出することによって、目の前の相手が例え宇宙のどこにワープしようとも追跡出来るという大変画期的な代物だった。
残念ながら帝国の健在なりし頃は実現までに至らなかったものの、後に帝国の流れを汲む組織ファースト・オーダーのハックス将軍がプロジェクトを引き継ぎ、彼の主導する技術チームによって無事完成へと漕ぎ着けることになる。
以降鳴り物入りの新機能としてEP8では、逃走するレジスタンスを恐怖と混乱の渦に終始陥れた上、EP9時点ではTIEファイターへの実装に成功し、あのミレニアム・ファルコンを墜落寸前にまで追い込むなど、二度に渡って目覚ましい活躍を挙げている。
帝国の繁栄を願うターキンの残した研究成果は、死してなお世代を超えて、文字通り後進の行く先を示す道標となったのだ。


上述した、マクロからミクロまで把握する分析能力や、鋼の統率力、真実を掴んだうえで繰り出す建設的発想、困難を排除して突き進む精神性などは、もちろん彼の指揮官としての能力を支えている。
大規模な組織を支える役職としては、これ以上ないほどの人材といえる。


【作中の活躍】

◆前歴

「先に道具を取ってきます」

惑星エリアドゥの支配家系ターキン家の出身。いわゆる「地方名門の御曹司」である。
エリアドゥはサバンナのような星で、強力な猛獣や毒虫が闊歩していた。
ターキン家は、そんなエリアドゥに入植した勢力のリーダーである。

しかしターキン家は、入植者にありがちな自然の破壊者ではなく、自然の猛威を肯定し、自然の猛威と戦って打ち勝つという、独特の哲学を持っていた。
端的にいうとサバイバル研修の義務化である。しかしそれは本格的、というよりも死と隣り合わせのものであり、限られた装備で野獣のように動き回り、草と土と血のなかで戦い生きる、徹底した「本物」である。
ウィルハフもこのサバイバルに何度も挑戦し、動物をナイフで解体して臓腑にまみれたり、夜中に大量の毒虫に包まれて骨になりかけたり、病気にかかって死にかけたりと、凄絶な体験をした。
そうした体験のなかで、生きる智恵、勝利の秘訣、世界の真理、死の哲学をその身に叩きこんでいった
このサバイバルについて、後年シディアスはヴェイダーに「試験を受けるのがシスやジェダイだけだと思うのか?」と諭し、その厳しさがシスの試験に匹敵するほど意義のあるものだと評している。


◆ターキン青年

「どうやらエリアドゥを貴族の名家や陪審員の裁判がある世界と間違えているようだな」

十六歳のとき、ウィルハフは最終試験とされていた、社会性を持った野獣の群れに一人で挑むという試験を突破し、「ターキンの男」として完成する。
すぐに故郷エリアドゥを含むセスウェナ宙域の治安維持部隊*5に所属。
当時セスウェナを荒らし回っていた悪名高き宇宙海賊を、徹底的に分析して行動パターンを解析、討伐に成功して名を挙げる。

同時に、その捕まえた宇宙海賊を生きたままコンテナに押し込み太陽に向けて移動させ、彼女たちが焼き殺されるさまをカメラでセスウェナ全域に生中継するという文字通りの公開処刑を行った。
この処刑は宇宙海賊の肝を芯から冷やし、おかげでセスウェナ宙域から海賊は消えたという。
当時、十八歳の少尉である。

その後、銀河共和国の軍事アカデミーに入り、当時の共和国の警備部門「ジュディシアル」*6に進んだ。
当初は田舎から出てきた「高貴な野蛮人」として軽蔑されたものの、実戦ではコルサントの平和な訓練しか受けてこなかった同僚たちに対し、「本物」のサバイバル経験を備えていたため、一気に頭角を現した。
しかしアカデミー時代、惑星ナブー選出議員シーヴ・パルパティーンに声をかけられ、軍人ではなく政治家になるよう進められていた*7
このときは断ったものの、やがて政界に転身し、パルパティーンの懐刀として活躍。
貿易紛争に端を発する「エリアドゥ通商サミット」*8にも絡んでおり、事件後の調査を行おうとするヴァローラムを妨害した。

ちなみに、カノン小説「ターキン」でこのあたりの内情をシディアスが振り返る場面では、ダース・プレイガスを初めとしてレジェンズ小説からの引用がてんこ盛りである。


◆クローン大戦

「ときどき、この危機が下手な芝居ではないかと思うときがあります」
「それが、たったひとりの人間によって銀河が支配されるという芝居だったとしても、きみはその芝居に出ることに抵抗するのかね?」

しかし銀河共和国は、まだ「ナブー危機」さえ起きていない時点から、すでに積年の党派争いや産業資本家の利害闘争によって分裂状態となっていた。
ターキンはいずれ戦乱の時期が来ると予感し、故郷の惑星エリアドゥの総督となった。

果たして、ほどなくドゥークー伯爵分離主義を提唱し、銀河共和国は深刻な分裂を経験する。
このころターキンはドゥークーに独立星系連合への参加を求められたが、拒絶している。これは「ターキンの忠誠心を図る」というシディアスの極秘テストであり、ドゥークーも――ダース・ティラナスとして――それを踏まえていたため、クローン大戦中エリアドゥは戦火から免れた。


「戦い方が生ぬるすぎます。ジェダイの掟に縛られている限り、我々に勝ち目はない! 敵は分離主義者ですぞ? 平和の使者が戦いをリードして、何がいけないんです?」

やがて勃発したクローン大戦では、まずエリアドゥを銀河共和国側につかせたうえで、新設された共和国軍に参加。ジェダイマスターのイーヴン・ピールとよく組んだ。
このころのターキンは四十の坂を超えており、肉体は相当に衰えてはいたが、それでも戦術の才覚や、いざというときの銃撃の腕前は健在だった。

ただ、ターキンはジェダイに対して、戦闘能力については一目も二目も置いていたが、戦略家としては批判的であった
フォースをフルに使えばもっと効果的に戦えたはずなのに、倫理規定に囚われるあまりにフォースの能力をみずから制限し、結果として苦戦することに、何度も危惧を表明している。
ただ、このころの共和国軍はジェダイの指揮下にあり、彼の提言は伝統的なジェダイには受け入れられなかった。

大戦中期、ピールとターキンの部隊は、ハイパースペースレーンを巡る調査で独立星系連合に捕縛され、惑星ローサ・サユーのシタデル刑務所(獄長:オシ・ソベック)に捕えられてしまう。
共和国は救出部隊を派遣したため、ピールとターキンも呼応して一時は脱出に成功するが、ピールらジェダイは二手に分かれての脱出を決定。
これに対し、ターキンはただでさえ数が少ないのを分散してしまえば各個撃破されるだけだと反対するが、上司であるジェダイたちが押し切り、大いに苦戦した結果ピールが戦死。
実際警備は厳しく、ソベック獄長も保身に満ちていたが能力は高かったため、ターキンの作戦が採用されてもどうなったかは分からないが、
後年のターキンは最初から自分が指揮を取っていれば、あの場でピールが死ぬことも、そもそも捕縛されることもなかったのではないかと考えていた。

また、この脱出作戦において、彼はアナキン・スカイウォーカーアソーカ・タノオビ=ワン・ケノービと初めて対面している。
当初ターキンは、救出してもらったのに礼の一つも言わず反対ばかりしていたためアナキンたちから嫌悪されたのだが、ジェダイが倫理規定に縛られすぎているというターキンの指摘はアナキンも考えていたことであり、
黙り込んだアナキンを気遣う、ピールの死には険しい表情で礼を尽くすなどの一面も描かれ、結局アナキンはわりと好印象を抱くにいたった。

「ふうぅ……ありがとうパダワン・タノ。フフ……さすがはあなたの弟子だ」


しかし大戦末期、反乱容疑に問われたアソーカの軍事裁判において、ターキンは弾劾側にて登場。アソーカに死刑を求刑し、アナキンたちと大いに対立した
結局、彼女は冤罪と証明されたのだが、ターキンとアナキンの親交は破綻。そのまま、二人は再会しないままクローン大戦が終結した。


◆戦後

クローン大戦は最終的に、ジェダイの滅亡・独立星系連合の壊滅・銀河共和国の解体・銀河帝国の再編、というだれもが予期しなかった結果に終わった。

ただしターキンは、ジェダイについて「あまりにもエリート化が進んでいたジェダイは、いずれ衰退する運命だったのではないか?」と考えていたし、共和国の衰退と破滅も予期していたから、当時は驚いたがやがて納得したようである。
「ジェダイの反乱」には懐疑的だったが、皇帝やヴェイダーたちがシスとするならば*9、おそらくジェダイは「自分たちがシスの掌で踊られていたという事実に耐えられずに暴発した、それが『ジェダイの反乱』の真相ではないか」と言い当てていた。
シディアス戦のメイス・ウィンドゥの態度や表情を見る限り、これは正しい分析であったように見える。


さて、誕生した銀河帝国は宇宙の統治にあたって、二十人の総督を派遣して銀河を直接統治するシステムを施行。ターキンも一足飛びに昇進し、総督のひとりになった。
この「総督の派遣による銀河の直接統治」という案は、シディアスがもともと持っていた案と、ターキンが提出した意見書(提出時期などは不明)が合致した結果生み出されたものらしい。

しかしターキンは、独立星系連合の残党が占領していたアンター第四衛星を攻略した際に、連合残党のみならず、抵抗していた共和国派のレジスタンスや、共和国(現帝国)が送り込んでいたスパイまで、すべてを殲滅してしまった。
この「アンターの虐殺」がかなりの問題になってしまったことから、シディアスはターキンを左遷させることになった。

もっともシディアスはむしろこれを奇貨とした。人目から隠したターキンに、デス・スターの建設をさせたのである。

また、テロ組織の反乱と高級将官の内通をダース・ヴェイダーとともに鎮圧することに成功したため、失脚寸前の状態から躍進。
自らの「ターキン・ドクトリン」がシディアスに受け入れられたこともあって、一気に銀河帝国を支える大総督「グランドモフ」に就任
辺境域の治安維持と帝国組織の編成に尽力するいっぽう、デス・スターの極秘建設も継続して行なった。

エピソード3のラストでは、建造途中のデス・スターをスター・デストロイヤーのブリッジから眺めるシディアスやヴェイダーのそばにいた。


ダース・ヴェイダーからは帝国発足当初は距離を置かれていたものの*10、テロ組織追跡任務を通じて双方ともに能力を認めるようになった。
この任務中、ターキンはヴェイダーの正体がアナキン・スカイウォーカーであること、現在の彼がジェダイではなくシスであること、そのシスのマスターがおそらくパルパティーンであることまで洞察している。
このころはまだヴェイダー=アナキンという推論は胸に秘めていたが、いつのころからかそれを直接言い合うようになっていた(さすがに二人きりの時だけだが)。

「……ジェダイの騎士は滅び、この宇宙から姿を消した。そのたった一人の生き残りがきみだ……」

大総督就任にあたって階級・権限も大きくシフトし、それまではヴェイダーのほうが上らしかったが(そもそもヴェイダーの地位は帝国でも曖昧らしい)、ターキンが大総督になってからはヴェイダーは完全にターキンを立てるようになった。
もちろん、ヴェイダーの下にある尋問官に対しても指揮権を持つ。


この時期を描いたCGアニメ「反乱者たち」では鋼鉄の統率力を持った名将という側面が強調されている。
着任するや、失態続きの隊長二名をいきなり処刑することで、軍の指揮権と規律を取り戻し、ストームトルーパーたちの動きが見違えて鋭くなった。
「反乱者たち」の行動*11から、いずれ脅威となりうることを分析する理解力や、反乱者たちの油断を読み取り罠を張る、緊急事態が起きることを見越して保険を立てておく、次から次と対策を編み出すなど、明晰な頭脳も描かれている。

「あらかじめ全艦隊に指示を出しておいた。通信に異常が発生したら援軍を送れとな。いまがその、異常事態だ!!」

失態をする部下に厳しい姿も描かれており、彼にかかってはデス・スター設計担当のクレニック長官や、惑星ロザルの担当マーケス・チェア大臣はもとより、暗黒面のフォースを学ぶ大尋問官ですら容赦なく槍玉に挙げる。


◆デス・スター完成

「姫、あなたを処刑する前に……このデス・スターの完成する行事をぜひともお目にかけておきたいものですなあ……いまや、帝国に逆らえるものは誰もいないのだ」

終戦から十数年、極秘裡にターキンが建造していた、移動式バトルステーション「デス・スター」がついに完成した
すでに宇宙軍の主力戦艦スター・デストロイヤーも多数配備され、銀河帝国の統治力・軍事力はかつての銀河共和国とは比較にならないレベルで増大化していた。
そこに今度はデス・スターの完成である。銀河帝国の戦力は絶頂に達していた。
もはや銀河帝国の軍事力に抵抗しうる勢力はどこにもない。ハイパースペースジャンプまで可能とするデス・スターは理論上宇宙のどこにも移動でき、たとえナル・ハッタやタトゥイーンといった暗黒街の中枢ですら、一撃で消しされる。
中央政界ではシディアスがついに銀河元老院を解体し、帝国の意向がすなわち銀河全域に施行されるようになった。

しかし銀河帝国の統率力が強化されていくに従い、ターキンの周囲でも気になる動きが出ていた。

その筆頭が、「反乱同盟軍」と名乗る共和政復興派の動きである。
シディアスやターキンたちにすれば愚の骨頂と言うべき共和政だったが、自由と民主主義を理想とする勢力は確かに存在しており、彼らは元老院のネットワークを駆使して、想像以上の広いつながりを持っていた。
しかも帝国は、例えばデス・スターの建造などにあたって多くの人間を動員し、奴隷同然の境遇でひたすら酷使していた。
そういう人たちは帝国の崩壊を求めており、少なくない勢力が反乱同盟軍を支援していたのである。

これを受けて、ターキンは反乱同盟軍の鎮圧を決意
皇帝もターキンのもとにダース・ヴェイダーを送り込み、補佐させた。
ヴェイダーの派遣については、ターキンがその軍事力で反乱を起こす可能性もあり、その牽制という意図もあったらしいが、
ターキンとヴェイダーはお互い腹蔵なく話し合える間柄で、牽制役としては不適格なため、実際は補佐のほうに重点を置いていたようだ。


ヤヴィンの戦い

「……準備ができ次第オルデランを破壊するんだ」

さて反乱同盟軍は、ターキンが恐れていた通りただのネズミではなく、完成したばかりのデス・スターの設計図を盗み取って脱出していた
ターキンはすぐさま設計図の奪還と反乱同盟軍の討伐を決意。
ヴェイダーが捕縛した、反乱同盟軍の幹部と見られるレイア・オーガナを引き立てて尋問し、彼女への脅迫と反帝政派への見せしめとして、デス・スターのスーパーレーザーを用いて惑星オルデランを消し飛ばしてしまった
この攻撃は勧告もなされず、資料によると皇帝の裁可も得ずに行なったものらしく、ターキンのすさまじい権限を物語る。

しかしレイアは、数々の拷問や母星の消滅という衝撃にもこらえ、同盟軍の本部を明かさなかった。
ターキンは怒って彼女を殺そうとしたが、ヴェイダーからなだめられている。

その後、漂流した船から出現した一団がレイアを救出するという事態が発生。
手持ちの宇宙戦闘機を総動員すれば捕縛は可能であったが、その救出チームにオビ=ワン・ケノービがいたと知ったターキンは、彼らが反乱同盟軍の本部に逃げ帰ると判断。
追跡装置をつけたうえであえて見逃し、その本部がヤヴィン第四衛星にあると知り、デス・スターを動員してみずから追撃にはいった。

「……これは非常に危険な賭けだ! 失敗は許されん……」


ターキンはデス・スターと麾下の戦力に絶対の自信を持っており、実際に戦力差は圧倒的であった。
しかも戦闘機隊には、クローン大戦以来のトップエース、ダース・ヴェイダーがおり、ターキンにとっては負けるはずのない戦いであった。

だが反乱同盟軍は、建造段階から意図的に仕組まれていたデス・スターの欠陥を把握しており、その一点に集中攻撃をかけていた。
無論ターキンも彼らの狙いはおぼろげに察してはいたが、ヴェイダーの迎撃もあり、スーパーレーザーがヤヴィン第四衛星を捕えればそれで決着がつくため、あえて居残り決戦にこだわった。

「退避だと!? 勝利を目前にしてか!? 同盟軍ごときになにができるというんだ……!!」

しかしギリギリのところでヴェイダーが、乱入したファルコン号の迎撃を受けてまさかの敗退
反乱同盟軍の飛び入りパイロット、ルーク・スカイウォーカーの、フォースに導かれた一撃が、デス・スターの核に突き刺さった。


デス・スターが大爆発を起こし、ウィルハフ・ターキンと彼が育てた銀河帝国の政権が、一瞬にして宇宙のチリとなった。


◆死後

大総督ウィルハフ・ターキンと、彼のもとに集まっていた数多くの宙域総督・艦隊提督が消滅したため、銀河帝国の組織は大混乱に陥った。
また「ターキン・ドクトリン」で帝国の統治方針を定めたターキンの死は、銀河帝国の施政そのものさえ揺るがすこととなる。

しかし反乱同盟軍もこの一戦で少なくない戦力を喪失。
そして、損害の割合としては帝国よりもマシとはいえ、もとが貧乏所帯の反乱同盟軍は回復力において帝国よりもはるかに劣っていた。
確かに反乱同盟軍は歴史的な勝利を得ることによってその存在を全宇宙に轟かせ、多くの勢力を味方に付けることはできたのだが、その拡大した勢力が戦力として具体化するにはいくばくかの時間を要したのである。
そのあいだに帝国軍は再編に成功し、反乱同盟軍の討伐を開始。のちの「ホスの戦い」で反乱同盟軍は一敗地に塗れることになる。

他方、ダース・ヴェイダーはなんとか生き残ったものの、肝心なところでデス・スターを守れなかったために師父シディアスの不興を買ってしまう。
さらに直後には惑星サイムーン第一衛星にあった帝国の兵器工廠まで反乱軍に破壊されてしまい、デス・スターの脆弱性や反乱軍の危険性を正確に評価していたカシオ・タッグ大将軍の部下に左遷される、ジャバ・ザ・ハットへの交渉役の任務につかされるなど、一時は失脚寸前になってしまったのだった。


【余談】

◆設定の変遷

むかしの設定ではターキンは「冷酷な軍人」というところが強調されていた。
最初の虐殺については「座り込むデモ隊そのものにスター・デストロイヤーを着陸させる」
ターキン・ドクトリンについては「デス・スターそのものではなく、デス・スターのもたらす恐怖によって国民を縛る」、という趣旨のものであった。
この「ターキン・ドクトリン」はEP4の本人のセリフ「恐怖。これを国民どもに植え付ける」からの演繹である。
他にもデス・スターの完成をもって絶大な権力と武力が手元にあったことから、ヴェイダーに首しめられたモッティ提督から皇帝への反乱・下克上をそそのかされ、本人にもその気があったというものも。

この「デモ隊への宇宙船着陸」「恐怖による統治」は、かつてターキンを象徴するインパクト抜群の名エピソードではあったが、暴虐としてのインパクトはあっても、哲学性などは見出しにくかった。
ターキン自身が原作一作目で死ぬこともあって、設定の後付けがしにくくもなっていた。

しかし「レジェンズ分化」によりこうした過去の設定から解放され、一から設定できるようになったことで、ターキンの立場は「悪役」から「帝国史の歴史人物」へとシフトされ、とくに「ターキン・ドクトリン」によって、帝国の正当性を象徴する人物に脱皮した

また、ターキンを主人公とした小説「ターキン」は2014年の11月4日に発表されており、カノン分化が行われた直後の公式小説である。
タイミング的に、あの膨大な裏設定のリセットを、最初に効率的に利用したのがターキンでもあった。

もっとも、だからといってターキンが「実はいい人」に変わったわけではない。
小説「ターキン」においても、根は徹底的に容赦無しで冷酷・残虐な人物であることがしっかり描写されている。
ようは「単なる冷酷非情な悪人だった」ターキンを、新たな設定を付与することで「冷酷非情な悪人ではあるが、シディアスに見込まれるだけの実力と彼なりの信念を持った傑物であった」と再定義されたのである。
まぁつまり冷酷非情な悪人であることは変わらない。

もちろん、映画本編の設定と矛盾したりはしない。
ターキンにはEP4で「今後はわが帝国が任命する知事を各地に派遣して統治させる。恐怖……これを国民どもに植え付けるんだ」というセリフがあり、
かつては後段のセリフから「ターキン・ドクトリン」を演繹していたが、今度は前段のセリフから定義しなおしたわけである。
そして、現在の「ターキン・ドクトリン」にはEP3におけるシディアス皇帝即位の演説の「より安全で、安定した共同体に、変わるのだ!」という結びにも対応している。
映画本編から乖離しないレベルでの見事な再設定といえるだろう。


◆演者との関係

EP4では、イギリスの名俳優ピーター・カッシング氏が熱演。
「どんなB級映画でも、カッシングさえ出演すれば出来がワンランクあがる」とまで言われた超実力派で、撮影当時から既に40年近い芸歴を持っていた大ベテランである。
冷徹で残酷だが極めて優秀、ダース・ヴェイダーさえ屈するほどの威厳を持つ、というウィルハフ・ターキンの姿をいきなり確立した。
……しかし、あまりにもベテランかつ威厳がありすぎて、主役サイドの俳優たち(年端の行かない新人たち)は大変やりにくかったとか。
一番困ったのがレイア・オーガナ役のキャリー・フィッシャー女史で、カッシングがあまりにも洗練されたイギリス紳士で、俳優としての技術や心構えも教えてくれたため、役柄上は軽蔑しなければいけないのに尊敬の念が押さえられず、弱り果てたとか。
無名新人の立場でリアルで気品がありすぎる大先輩を軽蔑する役をやれ、というのはやりにくいことこの上ないだろう。

またピーター・カッシングは、のちにドゥークー伯爵を演じるクリストファー・リーと長年の親友であり、本作でもちょっぴり愚痴をこぼしていたらしい。
エピソードⅣ出演が決まった際には
リー「ところで『モフ』ってなに?」カッシング「うん。ぼくも分からない」
とこんなやりとりがあったとか。
なお、スター・ウォーズの設定ではドゥークーはターキンよりはるか年上だが、演者のほうではカッシングのほうがリーよりも9歳年長の先輩である。


笑い話として、カッシングが最初ターキンの衣装を着用してみたところ、ブーツのサイズがあわなかった。しかしスケジュールはすでに遅延しつつある。
しょうがないから、足元が移らないシーンではスリッパを履いて撮影していたそうな。
ちなみに『ターキン』だと、冒頭で服飾デザイナードロイドに延々注文をつけられるコメディシーンがあるが、ターキンはなぜかブーツにこだわっていた。この撮影中のエピソードを元にしたのだろう。


ピーター・カッシングは1986年を最後に映画出演がなく実質的に俳優業から引退。その後1994年に没した。
当然、新三部作の制作時には既に故人である。
そのため、EP3のラストでターキンがちらっと登場する場面では、雰囲気が似ていたウェイン・パイグラムという俳優をカッシングに似せて撮っている。
これは、ターキンの場面がほんの数秒で、しかも遠方にちらっと移るだけだからできたことだろう。

しかし「ローグ・ワン」では遠方に数秒というわけにも行かず、さりとてあの顔によく似た人物を探すのも無理がある。
そこで製作サイドは遺族の許可を得た上で、1984年にとられたカッシングの顔型*12などを参考にカッシングの顔をコンピュータ上に再現し、
担当俳優ガイ・ヘンリーの顔に無数のCG合成用の点を描き、さらに特殊なカメラを頭に乗せ、後からヘンリーにカッシングの顔を合成するというものすごい荒技を使って映像作品としている。 


◆担当声優

日本語吹き替えは、長らく大木民夫氏がメインで担当した。アテレコ草莽期からの大ベテランであり、権力者向きとされる威厳のある声色がカッシングおよびターキンによくマッチしていた。
しかし高齢のために2016年に引退し、晩年の「反乱者たち」では小形満、「ローグ・ワン」では伊藤和晃、にそれぞれ代わっている。
また、大木氏はゲーム版にてオビ=ワン役をやったことがある。


◆その他

「ターキン」以前のレジェンズ作品では単なる悪役としての描写が多かったが、それでもしばしば「ほかの帝国軍人とは違う」描かれ方をされることもあった。
のちに銀河帝国を再建する女性提督ナタシ・ダーラの才能を見いだし、抜擢したのもその一つ。

近年のカノン作品では、もっぱらコミックにて登場する作品が多い。
「ターキン」以前の時間軸ではヴェイダーから嫌われているが、それでもその能力にはヴェイダーも一目置いており、ターキンの側もヴェイダーを言い負かしたりしている。
ある作品では、なんとヴェイダーVSターキンの決闘(殺すつもりの狩り)が描かれ、ターキンが辛勝するエピソードも描かれた。





「項目を発展させるにはもっと違った方法でないと駄目なようだ!」
「なにか策でも!?」
「デス・スターの強大な情報処理能力を見せつけてやるのだ! コースを『項目変更』ボタンへ取れ!!  準備ができしだい追記・修正しろ……」

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最終更新:2025年01月25日 08:30

*1 一部スピンオフ作品では、ダース・プレイガスやアサージ・ヴェントレス、それにダース・シディアスなどが、「シスとは『真実』という意味」と何度か語る。

*2 正確には、ほとんどの議員は「議員の椅子と元老院の利権と自分の欲望」しか考えていなかった。「上等な議員でも」母星のことしか考えられなかったのである。

*3 近年の設定では、「分離主義そのものはドゥークーが離反するまえから存在したが、それを大々的に提唱して運動にまで高めたのがドゥークーであった」とされている。

*4 法家の大成者である「韓非子」には、「法・刑は過酷であるかどうかを考える必要はない。妥当であるかどうかだ。もしその法律や刑罰が妥当であるなら、どれだけ受刑者が出てもやめてはならない。しかし、その法律や刑罰が妥当でないなら、受刑者がいなくても直ちにやめねばならない」とある。銀河帝国の法・刑は妥当性を欠いた。

*5 銀河共和国が直轄するマクロ的な軍隊ではなく、地方の自警団を起源とする警備隊。通商連合が独自に保有するドロイド軍団のようなものである。

*6 EP2で議論になっていた大規模な軍ではなく、調停をもっぱらとする警備組織。EP1冒頭でクワイ=ガンが乗っていた船とクルーもそれ。

*7 なお、当時最高議長は「カルパナ」なる人物らしく、EP1の最高議長フィニウス・ヴァローラムもパルパティーンと同じくカルパナ派閥に所属する行政官だった。

*8 会議中にテロが襲撃し、通商連合内部におけるヌート・ガンレイの台頭と、銀河元老院最高議長フィニウス・ヴァローラムの失脚の端緒となった事件。もともとレジェンズ作品だったが、カノン小説「ターキン」で採用されている。

*9 彼が一番おかしいと思ったのは、「ジェダイに襲われた」「非力な」パルパティーンが「ジェダイを返り討ちにした」こと。考えられる回答は確かに少ない。

*10 アソーカ裁判にて死刑を求刑したことがヴェイダー(アナキン)側にしこりとして残っていた。

*11 民間人を巻き込まない困難な戦い方をあえて行い、反帝国分子に「結束」と「希望」をもたらすことで、多数の市民を反帝国に奮い立たせようとしている。

*12 コメディ映画『トップ・シークレット』に出演した際に特殊メイク用に作られたもの。奇跡的に残っていた。