召命の神弓-アポロウーサ(遊戯王OCG)

登録日:2023/06/17 Sat 08:23:46
更新日:2025/07/27 Sun 19:34:24
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力の代償は力で払う


召命(しょうめい)神弓(しんきゅう)-アポロウーサ/Apollousa, Bow of the Goddess》
リンク・効果モンスター(禁止カード
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リンク4/風属性/天使族/攻 ?
【リンクマーカー:上/左下/下/右下】
トークン以外のカード名が異なるモンスター2体以上
(1):「召命の神弓-アポロウーサ」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。
(2):このカードの元々の攻撃力は、このカードのL素材としたモンスターの数×800になる。
(3):相手がモンスターの効果を発動した時に発動できる(同一チェーン上では1度まで)。
このカードの攻撃力を800ダウンし、その発動を無効にする。

召命(しょうめい)神弓(しんきゅう)-アポロウーサ》とは、『遊戯王OCG』に存在するモンスター。



概要

2019年発売のパック「RISING RAMPAGE」にて突如現れた女神カード。

リンク4の大型モンスターでありながら、「カード名が異なるモンスター2体以上」で出せる為、展開力が多少あるデッキでは出しやすいモンスター。
そしてその効果だが、まず(1)の効果は単なるデメリット。
とはいえリンク4を2体並べるのは大変だし、ましてこのカードを2体並べたいということはまずないので気にする必要はないだろう。

(2)の効果は、使用したモンスターの数だけ攻撃力を上げるというもの。
4体使えば攻撃力3200。3体でも2400と妥協点となる。
とはいえ戦闘力に関しては、
には遠く及ばない。

彼女の本質は、(3)のモンスター効果へのカウンター
しかもこの効果にはターン1制限が無いため条件を満たせば何度でも使える。
ただし同一チェーンに複数積めないことと、初版にはその趣旨のテキストが記されていないことには注意。
使えば攻撃力が下がり、攻撃力799以下になると使えなくなるものの、それでもL召喚するだけで最大でも4回もの妨害を構えることが可能なのだ。
勿論、何かしらのカードで攻撃力を増強すれば更に使用回数が増えるおまけ付き。
無効範囲がフィールドだけでなく全ての領域が射程範囲なので、早めに出せさえすれば手札誘発に対抗しながら展開を進めることも可能。
ただし「無効化」するだけで破壊等はしないので、その辺りは適宜見極めて使おう。

リンクマーカーは自分側(下方向)に3つ、相手側(上)に1つ。《鎖龍蛇-スカルデット》や《トポロジック・ボマー・ドラゴン》と同じ形といえばわかりやすいか。
連続L召喚をしたり相互リンクが強力なカードを後押しできはするが、彼女自身は相互リンクやリンク先に関する効果を持っていない。
上向きのマーカーを相手リンクモンスターに利用されてしまう可能性も考えると、若干ではあるが無駄のあるマーカー配置であるといえる。


弱点

注意点としては、まず最初に防げるのはモンスター効果だけであり、魔法・罠は防げない。
無限泡影》など食らおうものなら単なる可愛いだけの攻撃力0のモンスターになってしまうし《サンダー・ボルト》等の除去魔法も雑に食らってしまう。
2025年現在の遊戯王はモンスター効果が主体であるが故にこのカードは猛威を振るうのだが、未だにそういった除去魔法・罠の採用率も高いので油断は禁物である。

そして何より、(3)の効果の仕組みには大きな弱点もある。
たとえ4体リンクで攻撃力3200となっても、2回無効化を使えば攻撃力1600と下級モンスターレベルになってしまう。
こうなってしまえば、あとはバトルフェイズさえ消費すれば、適当な下級モンスターで戦闘破壊してからメインフェイズ2で効果を使うということがまかり通ってしまうので、「4回無効できるから余裕だもんね」なんて思っていたら痛い目を見る。バトルフェイズを無駄に消費させるという意味では仕事をしたと思いたいが。
チェーンを組まずに出れる《ダイナレスラー・パンクラトプス》とかが出てきて2400の時点で処理されてしまうことも珍しくない。
相手が壊獣を手札に握っていた時は…ご愁傷様です。

そのため、素材3体の2400というのは「3回無効にできる」というより「1回だけで突破されるリスクが高く、最悪0回でも突破される」というイメージであり、4回無効にするためではなく、安定して1,2回は無効にするために素材4体で出すのが理想となる。
ただし、前述したように素材4体だろうが一瞬で無力化されることもよくあるので、(特に、複数構えた妨害の一つとして見るなら)貴重なリソースを割いてまで4体で出すくらいなら、ローリスクローリターンな2,3体で妥協する方が良い場合も多い。

仮に4回無効にすることがあったとしても、相手が無効の連発を許したうえで攻撃力0のモンスターが棒立ちとなっているわけで、そこから酷い目に遭うことが予想されるだろう。
なお、ダメージ計算時のみステータスを書き換える《月鏡の盾》を装備した場合、戦闘後に何故か攻撃力がL召喚時の数値に戻る
実質戦闘で無敵になるうえに発動回数まで回復できる最強アポロウーサが誕生するので、積極的に使うなら狙ってもいいかもしれない。

またあくまでチェーンに1回しか使えない効果は自分だけが負うので、相手の《召命の神弓-アポロウーサ》がいる場合は封じられる可能性があるのも注意が必要。
単なる可愛い娘で終わるか、戦女神として戦場を支配するかは、どこでその無効化を打つかを見極められるかどうかに掛かっているだろう。


イラスト

さて、今までは性能の事ばかり話していたが、彼女の魅力はもう1つある。
それはとてもふつくしいイラスト
勇ましい女神がに乗り、特徴的な金色の弓を構えているというもの。チラリと見える腋、横乳、絶対領域もフェチを感じさせる。
女性モンスターというだけで評価できるところだが、そのポーズはまさしく「迎撃」と言った趣であり、カードの効果ともあっているのも特徴的。
性能も然ることながらそのイラストに惹かれたデュエリストは多い。
そして女性カード+汎用性の高い効果となるとやはりというかレアリティによっては値段も非常に高くなっている。
イラスト人気もあってか『遊戯王マスターデュエル』ではカットイン演出付きカードに選ばれている。

その人気に呼応してかイラスト違いカードもある。
そちらは水辺に佇み、愛用している弓を両手に掲げ……よく見たら通常イラストでは確認できなかった光の翼が生えているという神秘的なシーンが描かれている。
なお熊は消滅した。

彼女の戦っている姿は、魔法カード《月女神の鏃》、罠カード《巨神封じの矢》にも描かれている。
双方とも相手モンスターのバウンスや効果無効化という強力カード。彼女の魅力を隅々まで楽しみたいのならこれらのカードを採用しても面白い。
なおやっぱり熊の姿は見られない。
『マスターデュエル』ではなんと《月女神の鏃》も固有演出付き。前述のように本人も演出持ちのため同作でも珍しい演出複数持ち*1となっている。


ところが……

このように高い汎用性と比較的緩いリンク条件から、先攻制圧ちょっとしたエッセンスとして様々なデッキで採用され、相手にしばしば絶望を与える存在となっていた。
とは言え、リンク4という素材の重さに反して、このカード単体だけでは突破手段もそれなりに残されているという事から、その存在が大きく問題視されるまでには至らなかった。

しかし時が進むにつれてL素材の調達手段が多様化すると共に、先攻1ターン目からこのカードをL召喚するのも容易に。
特に展開が得意なデッキにおいては、このカードと同時に別の妨害手段を構えるというのも珍しくなく、突破手段がかなり限られるというような状況を作り出すのにも一役買ってしまう。
結局、「先攻有利」を助長する存在と見なされてしまった為か、2025年7月のリミットレギュレーションにて一発で禁止カード指定へと至ってしまった。

ちなみに、この改訂は上述のイラスト違いが登場してからわずか4ヶ月後。つまりイラスト違いの彼女を公式のデュエルで使えた期間も4ヶ月程という事になる。
“イラスト違いが存在する”&“禁止指定を経験している”カードとしては《ファイアウォール・ドラゴン》が代表的だが、あちらはエラッタを経てようやく制限解除にまで至った経緯がある。
果たして、彼女の運命や如何に……


余談

カード名の「アポロウーサ」とは月と狩りの女神・アルテミスの別名義である。
だが、「神弓使い」「従者の熊がいる」「ケモミミ」という要素を加味すると、モチーフ元はアルテミスと関わりを持つギリシャ神話の女狩人「アタランテ」だと思われる。
光属性の比率が高い汎用天使族の中で自身が風属性であるのは、彼女が俊脚にまつわるエピソードを持っているのが由来だろう。
従者の熊が登場しないイラストが多いのは、その熊があくまでも従者であって戦闘役ではないからなのかもしれない。
また、(公式からの言及はないものの)女性とカード名のモチーフに食い違いが見られること、肩書が「神弓」であり、同様の形式で命名されて弓のモンスターであることが明白な《女神の聖弓-アルテミス》*2が存在することなどを根拠に、実はカード名の指す「アポロウーサ」は女性ではなく弓の名前ではないかという与太考察が存在する。

このカードが収録された「RISING RAMPAGE」では他にも妖仙獣シムルグ、《蒼翠の風霊使いウィン》といった風属性に関するカードが多めに収録されている。
彼女が風属性になったのは、【風属性】強化の意図もあったのかもしれない。




追記・修正は、行方不明になった熊を探し当ててからお願いします。

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最終更新:2025年07月27日 19:34

*1 演出複数持ちは《ブラック・マジシャン》などのイラスト違い系カードが多いが、モンスター・魔法でそれぞれ持っているのは彼女ぐらい。

*2 上述の通りアポロウーサはアルテミスの別名なので、奇しくもこの2枚はモチーフも同じである