The Backrooms

登録日:2022/02/25 Fri 01:03:00
更新日:2025/04/26 Sat 00:02:48NEW!
所要時間:約 143 分で読めます






うっかり下手な場所で現実から切り離されてしまうと、湿ったカーペットの悪臭に満ち、モノイエローの狂気に侵され、蛍光灯の終わりのない暗騒音が大音量で鳴り響き、そして約6億平方マイルに渡るでたらめに分割された空き部屋に閉じ込められ続ける「Backrooms」に行き着くことになります。

もし、近くで何かがうろうろしているのが聞こえたら、それは間違いなくあなたの声を聞いているということ。




神があなたをお守りしますように…




「The Backrooms」とは、海外の都市伝説でありインターネットミーム(所謂Creepypastaと呼ばれるもの)、及び、そこから派生したホラーコンテンツである。


【概要】

現実と異なる次元に存在すると言われている「Backrooms」という異常空間を舞台にしたシェアワールド

Wikiについて説明すると、
『Backroomsに迷い込んでしまった あなた がこの空間で何とか生き延びていくために必要な情報を、先人たちがデータベースとしてまとめたのがこのサイト…』
という形式をとっており、実際にサイトのホームに掲載されている 旅人たち へのメッセージや警告からは、Backroomsのシビアな世界観を感じとることができる。

公式Wikiは怪奇創作コミュニティサイトとしての色が強く、海外発という点からもSCP Foundationと似た系統のコンテンツと言える。*1

なお、現在Backroomsに関する創作サイトはFandom版とWikidot版の二つが存在する。
大まかな設定は同じだが細かなレベルやエンティティが異なっており、その傾向も異なる。
怪奇サイトとしての体裁が整っているのはWikidot版のほうだが、当記事では開設が古く、情報量も多いFandom版を扱うこととする。

【Liminal Spaceとは】

The Backroomsの成り立ちについて説明する前に、まずLiminal Spaceという概念について解説する。

Liminal Spaceとは、2019年ごろに海外で話題となったインターネットミームであり、厳密な定義こそないものの、ざっくり言えば少し不気味な、それでいてどこかで見たことのあるような感覚にとらわれる空間のことを指す。*2

代表例に真夜中の公園や駅の地下通路、閉店済みのショッピングモールなどがよく挙げられ、これらに共通する点としてはまず無人であること。
通常人がいるはずの空間が無人であることへの違和感が、見る人にノスタルジーや物哀しさといった不思議な感情を抱かせるというのである。

詳しく解説するとこれだけで項目一本立ってしまうレベルなので、正直言葉で説明されても分かりづらいと思われた方は、おそらく実際に画像を見てみるのが一番早いだろう。
また、Liminal Spaceを題材とした「Superliminal」というパズルゲームが存在するため、これに触れることでもより理解が深まるかもしれない。ネット上に多くプレイ動画が上がっているためおススメである。

The Backrooms は Liminal Space の概念と共に語られることの多い創作であり、特にその起源となった後述する「黄色い部屋」の画像が持つ既視感や不気味さは Liminal Space の持つそれと非常に似通っている。
一方世界観が広がる中でそういった「リミナル性」からの乖離が進みつつあるという指摘もあり、英語圏の「Liminal Archives」や「Timeless Places」、後述する日本コミュニティなどよりリミナル性を重視する方針を取る派生創作コミュニティもいくつか現れている。

【起源】

2019年5月12日、英語圏の大型匿名掲示板・4chanの「不安になる画像」スレに、ある一つの画像付きの投稿がされた。
四角い天井灯に照らされ、壁が単調な黄色の壁紙で覆われた誰もいない部屋が映し出されたその画像は、その何とも言えぬ不気味さとどことない既視感から、海外のネットユーザーたちの注目を集め、彼らはその画像をもとに様々なストーリーを展開していった。
当記事冒頭のキャプションはその一つであり、今でもwikiの冒頭に掲載されるまさにBackroomsを象徴する文章と言えるだろう。
この画像についてのみならず、この部屋から行ける別の階層があるだとか、各階には危険なモンスターが潜んでいる、などといった様々な書き込みによって「The Backrooms」の世界観が次第に形成されていったのだ。

このように、The BackroomsはLiminal Spaceの持つ日常に潜む不気味さに物語性を付け加えることで発展してきたコンテンツであり、事実使われている画像も一部を除いて現実世界に存在しうる風景である。
この世界のどこにでもありそうな空間に異常性や多面性を見出し、そこにストーリー性を持たせてBackroomsの世界を創作するのがThe Backroomsの基本理念なのだ。

【Backroomsとは】

Backroomsとは冒頭でも述べたように、現実世界の外側にある空間異常である。

基本的に時間の流れや空間の広がりもあいまいで、同じ階層でも人によって感じ方や捉え方がが全く異なる場合もあるそう。
互いに行き来することのできる様々な階層(Levels)や敵対的な実体(Entities)、生存の手助けになることもある特殊な異常物体(Objects)が存在する。
いつ、なぜこの空間が誕生したのか、Backroomsの正体についてはいまだ分かっておらず、これまで様々な説が提唱されている。これらの記事も非常に面白いため、一見の価値ありである。

また、Backroomsには数千万から数億(カノンによる)もの人々が迷い込んでおり、組織化されたグループも数多く存在する。もはや一つの国と言えるほどに大規模な組織や、盗賊まがいの犯罪集団などその特徴は様々で、いかに有力なグループと協力関係になれるかどうかがBackrooms内で生存する鍵とされている。

一部のレベルを除きBackroom内は常に危険地帯であるため、Wikiに記載された各レベル(後述)の広さ、危険性、居住性、入り口と出口、そしてバックルームに生息する数々のエンティティ(これも後述)などについての詳しい情報をもとに、放浪者たちは生き残る術を学んでいくのである。

【入り方】

Backroomsを理解するにあたって、理解しておきたい概念が「Noclip(Noclipping)」である。
Backrooms内に侵入するために必要な方法で、また、Backrooms内においても主にこの移動手段が使われる。
公式Wikiによれば、「壁や固い物体を通り抜けられるほど速く移動すること」とされているが、端的に言えばゲームで言う「壁抜けバグ」だ。これを現実世界(Backrooms内ではFrontroomsと呼ばれる)で行うことでBackroomsに侵入することができる…のだがこれは確実な方法ではなく、よほど運が良く(あるいは悪く)なければ成功しないようだ。
このほかにも、不自然に暗い壁や影がない壁、以前はなかったはずの扉、奇妙な違和感を覚える場所などが入り口として報告されているようだが、どれも確実な方法ではない模様。
ちなみに、Backroom内でのNoclipはThe Voidと呼ばれる虚空に飛ばされてしまい、二度と戻れなくなる可能性がある*3ため注意が必要。

【脱出方法】

不明。

前述した「旅人たち」へのメッセージには、Backroomsへ迷い込んだ者が現実世界に戻った例は無い(それどころか「この場所はあなたの新しい家です」とまで言い切ってしまっている)とされ、「Basics of the Backrooms: A Guide(Backroomsの基礎知識ガイド)」においても、もう二度と家に帰れないという事実を受け入れることが大切、と書かれているように、現状安全で明確な脱出方法が確立されていないことが見て取れる。
ただ、全く手段がないわけではなく、実際には複数の脱出口が確認されている。レベル3999*4が代表例だったのだが削除された。
それでも、ほぼ無限に広がると言われているBackroomsから脱出することは事実上不可能に近いことには変わりはないようだ。

【生存方法】

脱出が不可能となれば、方法はbackroomsで生きていくのみ。
その際には簡単に行け、尚且つ生存が簡単なレベルである「レベル4」「レベル11」がもっともポピュラーである。
それぞれレベル0、1(待機またはnoclip)→レベル2(オフィス風のエレベーター)→レベル4
レベル0、1(歩き回る)→マニラルーム(不安になりながら待機)→レベル6.1(建物の裏口)レベル11
と、道草を食べなければ簡単に到達できるレベルである。何より、マニラルームは非常に安全な避難所となっており、M.E.G.が作成したbackroomsについてのマニュアルが置いてあるので、気になれば行ってみる価値はある。
物資の確保は、基本的にレベル1のサプライドロップ的な何かから回収するのが定石である。
これらの物資には医薬品やアーモンドウォーター、食料が入っている(たまにゴミが入っていることもある)ので、多くの人はここから物資を回収する。

【レベル】

Backrooms内には無数の階層が存在し、それらにそれぞれ番号を付けて識別できるようにしたものが「Levels」である。
一般常識や物理法則はたいていの場合通用せず、基本的にレベルの奥へ進んでいくことで別のレベルへ移動することができる。
識別番号に加え、具体的な名称が付けられているレベルもあり、例えば

  • レベル0 “The Robby”*5(ロビー)
  • レベル1 “Habitable Zone”(生存可能領域、ハピタブルゾーン)
  • レベル2 “Pipe Dreams”(パイプの夢々、パイプドリーム)
  • レベル3 発電所    
  • レベル4 “The Abandoned Office“(束の間のオフィス、放棄されたオフィス)     .
  • レベル5 Hotel
  • レベル6 消灯
  • レベル7 タラソフォビア
  • レベル8 洞窟
  • レベル9 暗い郊外
  • レベル10 天使の小麦畑
  • レベル11 終わりの無い都市
  • レベル12 マトリックス
  • レベル13 不気味な廊下
  • レベル14 楽園
  • レベル15 未来的空間
といったように続く。
また、各レベルには生存の難易度を5段階に区分した「生存難易度(Survival Difficulty)」が与えられている。*6

Backroomsのレベルはその特徴から特に4種類に分類され、それらは大まかに以下の通り。

【レベルの種類】

  • Normal Levels
規模、セキュリティ、安全性など様々な面で、すべてのレベルの基本となるレベル群。
基本的にレベル番号には整数が振られる。危険度も人間が安全に生活出来るものから致死性の高いものまで様々である。しかし、どのレベルにも言えることだが、ここに分類されるレベルはその存在自体の不明瞭さにより、時間の経過とともに変化、または消滅してしまうことがままある。そのため長い間同じレベルに滞在するのは推奨されていない。
また、レベル0~レベル8は情報量が多く、Backroomsにおいて広く認知されている確認済みレベルとしてThe Main Nineと呼ばれる特殊なレベル群に指定されている。

  • Sub-Levels
ノーマルレベルの各レベルの「中間」ともいえるレベル群。
直接つながるノーマルレベル(親レベルと呼ばれる)の影響を強く受けており、わざわざ別の番号を振る必要がないため、レベル番号は整数部分に親レベルの番号が振られた小数で表される。
親レベルの特徴を残しつつも若干異なる性質を有しており、安全なレベルのサブレベルが超危険なんてことも普通に起こりえる。その逆も然り。
また、一つのレベルに複数のサブレベルが存在する場合もある。


 ・レベル0.7 “Claustrophobia“ (レベル0のサブレベル)
 ・レベル1.1 “Broken Halls“ (レベル1のサブレベル)

  • Anomalous Levels
上記二つのレベル群とは本質的に異なる、これまでのレベルにおける常識(あくまでBackrooms内における常識だが)やルールを完全に無視した、全くの異空間とも言えるレベル群。
このレベルには負の数や誇張した数字、もしくは記号やそのレベルの特徴を表す単語などが振り分けられている。
必ずしも危険なレベルというわけではないが、観測した人間の現実認識を破壊する可能性があるため探索には注意が必要。


 ・The End
 ・Run for your life!
 ・レベル9223372036854775807 ”The True Final Level”

  • Joke Levels
Backroomsのメインストーリーとは関係ないおふざけ的なレベル群。
SCPにおけるJokeオブジェクトに近く、メタネタからネットミームまで何でもありな、とことんギャグ路線を追求したものが多い。

【各レベルの詳細】


【エンティティ】

Backrooms内には迷い込んだ人々以外にも、現実世界にはいない固有の実体「Entiites」が数多く存在している。
知性の有無や、友好的か敵対的かなどその種類は様々であり、中には人間と取引をするエンティティもいる。
現在100種類以上のエンティティが確認されているが、大部分は人間に対して敵対的であるようで基本的に遭遇した場合絶対近づかずにすぐその場を離れるのが最善とされている。
尚、一部エンティティは人間の成れの果てや、何らかのウィルスに感染したものも存在するため、先述したように安易に接触することはお勧めしない。

【代表的なエンティティ】

  • フェイスリング
顔の部分が滑らかな皮膚で覆われたように見える人型実体(要するにのっぺらぼう)。
Backroomsにおいて最も数の多いエンティティの一つであり、大きく分けて大人型と子供型の二種類が存在する。
大人型は友好的なのだが、厄介なのが子供型で、基本的に2、3人のグループで現れ、出会った人間を小さな鋭利な物で攻撃してくる。

  • スマイラー
暗闇の中に現れる、光る眼と鋭い歯が特徴的な実体。
非常に攻撃的で、パニックになって逃げたり大きな音を立てた瞬間襲ってくるため、目を合わせながら懐中電灯などの光源を投げて気をそらすのが基本的な対処方法。
産卵によって繁殖するが、当然巣を見つけても決して触れたり取ったり(調理したり)してはいけない。

  • クランプ
無数の手足に覆われた肉の塊のような外見を持つ、かなり異形で不気味な実体。
常に飢餓状態にあり、獲物を見つけると非常に俊敏な動きで2メートルもの長い腕を使って対象を捕獲し、捕食する。
しかし、理由は不明ながらも人間に対してはそこまで攻撃的ではなく、刺激を与えない限りすぐさま襲ってくるということはない。

  • パーティーゴアー
黄色の身体で常に笑顔に見える人型実体。集団で狩りを行い、人間を捕獲し、殺害する。ケーキ(原料は人肉)といった罠を仕掛ける等知能が高い。
その上パーティーホストと呼ばれる親玉と情報を共有しているため、一度彼らに見つかって狩りの対象にされれば逃れる方法はほぼない。気付かれないように背後から接近して殺すか、 爆発物を使って部屋ごと始末する のが比較的効果的な対処法とされる。
主に Level Fun に生息しているが、他のレベルにも出現するものの、群れからはぐれた個体はむしろ命乞いをしてくる。

国内外で高い知名度を誇っていたエンティティだったが、2024年1月現在、英語版 Fandom では拠点であった Level Fun 共々記事削除の憂き目に遭っている。

  • パーティープーパー
コートを羽織った青い常に悲しんでいるように見える顔の仮面を被った人型実体。慈悲深い性格をしており、放浪者の手助けになるような行動をとる。彼らに攻撃すると手足を捕まれ、パーティーゴアーの犠牲になってしまうという。
かつてはLevel52を住処にしていたが、パーティーゴアーとの戦争に敗れ、絶滅してしまった。ちな戦争に負けた一因はゴアーに騙された放浪者のせい。生き残った一部は平和なレベルに脱出できた模様。


  • デスモス
巨大な蛾の姿をした実体。多くのレベルで出現する。雄の実体は普通の蛾と同じ大きさで無害だが、雌の実体は全長1m以上で攻撃性が高い。雄の実体は飼い慣らすこともできるが、他のエンティティに遭遇する可能性が高くなるといったデメリットがあるのであまりオススメできない。

  • スキンスティーラー
対象を殺害した後、その皮をはいで被る習性をもつ実体。被った後は対象と変わらない姿になり、見分けるのが難しい。
区別する方法は、血液を調べることで、半透明ならばスキンスティーラーである。
知能はお世辞にも高くはないが、その分身体能力が優れている。
あと、こいつの血をアーモンドウォーターと混ぜるとリキッドペインになるぞ!

【オブジェクト】

Backrooms内に存在する特殊なアイテム類を「Objects」と呼ぶ。
基本的に現実世界には存在しない異常な性質を持ったマジックアイテムのようなもので、致死的な有害性を持つものから生存の手助けになるものまで様々。

【代表的なオブジェクト】

  • アーモンドウォーター
Backroomsの多くのレベルに存在するオブジェクト。
その名の通りアーモンドとバニラ風味の飲料水で、わずかながら栄養価もある。
Backrooms内における貴重な水分で、生存にはもちろん必須の割には品質を問わないとどこにでもあるけれど。その上様々なフレーバーが存在する。
さらに、敵対的エンティティの影響の緩和や病気の治療にも効果を示し、集中力を維持するのにも役立つ万能っぷり。
その有用性から取引にも使用されることもある、この世界において最も重要なオブジェクトの一つ。
レベル6.1では、ある着色料を加えた「アーモンドジュース」なるものが存在するらしい。どうやら甘い味がするが、しばらくくすくすと笑いが止まらなくなるアーモンドウォーターである。

  • 賞味期限切れのアーモンドウォーター
どちらかというと腐ったアーモンドウォーター。
見分けはつきやすく、チーズの匂いと緑、青、白のカビが浮いているらしい。
飲むと内出血や不眠症、衰弱など様々なマイナス効果が発生する。

  • リキッドペイン
毒性・腐食性・酸性の非常に強い危険な液体。
厄介なことに前述のアーモンドウォーターとほぼ同じデザインの容器に入れられていることがある。幸い、暗紅色という特徴的な色合いをしているので判別自体は難しくないが。
基本的にはガラスの容器に入れて保管しよう。
うっかり飲んでしまうと微熱と左足の腫れを引き起こし、胃腸に穴が開き、頭痛が10時間続いた後、足と頭から膿が出て、頭蓋骨が骨折し、筋肉から出血し、臓器が破裂して二度と体を動かすことのできない植物人間になる。(なぜか死には至らないのがさらに鬼畜)
ちなみに初期症状のうちならアーモンドウォーターが確実ではないものの効くが、末期まで進行した場合治療の手段はない。
そして約1年後に死ぬ。

  • アブソリュートペイン
直訳で「絶対的な苦痛」。暗紅色だが、ジャムのように半個体になっている。何故かガラスで保管可能。
リキッドペインの完全上位互換で、大体の存在を即座に消滅させる。無論、治療は不可能に近い。作れたなら拠点の周辺に撒いておくと大体の驚異をやり過ごせる…かも?

【グループ】

Backrooms内には放浪者同士が結束することで生まれた多くの団体・組織が存在する。
各グループはレベル毎に前哨基地やコロニーを作って活動しており、その目的は必ずしも自らの生存というわけではなく多種多様。
他団体と協力するものもあれば排他的で敵対性の強いものもあり、グループ同士の抗争もしばしば発生する。
また、構成員は人間とは限らず、エンティティが組織するグループなんてのもある。

【代表的なグループ】

  • The Major Explorer Group (M.E.G.)
1885年に「TheFirst」と呼称される人物によって設立され、1900年にBackroomsの政府的組織としての地位を確立した、現状Backroomsにおいて事実上のトップに位置するグループ。
多くの兵士や研究員を抱え、その構成員数は実に6億人と大国並みの規模を持つ。
……という盛りに盛った数字が日本では有名になってしまっているが、実はこれは過去の記述であり現在の設定からは削除されている。*7
主な目的は放浪者の保護、及び無秩序と混沌を止めるためにBackroom内で政府を制定することであり、あらゆる人々の助け舟となることをその活動方針としている。

  • Backroom Colonists
1920年頃から存在する多国籍連合体。
首都をレベル4に置き、独自の通貨制度も持つ小国家のような形のグループ。
かつては多くの下部組織を持つ巨大組織であったが、分裂や内戦を繰り返し、現在の構成員は140万人程と中規模グループに落ち着いている。

  • Republic of Level 153 (レベル153共和国)
2011年に設立された比較的新しいグループ。
豊富な探索経験を持つ人々を中心に構成され、放浪者に食料や水など物資を提供するなど非常に良心的。
構成員は本部のみで1000~1500人程と小規模ながらも、高い戦闘力と統率力によってエンティティを撃退し、徐々にその活動範囲を拡大させているまさに少数精鋭といえる組織。

【余談】

もともと海外のネットミームということもあり、日本国内においてはあまり知られていなかったが、2022年1月にYoutubeに公開された「The Backrooms(FoundFootage)」という短編ホラー映画が話題を呼び、多くのネット記事で紹介されたことで、少しずつその知名度を上げてきている。
作者のKane Parson氏(なんと16歳)は、このほかにも複数のThe Backroomsを題材とした短編動画を投稿している。世界観がうまく表現され、ホラーとしても非常にクオリティーの高い作品であるため、一度は視聴してみるとよいだろう。

【The Backroomsの動画】

上記のKane Parson氏の動画をきっかけとして、YoutubeでThe Backroomsを題材とした短編動画が増えた。
Liminal Spaceのように不気味な空間を歩くだけのもの、特定のLevelを動画で再現してみたもの、壁に書かれた文字を解読しながら謎を解いていくもの、
黄色い防護服の人間が出て一緒に探索するもの、エンティティに追いかけられて全力で走るものなど、様々なユニークな動画がある。
こうした動画サイトの作品は創作サイトの文章とはまた別の、動画ならではの不気味さを表していると言えるだろう。


【日本における The backrooms コミュニティ】

日本国内においても The backrooms 関連の創作を扱うコミュニティは存在し、主流となっているものとしては Fandom の「Backrooms Wiki」、及びそこから派生した Wikidot の「The Backrooms JP」の2つが挙げられる。
どちらも「リミナル性を重視する」という方針が明確に掲げられているのが特徴的で、
  • Fandom 版では「特定可能な*8エンティティ・オブジェクト・グループ等を登場させてはならない」とルール上明記されており、 Wikidot 版でも推奨されないことの例として挙げられている。その割には特定可能な実体もいるけどね。
  • 「わからないこと」をむやみに解明しようとしたり、 M.E.G. のような巨大組織の台頭を前提としていたりする記事を基本的に許容しない
  • backroomsとfrontroomsはつながっているのか、はたまた別次元なのかはわからない≒レベルによってはfrontroomsと直接つながっているものもある
など、本家コミュニティとは異なる方向性で独自の創作が行われている。
同じ題材を扱っていても、例えるならバイオハザードゆめにっきを同じホラーと括るくらいには目指している方向性が違う。
加えて専門用語についても、
  • レベル → 階層
  • エンティティ → 存在(Fandom)、実体(Wikidot)
  • オブジェクト → 物品
  • Noclip → 外れ落ちる
  • Wanderer → 放浪者
といったようにある程度統一した訳語が用いられている。

Fandomの無印通常階層は英語版の記事をベースにしているが、上記のルールに基づき、組織などの名前を排除した翻案版となっている。

世界観のカノンとして制定されているわけではないが、傾向として以下のような要素が複数の階層で見られる。
  • 危険な現象に巻き込まれたり、実体に攻撃を受けた放浪者の末路について、「死亡する」「殺害される」ではなく「失踪する」「行方不明になる」等、やや濁した形で記述される。
  • 網羅的な検証を行う巨大組織が存在しないため、「異常現象が○○%の確率で発生する」等の具体的な確率表記や意図的にやらなければまず起きないような階層移動の方法に関する記載がない。
    • 有志により書かれているため、敵対的な存在の悪意や幻覚作用などにより虚偽が記述された階層が多数存在する。その他の階層も最新情報や真実が書かれているとは限らない。
  • 怪奇現象を淡々と文章に起こした記述。
    • 文字化けしている、日本語で書かれているが発音不能など、意味不明な文字。
    • 物音が聞こえたり、変な物が落ちているが、その正体は不明である、という演出。
    • 起きた怪現象や落ちてた異常な物品をリストにする。
    • 目撃したものを記憶から書き起こしたという設定で、ラフな手描きのイラストで異常な実体を描写する。いわゆるホラー映画の子供が描くアレ
  • 実体との「戦闘」に関する記述は基本的にない。リミナル性を損なうことに加え、本家と比べると放浪者にとっての後ろ盾となる巨大組織等が存在せず物資(特に武器となるもの)にも乏しいため、放浪者側も極力「干渉そのものを避ける」方針を取っているものと思われる。

【日本における The backrooms 】

※以下の解説はFandom「Backrooms Wiki」と Wikidot「The Backrooms JP」に準拠する。英語版に関する設定は「本家」と呼称する。Fandom版では階層の後ろに"η"、Wikidot版では階層の後ろに"N"が付く。
Fandom版には本家と同じ名称の無印階層も存在するが、前述のように内容が改変され日本語版独自のものになっている。

なお編集時のルールに則り、元記事の作成や修正が行なわれた場合、この記事に適用するのはその1週間後以降にすること。

【共通の階層】

  • Level 0 - "ロビー"
本家と同じ黄色い部屋が無限に連なる階層であり、多くの放浪者が現実世界から外れ落ちて最初に行き着くところ。
全ての Backrooms 関係の創作の原点ということもあり、概ね本家における Level 0 と同様の位置付け・性質を持つ。ただし Wikidot 版では画像の権利関係が不明だったため AI 生成によるオリジナルのものが使用されている。
日本版オリジナルではないということもあり、日本版Wikidotにおいてもこの階層のみ"N" のナンバリングが存在しない。

【Fandomの階層】


【Wikidotの階層】




【実体】

各階層固有の実体に関しては上記の階層の項目に記載。
  • "首なし"
様々な階層で確認される実体。文字通り首のない人間のような姿をしている。
基本的には中立的で害は少ないが、何らかの方法で人間を首なしに変えているようであり、
放浪者が人として生きるためには警戒しなければならない相手である。
階層によっては交渉によって物資を得ることも可能らしい。その際は会話や文字は通じず、手振り身振りでコミュニケーションを取るそうだ。
元々が中立的であえて対立する必要も少ないのもあってか、直接的な戦闘能力に関する記述はないが、
首の断面に触れた放浪者が殺されたとされているあたり、敵意を向けられた場合は脅威となりうるようだ。
(物資が限られるバックルームにおいて、「首なし狩り」を試みた者はいなかったのだろうか)
  • "Wi-Fi"
バックルームの放浪者たちが使用している通信回線。JPにおいてバックルーム・ウィキは「不特定多数の放浪者達による情報集積サイト」という色合いが強められているため、ある意味非常に重要な存在。
現実世界のものと同様に利用ができるが、色々と奇妙な点が多く何らかの意思や意図を持ったような振る舞いをすることもあるため実体扱いされている。
バックルームのあらゆる階層で高頻度に見つかるが、電波や発信源など具体的なことのほとんどが不明。
一部の回線は繋ぐと怪現象が起こる場合があるので注意が必要である。
また、放浪者の中には無自覚のうちに何故かWi-Fiの発信源になる者がおり、複数人でバックルームを探索する場合の貴重な生命線として役立っているようだ。

【物品】

  • "アーモンドウォーター"
本家と同じくさまざまな階層で出現するようだ。
ただしこちらではマジックアイテムのような回復効果はなく、単なる(やや栄養価の高い)飲料水という扱いになっている。

Welcome to the Backrooms, Aniwoter.



未来の放浪者たちへの追記、修正、お願いします。





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最終更新:2025年04月26日 00:02

*1 ちなみに、両方掛け持ちしている人もいたりする。

*2 Liminalは日本語で「境界、しきい値、変化点」のような意味。Liminal Spaceは本来は建築用語で「移動のための場所」すなわち階段・廊下・ロビーのような場所を指す。が、ここで言うLiminalには「(状態が定まらない)狭間の、不定の」といった意味もあると思われる

*3 実は出口が存在しているが、そこに辿り着くのは非常に稀である。

*4 広大に広がるアーケードであり、入口で渡されるタスクをこなすことによって現実世界(Backrooms風に言うとfrontroom)に帰ることができる。

*5 wikidot版では“Tutorial Level”

*6 よく勘違いされるが、レベルの深さ=レベルの生存難易度ではない。

*7 そもそもの話この数字はあるメンバーが独断で書き加えたものであり、コミュニティ全体で受け入れられていたものではないことにも留意する必要がある。実際、この記述が存在した期間は2/8〜同年3/25と短い。

*8 大雑把に言えば「名前がついた」