「心せよ…その青き瞳はいずれ貴様から全てを奪い去る…」











※本記事は『BORUTO‐ボルト‐』に関する重大なネタバレが含まれています※











「まだだ…青き瞳の少年よ お前がその全てを……失うのは」











※本記事は『BORUTO‐ルト‐』に関する重大なネタバレが含まれています※










「だが間もなくだ……間もなくそれ(・・)は起こる…」











※本記事は『KAWAKI‐カワキ‐』に関する重大なネタバレががががががががが






















「終わりは既に 始まっている」







登録日:2023/03/27 Mon 17:30:00
更新日:2025/04/23 Wed 13:38:50
所要時間:約 10 分で読めます




全能とは、漫画BORUTO‐ボルト‐』に登場する能力。
漫画版の第79話におけるタイトルでもあり、コミックス20巻に収録された。

ボルトの未来を垣間見たモモシキが度々発してきた「全てを失う」という警告の真意、その想像を絶する全容として存在が明らかになった。


◆概要


これこそがエイダの持つ「魅了」の力の正体(・・)


やつ自身にも制御不能な神の力(・・・)


神術「全能」がもたらした結果(・・)



全能───それはチャクラの実を幾度も食らい、度重なる進化の果てにへと至った大筒木シバイに宿りし究極の力。
シバイは「神術」と呼ばれる神の御業を宿しており、中でも全能は全知全能の神のみが操れる神術の中の神術として扱われている。

全ての神術を詳細に把握しているモモシキ曰く、「創世のためのプログラミング言語」「何もかもを具現化する絶対の意志」。
術者の望むままにあらゆる意思を具現化し、文字通りどんな願いでも叶えられる万能の力として機能していた。
加えて、シバイの神術は効力が異空間にまで及び、全能もとあるキャラが身体を張ってくれたおかげで世界全域に及ぶ能力と判明している。

作中ではシバイの身体を離れて、三途アマドの手でそのDNAがエイダに移植され、ランダムに発現されるシバイの神術の中で「千里眼」と共に宿った。
しかし、その強大すぎる力は本来の持ち主である大筒木一族のシバイにこそ扱えれど、DNAの移植で偶発的に発現したただの小娘に過ぎないエイダでは到底コントロールできなかった。
結果として彼女の潜在意識にある願望が「全能」によって具現化され、全人類に愛される制御不能の能力「魅了」として発現している。


◆具現化された現象

作中で発動した全能は、基本的にシバイのDNAを受け継いだエイダによって偶発的に生じたもの。
千里眼をコントロール可能なエイダでも全能だけは全く以て制御できておらず、結果的に潜在的な願望を無意識に具現化する能力として発現した。
エイダの意志を離れ、以下のような現象として具現化されている。

魅了

エイダの潜在意識が具現化された現象。モモシキは「色恋の力」と評している。
願望としては恐らく「誰にでも愛されたい」といった感情が反映されたものと思われる。

効果はシンプルに「他者を自分の虜にする」というもの。
術に嵌まれば無意識のレベルでエイダに魅了され、目眩や発熱といった形で様々な症状が表れる。
魅了の度合いには個人差があり、単純なタイプはあっさり落とされたり理知的な人間はある程度抵抗できたりするものの、共通してエイダに対して絶対に危害を加えられなくなる
魅了に抗ってエイダを攻撃しようとしても本能が拒否して身体を動かせず、最悪の場合は精神がやられてしまう。

エイダの前にはいかなる手練れも無力化され、火影や大名といった肩書きも全て無意味になる。
その規格外な影響力について、身を以て体感したシカマルは「エイダがその気になれば、木ノ葉どころか火の国を始めとした全世界を手中に収められる」と畏怖していた。

当初は神術の一種として紹介されていたのだが、全ての神術を知っているモモシキに否定された事でしばらくの間は出自不明の謎能力となっていた。
実際には、シバイの真価を知らない三途アマドが能力の結果だけを見てそういう神術だと勘違いしていた、というのが真相。
種明かしされるまでは、アマドの信用ならない胡散臭さを利用した「本当は科学忍具絡みの能力なのでは?」というミスリードとして描かれている。

記憶改変/認識改変

カワキの潜在意識が具現化された現象。
里中から追い詰められたカワキがエイダを通して全能の力に触れ、「七代目を守りたい」「モモシキを始末したい」「ボルトによそ者であってほしい」といった複雑な心境から発現した。
それこそがモモシキの待ち望んでいたボルトにとって最悪の未来…すなわちカワキとボルトの立場の「逆転(・・)だった。

これによって人々の「記憶」と「共通認識」は書き換えられ、それまでカワキとして認識されていた人物は「ボルト」に、ボルトとして認識されていた人物は「カワキ」に入れ替わり、互いを取り巻く環境が完全に反転した
始末対象だったはずのカワキが発見した忍達によって保護される一方で、ボルトはかけがえのない仲間であるミツキに本気の殺意を向けられ、更には里中から「ボルト」を殺すための追っ手が続々とやって来る事態に陥った。

結果的にボルトは里での暮らしも、家族も、仲間も、そして「うずまき」の姓すらも…モモシキの予言通り全てを奪い去られただの(・・・)「ボルト」となってしまう。
あまりにも絶望的すぎる状況の中、衝撃の展開に理解が追い付かないボルト(と読者)に向けたモモシキの状況解説で79話『全能』は締め括られている。


「いずれにせよ…奴は」



木ノ葉の里で生まれ育ち 父と同じく里を救った英雄


火影の息子 "うずまき"カワキ



「そしてお前は…」



恩を仇で返し 英雄の七代目火影を手に掛けた反逆者


孤独なよそ者 うずまきボルト



「…理解したか?」


詳しいメカニズムについては作中でモモシキが解説しており、曰く「チャクラを通じて繋がっている人々の意識に手を加える」事でこのような芸当を可能にしているらしい。
何とも無茶苦茶な論理だが、神ともなれば不可能ではないようだ。
またこの性質は、かつて六道仙人こと大筒木ハゴロモが忍宗にて説いた「チャクラの繋がりで人々の心を繋ぐ」という目標を最悪の形で体現したものとも言えるだろう。

全能の主な対象者であるボルトとカワキが極めて特殊な存在(後述)だった事もあって、作中では人々の「記憶」と「共通認識」が変化するのみに留まっている。
例えば、ボルト(元カワキ)が右目に負った傷が何故かカワキ(元ボルト)に付いていない事に一般忍が疑問を呈したり、サスケもカワキ(ボルト)に託したはずの額当てを何故かボルト(カワキ)が持っている事に違和感を抱いたりしており、改変前後でも元の物証はそのまま残り続けている。

しかし全能が真に恐るべきは事後の修正力にあり、改変に対する違和感がその人物の中で急激に薄れていってしまう上に、「全能」という概念そのものが記憶に定着せず時間と共に忘れ去っていくという厄介極まりない性質を持つ。
事実、改変が起きた当初は大勢が矛盾を感じていたようだが、3年後には誰一人として疑問を抱かなくなり、ボルトが映った家族写真という物証を見ても七代目の息子はカワキだと誰も信じて疑わないほどである。

このため、一度改変された記憶と認識を改めるのは殆ど不可能であり、以下の数名が理屈ではない何かを元に改変の事実を信じるに留まっている。
  • うちはサスケ…ボルトの抹殺に向けて動いていた最中で愛娘に起きた異常事態と一生の頼みを受けて、違和感の揉み消しに遭いながらも自分の記憶を疑い、弄くられた認識はそのままでボルトの味方をしている。
  • 三途アマド…カワキに行われた改造の痕跡から「カワキを改造したのは自分以外には不可能」という物証を読み取り、記憶が改変されたと確信するに至っている。しかし、これはアマドが「もとより記憶などというものは曖昧な幻想に過ぎない」「科学者である自分にとっては物証に勝る根拠はない」という合理性の極まった考えの持ち主だったからであり、この事を知ったサラダとスミレは「あり得ない……」とまで言い切っている。
  • 奈良シカマル…アマドの話を聞き、自身の記憶の齟齬やボルトと話した内容から「ボルトとカワキの立場を逆にすることで全ての辻褄が合う」事に気がつき、自分の記憶が偽物かもしれないと推察した。その後は記憶の揉み消しによって全能という概念を忘れ去ってしまったものの、「こいつはうずまきボルト」と理屈抜きに信じた記憶を覚えていた事でボルトに味方する立場を保っている。
  • 果心居士…イッシキとの戦いによって瀕死に追い込まれた際、偶然発現した神術「十方」によって全能が発動する未来を事前に視たことにより、記憶の改竄は受けたものの客観的に状況を理解している。しかしそんな彼でもボルトと直接会話するまでは確信を得ることが出来なかった。

なお、この現象に関しては今回のカワキによる全能だけでなく、過去にも何度か「神」となった大筒木達の手で知らず知らずの内に人類の記憶が弄られてきた事がモモシキより語られている。


◆効力の通じない例外

絶対無敵のように思える能力だが、どんな術にも弱点となる穴は必ずあるもの
全能にも術の影響が及ばない例外は幾つか存在する。

まずはシバイの同族である大筒木一族
登場人物の中でこの条件に該当するのは、「」によって肉体が大筒木化しているボルトカワキの二名のみ。
他にも存命中の大筒木としてはカグヤに加え、ウラシキから同族扱いされていたカグヤの末裔であるトネリも一応の候補として挙げられる。
もっとも、前者は外道魔像として始球空間の巨石に封印されており、後者もウラシキの封印術に掛けられてから何の音沙汰もなく、両名とも実質無力化されているので影響はあまりない。

また術者と血を分けた肉親にも通じず、エイダは弟のデイモンを「大筒木以外で自分を殺せる唯一の人物」と評している。
しかし大筒木一族は一個体の劇的な進化を望む種族のため、基本的に現地人とまぐわう異常性癖者でもない限り生殖を行わず血縁も発生しない。
エイダという地球人が全能を発現した事で生じた、イレギュラーに近い例外と言える。

他にも原因は不明ながら、うちはサラダ筧スミレには何故か通じていなかった。
大筒木一族でもエイダの肉親でもない二人に効かない原因は作中においても明確な謎とされており、今後の解明が期待される。


◆関連忍術

  • 別天神(ことあまつかみ)
うちはシスイが開眼した万華鏡写輪眼の瞳術。
幻術の中でも頭一つ抜けた無意識レベルで対象を操るという絶大すぎる効力故に「最強幻術」の異名を持ち、全能との類似性が読者から指摘されている。
実際に「忍術は神術と同じ現象を再現したもの」との経緯が作中では明かされている他、時空間忍術を操る神威神樹の力である木遁といった、大筒木一族の力に先祖返りしたかのような能力はカグヤの血統で他にも存在する。
この事から、別天神も無限月読に対する月読のように、全能の一端がうちはの血脈において発現したものと考えられる。

また、天照須佐能乎といった日本神話の神々から技名が取られる事の多い万華鏡写輪眼の瞳術の中でも、別天神の元ネタに当たる別天津神神の中の神と注釈される程に位の高い原初の神である。
天之御中(カグヤ)・高御産巣日神(モモシキ)等の大筒木一族が扱う瞳術のモチーフ元をまとめて引っくるめた神格のため、大筒木の中でも最上位の力にあたる全能と別天神が近い能力である事に説得力を持たせている。

世界範囲の全能と比べると、術に掛けられる対象は一人だけの上に一度発動すれば十数年ものインターバルを必要とするため、規模と燃費でかなり劣っている。
それでも別天神の力が様々な猛者たちから狙われ、実際に穢土転生による絶対服従の縛りさえも書き換えてきた辺り、認識改変という能力の強大さがうかがえよう。
要するに、カグヤを飛び越えて大筒木の究極奥義染みた術を両目に開眼できたシスイは大した奴ということである。


◆余談

前作『NARUTO‐ナルト‐』において、うちはイタチは弟のサスケに対しこんなセリフを口にしている。

「人は誰もが己の知識や認識に頼り、縛られて生きている それを現実という名で呼んでな」

「だが知識や認識とは曖昧なモノだ、その現実は幻かもしれない」

「人は皆、思い込みの中で生きている そうは考えられないか?」

これは「サスケが追い続ける『一族を滅ぼした仇敵』としてのイタチの姿」が虚像であることを回りくどく示唆したものだが、よくよく読み返すと全能のメカニズムとそれによって書き換わった現状そのものである。
当時のイタチが大筒木や全能の存在に気付く事はあり得ないはずだが、彼は幼少期より先人の教えから里の興りを感じ取って広い視野で忍界を見渡し、全ての元凶だった黒ゼツも認める洞察力の持ち主だった。
そんな男が偶然とはいえ、創世に用いられた「世界の真理」と言える全能の概念にたどり着いたのも興味深い話である。



追記・修正はナルトの息子が活躍する新連載『KAWAKI‐カワキ‐』を読んでからお願いします。

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最終更新:2025年04月23日 13:38