シールドライガー(ゾイド)

登録日:2010/02/10 Wed 12:12:08
更新日:2025/02/10 Mon 10:57:09
所要時間:約 14 分で読めます




トミー(現:タカラトミー)の展開する『ゾイド -ZOIDS-』に登場するヘリック共和国軍が完成させた高速戦闘用ライオン型ゾイド

ゼネバス帝国との戦乱期から西方大陸戦争までコマンドウルフ共々前線を支えた。後継機にブレードライガーがある。




【機体データ】

番号:RPZ-02(旧)/RZ-007(新)
所属:ヘリック共和国
分類:ライオン
全長:21.6m
全高:9.0m
全幅:6.0m
重量:92.0t
最高速度:250km/h

武装:
(旧シリーズ)
レーザーサーベル×2
2連装加速ビーム砲
3連衝撃砲
連装ビーム砲
ミサイルポッド×2
冷却用ラジエーター×6
エネルギーシールド発生装置
各種センサー

(新シリーズ)
レーザーサーベル×2
ストライククロー×4
AMD2連装20mmビーム砲
対ゾイド3連衝撃砲
展開式ミサイルポッド×2
エネルギーシールド発生装置

必殺技:シールドアタック


【機体解説】


ゼネバス帝国の「サーベルタイガー」がゾイド生命体の俊敏性と滑らかなラインによって常識を打ち破る最高速度200km/hを叩き出し、共和国を戦慄させた*1

このサーベルタイガーに対抗すべく建造された「シールドライガー」は機体各所への冷却機能追加、20mm連装ビーム砲とミサイルポッド、後述するエネルギーシールドを収納・展開式にしたことでさらなる空力抵抗の排除に成功。
サーベルタイガーを25%も上回る250km/hに達する速度と、その機動性を活かした格闘戦を得意とし、特に山岳や森林地帯では抜群の運動能力を発揮する。

しかしその機動力を全力で発揮しているさなかに武装を展開すると、この徹底した空力抵抗の削減が原因で機体バランスが崩れ、機動力低下を招く。

並のパイロットなら最高速度で走らせながら戦うことはまずないが、シールドライガーの能力を全力で発揮させることができるエースパイロットが、その全力を尽くさなければならない相手と戦った場合、攻撃のたびにバランス調整を行いながら戦うことになってしまい、不利が働いてしまう。


【エネルギーシールド】

Eシールドと言う略称がよく用いられる。
鬣に装備された自機の前方に一種の電磁障壁を形成し、ビームを弾く「本機種最大の特徴」。

ただし実体弾や至近攻撃はマトモに食らい、エネルギー消費が激しく、長時間使えない。ビームの周波数を変えられるとすり抜けてしまう事もあるし、当然ながらシールド以上の出力を持つビームは防げない。

漫画『機獣新世紀ZOIDS』では力場障壁として、攻撃を防ぐだけでなく、機体底面に展開してゾイドを水上歩行させる運用をも行っている。

アニメでは粒子ビームを機体正面で圧縮したビームシールドのような存在として描かれている。ビームやレーザーはもちろん、実体弾頭やミサイルなどもある程度は砕いて防御できる。
これに正面から突っ込んだセイバータイガーは、シールドのビームを浴び続けて外装が次々と融解して弾け飛び、内臓機器や骨格までが剥き出しになるというすさまじいダメージを負っている。
これを応用してエネルギーシールドを展開したままたたきつける技が「シールドアタック」。

突破方法は「エネルギーシールド同士を干渉させるとエネルギーが逆流し、発生装置をショートさせること」
この方法でシールドライガーは圧倒的な出力差があるデススティンガーのシールドを使用不能に追い込んだ。

この「シールドアタック」は世界観がバトスト準拠のゲームでも採用されたことがある。





【開発経緯】

サーベルタイガーのライバルとして完成し、共和国の顔となった本機はサーベルタイガーの模造品である。

当時、散々手を焼かされた共和国が制圧した敵基地に残されたサーベルタイガーの解析を元にして開発が進められたため、一部武装にも類似点が見られる*2

コアはライオン種グループの中にあるライガー型*3だが、空気抵抗対策として武装を内蔵式にしたのはヘリック共和国の技術力の都合が大きいのだろう*4

敵側の優秀な機体をコピーするのは軍事の基本だが、共和国の新たなる看板ゾイドが盗作なのはあまりにもインパクトが大きく、口の悪いファンからはヘリック共和国自体がパクリ国家呼ばわりされたりもする原因。

ただ巨体を重火力と重装甲でカバーする方針のヘリック共和国がレッドホーンとあまり変わらない重量*5でありながら時速250㎞も出せる本機を短期間のうちに開発するにはこうするしかなかったのも事実。
それでも開発から実戦投入にはかなりの年月がかかっている。
また、重量はサーベルタイガーの78tから92tへと14tも重くなっており(サーベルタイガーからすると18%アップ)、なんと武装強化を施したグレートサーベル(90t)よりも重い。サーベルタイガー以上の速度を出すための開発は相当難航したようだ。

尤も、それ以前にゼネバス帝国が共和国のゴドスをパクって「歩兵ゾイド」の代表格を造っているのでお相子かもしれないが。
また自国技術だけにこだわる方がむしろ頑迷ともいえる。



【バトルストーリーでの活躍】

彼らの勇気を、私にもお与えください」

ZAC2039年、中央大陸戦争中、ヘリック共和国の軍人ヨハン・エリクソン大佐が開発し、ゼネバス・ムーロア皇帝のガイロス帝国への亡命拠点となったバレシア基地に残されたサーベルタイガーを解析して作られた。

ZAC2042年、防衛線に攻撃をかけてきたサーベルタイガーとヘルキャット部隊をエリクソン機を含むシールドライガーとコマンドウルフの部隊が圧倒したのが初陣。

エリクソン隊はデスザウラーの開発を進めるゼネバス帝国の調査を行い、その途上でディメトロドンやアイアンコングをも撃破するなどの活躍を見せるが、結局新兵器の正体は掴めないままだった。
その後、エリクソン大佐は本来の愛機ウルトラザウルスに乗り込むようになり、彼のシールドライガーはフェードアウト。

戦いの中心がデスザウラーに移ると、パワーでとても太刀打ちできないシールドライガーは活躍の場が狭められていく。
高速戦闘ゾイドとしてもグレートサーベルによって壊滅するなど、苦境に立たされていく。
強化型のシールドライガーMk-Ⅱも配備されたが、活躍は地味で、試作型ビームスマッシャー縦に真っ二つされるなど悲惨な役割も担わされた……

この頃はやられ役さえゴジュラスサラマンダーだったので、出番自体が少ない感じだった。




兵隊は国のために死ぬことが仕事だと教えられた
私はそれを、諸君らに言ったことは無い。
人は、信念のために死ぬべきだと思うからだ

だが今、あえて言う

諸君の愛機が一歩でも動くなら
這ってでも進め

そして、
奴のコアを噛み砕くのだ!


ZAC2099年の西方大陸戦争期では、開戦準備が足りなかったためにガイロス帝国軍に大敗したヘリック共和国全軍にあって、シールドライガーを中核とする高速戦闘隊が奮戦した。

その一つ、エル・ジー・ハルフォード中佐が指揮する第二独立戦闘大隊が、本部からの直接命令で西方大陸の最高峰・オリンポス山に突撃を掛ける。
道中、セイバータイガーと最高速度を出し合っての激戦となった。

セイバータイガーの予想以上の性能と、武装展開時のバランスの悪化が響いて大苦戦するなかで間一髪、強化されたエネルギーシールドで砲撃を弾きつつレーザーサーベルを突き刺して撃破する。

オリンポスの山頂では、古代ゾイド人の遺産』で復活しようとするデスザウラーを発見し、総攻撃をかける。
しかしデスザウラーはパイロットどころか下半身もなしに本能だけで起動し、荷電粒子砲をぶっ放す
これでハルフォード中佐のシールドライガーは左半身を溶かされるが、力を振り絞ってその剥き出しのゾイドコアを破壊。
力を使いきった彼らは、デスザウラーの余剰エネルギーにのまれて蒸発した


この後は物語の中核が後継機ブレードライガーに移ったが、エレファンダーや量産型デススティンガー「KFD」に挑んだり、レオマスター専用の黒いシールドライガーDCS-Jが登場したり、白いシールドライガーDCSがライトニングサイクスと渡り合ったり、同時にデススティンガー暴走の切っ掛けになったりと、旧シリーズと違って出番はそこそこある。



【アニメでの活躍】

共和国の看板ゾイドの一体だけあって様々な作品に登場するが、重要な役割だったのは最初の『ゾイド -ZOIDS-』ぐらいで、他の作品ではちょい役や登場しないことが多い。

◇『ゾイド -ZOIDS-

かつての戦争で破壊されたと思われる機体が第一話のエレミア砂漠遺跡近くで化石化した状態で登場。
これにオーガノイドジークが合体することで復活し、バン・フライハイト終生の愛機として旅立つ。
なお、後に共和国軍で調べたところ、このシールドライガーは20年以上前に登録抹消されており*6、それ以前に死亡し化石化したものだったと思われる。

当初はパイロットのバンが素人だったため、ろくに武装を使うこともできず、レイヴンのセイバータイガーには長く苦戦を強いられていた。
だが徐々に乗りこなしていき、自在にエネルギーシールドを使えるようになったマウント・オッサ火山の決闘では遂に辛勝をおさめた。
しかしレイヴンの次なる乗機・ジェノザウラーとの対決の最中荷電粒子砲でシールドを破られたうえにゾイドコアを撃ち抜かれて再度石化してしまう。
その後、フィーネと融合したジークが生成したエボリューションコクーンで蘇生・進化を果たし、ブレードライガーに生まれ変わる。

この機体のほかにもハーマン機、クルーガー機(こちらは写真のみ)なども登場した。
また一般量産機は白い外装に紺色の内装といった、旧バトストのMk-Ⅱカラーに近いものとなっている。
(新バトストでライトニングサイクスやデススティンガーと戦った白いシールドライガーは、内装が紺色ではなく黒色だった)

アニメシリーズ最初の主人公機ということもあって、ファンからの支持を集め、以降は「主人公機(ライガータイプ)VSライバル機(肉食恐竜タイプ)」という図式が定着することとなった。

なおアニメ版シールドライガーに共通する特徴として、爪が薄いゴールドなことと尾の先端のビーム砲が省略されている点がある。
これはバン機のみならず、同じカラーのハーマン機*7、白いカラーの一般機にも共通の特徴。



◇『新世紀/0


「行くぞ、リノン、バラッド!!」

チームブリッツ初期メンバーにして唯一の常識人であるレオン・トロスの乗機として登場するが、第一話で負傷したことで一時戦線離脱。
ビット・クラウドライガーゼロと入れ替わる形で修行の旅に出るが、道中で闇バトルに巻き込まれてしまい、砂漠で機能停止。
そしてレオンは新たなる相棒、赤いブレードライガーと出会う。


【主なバリエーション】

◇シールドライガーBS(バンスペシャル)

タンデムシート化されたバンの愛機。
漫画『機獣新世紀ZOIDS』で相棒となるシーザーは経緯が異なり、ムンベイの亡き兄・ジャッドの愛機。


◇シールドライガーMk-Ⅱ / DCS(ダブルキャノンスペシャル)

金色の大型二連加速ビーム砲で攻撃力を上げた改造機。
後者は第二次大陸間戦争時代のMk-IIの呼び名でドーピングコンソメスープではない。
機体色は、装甲部分が白で、内蔵機器は紺に近い青色
このカラーリングは同時代のコマンドウルフやベアファイターにも適用されていた。初代アニメ版のシールドライガーは色はMk-IIだが装備は無印のままで、青いのはバン機やロブ・ハーマン機など一部のみ。

火力が大幅に上がった代わりに明らかにバランスの悪そうな機体で、機動力が犠牲となっている。
第二次大陸間戦争時代では特に格闘能力低下が問題視されており、通常型と同時運用を前提に別働隊として敵の側面や後方からの長距離砲撃に限っていたようだ。

旧バトストでは同じ「シールドライガーMk-Ⅱ」と言う名前で、ゴジュラス用のロングレンジバスターキャノンを搭載した仕様もある。



◇シールドライガーDCS-J

装備はDCSそのままに、エンジン出力強化で機動力を補強。
機体バランスを無視した改造で操縦性が悪化し、六機製造された段階で開発は中止され『レオマスター』と呼ばれる超一流のライガー乗り専用機となった。
最高時速は285Km/hでパワーはライトニングサイクスをやや上回る程度。
装甲色は黒で、脚部や内部機構は銀色。キットはDCSの色替えに過ぎないが、色合いが素晴らしく非常にカッコイイ
Jとはジェット(宝石の黒玉)のこと。ジェット気流とのダブルミーイングの可能性もある。


◇スパークライガー

『ZOIDS SAGA』シリーズに登場。
電位差発生装置を装備した改造機。


◇デザートライガー

ZOIDS VS.Ⅱ』初回限定版付属のバリエーションキット。
砂漠戦を考慮し重量バランスを調整、防砂フィルターの装備や耐熱用対策を施した機体。
機体色はデザートイエロー。

HMMのカラーバリエーションとしても発売されたが、この際の機体色はデザートピンクだった。


◇シールドライガー[指揮官型]

通称「C型」。
通信機能を強化した、赤いカラーリングのシールドライガー。
頭部にセンサーを増設した他、背部に重機関砲、腹部に機銃、後部にブースターを装着している。

一般機に比べ出力とハードポイント設計に余裕があるため、戦局にあわせ様々な武装を装着可能。


◇ゴールドライガー

旧シリーズ展開時にコロコロコミックで連載されていた「特攻!ゾイド少年隊」の主人公が手持ちのキットを改造して造り上げたカスタムモデル。
名前の通り通常機ではブルーだった部分が金色になっているのが特徴で、独自のカスタマイズにより機動性を強化してある。
アメリカで『ゾイドフューザーズ』放送当時に発売されたZiコンガントレットの玩具にも似たような金色のシールドライガーの完成済フィギュアが付属しており、スイッチ入力による脚の可動やミサイル発射ギミックが搭載されている。


ブレードライガー

オーガノイドシステムを採用した後継機。詳しくは項目参照。





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最終更新:2025年02月10日 10:57

*1 この機体以前の100t級ゾイドの機動性は低かった

*2 特に機体前方

*3 HMMシリーズの解説では、サーベルタイガーの設計をベースにライオン型の機体を開発したためライガー(ライオンと虎の交配種)となった

*4 キットの方はこの構造とエネルギーシールド発生装置のギミックのおかげでプレイバリューがサーベルタイガーより向上していたりする

*5 おそらく速度保持のために大量に内蔵した冷却用ラジエーター

*6 近くに同じくいた化石化したゴジュラスや、ホワイトゴルドスのエピソードで示されたように、昔の共和国は古代遺跡に基地を作ることが多かった

*7 34話のハーマン機のみ爪が銀色。ただしミスという扱いか、同話の量産機も59話のハーマン機も金色になっている。