DEVILMAN crybaby

登録日:2020/03/09 Mon 22:43:18
更新日:2025/02/05 Wed 20:31:07
所要時間:約 18 分で読めます





愛はない

愛などない

故に悲しみもない

そう思っていた

概要

DEVILMAN crybaby』とは、永井豪原作の漫画『デビルマン』をメディアミックスしたWebアニメである。永井豪画業50周年記念作品。
Netflixにて2018年2月15日より全世界独占配信中で、全10話となっている。
監督は『クレヨンしんちゃん』や『ピンポン』、『四畳半神話大系』で有名な湯浅政明。
脚本は『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズや『ルパン三世 PART5』の大河内一楼。
crybabyとは、泣き虫の意。

神話とも言うべき壮大な世界観・ストーリー、背徳かつエログロな描写から映像は不可と言われながらも様々な映像化が成され、そして散っていく中、デビルマンのファンである湯浅政明氏に本作の話が舞い込んできた際に「他の人にやられるくらいなら自分が作りたい」とメガホンを取った。

そのため、本作はデビルマン特有のエログロバイオレンス要素と湯浅氏の色彩豊かでサイケデリックな演出やコミカルな動きをする作画が悪魔合体した結果、良くも悪くも見るだけでお腹いっぱいになりそうな重厚な内容となった(特に1話のサバトから悪魔が合体するまでの描写がこの作品の演出を端的に表していると言っても過言ではない)。
また、規制の緩いNetflix配信ということもあり、原作が連載されていた当時、少年誌では出来なかったことも本作ではバッチリこなしている。具体的にはシレーヌファック。
一部では「人に薦めたいけど薦められない作品」「もう一度見たいけど二度と見たくない」と評していることも。

永井豪氏から「好きに変えてもらって構わない」とOKが出たこともあり、また「悪魔」という存在にリアリティを出すために1970年代から2010年代後半の現代に舞台を変えており、スマホやSNS、ラッパー等が登場している。特にSNSは世界中の人と繋がりを持つ要素が、ストーリー後半で大きな意味をなす事となる。


あらすじ

(公式サイトより引用)
泣き虫の高校生・不動明は、幼なじみ飛鳥了と再会し、危険なパーティに誘われた。
そこで明は見る。悪魔に変わっていく人々を。
そしてまた明自身も……。


登場人物

メインキャラクター


不動明
CV: 内山昂輝

「俺は悪魔ではない! 俺はデビルマンだ!」

お馴染み主人公。
『緑ヶ丘高校』に通う男子高校生で陸上部に所属している。
また、両親が海外で医療活動をしているため、母親同士が親友関係である牧村家に居候させてもらっているため、美樹とは幼なじみの関係。好物はおかかご飯。
親友の飛鳥了にサバトに連れられて、悪魔に襲われかけるもアモンに取り憑かれてデビルマンになり、悪魔との戦いに身を投じることになる。
デビルマンになってからは身体能力が向上しただけでなく、原作以上に素行が悪くなり、
  • 鍵のかかったドアを無理やりこじ開ける
  • 視聴覚室で大音量でAVを見る
  • 悪魔に取り憑かれている可能性がある幸田の情報を聞き出すために彼の同級生の服をひん剥いて無理やり情報を吐かせる
といったことを行うようになる。

デビルマンになってからは大量のエネルギーを賄うため肉を欲するようになるが、居候先である牧村家では菜食主義で肉を食べる機会が滅多に無いため、デビルマンになってからは飛鳥了の家で肉を食べることになる。
しかし、太郎の面倒はちゃんと見るよきお兄ちゃんでもある。
ちなみに今時の高校生では珍しく、了からスマホを貰うまでは携帯を使っていなかった。そのくせ大型バイクは運転できるみたいだが…。

漫画版の不動明との決定的な違いは、タイトルを冠している通り、デビルマンになっても終始泣き虫である事。(原作では小学生時代「東小のサイレン」と呼ばれたぐらい)
だが、自分のために涙を流すことは決してせず、デビルマンになり攻撃的で獰猛な性格に変わろうととも他人の死や不幸に(話を聞くだけでも)涙を流す優しさと強さを持っている。その心の強さはかの悪魔王ゼノンすら興味を抱くほど。
総じて、原作のデビルマンとはまた違ったベクトルで人間の心を持った悪魔とも言うべき存在であるといえよう。


飛鳥了
CV:村瀬歩

「明! 今お前が必要なんだ!」

明の親友にして真の主人公とも言うべき人物。
短い金髪と白いコートが特徴的な美男子で、明と同い年ながらアメリカの大学で教授を務める秀才。
幼い頃、行き倒れていたところを明に助けられた。
原作では父が悪魔に取り憑かれたことで悪魔の存在を知ったが、今作では生い立ちがまた異なるため、古代先住民の研究をしているロシアのフィキラ教授の通訳のサポートをするためにアマゾンの奥地に同行したことがきっかけになる。
悪魔に取り憑かれたフィキラ教授の姿を目の当たりにしたことで悪魔の実態を知り、教授の遺産を引き継ぎ、悪魔の存在を世界中に知らしめることを決意する。
性格は一言で言うなら冷酷で無機質。
明とは真逆に共感能力に欠け、目的のためなら犯罪に手を染めることに躊躇が無いサイコパス
作中でも…
  • 無免許運転(アメリカの免許は持っている。また、原作の飛鳥了も父の免許書の偽装をして車の運転をしている)
  • 不法侵入
  • 器物破損
  • 盗聴
  • ハッキング
  • 銃刀法違反(コートの下にマシンガンを隠し持ち、人前でも平然とぶっ放す)
  • 殺人(しかも悪魔の姿を見られたかもしれないと言う理由で美樹すら殺そうとした)
…等、どちらが悪魔か分かったものじゃない所業を毎話繰り広げている。しかもこうした性格は幼い頃から見せており、捨てられていた死にかけの猫を殺そうとしたり、施設の人形の首を切断したりしていた。
しかし、明を守ろうという気持ちはどんなことがあっても終始変わらず、悪魔を倒すためのサポートをし続ける。明もまたこうした性格を知りながらも彼の理解者でいた。
また、プール付きのマンションを所有し、更に明にバイクやスマホの支給する、カロリー消費の激しいデビルマンの身体を維持するための食事を用意する、秘書のジェニーをそばに置く等、莫大な資金を持つ。
特定の趣味を持つことはなく、食事も味や形に興味がないことからゼリー飲料で済ませている。


中の人である村瀬歩氏はもともとアメリカ出身のため、英語が堪能である。そのため作中でも度々英語による台詞を披露してくる。

牧村美樹
CV:潘めぐみ

「私がバトンを渡すから、ちゃんと受け取って走ってね。約束だぞ」

デビルマンではお馴染みのヒロイン。
今作ではおかっぱ頭ではなく、ショートヘアのボーイッシュな美少女になり、エキセントリックさは無くなって活発的な女の子という感じに変わっている。平手美樹とも呼ばれていない。
明同様に陸上部に所属しており、その才能と成績から「陸上の魔女」と呼ばれ、雑誌からも取材を受けている。
デビルマンになって悩み続ける明を励ますだけでなく、自分の淫らな写真を撮ろうとする長崎にも縁を切ろうとする前に最後に顔を出そうとしたり、自分に絡んできたラッパーたちを(ラッパーを指名手配犯と勘違いした)警察から庇ったり、隣人が悪魔かもしれない疑心暗鬼の中でもネットで家族の愛や絆の大切さを説くなど、今作における人間の善性の象徴とも言える存在。
入浴シーンやゲルマーに取り憑かれて素っ裸で夜の街をデビルマンと追いかけっこするシュールなサービスシーンもあるよ!


ミーコ/黒田ミキ
CV:小清水亜美

「牧村美樹はすごいけど…何か一つだけは、陸上だけは私も勝ちたい」

明と美樹と同じく陸上部に所属する女子高生。
しかし、美樹と同じ名前のため、周囲からミーコと呼ばれる。
美樹とは親友だが、彼女に人気も陸上の実力も今一歩及ばず、美樹に嫉妬心を抱いている。プロポーションでは圧勝してるけど。
中盤では、自分と同じように周りから見てくれないラッパーのククンと出会い、心を通わせてサバトに参加するが…


以上のように、見た目も性格も含め、一番原作から扱いが変わったキャラクター。
湯浅氏はデビルマンとはまた違った、人間と悪魔の間で揺れながらも人間としてあり続けたキャラとして描いたとのこと。
ちなみに、原作における本来のミーコにあたるデザインのデビルマンもちょい役で登場している。

幸田燃寛
CV:平野潤也

「イヤだあーっ!!」

陸上大会で5つの世界ユース記録を出した天才高校生。
その正体は明と同様デビルマンで、変身すると幸田の顔がついたバッファローのような姿になる。
同性愛者で、ジュンイチという幼なじみの恋人がいた。5話の初っ端から開幕ガチホモセックスを披露してくる。
だが、サバトに参加した際にたまたま悪魔に襲われてしまい、食われてしまったと同時にデビルマンになったと思われる。
ジュンイチを失った悲しみを引きずったまま、デビルマンであることを隠して過ごしていたが、急に陸上の記録を伸ばしたことから了に「悪魔に取り憑かれている」と睨まれ……。


シレーヌ
CV:田中敦子

「寂しかったよ、アモン……。お前が人間の世界に来るのをどれほど待ったことか!」

「妖鳥シレーヌ」の異名を持つ悪魔の中でも有数の実力者。
人間の時の姿は真っ白な髪を伸ばした妖艶な美女。
アモンとはかつて(性的な意味も含めて)深い仲であったらしく、作中では夜な夜なアモンを想いながら変身オナニーにふけっている。中の人が中の人なだけに余計エロさを感じさせる。
ジンメンの一件以降、がむしゃらに悪魔を殺し続ける明の前に現れ、元のアモンに戻すため、戦いを挑む。
そして前述したように原作ではカットされた空中ファックシーンがついに映像化された。
豪ちゃん「まずは「やっちゃったな」と(笑)」

カイム
CV:小山力也

「シレーヌ、君は美しい」

電気を操り、シレーヌを慕う悪魔。人間の姿は壮年の男性である。
今作では常に彼女と一緒に行動している。
また、原作と比べて出番が多く、性衝動を抑えるのに苦労している事をボヤくシレーヌに「アモンがこちらに来るまでいくらでも慰める用意がある」とアプローチしたり、自慰をして達した彼女の声を影で堪能したり、シレーヌと戦う明(アモン)に嫉妬したり、とにかく感情豊かでシレーヌ一筋な彼の姿が見られる。


サブキャラクター


牧村亜樹子
CV:小林さやか
牧村ノエル
CV: 小原雅人

牧村美樹の両親。
原作ではどこにでもいそうな一般家庭の夫婦だったが、今作では野菜専門の料理店「ベジディナー」を経営する、菜食主義のキリスト系の家庭になっている。
明のことも自分の子供のように分け隔てなく面倒を見ている。


牧村太郎
CV:稲川英梨

牧村美樹の弟。タレちゃんではない。
ちょくちょくパソコンで明のアカウントを利用して履歴機能でエロ画像を見ているマセたお子様。
それがきっかけで悪魔やサバトに興味を持ち、憧れるようになるが…


ターコ
CV:高橋李依

牧村家に飼われている黒猫。
ちょくちょく餌がないか確認したり、太郎に作中作のデビルマンのコスプレをされたり、要所要所で登場する。


ワム
CV:KEN THE 390
ガビ
CV:木村昴
ククン
CV:YOUNG DAIS
バボ
CV:般若
ヒエ
CV:AFRA

作中の冒頭や節々に登場するラッパーたち。
物語の状況や展開に沿ったラップを繰り広げる語り部のような存在。中の人もプロのラッパー揃い。
原作におけるプロレス野球部に当たる面々。さすがに昭和時代の不良をそのまま出すのは時代錯誤すぎるためか、色々な要素を含ませつつ現代風にアレンジした結果ラッパーになった。



その他のキャラクター


不動香織
CV:中村千絵
不動礼次郎
CV:桐本琢哉

明の両親。
二人とも世界中を飛び回る医者であるため、明を親友である牧村家に明を幼い頃から預けている。
普段会えない代わりに、明によくシューズを送っている。
しかし…
日本に帰国する際、空港のバス内で父の礼次郎が悪魔に取り憑かれ、目の前で乗客を次々と殺してしまう。しかもその悪魔がよりにもよってあの悪魔であり…。

長崎光司
CV:津田健次郎

フリーの編集者。
普段はアスリートの裸の写真を撮ることが仕事で、美樹とたびたび接触しつつ彼女の淫らな写真を撮ることを狙っている。その傍ら、サバトのことについても調べており、大スクープを狙っている。


ちなみに中の人は社長だが、むしろ下っ端である。

ジェニー
CV: 高戸靖広

飛鳥了の秘書。高い鼻に爛々と見開かれた目から、了と打ち合わせをしているウェブプロデューサーからは「整形のしすぎ」と思われていた。
実は施設にいた幼い了を引き取り、育てたため、彼にとっては親のような存在と言える。


悪魔王ゼノン
CV:アヴちゃん(女王蜂)

悪魔たちをまとめる悪魔王。
作中では彼の人間体らしき、ゼイ、ノン、ヌガという3人の人物が登場し*1、悪魔たちに指示を出している。
しかし、今作でも苦労人っぷりは変わらず、シレーヌにデビルマンの存在を隠されたり、陸上甲子園でも悪魔化した幸田が暴れ回るといった計算外のことが起こり、苛立ちを隠せないシーンもちらほら。


ちなみに、中の人は今作のメインテーマ「デビルマンのうた」を歌っている。

アグウェル
CV:白熊寛嗣

カイムの部下の悪魔。
上記の長崎の上司である雑誌編集長に憑依し、その立場を利用して人間社会の情報収集を担当していた。
アモンの意識を乗っ取りデビルマンとなった明の存在を知り、ゲルマ―と共謀して抹殺を謀るが、背後から了に対物ライフルで頭を撃ち抜かれて死亡。

ゲルマ―
CV:駒谷昌男

カイムの部下の悪魔。
殆どが水分で構成されたゲル状の肉体を持ち、人間の体内に侵入して操る能力を持つ。
アグウェルと共に明を抹殺するべく美樹の体内に侵入して人質にしようと試みるが失敗。「お前の事は誰にも言わないから助けてくれ」と命乞いするも、当然聞き入れられる筈もなく真っ二つにされて死亡。

陸上部監督
CV: 内田紳一郎

第一話から登場している、明たちの所属している陸上部の監督。
足が不自由で車椅子に座りながら明たちの練習を見守っているが、自分に近づいてきた蝶を、爬虫類のように舌を伸ばして食べてしまう不気味な行動を見せる……。


ボンズ・オブ・ヒンズー
CV: アンキット

最終決戦に登場したデビルマンの一人。
ある人物が世界中のデビルマンを集めたため、ちょい役で登場。
6人の僧が一体化した姿にリデザインされ、たどたどしい日本語をしゃべる。
作中では修行僧デビルマンと呼ばれている。

雷沼教授
CV:高橋大輔
生物学教授。了と一緒にテレビ番組に出演している。
今作ではある人物が現代に魔女狩りを復活させるためちょい役。デザインも変わっている。


余談

  • 作中には漫画・特撮としてデビルマン(デザインはアニメ版)が存在し、永井豪氏もいるようだ。ちなみに永井豪氏本人も9話にモブ役の中の人で登場している。

  • 陸上の要素を入れたのはデーモンと人間の能力の差をはっきりさせるため。ちなみに奇しくも実写版デビルマンでも陸上部の設定があった。


選べ、明!
俺と追記するか!
その女と修正するか!

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最終更新:2025年02月05日 20:31

*1 原作側でも、漫画版『デビルマンレディー』最終巻にてゼノンの頭部が分離しそれぞれ別な人間態を取っていた事が判明している。