縛り(呪術廻戦)

登録日:2024/09/13 Fri 15:20:00
更新日:2025/04/01 Tue 22:56:41
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(しば)り:縛り付けること。束縛。制限。

ここでは漫画『呪術廻戦』の作中用語である「縛り」を解説する。


概要


信じる信じないの話ではない

これは〝縛り〟

誓約だ

守らねば罰を受けるのは俺
身に余る私益をむさぼれば報いを受ける


呪術特有の性質と呼ぶべきもの。
何らかのリスクを背負うことで、呪力や術式の出力・効果を強化する手法。
早い話が呪術版の「制約と誓約に近いが、デメリットを踏み倒すなどもあるので扱い方はTCGのデメリット効果の方が近い*1

基本的には術式の使用条件や行動の制限、あるいは後述のような『術式の開示』といった不利な行動をあえて取ることによるリスクを背負い、その分の対価を得る形になっている。強化幅は基本的にリスクの重さに比例する。
使うにしても「個人での使用」が原則とされ、後述する「他者間の縛り」は本作の敵である呪霊・呪詛師ですらも「必ず守らなければならない」と言明するほど。
限度はあると思われるが、「縛り内容を忘却する」といった強制力を伴う縛りも可能。

個人での縛りは、天与呪縛が有名なので、制約を増やしてデメリットを受け入れる代わりに大幅に強化するという使い方に見えるが、
作中での使われ方には、重くない制約を加えることで多少の強化・拡張を図るものが多く、省エネ化という側面が大きい。
傍目から見るとほとんどデメリットになっていない縛りや、深刻そうに見えて実質デメリットになっていないのに強化されている縛りも多い。
例えば『対象を絞る』『回数を絞る』なら、その対象以外に攻撃が当たっても有利にならない、使うのが回数内に収まる、といった状況で縛ることで、デメリットを抑えつつ威力を上げる、範囲を広げるといった強化につなげている。

作中でも特に複雑な縛りを用いているのが実力者である宿儺や呪術に詳しい羂索であり、実力者ほど縛りの制約に工夫を凝らし、拡張する余地を増やしている様である。


「縛り」と「ペナルティ」

「縛り」を破ると相応のペナルティが科される。
実際に劇中で「縛り」を破った例はほとんど描写されていないが、両面宿儺のような特級クラスの実力者であっても縛り内容には警戒している様子を見せることが多く、恐らく破ってしまった場合のペナルティの回避は不可能である。

術師同士や呪霊同士、あるいはその両者間の間で契約を行う場合はその契約自体を縛りとして適用し、内容の履行を確約させることもできる。
ただし、その場合は契約を交わした両者が「それが縛りである」ことを予め明確にする必要があり、それを行わない場合は「単なる口約束」として約定を反故にしても呪術的なペナルティは科されない。*2


個人の「縛り」と他者間の「縛り」

己に課した「縛り」は最悪破っても「得たものを失うだけ」とのことだが、他者間との「縛り」は自分自身に課したものより厄介で、
  • どれだけの実力差があろうとも影響が生じる。
  • 破った場合、破った側に深刻なペナルティが科される上に、具体的なペナルティの内容に関しては実際に起きるまでほぼ予測不可能。
  • 契約内容の解釈に幅がある「縛り」も可能だが両者の解釈で順守する必要がある。そのため、一見「縛り」を破っていないように見えても、相手の解釈次第ではルール違反となる可能性がある。
  • 「縛り」が有効に働いているかや相手の解釈なども呪術的に自然と分かるといったことはない*3
などの性質があるため、「縛り」による約束に対しては羂索真人のような度を越えた呪詛師・呪霊であっても非常に慎重且つ律儀に対応するといった状況が生じる。


代表的な縛り

  • 術式の開示

虎杖「そういうのってバラしていいもんなの?」
七海「メリットはあります」
「〝手の内を晒す〟という〝縛り〟が術式効果を底上げするのです」

自分の術式の内容を敵対者に明かすことで、その効果や出力を増強する。

開示する内容は術者側に委ねられており、例えば「〇〇という生得術式は××の効果を持つ」という一部分だけの開示であっても「縛り」として認められる。
あくまでリスクを背負うことが条件であるため、相手が既に術式を知っていたり、戦闘において解明されたりした場合には「縛り」として認められない。また、開示した内容が詳細かつ術式に深く関わっているほど「縛り」としてより効果が増す。

一方でこれらを逆手に取り、嘘の情報を開示することで相手を手玉に取る東堂*4、術式の根幹に関わる内容以外を事細かに開示することで一方的にメリットを享受する*5も登場している。

能力バトルでありがちなペラペラ自分の能力を喋るというトンチキな行動が読者から見ても納得の理由となっており、「術式の開示=術師(呪霊)の本気」という認識にも繋がっている。
メタ的には読者への「このキャラはこんな術式を持っている」という説明でもあるので、後半になるにつれ登場頻度は少なくなっていった。

公式ファンブックでは情報開示による効果の底上げが『HUNTER×HUNTER』のそれであることを作者が明言しており、
このアイディアを褒めてもらえる事がままあるんですが、私が大きな声でやっただけで、言わないでやってる冨樫先生の方がオシャレです。
とのこと。

  • 行動の制限
三輪「もう二度と 刀を振るえなくなっても!!!」

第134話での三輪のように「一生刀を振るえない代わりに一撃のダメージを増やす」、宿儺の「世界を断つ『解』」の「1回だけは無条件で使えるが次に同様の術式を使う際に複雑な条件を課す」などペナルティではない「デメリット」を前提にした縛り。
もちろん、縛りとして課した以上は同様のデメリットが常に付きまとうので実力者でなければ扱いは難しいと思われる。

  • 天与呪縛(てんよじゅばく)
究極メカ丸「その代償として俺ハ広大な術式範囲と実力以上の呪力出力を与えられタ」

自らに科す縛りではなく、生まれながらに肉体に強制されている縛り。
発現の形は個人によって様々で、先天的に重い身体障害を持つ代償に強力な呪力を得る場合もあれば、逆に本来持って生まれるべき呪力や術式を持たない代償として超人的な身体能力(フィジカルギフテッド)を得る場合もある。
作中では究極メカ丸禪院真希伏黒甚爾が該当。
これも術式の範疇なので、呪縛の内容を説明した場合能力の向上が見込める。
また極めてレアなケースではあるが、後天的に肉体への縛りが克服された場合、天与呪縛によるバフ効果は消えてしまう模様。

  • 一門相伝
冥冥「シン・陰は術式を持たない呪術師の拠り処でもあるからね」

門弟にのみ簡易領域を継承させているシン・陰流による一門相伝の縛り。
元々は呪詛師への技術流出を防ぐために「シン・陰流を門弟以外に継承させない」という縛りを課していたのだが、それはいつしか公益性を失い、当主による「出動要請」や「寿命の徴収」などの私利私欲に利用される形になってしまった。
ただし、「盗み見る」ことで技術を得ることに関しては特に問題視されておらず、この形で簡易領域を会得している術師もいる。

作中に登場した縛り



























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最終更新:2025年04月01日 22:56

*1 さらに言えばデメリット受容か他カードでフォローが基本のTCGと違って、単独で踏み倒せることが前提でデメリットになっていない縛りがある

*2 万が宿儺戦で取った「自分が勝ったら結婚する」という要求も「言質取ったり!!はい縛り!!」と「縛り」であることを明確にしている。

*3 宿儺ですら悠仁との「縛り」は実際に確認して判断している

*4 術式内容がシンプル故に「開示せずともすぐにバレる」「開示したところで旨みが少ない」という弱点があるため、あえて嘘をつくことが『術式を開示したということは真実を言っているのだろう』という術師(呪霊)の思い込みを利用したブラフとなる。

*5 副次効果として「『ゴミのような情報』を大量に流し込むことで、思考にノイズを与えて戦闘の妨害をする」というメリットもある。

*6 乙骨は「虎杖悠仁を殺す」とは発言しているが「殺した遺体を総監部に持っていく」などとは一切発言していない。

*7 本来の真依の力量では1日1発の弾丸を作るので精一杯

*8 帳の術式だけを呪具に篭め、それを他者が起動する事で発動させる方式。呪具側が術師として扱われるため羂索の縛りも有効だが、同時に呪具が破壊されると強制的に術式が解除されるという欠点もある。