謎のブラックボックスパック(デュエル・マスターズ)

登録日:2020/03/04 Wed 18:33:08
更新日:2024/10/20 Sun 19:29:33
所要時間:約 11 分で読めます







黒箱の扉、オープンじゃ!



DMEX-08「謎のブラックボックスパック」は、デュエル・マスターズのエキスパンションである。


【概要】

ブラック・ボックス・パックシリーズもついに三作目。収録内容が不明のエキスパンションとして企画された超天篇のエキスパンション。
発売前の時点でコロコロ公式サイトなどで一部のカードが公開されるなどの広報展開が行われた。

闇鍋とも呼べる黒箱は前回から更なる変化を遂げており、収録カードの枚数もなんと約300枚にまで増加。
悪ふざけのお遊びネタも進化しており、公式が良くも悪くも暴走中の列車…《暴走特急 マルドゥック》状態である。

CMにはあの黒の帝王・松崎しげるが起用され、『俺のデッキは52枚』の替え歌『しげると一緒にDMをはじめてみない?』を歌い上げた。
このブラックじゃCM出演できないな!」「えっ!?タピオカくれんの!」と「デュエマ! 太陽 絶好調 オーライ!」な様子が描かれる。
終末の時計 ザ・クロック》とのコラボカードも作られたが、こちらは次世代WHF'20で先行販売されたパックの箱購入の際の特典限定となっている。

【今回もお祭り騒ぎの闇鍋】

正直文章での記述よりも「購入して君の目で確かめろ!」と言い無くなる混沌っぷり。

前代未聞な新ギミックやリメイク

BBPにはとんでもないギミックを持ったカードが現れるが、本作も良くも悪くも新要素や懐かし要素が詰められた闇鍋状態である。以下、その例。

  • ついに現れた新たな進化は昔の没案・シールド進化の《英知ザクス・コット》
  • テキスト欄が歴代エキスパンションのアイコンのバニラクリーチャー《愛魂憎男》
  • GR化を果たしたサバイバーウェーブストライカーの新規カード
  • オレガ・オーラとしてリメイクされた歴代クロスギア
  • 発売前にプレミアム殿堂入りのTCG史最速の禁止指定カード《緊急プレミアム殿堂
  • 謎解きをしないと効果が読めない《東京ミステリーサーカスからの挑戦状》
  • テキスト欄がラーメンのレシピ解説
  • シャカパチ依存症の人間を標的にした効果出現
  • 採点機能付きカラオケで歌わせてくる強力カード《ラップ仙人 デッドマン》
  • 破壊の赤!スクラッパーレッド!」「知識の青!ブレインブルー!」「魅惑の緑!トラップグリーン!」「閃光の黄色!スパークイエロー!」「強欲の紫!ハンドパープル!」「ブレイクあるところに我らあり!シールド戦隊、トリガージャー!!」

広がりまくるコラボ展開

BBPお楽しみのコラボは前作から範囲が広がっており、様々な分野のコンテンツが超獣世界に出現した。以下、その一例。

  • 相も変わらずコロコロコミックの連載漫画から多数の作家が参戦
  • デュエル・マスターズ プレイス』からの逆輸入カードやコラボイラスト登場
  • アニメ、漫画、ゲームとも今回もコラボ。無職の六兄弟やら呪われたうずまきやら超次元サッカーのゴールキーパーなどが登場
  • 女性向けファッション誌『CanCam』、表紙風カードになる
  • アイドルともコラボ。女性アイドルグループからは『GANG PARADE』、男性アイドルグループからは『祭nine.』
  • 小説家の伊坂幸太郎がファンという縁で小説『死神の精度』
  • 小説は小説でもライトノベルから『弱キャラ友崎くん』
  • Youtuberの『スカイピース』や『はじめしゃちょー』
  • バーチャルYouTuberの『オシャレになりたい!ピーナッツくん』
  • イラストレーターも多数参加。特に日本一有名なフリー素材サイト『いらすとや』出現
  • コロコロアニキから再度コラボのマキシマムザホルモン。「・」キラーの《マキシマムザ亮君(暴天覚醒MAXIMUM神羅曼象)》
  • 『ビックリマンチョコ』デザイン仕様《勝利宣言 鬼丸「覇」》
  • テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」からビホルダー参戦
  • 新規インビンシブル呪文はまさかのナーフガン使用《インビンシブル・ナーフ》(ただし、このコラボに関してはトラブルを招くとの批判もある)

…闇鍋を通り越して最早超次元ゾーンのような異次元空間になり始めている。
あまりにもコラボの数が多すぎて本項目では解説しきれないので、詳細な解説はこちらから。

この異常なコラボ組の中でも特にぶっ飛んだコラボに関しては後述。

◇他TCGコラボ

前回から続いて兄貴分であるMagic the Gatheringから多数コラボ参戦し、《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《セラの天使》がプレインズウォーク。
MtGのキーワード能力である「飛行」が、DM風にアレンジしての逆輸入が実現した。
特に《Black Lotus》はMtGユーザーにもコレクションとしての価値が注目されたことや封入率の低さから、価格がかなり高騰した。

WIXOSSとも再度コラボしているが、今回はイラストのみのコラボではなく新規コラボカードが登場。
WIXOSSでの利用も可能なDM史上初の他TCGへの転用可能な《奏世の鍵主 ウムル=ノル》という革新的なカードが作られた。なお性能

◇タカラトミー関係のコラボ

タカラトミーの他コンテンツともしているが、今回は以下のようにかなりの数のコラボを果たしている。


『黒ひげ危機一髪』や『トランスフォーマー』は前回の超BBPからの再コラボとなっている。
一方、一部ファンから望まれていた『プリティーリズム』シリーズとのコラボは実現されず。

◇あのライバル企業とのコラボ

競合他社であるバンダイナムコがまさかのデュエマ参戦
太鼓の達人』『鉄拳』『塊魂』など、バンダイの主力ゲームシリーズが堂々と殴り込み。
「いやお前らデュエマよりもバトスピの方にいるだろ普通」と困惑したユーザーは少なくない。

細かく見ていくと、バンダイ傘下のサンライズ制作アニメ『カウボーイ・ビバップ』ともコラボしている。
以前からコラボしていた『ケロロ軍曹』や、旧タカラ及び旧トミーと縁がある『魔神英雄伝ワタル』『絶対無敵ライジンオー』ともコラボ。

一方、バンダイナムコからの出張はゲームシリーズ及び旧ナムコ出身に留まっている事が読み取れる。
直接の競合となるバンダイサイドの玩具コンテンツは流石に触れられなかったようだ。
ちなみに、『パワーレンジャー』ともコラボしているが、こちらはバンダイは現在では玩具関係の権利を失っている。

見逃せない豪華再録

強力な人気カードや人気がありながらも再録に恵まれなかったカードが多数再録。
一度も再録がなかった《神滅翔天ポッポ・ジュヴィラ》《アクア・アタック<BAGOOON・パンツァー>》《超次元キラーメガネ・ホール》《猿神兵アッシュ》がついに収録。
需要の多い《伝説のレジェンド ドギラゴン》《ナゾの光・リリアング》なども再録され、優秀なデッキパーツが揃っている。

背景ストーリーの掘り下げ

背景ストーリー関係に関しても多くのフォローや新設定が明かされている。
まずは《巡霊者シリアス》のフレーバーテキストでのみ言及された《仙界一の天才 ミロク》がピックアップ。
人物像がかなり掘り下げられており、今後のカード化に期待が膨らんだ。
ミロクのピックアップの一方で、フェニックスの始祖の存在も示唆された。

DMD-26「マスターズ・クロニクル・デッキ サバイバー進化論 α to Ω」におけるエピソード3以降と思われる世界観の物語も進行。
アウトレイジオラクル連合軍とサバイバー軍団の戦いが描かれた。

DS世界のゼニスや光デーモン・コマンドに関するフォローも行われている。
また、エピソード3の背景ストーリーで謎だったオラクルの階級「カルマ」を生み出した人物が言及され、そのまさかの正体と立場は背景ストーリーのファンに衝撃を与えた。

【評価】

これまでBBPシリーズは高い評価を得ており、本パックも発表初期はかなりの期待を抱かれていた。

実際に発売されてから判明したコラボの数々は、これまでと変わらずに高い評価と笑いを得ている。
ところが、発売前に生じた問題(後発)に関する企業態度やあまりにも多いミスから、疑問を抱くユーザーも現れ始めた。
「もうネタ切れなのではないか」「歴代パックでも最低を争うクラス」とまで酷評する意見も一部では見られる。

賛否分かれた影響もあってか、発売当初こそ品切れは起きたが以前程の価格高騰には至っていない。
これに関しては、前作が《ニコル・ボーラス》が収録されていた影響もあるので一概に比較するのは酷だが。

BBPの評価が今までにない程に賛否が分かれたのは、超天篇自体の状況やユーザー意識の変化も強い。
超天篇環境はインフレが過激化しており、これまでのようにBBPのネタカードや再録カードが環境レベルの実戦で使える可能性が狭まった点は否めない。
良くも悪くも超天篇は競技性が強くなったので、実用性が薄いおふざけカードへの拒否感を示すユーザーが増えてきている背景もある。

以下、主に指摘されている賛否両論点について指摘する。

DM史上最多クラスの誤植の多さ

とにかくこのパック、誤植のミスが相当多い。300種類もカードがあるだけあってそれに応じてミスが目立つ。

  • 漢字ミスや空白スペースの間違いなどのカード名ミス、ルビのミス、以前起こしていた種族名ミスの再発(例:《光霊姫アレフティナ》)
  • 効果を解説しているテキストも能力が変わるレベルのミスをしているカードがある
  • 《ナンバークエスチョン》のエラッタ済みの誤植再発

誤植だけではなく、再録に至って三枚に分割された《爆熱DX バトライ武神》は裏表の上下関係が全て逆なので絵が繋がらない始末。
三枚確定収録でもない上にイラストミスをしでかしたという事実は、購入者の怒りを集めた。

《DNA・スパーク》の鏡反転風の新規カード《AND・スパーク》*1や、バンプアップが弱体化されたリメイクカード《炎舞闘士サピエント・アークGR》まで誤植疑惑が出た。
能力自体が違うカードの前者はともかく、後者に関してはいまだに誤植疑惑を抱いている人すらいる。*2

そもそもパック名からして「謎のブラックボックスパック」と、今までと異なって中点がない。
単に表記を変えただけのように思えるが、実はパッケージや他媒体ではこれまでと同様に中点が用いられている。
つまり、パック名からしてミスを起こしているのである。

実用性に欠けるカードで枠が埋められている

上述したように豪華な再録がある一方で、歴代BBPと比較しても特に露骨なハズレ枠がかなり目立つ傾向にある。

  • フォイル枠にゲーム的に使えないカードが存在する
あくまでファン向けで性能が低い「おそ松さん」コラボのサイクルだが、1箱2枚しか存在しない特殊フォイル枠にも存在している。
完全にゲーム性を放棄している一発ネタ《結婚してくれやぁ!!》も特殊フォイル枠に存在。*3
一部の心ない人間にはおそ松さん自体に八つ当たりする者も現れた。

しかし、おそ松さんのコラボカードはサイン付きのフォイル仕様になっているなど、ファン向けのコレクションアイテムとしては価値が高い。
おそ松さんのファンや観賞用カードのコレクター趣味がある人は確保しておいても損はないだろう。

  • ジョーカード
実際のゲームには使用できない白紙の《ジョーカード》が6種類も収録されている。
このカードが封入されたパックを引き当てた場合、実質5枚だけのパックとなって損をすることになる。

  • エラッタに振り回された大量再録
破壊に関するテキストのエラッタのためだけに、現在では低スペックの初期の実用性に欠けるカードが大量再録。
人気カードで一定の実用性がありながらも長期の絶版が続いた《呪縛の剣豪バロスト》の再録は評価をする声があるが、やはりエラッタに伴う裁定変更で弱体化している。
フォローとしては、近年古参ファンの間で普及が進んでいる独自ルール『デュエマクラシック*4』への利用に使えるという意見もある。
だが、クラシックは初収録当時のカードが重視される風潮があるので、カードデザインを重視する層にはあまり受けないかもしれない。

堕魔 ヴォーミラの再録に関して

発売前にデュエマゴールデンリストに掲載されていた《堕魔 ヴォーミラ》の再録が判明。
この再録は大騒ぎとなり、公式はゴールデンリストから《ヴォーミラ》を削除するという強硬手段に出る。
リストの後出し修正を可能としたこの決断により、ゴールデンリストは実質効力を消失して形骸化した。

なお、以前にもDMRP-09で初収録されてゴールデンリストに掲載された《ドドド・ドーピードープ》を始めとした9種類のカードが、再録禁止期間中にDMEX-05で再録されるというミスが発生している。
しかし、こちらは再録されたパックが初心者向けだったことや初めてのミスだったことから、批判こそあったが大きく膨れ上がりはしなかった。
そこにヴォーミラ再録が二度目のミスになってしまったことが不信感を煽り、ゴールデンリストの形骸化に繋がった面はある。

そして次の十王篇にて、ついにゴールデンリストへの新規追加の停止が発表された。おそらく現在残っているものの期間が過ぎたら廃止されるだろう。

ちなみに、DMEX-08版のヴォーミラは鏡のようなフォイル仕様となっており、かなりの遊び心が感じられる。
しかし、「BBP特有の遊び心を優先しすぎて公式の管理体制が滅茶苦茶なのではないか」というような批判も生んだ。

因みに再録が豪華と上述したが収録枚数がアホみたいに多い事や有能再録カードは大体フォイル枠に収録されているのにフォイルの封入率が低い事、更に大体複数枚必要といった事情から全然需要と供給が釣り合っておらず、シングルレートは殆ど変わっていなかったりする。

劣悪な紙質

実際にこのパックのカードに触れてみればわかるが、他のパックに収録されたカードと比べると妙にペラペラしている上に柔らかい。
スリーブをすれば良い事だしそこまで気にするのは神経質なだけでは?とお思いの方々もいるかもしれないが、問題なのはフォイルカードもこの紙質という事である。

フォイル加工が施されたカードは湿気で反りやすくなるというのは良く知られた話だが、近年のDMでは紙質や加工を変える等して対策しており、マスターカードやUGCといったレリーフ加工が施されたカードは湿気に晒されてもそこまで反る事はない。
今回のBBPのフォイルカードに施された加工はメタリック調だったりエピソード3のVR加工といった特に対策が施された加工ではなかった。

で、この妙にペラい紙質と反り対策が施されていないフォイル加工が合わさった結果どうなったかと言うと、滅茶苦茶反るのである。
それも生半可な反りではなく、カード一枚で縦置きで立ち上がったり、最硬クラスのオーバースリーブを付けても尚判別できるぐらい。
当然こうなるとシャッフルがしにくくなる他、競技性の高い大会ではマークド*5を疑われるようになってしまう。
そのため有能な新規カードであっても使わないというプレイヤーもいた。
また、この紙質の悪さ故か非常に初期傷が多く、酷い時はパック開封段階で白欠けがあったという報告もされている。




追記・修正は『しげると一緒にDMをはじめてみない?』を1時間以上歌い続けてからお願いします。

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最終更新:2024年10月20日 19:29

*1 名前が鏡文字で右から左に書かれているカード。その書き方のせいで「反転させる時に文字の順番を間違えた」と思われることも多いが、効果自体がDNA・スパークの2つの効果の条件を入れ替えたものとなっているため、意図してこの名前になっていると思われる。

*2 弱体が必要な能力でもない上、他のリメイクカードは元カードのスペックをそのまま持ってきているため。誤植か勘違いが有力な弱体理由である。

*3 因みにこのカード自体再録な上に初収録時点でフォイルカードだったため枠潰しとして批判する声も多い。

*4 所謂ローカルレギュレーションで、基本セットや闘魂編など、かなり過去のエキスパンションシリーズのカードのみに使用を限定して遊ぶ古参や引退勢向けの遊び。再録で新枠になったカードも投入は許可されており、デザインや収録パックの縛りは基本的にはない。

*5 カードを判別できるようにするイカサマ