アポリー・ベイ/ロベルト(機動戦士ガンダム)

登録日:2024/12/22 Sun 09:50:04
更新日:2025/03/27 Thu 17:48:49
所要時間:約 4 分で読めます





アポリー・ベイロベルトとは、『機動戦士Ζガンダム』及び『機動戦士Ζガンダム A New Translation』の登場人物である。


【概要】

エゥーゴに所属するMSパイロットで、クワトロ・バジーナ大尉の部下。
主にリック・ディアスを操る。
一年戦争時からジオン軍に所属し戦い抜いたベテランパイロットであり、若い世代の多いアーガマ部隊を支えた。
…と言いたいが放映当時や小説版では「元々連邦軍所属だった」という設定だったらしく、その証拠に後にジオン兵であったなら知っているはずの事例で驚いている姿が見られる*1
どちらにせよクワトロ…というかシャア・アズナブルの部下は例外なく悲惨な目にあう事から彼らも心配されていたが…。


【各キャラの紹介】



  • アポリー・ベイ
CV: 阿部健太(現・柴本浩行/TVシリーズ版)、大川透(劇場版)

階級は中尉。丸い鼻が特徴的。
前述の通り一年戦争時から戦い抜くベテランであるが、気さくでフランクな性格。
その為「年上」に対して懐疑的なカミーユ・ビダンや、新人であるファ・ユイリィに慕われており、アポリーも新人2人を気遣っていた。
だからといって常に優しいわけではなく、増長したカミーユがウォン・リーに喧嘩を売ってボコボコにされ気絶した時、目覚めた彼には「目が覚めたか、ニュータイプ」と厳しい皮肉をぶつけていた。
とはいえ彼がカミーユに怒りを見せたのはこの時くらいであり、以降も戦場にて互いに助け合うという「相棒」のような存在となっていた。
不安定の極みである17歳の少年が曲がりなりにもアーガマでは落ち着いていられたのは、アポリーやトーレスと言った理解者に恵まれていた為と言えるだろう。

一方で戦場に出れば冷静かつ自信家な一面も見せており「コックピットが違っても3日もあれば自分の手足にする事ができます」と豪語するなど頼れる男である。
軽口も多く「自分の操縦に文句のあるヤツには100ドル払ってやるから、黙ってくれ」などとウィットに富んだ台詞も多い。
腕前だけでなくMS隊の指揮もこなせ、なんやかんや不在がちだったクワトロの代わりにリック・ディアス隊を上手くまとめていた。
また実はΖガンダムに最初に乗った(届けた)キャラクターでもある。
小説版ではキリマンジャロ攻略戦&ダカール演説とアクシズの到来が前後したため、ブレックスを暗殺されたためいったん脱出してカラバに避難していたクワトロに百式を届けるために乗ったこともある。
それでも本人はリック・ディアスに誇りを持っており、最後までそれに乗り続けた。

だが最期は物語も佳境に差し迫る第45話にてファを敵の攻撃から庇うという形で戦場に散った。(劇場版ではかばうことなく普通に戦って敗北した感じになっている)
その際のTV版の台詞「よせー!」は変な発音でネタにされているが、彼の死はカミーユだけでなくアーガマクルーの全員に悲しまれた。
カミーユも戦友の死に衝撃を受けており、後にカツを説得する際に「アポリー中尉だってもういないんだ」と名を挙げている程。
如何に彼の存在が大きかったかわかる。

TV放映時は名字の設定が無く、ベイという姓は劇場版にて設定された。
と言ってもクワトロと同じくそもそもアポリーは偽名だったようで、1st~Ζの間のシャアを描いた漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』にて「アンディ」という本名が設定された。
後に別の作品である『アナハイム・ラボラトリー・ログ』でもアンディと呼ばれていたため、ほぼ公式化したと思われる。
と思ったら『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』では「カール」と名乗っている。何でだよ!
一応「アンディ・カール」みたいな名前な可能性もなくはないが、ロベルトの方はこれで言い訳できないので無理がある。

担当声優の阿部(現・柴本)氏は彼とトーレスで声優デビューを果たした。また、どちらかは不明だが、息のアドリブができず、12回ものNGを出してしまったことが印象的だったという。
背格好と声が似てるのでたまにごっちゃになるのは秘密。*2


  • ロベルト
CV:塩屋浩三
階級は中尉。口ひげがトレードマーク。
こちらも前述の通り一年戦争時から戦い抜くベテランであり、アポリーとは相棒に近い存在。
その風貌や嗄れ声が特徴的…と言えば聞こえはいいが、正直な話余り目立つシーンもなく結構地味な男。
だが「大尉の色は、人気がありますからね」というメタ発言をかましたことは有名。そしてクワトロ相手にそんな冗談を叩けるほど信頼されている証拠とも言える。
内心では同僚のアポリーをライバル視していたらしいが、普段はそういった一面も見せず仲良くしていた。

しかし実は彼、割と序盤…TV版では13話にてブラン・ブルタークによって呆気なく戦死してしまう*3
原作はもとよりゲームでもいつもアポリーとコンビとして登場するため完全にコンビキャラというイメージであろうが、実は退場時期にかなりの差があるのだ。
あっけない最期ではあったが、仲間の乗ったシャトル防衛という任務を(同時に出撃していたMk-2と百式の連携も大きいが)見事やり遂げたのは救いだろう。無駄死にではないぞ!

ロベルトの撃墜を見たアポリー*4が落涙しつつもシャトル発進のカウントダウンを行う場面は、二人の友情を感じさせる名シーンである。

なお劇場版では戦死はしないが、原作で戦死している以上そこから先の出番はないのでそのままフェードアウトしてしまう。
他、アッシマーを返り討ちにしたりジェリド・メサやロザミア・バタムにやられたりと、媒体によって死亡方法が異なる変な特徴も持つ。

アポリーと違って劇場版においても名字はつけられなかった。
そしてアポリー同様に本名は「リカルド・ヴェガ」と後に設定された……はずが『U.C. ENGAGE』では「ホアキン」になっている、という経緯も同様。
後の時代に登場するロベルト・ゴメスとは無関係。


【外伝作品など】

腕利きとはいえ、シナリオの中心にいるわけでもない脇役キャラなので能力値は大抵並か低め。

スーパーロボット大戦シリーズ

たまに出てくるが、基本的に数合わせ。
ステータスは並程度であり、サポート要員としても大抵は目ぼしい精神コマンドがあまりなかったりする。
例外的に『リアルロボット戦線』ではアポリーが「激励」「補給」、ロベルトが「かく乱」を覚えるので役に立つ。
死亡することもないがフェードアウトすることが多く、作品をまたぐ長期シリーズでは最後まで登場することは稀。
ひどい時にはシリーズ作品間でいつの間にか居なくなっていることも。
第3次スーパーロボット大戦Z 時獄篇』で原作終了後ながらアポリーがカミーユにΖガンダムを届ける展開の再現は初!と一部で盛り上がったあたりでお察しである。
パイロットとしてもPS版第3次で2回行動可能レベルがやたら早いこと以外に特徴はない。

と思いきやスーパーロボット大戦64のリアル系ではアポリーが結構顔を見せ、カミーユ達だけでなく主人公やルー・ルカと言ったキャラの面倒も見ることとなる。
…だが中盤以降は急激に影が薄くなり、終盤、クワトロがシャアとなり敵対しても絡みはない。
とはいえシナリオライターはこのあたりを反省点として述べており、なんらかのフォローをしたかった様子である。

SDガンダムGジェネレーションシリーズ

能力地は双方ともに一般兵よりは少し強いぐらいで、だいたい不死身第四小隊ホワイト・ディンゴの部下連中クラス。
Zガンダムシナリオにちょくちょく登場するだけ…
と思いきや、「DS」では初代ガンダム時代からシャアの部下という設定で登場。一年戦争時代がシャア視点から始まるため、いわば「最初の仲間」ポジションである。
さらにアポリーはオリジナルキャラのディー・トリエルを見守る「兄貴分」という役割も獲得。しっかり彼女からの信頼関係もあるという破格の扱いで、アポリーファンは必見の作品と言える。ロベルトはずっと地味だが。ただし兄貴分の描写は平成ガンダムルートのみである。これは他のキャラにも言えるが。
また、宇宙世紀ルートではシャアが逆襲するがその際に彼らがついていくことはないため引き続き自軍で使用可能で、暴挙に出たかつての上官をたしなめる会話イベントもある。

「クロスドライブ」でも序盤から2人揃って参戦。
こちらでは最大の見どころとして、クワトロの百式と彼らのリック・ディアスを組み合わせてチームを組むことで専用の連携攻撃「アーガマ・プラトゥーン」を発動できる長所がある。
戦闘アニメこそ長いもののゲーム序盤から繰り出せる貴重な全体攻撃であり、Ζガンダムの原作シナリオで戦死シーンの再現もないため、活躍の場は多い。
…のだが、シナリオを進めていくとフィオ編ではオリジナル敵によりアルティメット細胞に侵されて自軍により介錯、ニケア編ではゼクスの攻撃からファをかばって撃墜される描写が入ると、最終的には両ルート共通で辻褄合わせのごとく戦死してしまう。
ちなみにクワトロも最終的にはシャアの反乱を起こして離脱するため、アーガマ・プラトゥーンのメンバーは自軍から消える運命にあるようだ。

ギレンの野望シリーズ

ジオンの系譜から追加、以降は一年戦争限定シナリオでも登場している。
アポリーはなぜかTV版とも劇場版とも声優が異なり、二又一成氏が担当している。
能力値はSランクまで行けば戦闘関連のステは全部二桁に届き、エースとまでは言えないまでもなかなか使えるレベル。
ただし指揮は低め。アポリーはなかなか的確な指示を飛ばしていたというのに…。

初期はジオン公国所属だがシャアがクワトロになるとそれに引きずられる形でエゥーゴに移籍する。
そのため、一年戦争限定ナンバリングでは気軽に機体の底上げに使えるのに対し、複数年シナリオではジオン本編では使うのはためらわれる。

エゥーゴバージョンではイベントを起こさなければ離脱せず最後まで使える。たとえシャアが逆襲しても彼らは離脱せず戦ってくれる。

ジオンの系譜では連邦とブレックスエゥーゴで使用可能。どちらでも死亡イベントは起きず気軽に使えるだろう。

アクシズの脅威でもジオン公国とネオジオン・キャスバルとレビル指揮連邦とブレックス・エゥーゴとクワトロ・エゥーゴで使用可能。
  • レビル本編では、シャアの逆襲を阻止する術はなく、死亡イベントが起きない二人は最終的にシャアと敵対する。
  • ブレックス・エゥーゴでは二人に死亡イベントが仕込まれている。アポリーの方はクワトロが逆襲を思いとどまり、エゥーゴに残留するベストエンディングのためには、ヘンケン・エマ・カツと共に死亡、ファは生存するものの軍から除隊するイベントを起こさなければならないが、ロベルトの方はジャブロー攻撃を中止することで死亡イベントが回避され、以降何故かアーガマ隊所属扱いにはならなくなり自軍で使用可能になる。*5ブレックス・エゥーゴは慢性的な人材不足であり、ぜひともロベルトは確保しておきたい。
  • クワトロ・エゥーゴではブレックスの死後を引き継いだ形式のため、ロベルトがすでにいない状態からスタート。こちらではアポリーの死亡イベントは起きないが、ベストエンドではクワトロが失踪してしまうという不穏な幕切れとなる。

『機動戦士ガンダム 灼熱の追撃』

一年戦争末期のアフリカを舞台にしたゲームブックで、本作ではジオン公国時代のロベルトが登場する。
本作の主人公ジョン・クエストは彼の戦いぶりを見て「まるで“アフリカのロンメル”か……そう、“赤い彗星”のようだ!」と評している*6。同時期に活躍していたZZに出たほうではなく、第二次世界大戦の名将のことだと思われる。

『機動戦士Ζガンダム 宇宙を越える者』

『ガンダムマガジン』No.2掲載の岩田和久の漫画にアポリーが登場。
プロトタイプ・リック・ディアスをベースとした「リック・ディアス改」のテストパイロットとして大気圏突入のテストを行う…はずが、仲間であるはずのクワトロに襲われて機体を奪取されてしまう
この漫画のクワトロはやたらアグレッシブでありたまに話題になるが、その直後、テスト中のプロトタイプガンダムMk-Ⅱと遭遇戦となった為、ある意味では命拾いしたというべきか。


その他

シリーズのアンソロジー「SDガンダムGジェネレーション4コマKINGSパーフェクト」ではももえサイズで有名な結城心一氏のネタで、2人が名字がないからフルネームが欲しいとクワトロに頼むネタが有名。
結果「アポリー・アポーラー」「ロベルト・ラベルト」と富野度MAXな名前をつけられてしまう。
余りにも絶妙過ぎるためかその名前で記憶しているガンダムファンも多いのでは?

SDガンダム外伝 円卓の騎士編では2人ともバーリントン市の戦士として登場。ただしアポリーは部隊からはぐれて怯える、ロベルトは道案内のできない偵察員を怒鳴ると、どちらも間抜けな様子がカード化されており、HPもそれぞれ350と300で、あまり役に立たないキャラと化している。







編集方法が違っても3日もあれば自分の追記修正にする事ができます!


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 宇宙世紀キャラクター項目
  • 柴本浩行
  • 大川透
  • 塩屋浩三
  • リック・ディアス
  • エゥーゴ
  • 宇宙世紀
  • ガンダム
  • アポリー
  • アポリー・ベイ
  • ロベルト
  • Ζガンダム
  • 地味
  • 故人
  • 機動戦士Ζガンダム
最終更新:2025年03月27日 17:48

*1 アクシズとの交渉の際もクワトロはエゥーゴの制服を着ていたのに対してアポリーは連邦軍の制服を着ている事からも元々連邦軍所属という設定だった事が伺える。

*2 それもあってか劇場版ではトーレスは柴本氏のまま、アポリーは大川透氏に声優が変更された

*3 なお彼の死は次回予告で「謎のモビルアーマーの攻撃を阻止するためにロベルトは死んだ」と盛大にネタバレされていた。

*4 シャトルのパイロットを担当

*5 一説では、劇場版のフェードアウトをアーガマ隊離脱として反映した、と言われている。

*6 もっとも、本作の主人公ジョン・クエストはゲーム開始時点では実戦経験などまるでない戦闘力0(絶対値)のただの整備兵のため、やや過大評価気味に見ているところがあるのかもしれないが。