モルガン亡き後、炎の厄災アルビオン、獣の厄災バーゲスト、そして呪いの厄災・祭神
ケルヌンノスという3つの厄災を
多くの犠牲を払いながらも全て調伏し終えたカルデア一行。にも関わらず、当初の予報通りに崩落を開始するブリテン島…
皆が困惑する中、ストームボーダーの上に見慣れた人物が現れる。
あるとも。初めから見えていたから、それと認識していなかっただけさ。
キャメロットで消滅したはずのオベロンは生きていた。
だが、相棒であるブランカの死骸をゴミのように投げ捨てるなど、今までの彼には思えない行動をし続ける。
ストームボーダー内からは「汎人類史に該当するデータは存在しない」「秒単位での霊基の変動」「モニターにすら映らない」と不穏な連絡が通達される。
そう。一匹の虫さ。
とはいえ、見ての通り概念の虫だ。ブリテンを滅ぼし、星を裏返す無限の穴。
まあ、果てのないウロだと思えばいい。
そして僕そのものでもある。
どっちが本体で、どっちが影なのかは分からないけどね。
そして、ブリテンを飲み干さんとする超巨大な一匹の虫の出現と共に、彼はその正体を現す。
──────ああ。
ほかならぬ君の頼みだ。聞いてあげよう。
いいとも。
俺はおまえたち汎人類史が創りあげた空想、
妖精王オベロンのカタチでこの姿になったもの。
神秘の時代の終わりと共に、自らの破滅を望んだブリテン島の意思の具現。
──名をヴォーティガーン。
オベロン・ヴォーティガーン。
君たちと共に、妖精國ブリテンを滅ぼした『奈落の虫』さ。
登録日:2021/08/29 Sun 00:16:47
更新日:2025/01/14 Tue 11:21:49
所要時間:約 25 分で読めます
真名:オベロン・ヴォーティガーン
身長:174cm(人間時)/1440km(虫竜時)
体重:56kg (人間時)/不明(虫竜時)
出典:妖精國ブリテン、Fate/Grand Order
地域:妖精國ブリテン
属性:混沌・悪
クラス:役を羽織る者
【保有スキル】
妖精眼:-
ヒトが持つ魔眼ではなく、妖精が生まれつき持つ『世界を切り替える』視界。
あらゆる嘘を見抜き、真実を映すこの眼は、オベロンに知性体が持つ悪意・短所・性質を明確に見せつけている。
対人理:D+
人類が生み出すもの、人類に有利に働く法則、その全てに『待った』をかける力。
本来は『
クラス・ビースト』が持つスキルだが、ただ空気を吸うかのように人類を根絶したくて仕方のないオベロンは、
その長い欺瞞と雌伏の果てに人類悪と同じスキルを獲得した。
端的に言うと、人々の心の方向性(場の空気)をさりげなく悪い方、低い方、安い方へと誘導する悪意。
同じ『夢の世界』の住人であるマーリンとは相性が致命的に悪く、オベロンはマーリンからの支援を拒絶する。
これは物語に対するスタンスの違いから生まれた断絶であり、オベロンはその偽装能力のほぼ全てを対マーリンに振り分けている。
故にマーリンはオベロンを認識することが出来ず、彼と話をしている人物を千里眼で見た場合、その人物が独り言を喋っているようにしか見えなくなる。
夏の夜の夢:EX
オベロンがその発生時から持っている呪い。
『
全ては夢まぼろし。ここで起きた出来事は真実に値しない―――
』 世界でもっとも有名な妖精戯曲「夏の夜の夢」はそうやって幕を閉じた。
しかしそれは、人類史において、
「彼の言動は『何をやっても嘘』」というレッテル
を貼ることとなってしまい、
故に「本当の事は(言え)無い」という呪いが刻まれてしまったのである。
夢のおわり:EX
末期の夢。対象一騎にかける強化スキル。
かけられたサーヴァントは他に類のない能力向上を得られるが、そのターンの終わりに、全ての効果を失って永眠する。
──夢が喪われた者は、もう二度と、現実に目覚める力は無く。
【宝具】
『彼方とおちる夢の瞳』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:無制限 最大補足:無制限
どこまでも、堕ちてゆけ――
俺から言うべきことは……もう無い! ──全ては夏の夜の夢だ。
夜のとばり。朝のひばり。腐るような、夢のおわり。黄昏を喰らえ!
『彼方とおちる夢の瞳』!!
妖精國で発生したオベロンの本当の姿にして宝具。
ブリテンを滅ぼす「空洞の虫」こと、魔竜・ヴォーティガーンへと変貌し、その世界の全てを飲み込み、どこまでも墜落させていく「奈落の穴」。
一度飲み込まれれば、「空洞」の性質を持つこの巨大な穴からどう抗っても脱出する術はなく、
その根源であるヴォーティガーンと「奈落の虫」を殺さない限り解除されない。
相手を殺すのではなく、一切の光のない奈落へ落とし続ける「異界への道」である。
なお、ゲーム的には名前が変わるのみで効果は一緒である。
また、プロフィールに示された全長1440kmから、汎人類史におけるブリテン諸島を余裕で覆える巨体である事は間違いない。
俺に集るな…吐き気がする。
これ以上の終末を、お前たちに用意できるか!
死ね… 死ね… 死ね…ッ!
◆真の概要
ブリテン島が待ち望んだ終末装置。
異聞帯ブリテンが、トリスメギストスⅡによって汎人類史側の地球を巻き込んで崩落・消滅すると観測された原因そのものであり、全ての黒幕。
その正体は、妖精國・ひいてはブリテンを滅ぼす太古からの"厄災"が、「オベロン」という殻に当て嵌められた存在。
厄災の真名を「ヴォーティガーン」。伝説上のアーサー王の敵対者であり、汎人類史でもブリテンの滅びの引き金を引いた卑王の名を冠する。
これまでも、「奈落の虫」による厄災は「モースの王」等様々な形でブリテン異聞帯を襲い、滅びを齎そうとしてきたが、
2000年前に女王となったモルガンにより、その悉くが打ち祓われてきた。
そして辺境の掃き溜めである「秋の森」に発生させたのが、今回の「虚言の妖精王・オベロン」である。
いわば(汎人類史でも)ブリテン島の厄災として存在する「白き竜ヴォーティガーン」、異聞帯ブリテン島が生み出したサーヴァント「オベロン」、
汎人類史の戯曲にも語られる「妖精王オベロン」が混ざり合って誕生した特異な存在であり、故にその目的も二面性を持った。
即ち、「ヴォーティガーン」の目的はあくまでブリテン島そのものの滅亡であるが、「オベロン」の目的は汎人類史の根絶にこそある。
その言動全てに信憑性が無く、どこまでが嘘でどこからが本当か判別する事が極めて困難な、
根っからの大嘘つき。
「自分は嘘しか言わない」とかたるがそれすらも嘘。いわゆる「嘘つきのパラドックス」を常にまとっており、実際は虚実織り交ぜた戯言を口にし続けている。
彼が好きだと言ったり嫌いと罵る事柄、そしてどうでもいいと切り捨てる主義主張が、どこまでが真実でどこからが嘘なのかは分からない。
口から語られる真実と嘘がごちゃ混ぜとなってしまい、それらの境界がすべて曖昧であるため、彼との意思疎通、セリフの解釈は困難を極める。
それは、
オベロンという英霊としての特性によるものであり、本人ですらも呆れ返るほどの呪縛である。
表の顔は全て演技だが、オベロンの嘘は完璧なので『作り物』ではない。
その気になればそういう風に生きていける、という『本当の顔』でもあるが、
上述した「呪い」の影響もあり、本当のコト・本当であるかどうかすら何の意味もない。
嘘を見抜くカルナや嘘を嫌う清姫と絡んだらどうなるのだろうか。
そういう意味では、別作品ではあるが『スーパーロボット大戦シリーズ』に登場する
アイム・ライアードに似ているのだが、
「正しくない事しか言えない」アイムと違い、オベロンは「正しい事も言える、
信用できないだけで」と似て非なるもの。
嘘八百の中にクリティカルな真実を混ぜることで真意が読めないのが、虚言王オベロンの恐るべき所以であるのだ。
一方で彼は
アルトリア・キャスターと同じく「嘘に隠された真実」を見通す類の妖精眼を持つが、
ブリテンの妖精たちを
「度し難い」「害虫」と蔑み、汎人類史の世界を
「クソ溜まり」と罵倒する。
他者への愛も
自己愛もなく、一生涯「幸福」を感じることが出来ないオベロンにとっては、
何の苦労も工夫もなく生きているだけで『幸福』を獲得できる他の生命はとにかく目障りで理解できない害虫にすぎない。
目に映るもの全てに嫌悪感を抱き、醜悪にまみれたブリテン異聞帯や汎人類史を、さながら人が虫を潰すがごとく
「ただみんな気持ち悪いから」という理由で滅ぼす存在なのである。
◆人物
根本的な部分でひねくれているダウナー系闇の王子。
上述の通り終末装置、つまり滅亡の概念が形を持った存在であるためか、
あらゆるものを本能的に嫌悪し、幸福を感じることもなく、「滅ぼしたい」という生理的欲求を抱えている。
マスターとの関係は「あくまで契約上」と述べ、基本的には皮肉と毒舌をまき散らし、誰に対しても悪態と挑発の限りを尽くす。
マスターを「底抜けの善人くん」と揶揄し、異聞帯の王達に対しても、
「揃いも揃ってカルデアに道を譲ったんだろう? 人が出来てる!」「一方、俺はきっちり目的を果たした勝ち馬だ」と、
言葉の上では棒読み混じりで称賛しているように取り繕いつつ、暗に相手を惨めな負け犬呼ばわりして嘲笑する。
真名熔解に伴い、性格だけでなく外見も大きく変化。
銀髪は暗い灰色に染まり、背中には鮮やかだった蝶の羽の代わりにトンボやカゲロウを思わせる透明な羽が生え、
右手以外の四肢は竜を思わせる黒い外殻と鋭い爪で覆われ異形化。
総じて元のメルヘンチックな装いから一変し、「虫」と「竜」の要素が融合した禍々しい姿へと変貌している。
ちなみにあの蝶の羽は装飾品の偽物らしい。
ストーリーでも正体を現した際、モース毒で死んだブランカをゴミのように蹴り落していたなど、その徹底した悪役ぶりが目立つ。
ただし、最終再臨絵の構図、ひいては絆礼装および後述するオベロン自身の特性と正体を考えると、この行為などにもまた違った一面が見えてくる。
一見すれば世界そのものを嫌悪する嘘つきのクソ野郎ではあるが、
己の使命・目的にも、その言動と結果にも真摯に向き合っているため、そのことは偽らない(それ故、下手に口には出さない)。
そして、物語の住人(登場人物・個人)にはひそかに感情移入することも少なくない。
特にティターニアやモルガンに対しては彼なりに思うところがあるらしく、マイルームでの会話では意味深な発言が聞ける。
何気に精神世界の中にウェールズ領の虫妖精達もちゃっかりついて来ていたようで、
絆レベルを上げていくと夢の中でウェールズの妖精達に絡まれているのか、
「はぁ゛ぁ゛あ゛あ゛もぉ゛ぉ゛お゛お゛うんざりだ!! 君たち、眠っている時くらい静かにしてくれないか!?」
と悪童めいた顔を投げ捨てた素顔の苛立ちを見せ、「マスター!! 虫除けスプレー持ってないかなあ!?」と主人公を頼ってくる。
殺虫剤じゃなくて虫除けスプレーを注文してくる辺り彼らに甘い
また、
「創作物から生まれた」という共通項を持つ
ナーサリー・ライムに対しては多少なりとも仲間意識があったようで、
「光の王子」の化けの皮を被っている間にも、
こんにちは、素敵なお嬢さん。全ての読み手がいなくなった後お茶会を開くから、その時は来てくれるかい?
本音:『いけ好かない読者どもが消えた後、誰の主観も偏見も入らない穏やかな世界で、一緒にお茶会をしないか?』
と笑顔で誘うマイルームセリフがある。
ただしナーサリーからは「ごめんなさい、素敵な王子様。あたし、読み手のみんなの輝く顔が大好きなの」と優しい笑顔で断られているらしく、
と去って行くナーサリーの後ろ姿を皮肉げに笑って、目を細めて見送っている。
「クソども。いずれ全部ブチ壊してやる」とばかりの苛烈な言動は、
嫉妬や憎しみではなくティターニアへの愛(
虚構として消費されゆく愛妻を救うという想い)が元になっているが、それを口外することは決して無いだろう。
(ちなみにFate世界ではオベロンの出典である物語が完全な虚構ということで、ティターニアは非実在で妖精史にすら存在しないという設定)
それ故に、生みの親に等しいシェイクスピアへの恨みもさることながら、上記のナーサリーとの会話や後述する最後の会話にも暗に語られる通り、
それ以上に虚構の世界を用済みとして切り捨てる「読者」を忌み嫌っている節がある。
特に個人に興味を抱けず、物語そのもののより良き結末にこそ重きを置くという真逆な行動原理を持った
グランドろくでなしは、
その象徴的存在として完全に不倶戴天の者とみなしているらしく、プリテンダーとして持ち得た偽装能力はほぼ100%マーリンへの拒絶のためだけに使われている。
マーリンがオベロンの存在を全く認識できず、彼と会話する主人公も「やけに独り言が多かった」ように見えていたのはこのせいであり、
上述した味方のマーリンの強化成功率を下げてしまう謎のパッシブスキル「対人理」も、そういった「物語の叛逆」が形になった恩讐である。
一言で説明しただけでは正確に理解してもらうのはとても難しい
二次創作者泣かせの曲者だが、
誤解を恐れずにいえば
コイツに近い
ツンデレの究極系で、上述した通り喋った言葉
全てが嘘な訳ではなく、あくまで「信用できないだけ」。
なので嘘とも本音ともとれないはぐらかしで他者を煙に巻くかと思えば、本音で他者を評価したり嘲笑う事も少なくない。
虚実が絶妙に入り交じる言動を再現するのは容易ではないとして、ストーリー上での登場機会はかなり少ないと見られている。
◆ストーリーでの活躍
3度目の終末装置として生まれ落ちたオベロンは、妖精國ブリテンを奈落に導くために各地で謀略を巡らせた。
「奈落の虫」である彼の本体が地上に出るためには、それを封印する役割を担っていたケルヌンノスが邪魔だった。
モルガンはケルヌンノスの存在・遺骸そのものを利用して、真にブリテンの終末を齎す脅威を閉じ込めていたのである。
さらに、将来厄災と化す存在にも円卓の騎士の「ギフト」によって封印したうえで、ブリテンを守る武力としていた。
モルガンの敷いた以上の布石を全て打ち砕き、「ヴォーティガーン」としての役割を演じ切るのは容易なことではない。
そこで目を付けたのが、ちょうどその時にカルデアから人類史を救いに……即ち、第六異聞帯・イギリスを滅ぼしにやってきた一人のマスターだった。
コイツは本物のバカだ。最高の役者だ。
かならずや、俺の期待に応えてくれる!
何もかも綺麗さっぱり終わらせてくれる、
最悪にして最高の観客だと、心の底から信じたのさ!
果たして汎人類史でヴォーティガン侯に呼び込まれたサクソン人のごとく、目論見通りカルデアのマスターはモルガン打倒への布石となった。
「予言の子」と共に反女王の勢力を築き、女王軍の力を大いに殺いだのである。
その傍らで彼はモルガンを妖精國もろとも倒すために、自己愛の塊でしかない風の氏族長オーロラを焚き付け扇動させるだけでなく、
女王の後継者ノクナレアも暗殺するよう根回しを整えた他、
厄災となる素養を持った妖精騎士の一人には記憶を改ざんし、最悪のタイミングでより猛威を振るうように仕向けた。
そしてブリテンを終わらせる災厄がすべて起動し、ケルヌンノスが「立ち退いた」ことで、ついに「奈落の虫」の本体が地上にはい出ることに成功。
「女王が統治する妖精國」のサイクルも途絶えさせ、ヴォーティガーンの目的である妖精國ブリテンの滅亡は成った。
そして今度は、オベロンの目的である「カルデア/汎人類史の滅亡」を果たすため、
厄災に成り果ててしまった妖精騎士たちやケルヌンノスを死闘の末に何とか討ち鎮めたカルデアを、
ブリテンごと妖精から借りた借金も含めて奈落の穴へと追い落とそうと企む。
果たしてストームボーダーを奈落の底へと飲み込み、勝ちの目を全て摘んだつもりになったオベロンだったが、
この戦いで主人公と縁を結んだ
楽園の魔術師が、光と共にストームボーダーに召喚される。
彼女の影響でマシュも意識を取り戻し、「盤上詰み」をひっくり返されたオベロンは、最後の戦いに打って出る。
壮絶な激闘の末に、彼はカルデアの前に敗北し、自らだけが奈落の底へ墜ちていった。
最後の瞬間、その秘められた想いは唐突な夢の中、本人の口から語られる。
前にちょっと話したっけ?妖精國がなんなのかってヤツ
ここはさ、すべてが童話だったんだよ。一つの物語だった。
架空の歴史の中にしか居場所のなかったモルガンが描いた、1万4千年もの絵本だ。
おまえたちはそれを、今までのように否定した。
間違っている。意味がないと。
俺はそれが気に食わない。気持ち悪さを忘れるほどにね。
都合のいい存在を、誰もが夢見る物語を創造しておいて、
その物語に人生を変えられてさえいて。
その上で、"これは現実にはない空想だから"と
下に置き、あざ笑う、おまえたちが。
オベロンは落ちていく。
底のない空洞、果てのない坑道を、どこまでも落ちていく。
敗れはしたものの、オベロン・ヴォーティガーンの目的は果たされた。
しかしカルデアを道連れにすることはついにできなかった。
未だ息のあった炎の厄災アルビオンが自我を取り戻し、新たな名前にかけて最期の力を振り絞り、ヴォーティガーンに牙を剥いたためであった。
ひねくれもののオベロンを愛したティターニア。
きみのために、汎人類史を無くすという僕の願いは、叶わなかったな。
奈落の穴は消えていく。
どこまでも落ちていく。
無限のウロのフタが閉じる。
奈落の虫は、どこに辿り着くこともなく、落ちていく。
ふん、あれが汎人類史の空か……
まったく。吐き気がするほど、キレイじゃないか───
ところで、第2部6章『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』には全編通してとあるギミックが仕込まれていた。
オベロンに関する返答については「すぐ同意する、オベロンを信頼する」か「理由を聞く、オベロンを疑う」という選択肢が、
わざわざバトルなしにも関わらずスキップ不可にした上で明らかに多く仕込まれている。
そしてその殆どでオベロンの言葉を鵜呑みにしないか、詳細を知りたがる選択肢を選び続けていた場合、最後の盤面で赤い選択肢が出現する。
それはプレイヤーがオベロンの正体に勘づこうとしていることを主人公と連動させるギミックであるとともに、
彼の内面に踏み込んでいく合鍵として、全てを嘲笑し舐め腐っている彼に舌戦で一矢報いる一手ともなるのだ。
彼の内面を考察することで、オベロンはいわば主人公と鏡写しの存在であること、
そして「主人公とよく似た女の子」であるアルトリア・キャスターもまた、モルガンだけでなくオベロンとも対のキャラとなっているということがわかる。
- 3人は、いずれも「自分にしか務められない大役」を他者から与えられ、それぞれの矜持のままにそれを走り抜いている。
- アルトリアとオベロンは、2人とも妖精眼を持ち、世の悪性を知りすぎた。
そんな2人はただ一点をもって、決定的な差を作っているのだが、逆に言えば互いにとって数少ない理解者でもあるということである。
- アルトリアと主人公は、ともに普通の少年少女としての感性を持ちながら、「自分にしか務められない大役」を担わされている。
その重荷は、「庭」とアヴァロンで互いの道程を認識した両者にしかわからない。
- 主人公とオベロンは、ともに「自分にしか務められない大役」を何故か負わされた傍観者である。
「傍観者になりたかったのに役者もしなければならない」という矛盾性はこの2人にしか分からず、故に主人公の失意の象徴はオベロンの姿をとっていた。
似ていると言っても、彼らの取る行動と目的、そして矜持は大きく異なるため、3人の道はあくまで別である。
それでも、彼らはそれぞれにとって最大の理解者に他ならなかったのである。
それは鼎の足のごとく、永遠に交わらぬ平行線の因縁。されど、並び立つにはいずれも欠かせぬ同胞として、妖精国を躍動した。
同時に汎人類史におけるアルトリアとマーリンの関係についても予言の子とオベロンは対になっている。
マーリンはアルトリアの剣の師にして円卓の一員にして、最後に彼女を見送りその罪深さ故に塔へと引き籠もり
オベロンは予言の子の魔術の師にして旅路の一員にして、最後に彼女を待ち受けそのみっともなさから奈落へと落ちていった。
◆余談
- 上述したサポート時の登場では別々のクラス扱いで登場して本来のクラスを隠蔽していたが、実は隠し属性も本来のものとは別になっている。
例えば、敵対時やプレイアブルにおいては混沌・悪・そして竜それぞれの3カテゴリによる特効を受けるのだが、
サポート時では秩序・善対象のバフが効くようになっている。
- アルトリア・キャスターに魔術を教えた自称「マーリン」の正体。明言こそされていないが口調などから彼だと推測できる。
自分の計画の為だったのか、はたまた同胞を見つけてついつい声をかけてしまったからなのか、彼は語らないが、
どちらにせよこのことが巡り巡って彼の計画を中途半端な形で終わらせてしまったのは運命だったとしか言えないだろう。- なおアルトリア育成のために必要となった魔術の知識技術・通信教育内容などその他諸々は、
オベロンがゼロから勉強して2〜3日程度の一夜漬け猛勉強の末に習得した。やることが..やることが多い..!!
- 魔術の心得こそ持ち得ているが、謀略や裏工作に使える明確な能力は若干の扇動として使える「対人理」のみ。
よって各地への移動や交渉術などブリテン崩壊のために必要なその他諸々の技能・信用度の獲得はオベロンが独力で地道に培った賜物である。やることが..やることが多い..!!
オベロンが必死になってブリテン全土を駆けずり回らなければカルデア一行もモルガンの前に屈していたはずなので、
全ての黒幕でありながら異聞帯攻略のMVPとしての側面も持つ、独特なキャラクターとなっていった。
- 第2再臨以前では、ストーリーでずっと一緒だったガレスの事をすっかり忘れているルーム会話がある。
本当に「ガレス?誰だっけそれ?」というセリフしかない。また第3再臨以降では触れもしない。
「人間のガレスと妖精のガレスは別人」と考えるにしても冷酷な台詞であるのだが、こいつの本質を加味してその本意を推理すれば、
「忘れたくても忘れられない、脳裏に刻み込まれた人物」「自身の二枚舌で穢すことが憚られる者」だということを暗示したセリフだとわかる。
そもそも本当に無関心ならマイルームセリフなんざ用意する必要はないだろうし…そういうとこだぞオベロン- 他にもオベロンが「どうでもいい」と言い放った存在はいくつかあるが、実際は彼にとって重要な存在だったことが多いのを留意しておくと良い。
- 同じく同行期間が長かったUMAについては嘘ですら記憶から消し去ることができなかったらしく、彼の話題では素に戻っていた。
- 宝具演出の中にある「虫竜の咆哮」はSEではなく、豊永氏の声を加工したもの。
- また虫竜のモチーフは実は羽海野チカ氏のトラウマである「密輸後断頭された象の写真」なのだとか…
検索するとそれらしき画像は何件か出てくるが、どれも極めて凄惨かつ胸糞の悪い画像である為、検索する際は十分注意して欲しい。
- ゲーム上では横バフやNP配布に宝具のブーストと、サポーターや周回要員としては直前に実装された光のコヤンスカヤに比肩する破格の性能の持ち主で、
ストーリーや通常クエストはおろかイベントや高難易度クエストにも引っ張りだこである。
「はぁ゛ぁ゛あ゛あ゛もぉ゛ぉ゛お゛お゛うんざりだ!!」
その分、再臨やスキルアップなどの育成に必要な素材がかなりエグいが、運良く引き当てたマスターにとってはサイドキックとして頼もしい戦力となるだろう。やることが..やることが多い..!!
- オベロンのイラストレーターである羽海野チカ氏はデジタルで絵を描いたことがなく、最初はアナログ、水彩画で進めていこうと考えていたが、
画角や霊基再臨、表情差分を考えた際にアナログでの作成は無謀とであると判断されたことで、デジタル制作を初導入した案件となる。
まだ不慣れな部分も多かったらしく、オベロンの絵に関してはレイヤー10個で製作されているという。
なお「レイヤー10個」はあまりに少なすぎてこの数でデジタル絵を作るのは困難と呼べるものであり、絵のわかるプレイヤーからは氏の労苦が感じられると評される事もある。
(ちなみに、平均レイヤー数は60、多い人だと100使う事もあるらしい)
- イベントクエストでは、基本的には「光の王子様」の皮を被りつつ、面倒事には極力関わらないようにしており、
どう考えても面倒事に巻き込まれるからか、主人公とは絡みたがらない。
一方の主人公もオベロンの本性を分かっているためか、関わるときは結構歯に衣着せない対応を取る悪友じみた距離感に。
バレンタインイベントでは、選択肢次第で「チョコを雑に投げつける」というある意味オンリーワンな渡し方が可能。
このように、主人公と色々と遠慮のない丁々発止なやり取りを繰り返す一方で、レディ・アヴァロンのバレンタインイベントでは、
巌窟王、アビゲイルのメンタルセコムと共に主人公の精神を守護しているらしいことが判明している。そういうとこだぞオベロン