ぶちやぶれ!!新生6大将軍(ダイの大冒険)

登録日:2023/09/30 Sat 12:38:00
更新日:2025/01/03 Fri 18:54:14
所要時間:約 2 分で読めます






マァムの魂をかえせ!!

パプニカ王国復興に力をかすダイたちの前に
新たな敵、新生6大将軍現る!




『DRAGON QUEST ダイの大冒険 ぶちやぶれ!!新生6大将軍』は、アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の劇場版作品。
公開は1992年7月11日に東映アニメフェアで公開された。
同時上映は「ドラゴンボールZ 極限バトル!!三大超サイヤ人」「ろくでなしBLUES」
時系列的にはバルジ島編からマァム離脱までの間に入る。

脚本は旧テレビシリーズのメーンライターを務めた武上純希、監督は西沢信孝。
BGMドラゴンクエストシリーズと言えばこの人、すぎやまこういち。『ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』の戦闘BGMをアレンジした新生六大将軍襲撃のテーマは必聴の価値あり。


【ストーリー】

バルジ島での敗北で邪悪の六芒星が半分になり、焦るハドラー
そのとき、ハドラーの前に現れた男の名は豪魔軍師ガルヴァス。
ガルヴァスは影から魔王軍を支える影の六大軍団のリーダーであるが、表の六大軍団の半壊を期に自分たちが表舞台に出ようと活動を開始したのだ。
大魔王バーンへ実力を誇示するため、勇者ダイ一行を抹殺せんとパプニカを強襲する新生六大将軍。
ダイたちは必死に応戦するも、マァムの魂が奪い去られ、返してほしければ瘴気の渦巻くベルナの森へ来いと脅迫される。
果たしてダイたちはガルヴァスの野望を打ち砕き、マァムの魂を取り戻せるのだろうか?


【作中用語】

  • 新生六大将軍
ガルヴァスの率いるハドラーの六大軍団長と同じ肩書を持つ6人の戦士たち。
いずれは表の六大団長に代わって魔王軍六大軍団を率いることを目的としている。
竜の騎士バランや大魔王の半身であるミストバーンの代わりは無理だろって、それは魔王軍でも特秘事項だから知らなくても仕方ない
(『軍団同士で競い合わせる』というバーンの方針上仕方ないところもあるものの)ギスギスしたやり取りが目立つ表の六団長と違い、各々の仲は割と良好。
しかし実力にはバラつきがあり、デスカールのように軍団長以上と呼べる強者もいれば、ベグロムのような雑魚モンスターに毛の生えた程度の小兵もいる。
また「将軍」といってもあくまでガルヴァスの私兵的な存在だからか、他にこれといった部下も従えていない様子。
まあこいつらが本当にクロコダインやザボエラ達より優秀であれば、その時点で軍団長に抜擢されていた筈なので残当なところ。

  • ベルナの森
ガルヴァスがダイ一行をおびき寄せて殲滅しようとしたパプニカの森。
デスカールの邪法で魔王軍以外は生命をむしばむ瘴気が蔓延する、アバンの使徒にとっては極めて不利な戦場となっている。
後に原作漫画においてもピラァ・オブ・バーンが落ちた場所として登場。


【映画オリジナルキャラ】

  • ガルヴァス
CV.柴田秀勝
「豪魔軍師」の異名を持つ、ハドラーに劣らない大柄で屈強な魔族。
ハドラーの影として魔王軍を支えてきたが、それに満足せず野心を抱き、ダイ一行との戦いの中で半分に減った六大軍団と度重なるハドラーの失態に対し表舞台に参上。ハドラーにとって代わろうと動き始めた。
お抱えの「新生六大将軍」を率いて勇者ダイ抹殺のために乗り出す。
軍師の名に恥じずに策略家で、マァムの魂を奪った上で瘴気の渦巻くベルナの森へ呼び寄せ、しかもその際に瘴気除けの神魔水を一人分だけ与えたことでダイ一人だけをおびき出した。
さらに神魔水は瘴気除けとは真っ赤な嘘の毒薬でダイを苦しめるという二重の策である。
そのことを部下に問われると、「敵にわざわざ塩を送る奴がいるか?」という卑劣さを隠さずにデスカールとメネロを戦慄させた*1
本人の実力も高く、普段は六大魔将軍それぞれに『豪魔六芒星の魔宝玉』を授与しており、それによって臣下の強化を優先しているが、これは本来ガルヴァスの持ち物であり、緊急時には回収して体内に取り込むことで、本来の強力な魔力を取り戻す。
デスカールと共にヒュンケルとクロコダインの相手をしていたところをダイに背後から斬られて一度倒れるが、六将軍から取り戻した宝玉の力で復活。
『豪魔六芒槍』という魔宝玉で形成した光の槍の投擲でダイの仲間達を一蹴してのけたが、最後は鎧の魔剣を手に紋章の力を発動させたダイのアバンストラッシュに豪魔六芒槍ごと斬り裂かれて敗れた。


  • 不死将軍デスカール
CV.田原アルノ
ガルヴァスの腹心で、邪教に身を染めた僧侶アンデッドと化した男。
新生六大将軍の中でも最強で、三賢者のメラミを軽く手で払い、さらに表の六大団長の秘儀をも身に着けている。
ミストバーンの「闘魔傀儡掌」、さらには「命を削る禁呪法に近い」とまで呼ばれてポップも反動で体調を崩したフレイザードの「五指爆炎弾(フィンガー・フレア・ボムズ)」を平然と両手で同時発射するというとんでもない真似をやっている*2
単純に考えればザボエラのマホプラウスを一人で行っているようなもので、これは呪法生命体どころか、最初から死んでいるアンデッドならではの離れ業と言えよう。
瘴気結界魔術でベルナの森に瘴気を蔓延させ、あのマトリフですら「究極の呪文」と称するほど高等な奪魂魔術を使ってマァムの魂を人質にしたのも彼である。
さらに「暗黒衝撃波」という両掌から暗黒闘気を放って攻撃する必殺技を使う*3
威力は、片掌だけではブラッディースクライドや獣王会心撃に押し負けるが、両掌の分を合わせれば押し勝てるほど。
暗黒闘気と呪文の併用ができる戦士はダイ大中でも他にほとんど例がなく、せいぜいハドラーや大魔王バーンくらいであることを考えても彼のすごさがわかる。
ガルヴァスと共に暗黒衝撃波でヒュンケル、クロコダインの必殺技を抑え、優勢に立っていたが、途中でガルヴァスが倒れたことで形勢が逆転し、ブラッディースクライドと獣王会心撃の直撃を受けて敗れる。

中の人は旧アニメ版のバダック役の人。


  • 妖魔将軍メネロ
CV.川浪葉子
デスカールに並ぶガルヴァスの側近で、緑色の髪で片目を隠した妖艶な美女。
ザボエラとは対照的に魔法や妖術の類は使わず、いばらのむちを使った肉弾戦が得意。鞭の威力は石柱をたやすく切断するほど。
特に、女相手には容赦なく「かわいい子を見るといじめたくなるの」と言いながらいたぶる女王様っぷりを見せるサディスト。
本性は植物系のモンスターで、感情が高ぶると仮面のように顔を変える。
ヒステリックな気があり、傷つけられて激昂した際はいばらのむちでポップたちを滅多打ちにしたが、ダイにメラを宿したパプニカのナイフを背中から投げつけられてリタイア。
そのキレっぷりはガルヴァスをして「女は怖い」と言わしめるほど。
コイツだけは本家妖魔士団長より強いかもしれない

余談だが、新旧アニメ・原作・スピンオフを通して魔王軍では唯一の女性キャラである。*4
なお、当時の本家ドラゴンクエストにおいても女性モンスターというとDQ3のまほうオババ系列程度しかいなかったため、実はドラクエメディア展開史上初の若い女性モンスターだったりする。
まあ、普段の外見はともかく正体は植物モンスターなので、彼女にしても本当に女性だと言えるのかどうかは微妙なところだが。


  • 氷炎将軍ブレーガン
CV.緑川光
氷と炎をまとう三節昆を操る魔族の格闘家。
好戦的な男で、その自信に違わずヒュンケルと互角に渡り合えるだけの実力を持つ。
最後はハドラーみたいにヒュンケルの腹を刺して炎を流し込みとどめを刺そうとするが、彼のメラゾーマほど威力がなかったのか食らいながらも構わず反撃に転じたヒュンケルに至近距離からのアバンストラッシュを喰らい、横一文字に肉体を斬り裂かれて死亡。

なお、フレイザードも氷炎将軍なので、肩書きが丸かぶりしている。
この映画ではヒュンケルの一人称が「私」だったりと不自然な点が散見され、製作陣があまりダイ本編について詳しくなさそうな疑惑があるので気付かなかったのかもしれない。
まあ、別に被っちゃダメという決まりがあるわけでもなかろうし、一人くらいいいやと思っただけかもしれないが。

中の人は旧アニメ版のニセ勇者でろりん、アポロ役の人。


  • 百獣将軍ザングレイ
CV.郷里大輔
クロコダインに匹敵する体躯を誇るミノタウロスのようなモンスター。
純粋なパワーファイターで、と手斧に分離できる「ザンバーアックス」を武器にクロコダインと渡り合った。
クロコダインとの斬り合いで互角に立ち回り、槍で彼の鋼の肉体を貫くことに成功するも、『肉を切らせて骨を断つ』の文字のごとく、胴体を貫通されたダメージを物ともせずに繰り出されたクロコダインの斧の一撃が致命傷となりそのまま敗れた。
なお、クロコダインは貫かれた腹部から出血したまま回復呪文も掛けられないのにケロッとしているという意味不明な生命力で次の戦いに臨んでいる。
まあ、ヒュンケルにも鎧の魔剣で腹ぶち抜かれていたし、細い槍で刺されたくらいは彼にとって今さらであろう。
こればかりは相手が悪い……。

ちなみに他の将軍達は表舞台に立つのは初めてなこともあってどのキャラも既存キャラとは殆ど初対面なのだが、
クロコダインは戦いを挑んできた彼に対し「望むところだザングレイ!」と返している。同じ獣人系モンスター同士、面識でもあったのだろうか。


  • 魔影将軍ダブルドーラ
CV.江川央生
前後対象の形をした生きている鎧。両肩アーマーはフリスビーのように投擲することも可能。
身体を二体に分離してのかく乱や合体時のパワーを駆使してダイを苦しめた。
ポップのベギラマやヒュンケルのブラッディースクライドも通じない無敵ぶりを見せたものの、陸海空のアバン流刀殺法を習得していたダイの二刀流で繰り出した空裂斬で二体同時に破壊され敗れる。
直前にダイが呪法生命体の天敵である空裂斬をマスターしていたのが不運であった。

  • 超竜将軍ベグロム
CV.山口健
ワイバーンに乗るガーゴイルのドラゴンライダー。
バランとは対照的に六大将軍最弱で*5、特筆できる能力がなにもない。
パプニカ王国襲撃の一番槍を務めながら撤退するのをよしとせず大地斬でワイバーンを倒され、撤退命令の無視とワイバーンを倒された事でガルヴァスに電撃でお仕置きされ、
ベルナの森での決戦時には開戦早々にダイに斬りかかっていったが、逆にすれ違いざまに海波斬で斬られて瞬殺される。
表のどの六大団長の誰にも及ばないであろうのは明白で、ザボエラにさえ正面から負けそう。
むしろそのあまりにもな弱さのせいで印象に残るキャラである。

中の人は旧アニメ版のフレイザード役の人。


【製作秘話】

ダイの大冒険は物語的にRPG要素が強く、番外編を作ることが難しいため、その製作には東映動画のスタッフと三条先生の間で綿密なディスカッションが行われた。
劇場版全三作には三条先生の手書きのメモが残されており、これを元に脚本が起こされている。
特に新生6大将軍には稲田先生もデザインワークに参加されており、ガルヴァスを始めとするオリジオルキャラたちの綿密な原画が書き下ろされている。そのまま原作に登場してもおかしくない原作筆のガルヴァスやメネロの原画は、ファンならば機会があれば一見をおすすめする。



少年時代の追記修正の思い出……

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ダイの大冒険
  • ドラゴンクエスト
  • 映画
  • 劇場版
  • 東映
  • 東映アニメフェア
  • ぶちやぶれ!!新生6大将軍
  • 新生六大将軍
  • アニメ映画
  • アニメ
  • 東映アニメーション
  • 武上純希
  • 西沢信孝
  • すぎやまこういち
  • 1992年
最終更新:2025年01月03日 18:54

*1 この時、メネロをして「残酷な人……」と言わしめている。豪魔軍師の名は伊達ではないという証であろう。

*2 ただし、画面から確認できる限りでは使っている呪文がメラゾーマではないように見え、威力もさほどではないように見える

*3 ガルヴァスも同じ技を使える

*4 アルビナスはクイーンの役割を担っている金属生命体なので生物的には性別なし。回想シーンで侍女と思われる魔族の女性は登場しているが戦闘員では存在しない

*5 公式本でも最弱と明言されている