詰み

登録日:2018/10/24 Wed 14:43:30
更新日:2024/04/25 Thu 03:27:27
所要時間:約 42 分で読めます




フン!逃れることはできんッ!
きさまはチェスや将棋でいう「詰み(チェック・メイト)」にはまったのだッ!

海馬…お前はもう詰んでるぜ!

詰みとは、元は『将棋』の用語。
相手の王手に対して、一切対処することができなくなる状態のことである。
将棋をあまり知らない人によくある誤解として「将棋は王将が取られたら負け」というのがあるが、実は「詰んだら負け」である。
より正確に言うならば、自分の王に相手の駒が効いている状態で相手に手番を渡した場合、「王手放置(イリーガルムーブ)」という反則負けになる。
まあ状況的には「相手の王手に対処できない」=「どうやっても次の一手で王将が取られる」状態なので「取られたら負け」でもそう間違いではないのだが。

ちなみに正しい手順を踏む事で次手に相手を詰みに至らせる事ができる手の事を「詰めろ」と呼び、
この状態になった場合、相手は何とかして「詰めろ」を解除するか逆に相手側を詰ませに行くしかないのだが、
どうあがいても解除できない「詰めろ」の事を「必死(必至)」と呼ぶ。
逆に逃げ場を残してしまうことを「詰めが甘い」という言い方もある。

アニヲタ的には、コンピューターゲームでよく「詰んだ」等という言い回しをするだろう。
以下、主にコンピューターゲームにおける「詰み」について解説していく。


コンピューターゲームにおける「詰み」

対戦ゲームなどにおいては「相手を詰ませたら勝ち」という意味において使われることもあるが、
主に「何をどうやってもその状況から逃れることができない」という対処不能状態のことを指す。「ハマり」とも。
更にこの状態でセーブデータを上書きセーブしてしまうと、それはいわゆる「詰みセーブ」となり、 実質データ消失と同じことになる
何十時間もかけて進めてきたセーブデータがこの状態になると、目も当てられない。
特に自動セーブ系のゲームでこの手の悲劇がよく聞かれる。
手動セーブの場合、セーブファイルが複数用意されているならば、進行度合いによってセーブする箇所を分けるという方法で詰みを回避できる。

ゲームオーバー画面になる等、クリア不可能という事が分かる場合はまだ良い方で、
ゲームによっては「クリア不可能になっているのにプレイヤー側がそれに気付けない」場合もある。
この場合、多大な時間をかけていつまでも彷徨い続ける危険性がある。


おおよそ詰みと言われるのは以下のような状況。

プレイヤー側の戦力不足

一番一般的、かつ 一番どうしようもない詰み要因
ストーリーの節目になる強敵との決戦イベントで、その敵が強すぎて先に進めないというシチュエーション。
育成やアイテム補充でどうにかなる場合はまず詰みとは言われないが、「イベントボス以外とは戦えず育成やアイテム補充も不可能」だったり、
「育成は出来るが勝てない雑魚モンスターしか出ない」等、プレイヤー側の強化が不可能になると詰んでしまう。

特に、RPG系の作品における一騎打ちイベントは詰みポイントとして恐れられることが多い。
「特定のキャラと敵ボスで一騎打ち」等のシチュエーションになると、当然ながら当該キャラをろくに育てていないと事実上の『詰み』になり、
仮に育成し直すことで『詰み』を回避できる状況でも、レベル上げに多大な手間をかけないといけなくなることも。
逆にアクションゲームでは、プレイヤーの腕前次第でクリアできるようになっていることが多く、『詰み』に陥る作品は少ない。

また、これは上述の理由とは毛色が違うが、仲間を自由に解雇できる作品でストーリーが進んだ状況で仲間を全員クビにしたりすると、実質どうしようもなくなることもある。


フラグ管理ミス

「ゲーム進行に必須の要素(フラグ)が欠落したままでも、後戻りできない所まで任意で進行できてしまう」というパターン。
「本来なら自由に行き来できなければいけない場所で、行き来のためのアイテムを処分できてしまいにっちもさっちもいかなくなる」
あるいは「重要アイテムなのに なぜか店で売れてしまう 」ということもある。
意図的におかしな事をしなければ発生しない場合も多く、ミスにも気づきやすいが、中にはバグのせいでおかしなフラグ状況に陥ってしまう場合もある。
ただし、FC版DQ3の「はんにゃのめん勇者」のように通常のやり込みプレイの範疇で遭遇する可能性もたまにある。
項目内にある「ロマンシア」は、そういう状況にプレイヤーを陥れる事を明らかに意図的に狙ってゲームデザインしているという狂った特殊案件

バグが原因の場合は、メーカー側の修正パッチの配布やソフト交換等の対応が行われる事もあるが、
その場合も、データが正常化してそのまま進行可能になるか、バグったデータは使えず最初からやり直しになるかは状況次第。

シリーズ作品の場合こういうケースは改善されていく傾向にある(例としてポケモンシリーズは徐々に詰みに繋がりかねない制約が減っている)が、
これは逆に「ぬるくなった」等不満の原因になったりして難しい部分でもある。


ソーシャルゲーム全般

AP/BP/スタミナといった行動力は自然回復するし、基本的にクエスト/マップの攻略に失敗してもホーム画面に戻るだけなので詰みはほぼ存在しない。
じゃあホーム画面に行く前のチュートリアルでわざと失敗したら詰みじゃね?と思うかもしれないが、
クリアするまで何度でも復活できたりどんな下手なプレイをしても失敗しない設定になっていたり逆にそもそも負けイベントだったりと色々と詰み防止対策が敷かれている。
一応単純に難易度が高すぎて攻略できない(・敵が強すぎて詰み)ということは起きる。
が、それがゲーム進行上必須であるということは稀。ベレトとかデメテルとかフロストノヴァとかケルヌンノスとかの話はやめようね。
課金通貨によるコンティニューを搭載しているゲームが大半なので、それでゴリ押すことで突破自体は可能な場合が大半。

一方で、どんなタイミングでもキャラ廃棄機能を使って疑似的な詰み状態(≒プレイヤー側の戦力不足)に持っていくことが簡単なのも特徴。
無料のガチャポイントやゲーム内通貨などのリソースやアイテムを使い切り、手持ちキャラが全てからっぽの状態ではゲーム進行は難しくなる。
とはいえ外部要因である課金通貨でガチャれば戦力補填は可能だし、意図的にやらなければこの状態にはなりえないが。
特に昨今のゲームにはログインボーナスにより、完全に何もしなくてもリソースが補充されていくため、詰みに持っていく方が難しいだろう。

ソーシャルゲームで最も一般的な「詰み」はイベント関係でよく発生する。
イベントには開催期間という概念が存在しており、開催期間を過ぎるとそのイベントは2度とプレイできなくなる。
通常は戦力不足であったとしても、クリアできるまで時間をかけて戦力を整えればいいだけの話なのだが、
イベントの場合は開催期間が過ぎるまでに戦力を整えてクリアしなければならないため、戦力を整える時間が全然足りなくて詰んでしまうことがよくある。


主人公のロスト

主人公がキャラロストを起こした場合は、仲間キャラをロストした場合とは異なり、
セーブデータが消失したり使用不可能になるなど通常のキャラロストよりも重いペナルティが課されることがある。


アナログゲームにおける「詰み」

アナログゲームは基本的にそれぞれのプレイヤーが勝利を目指すものだが、ゲームによっては「敗北条件」とされるものがある。
そして、ゲームの進行上どうやっても敗北条件を避けえないシチュエーションというものも存在する。
その場合は「詰み」ということができるだろう。
ただ、対立するプレイヤーの明確な作為でなされる詰みは要するに一番上で規定されている本来の「詰み」であるので、
ここではどちらかというと偶然によって成立する「詰み」について取り上げる。



詰みの意味が異なる物

対戦ゲームにおける「詰み」

他のゲームにおける「詰み」とは少々意味合いが異なるので別記。
格闘ゲーム等の対人戦で「詰んでいる」と言うと、大抵は「キャラ相性差が酷すぎて勝負にならない」組み合わせのことを指す。
要は「弱い方のキャラを使っているプレイヤーにとって詰んでいる状況」である。
この「詰んでる度」を格ゲーでは「ダイアグラム」と呼び、強い方のキャラ:弱い方のキャラの比率で表す。
例えばダイアグラム6:4だと前者のキャラが理論値では有利だが、プレイヤーの腕前でひっくり返せるぐらい、という指標である。7:3からが「詰み」と定義されることが多い。
概ね、一番酷くてもダイアグラム7:3ぐらいに収まる格ゲーは対戦バランスが良好、と言われる。
なお、この数字から勘違いしがちだがダイアグラムは「勝負の支配率」であって「勝率」ではないので、理想的なプレイヤー同士で7:3の組み合わせだと概ね 9勝1敗 ぐらいの差は出る。
「詰みダイヤ」として有名なスト2の「ガイルVSザンギエフ」が8:2ぐらい、と言うと大体指標がわかるだろうか。
この場合、「一応ガイルに接近さえできればザンギにも勝機はあるものの、理想的な立ち回りをされると接近することが非常に難しい」という意味で「8:2」が付けられている。



厳密には詰みではないが、詰みに近い物

ゲームクリアは可能だが、「望む状況に行くのが不可能になった」場合や、「進行方法がどうやっても分からなくなってしまった」場合など、
正確には詰みではないが、プレイヤーの主観からすると似たような状態。

前者は分かりやすい物で言えば、
「図鑑のコンプリートが不可能になった」
「隠し要素のフラグ立てを失敗した」
「複数EDがあるゲームで、望むEDを迎える事が不可能になった」
等が該当する。
こうなった場合はその周回は無意味なものになりがち。ゆえにもう1周遊べるドン!が基本。
これについては該当するゲームが多すぎる為、詳細は省略する。

後者は先に進むための謎解きがあまりに難しく、フラグが立てられずに詰むというパターン。
近年はネットの発達でそこまで詰むことはなくなったが、古いゲーム(特に黎明期のPCソフト)だと、
少ない容量でプレイ時間を稼ぐ為に謎解きを難しくした結果、やりすぎてこういった事態に陥る事も多い。
特にコマンド入力式のADVでは、それまで求められず、しかも一般的ではない単語入力が必要な場面では、
どうやっても答えが分からず詰んで諦めたプレイヤーの話がよく聞かれた。

クリア方法に気づけない場合の例



詰み防止

こうした詰みを回避するためのシステムや救済措置も、ゲームによっては導入されている。

典型的な例はRPGのレベル上げだろう。
当時、ゲームの難易度が高いのが当然だった時代に、
下手な人間でも時間をかければクリアできるとしてRPGが幅広くヒットする下地を作った。

バイオハザード4では内部的にゲームランクが上下し、コンティニューすると敵が弱くなるなどの救済措置が存在している。

近年のゲームでは「ここでセーブすると詰む可能性があります」などシステムメッセージで別のセーブを推奨するゲームもある。

関連用語

  • 「フリーズ」「ソフトロック」「ハードロック」
バグや高負荷などによりゲームが停止すること。
「ゲームのエンジンは停止せず正常に進行するが、ゲームの設計上の問題により進行不能になる」詰みとは区別される。
ただし人によって定義があいまいで、詰みをソフトロックに含める人もいる。




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最終更新:2024年04月25日 03:27

*1 元々『外伝』はユニット数が少なく、この時点でアルム軍には最大でも15人しかいない。

*2 入って上に1マス動き、右の突き当りまで歩いた地点。

*3 このバグは「HPが動かない」ではなく「減らない」だけなので、回復行動を持っている彼のみバグから抜け出せる可能性がある

*4 ルカニに完全耐性のあるゲマとスカラを使ってくるブオーンは無策だとダメージが小刻みになりやすく、2047に引っ掛かる可能性が高くなりやすい

*5 青年期後半にコレクターアイテムとして入手できる『イブールの本』が無いとイブールが倒せないという噂もこのバグが遠因にあると思われる

*6 初代では「ネコにこばん」を自力習得するのはニャース系列のみ。更に赤版では野生で出現しない。わざマシンがあるものの、入手にはなみのりが必要。

*7 HGSSではひでんわざを覚えたポケモンを逃がすのに制限があるが、通信交換すれば手放せてしまう。

*8 入れ替え式の戦闘ルールで自動発生する交代以外で交代・逃走すらできなくなる

*9 GCのポケモンボックスから別のソフトのポケモンを引き出すには図鑑の捕まえた数が100匹を越える必要があるので、それまでは『なみのり』を覚えたポケモンを直接引き出すことはできない

*10 ただし、なみのりのひでんマシンはバランスバッジを手に入れた直後に貰えるようになったので、ミズゴロウを選んでいれば一匹だけでも問題ない

*11 野生のケイコウオとの遭遇にはつりざおが必須だが、交換で手に入れればつりざおは必要ない。

*12 シャッフルダンジョン、テーブルマウンテンの17階など

*13 外部ツールではなく、ゲーム内で用意された公式チート

*14 RTAプレイヤーにはこれを制御して回収速度を上げる人もいる

*15 このゲームの対人戦で勝つために必要最低限の基準を満たしておらず、あまりの弱さからプレイヤーからこのような言われ方をされている。

*16 ゲーム中では「キャッチ」となっているが、分かり易さを重視して俗称で呼ぶ

*17 バキからのゲスト参戦である範馬勇次郎を除く

*18 地面技で拘ったら後続が飛行タイプor飛行テラスタル、風船で空かされるなど

*19 それ以前からクリア画像はネット上に上がっていたし、主にPCゲームで理不尽な謎解きアクションが何だかんだクリアはされてきたので、クリアしている人自体はいたと思われる。

*20 一応チラッとヒントらしき日本語での単語は出るのだが、使用するシーンまで覚えているかどうかという点と、そもそもその使用するシーンで「何をすればいいのかのヒントがない」という複合要素まで関わってくるため非常に厄介。

*21 あえてヒントがあるとすれば説明書内にあるアイテム名らしきものに含まれている「漢字」。わかるか。

*22 史実における国外への人口流出を再現したらしい

*23 地面の輪郭がほんの少し違う点しかヒントと呼べるものはない。